(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の現像装置3a〜3dが搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(
図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0012】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dがそれぞれ配設されており、さらに
図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。
【0013】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、トナーコンテナ4a〜4dによりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が所定量充填されており、現像装置3a〜3dによって感光体ドラム1a〜1d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0014】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
【0015】
トナー像が転写される転写紙Pは、画像形成装置100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0016】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0017】
図2は、カラープリンター100に搭載される本発明の第1実施形態に係る現像装置3aの側面断面図である。なお、
図2は
図1の背面側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は
図1と左右が逆になっている。また、以下の説明では
図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0018】
図2に示すように、現像装置3aは、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器(ケーシング)20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21及び供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(
図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
【0019】
そして、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(
図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0020】
現像容器20は
図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの上方にはトナー供給ローラー30(現像剤担持体)が配置され、トナー供給ローラー30の右斜め上方には現像ローラー31が対向配置されている。そして、現像ローラー31は現像容器20の開口側(
図2の右側)において感光体ドラム1a(
図1参照)に対向しており、それぞれの回転軸周りに関してトナー供給ローラー30、現像ローラー31は
図2において反時計回り方向に回転する。
【0021】
攪拌搬送室21には、攪拌搬送スクリュー25aと対面してトナー濃度センサー28が配置されている。トナー濃度センサー28は、現像剤中のキャリアに対するトナーの割合(T/C)を検知するものであり、例えば、現像容器20内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。本実施形態においては、トナー濃度センサー28により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度センサー28の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モーター(図示せず)に制御信号を送信し、トナーコンテナ4aからトナー補給口(図示せず)を介して攪拌搬送室21に所定量のトナーが補給されるようになっている。
【0022】
トナー供給ローラー30は、
図2において反時計回り方向に回転する非磁性の回転スリーブと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体で構成されている。
【0023】
現像ローラー31は、
図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極で構成されており、トナー供給ローラー30と現像ローラー31とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極は、固定マグネット体の対向する磁極(主極)と異極性である。
【0024】
また、現像容器20には穂切りブレード33がトナー供給ローラー30の長手方向(
図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード33は、トナー供給ローラー30の回転方向(
図2の反時計回り方向)において、現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード33の先端部とトナー供給ローラー30表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0025】
現像ローラー31には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、トナー供給ローラー30には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源からバイアス制御回路(いずれも図示せず)を経由して現像ローラー31及びトナー供給ローラー30に印加される。
【0026】
前述のように、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内の攪拌搬送室21及び供給搬送室22を循環してトナーを帯電させ、供給搬送スクリュー25bによって現像剤がトナー供給ローラー30に搬送される。そして、トナー供給ローラー30上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシは穂切りブレード33によって層厚規制された後、トナー供給ローラー30と現像ローラー31との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30に印加されるVmag(DC)と現像ローラー31に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー31上にトナー薄層を形成する。
【0027】
トナー供給ローラー30上の磁気ブラシとの接触によって現像ローラー31上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー31の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー31との対向部分(対向領域)に搬送される。現像ローラー31にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0028】
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室22内に落下する。
【0029】
その後、トナー濃度センサー28の検知結果に基づいてトナー補給口(不図示)から所定量のトナーが補給され、供給搬送室22及び攪拌搬送室21を循環する間に再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤となる。この現像剤が再び供給搬送スクリュー25bによりトナー供給ローラー30上に供給されて磁気ブラシを形成し、穂切りブレード33へ搬送される。
【0030】
現像容器20における
図2の右側壁において現像ローラー31の近傍には、現像容器20の内側に突出する断面三角形状のトナー受け支持部材35が設けられている。
図2に示すように、トナー受け支持部材35は現像容器20の長手方向(
図2の紙面と垂直な方向)に沿って配置されており、トナー受け支持部材35の上面はトナー供給ローラー30及び現像ローラー31に対向するとともに、現像ローラー31からトナー供給ローラー30方向に向かって下方に傾斜する壁部を構成している。トナー受け支持部材35の上面には長手方向に沿って、現像ローラー31から引き剥がされて落下するトナーを受けるトナー受け部材37が取り付けられている。
【0031】
図3は、第1実施形態の現像装置3a〜3dに用いられるトナー受け支持部材35を現像容器20の内側(
図2の左側)から見た斜視図、
図4は、トナー受け支持部材35の分解斜視図である。
【0032】
トナー受け部材37は板金製であって、長手方向に沿って屈曲部37aが形成された屈曲形状であり、屈曲部37aを挟んで現像ローラー31(
図2参照)に対向するトナー受け面37bと、トナー供給ローラー30に対向する略垂直なトナー落下面37cとに区画される。また、トナー受け部材37は2本のコイルバネ40を介して樹脂製の支持部材本体36に支持されている。具体的には、トナー受け部材37の両端部の2箇所にコイルバネ40の一端が係合する係合部37dが折り曲げ形成されており、コイルバネ40の他端にはバネ台座39(
図11参照)が装着されている。バネ台座39は支持部材本体36のバネ台座保持部36aに保持される。また、トナー受け部材37の略中央部には振動発生装置42を支持するホルダー保持部37eが折り曲げ形成されている。
【0033】
振動発生装置42内には振動モーター43と、振動モーター43の駆動を制御するための回路や電子部品(図示せず)が実装されており、振動モーター43に電力を供給するためのリード線45が接続されている。
【0034】
トナー受け部材37の表面にはシート部材41a、41b(
図10参照)が貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け部材37へのトナー付着を抑制するために、トナー受け部材37よりもトナーが付着し難い材質で形成されている。シート部材41a、41bの材質としては、例えばフッ素樹脂製シート等が挙げられる。
【0035】
シート部材41aは穂切りブレード33側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界を含むトナー受け部材37の表面(トナー落下面37c)を覆うように貼り付けられている。また、シート部材41bはシール部材44側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界、係合部37d、及びホルダー保持部37eを含むトナー受け面37bの全域を覆うように貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け面37b、トナー落下面37cへのトナーの付着を抑制するとともに、支持部材本体36とトナー受け部材37との境界からトナー受け支持部材35の内部へのトナーの進入や、トナーの進入に起因する振動モーター43の動作不良を防止する。
【0036】
また、支持部材本体36の上端にはフィルム状のシール部材44が設けられている。シール部材44は、先端部が感光体ドラム1aの表面に接触するように支持部材本体36の長手方向(
図3の左右方向)に延在しており、現像容器20(
図2参照)内のトナーが外部に漏出しないように遮蔽する機能を有している。
【0037】
さらに、トナー受け部材37には、トナー受け面37bの長手方向の略全域に重なるシート状のトナー崩し部材60が支持されている。トナー崩し部材60の材質としては、ある程度の剛性を有する材質であればよく、ここではポリエチレンテレフタレート(PET)製のシートを用いている。トナー崩し部材60の詳細な構成については後述する。
【0038】
図5は、
図4における振動発生装置42の分解斜視図である。振動発生装置42は、振動モーター43と、振動モーター43が固定されるモーター取付板42aとカバー部材42bとで構成され、振動モーター43の出力軸43aには加振用ウェイト50が固定されている。また、振動モーター43は出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向に沿うように固定されている。
【0039】
図6は、振動モーター43の正面図であり、
図7は、振動モーター43を加振用ウェイト50側から見た側面図である。加振用ウェイト50は、振動モーター43の出力軸43a方向(
図6の右方向)から見ると、
図7に示すように円板の一部に切り欠き50aが形成されたカム形状をなしており、出力軸43aに対し非対称な形状となっている。出力軸43aが所定以上の速度で回転するとき、切り欠き部50aに作用する遠心力は他の部分に比べて小さいため、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わる。この遠心力が出力軸43aに伝達されることにより、振動モーター43が振動する。なお、加振用ウェイト50の形状はカム形状に限定されず、出力軸43aに対し重心がずれるような任意の形状とすることができる。
【0040】
図8は、第1実施形態の現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35の平面図であり、
図9は、
図8におけるトナー崩し部材60のスリット61付近の拡大図である。また、
図10及び
図11は、第1実施形態の現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35の内部構成を示す側面断面図である。なお、
図10はトナー受け支持部材35の振動モーター43付近の断面(
図4のXX′矢視断面)を示し、
図11はトナー受け支持部材35のコイルバネ40を含む断面(
図4のYY′矢視断面)を示している。
【0041】
トナー受け部材37は現像ローラー31に対向するトナー受け面37bがトナー供給ローラー30側から感光体ドラム1a側に向かって上り勾配となるように傾斜し、トナー供給ローラー30に対向するトナー落下面37cが略垂直になるように配置されている。
【0042】
図9及び
図10に示すように、トナー受け部材37はトナー供給ローラー30側の端縁37fのみが支持部材本体36に当接しており、反対側(感光体ドラム1a側)の端縁37gは自由端となっている。そして、トナー受け面37bの幅方向(
図10の左右方向)の略中央部は振動発生装置42を介して支持部材本体36に支持されている。これにより、トナー受け部材37は端縁37fを支点として揺動可能に構成されている。また、振動モーター43は、出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向と略平行になるように配置されている。
【0043】
図8に示すように、トナー崩し部材60は、トナー受け部材37のトナー受け面37bの略全域に重なるように配置されている。
図10に示すように、トナー崩し部材60は、トナー受け面37bの揺動端37g側の端縁(以下、第1端縁60aという)のみがトナー受け面37bに固定されており、屈曲部37a側の端縁(以下、第2端縁60bという)は自由端となっている。
【0044】
非画像形成時に振動モーター43の出力軸43aを高速回転(例えば10,000rpm程度)させることにより、加振用ウェイト50も出力軸43aと共に高速回転する。このとき、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わるため、出力軸43aを介して振動モーター43及びモーター取付ホルダー42を含む振動発生装置42が振動する。そして、振動発生装置42が取り付けられたトナー受け部材37も振動する。具体的には、トナー受け部材37のトナー受け面37bは端縁37fを支点として端縁37gに向かうにつれて振幅が大きくなるように振動する。このトナー受け部材37の振動により、トナー受け面37bの端縁37g側に堆積したトナーは端縁37f側(白矢印方向)に跳ね上げられ、少しずつ端縁37f側に移動する。
【0045】
また、トナー受け面37bの振動によってトナー受け面37bに重なるトナー崩し部材60も振動する。ここで、トナー崩し部材60は第1端縁60aのみがトナー受け面37bに固定されている。そのため、トナー崩し部材60の第2端縁60bはトナー受け面37bから独立して振動可能となっている。
【0046】
その結果、トナー崩し部材60の第2端縁60bはトナー受け面37bに対し接触または離間を繰り返しながら振動するため、トナー崩し部材60とトナー受け面37bとの境界付近に堆積したトナーがブロッキングを起こしたとしても、ブロッキングした塊状のトナーはトナー崩し部材60の第2端縁60bの振動によって崩されながら端縁37f側に移動する。
【0047】
また、トナー崩し部材60の第2端縁60bには、第1端縁60aに向かう多数のくさび形のスリット61が形成されている。即ち、トナー崩し部材60の第2端縁60bはスリット61によって多数の揺動片に分割されている。これにより、トナー崩し部材60の各揺動片が部分的に撓み、トナー崩し部材60とトナー受け面37aとの境界部分に堆積したトナーを復元力によって崩すため、ブロッキングした塊状のトナーを効率良く振るい落とすことができる。
【0048】
なお、スリット61の形状は特に制限はないが、例えばスリット61が1本の直線状のスリットである場合はトナー崩し部材60とトナー受け面37aとの境界部分が少ないため、トナーを崩す効果も小さくなる。スリット61の形状を、くさび形のようなトナー崩し部材60の第2端縁60bにおいて所定の幅を有する形状とすることで、スリット61の対向する二辺がトナー崩し部材60とトナー受け面37aとの境界部分(
図9の破線で表示)となる。その結果、トナー崩し部材60とトナー受け面37aとの境界部分を増加させて塊状のトナーを崩す効果を大きくすることができる。第2端縁60bにおいて幅を有するスリット61の形状としては、くさび形の他、矩形状やU字状が挙げられる。
【0049】
トナー受け面37b及びトナー崩し部材60の振動により、
図11に示すように、トナー受け面37bに堆積したトナーTはトナー受け面37bの傾斜に沿って下方(
図11の白矢印方向)に滑り落ち、略垂直なトナー落下面37cとトナー供給ローラー30とで挟まれた領域Rに自由落下する。領域Rに落下したトナーの一部は、そのまま穂切りブレード33とトナー供給ローラー30の隙間を通過して供給搬送室22内に落下する。
【0050】
本実施形態では、領域Rに落下したトナーを供給搬送室22へ戻すために、非画像形成時に現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を画像形成時とは逆方向(
図10の時計回り方向)に回転(逆回転)させる。トナー供給ローラー30を逆回転させることにより、領域Rに落下して穂切りブレード33の先端に堆積したトナーはトナー供給ローラー30の磁気ブラシによって掻き取られ、トナー供給ローラー30の表面に連れ回りしてトナー供給ローラー30と穂切りブレード33との隙間を通過し、固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室22へ強制的に戻される。
【0051】
現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を逆回転させる場合、トナー供給ローラー30に形成される磁気ブラシの穂が長くなるように穂切りブレード33と対向する固定マグネット体の磁極(規制極)の磁力や配置を調整することで、穂切りブレード33の先端に堆積したトナーの掻き取り効果が高くなる。また、現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を逆回転させると、攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bも逆回転するため、現像容器20内の現像剤がトナー補給口から溢出したり、現像容器20内で現像剤の偏りが発生してトナー濃度センサー28のノイズが発生したりするおそれがある。そのため、現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を逆回転させた後は、現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を一定時間順回転させることが好ましい。
【0052】
なお、トナー受け部材37を振動させる際に、トナー供給ローラー30および現像ローラー31を順回転させることもできる。トナー供給ローラー30を順回転させることにより、トナー受け面37bから領域Rに落下したトナーの一部は、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシに付着する。トナー供給ローラー30上の磁気ブラシに付着しなかった残りのトナーはトナー供給ローラー30と穂切りブレード33との隙間を通過して供給搬送室22内に落下する。
【0053】
本実施形態では、振動モーター43の出力軸43aを、出力軸43aのトナー受け部材37に対向する側の外周面が、トナー受け部材37の自由端(端縁37e)から支点(端縁37d)に向かって移動する方向(
図10の反時計回り方向)に回転させている。出力軸43aをこの方向に回転させることで、トナー受け部材37はトナー受け面37bに堆積したトナーを端縁37g側から端縁37f側に移動させるように振動する。
【0054】
一方、出力軸43aを逆方向(
図10の時計回り方向)に回転させた場合は、トナー受け部材37の振動によってトナーを端縁37f側から端縁37g側にせり上がるように移動させてしまうため、トナー受け面37bに堆積したトナーが滑り落ちない。従って、本実施形態のように振動モーター43の出力軸43aを回転させることで、トナー受け面37bに堆積したトナーを下り勾配に沿って領域Rへ効果的に落下させることができる。
【0055】
さらに、トナー受け部材37の表面にはシート部材41a、41bが貼り付けられているため、トナー受け部材37へのトナーの付着を抑制することができる。また、シート部材41a、41bは支持部材本体36とトナー受け部材37との境界、及び係合部37d、ホルダー保持部37eを覆うように貼り付けられているため、支持部材本体36とトナー受け部材37との境界からトナー受け支持部材35の内部へのトナーの進入や、トナーの進入に起因する振動モーター43の動作不良も防止することができる。
【0056】
トナー受け部材37を振動させるタイミングとしては、印字動作の終了毎に行っても良いし、印字枚数が所定枚数に到達した時点や現像装置3a内の温度が所定以上になった時点等、所定のタイミングで行うようにしても良い。また、トナー受け部材37を振動させるタイミングと現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を逆回転(または順回転)させるタイミングは同じでも異なっていても良い。また、所定の印字枚数に到達する毎にトナー受け部材37を振動させることにより、印字枚数に応じてトナー受け部材37の振動が自動的に実行される。従って、ユーザー自身がトナー受け部材37の振動を手動で設定する必要がなくなり、設定ミスや設定忘れ、或いは不必要な振動の実行を回避することができる。
【0057】
図12は、本発明の第2実施形態に係る現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35の平面図であり、
図13は、
図12におけるトナー受け面37bとトナー崩し部材60との境界部分の拡大図、
図14及び
図15は、第2実施形態の現像装置3aにおけるトナー受け支持部材35周辺の側面断面図であって、それぞれ振動モーター43付近の断面及びコイルバネ40を含む断面を示す図である。なお、ここでは現像装置3aについて説明するが、現像装置3b〜3dについても同様の構成であるため説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、トナー崩し部材60の第2端縁60bにはスリット61が形成されておらず、トナー崩し部材60の長手方向と直交する方向の幅(第1端縁60aから第2端縁60bまでの長さ)L1がトナー受け面37bの長手方向と直交する方向の幅(屈曲部37aから端縁37gまでの長さ)L2よりも短く形成されている。トナー受け支持部材35の他の部分の構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
本実施形態においても、トナー崩し部材60の第2端縁60bはトナー受け面37bに対し接触または離間を繰り返しながら振動するため、トナー崩し部材60とトナー受け面37bとの境界付近に堆積したトナーがブロッキングを起こしても、ブロッキングした塊状のトナーはトナー崩し部材60の第2端縁60bの振動によって崩されながら端縁37f側に移動する。これにより、トナー受け面37bに堆積してブロッキングした塊状のトナーを効率良く振るい落とすことができる。
【0060】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態に示したトナー受け支持部材35やトナー受け部材37の形状や構成は一例であって上記各実施形態に特に限定されるものではなく、これらは装置構成等に応じて適宜設定することができる。
【0061】
例えば、上記各実施形態ではトナー崩し部材60の第1端縁60aをトナー受け面37bの感光体ドラム1a側の端縁37gに固定し、トナー崩し部材60の第2端縁60bをトナー受け面37bに対して揺動させる構成としたが、トナー崩し部材60の長手方向(
図8、
図12の左右方向)の両端部をトナー受け面37bに固定してもよい。この場合、トナー崩し部材60の第1端縁60aおよび第2端縁60bの両方がトナー受け面37bに対して固定されていないためトナー崩し部材60の振幅は大きくなるが、トナー受け面37bに対するトナー崩し部材60の固定領域が小さいためトナー崩し部材60の耐久性が低下する。また、第1端縁60a側からトナー受け面37bとトナー崩し部材60との隙間にトナーが入り込むおそれもある。従って、第1、第2実施形態のようにトナー崩し部材60の第1端縁60aをトナー受け面37bの感光体ドラム1a側の端縁37gに固定する構成が好ましい。
【0062】
また、上記各実施形態では、本発明を、二成分現像剤を用い、トナー供給ローラー30上に磁気ブラシを形成し、トナー供給ローラー30から現像ローラー31にトナーのみを移動させ、現像ローラー31から感光体ドラム1a〜1dにトナーを供給する現像装置3a〜3dに適用したが、その他、
図16に示すように、現像ローラー31とトナー供給ローラー30の配置を上記各実施形態とは逆にして、現像ローラー31(本構成においては上記各実施形態のトナー供給ローラー30と同様の構成の磁気ローラーとなる)表面に保持された二成分現像剤から成る磁気ブラシによって感光体ドラム1a〜1dにトナーを供給し、トナー供給ローラー30(本構成においては上記各実施形態の現像ローラー31と同様の構成となる)の表面に保持されているトナーを現像ローラー31に供給するとともに、トナー供給ローラー30を用いて現像ローラー31表面の余剰トナーを回収する現像装置にも適用することができる。この構成においても、現像ローラー31から落下したトナーがトナー供給ローラー30に対向する規制ブレード33周辺へ堆積することを効果的に抑制できる。