特許第6565585号(P6565585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565585
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-206470(P2015-206470)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-79138(P2017-79138A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−253838(JP,A)
【文献】 特開2013−152923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルからなる電池モジュールが筐体内部に収容された電池パックであって、
開口部を有する筒状の本体部品と、
前記本体部品の開口部を覆う蓋部品と、
平板状部材の少なくとも一方の主面に、複数の前記電池セルの両端に配置される挟持部と前記平板状部材に固定される固定部とを有する第1ブラケットによって前記電池モジュールが固定されている部品であって、前記本体部品と前記蓋部品とにより形成される前記筐体内部に収容されると共に前記本体部品に固定されるユニット部品と、を備え、
前記平板状部材は、前記本体部品の開口方向に沿って螺旋状に延びるネジ溝が形成された雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を有しており、
前記蓋部品は、前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部の他方が前記一方に螺合されることによって前記平板状部材に固定されている、電池パック。
【請求項2】
前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部の一方は、前記平板状部材において前記電池モジュールが固定されている前記主面に固定された第2ブラケットに形成されている、請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記第2ブラケットは、前記平板状部材において前記蓋部品に対向する面が延在する方向に沿って複数備えられている、請求項2記載の電池パック。
【請求項4】
前記第2ブラケットは、前記平板状部材において前記蓋部品に対向する面が延在する方向に延在する、請求項2又は3記載の電池パック。
【請求項5】
前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部の一方は、前記平板状部材の前記主面に交差する面に形成されている、請求項1記載の電池パック。
【請求項6】
前記本体部品は、板状の底板部の周縁から立設される四角板状の側板部を有し、
前記ユニット部品は、前記側板部に固定されている、請求項1〜5の何れか一項記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車又はフォークリフトなど、車両のバッテリとして使用される電池パックが知られている。例えば、特許文献1には、電池セルの配列体を含んで構成された電池モジュールと、当該電池モジュールを収容する筐体と、を備える電池パックが開示されている。このような電池パックは、本体部品と、本体部品から取り外し可能な蓋部品とからなる筐体を準備し、蓋部品を取り外した状態の本体部品に電池モジュール等を配置した後、蓋部品を取り付けることにより組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−76887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような蓋部品は、ネジ又はナット等の固定部材によって本体部品に取り付けられることが多い。しかしながら、ネジ又はナット等が固定される被固定部は、蓋部品を覆う開口部の周辺に設けられることが多く、開口部のスペースを小さくする。このため、電池モジュールが固定されたユニット部品等を開口部から収容するために、開口部そのものを大きくしなければならない場合がある。開口部を大きくするためには、筐体の開口面が広がる方向のサイズ(以後、「体格」とも称する。)を大きくする必要がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、筐体の体格を大きくすることなく、開口部を覆う蓋部品を固定可能な電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池パックは、複数の電池セルからなる電池モジュールが筐体内部に収容された電池パックであって、開口部を有する筒状の本体部品と、本体部品の開口部を覆う蓋部品と、平板状部材の少なくとも一方の主面に、複数の前記電池セルの両端に配置される挟持部と平板状部材に固定される固定部とを有する第1ブラケットによって電池モジュールが固定されている部品であって、本体部品と蓋部品とにより形成される筐体内部に収容されると共に本体部品に固定されるユニット部品と、を備え、平板状部材は、本体部品の開口方向に沿って螺旋状に延びるネジ溝が形成された雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を有しており、蓋部品は、雄ネジ部及び雌ネジ部の他方が一方に螺合されることによって平板状部材に固定されている。
【0007】
この構成の電池パックでは、蓋部品を本体部品に固定するための固定部が本体部品に設けられているのではなく、ユニット部品に設けられている。このため、本体部品の開口部周辺に固定部があるためにユニット部品が収容できないといった不都合が発生することがなくなる。このため、筐体の体格を大きくする必要性がなくなる。また、ユニット部品と蓋部品とを固定する雄ネジ部及び雌ネジ部は、開口方向に平行な方向に沿って互いに螺合されるので、雄ネジ部及び雌ネジ部が筐体の体格が大きくなる方向に飛び出すことはない。この結果、筐体の体格を大きくすることなく、開口部を覆う蓋部品を固定することができる。
【0008】
本発明の電池パックは、雄ネジ部及び雌ネジ部の一方は、平板状部材において電池モジュールが固定されている主面に固定された第2ブラケットに形成されていてもよい。
【0009】
この構成の電池パックによれば、平板状部材の厚みが雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を形成し得ないような寸法であっても、容易に雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を形成し得る部位を形成することができる。また、電池モジュールの位置等に合わせて、柔軟に雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を形成する部位を形成することができる。
【0010】
本発明の電池パックでは、第2ブラケットは、平板状部材において蓋部品に対向する面が延在する方向に沿って複数備えられていてもよい。
【0011】
この構成の電池パックによれば、必要最小限の第2ブラケット部材の追加により本体部品に蓋部品を固定することができる。
【0012】
本発明の電池パックでは、第2ブラケットは、平板状部材において蓋部品に対向する面が延在する方向に延在していてもよい。
【0013】
この構成の電池パックでは、ユニット部品に蓋部品を固定するための雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を配置するための自由度を高めることができる。
【0014】
本発明の電池パックでは、雄ネジ部及び雌ネジ部の一方は、平板状部材の主面に交差する面に形成されていてもよい。
【0015】
この構成の電池パックでは、第2ブラケットのような部材を追加することなく、ユニット部品に蓋部品を固定することができる。
本発明の電池パックでは、本体部品は、板状の底板部の周縁から立設される四角板状の側板部を有し、ユニット部品は、側板部に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筐体の体格を大きくすることなく、開口部を覆う蓋部品を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る電池パックを示す斜視図である。
図2図1の電池パックのII−II線から見た断面図である。
図3図1の電池パックの蓋部材を取り外した状態で上方から見た上面図である。
図4図1の電池モジュールを示す斜視図である。
図5】(a)は、電池セルを保持した状態のセルホルダを示す斜視図であり、(b)は、電池セルを保持しない状態のセルホルダを示す斜視図である。
図6図3の電池モジュールをベース板に取り付けた際のZ軸方向から見た平面図である。
図7図1の電池パックの組み立て方を示した分解斜視図である。
図8】変形例1に係る電池パックの蓋部材を取り外した状態で上方から見た上面図である。
図9】変形例2に係る電池パックの蓋部材を取り外した状態で上方から見た上面図である。
図10】(A)は、変形例3に係る電池パックの蓋部材を取り外した状態で上方から見た上面図の一部であり、(B)は、変形例3に係る電池パックをII−II線から見た断面図の一部である。
図11】(A)及び(B)は、変形例4に係る電池パックをII−II線から見た断面図の一部である。
図12】(A)及び(B)は、その他の変形例に係る電池パックをII−II線から見た断面図の一部である。
図13】(A)及び(B)は、更なる変形例に係るブラケットの形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態に係る電池パック(蓄電パック)1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中、「上」、「下」などの方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0019】
図1図3に示されるように、電池パック1は、有底筒状の箱状部品(本体部品)2と、箱状部品2の開口部2aを覆うように接合される蓋部品6とからなる筐体10と、筐体10の内部空間S1に収容される、電池モジュール20が固定されたサブアセンブリ(ユニット部品)7と、を備えている。なお、図1等、本実施形態の説明に用いられる図面では、筐体10の内部空間S1に収容される電池モジュール20が固定されるサブアセンブリ7のみを図示しており、配線及び制御機器等の他の部材を省略している。
【0020】
箱状部品2は、四角板状の底板4aと、底板4aの周縁から立設される四角板状の前板4b、後板4c及び一対の側板4dと、を有している。底板4a、前板4b、後板4c及び4dは、厚みが、例えば1.0mm〜20mmの薄板であり、互いに溶接によって接合されることにより、有底筒状に形成されている。本実施形態の底板4a、前板4b、後板4c及び4dの厚みは、6.0mmである。箱状部品2を形成する薄板の材料は、例えば、SS400等の鋼材である。
【0021】
蓋部品6は、四角板状の蓋板6aと、蓋板6aの周縁から立設される4枚の四角板状の側板6bと、を有している。蓋板6a及び側板6bは、箱状部品2に用いられる薄板と同様に、厚みが、例えば1.0mm〜20mmの薄板であり、互いに溶接により接合されることにより、有底筒状に形成されている。本実施形態の蓋板6a及び側板6bの厚みは、箱状部品2を形成する部材と同じ6.0mmである。蓋板6aには、ネジ(雄ネジ部)9aを挿通させるための四個の挿通孔6cが形成されている。
【0022】
サブアセンブリ7は、複数(本実施形態では四個)の電池モジュール20と、電池モジュール20が固定されるベース板(平板状部材)8と、を有している。筐体10の内部空間S1には、当該サブアセンブリ7が二個収容されている。ベース板8は、箱状部品2及び蓋部品6を形成する部材よりも厚い厚板であり、その厚みは、例えば10mm以上とすることができる。本実施形態のベース板の厚みは、20mmである。箱状部品2を形成する薄板の材料は、例えば、SS400等の鋼材か鋳鉄である。電池モジュール20は、ベース板8の一方の主面8aに固定されている。
【0023】
サブアセンブリ7は、ベース板8の他方の主面8bが箱状部品2に固定されている。具体的には、箱状部品2の側板4d,4dには、ネジ9bを挿通させるための八個の挿通孔5が設けられている。また、ベース板8には、ネジ9bを螺合可能なネジ溝が形成された八個のネジ孔8cが形成されている。ベース板8は、箱状部品2における側板4dの外側から挿通孔5に挿通されたネジ9bが、ベース板8の他方の主面8bに形成されたネジ孔8cに螺合されることによって固定される。
【0024】
サブアセンブリ7が、箱状部品2に固定された際、ベース板8の高さ(Z軸方向の長さ)は、箱状部品2の側板4d,4dよりも高くなるように形成されている。これにより、筐体10を製造する際のサイズのばらつきを許容することができる。
【0025】
サブアセンブリ7におけるベース板8は、箱状部品2の開口方向に沿って螺旋状に延びるネジ溝が形成された雄ネジ部及び雌ネジ部の一方を有している。具体的には、箱状部品2の開口方向に沿って螺旋状に延びるネジ溝が形成されたネジ孔(雌ネジ部)3aを有するブラケット3が、サブアセンブリ7におけるベース板8の一方の主面8aに固定されている。
【0026】
ブラケット3は、直方体形状の部材であり、ベース板8において蓋部品6に対向する面8dが延在する方向(X軸方向)に沿って複数(本実施形態では二個)備えられている。ブラケット3は、例えば、SS400等の鋼材か鋳鉄により形成されており、ベース板8の主面8aに対して溶接により固定されている。なお、ブラケット3とベース板8とはネジ留め等で固定されてもよい。蓋部品6は、蓋部品6における蓋板6aの外側から挿通孔6cに挿通されたネジ9aが、ブラケット3に形成されたネジ孔3aに螺合されることによって固定される。
【0027】
次に、サブアセンブリ7に固定される電池モジュール20について説明する。図4に示されるように、電池モジュール20は、電池セル11がセルホルダ21に保持された状態で複数配列されてなる配列体15と、配列体15の配列方向(X軸方向)の一方側に配置された弾性部材31(図6参照)と、配列体15及び弾性部材31に対して配列方向の両側に配置された一対のブラケット41,41と、一対のブラケット41,41同士を連結する複数のボルト51と、配列体15と弾性部材31との間に配置されたミドルプレート61(図6参照)と、を備えている。
【0028】
図5(a)に示される電池セル11は、矩形箱状のケース内に電極組立体を収容してなる電池であり、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。図4に示されるように、本実施形態では、電池セル11は、七個配列されている。電池セル11は、セルホルダ21に保持された状態で配列されている。隣り合う電池セル11同士は、伝熱プレート(図示せず)を介して密着している。隣り合う電池セル11の電極端子13は、バスバー14によって互いに電気的に接続されており、これにより、隣り合う電池セル11が電気的に直列に接続されている。これら電池セル11、セルホルダ21、伝熱プレート、及びバスバー14によって配列体15が構成されている。
【0029】
セルホルダ21は、樹脂により形成されている。図5(a)及び図5(b)に示されるように、セルホルダ21は、枠体部22と、仕切部23と、を有している。枠体部22は、底板24と、底板24の両端から起立する一対の側板25,25と、を含んで構成されている。底板24の両端部の各々には、底板24の厚み方向に突出する突出部24aが設けられており、突出部24aの各々には、配列方向に貫通する挿通孔24bが設けられている。これらの挿通孔24bのそれぞれに、ボルト51(図4参照)が挿通される。
【0030】
仕切部23は、一対の側板25,25同士を接続している。仕切部23上には、一対の端子収容部26,26が設けられている。一対の端子収容部26,26のそれぞれは、電極端子13を囲う円形の内壁を有している。さらに、仕切部23上には、四角柱状の一対の柱部27,27が設けられている。一対の柱部27,27のそれぞれには、配列方向に貫通する挿通孔27aが設けられている。挿通孔27aの径は、例えば挿通孔24bの径と同一となっている。これらの挿通孔27aのそれぞれに、ボルト51(図4参照)が挿通される。
【0031】
セルホルダ21では、枠体部22及び仕切部23によって収容空間S2が形成されている。この収容空間S2に電池セル11が収容されることにより、セルホルダ21に電池セル11が保持される。また、セルホルダ21では、枠体部22と、仕切部23の下端面とによって矩形状の開口部28が形成されている。開口部28は、図示しない伝熱プレートの配置に供される。
【0032】
弾性部材31は、例えばゴムにより平板状に形成されている。図6に示されるように、弾性部材31は、ミドルプレート61とブラケット41との間に配置されている。一対のブラケット41は、配列体15と弾性部材31とミドルプレート61とを配列方向の両側から挟んでおり、サブアセンブリ7のベース板8に対して電池モジュール20を固定する。
【0033】
ブラケット41は、金属材料からなる板状部材が折り曲げられて形成されている。ブラケット41は、折曲部41aを挟んで挟持部42と固定部43とが形成されている。また、ブラケット41には、強度を高めるためのリブ44が形成されている。
【0034】
挟持部42は、弾性部材31及びミドルプレート61を介して配列体15を挟み込む部分である。挟持部42には、ボルト51を挿通するための複数の(この例では、四個)挿通孔42aが設けられている。固定部43は、サブアセンブリ7のベース板8に固定される部分であり、例えば、ネジ55によってベース板8に固定される。固定部43には、ネジ55を挿通するための複数の(この例では、四個)挿通孔43aが設けられている。
【0035】
ボルト51は、例えば比較的強度が高い鉄系の金属により形成されている。ボルト51は、複数(この例では、4本)設けられ、配列方向に延在して一対のブラケット41,41同士を連結している。複数のボルト51のそれぞれは、一対のブラケット41,41に形成された四個の挿通孔42aにそれぞれ挿通されると共に、セルホルダ21の挿通孔24b又は挿通孔27aに挿通されている。そして、一方のブラケット41の外側でナット53により締結されている。この締結によって配列体15及び弾性部材31に拘束荷重が付加されている。
【0036】
次に、図7を参照しながら、電池パック1の組み立て方の一例について説明する。まず、図7に示されるような有底筒状の箱状部品2と、箱状部品2の開口部2aを覆うように接合される蓋部品6と、ベース板8に固定された電池モジュール20からなるサブアセンブリ7と、を準備する。そして、箱状部品2の開口部2aからサブアセンブリ7を二個挿入する。
【0037】
次に、箱状部品2における側板4dの外側から挿通孔5にネジ9bを挿通させ、ベース板8の他方の主面8bに形成されたネジ孔8cに当該ネジ9bを螺合させる。次に、蓋部品6によって箱状部品2の開口部2aを覆う。そして、蓋部品6における蓋板6aの外側から挿通孔6cにネジ9aを挿通させ、ベース板8の一方の主面8aに固定されたブラケット3に形成されたネジ孔3aに当該ネジ9aを螺合させる。
【0038】
以上に説明した工程により、箱状部品2にサブアセンブリ7が固定される。これにより、箱状部品2と、箱状部品2の開口部2aを覆うように固定される蓋部品6とからなる筐体10の内部空間S1に、電池モジュール20が固定されたサブアセンブリ7が収容される。
【0039】
次に、上記実施形態の電池パック1の作用効果について説明する。上記実施形態の電池パック1では、蓋部品6を箱状部品2に固定するためのブラケット3が箱状部品2に設けられているのではなく、サブアセンブリ7に設けられている。このため、箱状部品2の開口部2aの周辺にブラケット等があるためにサブアセンブリ7が収容できないといった不都合が発生することがなくなる。複数のサブアセンブリ7を筐体10に収容する場合には、サブアセンブリ7同士の間隔を詰めて(間隔がほとんどない状態で)収容することができるとも言える。このため、筐体10の体格を大きくする必要性がなくなる。また、サブアセンブリ7と蓋部品6とを固定するネジ孔3a及びネジ9aは、開口方向に平行な方向(Z軸方向)に沿って互いに螺合されるので、ネジ孔3a及びネジ9aが筐体10の体格が大きくなる方向(XY平面方向)に飛び出ることはない。この結果、筐体10の体格を大きくすることなく、開口部2aを覆う蓋部品6を固定することができる。
【0040】
また、上記実施形態の電池パック1では、ネジ9aを螺合させるネジ孔3aは、ベース板8において電池モジュール20が固定されている主面8aに固定されたブラケット3に形成されている。これにより、ベース板8の厚みがネジ孔3aを形成し得ないような寸法であっても、容易にネジ孔3aを形成し得る部位を形成することができる。また、電池モジュール20の配置位置等を考慮して、柔軟にネジ孔3aとなる部位を形成することができる。
【0041】
上記実施形態の電池パック1では、ブラケット3は、直方体形状の部材であり、ベース板8において蓋部品6に対向する面8dが延在する方向に沿って複数備えられている。これにより、必要最小限のブラケット3の追加によりサブアセンブリ7に蓋部品6を固定することができる。
【0042】
また、上記実施形態の電池パック1では、蓋部品6も、ベース板8よりも厚みが小さい部材により形成されている。したがって、蓋板6aと側板6bとを溶接接合することによって形成する場合において、溶接時間が長くなることを抑制すると共に、溶接による接合部の品質の差を生じ難くすることができる。
【0043】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
<変形例1>
上記実施形態では、ベース板8に電池モジュール20が固定されたサブアセンブリ7が、筐体10の内部に二個収容された例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ベース板8に電池モジュール20が固定されたサブアセンブリ7は筐体10の内部に一個だけ収容されていてもよいし、図8に示されるように、三個配置されていてもよい。また、上述のサブアセンブリ7は、四個以上収容されていてもよい。
【0045】
図8に示される構成の電池パック201について説明する。図8は、筐体10を構成する箱状部品2と蓋部品6のうち、蓋部品6を取り外した状態の上面図である。側板4dに固定されるサブアセンブリ7は、上記実施形態と同様の構成を有している。変形例1に係る電池パック201は、これらのサブアセンブリ7の間に配置されているサブアセンブリ(ユニット部品)7Aの構成に一つの特徴がある。
【0046】
サブアセンブリ7Aは、ベース板8よりも厚みが大きいベース板208と、ベース板208の一方の主面208aに固定された四個の電池モジュール20と、ベース板208の他方の主面208bに固定された四個の電池モジュール20と、を有している。サブアセンブリ7Aの総厚み(モジュール2個+ベース板208)は、ベース板8の厚みの10〜20倍である。なお、箱状部品2の前板4b及び後板4cと、ベース板208の側面208e,208eとは、ネジ(図示せず)によって固定されている。このようなベース板208の一方の主面208a及び他方の主面208bに、上述したブラケット3が溶接により固定されている。なお、ブラケット3と蓋部品6との固定方法は、上記実施形態と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
この構成の電池パック201であっても、蓋部品6を箱状部品2に固定するためのブラケット3が箱状部品2に設けられているのではなく、サブアセンブリ7に設けられている。このため、箱状部品2の開口部2aの周辺にブラケット等があるためにサブアセンブリ7が収容できないといった不都合が発生することがなくなる。このため、筐体10の体格を大きくする必要性がなくなる。また、サブアセンブリ7と蓋部品6とを固定するネジ孔3a及びネジ9aは、開口方向に平行な方向(Z軸方向)に沿って互いに螺合されるので、ネジ孔3a及びネジ9aが筐体10の体格が大きくなる方向(XY平面方向)に飛び出ることはない。この結果、筐体10の体格を大きくすることなく、開口部2aを覆う蓋部品6を固定することができる。
【0048】
<変形例2>
上記実施形態又は変形例では、ブラケット3は、直方体形状の部材であり、ベース板8において蓋部品6に対向する面8dが延在する方向(X軸方向)に沿って二個備えられている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9に示されるように、ブラケット3は、直方体形状の部材であり、ベース板8において蓋部品6に対向する面8dが延在する方向(X軸方向)に沿って三個備えられる等、三個以上備えられていてもよい。
【0049】
また、図9に示されるように、ブラケット103は、ベース板8において蓋部品6に対向する面8dが延在する方向(X軸方向)に延在していてもよい。この場合には、蓋部品6を固定するネジ9aをねじ込むためのネジ孔(雌ネジ部)103aの数を自由に設定することができる。
【0050】
<変形例3>
上記実施形態又は変形例では、ブラケット3は、図2及び図3等に示されるように、上面(Z軸方向上方)から見た場合において、電池モジュール20と重なる位置に配置されているが、図10(A)及び図10(B)に示されるように、電池モジュール20と重ならない位置に配置してもよい。この構成では、筐体10の高さ方向(Z軸方向)のサイズを小さくすることができる。ブラケット3は、直方体形状の部材とすることにより、電池モジュール20同士の隙間、又は、箱状部品2と電池モジュール20との隙間などに柔軟に配置することが可能になる。
【0051】
<変形例4>
上記実施形態又は変形例では、蓋部品6における側板6bが、箱状部品2における側板4d,4d、前板4b、及び後板4cに外挿されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11(A)に示されるように、蓋部品306における側板306bは、端部の一部において厚みが薄くなるテーパ部307を有していてもよい。また、箱状部品2における側板304d等も、端部の一部において厚みが薄くなるテーパ部305を有していてもよい。そして、テーパ部305,307同士を重ねて配置することにより、筐体10の体格が大きくなる方向にサイズが大きくなることを防止できる。
【0052】
また、例えば、図11(B)に示されるように、蓋部品406における側板406bと、箱状部品2における側板404d等とが、シール部材407を介して接合されている構成としてもよい。この場合であっても、当該接合部から水が進入することを抑制しつつ、筐体10の体格が大きくなる方向にサイズが大きくなることを防止できる。
【0053】
<その他の変形例>
上記実施形態又は変形例では、蓋部品6の蓋板6aは、一様にフラットに形成された例を挙げて説明したが、例えば、図12(A)に示されるように、開口方向(Z軸方向)に凸部506eを設ける等、凹凸状に形成されてもよい。このような蓋部品506を採用することにより、必要に応じて、筐体10の内部空間の高さを局所的に高くすることができる。
【0054】
上記実施形態又は変形例では、ブラケット3にネジ9aをねじ込むためのネジ孔3aが形成されている例を挙げて説明したが、雄ネジ部となるネジ等が形成されていてもよい。この場合であっても、当該ネジにナット(雌ネジ部)等を螺合させることにより、サブアセンブリ7に蓋部品606を固定することができる。
【0055】
上記実施形態又は変形例では、本体部品となる箱状部品2が有底筒状に形成されている例を挙げて説明したが、本体部品は、一方向(Z軸方向)の両端に開口部を有する筒状部材であってもよい。すなわち、筐体は、本体部品と、二つの開口部を覆う二つの蓋部品と、によって形成される構成であってもよい、この場合であっても、上述した蓋部品の固定方法を適用することができる。
【0056】
上記実施形態又は変形例では、ネジ9aをねじ込むためのネジ孔3aがブラケット3に形成されている例を挙げて説明したが、ベース板8の主面8aに交差する面8dにネジ孔603aが形成されていてもよい。この場合には、上述したブラケット3のような部材を追加することなく、サブアセンブリ7に蓋部品6を固定することができる。
【0057】
上記実施形態又は変形例では、ブラケット3は、ベース板8に対して溶接により接合されている例を挙げて説明したが、図13(A)及び図13(B)に示されるように、ネジ707,807により固定されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態又は変形例では、ブラケット3が直方体形状の部材からなる例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図13(A)に示されるように、蓋部品6が固定される側から見た形状がT字形状の部材であってもよい。言い換えれば、ネジ707によってベース板8に固定される固定部704と、固定部704からベース板8とは反対方向に突出する突出部705と、を有する部材であってもよい。蓋部品6を固定するネジ孔703aは、突出部705に形成される。また、例えば、図13(B)に示されるように、ベース板8において蓋部品6に対向する面8d(図1参照)が延在する方向(X軸方向)から見た形状がL字形状の部材であってもよい。言い換えれば、ネジ807によってベース板8に固定される固定部804と、固定部804からベース板8とは反対方向に突出する突出部805と、を有する部材であってもよい。蓋部品6を固定するネジ孔803aは、突出部805に形成される。
【0059】
上記実施形態及び変形例では、サブアセンブリ7に4つの電池モジュール20が固定されている例を挙げて説明したが、例えば、四個未満、又は五個以上の電池モジュール20が固定されてもよい。また、サブアセンブリ7には、電池モジュール20に代えて及び/又は加えて、電池モジュールと質量の近いダミーモジュールが固定されていてもよい。
【0060】
上記実施形態及び変形例では、電池モジュール20が固定されるサブアセンブリ7,7が箱状部品2における側板4d,4dに固定される例を挙げて説明したが、側板4d,4dに代えて、箱状部品2における前板4b及び後板4cに固定されてもよい。
【0061】
上記実施形態及び変形例では、箱状部品2及び蓋部品6を形成する部材として、ベース板8を形成する材料よりも薄い部材を用いる例を挙げて説明したが、同等の厚みを有する部材を用いてもよいし、ベース板8を形成する材料よりも厚い部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,201…電池パック(蓄電パック)、2…箱状部品(本体部品)、2a…開口部、3,103…ブラケット(第2ブラケット)、3a,103a…ネジ孔(雌ネジ部)、4b…前板(側板部)、4c…後板(側板部)、4d…側板(側板部)、6,306,406,506,606…蓋部品、6a…蓋板、6b…側板、6c…挿通孔、7,7A…サブアセンブリ(ユニット部品)、8,208…ベース板(平板状部材)、8a,208a…主面(一方の主面)、8b,208b…主面(他方の主面)、8c…ネジ孔、8d…面(蓋部品に対向する面)、9a…ネジ(雄ネジ部)、10…筐体、20…電池モジュール、41…ブラケット(第1ブラケット)
図1
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