特許第6565463号(P6565463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特許6565463画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム
<>
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000002
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000003
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000004
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000005
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000006
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000007
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000008
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000009
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000010
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000011
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000012
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000013
  • 特許6565463-画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565463
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/405 20060101AFI20190819BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   H04N1/405
   B41J2/52
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-157980(P2015-157980)
(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-38208(P2017-38208A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】松原 功一
【審査官】 野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−48371(JP,A)
【文献】 特開2009−71635(JP,A)
【文献】 特開2006−256160(JP,A)
【文献】 特開2014−86778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/40−1/409
B41J 2/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度階調法で階調を表現した画素集合である画像を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた画像から、予め定められた規則による繰り返し模様と、該繰り返し模様の隙間を埋める背景とからなる模様領域を検出する検出部であって、前記画像の中から検出処理の対象となる処理範囲を選択し、該処理範囲中で予め定められた位置の第1画素が前記規則で前記繰り返し模様上に位置する場合には、該第1画素と、
該処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、該第1画素が前記模様領域を構成する画素であるか否かを判定し、該第1画素が前記規則で前記背景上に位置する場合には、該規則で前記繰り返し模様上に位置する第2画素と、該処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、該第1画素が前記模様領域を構成する画素であるか否かを判定する検出部と、
前記検出部により検出された模様領域以外の画像領域に対しては、第1の繰り返し構造による面積階調処理を行い、該模様領域に対しては該第1の繰り返し構造とは異なる第2の繰り返し構造による面積階調処理を行う階調処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記第1画素および前記第2画素と前記規則で前記繰り返し模様上に位置する各画素とを比較して、画素値の差が閾値よりも大きいものが基準数よりも少なく、且つ、前記第1画素および前記第2画と前記規則で前記背景上に位置する画素とを比較して、画素値の差が閾値よりも小さいものが基準数よりも少ない場合に、前記第1画素が前記模様領域を構成する画素であると判定するものであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第2画素として、前記繰り返し模様上に位置する画素のうち前記第1画素に最近接の画素を用いるものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
濃度階調法で階調を表現した画素集合である画像を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた画像から、予め定められた規則による繰り返し模様と、該繰り返し模様の隙間を埋める背景とからなる模様領域を検出する検出部であって、前記画像の中から検出処理の対象となる処理範囲を選択し、該処理範囲中で予め定められた位置の第1画素が前記規則で前記繰り返し模様上に位置する場合には、該第1画素と、
該処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、該第1画素が前記模様領域を構成する画素であるか否かを判定し、該第1画素が前記規則で前記背景上に位置する場合には、該規則で前記繰り返し模様上に位置する第2画素と、該処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、該第1画素が前記模様領域を構成する画素であるか否かを判定する検出部と、
前記検出部により検出された模様領域以外の画像領域に対しては、第1の繰り返し構造による面積階調処理を行い、該模様領域に対しては該第1の繰り返し構造とは異なる第2の繰り返し構造による面積階調処理を行う階調処理部と、
前記階調処理部によって面積階調処理が行われた画像を記録材上に形成する形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
濃度階調法による画素の集合で表現された画像を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた画像から、予め定められた規則による繰り返し模様と、該繰り返し模様の隙間を埋める背景とからなる模様領域を検出する検出部であって、前記画像の中から検出処理の対象となる処理範囲を選択し、該処理範囲中で予め定められた位置の第1画素が前記規則で前記繰り返し模様上に位置する場合には、該第1画素と、
該処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、該第1画素が前記模様領域を構成する画素であるか否かを判定し、該第1画素が前記規則で前記背景上に位置する場合には、該規則で前記繰り返し模様上に位置する第2画素と、該処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、該第1画素が前記模様領域を構成する画素であるか否かを判定する検出部と、
前記検出部により検出された模様領域以外の画像領域に対しては、第1の繰り返し構造による面積階調処理を行い、該模様領域に対しては第1の繰り返し構造とは異なる第2の繰り返し構造による面積階調処理を行う階調処理部と、
を備えた画像処理装置として情報処理装置を動作させることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式やインクジェット方式等を用いた画像形成装置である複写機やプリンタ等においては、入力された画像データに種々の画像処理を施した後、出力装置によって画像を出力する。その画像処理として、例えば、二値の画像データで擬似的に中間階調を再現する面積階調処理(スクリーン処理)がある。この面積階調処理では、例えば網点パターンやラインパターンなどといった規則的なスクリーンパターンによって画像の階調が網点面積に変換される。
【0003】
また、画像形成装置に入力される画像データには、ROP(Raster Operation)処理を経た画像領域(模様領域)を有するものがある。このROP処理では、元の画像を背景として、その背景上に前景を、繰り返し模様の形状で重ね合わせる。そのようなROP処理を経た画像領域に対して面積階調処理(スクリーン処理)が施されると、ROP処理の繰り返し模様とスクリーン処理のスクリーンパターンとが干渉してモアレなどを生じてしまう虞がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、画素同士の画素値比較によって模様領域を検出してスクリーンパターンを切り換える技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−48371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、写真画像のように細かい画像構造を有した画像が背景として用いられた場合に模様領域の検出ミスが多く、より検出力の高い技術が求められている。
【0007】
本発明は、写真画像等が背景であっても模様領域を検出することができる画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る画像処理装置は、
濃度階調法で階調を表現した画素集合である画像を受け付ける受付手段と、
上記受付手段によって受け付けられた画像から、予め定められた規則による繰り返し模様と、その繰り返し模様の隙間を埋める背景とからなる模様領域を検出する検出部であって、上記画像の中から検出処理の対象となる処理範囲を選択し、その処理範囲中で予め定められた位置の第1画素が上記規則で上記繰り返し模様上に位置する場合には、その第1画素と、その処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、その第1画素が上記模様領域を構成する画素であるか否かを判定し、その第1画素が上記規則で上記背景上に位置する場合には、その規則で上記繰り返し模様上に位置する第2画素と、その処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、その第1画素が上記模様領域を構成する画素であるか否かを判定する検出部と、
上記検出部により検出された模様領域以外の画像領域に対しては、第1の繰り返し構造による面積階調処理を行い、その模様領域に対してはその第1の繰り返し構造とは異なる第2の繰り返し構造による面積階調処理を行う階調処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る画像処理装置は、
上記検出部が、上記第1画素および上記第2画素と上記規則で上記繰り返し模様上に位置する各画素とを比較して、画素値の差が閾値よりも大きいものが基準数よりも少なく、上記第1画素および上記第2画と上記規則で上記背景上に位置する画素との比較では、画素値の差が閾値よりも小さいものが基準数よりも少ない場合に、上記第1画素が上記模様領域を構成する画素であると判定するものであることを特徴とする。

【0010】
請求項3に係る画像処理装置は、
上記検出部が、上記第2画素として、上記繰り返し模様上に位置する画素のうち上記第1画素に最近接の画素を用いるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る画像形成装置は、
濃度階調法で階調を表現した画素集合である画像を受け付ける受付手段と、
上記受付手段によって受け付けられた画像から、予め定められた規則による繰り返し模様と、その繰り返し模様の隙間を埋める背景とからなる模様領域を検出する検出部であって、上記画像の中から検出処理の対象となる処理範囲を選択し、その処理範囲中で予め定められた位置の第1画素が上記規則で上記繰り返し模様上に位置する場合には、その第1画素と、その処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、その第1画素が上記模様領域を構成する画素であるか否かを判定し、その第1画素が上記規則で上記背景上に位置する場合には、その規則で上記繰り返し模様上に位置する第2画素と、その処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、その第1画素が上記模様領域を構成する画素であるか否かを判定する検出部と、
上記検出部により検出された模様領域以外の画像領域に対しては、第1の繰り返し構造による面積階調処理を行い、その模様領域に対してはその第1の繰り返し構造とは異なる第2の繰り返し構造による面積階調処理を行う階調処理部と、
上記階調処理部によって面積階調処理が行われた画像を記録材上に形成する形成部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る画像処理プログラムは、
濃度階調法で階調を表現した画素集合である画像を受け付ける受付手段と、
上記受付手段によって受け付けられた画像から、予め定められた規則による繰り返し模様と、その繰り返し模様の隙間を埋める背景とからなる模様領域を検出する検出部であって、上記画像の中から検出処理の対象となる処理範囲を選択し、その処理範囲中で予め定められた位置の第1画素が上記規則で上記繰り返し模様上に位置する場合には、その第1画素と、その処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、その第1画素が上記模様領域を構成する画素であるか否かを判定し、その第1画素が上記規則で上記背景上に位置する場合には、その規則で上記繰り返し模様上に位置する第2画素と、その処理範囲中の他の各画素との画素値の比較結果から、その第1画素が上記模様領域を構成する画素であるか否かを判定する検出部と、
上記検出部により検出された模様領域以外の画像領域に対しては、第1の繰り返し構造による面積階調処理を行い、その模様領域に対してはその第1の繰り返し構造とは異なる第2の繰り返し構造による面積階調処理を行う階調処理部と、
を備えた画像処理装置として情報処理装置を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る画像処理装置、請求項4に係る画像形成装置、および請求項5に係る画像処理プログラムによれば、写真画像等が背景であっても模様領域を検出することができる。
【0014】
請求項2に係る画像処理装置によれば、本構成の判定方法を用いない場合に較べ、模様領域を簡易に検出することができる。
【0015】
請求項3に係る画像処理装置によれば、最近接でない第2画素を用いる場合に較べ、より正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像形成装置の具体的な一実施形態に相当するプリンタの概略構成図である。
図2】制御部のハードウェア構造を概略的に示したブロック図である。
図3】プリンタの制御部における信号処理系のソフトウェア構造を示すブロック図である。
図4】本実施形態で検出対象とするROPパターンを示す図である。
図5】スクリーンパターンの一例を示す図である。
図6】ROPパターンとスクリーンパターンとの干渉を模式的に示す図である。
図7】ROPパターンとスクリーンパターンとの位相に起因した画像乱れを示す図である。
図8】検出部の機能構造をさらに詳しく説明した図である。
図9】検出部が模様領域を検出する手順を説明したフローチャートである。
図10】2dot×2dotの千鳥格子パターンにおける検知手順を示すフローチャートである。
図11】2dot×2dotの千鳥格子パターンの各位相を示す図である。
図12】第1の実施例を示す図である。
図13】第2の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、以下図面を参照して説明する。
【0018】
<画像形成装置の全体構成>
図1は、画像形成装置の具体的な一実施形態に相当するプリンタの概略構成図である。
【0019】
このプリンタ1は、例えば電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数(本実施の形態では4つ)の画像形成ユニット10(具体的には10Y(イエロー)、10M(マゼンタ)、10C(シアン)、10K(黒))を備える。また、このプリンタ1は、各画像形成ユニット10で形成された各色成分トナー像を順次に転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20を具備する。さらに、このプリンタ1は、中間転写ベルト20に転写されたトナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30を備える。さらにまた、このプリンタ1は、二次転写されたトナー像を用紙P上に定着させる定着装置50、およびプリンタ1の各機構部を制御する制御部70を有している。
【0020】
各画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)は、使用されるトナーの色を除き、同じ構成を有している。そこで、イエローの画像形成ユニット10Yを例に説明を行う。イエローの画像形成ユニット10Yは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11を具備し、感光体ドラム11の周囲には、帯電ロール12、露光器13、現像器14、一次転写ロール15、およびドラムクリーナ16が配備されている。
【0021】
帯電ロール12は、感光体ドラム11を予め定められた電位に帯電し、露光器13は、帯電された感光体ドラム11を露光することで感光体ドラム11の表面に静電潜像を書き込む。現像器14は、画像形成ユニットに対応する色のトナー(イエローの画像形成ユニット10Yではイエローのトナー)を収容し、このトナーによって感光体ドラム11上の静電潜像を現像する。一次転写ロール15は、感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に一次転写する。ドラムクリーナ16は、一次転写後の感光体ドラム11上の残留物(トナー等)を除去する。
【0022】
中間転写ベルト20は、駆動ロール21、張架ロール22,25、補正ロール23、バックアップロール24に張架支持された無端状のベルト部材であり、矢印B方向に循環移動する。また、中間転写ベルト20を挟んで張架ロール25と対向する箇所には、二次転写後の中間転写ベルト20上の残留物(トナー等)を除去するベルトクリーナ26が配備されている。
【0023】
中間転写ベルト20を挟んでバックアップロール24と対向する箇所には二次転写ロール50が配備されていて、これらバックアップロール24と二次転写ロール50が二次転写装置として機能する。
【0024】
また、プリンタ1には、記録材としての用紙を搬送する用紙搬送系80が備えられており、この用紙搬送系80には、用紙トレイT、ピックアップロール81、搬送ロール82、レジストレーションロール84、および排出ロール86が配備されている。
【0025】
本実施形態では用紙トレイTに記録材として用紙Pが積み重ねて収容されるが、記録材としては用紙の他にOHPシートやプラスチック紙や封筒なども収容される場合がある。そのような記録材が収容された場合であっても、プリンタ1の基本動作は同様である。
【0026】
ピックアップロール81は用紙トレイTから用紙Pを取り出すものであり、搬送ロール82は取り出された用紙Pを搬送経路Rに沿って矢印C方向に搬送するものである。レジストレーションロール84は、搬送されてきた用紙Pを一端停止させ、二次転写に適したタイミングで二次転写装置へと送り込むものである。
【0027】
搬送経路R上には、加熱ロール61と加圧ロール62とを有した定着器60が配備されており、通過する用紙P上の画像を用紙Pに定着させる。
【0028】
排出ロール86は定着後の用紙Pを機外の積載トレイ(図示省略)に送り出すものである。
【0029】
<画像形成装置の作像プロセス>
次に、このプリンタ1の基本的な作像プロセスについて説明する。
【0030】
例えばPC(パーソナルコンピュータ)等というような外部装置からプリンタ1にデジタル画像信号が送られてくると、制御部70によってデジタル画像信号が受け取られ、4色(Y色、M色、C色、K色)のデジタル画像信号に対し、制御部70が、後で詳述する画像処理を施す。そして、制御部70から各画像形成ユニット10(具体的には10Y、10M、10C、10K)の露光器13に、対応する色のデジタル画像信号が入力されて感光体11上に静電潜像が形成される。そして現像によって各色のトナー像が感光体11上に形成され、一次転写ロール15によって中間転写ベルト20の表面に順次に一次転写されることでカラーのトナー画像が形成される。
【0031】
中間転写ベルト20上のカラーのトナー画像は、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写位置へと搬送され、レジストレーションロール84から送られてきた用紙Pと重ね合わされる。このように用紙Pと重ね合わされたトナー画像は、二次転写装置における転写電解の作用で用紙Pに転写される。
【0032】
トナー像が転写された用紙Pは定着装置60へと搬送され、定着装置50で、用紙P上のトナー像が加熱・加圧定着され、その後、機外に送り出される。
【0033】
制御部70が、本発明の画像処理装置の一実施形態に相当し、制御部70からデジタル画像信号を得る各画像形成ユニット10から定着装置50および排出ロール86に至る部分が、記録材上に画像を形成する、本発明にいう形成部の一例に相当する。
【0034】
<制御部の構造>
ここで、制御部70のハードウェア構造について説明する。
【0035】
図2は、制御部のハードウェア構造を概略的に示したブロック図である。
【0036】
制御部70は情報処理装置の一種であって、予め定められたプログラムに従ってデジタル演算処理を実行するメインCPU701と、メインCPU701の作業用メモリ等として用いられるRAM702と、メインCPU701での処理に使用される各種設定値等が格納されるROM703と、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM)704と、制御部70に接続される各構成部(例えば画像形成ユニット10)との信号が入出力されるインターフェース(I/F)部705とを備えている。
【0037】
そして、メインCPU701が、本発明の画像処理プログラムの一実施形態を不図示の外部記憶装置から主記憶装置(RAM702)に読み込んで実行することで、制御部70は、本発明の画像処理装置の一実施形態として機能する。
【0038】
なお、この制御プログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM703に格納された状態にて提供され、RAM702にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM703を備えている場合には、メインCPU701がセッティングされた後に、プログラムだけがROM703にインストールされ、RAM702にロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワークを介して制御部70にプログラムが伝送され、制御部70のROM703にインストールされ、RAM702にロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からRAM702にロードされる形態がある。
【0039】
<信号処理系>
次に、制御部70における信号処理系について説明する。
【0040】
図3は、プリンタ1の制御部70における信号処理系のソフトウェア構造を示すブロック図である。
【0041】
なお図3では、制御部70における信号処理系のみならず、プリンタ1の外部装置であるPC90、およびPC90にソフトウェアとして組み込まれた機能であるプリンタドライバ100についても併せて図示している。
【0042】
以下、図3を参照しつつ画像信号の処理の流れについて説明を行なう。
【0043】
プリンタドライバ100は、印刷データを受け取ってページ記述言語(PDL:Page Description Language)に変換するPDL生成部101と、PDL生成部により生成されたPDLからラスタイメージを作成するラスタライズ部102と、RGBデータをYMCKデータに変換する色変換処理部103と、色変換処理部103により変換されたラスタイメージの調整を行なうラスタイメージ調整部104とを備える。
【0044】
本実施の形態では、まずPDL生成部101がPC90(内のワープロソフトや描画ソフトなど)から印刷データを受け取る。この画像データは、PC90を使用するユーザが、プリンタ1により印刷したい画像データである。画像データを受け取ったPDL生成部101は、これをPDLで記述されたコードデータに変換して出力する。
【0045】
ラスタライズ部102は、PDL生成部101から出力されてくるPDLで記述されたコードデータを各画素毎のラスタデータに変換し、ラスタイメージとする。そして、ラスタライズ部102は、変換後のラスタデータをRGB(レッド、グリーン、ブルー)のビデオデータ(RGBビデオデータ)として出力する。このとき、ラスタライズ部102は、1ページ毎にRGBデータを出力することになる。
【0046】
色変換処理部103は、ラスタライズ部102から入力されるRGBデータをデバイス非依存な[XYZ]、[L***]、[L***]等の色値(カラーバリュー)に変換した後、プリンタ1の再現色(イエロー、マゼンタ、シアン、黒)であるYMCKデータに変換して出力する。このYMCKデータは、色毎に分離されたY色データ、M色データ、C色データ、K色データの集合である。
【0047】
ラスタイメージ調整部104は、より良好な画質をプリンタ1で得られるように、色変換処理部103から入力されるYMCKデータに対し、γ変換、精細度処理、中間調処理等の調整を行なう。
【0048】
制御部70は、プリンタドライバ100からラスタデータを受け取る受取部71と、受取部71によって受け取られたラスタデータが表す画像から、ROP(Raster Operation)処理を経た画像領域(模様領域)を検出する検出部72と、スクリーン処理を行なって画像信号を画像形成ユニット10に出力するスクリーン処理部73とを備える。
【0049】
受取部71は、本発明にいう受付部の一例に相当し、検出部72は、本発明にいう受付部の一例に相当し、スクリーン処理部73は、本発明にいう階調処理部の一例に相当する。
【0050】
スクリーン処理部73は、検出部72による検出結果に応じて、模様領域とそれ以外の画像領域とでスクリーンパターンを変更し、後述するモアレなどの画像乱れを抑制する。従って、検出部72における模様領域の検出精度が最終的なモアレなどの抑制に大きく寄与することとなる。以下、検出部72における模様領域の検出について詳細に説明する。
【0051】
<検出部の検出対象>
検出部72において検出する模様領域は、本実施形態ではROP処理を経た画像領域であり、本発明にいう繰り返し模様に相当するものは、いわゆるROPパターンである。このROP処理では、上述したように、元の画像を背景として、その背景上に前景を、繰り返し模様の形状で重ね合わせるので、繰り返し模様の前景の間を背景が埋めた画像構造を生じる。また、この繰り返し模様自体は細かくて観察者には認識できないので、前景越しに背景が透けて見える半透明画像として認識される。
【0052】
ROPパターンには各種のパターンが存在するが、本実施形態ではそのうちの典型的なパターンのいくつかを検出対象とする。
【0053】
図4は、本実施形態で検出対象とするROPパターンを示す図である。
【0054】
本実施形態では、千鳥格子パターンとラインラダーパターンを検出対象とする。
【0055】
図4(a)および図4(b)には千鳥格子パターンが示されており、図4(a)は、2dot×2dotの大きさの正方形状のパターンを千鳥状に繰り返したパターンであり、図4(b)は、4dot×4dotの大きさの正方形状のパターンを千鳥状に繰り返したパターンである。
【0056】
図4(c)および図4(d)にはラインラダーパターンが示されており、図4(c)は、2dotの幅の縦ラインが横方向に繰り返したパターンであり、図4(d)は、2dotの幅の横ラインが縦方向に繰り返したパターンである。
【0057】
これらのROPパターンでROP処理を行うと、図4に示された斜線(ON)部分の画素210については前景が残り、白地(OFF)部分の画素220については背景が埋める。
【0058】
図4に例示したいずれのROPパターンも、スクリーンパターンと以下説明するような干渉を生じる虞があるため検出部72の検出対象となる。
【0059】
図5は、スクリーンパターンの一例を示す図である。
【0060】
ここに示す例では、入力画像230として濃度50%の均一画像が示されている。また、スクリーンパターンの一例として網点パターン240が示されている。この網点パターン240はスクリーン角度が30度の網点パターンであり、網点が30度と120度の方向に2次元的に並んでいる。この入力画像230と網点パターン240が組み合わされることにより、出力結果250は、網点パターン240と同様に30度と120度の方向に2次元的に点が並び、白地(OFF)と着色地(ON)が1:1になった画像構造となる。出力結果250の画像構造に含まれる点の並びは細かいので観察者には認識できず、出力結果250は濃度50%の均一画像として観察者には認識されることとなる。
【0061】
図6は、ROPパターンとスクリーンパターンとの干渉を模式的に示す図である。
【0062】
ここに示す例では、入力画像260として千鳥格子のROPパターンを有する画像が示されており、スクリーンパターンとしては、図5と同様の網点パターン240が示されている。千鳥格子の入力画像260と網点パターン240が組み合わされると、出力結果270には、千鳥格子と網点パターンが干渉した複雑なパターンが生じる。そして、この複雑な干渉パターンは、千鳥格子と網点パターンの周期がずれていると、モアレと称される濃淡縞の画像乱れを生じる。この画像乱れは観察者に認識される大きさを有しており、出力画像の画像劣化となる。
【0063】
このように、ROPパターンは、スクリーンパターンと干渉すると画像乱れの原因となる虞がある。さらに、ROPパターンとスクリーンパターンとの位置関係(以後、この位置関係のことを”位相”と言うことがある。)に起因して画像乱れが生じる場合もある。
【0064】
図7は、ROPパターンとスクリーンパターンとの位相に起因した画像乱れを示す図である。
【0065】
この図7では、ROPパターンとして、2dot×2dotの千鳥格子パターン310,320,330が示されており、スクリーンパターンとして、スクリーン角度が45度の網点パターン340が示されている。スクリーン角度が45度の網点パターン340は濃度50%の場合に千鳥格子パターンと同じ画像構造となり、特にここに示す例では、千鳥格子を成す正方形状のパターンが2dot×2dotの大きさになるスクリーン線数が用いられている。
【0066】
図7(a)に示す千鳥格子パターン310は、パターンの形状も位置も網点パターン340と同じになっている(位相が揃っている)。このため、出力結果350は、千鳥格子パターン310がそのまま出力された状態となっている。
【0067】
これに対し、図7(b)に示す千鳥格子パターン320は、パターンの形状が網点パターン340と同じであるが、位相は図の左方向に1dot分ずれている。このため、出力結果360は、千鳥格子パターン320を成す正方形状のパターンが半分になってしまう。
【0068】
さらに、図7(c)に示す千鳥格子パターン330は、パターン形状が網点パターン340と同じで、位相は図の左方向に2dot分(即ち半周期分)ずれている。このため、出力結果370は全て白地となり、ROPパターンが消滅してしまう。
【0069】
このように、位相の相違で画像乱れを生じる場合もあるため、検出部72では、検出対象のROPパターンの各位相についても検出対象とする。
【0070】
<ROPパターンの検出方法>
次に、検出部72による模様領域の検出方法について説明する。
【0071】
図8は、検出部72の機能構造をさらに詳しく説明した図である。
【0072】
図8に示した検出部72は、受取部71により受け取られた画像の中から注目画素を選択する注目画素選択部721と、注目画素に対し予め定められた範囲の画素を検知ウインドウとして設定する検知ウインドウ設定部722と、ROPパターンを記憶するパターン記憶部723と、ROPパターンを検知ウインドウに当てはめて、注目画素が模様領域を成す画素であるかを判定する判定部724と、注目画素が模様領域を成す画素であった場合に模様領域であることを意味するタグを設定するタグ設定部725とを備える。
【0073】
注目画素選択部721は、受取部71により受け取られたラスタライズ後の画像の中から一画素を注目画素として選択する。
【0074】
検知ウインドウ設定部722は、注目画素を中心として予め定められた範囲の画素を選択し、この範囲を、注目画素が模様領域を構成する画素であるか否かを判定するための検知ウインドウとする。
【0075】
このような機能構成を有する検出部72による模様領域の検出手順について、以下、フローチャートを用いて説明する。
【0076】
図9は、検出部72が模様領域を検出する手順を説明したフローチャートである。
【0077】
図9のフローチャートが表す手順は、図3に示す受取部71が画像を受け取ると開始し、開始時の初期設定(図示は省略)で、注目画素選択部721および検知ウインドウ設定部722により、最初の注目画素(例えば画像の左上隅の画素)と検知ウインドウ(本実施形態では注目画素を中心とした7×7の正方形)を設定する。
【0078】
その後、図4に示す4種類のROPパターンそれぞれについて、注目画素が、ROP処理を経た模様領域を成す画素であるか否かを判定部724が判定する。
【0079】
先ず、ステップS101では、図4(a)に示した2dot×2dotの千鳥格子パターンをパターン記憶部723から読みだし、検知ウインドウに当てはめてパターン検知を行う。パターン検知の詳細については後で説明する。
【0080】
また、ステップS102では、図4(b)に示した4dot×4dotの千鳥格子パターンをパターン記憶部723から読みだし、検知ウインドウに当てはめてパターン検知を行う。
【0081】
また、ステップS103では、図4(c)に示した2dot縦ラインのラダーパターンをパターン記憶部723から読みだし、検知ウインドウに当てはめてパターン検知を行う。
【0082】
また、ステップS104では、図4(d)に示した2dot横ラインのラダーパターンをパターン記憶部723から読みだし、検知ウインドウに当てはめてパターン検知を行う。
【0083】
これらステップS101〜ステップS104のいずれかでROPパターンが検知された場合には、検知ウインドウの中心に在る注目画素が、模様領域を成す画素であると判定されたこととなり、ステップS105に進んで、タグ設定部725により注目画素に対して、模様領域であることを意味するタグを設定する。
【0084】
一方、ステップS101〜ステップS104のいずれでもROPパターンが検知されなかった場合(ステップS104;No)は、注目画素が、模様領域を成す画素ではないと判定されたこととなる。
【0085】
注目画素がどちらと判定された場合でも、次にステップS106に進み、画像中に注目画素として選択していない画素があるか否かを判定する。そして選択する画素がある場合(ステップS106;Yes)は、ステップS107に進み、注目画素を次の画素に移動する。そして、上記ステップS101に戻り、次の注目画素についてさらに判定を行なう。一方、選択する画素がない場合(ステップS106;No)は、検出部72における処理は終了する。
【0086】
ここで、上記ステップS101〜ステップS104で行うパターン検知の詳細について、ステップS101のパターン検知を代表として説明する。
【0087】
図10は、2dot×2dotの千鳥格子パターンにおける検知手順を示すフローチャートであり、図11は、2dot×2dotの千鳥格子パターンの各位相を示す図である。
【0088】
図10に示すフローチャートの手順は、図9のステップS101で実行される手順であり、先ず、ステップS201では、第1の位相についてパターン検知が行われる。第1の位相は、図11(a)に示された位相であり、7×7の検知ウインドウの右下に2dot×2dotの前景画素410が来る。そして、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、前景画素410上に位置することとなる。
【0089】
このように注目画素430が前景画素410上に位置する場合には、注目画素430の画素値と各前景画素410および各背景画素420の画素値が比較され、第1の判定ルールで判定が行われる。即ち、注目画素430との画素値の差が予め決められた閾値を超えている前景画素410の数が、予め決められた基準数を下回っていて、かつ、注目画素430との画素値の差が予め決められた閾値内である背景画素420の数が、予め決められた基準数を下回っている場合に、注目画素430が模様領域の画素である(すなわちパターンを検知した)と判定する。
【0090】
ステップS202では、第2の位相についてパターン検知が行われる。第2の位相は、図11(b)に示された位相であり、7×7の検知ウインドウの左下に2dot×2dotの前景画素410が来る。この第2の位相でも、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、前景画素410上に位置するので、第1の判定ルールで判定が行われる。
【0091】
ステップS203では、第3の位相についてパターン検知が行われる。第3の位相は、図11(c)に示された位相であり、7×7の検知ウインドウの右上に2dot×2dotの前景画素410が来る。この第3の位相でも、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、前景画素410上に位置するので、第1の判定ルールで判定が行われる。
【0092】
ステップS204では、第4の位相についてパターン検知が行われる。第4の位相は、図11(d)に示された位相であり、7×7の検知ウインドウの左上に2dot×2dotの前景画素410が来る。この第4の位相でも、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、前景画素410上に位置するので、第1の判定ルールで判定が行われる。
【0093】
次に、ステップS205では、第5の位相についてパターン検知が行われる。第5の位相は、図11(e)に示された位相であり、図11(a)に示された第1の位相に対して前景画素410と背景画素420の位置が入れ替わった関係となっている。従って、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、背景画素420上に位置することとなる。
【0094】
このように注目画素430が背景画素420上に位置する場合には、前景画素410うち注目画素430の替わりとなる代替画素440が選択される。本実施形態ではこの代替画素440として、注目画素430に最近接の前景画素410が選択されており、図11(e)に示された第5の位相の場合は、注目画素430の左隣の画素が代替画素440である。そして、この代替画素440の画素値と各前景画素410および各背景画素420の画素値が比較され、第2の判定ルールで判定が行われる。即ち、代替画素440との画素値の差が予め決められた閾値を超えている前景画素410の数が、予め決められた基準数を下回っていて、かつ、代替画素440との画素値の差が予め決められた閾値内である背景画素420の数が、予め決められた基準数を下回っている場合に、注目画素430が模様領域の画素である(すなわちパターンを検知した)と判定する。
【0095】
模様領域の画素であるか否かを判定する対象は注目画素430であるが、画素値の比較に用いられるのは代替画素440となる。注目画素430が背景画素420上に位置する場合は、注目画素430で各画素と画素値比較をすると、背景画素420同士で画素値を比較することになるが、例えば写真画像などが背景に用いられている場合は、比較結果からROPパターンの有無を判定することが困難である。そこで、背景画素420上に位置する注目画素430は画素値の比較に用いずに、前景画素410である代替画素440を画素値の比較に用いることとしている。これにより、背景が写真画像などであっても正確な判定が実現する。なお、このように代替画素440で比較した場合であっても、比較されている他の画素の範囲は、注目画素430を中心とした7×7の範囲であるため、判定対象の画素は注目画素430となる。
【0096】
ステップS206では、第6の位相についてパターン検知が行われる。第6の位相は、図11(f)に示された位相であり、図11(b)に示された第2の位相に対して前景画素410と背景画素420の位置が入れ替わった関係となっている。従って、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、背景画素420上に位置することとなり、代替画素440が選択される。第6の位相の場合は、注目画素430の右隣の画素が代替画素440である。そして、第2の判定ルールで判定が行われる。
【0097】
ステップS207では、第7の位相についてパターン検知が行われる。第7の位相は、図11(g)に示された位相であり、図11(c)に示された第3の位相に対して前景画素410と背景画素420の位置が入れ替わった関係となっている。従って、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、背景画素420上に位置することとなり、代替画素440が選択される。第7の位相の場合は、注目画素430の左隣の画素が代替画素440である。そして、第2の判定ルールで判定が行われる。
【0098】
ステップS208では、第8の位相についてパターン検知が行われる。第8の位相は、図11(h)に示された位相であり、図11(d)に示された第4の位相に対して前景画素410と背景画素420の位置が入れ替わった関係となっている。従って、検知ウインドウの中心に位置する注目画素430は、背景画素420上に位置することとなり、代替画素440が選択される。第8の位相の場合は、注目画素430の右隣の画素が代替画素440である。そして、第2の判定ルールで判定が行われる。
【0099】
このように、各位相について判定が行われ、ステップS201〜ステップS208のいずれかでパターンが検知された場合には、検知Yesとして図9に示すフローチャートに戻る。一方、ステップS201〜ステップS208のいずれでもパターンが検知されなかった場合には、検知Noとして図9に示すフローチャートに戻る。
【0100】
このように模様領域の検出が行われてタグが設定された後、図3に示すスクリーン処理部73では、タグが設定されている画素(即ち模様領域の画素)とタグが設定されていない画素(即ち模様領域以外の画像領域の画素)とでスクリーンを切り換えてスクリーン処理を行うことでモアレなどを抑制する。具体的には、模様領域以外の画像領域では通常のスクリーンによるスクリーン処理を行ない、模様領域では、例えば、通常のスクリーンよりも高線数のスクリーンやFM(Frequency Modulation)スクリーンによるスクリーン処理を行なう。これによりROPパターンとスクリーンパターンの干渉が抑制され、画像情報の消失やモアレが生じる現象が抑制される。
【0101】
<実施例>
ここで、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
【0102】
図12は、第1の実施例を示す図である。
【0103】
この図12に示す実施例では、背景として図12(a)に示す写真画像を用い、前景として図12(b)に示す濃度100%の千鳥格子パターンを用いた。これらの前景と背景とを組み合わせた半透明画像が図12(c)に示されている。
【0104】
この半透明画像に対し、上述した特許文献1の技術でパターン検出を行った比較例が図12(d)に示されており、黒点の箇所がパターンを検出した箇所である。特許文献1の技術では上方の一部を除いてパターン検出に失敗している。
【0105】
これに対し、上述した実施形態で図12(c)の半透明画像に対するパターン検出を行った実施例が図12(e)に示されている。この実施例でも、黒点の箇所がパターンを検出した箇所であり、画面全体に亘ってほぼ完全にパターンが検出されていることがわかる。なお、ここでは図示を省略するが、図12(a)に示す写真画像に対して上述した実施形態でパターン検出を行うと、画面全体に亘ってほぼ完全にパターン非検知となることも確認した。
【0106】
図13は、第2の実施例を示す図である。
【0107】
この図13に示す実施例では、背景として図13(a)に示すランダムパターンの画像を用い、前景として図13(b)に示す濃度50%の千鳥格子パターンを用いた。これらの前景と背景とを組み合わせた半透明画像が図13(c)に示されているが、図13(a)に示す背景のみの画像と見た目で区別することが難しい画像となっている。
【0108】
この半透明画像に対し、上述した特許文献1の技術でパターン検出を行った比較例が図13(d)に示されており、黒点の箇所がパターンを検出した箇所であるが、特許文献1の技術では画像全体でパターン検出に失敗している。
【0109】
これに対し、上述した実施形態で図13(c)の半透明画像に対するパターン検出を行った実施例が図13(e)に示されている。この実施例でも、黒点の箇所がパターンを検出した箇所であり、見た目での判別が難しい画像であるにも関わらず、画面全体に亘りパターン検出に成功している。
【0110】
このように本発明によって精度よく模様領域が検出されることが確認された。
【0111】
なお、上記説明では、画像形成装置の実施形態として電子写真方式のカラープリンタが例示されているが、本発明の画像形成装置は、ファクシミリやコピー機や複合機に応用されてもよく、モノクロ装置に応用されてもよく、インクジェット方式や熱転写方式の装置に応用されてもよい。
【0112】
また、上記説明では、本発明にいう検出部における検出条件(判定条件)として、第1の判定ルールと第2の判定ルールが例示されているが、本発明にいう検出部は、注目画素が繰り返し模様上の画素である場合は他の各画素と画素値を比較し、注目画素が背景上の画素である場合には代替画素と他の各画素とで画素値を比較する方式であれば、上述した第1の判定ルールと第2の判定ルールに限定されないことは当然である。例えば、前景画素同士の比較では画素値の差が小さいものが多いことを検出条件としてもよいし、前景画素と背景画素との比較では画素値の差が大きいものが多いことを検出条件としてもよい。
【0113】
また、上記説明では、本発明にいう第1画素の一例として、検知ウインドウの中央にある注目画素が示されているが、本発明にいう第1画素は、処理範囲の中央からずれた位置の画素であってもよい。
【0114】
また、上記説明では、本発明にいう第2画素の一例として、前景画素のうち注目画素に最近接の代替画素が示されているが、本発明にいう第2画素は、検出処理の対象となる処理範囲内に存在する繰り返し模様上の画素であればどの画素であってもよい。但し、第1画素に近い位置の画素の方が遠い位置の画素よりも望ましい。
【0115】
また、上記説明では、本発明にいう処理範囲の一例として正方形の検知ウインドウが示されているが、本発明にいう処理範囲は、長方形などの範囲であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…画像形成装置、10…画像形成ユニット、70…制御部、71…受付部、72…検出部、73…スクリーン処理部、721…注目画素選択部、722…検知ウインドウ設定部、723…パターン記憶部、724…判定部、725…タグ設定部、410…前景画素、420…背景画素、430…注目画素、440…代替画素、100…プリンタドライバ、P…用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13