(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のケースは、電子機器の外縁部から突出したボタンの周囲を覆う被覆部を有する、電子機器のケースである。しかし、このようなケースでは、ケースを装着した状態で被覆部を介してボタンを押下げた際に、被覆部が所定の厚さを超える場合には、ユーザの指がボタンと接触したことを感じる接触感度が鈍るという課題があった。このため、ケースを装着した状態でボタンを押下げた際に、ユーザの指とボタンとの接触感度が鈍ることを防止することが可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1]
筐体から突出したボタンを備えた電子機器に装着されるケースであって、
前記ケースが前記電子機器に装着された状態において、前記ボタンと向かい合う位置に配され、外力によって変形して前記外力を前記ボタンに伝達するように設けられる操作部と、
前記操作部の少なくとも両側に配され、前記操作部より厚く設けられており、前記外力によって変形して前記操作部を変位させる変形部と、
前記変形部の少なくとも両側に配され、前記変形部より厚く設けられており、前記変形部を支持する支持部と、を備え、
さらに、前記操作部の外面において、前記操作部の内面側に向かって窪んだ窪み部を有する、ケース。
この形態によれば、操作部が外力を受けた際、操作部の両側に配された変形部のたわみ変形と、変形部よりも薄く設けられている操作部が伸びることによって、操作部がボタンの押下方向に変位して、ボタンは押下される。操作部は変形部と比べて薄く設けられているため、操作部への外力に起因する反力は小さい。また、操作部はボタンと向かい合う位置に配されるため、操作部の伸びは主としてボタンの押下方向に垂直方向となることから、操作部の伸びに起因する縮み反力のうち、ボタンを押下する外力に起因する反力が小さい。よって、電子機器にケースが装着された状態において、電子機器のボタンが押しやすく、ユーザの指がボタンと接触したことを感じる接触感度が鈍ることを防止できる。また、ケースの外側から見て、ユーザがケースのどの位置を押し下げればボタンが押せるのか判別しやすくなる。また、ケースにおいて窪み部が備えられた面上から、ユーザの指における触覚に基づき、ユーザがケースのどの位置を押し下げればボタンが押せるのか判別しやすくなる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、ケースが提供される。このケースは、筐体から突出したボタンを備えた電子機器に装着されるケースであって、前記ケースが前記電子機器に装着された状態において、前記ボタンと向かい合う位置に配され、外力によって変形して前記外力を前記ボタンに伝達するように設けられる操作部と、前記操作部の少なくとも両側に配され、前記操作部より厚く設けられており、前記外力によって変形して前記操作部を変位させる変形部と、前記変形部の少なくとも両側に配され、前記変形部より厚く設けられており、前記変形部を支持する支持部と、を備える。この形態によれば、操作部が外力を受けた際、操作部の両側に配された変形部のたわみ変形と、変形部よりも薄く設けられている操作部が伸びることによって、操作部がボタンの押下方向に変位して、ボタンは押下される。操作部は変形部と比べて薄く設けられているため、操作部への外力に起因する反力は小さい。また、操作部はボタンと向かい合う位置に配されるため、操作部の伸びは主としてボタンの押下方向に垂直方向となることから、操作部の伸びに起因する縮み反力のうち、ボタンを押下する外力に起因する反力が小さい。よって、電子機器にケースが装着された状態において、電子機器のボタンが押しやすく、ユーザの指がボタンと接触したことを感じる接触感度が鈍ることを防止できる。
【0007】
(2)上記形態におけるケースにおいて、前記操作部の外面において、前記操作部の内面側に向かって窪んだ窪み部を有してもよい。この形態によれば、ケースの外側から見て、ユーザがケースのどの位置を押し下げればボタンが押せるのか判別しやすくなる。また、ケースにおいて窪み部が備えられた面上から、ユーザの指における触覚に基づき、ユーザがケースのどの位置を押し下げればボタンが押せるのか判別しやすくなる。
【0008】
(3)上記形態におけるケースにおいて、前記窪み部において前記ケースの外形から突出しない範囲内で突出した外面ボタンを有してもよい。この形態によれば、ケースの外側から見て、ユーザがケース内部のボタンを押し下げる際、外面ボタンを押し下げの目印とすることができる。また、外面ボタンがケースの外形から突出している形態に比べて、ケースを装着した電子機器を他の部材に衝突させた際に、他の部材によってボタンが押下される可能性を低くすることができる。また、外面ボタンがケースの外形から突出している形態に比べて、ケースを装着した電子機器をユーザが持った際に、電子機器を持つユーザの手による意図しないボタンの押し下げが起こる可能性を低くすることができる。
【0009】
(4)上記形態におけるケースにおいて、前記操作部は、内面側において前記ボタンと接触しない形状で設けられていてもよい。この形態によれば、ケースとボタンとが接触した状態で保持されることを防止できる。その結果、操作部周辺に対するケースの外面側からの衝撃によって、ユーザが意図しないボタンの押し下げが起こる可能性を低くすることができる。
【0010】
(5)上記形態におけるケースにおいて、前記操作部と前記変形部と前記支持部とは、前記支持部から前記操作部に向かうにつれて、前記ボタンが押下される押下方向とは反対側の方向に突出しているアーチ形状で設けられていてもよい。この形態によれば、ユーザが操作部を介してケース内部のボタンを押し下げる際、ユーザの指が操作部の変形を感じる感度を高めることができる。
【0011】
本発明の形態は、ケースに限るものではなく、例えば、ケースを備えた電子機器などの種々の形態に適用することも可能である。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるケース100が電子機器10に装着されている状態を示す説明図である。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は、電子機器10の短手方向において右側面から左側面に向かう方向がプラスとなり、Y軸は、電子機器10の長手方向において下側面から上側面に向かう方向がプラスとなり、Z軸は、電子機器10の厚み方向において背面から正面に向かう方向がプラスとなる。
図1のXYZ軸は、他の図のXYZ軸に対応する。
図2は、
図1におけるケース100が電子機器10に装着されている状態をX軸方向の−側から見た平面図である。
【0014】
電子機器10は、筐体から突出した複数のボタンB1、B2,B3,B4を備える。本実施形態では、電子機器10は、X軸方向の−側を向いた面に複数のボタンB1、B2,B3,B4を備えた略板状の機器である。尚、
図1において、電子機器10はケース100を装着されている状態であるため、ボタンB1、B2,B3,B4は、それぞれの操作部110,120,130,140に覆われている。
【0015】
電子機器10に備えられた複数のボタンB1、B2,B3,B4は、X軸方向の+側に押下されることによって、電子機器10の各種機能が操作される。本実施形態では、電子機器10は、通話機能および撮影機能を有するとともにタッチパネルを有するいわゆるスマートフォンである。他の実施形態では、電子機器10は、スマートフォンではない側面に複数のボタンを備えた携帯端末であってもよい。
【0016】
ケース100は、電子機器10に装着することができる容器部材である。本実施形態では、ケース100は、主として熱可塑性エラストマーから構成される。他の実施形態では、ケース100は、主としてシリコンラバーから構成されていてもよい。
【0017】
ケース100は、操作部110と、操作部120と、操作部130と、操作部140とを備える。操作部110は、ケース100のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部110は、ケース100が電子機器10に装着された状態において、ボタンB1と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB1に伝達するように設けられる。
【0018】
操作部110は、ケース100の内面側においてボタンB1と接触しない形状で設けられている。ここでいう内面とは、ケース100が電子機器10に装着されている状態において、電子機器10と向かい合うケース100の内側の面のことである。また、ケース100が電子機器10に装着されている状態において、電子機器10と向かい合っていないケース100の外側の面のことを、外面とする。
【0019】
操作部110は、ケース100の内面側においてボタンB1と接触しない形状で設けられている。このため、ケース100とボタンB1とが接触した状態で保持されることを防止できる。その結果、操作部110周辺に対するケース100の外面側からの衝撃によって、ユーザが意図しないボタンB1の押し下げが起こる可能性を低くすることができる。
【0020】
操作部120も、操作部110と同様に設けられる。すなわち、操作部120は、ケース100のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部120は、ケース100が電子機器10に装着された状態において、ボタンB2と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB2に伝達するように設けられる。
【0021】
操作部130も、操作部110と同様に設けられる。すなわち、操作部130は、ケース100のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部130は、ケース100が電子機器10に装着された状態において、ボタンB3と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB3に伝達するように設けられる。
【0022】
操作部140も、操作部110と同様に設けられる。すなわち、操作部140は、ケース100のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部140は、ケース100が電子機器10に装着された状態において、ボタンB4と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB4に伝達するように設けられる。
【0023】
図3は、
図1のケース100が電子機器10に装着されている状態を矢視F3−F3から見た断面図を示す。
図3における2点鎖線は、矢視F3−F3から見えるY軸方向の−側におけるケース100の外面を示す。
【0024】
変形部210は、操作部110よりX軸方向に厚く設けられており、X軸方向の+側を向いた外力によって変形して操作部110をX軸方向の+側へ変位させる。本実施形態では、変形部210は、操作部110の周囲を囲むように配されている。他の実施形態では、変形部210は、操作部110のY軸方向の両側にのみ配されていてもよいし、操作部110のZ軸方向の両側にのみ配されていてもよい。
【0025】
支持部310は、変形部210よりX軸方向に厚く設けられており、変形部210を支持する。本実施形態では、支持部310は、変形部210の周囲を囲むように配されている。他の実施形態では、支持部310は、操作部110のY軸方向の両側にのみ配された変形部210に対してY軸方向の両側にのみ配されていてもよいし、操作部110のZ軸方向の両側にのみ配された変形部210に対してZ軸方向の両側にのみ配されていてもよい。
【0026】
操作部110と変形部210と支持部310とは、支持部310から操作部110に向かうにつれて、X軸方向の−側に突出しているアーチ形状で設けられている。ここでいうアーチ形状とは、弓形状のことである。本実施形態では、変形部210が操作部110の周囲を囲むように配されているとともに支持部310が変形部210の周囲を囲むように配されているため、操作部110と変形部210と支持部310とは、略半球形状であるドーム形状で設けられているともいえる。
【0027】
このため、ユーザがケース100内部のボタンB1を押し下げるために操作部110を押し下げる過程において、操作部110が所定の変位に達したとき、操作部110と変形部210と支持部310とが、X軸方向の−側に突出したアーチ形状から、X軸方向の+側に突出したアーチ形状に変形する。その結果、ユーザの指が操作部110の変形を感じる感度を高めることができる。
【0028】
操作部110は、窪み部112と、外面ボタン114とを備える。窪み部112は、操作部110の外面において、操作部110の内面側に向かって窪んでいる。
【0029】
このため、ケース100の外側から見て、ユーザがケース100のどの位置を押し下げればボタンB1が押せるのか判別しやすくなる。また、ケース100において窪み部112が備えられた面上から、ユーザの指における触覚に基づき、ユーザがケース100のどの位置を押し下げればボタンB1が押せるのか判別しやすくなる。
【0030】
外面ボタン114は、窪み部112において、ケース100の外形から突出しない範囲内でX軸方向の−側に突出したボタンである。ここでいう外形とは、ケース100をY軸方向に投影したときにおけるケース100の外縁である。すなわち、ケース100の外形から突出しない範囲内とは、ケース100をY軸方向に投影したときにおけるケース100の外縁から突出しない範囲内のことである。
【0031】
このため、ケース100の外側から見て、ユーザがボタンB1を押し下げる際、外面ボタンを押し下げの目印とすることができる。また、外面ボタンがケースの外形から突出している形態に比べて、ケース100を装着した電子機器10を他の部材に衝突させた際に、他の部材によってボタンB1が押下される可能性を低くすることができる。また、外面ボタンがケースの外形から突出している形態に比べて、ケース100を装着した電子機器10をユーザが持った際に、電子機器10を持つユーザの手による意図しないボタンB1の押し下げが起こる可能性を低くすることができる。
【0032】
図4は、
図1のケース100が電子機器10に装着されている状態を矢視F4−F4から見た断面図を示す。
図4における2点鎖線は、矢視F4−F4から見えるZ軸方向の+側におけるケース100の外面を示す。
【0033】
図4において、矢視F4−F4から見ても、外面ボタン114は、操作部110における窪み部112において、ケース100の外形から突出しない範囲内で突出している。尚、
図4における外面ボタン124は、操作部120における窪み部122において、ケース100の外形から突出しない範囲内でX軸方向の−側に突出したボタンである。
【0034】
操作部120における窪み部122および外面ボタン124は、操作部110における窪み部112および外面ボタン114と同様に設けられる。窪み部112と窪み部122とは、連続した窪み部である
【0035】
ここまで操作部110について説明してきたが、操作部120、操作部130、操作部140は、操作部110と同様に、それぞれの操作部に対応した窪み部、外面ボタン、変形部および支持部を備える。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、ボタンと向かい合う位置に配された操作部が厚く設けられ、操作部の周囲を囲みボタンと向き合わない変形部が薄く設けられ、変形部の周囲を囲む支持部が厚く設けられる態様と比べて、電子機器10にケース100が装着された状態において、電子機器10のボタンB1が押しやすく、ユーザの指がボタンB1と接触したことを感じる接触感度が鈍ることを防止できる。
【0037】
ボタンと向かい合う位置に配された操作部が厚く設けられ、操作部の周囲を囲む変形部が薄く設けられ、変形部の周囲を囲む支持部が厚く設けられる態様においては、操作部が外力を受けた際、主として変形部がボタンの押下方向に伸びることによって、操作部がボタンの押下方向に変位して、ボタンは押下される。そのような態様においては、厚く設けられている操作部への外力に起因する反力およびボタンの押下方向についての変形部の伸びに起因する反力によって、ボタンが押しにくく、また、ユーザの指がボタンと接触したことを感じる接触感度が鈍る。
【0038】
しかし、上記した本発明の一形態においては、操作部110が外力を受けた際、操作部110の周囲に配された変形部210のたわみ変形と、変形部210よりも薄く設けられている操作部110が伸びることによって、操作部110がボタンB1の押下方向に変位して、ボタンB1は押下される。操作部110は変形部210と比べて薄く設けられているため、操作部110への外力に起因する反力は小さい。また、操作部110はボタンB1と向かい合う位置に配されるため、操作部110の伸びは主としてボタンB1の押下方向に垂直方向となることから、操作部110の伸びに起因する縮み反力のうち、ボタンB1を押下する外力に起因する反力が小さい。よって、電子機器10にケース100が装着された状態において、電子機器10のボタンB1が押しやすく、ユーザの指がボタンB1と接触したことを感じる接触感度が鈍ることを防止できる。
【0039】
B.参考例:
図5は、参考例におけるケース400が電子機器10に装着されている状態を示す説明図である。
図6は、
図5におけるケース400が電子機器10に装着されている状態をX軸方向の−側から見た平面図である。
【0040】
ケース400は、電子機器10に装着することができる容器部材である。ケース400は、操作部410と、操作部420と、操作部430とを備える。
【0041】
操作部410は、ケース400のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部410は、ケース400が電子機器10に装着された状態において、ボタンB1およびボタンB2と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB1およびB2に伝達するように設けられる。
【0042】
操作部410は、Y軸方向の+側における端側をX軸方向の+側に押下されることによって、その外力をボタンB1に伝達する。操作部410は、Y軸方向の−側における端側をX軸方向の+側に押下されることによって、その外力をボタンB2に伝達する。また、操作部410は、ケース400の内面側においてボタンB1およびB2と接触する形状で設けられている。
【0043】
操作部420も、操作部410と同様に設けられる。すなわち、操作部420は、ケース400のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部420は、ケース400が電子機器10に装着された状態において、ボタンB3と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB3に伝達するように設けられる。
【0044】
操作部430も、操作部410と同様に設けられる。すなわち、操作部430は、ケース400のX軸方向の−側を向いた面に配される。操作部430は、ケース400が電子機器10に装着された状態において、ボタンB4と向かい合う位置に配され、X軸方向の+側を向いた外力によって変形してその外力をボタンB4に伝達するように設けられる。
【0045】
図7は、
図5のケース400が電子機器10に装着されている状態を矢視F7−F7から見た断面図を示す。操作部410の周囲には、変形部510が操作部410を囲むように配されている。変形部510の周囲には、支持部610が変形部510を囲むように配されている。
【0046】
変形部510は、操作部410よりX軸方向に薄く設けられており、X軸方向の+側を向いた外力によって変形して操作部410をX軸方向の+側へ変位させる。支持部610は、操作部410および変形部510よりX軸方向に厚く設けられており、変形部510を支持する。
【0047】
操作部410は、外面ボタン414を備える。外面ボタン414は、ケース400の外面のうち、X軸方向の−側に突出しているボタンである。
【0048】
図8は、
図5のケース400が電子機器10に装着されている状態を矢視F8−F8から見た断面図を示す。外面ボタン414は、Z軸方向から見ても、ケース400の外面のうち、X軸方向の−側に突出している。
【0049】
以上説明した参考例では、操作部410が外力を受けた際、主として変形部510がボタンB1(B2)の押下方向に伸びることによって、操作部410がボタンB1(B2)の押下方向に変位して、ボタンB1(B2)は押下される。このような態様においては、厚く設けられている操作部410への外力に起因する反力およびボタンB1(B2)の押下方向についての変形部510の伸びに起因する反力によって、第1実施形態と比べて、ボタンB1(B2)が押しにくく、また、ユーザの指がボタンB1(B2)と接触したことを感じる接触感度が鈍る。
【0050】
また、ケース400とボタンB1(B2)とが接触した状態で保持されることから、第1実施形態と比べて、操作部410周辺に対するケース400の外面側からの衝撃によって、ユーザが意図しないボタンB1(B2)の押し下げが起こる可能性が高い。
【0051】
これに対して、第1実施形態は、電子機器のボタンが押しやすく、ユーザの指がボタンと接触したことを感じる接触感度が鈍ることを防止できる。また、操作部110周辺に対するケース100の外面側からの衝撃によって、ユーザが意図しないボタンB1の押し下げが起こる可能性を低くすることができる。
【0052】
C.第2実施形態:
図9は、第2実施形態におけるケース100aが電子機器10aに装着されている状態を示した説明図である。ケース100aは、窪み部112とは異なる窪み部112aを備える点を除き、第1実施形態におけるケース100と同様である。電子機器10aは、指紋情報を用いた生体認証を行うボタンB2を備える点を除き、第1実施形態における電子機器10と同様である。
【0053】
窪み部112aは、ケース100aにおける操作部110の外面において、操作部110の内面側に向かって窪んでいる。また、窪み部112aは、透明の板状部材で構成される。このため、ボタンB2と向かい合う位置に配された操作部110における窪み部112aは透明であることから、窪み部112aはボタンB2による指紋情報を用いた生体認証を妨げない。指紋情報を用いた生体認証を行うボタンを備えた電子機器に対して、第2実施形態のケース100aは、特に有用である。
【0054】
窪み部112aにおけるユーザの指との接触面(X軸方向の−側の面)は、平らに設けられている。ボタンB2に対して、窪み部112aが、透明ではあるが板状部材ではなくX軸方向の−側に湾曲した湾曲部材であった場合、以下のような不具合が生じる可能性が高い。
【0055】
例えば、指紋情報を用いた生体認証が光学式であった場合、窪み部112aが湾曲していると、その湾曲した面にユーザの指が接触することによって、ユーザの指紋に歪みが生じる。ユーザの指紋における歪みは、ユーザの指における反射光および通過光の本来のパターンを変化させる。その結果、窪み部112aは、ボタンB2による指紋情報を用いた生体認証を妨げることとなる。
【0056】
例えば、指紋情報を用いた生体認証が静電容量式であった場合、窪み部112aが湾曲していると、ボタンB2内に備えられたセンサとユーザの指において窪み部112aと接触する表面との距離が、その湾曲面のどこにユーザの指を置いたかによって変化する。その結果、窪み部112aは、ボタンB2による指紋情報を用いた生体認証を妨げることとなる。
【0057】
例えば、指紋情報を用いた生体認証が超音波式であった場合、窪み部112aが湾曲していると、ボタンB2内に備えられたセンサとユーザの指において窪み部112aと接触する表面との距離が、その湾曲面のどこにユーザの指を置いたかによって変化する。また、ユーザの指から反射した超音波は、窪み部112aを通過する際に、窪み部112aの湾曲により乱反射させられる。その結果、窪み部112aは、ボタンB2による指紋情報を用いた生体認証を妨げることとなる。
【0058】
よって、第2実施形態において、窪み部112aにおけるユーザの指との接触面は平らに設けられていることから、窪み部112aはボタンB2による指紋情報を用いた生体認証を妨げない。
【0059】
D.変形例:
第1実施形態では、ケース100は、操作部110の外面において、操作部110の内面側に向かって窪んでいる窪み部112を備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、ケース100は、窪み部112を有していなくてもよい。
【0060】
第1実施形態では、ケース100は、窪み部112において、ケース100の外形から突出しない範囲内でX軸方向の−側に突出した外面ボタン114を備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、ケース100は、外面ボタン114を有していなくてもよい。
【0061】
第1実施形態では、操作部110は、ケース100の内面側においてボタンB1と接触しない形状で設けられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、操作部110は、ケース100の内面側においてボタンB1と接触している形状で設けられていてもよい。
【0062】
第1実施形態では、操作部110と変形部210と支持部310とは、支持部310から操作部110に向かうにつれて、X軸方向の−側に突出している形状で設けられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、操作部110と変形部210と支持部310とは、支持部310から操作部110に向かうにつれて、X軸方向の−側に突出している形状で設けられていなくてもよい。
【0063】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。