【実施例】
【0026】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下において特に規定しない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
<合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−1)の製造>
【0027】
攪拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量530のポリカプロラクトンジオール((株)ダイセル製プラクセル205U)を159g、イソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製デスモジュールI)を88.9g、酢酸ブチルを67.8g、ジブチルスズジラウレートを0.03g投入し、窒素を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が3.5%以下でなることを確認した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレートを23.2g、メトキシハイドロキノンを0.1g投入した。空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して3時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.2%以下でなることを確認し、重量平均分子量4,450のウレタン(メタ)アクリレート(UA−1)を322.1g得た。
<合成例2〜5、比較合成例1〜4>
【0028】
表1に記載の原料を用いて、実施例1と同様にしてウレタン(メタ)アクリレートUA−2〜UA−5及びUA’−1〜UA’−4を製造した。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量を表1に記載する。
【0029】
【表1】
【0030】
表中に略記した配合材料の詳細は次の通りである。
ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量530):(株)ダイセル製「プラクセル205U」
ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量830):(株)ダイセル製「プラクセル208」
ポリカプロラクトントリオール(数平均分子量850):(株)ダイセル製「プラクセル308」
ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量2,000):(株)ダイセル製「プラクセル220」
ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量650):保土ヶ谷化学工業(株)製「PTG650」
ポリプロピレングリコール(数平均分子量700):日油(株)製「ユニオールD−700」
イソホロンジイソシアネート:住化バイエルウレタン製(株)「デスモジュールI」
ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン:住化バイエルウレタン(株)「デスモジュールW」
2−ヒドロキシエチルアクリレート:大阪有機化学工業(株)製「HEA」
ペンタエリスリトールトリアクリレート:大阪有機化学工業(株)製「ビスコート#300」
<実施例1〜9、比較例1〜8>
【0031】
合成例1〜5、比較合成例1〜4で得られたウレタンアクリレート、表2記載の単官能モノマーおよび表3又は表4記載の添加剤、溶剤を表3又は表4記載の重量で50mL褐色スクリュー管に量りとり、ボルテックスミキサーにて1分間混合させ活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、125μmPETフィルム(東洋紡績(株)製コスモシャインA4300)上に乾燥膜厚が25μmとなるよう塗工し、80℃にて5分間乾燥して有機溶剤を蒸発させた。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cm
2のエネルギー量を照射することで硬化物試験片を得た。この硬化物試験片を用いて以下の評価を行った。
【0032】
【表2】
<自己修復性>
【0033】
温度25℃、相対湿度60RH%の雰囲気下、硬化物表面に対して真鍮ブラシで1kg荷重で10往復擦り、硬化物表面に入った傷が復元するか否か、または傷が復元するまでの時間を測定し、下記の基準により判定した。
傷が10秒以内に復元する。(評価:◎)
10秒後に傷が認められるが、5分経過後には復元する。(評価:○)
5分経過しても傷が復元しない。(評価:×)
<表面硬度>
【0034】
JIS K5600に準拠して、荷重750gの条件で引っ掻き硬度(鉛筆法)を測定し、下記の基準で評価した。
鉛筆硬度が2H以上(評価:◎)
鉛筆硬度がF〜H(評価:○)
鉛筆硬度が2B以下(評価:×)
<伸張性>
【0035】
得られた硬化物試験片を基材から剥離し、を10cm幅に切断し、オートグラフ試験機((株)島津製作所製AGS−J)を用いて、温度25℃、相対湿度60RH%、引張速度50mm/min、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行い、測定した破断伸度を下記の基準で評価した。
破断伸度が200%以上(評価:◎)
破断伸度が100%以上〜200%未満(評価:○)
破断伸度が100%未満(評価:×)
<密着性>
【0036】
JIS K5600に準拠して、碁盤目剥離試験を行い、下記の基準で評価した(これを、「初期密着性」とする)。また、硬化膜試験片を温度80℃、相対湿度90RH%の条件下で48時間静置した後、初期密着性と同様の方法で密着性を評価した(これを、「耐湿熱密着性」とする)。
◎:残存した碁盤目の面積が100%(評価:◎)
○:残存した碁盤目の面積が90%以上〜99%未満(評価:○)
△:残存した碁盤目の面積が90%未満(評価:×)
<耐薬品性>
【0037】
硬化膜表面に5%NaOH水溶液又は5%塩酸をスポイトで0.1g滴下し、温度25℃で24時間静置した後、水を含んだ脱脂綿で薬品を拭き取ったあとの表面状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
薬品による痕がまったく確認されない。(評価:○)
薬品による痕など硬化膜に異常が確認できる。(評価:×)
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
表3に示すように、実施例1〜9は自己修復性、表面硬度、伸張性、密着性、耐薬品性がいずれも良好な樹脂組成物である。
比較例1はウレタンアクリレート(A)の重量平均分子量が本発明の範囲より小さいために硬化物の自己修復性と伸張性が不十分である。比較例2はウレタンアクリレート(A)の原料に用いるポリカプロラクトンポリオールの分子量が本発明の範囲より大きいために硬化物の自己修復性、表面硬度、湿熱試験後の密着性、耐薬品性が不十分である。比較例3はウレタンアクリレート(A)の原料にポリカプロラクトンポリオールでなくポリテトラメチレングリコールを用いているために表面硬度、湿熱試験後の密着性、耐薬品性が不十分である。比較例4はウレタンアクリレート(A)の原料にポリカプロラクトンポリオールでなくポリプロピレングリコールを用いているために自己修復性、表面硬度、伸張性、湿熱試験後の密着性、耐薬品性が不十分である。比較例5は単独重合体としたときのガラス転移点が本発明の範囲より低い単官能モノマーを用いているために自己修復性、表面硬度、湿熱試験後の密着性、耐薬品性が不十分である。比較例6は単独重合体としたときのガラス転移点が本発明の範囲より高い単官能モノマーを用いているために自己修復性と伸張性が不十分である。比較例7単官能モノマー(B)を用いていないために自己修復性と表面硬度が不十分である。比較例8はウレタンアクリレート(A)と単官能モノマー(B)の質量
比が本発明の範囲を外れるために自己修復性、表面硬度、伸張性、湿熱試験後の密着性、耐薬品性が不十分である。