(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
(両面粘着シート)
本発明の両面粘着シートは、下記式(1)の条件を満たし、かつヘイズ値が5%以上である。
4.0<(Δb
*×100)/(Hz×φ) <300 式(1)
式(1)において、Δb
*=b
T*−b
R*であり、b
T*は透過光で測定した両面粘着シートのb
*値を表し、b
R*は反射光で測定した両面粘着シートのb
*値を表し、Hzは両面粘着シートのヘイズ値を表し、φは微粒子の平均粒子径又は非相溶樹脂に由来する島部の直径を表す
【0014】
本発明の両面粘着シートは、
図1(a)に示されているように、中間支持層等を有さない両面粘着シート13のみの構成であってもよい。また、本発明の両面粘着シートは、
図1(b)に示されているように、中間支持層14を有し、この中間支持層14の両面に粘着剤層20を有する構成であってもよい。両面粘着シート13が中間支持層14等を有さない両面粘着シートのみの構成である場合は、両面粘着シート13は粘着剤層20からなる。なお、粘着剤層20は単層であっても複層であってもよい。
【0015】
本発明においてヘイズ値とは、JIS K 7136に準拠した方法で測定される値のことをいう。本発明の両面粘着シートが両面粘着シートのみの構成である場合、両面粘着シートのヘイズ値を測定することは困難なため、両面粘着シートを松浪ガラス社製のスライドガラス(品番:S9112)に貼合し、さらに反対の粘着面に透明PETフィルム(CPET75H 新タック化成社製)に貼合し、ガラス、両面粘着シート、PETフィルムの順に積層された積層体を作製する。この積層体を0.5MPa、40℃の条件で30分間オートクレーブ(加圧脱泡)処理を施し、日本電色工業(株)製のNDH4000を用いてヘイズ値を測定する。このヘイズ値を本発明の両面粘着シートのヘイズ値とすることができる。
なお、本発明の両面粘着シートが中間支持層を有している両面粘着シートの場合は、スライドガラスおよび透明PETフィルムと両面粘着シートとを貼合し、加圧脱泡処理をした積層体のヘイズ値を、本発明の両面粘着シートのヘイズ値とすることができる。ただし、剥離シートを剥離した際に粘着剤層の平滑性が落ちて、見かけ上、ヘイズが上昇する場合があるため、上記の両面粘着シートのみの構成の場合と同様に、ガラスと透明PETフィルムを用いた積層体でヘイズを測定したほうが好ましく、本発明では、このような測定方法で測定した値をヘイズ値とする。
【0016】
本発明においてb
T*は透過光で測定した両面粘着シートのb
*値を表し、b
R*は反射光で測定した両面粘着シートのb
*値を表す。b
T*は、上述したヘイズ測定のサンプルと同様にガラス、両面粘着シート、PETフィルムの順に積層された積層体の透過光で測定したb
*値である。具体的には、日本電色工業社製の分光色差計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて、積層体のPET側が光源側になるようにセットして透過測定モードにて、測定した値である。b
R*は積層体のPET側が光源側になるようにセットし、逆面のガラス面には装置に標準装備された黒色当て板をセットし反射測定モードにて、測定した値である。φは、後述する方法にて測定した、微粒子の平均粒子径又は非相溶樹脂に由来する島部(以下、海島構造の点在部ということもある)の直径である。
【0017】
本発明では、透過光で測定した両面粘着シートのb
*値(b
T*)と、反射光で測定した両面粘着シートのb
*値(b
R*)と、両面粘着シートのヘイズ値と、微粒子の平均粒子径又は非相溶樹脂に由来する島部の直径との関係を上記のような所定条件とする。両面粘着シートのヘイズ値を大きくすると、両面粘着シート内に入射した光が適度に拡散され、導電部のパターンが外側から視認されにくくなる。また、透過光で測定した両面粘着シートのb
*値(b
T*)と、反射光で測定した両面粘着シートのb
*値(b
R*)の差は大きい方がスパークリング発生抑止効果が得られる。一方で、ヘイズ値が大きいとスパークリング発生抑止効果が低減する。本発明者らは以上のことを突き止め、式(1)のような関係式を満たした場合に、導電部のパターンを不可視化し、かつスパークリングの発生を抑制できることを見出した。すなわち、本発明の両面粘着シートを用いた場合、導電部のパターンの不可視化と、スパークリング発生の抑制を両立することができる。このため、本発明の両面粘着シートを用いて導電部材と表示装置とを貼合した場合、表示装置の表示画面を導電部材の透明支持体側で鮮明に視認することができる。
【0018】
上記式(1)において、(Δb
*×100)/(Hz×φ)の値は4より大きければよく、5より大きいことが好ましく、10より大きいことがより好ましい。また、(Δb
*×100)/(Hz×φ)の値は300より小さければよく、200より小さいことが好ましく、150より小さいことがより好ましい。(Δb
*×100)/(Hz×φ)の値を上記範囲とすることにより、本発明の両面粘着シートは、スパークリング抑制効果をより発揮することができる。
【0019】
両面粘着シートのヘイズ値は、5%以上であればよい。なお、ヘイズ値は、上述した式(1)の関係式を満たす範囲であれば、10%以上であってもよく、15%以上であってもよく、20%以上であってもよい。また、ヘイズ値は、40%以下であってもよく、35%以下であってもよく、30%以下であってもよく、25%以下であってもよい。両面粘着シートのヘイズ値を上記範囲とすることにより、導電部のパターンをより効果的に不可視化することができる。
【0020】
両面粘着シートの厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。また、両面粘着シートの厚みは、200μm以下であることが好ましく、180μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることがよりさらに好ましく、75μm以下であることが特に好ましい。両面粘着シートの厚みを上記範囲内とすることにより、導電部のパターンをより効果的に不可視化することができ、さらにスパークリング抑制効果を発揮することができる。さらに、十分な粘着力を確保することができ、長時間使用しても浮きや剥がれが生じにくくなる。
【0021】
両面粘着シートに用いられるベースポリマーおよび粒子の屈折率には特に制限はないが、ベースポリマーと粒子の屈折率差は0.02以上あることが好ましい。この屈折率差が0.02以上であると、粒子を添加した際のヘイズの上昇が効果的に発現する。
【0022】
本発明の両面粘着シートは、透明支持体上の一部に導電部が設けられた導電部材の貼合用に用いられることが好ましい。導電部材においては、導電部が形成されていない透明支持体の表面は非導電部として機能する。本発明の両面粘着シートは、導電部材の少なくとも導電部の一部に直接接触するように貼合されており、好ましくは、導電部の少なくとも一部と非導電部の少なくとも一部に直接接触するように貼合されている。なお、導電部は、透明支持体上にITO等をパターニングして形成されたものであることが好ましい。
【0023】
(粘着剤組成物)
本発明の両面粘着シートの粘着剤層は、粘着剤組成物から形成される。粘着剤組成物は、ベースポリマーを主成分として含む。すなわち、本発明の両面粘着シートは、ベースポリマーを主成分として含む。なお、本明細書において主成分とは、粘着剤組成物又は両面粘着シートの全質量に対し、50質量%以上含まれている成分をいう。
【0024】
(ベースポリマー)
ベースポリマーは、視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。具体的には、ベースポリマーは、アクリル系重合体、ウレタン系重合体、ポリエステル系重合体及びゴム系重合体から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。中でもベースポリマーは、アクリル系重合体から構成されることが好ましい。これにより、透明性と粘着性に優れた両面粘着シートを形成することができる。
【0025】
<1.アクリル系重合体>
アクリル系重合体としては、非架橋性の(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)を主成分とし、これに架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有する共重合体を用いることが好ましい。本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
【0026】
架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)は架橋剤を用いる場合の反応点となり、架橋により粘着力や凝集力、耐熱性の制御を可能とする。アクリル系重合体における架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)の使用量は、共重合体を構成する全単量体質量中に占める割合として0.01〜20質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜15質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。架橋性アクリル単量体単位(a2)の含有量が上記範囲内とすることにより、架橋性を十分に発揮することができ、さらに必要な粘着物性を維持することができる。
【0027】
アクリル系重合体を構成する非架橋性の(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が挙げられる。これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
【0028】
架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、モルホリルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−tert−ブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基などが挙げられる。これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。なお、本発明の両面粘着シートを貼合する導電部材の導電部がITOの場合はカルボキシル基含有単量体以外の官能基を有した単量体を用いることが好ましい。この場合、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)に含まれるカルボキシル基含有単量体単位の割合は、アクリル単量体単位の全質量に対して、1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0%であることが特に好ましい。アクリル単量体単位(a2)に含まれるカルボキシル基含有単量体単位の割合を上記範囲内とすることにより、導電部の金属配線に対する腐食性を抑えることができる。
【0029】
アクリル系重合体は、必要に応じて、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)および架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルおよび架橋性官能基を有するアクリル単量体と共重合可能なものであればよい。他の単量体としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。なお、アクリル系重合体における他の単量体単位の含有量は、0〜20質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。
【0030】
アクリル系重合体の重量平均分子量は、10万〜200万が好ましく、30万〜150万がより好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な耐久性と柔軟性を確保できる。なお、アクリル系重合体の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。
【0031】
アクリル系重合体を重合する際には、例えば、溶液重合法を適用することができる。溶液重合法としては、イオン重合法やラジカル重合法など挙げられる。その際に使用される溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0032】
<架橋剤>
本発明で用いられる粘着剤組成物は、粘着剤が官能基を有する単量体を用いた共重合体の場合は、架橋剤を配合することにより架橋処理を施すことができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などが挙げられ、これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良く、アクリル系重合体で用いる官能基との反応性を考慮して選択することが好ましい。
これら架橋剤の中でも、アクリル系重合体を容易に架橋できることから、イソシアネート化合物、エポキシ化合物が好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0033】
粘着剤組成物中、架橋剤の含有量は、所望とする粘着物性等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えばアクリル系重合体100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.03〜3質量部がより好ましい。架橋剤の含有量が上記下限値以上であれば耐久性に優れ、上記上限値以下であれば被着体への密着に優れる。
また、架橋剤の含有量は、粘着剤組成物の総質量に対し、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.02〜2.0質量%であることがより好ましい。
上記によって架橋された架橋後の粘着剤組成物のゲル分率は、20〜98%、好ましくは30〜90%、より好ましくは40〜80%である。ゲル分率が20%以上なら十分な凝集力が得られ、98%以下なら十分な粘着力や被着体への濡れ性が得られる。なお、ここで記載しているゲル分率とは、粘着剤組成物から可溶分を取り除いた残分の乾燥重量を浸漬前の粘着剤組成物の質量で割った値のパーセント表示値である。粘着剤組成物から可溶分を除去する際には、所定量の粘着剤組成物を粘着剤組成物の質量の2倍量以上の酢酸エチルやトルエンなどの溶媒に浸漬し、この浸漬物を40℃で24時間処理した後、150メッシュのワイヤメッシュにてろ過する。
【0034】
<2.ウレタン系重合体>
ウレタン系重合体としては、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の反応生成物として得られるものが例示される。ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリアセタールジオール等が挙げられる。また、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの成分は、2種類以上を用いて反応させることもできる。
【0035】
<3.ポリエステル系重合体>
ポリエステル系重合体としては、多塩基酸成分とポリオール成分とから重縮合されるものが例示される。用いられる多塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸等が挙げられる。また、ポリオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのモノマー成分は、2種類以上を用いて共重合しても良い。
【0036】
<4.ゴム系重合体>
ゴム系重合体としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系ブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらの合成ゴムは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0037】
中でも、ゴム系重合体はスチレン系共重合体であることが好ましく、スチレン系ブロック共重合体の水素添加物であることがより好ましく、スチレン−水添イソプレン−スチレン共重合体であることがさらに好ましい。
ゴム系重合体の重量平均分子量(Mw)は、10000〜10000000好ましくは50000〜800000であることがより好ましい。
【0038】
(ヘイズの調整)
両面粘着シートが上述した式(1)の条件を満たし、かつヘイズ値を5%以上とするためには、(i)粘着剤組成物に微粒子を混合する方法、または(ii)粘着剤組成物に非相溶樹脂を混合する方法を採用することができる。なお、(i)及び(ii)の方法を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
<微粒子>
微粒子は、両面粘着シートに入射した光を拡散させる機能を有する微粒子であればよく、有機微粒子であっても無機微粒子であってもよい。本発明で用いる微粒子は、光拡散微粒子として機能する。
【0040】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン等からなる微粒子を挙げることができる。
【0041】
有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂やポリアクリレート系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらの樹脂に架橋構造を形成した架橋高分子、エチレン、プロピレン、スチレン、メタクリル酸メチル、ベンゾグアナミン、ホルムアルデヒド、メラミン、ブタジエン等から選ばれる2種又はそれ以上の単量体が共重合された共重合樹脂等からなる樹脂粒子を用いることができる。
【0042】
また、無機と有機の中間的な構造を有するケイ素含有化合物からなる微粒子(例えばモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のトスパールシリーズ)等も光拡散微粒子として用いることができる。
これらの微粒子は1種類を単独して用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機微粒子、無機微粒子、無機と有機の中間的な構造を有する微粒子を組み合わせて使用することも可能である。なお、本発明で用いる微粒子としては、両面粘着シートの全光線透過率を過度に低下させないものであるのが好ましく、透明性が高いアクリルビーズやシリカビーズが好適である。
【0043】
微粒子の形状は、特に限定されないが、光を均一に拡散できることから球状であることが好ましい。また、微粒子の平均粒子径(一次粒子径)は、0.1〜4μmであることが好ましく、1〜4μmであることがより好ましい。ここで、本明細書中において平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡を用いて、測定することができる。具体的には、微粒子の粒子画像の最大長(Dmax)と、最大長垂直長(DV−max)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)
1/2を粒子径とすることができる。なお、最大長(Dmax)は、粒子画像の輪郭上の2点における最大長さであり、最大長垂直長(DV−max)は最大長に平行な2本の直線で粒子画像を挟んだときの、この2本の直線間の最短長さである。この方法で任意の100個の微粒子について粒子径を測定し、その平均値を微粒子の平均粒子径とする。微粒子の平均粒子径を上記範囲内とすることにより、両面粘着シートを肉眼で視認したときに粒状感や異物感を感じることがなく、さらに両面粘着シートのb
*値やヘイズ値を所定の範囲とすることができる。
【0044】
両面粘着シートにおける微粒子の含有量は、ベースポリマーの全質量に対し、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、8〜30質量%であることが更に好ましい。微粒子の含有量を上記範囲内とすることにより、両面粘着シートは上述した式(1)の条件を満たし、かつヘイズ値を5%以上としやすくなる。
【0045】
ベースポリマーがアクリル系の場合は、ベースポリマーの屈折率が約1.47のため、両面粘着シートには屈折率が1.49以上、または1.45以下の微粒子を用いることが好ましい。
【0046】
<非相溶樹脂>
両面粘着シートのb
*値やヘイズ値は、粘着剤組成物に混合する添加剤として非相溶樹脂を用いることにより、上記条件を満たすように調整することができる。ここで、本明細書において、非相溶樹脂とは、ベースポリマーとの相溶性が低い樹脂をいい、ベースポリマーと非相溶樹脂を混合した際に、ヘイズ値が混合量に応じて上昇していくものをいう。具体的には、ベースポリマーと樹脂を1:1で混合した際に、ヘイズが20%以上となる樹脂を非相溶樹脂という。このような非相溶樹脂を用いることにより、両面粘着シートは上述した式(1)の条件を満たし、かつヘイズ値を5%以上とすることができる。
【0047】
非相溶樹脂としては、例えば、粘着付与剤やスチレン系共重合樹脂を挙げることができる。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などを挙げることができる。中でも、粘着付与剤は、テルペン系樹脂であることが好ましく、芳香族変性テルペン樹脂であることがより好ましく、芳香族変性水添テルペン樹脂であることがさらに好ましい。芳香族変性水添テルペン樹脂としては、タッキファイヤー(ヤスハラケミカル、K100)等を用いることができる。
【0048】
両面粘着シートにおける非相溶樹脂の含有量は、ベースポリマーの全質量に対し、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、8〜30質量%であることが更に好ましい。なお、上記の含有量は、添加する非相溶樹脂の種類によって変動するが、例えば、非相溶樹脂として芳香族変性水添テルペン樹脂や、スチレン−アクリル共重合体を用いた際には、上記範囲とすることが好ましい。非相溶樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、両面粘着シートは上述した式(1)の条件を満たし、かつヘイズ値を5%以上としやすくなる。
【0049】
両面粘着シートに非相溶樹脂を添加した場合は、両面粘着シート中のベースポリマーと非相溶樹脂が相溶せずに、海島構造を構成する。ここで、海島構造とはベースポリマー中に、非相溶樹脂が島状に点在している構成をいう。本願明細書においては、非相溶樹脂が島状に点在している領域を非相溶樹脂に由来する島部という。両面粘着シートにおける非相溶樹脂に由来する島部の直径は、0.1〜4μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。
【0050】
非相溶樹脂に由来する島部の直径は、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡を用いて、測定することができる。具体的には、非相溶樹脂に由来する島部画像の最大長(Dmax)と、最大長垂直長(DV−max)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)
1/2を非相溶樹脂に由来する島部の直径とすることができる。なお、最大長(Dmax)は、島部画像の輪郭上の2点における最大長さであり、最大長垂直長(DV−max)は最大長に平行な2本の直線で島部画像を挟んだときの、この2本の直線間の最短長さである。この方法で任意の100個の島部について島部の直径を測定し、その平均値を非相溶樹脂に由来する島部の直径とする。
【0051】
また、本発明では、主とする粘着剤組成物とは組成や分子量、ガラス転移温度(Tg)が異なる別の粘着剤等を用いることによっても両面粘着シートのb
*値やヘイズ値を調整することができる。このような樹脂としては、例えば主組成の異なるアクリル系粘着組成物、ウレタン系粘着組成物やポリエステル系粘着組成物、ゴム系粘着組成物、シリコーン系粘着組成物などが挙げられる。
【0052】
<添加剤>
粘着剤組成物には、上記の他に以下のような添加剤が添加されていてもよい。
【0053】
(i)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、紫外領域に極大吸収波長を有するものの中から選択することができ、波長350nm以上に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤を用いることが好ましい。波長350nm以上に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤として、例えば下記一般式(1)または(2)で示される化合物を挙げることができる。
【0055】
上式において、R
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、R
2は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R
3は、アルキル基系構造体を表す。
【0057】
上式において、R
4、R
5およびR
6は、水素原子、水酸基、アルキル基系構造体またはハロゲン原子であって、R
4、R
5およびR
6のすべてが水素原子であることはない。
【0058】
アルキル基系構造体とは、置換もしくは無置換のアルキル基や、置換もしくは無置換のアルコキシ基などのアルキル基を主とする置換基を含む概念である。
【0059】
中でも、基本骨格の芳香環に分子量の大きなアルキル基を導入することにより相溶性を向上させ、23℃で液状または油状を示す紫外線吸収剤を、特に好ましく用いることができる。ここで、23℃で液状または油状を示すとは、希釈溶剤がなくても紫外線吸収剤のみで流動性がある状態を意味する。
【0060】
粘着剤組成物における紫外線吸収剤の含有量は、粘着剤組成物の固形分(特にベースポリマー)100質量部に対して0.5〜8質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましく、4〜6質量部であることがさらに好ましい。粘着剤組成物における紫外線吸収剤の含有量は、380nmでの紫外線透過率が5%未満となる量に調整することが好ましい。
【0061】
(ii)その他の添加剤
粘着剤組成物に添加される添加剤として、ヒンダードアミン系化合物に代表される光安定剤を好ましく例示することができる。また、ヒンダードフェノール系化合物に代表される酸化防止剤を併用することも好ましい。酸化防止剤は、一般にラジカル連鎖停止剤とよばれる一次酸化防止剤と、過酸化物分解剤として作用する二次酸化防止剤とに分類される。一次酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤が挙げられる。また、二次酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられる。
これら酸化防止剤は1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。特にITOの腐食防止効果を期待する場合は、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を併用すると効果が得られやすいため好ましい。
【0062】
これらの添加剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して0.03〜1.5質量部であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。
【0063】
粘着剤組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、金属腐食防止剤などの上記以外の添加剤が含まれても良い。シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。金属腐食防止剤としては金属と錯体を形成し金属表面に皮膜を作ることにより腐食を防止するタイプが好ましく、特にベンゾトリアゾール系金属腐食防止剤が好ましい。
【0064】
(剥離シート付き両面粘着シート)
本発明は、上述した両面粘着シートの少なくとも一方の面に剥離シートが積層された剥離シート付き両面粘着シートに関するものでもある。剥離シートは、両面粘着シートの少なくとも一方の面に積層されており、両面粘着シートの両面に積層されていることが好ましい。このような剥離シート付き両面粘着シートは、例えば、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して硬化物とすることにより得られる。
【0065】
剥離シートは、少なくとも片面に離型性を有するシートである。剥離シートとしては、剥離シート用基材と剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シートや、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
【0066】
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材としては、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO
2単位と(CH
3)
3SiO
1/2単位あるいはCH
2=CH(CH
3)SiO
1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
【0067】
剥離シートは、剥離しやすくするために、一方の剥離シートと他方の剥離シートとでそれぞれ剥離性が異なることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて一方の剥離シートと他方の剥離シートの剥離性を調整すればよい。
【0068】
剥離シート上に粘着剤組成物を塗工する場合は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
塗工液には溶媒が含まれる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用される。これらは1種以上を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
【0069】
(透明基材付き粘着シート)
本発明は、上述した両面粘着シートと、透明基材層とを有する透明基材付き粘着シートに関するものでもある。透明基材付き粘着シートにおいては、両面粘着シートの一方の面側には、透明基材層が設けられており、両面粘着シートの粘着剤層と透明基材層が接して積層されていることが好ましい。
【0070】
透明基材付き粘着シートは、さらにハードコート層を有していてもよい。透明基材付き粘着シートがさらにハードコート層を有する場合には、透明基材層とハードコート層との間に易接着層を設けることが好ましい。また、必要に応じて、両面粘着シートと透明基材層の間にも易接着層を設けてもよい。
図2には、このような透明基材付き粘着シートの態様が例示されている。
図2に示された透明基材付き粘着シートは、ハードコート層を有する透明基材付き粘着シートであって、両面粘着シート13、易接着層11、透明基材層12、易接着層11、およびハードコート層10が、この順に積層されて構成されている。
【0071】
[透明基材層]
透明基材層は、粘着シートを補強する基材として機能し、又はガラス基材を用いた導電部材の飛散防止フィルム、或いは加飾フィルムとして利用される。また、透明基材層は、光学特性を有する層(位相差層など)であってもよい。すなわち、拡散粘着層を補強する基材としての機能の他に光学的機能を果たすものであってもよい。
透明基材層は、可視光線を透過する透明な材料から構成され、例えば透明な樹脂のフィルムを好適に用いることができる。透明な樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中では、耐熱性に優れること等から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いられる。
【0072】
本発明の透明基材付き粘着シートを構成する透明基材層は、単層であっても、複数の層から構成されるものであっても良い。複数の層から構成される場合、透明基材層は、異なるポリエステル系樹脂から構成されることとしても良い。
【0073】
本発明の透明基材付き粘着シートを構成する透明基材層の厚みは特に制限されないが、例えば、10μm以上にすることができ、20μm以上、50μm以上の範囲内で選択することも可能である。上限は用途によって異なるが、例えば1cm以下、1mm以下、300μm以下の範囲内で選択することも可能である。
本発明の透明基材付き粘着シートを構成する透明基材層のヘイズは5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
【0074】
[ハードコート層]
ハードコート層は、透明基材層よりも硬度が高い層であり、透明基材付き粘着シートの表面に傷が発生するのを防止する機能を有する。
ハードコート層は、硬度が高く、かつ可視光線を透過するものであることが好ましい。一般的なハードコート層の場合は、JIS B 0601で定義される中心線平均粗さが1〜20nmであることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。中心線平均粗さは、例えば、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡などを用いて測定することができる。
ハードコート層は、必要に応じてアンチリフレクションやアンチグレア、アンチウォーターマーク機能を有するものであっても良い。ここで、ウォーターマークとは、タッチパネルモジュールと表示装置の積層体において、その間に空隙がある構成の場合、タッチパネル操作時にタッチパネルモジュールと表示装置が接触して、接触した部分が水に濡れたように見えることをいう。このようなアンチグレア機能やアンチウォーターマーク機能を持ったハードコート層の場合は、JIS B 0601で定義される中心線平均粗さが20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmがより好ましい。中心線平均粗さは、先述と同様に例えば、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡などを用いて測定することができる。
【0075】
ハードコート層は硬度を付与するための硬質成分を含有することが好ましい。硬質成分としては、例えば架橋重合体を挙げることができる。架橋重合体としては、単官能モノマー重合体および多官能モノマー重合体を挙げることができる。多官能モノマー重合体は、好ましくは3官能以上の多官能モノマーを含む重合性モノマーの重合体であり、より好ましくは4官能以上の多官能モノマーを含む重合性モノマーの重合体である。例えば、3官能以上の多官能モノマーと2官能モノマーの混合モノマーの共重合体なども好ましく例示することができる。なお、ここでいうモノマーには、オリゴマーも含まれる。
【0076】
架橋重合体を得るために使用しうるモノマーの種類は特に制限されないが、例えば、アクリルモノマーなどを好ましく例示することができる。例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600)ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400)ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性不飽和基を有する有機化合物のモノマーまたはオリゴマーは、熱硬化性であっても良いし、活性エネルギー線硬化性であっても良い。
【0077】
ハードコート層は、柔軟性成分を含有しても良い。ハードコート層に柔軟性成分が含まれていると、クラックの発生等を防止することができる。柔軟性成分としては、例えば、トリシクロデカンメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0078】
また、ハードコート層は、無機粒子および/または有機粒子を含有していても良い。無機粒子および/または有機粒子を含有すると、塗膜の硬化収縮が抑制される点で好ましい。無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、二酸化スズ粒子、五酸化アンチモン粒子、三酸化アンチモン粒子などの無機酸化物粒子を挙げることができる。また、有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂粒子を挙げることができる。
【0079】
無機粒子を用いる場合は、カップリング剤により処理した反応性無機酸化物粒子を用いても良い。有機粒子を用いる場合は、カップリング剤により処理した反応性有機酸化物粒子を用いても良い。カップリング剤により処理することにより、アクリル系重合体との間の結合力を高めることができる。その結果、表面硬度や耐擦傷性を向上させることができ、さらに無機酸化物粒子および有機粒子の分散性を向上させることができる。
【0080】
カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。カップリング剤の処理量は、無機酸化物粒子または有機粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
【0081】
ハードコート層の厚みは特に制限されないが、例えば、0.5μm以上にすることができ、1.0μm以上、2.0μm以上の範囲内で選択することも可能である。上限は用途によって異なるが、例えば100μm以下、50μm以下、20μm以下の範囲内で選択することも可能である。
【0082】
[易接着層]
易接着層は、例えば、透明基材層とハードコート層の間に設けられ、層同士を接着する機能を有する。また、易接着層は、両面粘着シートと透明基材層との間に設けられていてもよい。
【0083】
易接着層はアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。また、必要に応じてウレタン系樹脂等を含有しても良い。
易接着層に使用されるアクリル系樹脂としては、以下に示すようなアクリルモノマーから重合されるものが例示される。例えば、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を有したアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、ヒドロキシ含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミド基を含有するモノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのモノマー成分は、2種以上を用いて共重合しても良い。
また、ポリエステル系樹脂としては、多塩基酸成分とポリオール成分とから重縮合されるものが例示される。用いられる多塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸等が挙げられる。また、ポリオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのモノマー成分は、2種類以上を用いて共重合しても良い。
また、ウレタン系樹脂としては、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の反応生成物として得られるものが例示される。用いられるポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリアセタールジオール等が挙げられる。また、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの成分は、2種類以上を用いて反応させることもできる。更に、必要であればこの他に鎖長延長剤、架橋剤などを使用しても良い。
【0084】
易接着層には易滑性の付与や屈折率調整を目的として粒子を添加させることができる。粒子としては、無機顔料や有機フィラー等が挙げられるが、易接着層の樹脂と屈折率が比較的近く、高い透明性を得られるためシリカを使用することが好ましい。また、易接着層の屈折率を調整する目的で使用される粒子としてはアルミナ―シリカ複合体や酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの粒子は、2種類以上を使用しても良い。
【0085】
易接着層には必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の種々の添加剤を添加しても良い。また、塗工適性や反応性向上を目的として界面活性剤やpH調整剤を添加しても良い。
【0086】
易接着層の厚みは特に制限されないが、例えば、0.1nm以上にすることができ、1nm以上、5nm以上の範囲内で選択することも可能である。上限は用途によって異なるが、例えば1μm以下、100nm以下、50nm以下の範囲内で選択することも可能である。
【0087】
易接着層の形成方法は特に制限されないが、透明基材層にポリエステル系樹脂を用いる場合、ポリエステル系樹脂を溶融し押し出した後、ポリエステル系樹脂シートの上に易接着層を形成することが好ましい。ポリエステル系樹脂シートは、溶融し、押し出された後、縦方向に3〜10倍延伸して縦延伸ポリエステル系樹脂フィルムを形成し、必要に応じてコロナ放電処理をする。その少なくとも一面に易接着層を塗布し、乾燥して易接着層を形成する。その後、易接着層を有するフィルムを横方向に3〜10倍延伸することにより2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの形成時に同時に横方向に延伸された易接着層を形成する。
また、別法として、ポリエステル系樹脂と易接着層用樹脂を同時に押し出し、積層フィルムとし、積層したフィルムを9〜100倍に公知の方法にて2軸延伸して易接着層を形成しても良い。
また粘着剤層又はハードコート層を積層する際に、必要に応じてコロナ放電処理、火炎処理等の公知の方法により表面処理を施しても良い。
【0088】
[剥離シート]
本発明の透明基材付き粘着シートは、両面粘着シートの、透明基材層またはハードコート層が形成された側と反対側に剥離シートを有していてもよい。剥離シートとしては、上述した剥離シートを例示することができる。
【0089】
以上のように構成された透明基材付き粘着シートは、透明支持体上の一部に導電部が設けられた導電部材の貼合用に用いられることが好ましい。このような透明基材付き粘着シートは、導電部材に適用したとき、導電部材の導電部側に十分な粘着力で粘着し、かつ導電部のパターンを不可視化し、スパークリングの発生を抑制することができる。
【0090】
(光学部材)
本発明の光学部材は、少なくとも、透明支持体上の一部に導電部が設けられた導電部材に、本発明の両面粘着シートが貼合されて構成を有する。また、本発明の光学部材は、透明支持体上の一部に導電部が設けられた導電部材に、本発明の透明基材付き粘着シートが貼合されて構成されたものであってもよい。すなわち、本発明の光学部材においては、透明支持体上の一部に導電部が設けられた導電部材に、本発明の両面粘着シートが貼合され、さらに両面粘着シートの導電部材と反対側に、透明基材層およびハードコート層の少なくとも一方が設けられていてもよい。さらに両面粘着シートと透明基材層またはハードコート層との間、透明基材層とハードコート層との間に易接着層が設けられていてもよい。
図3には、このような光学部材の態様が例示されている。
図3に示された光学部材は、導電部材15、両面粘着シート13、易接着層11、透明基材層12、易接着層11、およびハードコート層10がこの順に積層されて構成されている。
【0091】
[透明支持体]
導電部材は、透明支持体および導電部を有する。導電部材の透明支持体としては、ガラス等、光学部材で通常用いられている、透明材料からなる支持体がいずれも使用可能である。本発明を適用すれば、例えばガラスからなる透明支持体が破損した場合であっても、両面粘着シートによってガラスの飛散が抑えられ、製品の安全性を高めることができる。
【0092】
[導電部]
導電部は、導電材料からなる層であり、透明支持体上に、導電部材の用途に応じたパターンで形成されている。
導電部は、例えば、この光学部材が表面型静電容量式タッチパネル等に適用される場合には、面内方向で実質的に均一な導電性能を有する均一層と、引き出し電極等に対応するパターンで電極層の周囲に形成された電極層を有して形成される。また、この光学部材が投影型静電容量方式のタッチパネルに適用される場合には、導電部は導電性能が規則的にパターン化された導電層として形成される。この投影型静電容量方式のタッチパネルでは、導電部が形成されていない透明支持体表面は位置検知のための非導電部として機能する。なお、導電部の上に、さらに導電膜の酸化を防ぐための保護膜が形成されていても良い。
【0093】
導電層の導電性能は、例えばJIS−K7194に記載の方法にて測定される表面抵抗で示すことが出来、タッチパネル用の電極板とするためには、表面抵抗は1×10
5Ω/sq以下が好ましく、1×10
3Ω/sq以下がより好ましい。また表面抵抗は0.1Ω/sq以上が好ましい。導電層の表面抵抗の範囲は、0.1〜1×10
5Ω/sqが好ましく、0.1〜1×10
3Ω/sqがより好ましい。
一方、非導電部は、タッチパネルがより正確な位置検知を行うために、例えばJIS−K6911に記載の方法にて測定される表面抵抗を1×10
9Ω/sq以上、より好ましくは1×10
11Ω/sq以上として、1×10
13Ω/sq以下、より好ましくは1×10
12Ω/sq以下として、明確に絶縁化すると良い。非導電部の表面抵抗の範囲は、1×10
9〜1×10
13Ω/sqが好ましく、1×10
11〜1×10
12Ω/sqがより好ましい。
【0094】
導電部の材質としては、公知の導電性物質を適用できる。導電性物質としては、無機系材料を用いてもよく、無機系材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、もしくはコバルトなどの金属、又はインジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide(ITO))、インジウム−亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide(IZO))、酸化亜鉛(Zinc Oxide(ZnO))、もしくは亜鉛−スズ酸化物(Zinc Tin Oxide(ZTO))、もしくはアンチモン−スズ酸化物(ATO)などの金属酸化物が例示できる。導電性物質としては有機導電体を用いてもよく、有機導電体としては、導電性カーボンナノチューブやグラフェンなどの導電性炭素材料、又はポリチオフェン、もしくはポリアニリンなどの導電性高分子などが例示できるが、これらに限定するものではない。
中でも無機系材料としては信頼性の高さと、透明性と導電性に優れるという点で、ITOが最も好適に利用される。また、屈曲性に優れるという特徴と、透明性と導電性にも優れるという特徴を有する点で有機導電性高分子のポリチオフェンの一種であるPEDOT/PSSも好適に利用される。PEDOT/PSSとは、PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー)とPSS(スチレンスルホン酸のポリマー)を共存させたポリマーコンプレックスを示す。
金属や導電性炭素材料は、ITOやPEDOT/PSSのように比較的透明性に優れる導電性物質に比べ透明性に劣るため、金属や導電性炭素材料を用いる場合は、ナノワイヤー化して塗工したり、メッシュ状に加工したりすることで透明性を確保すると良い。中でも、銀は、最も導電性に優れる導電性物質であることから、好適に利用される。
【0095】
導電部の厚みは、適用する導電体の導電性や透明性等を考慮して設定する必要があるため、厚みは特に制限されないが、例えば、金属系の場合で30〜600Å、金属酸化物系や有機系の場合で80〜5000Åの厚さが好ましい。
【0096】
導電部は公知の方法により形成できる。具体的には、各種印刷方式などにより、透明基板上に部分的に導電層を設ける方法で導電部を形成しても良いし、均一な導電層を形成した後、その一部をエッチングなどにより除去して導電部を形成しても良い。均一な導電層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、塗布法、あるいはこれらの組合せ法などの薄膜形成法が挙げられる。膜の形成速度や大面積膜の形成性、又は生産性などの点より、真空蒸着法やスパッタリング法が好ましい。
導電部の形成に先立ち、透明支持体の表面に、密着性を高めるために、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、又はアンダーコート処理等の適宜な前処理を施しても良い。
【実施例】
【0097】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0098】
(実施例1)
アクリル重合体溶液(日本合成化学工業社製:コーポニールN−9277)の固形分100質量部に対して、架橋剤(東ソー社製:コロネートL55E)を0.1質量部、光拡散粒子(綜研化学社製:ケミスノー KMR−3TA)を7質量部投入して遊星攪拌機を用いて粒子が均一に分散されるまで攪拌して粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を、第1の剥離シート(三菱樹脂(株)製:MRV#50)の剥離剤層表面にアプリケータにより塗工し、100℃で2分間乾燥させて粘着層(両面粘着シート)を得た。次に、第2の剥離シート(三菱樹脂(株)製:MRE#38)の剥離剤層側を粘着層に重ねて、ラミネーターにより貼りあわせた。これによって、第1の剥離シートと第2の剥離シートを有する両面粘着シートを得た。粘着層の乾燥後の厚みは25μmであった。
【0099】
(実施例2)
光拡散粒子の添加量を14質量部にした以外は実施例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0100】
(実施例3)
光拡散粒子の添加量を21質量部にした以外は実施例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0101】
(実施例4)
アクリル重合体を日本カーバイド工業社製のニッセツTN5961に変え、架橋剤量を0.2質量部、光拡散粒子の添加量を10質量部にした以外は実施例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0102】
(実施例11)
アクリル重合体溶液(日本合成化学工業社製:コーポニールN−9277)の固形分100質量部に対して、架橋剤(東ソー社製:コロネートL55E)を0.08質量部、非相溶樹脂(東亞合成社製:ARUFON UH2170)を10質量部投入して攪拌機を用いて攪拌した。非相溶樹脂がアクリル重合溶液中の溶媒に均一に分散するまで攪拌して粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を、第1の剥離シート(三菱樹脂(株)製:MRV#50)の剥離剤層表面にアプリケータにより塗工し、100℃で2分間乾燥させて粘着層(両面粘着シート)を得た。次に、第2の剥離シート(三菱樹脂(株)製:MRE#38)の剥離剤層側を粘着層に重ねて、ラミネーターにより貼りあわせた。これによって、第1の剥離シートと第2の剥離シートを有する両面粘着シートを得た。粘着層の乾燥後の厚みは25μmであった。
【0103】
(実施例12)
非相溶樹脂の添加量を15質量部にした以外は実施例11と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0104】
(実施例13)
非相溶樹脂の添加量を20質量部にした以外は実施例11と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0105】
(実施例14)
非相溶樹脂をヤスハラケミカル社製の「クリアロン K100」に変えて添加量を5質量部にした以外は実施例11と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0106】
(実施例15)
非相溶樹脂の添加量を10質量部にした以外は実施例14と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0107】
(実施例16)
非相溶樹脂の添加量を15質量部にした以外は実施例14と同様にして乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0108】
(実施例17)
非相溶樹脂をヤスハラケミカル社製の「クリアロン P150」に変えた以外は実施例14と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0109】
(実施例18)
乾燥後の厚みが50μmとなるように塗工量を調整にした以外は、実施例17と同様にして、両面粘着シートを得た。
【0110】
(比較例1)
アクリル重合体を東洋インキ社製のサイアバインBPS6377−OPに変え、架橋剤量を0.5質量部とし、光拡散粒子を綜研化学社製の「MX500」に変更し、光拡散粒子の添加量を8.5質量部にした以外は実施例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0111】
(比較例2)
光拡散粒子を根上工業社製の「アートパール JB−800T」に変更し、光拡散粒子の添加量を17質量部にした以外は比較例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0112】
(比較例3)
光拡散粒子の添加量を26質量部にした以外は比較例2と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0113】
(比較例4)
光拡散粒子を綜研化学社製の「ケミスノー MX1000」に変更し、光拡散粒子の添加量を12質量部にした以外は比較例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0114】
(比較例5)
光拡散粒子の添加量を25質量部にした以外は比較例4と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0115】
(比較例6)
光拡散粒子の添加量を35質量部にした以外は比較例4と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0116】
(比較例7)
アクリル重合体と架橋剤をそれぞれ、綜研化学社製のSKダイン2094とE−AXに変え、架橋剤の添加量を0.1質量部とし、光拡散粒子を積水化学社製の「テクポリマー SBX−8」に変更し、光拡散粒子の添加量を1質量部にした以外は実施例1と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0117】
(比較例8)
非相溶樹脂の添加量を6質量部にした以外は実施例11と同様にして、乾燥後の厚みが25μmの両面粘着シートを得た。
【0118】
(評価)
(ヘイズ)
各実施例及び各比較例の両面粘着シートの一方の粘着面を松浪ガラス社製のスライドガラス(品番:S9112)に、もう一方の粘着面に透明PETフィルム(CPET75H 新タック化成社製)を貼合した。続いて、貼合時に混入した微細な空気などの影響を排除するために、積層されたサンプルに0.5MPa、40℃の条件で30分間オートクレーブ(加圧脱泡)処理を実施した。これらの貼合物のヘイズを日本電色工業(株)製のNDH4000を用いて測定した。
【0119】
(b
*値)
<透過b
T*の測定方法>
上記のヘイズ測定に用いた積層体サンプルを、日本電色工業社製の分光色差計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて、PET側が光源側になるようにセットして透過測定モードにて、b
*値を測定した。
<反射b
R*ヘイズの測定方法>
同様の積層体サンプルを、日本電色工業社製の分光色差計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて、PET側が光源側になるようにセットし、逆面のガラス面には装置に標準装備された黒色当て板をセットし反射測定モードにて、b
*値を測定した。
【0120】
(φの測定方法)
<微粒子の平均粒子径の測定>
微粒子(光拡散粒子)の平均粒子径(一次粒子径)は、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡を用いて測定した。具体的には、微粒子の粒子画像の最大長(Dmax)と、最大長垂直長(DV−max)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)
1/2を粒子径とした。なお、最大長(Dmax)は、粒子画像の輪郭上の2点における最大長さであり、最大長垂直長(DV−max)は最大長に平行な2本の直線で粒子画像を挟んだときの、この2本の直線間の最短長さとした。この方法で任意の100個の微粒子について粒子径を測定し、その平均値を微粒子の平均粒子径とした。
【0121】
<非相溶樹脂に由来する島部の直径の測定>
非相溶樹脂に由来する島部の直径は、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡を用いて測定した。具体的には、非相溶樹脂に由来する島部画像の最大長(Dmax)と、最大長垂直長(DV−max)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)
1/2を非相溶樹脂に由来する島部の直径とした。なお、最大長(Dmax)は、島部画像の輪郭上の2点における最大長さであり、最大長垂直長(DV−max)は最大長に平行な2本の直線で島部画像を挟んだときの、この2本の直線間の最短長さとした。この方法で任意の100個の島部について島部の直径を測定し、その平均値を非相溶樹脂に由来する島部の直径とした。
【0122】
(パターン消し効果)
透明支持体上にITOパターンが形成された電極部材を用意し、この電極部材に、各実施例および各比較例で作製した両面粘着シートをITOパターンと接するように貼合した。そして、電極部材の透明支持体側からITOパターンが見えるか否かを目視にて観察し、以下の基準に従い評価した。△評価以上を合格レベルとした。
◎:ITOパターンが全く視認されない
○:ITOパターンがほぼ見えない
△:ITOパターンが視認されるが許容されるレベル
×:ITOパターンがはっきりと視認される
【0123】
(スパークリング評価)
Xperia SO−01ディスプレイを全面白色になるように画面を設定し、各実施例および各比較例で作製した両面粘着シートを乗せ、スパークリング(画面のぎらつき感)を目視で評価した。B評価以上を合格レベルとした。
A:スパークリングが全く視認されない
B:スパークリングがほぼ見えない
C:スパークリングがやや見える
D:スパークリングがはっきりと見える
【0124】
【表1】
【0125】
表1に示すように、実施例の両面粘着シートにおいては、いずれもITOパターンが不可視化されており、スパークリングの発生が抑制されていた。これに対して、比較例の両面粘着シートにおいては、スパークリングに発生があるか、もしくはITOパターンの不可視化が十分ではなかった。