(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図10を用いて説明する。以下の説明では、画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0015】
(画像形成装置の概要)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る複合機100の概要を説明する。
図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0016】
複合機100は、内部に制御部1(メインコントロール基板)を含む。制御部1は複合機100の各部を制御する。制御部1は、各種演算や処理を行うCPU10(制御回路に相当)、画像データに対し画像処理を行って印刷や送信に用いる画像データを生成する画像処理部11を含む。また、制御部1には、ROM12、RAM13、フラッシュメモリー14(不揮発性半導体メモリーに相当)が搭載される。ROM12は、データを記憶し、読み出し専用の不揮発性メモリーである。RAM13は、読み書き可能な揮発性のメモリーである。フラッシュメモリー14は、データを記憶し、読み書き可能な不揮発性のメモリーである。また、制御部1には、大容量の不揮発性の記憶装置として、HDD15が接続される。CPU10は、ROM12、フラッシュメモリー14、HDD15に記憶されたソフトウェアや制御用データをRAM13に読み出し、演算や処理を行って複合機100の各部の制御を行う。
【0017】
複合機100は、原稿搬送部2aと画像読取部2bを含む。制御部1は、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス、不図示)に向けて連続的、自動的に原稿搬送部2aに搬送させる。制御部1は、原稿搬送部2aにより搬送される原稿や、載置読取用コンタクトガラス(不図示)にセットされた原稿を画像読取部2bに読み取らせ、画像データを生成させる。
【0018】
複合機100は、操作パネル3を有する。操作パネル3は、印刷やスキャンに関する設定画面や各種メッセージを表示する表示パネル31、表示パネル31に対して設けられたタッチパネル32、スタートキーのようなハードキー33を含む。操作パネル3は、印刷ジョブや送信ジョブのようなジョブの実行条件の設定(設定値の設定操作)を受け付ける。制御部1は、操作パネル3で設定された内容を認識する。
【0019】
複合機100の内部に印刷部4が設けられる。印刷部4は、給紙部4a、用紙搬送部4b、画像形成部4c、定着部4dを含む。印刷時、制御部1は、給紙部4aに用紙を供給させる。制御部1は、給紙部4aから送り出された用紙を用紙搬送部4bに搬送させる。制御部1は、画像データに基づきトナー像を画像形成部4cに形成させ、搬送される用紙に転写させる。制御部1は、トナー像が転写された用紙を定着部4dに加熱・加圧させる。これにより、用紙にトナー像が定着する。定着後の用紙は用紙搬送部4bにより機外に排出される。
【0020】
又、制御部1は、通信部16を含む。通信部16は、コネクター、通信用チップ、メモリーを含み、ネットワーク300を介し、PCやサーバーのようなコンピューター200と通信を行う。制御部1は、通信部16がコンピューター200から受信した印刷用データ(画像データや印刷設定)に基づき印刷部4に印刷を行わせる(プリンター機能)。又、通信部16は、画像データをコンピューター200に送信できる(送信機能)。
【0021】
(電源装置5)
次に、
図2を用いて、実施形態に係る複合機100の電源装置5の一例を説明する。
図2は、実施形態に係る電源装置5の一例を示す図である。
【0022】
複合機100は、電源装置5を含む。電源装置5は、電源制御部50、1次電源部51、2次電源部52を含む。電源コードC1は、商用電源400と複合機100(1次電源部51)を接続する。1次電源部51は、商用電源400(交流電源)から供給された電力を変換し、直流電圧を生成する。1次電源部51は、トランスやスイッチング素子を含むスイッチング電源回路である。1次電源部51は、予め設定された電圧を生成し出力する。例えば、1次電源部51は、モーター駆動用のDC24Vを生成する。
【0023】
各回路、各素子の動作に要する電圧の生成も必要である。例えば、フラッシュメモリー14の動作用の電圧(例えば、DC5V)やCPU10の動作用の電圧が必要である。そこで、2次電源部52は、1次電源部51の生成電圧に基づき、直流電圧を生成する。
【0024】
2次電源部52は、DCDCコンバーターのような電力変換回路53である。CPU10、画像処理部11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリー14、HDD15、原稿搬送部2a、画像読取部2b、操作パネル3、印刷部4に含まれる回路、素子の動作に複数種の電圧生成が必要な場合、2次電源部52内に電力変換回路53を複数設けてもよい。また、制御部1、原稿搬送部2a、画像読取部2b、印刷部4のように供給する部分ごとに電力変換回路53を設けてもよい。電力変換回路53の出力電圧は予め設定される。2次電源部52は、DC5.0Vのような制御部1、HDD15、原稿搬送部2a、画像読取部2b、操作パネル3、印刷部4の動作に必要な大きさの電圧(動作電源電圧)を生成し、供給する。なお、2次電源部52には、商用電源400の交流電力を直接変換し、設定された電圧を生成する電力変換回路53を含めてもよい。このように、電源装置5は、外部(商用電源400)から入力される交流電力に基づきデバイスを動作させるための電圧を生成する。
【0025】
部分ごとに電力供給のON/OFFできるように、スイッチ部54が設けられる。スイッチ部54は、トランジスタのようなスイッチング素子である。スイッチ部54は複数設けることができる。電源制御部50は、各スイッチ部54のON/OFFを制御する。
【0026】
主電源スイッチ55の操作によって複合機100の主電源が投入されたとき、電源制御部50は、誤動作の防止の観点から、予め定められた順番で、予め定められた時点にそれぞれのスイッチ部54をONしてゆく。複数の電力変換回路53が設けられる場合、電源制御部50は、各電力変換回路53のON時点も制御する。主電源投入に伴い、複合機100の各部分への電力供給が順番に開始される。電力供給が開始された部分では、起動が開始される。起動が全ての部分で完了すると、複合機100の起動が完了する。
【0027】
なお、主電源スイッチ55(不図示)の操作によって複合機100の主電源がOFFされたとき、電源制御部50は、予め定められた順番で、予め定められた時点にそれぞれの電力変換回路53の動作を停止させる。また、電源制御部50は、それぞれのスイッチ部54を予め定められた時点にOFFしてゆく。
【0028】
(フラッシュメモリー14の制御と交流電力供給の遮断の検知)
次に、
図3を用いて、実施形態に係る複合機100でのフラッシュメモリー14の制御と交流電力供給の遮断の検知の一例を説明する。
図3は、実施形態に係る複合機100でのフラッシュメモリー14の制御と交流電力供給の遮断の検知の一例を説明するための図である。
【0029】
図3に示すように、制御部1(メイン制御基板)には、CPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17が設けられる。フラッシュコントローラー17は、フラッシュメモリー14へのデータの書き込み及びフラッシュメモリー14からのデータの読み出しを制御する回路(チップ、デバイス)である。CPU10は、フラッシュコントローラー17に指示を与える。フラッシュコントローラー17は、CPU10の指示に基づき、フラッシュメモリー14のデータの読み書きを行う。つまり、CPU10は、フラッシュメモリー14を制御する。
【0030】
CPU10は、フラッシュメモリー14へのデータのイレース、書き込み、読み出しを、ROM12、フラッシュメモリー14、HDD15に記憶されるプログラムやデータに基づきフラッシュコントローラー17に行わせる。
【0031】
図3に示すように、電源装置5の2次電源部52は、CPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17を動作させるための電圧を生成し、供給する。CPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17は、電源装置5から供給される電力により動作する。本説明では、同じ電力変換回路53からCPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17への電力供給がなされ、印加電圧が同じ場合を説明する。
【0032】
複合機100には、AC検知信号S1を出力するAC検知回路6が設けられる。AC検知回路6は、交流電力供給が遮断されているときオフ検知レベルのAC検知信号S1を出力し、交流電力供給がなされているときオン検知レベルのAC検知信号S1を出力する。つまり、AC検知回路6は、複合機100への商用電源400からの交流電力供給の遮断の有無に応じて異なるレベルのAC検知信号S1を出力する。以下の説明では、オフ検知レベルがLowレベルであり、オン検知レベルがHighレベルである場合を説明する。
【0033】
AC検知回路6は、整流回路61、絶縁回路62、フィルター回路63、シュミットトリガー回路64を含む。例えば、整流回路61は、ダイオードブリッジであり、複合機100に入力される交流電力の全波整流を行う。例えば、絶縁回路62は、トランスであり、AC検知回路6の入力と出力を電気的に絶縁する。例えば、フィルター回路63は、コンデンサーを含み、トランスの出力を平滑化する。シュミットトリガー回路64は、2つの閾値を持つ。シュミットトリガー回路64は、フィルターの出力電圧が大きい方の閾値を超えたとき、Highレベル(オン検知レベル)を出力する。シュミットトリガー回路64は、フィルターの出力電圧が小さい方の閾値を下回ったとき、Lowレベル(オフ検知レベル)を出力する。
【0034】
交流電圧(商用電源400)の正弦波が継続して入力され、フィルターの出力電圧が大きい方の閾値を超えている間、シュミットトリガー回路64は、オン検知レベル(Highレベル)を維持する。一方、交流電圧(商用電源400)の正弦波の入力がない状態では、フィルターの出力電圧が小さい方の閾値を下回るので、シュミットトリガー回路64の出力レベルは、オフ検知レベルとなる。
【0035】
AC検知回路6(シュミットトリガー回路64)の出力(AC検知信号S1)は、CPU10に入力される。CPU10は、AC検知信号S1のレベルに基づき、交流電力供給の有無を認識する。AC検知信号S1がオン検知レベルの状態で、例えば、交流電力の正弦波の半周期から数周期、交流電力供給の遮断されたとき、フィルターの出力電圧が低下し、AC検知信号S1の出力は、オフ検知レベルとなる。CPU10は、AC検知信号S1がオン検知レベルからオフ検知レベルになったとき、交流電力供給が遮断されたと認識する。AC検知信号S1がオフ検知レベルである状態で、交流電力が供給されたとき、フィルターの出力電圧が上昇し、AC検知信号S1の出力は、オン検知レベルとなる。CPU10は、AC検知信号S1がオフ検知レベルからオン検知レベルになったことにより、今まで遮断されていた交流電力の供給が開始(再開)されたと認識する。
【0036】
(交流電力供給の遮断の検知時の処理の流れ)
次に、
図4〜
図9を用いて、実施形態にかかる複合機100での交流電力供給の遮断の検知時の処理の流れの一例を説明する。
図4は、実施形態にかかる複合機100での交流電力供給の遮断の検知時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5、6は、交流電力供給の遮断の検知時のタイミングチャートの一例を示す図である。
図7は、実施形態に係る時間データD2の一例を示す図である。
図8は、実施形態にかかる複合機100でのCPU10のリセットの一例を示す図である。
図9は、交流電力供給の遮断の検知時のタイミングチャートの一例を示す図である。
【0037】
図4のスタートの前に、電源装置5に商用電源400から交流電力が供給され、電源装置5(電力変換回路53)でCPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17の動作電源電圧が生成されている。
図4のスタートは、主電源投入や省電力モードの解除によりCPU10が起動し、フラッシュメモリー14への書き込みやフラッシュメモリー14でのデータのイレースを行える状態となった時点である。主電源OFF時や省電力モードでは、電源装置5は、フラッシュメモリー14への電力供給を停止する。そのため、
図4のフローチャートは、複合機100が通常モードの間、実行される。
【0038】
まず、CPU10は、AC検知信号S1がオフ検知レベルになっているか否かを確認する(ステップ♯1)。言い換えると、CPU10は、交流電力供給の遮断が生じているか否かを確認する。オフ検知レベルになっていないとき(ステップ♯1のNo)、フローは、ステップ♯1に戻る。このように、CPU10は、AC検知信号S1がオフ検知レベルになっているか否かの確認を周期的に行う。一方、オフ検知レベルになったとき(ステップ♯1のYes)、CPU10は、複合機100の状態に基づき検知確定時間T0を定める(ステップ♯2、詳細は後述)。
【0039】
そして、AC検知信号S1のオン検知レベルからオフ検知レベルへの変化を認識したとき、CPU10は、定めた検知確定時間T0の経過前に、交流電力の入力の遮断の履歴D1をフラッシュメモリー14に記憶させる(ステップ♯3)。これにより、交流電力供給の異常の記録を残すことができる。例えば、CPU10は、オン検知レベルからオフ検知レベルへの変化を認識した日時を履歴D1としてフラッシュメモリー14に記憶させる。
【0040】
CPU10は、AC検知信号S1がオフ検知レベルになったことを認識した遮断時点てから検知確定時間T0の経過を待つ(ステップ♯4)。遮断時点から検知確定時間T0が経過したとき(経過した時点で)、CPU10は、AC検知信号S1に基づき、フラッシュメモリー14のアクセスを停止すべきか否かを判断する(ステップ♯5)。
【0041】
このように、CPU10は、遮断時点から検知確定時間T0の経過した時点でフラッシュメモリー14のアクセスを停止させるか否かを判断する。つまり、CPU10は、AC検知信号S1がオン検知レベルからオフ検知レベルへの変化を認識した遮断時点から予め定められた検知確定時間T0が経過するまではフラッシュメモリー14へのアクセスを停止させない。
【0042】
具体的に、CPU10は、ステップ♯5の判断時点でAC検知信号S1のレベルを確認する。オン検知レベルのとき(ステップ♯5のNo)、CPU10は、フラッシュメモリー14にアクセスできる状態を維持する(ステップ♯6)。
【0043】
図5を用いて、ステップ♯5のNo及びステップ♯6を説明する。
図5のタイミングチャートでは、オン検知レベルのAC検知信号S1が、時点t1でオフ検知レベルとなっている。
図5では、時点t1が遮断時点である。
図5では、時点t1から検知確定時間T0が経過した時点t2の前までにAC検知信号S1がオン検知レベルに回復している。
【0044】
DCDCコンバーターのような電力変換回路53に含まれるコンデンサーやコイルには、エネルギー(電荷)が蓄えられている。そのため、
図5に示すように、交流電力供給の遮断が一時的(瞬間的)であるとき、CPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17に印加される電圧(2次電源部52出力)の変化は無い又はほとんど無い。
【0045】
ステップ♯5の判断時点でAC検知信号S1のレベルがオン検知レベルのとき、交流電力供給の遮断が瞬間的であり、以後、CPU10、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17に印加される電圧の低下によってフラッシュメモリー14は停止しないとみなせる。そのため、フラッシュメモリー14へのアクセスを停止させる必要はない。そこで、ステップ♯5の判断時点でAC検知信号S1がオン検知レベルのとき、CPU10は、フラッシュメモリー14にアクセスできる状態を維持する(ステップ♯6)。つまり、CPU10は、フラッシュコントローラー17にフラッシュメモリー14へのアクセス停止の指示を出さない。ステップ♯6の後、フローは、ステップ♯1に戻る。
【0046】
一方、CPU10は、ステップ♯5の判断時点でAC検知信号S1のレベルがオフ検知レベルのとき(ステップ♯5のYes)、CPU10は、フラッシュメモリー14へのアクセスを停止させる(ステップ♯7)。
【0047】
図6を用いて、ステップ♯5のYes及びステップ♯7を説明する。
図6のタイミングチャートでは、オン検知レベルのAC検知信号S1が、時点t3でオフ検知レベルとなっている。
図6では、時点t3が遮断時点である。そして、
図6では、時点t3から検知確定時間T0が経過した時点t4の時点でまだAC検知信号S1がオフ検知レベルを維持している。
【0048】
図6に示すように、交流電力供給の遮断が継続的であるとき、2次電源部52のDCDCコンバーターのような電力変換回路53に含まれるコンデンサーやコイルに蓄えられたエネルギー(電荷)は、処理を行うCPU10などにより消費される。その結果、制御回路、フラッシュメモリー14、フラッシュコントローラー17に印加される電圧(2次電源部52出力)が次第に低下してゆく。
【0049】
CPU10、フラッシュコントローラー17、フラッシュメモリー14の何れかが停止した時点でフラッシュメモリー14の動作が停止する。ステップ♯5の判断時点でAC検知信号S1のレベルがオフ検知レベルのとき、これからフラッシュメモリー14の書き込みやイレースを行った場合、書き込みやイレース中にフラッシュメモリー14が停止することが考えられる。そこで、ステップ♯5の判断時点でAC検知信号S1がオフ検知レベルのとき、CPU10は、フラッシュメモリー14へのアクセスを停止させる(ステップ♯7)。つまり、CPU10は、フラッシュコントローラー17にフラッシュメモリー14へのアクセス停止の指示を出す。
【0050】
ここで、
図7を用いて、複合機100の状態に基づく検知確定時間T0の設定を説明する。具体的に、CPU10は、遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行している場合の検知確定時間T0を、交流電力供給の遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行していない場合の検知確定時間T0よりも短くする。また、CPU10は、交流電力供給の遮断時点に実行しているジョブの種類に応じて検知確定時間T0を変化させ、制御回路は、データ処理量が多いジョブほど検知確定時間T0を短くする。
【0051】
複合機100は、ジョブを実行するジョブ実行部として、制御部1、通信部16、HDD15、原稿搬送部2a、画像読取部2b、印刷部4を含む。複合機100では、複数種のジョブを実行できる。
【0052】
例えば、コピージョブのとき、制御部1は、原稿搬送部2a、画像読取部2bに原稿を読み取らせ、原稿読み取りで得られた画像データを処理し、処理後の画像データに基づき印刷部4に印刷させる。プリントジョブのとき、制御部1は、コンピューター200からの印刷用データを通信部16に受信させ、印刷用データに基づき画像データを生成し、生成した画像データを処理し、処理後の画像データに基づき印刷部4に印刷させる。スキャン送信ジョブのとき、制御部1は、原稿搬送部2a、画像読取部2bに原稿を読み取らせ、原稿読み取りで得られた画像データを処理し、処理後の画像データを通信部16に送信させる。ボックス保存ジョブのとき、制御部1は、原稿搬送部2a、画像読取部2bに原稿を読み取らせ、原稿読み取りで得られた画像データを処理し、処理後の画像データをHDD15に記憶させる。複合機100では他種のジョブも実行可能であるが、説明は割愛する。
【0053】
ジョブを実行しているとき、CPU10のデータ処理量(使用率)は大きくなる。そのため、CPU10の消費電力は、ジョブを実行していないときよりもジョブを実行しているときの方が基本的に大きくなる。
【0054】
また、制御部1は、コピージョブでは、原稿搬送部2a、画像読取部2bを制御するが、プリントジョブでは、原稿搬送部2a、画像読取部2bを制御しない。そのため、CPU10のデータ処理量は、制御する部分が多いコピージョブの方がプリントジョブよりも多い傾向がある。また、制御部1は、コピージョブ、スキャン送信ジョブ、ボックス保存ジョブでは、原稿搬送部2a、画像読取部2bを制御する。しかし、コピージョブで用いる印刷部4は制御する部分、内容が多いので、CPU10のデータ処理量は、スキャン送信ジョブとボックス保存ジョブよりもコピージョブの方が多くなる場合がある。このように、ジョブの種類によってCPU10の消費電力に差が出る場合がある。
【0055】
DCDCコンバーターのような電力変換回路53は、CPU10に動作電源電圧を供給する。交流電力供給の遮断が続いている場合、CPU10の消費電力が大きい状態ほど、電力変換回路53に蓄えられたエネルギーが速く消費され、CPU10に印加される電圧の低下が速くなり、交流電力供給の遮断からCPU10が停止するまでの時間が短くなる。フラッシュメモリー14のアクセス停止の判断は、CPU10が停止するまでに行う必要がある。
【0056】
交流電力供給の遮断時点の複合機100の状態に応じた検知確定時間T0を定めた時間データD2がフラッシュメモリー14に記憶される(
図3参照)。時間データD2は、ROM12やHDD15に記憶させてもよい。
図7のうち、遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行していない場合の検知確定時間T0が第1時間T1である。遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行している場合の検知確定時間T0が第2時間T2と第3時間T3である。第2時間T2と第3時間T3は、第1時間T1よりも短い。
【0057】
また、
図7では、遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行しており、CPU10のデータ処理量が多くなる傾向があるコピージョブを実行しているときの検知確定時間T0を第3時間T3とし、コピージョブ以外のジョブを実行しているときの検知確定時間T0を第2時間T2とする例を示している。なお、
図7のうち、第2時間T2を割り当てているジョブに第3時間T3を割り当ててもよい。第2時間T2は、第3時間T3よりも短い。
【0058】
各時間の長短関係は、T1>T2>T3とする。例えば、第1時間T1=40ミリ秒、第2時間T2=30ミリ秒、第3時間T3=20ミリ秒とできる。ステップ♯2において、CPU10は、複合機100のジョブの実行状態を判定し、時間データD2を参照して検知確定時間T0を定める。
【0059】
CPU10がフラッシュメモリー14へのアクセスを停止させたとき(ステップ♯7)、複合機100に設けられたリセット回路7は、CPU10に入力される電圧が予め定められたリセット電圧Vresetを下回ったか否かを確認する(ステップ♯8)。
【0060】
図8に示すように、CPU10に対しリセット回路7が設けられる。CPU10に入力される電圧は、リセット回路7にも入力される。交流電力供給の遮断が続き、CPU10に入力される電圧がリセット電圧Vresetを下回ったとき(ステップ♯8のYes)、リセット回路7は、CPU10にリセット信号を入力する(ステップ♯9)。これにより、CPU10は、リセット状態(何もしない状態)となり、動作(処理)を停止する(ステップ♯10)。そして、本フローは終了する(エンド)。複合機100を利用できる状態に戻すには、例えば、主電源を再投入しCPU10や複合機100を再起動する。
【0061】
CPU10に入力される電圧がリセット電圧Vreset以上のとき(CPU10が動作を続けているとき、ステップ♯8のNo)、CPU10は、AC検知信号S1がオン検知レベルになっているか否かを確認する(ステップ♯11)。言い換えると、CPU10は、交流電力供給が再開されたか否かを確認する。
【0062】
AC検知信号S1がオン検知レベルになっていないとき(ステップ♯11のNo)、フローはステップ♯8に戻る。一方、交流電力供給が再開されたためにAC検知信号S1がオン検知レベルに戻ったとき(ステップ♯11のYes)、電力不足によるフラッシュメモリー14の停止は生じないと認められる。そこで、CPU10は、フラッシュメモリー14へのアクセス停止を解除する(ステップ♯12)。つまり、CPU10は、フラッシュコントローラー17にフラッシュメモリー14へのアクセス停止の解除指示を出す。そして、フローは、ステップ♯1に戻る。
【0063】
図9を用いて、ステップ♯11のYes及びステップ♯12を説明する。
図9のタイミングチャートでは、オン検知レベルのAC検知信号S1が、時点t5でオフ検知レベルとなっている。
図9では、時点t5が遮断時点である。そして、
図9では、時点t5から検知確定時間T0が経過した時点t6でまだAC検知信号S1がオフ検知レベルを維持している。これにより、CPU10は、フラッシュメモリー14へのアクセスを時点t6で停止させる。電力変換回路53(2次電源部52)の電圧出力、つまり、CPU10に入力される電圧は次第に低下する。
【0064】
フラッシュメモリー14へのアクセス停止後、CPU10は、動作している間、AC検知信号S1のレベルを確認する。
図9では、アクセス停止後、CPU10は、時点t7にAC検知信号S1がオン検知レベルに復帰したと認識する。オン検知レベルへの復帰を認識したとき、CPU10は、フラッシュメモリー14へのアクセス停止を解除する。このように、交流電力供給が再開され、電源装置5が出力する電圧が正常値に復帰したとき、フラッシュメモリー14へのアクセス停止という異常状態が自動的に解消される。
【0065】
(履歴D1の出力)
次に、
図10を用いて、実施形態に係る複合機100での履歴D1の出力の流れの一例を説明する。
図10は、実施形態に係る複合機100での履歴D1の出力の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
複合機100では、交流電力供給の遮断の異常の履歴D1が記録される(
図4のステップ♯3参照)。履歴D1は蓄積されていく。複合機100では、蓄積された履歴D1を出力することができる。複合機100は、表示を行う表示パネル31、データを送信する通信部16、印刷を行う印刷部4を含む。複合機100では、蓄積された履歴D1について、表示パネル31での表示出力、通信部16から所定のコンピューター200への送信出力、印刷部4による印刷出力を行うことができる。
【0067】
図10のスタートは、履歴D1の出力形式を選択するための履歴D1出力画面を表示パネル31に表示させるための所定の操作が操作パネル3のタッチパネル32やハードキー33になされた時点である。
【0068】
操作パネル3(タッチパネル32、ハードキー33)は、履歴D1出力画面において、表示、送信、印刷のうち履歴D1の出力形式を選択する操作を受け付ける(ステップ♯21)。出力形式は、表示、送信、印刷のうち、1つでもよいし、2つでもよいし、全てでもよい。CPU10(制御部1)は、操作パネル3と通信を行い、選択された出力形式を認識する(ステップ♯22)。CPU10(制御部1)は、選択された出力形式に応じて、表示パネル31、通信部16、印刷部4のうち、何れか1つ、又は、複数に蓄積された履歴D1を出力させる(ステップ♯23→エンド)。
【0069】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、画像形成装置は、電源装置5、不揮発性半導体メモリー(フラッシュメモリー14)、AC検知回路6、制御回路(CPU10)を含む。電源装置5は、外部から供給される交流電力に基づき電圧を生成する。不揮発性半導体メモリーは、電源装置5から電力供給を受けて動作し、データを記憶し、読み書き可能である。AC検知回路6は、交流電力供給が遮断されているときオフ検知レベルのAC検知信号S1を出力し、交流電力供給がなされているときオン検知レベルのAC検知信号S1を出力し、画像形成装置(複合機100)への交流電力供給の遮断の有無に応じて異なるレベルのAC検知信号S1を出力する。制御回路は、電源装置5から電力供給を受けて動作し、不揮発性半導体メモリーを制御し、AC検知信号S1が入力され、AC検知信号S1がオン検知レベルからオフ検知レベルへの変化を認識した時点である遮断時点から予め定められた検知確定時間T0が経過するまで不揮発性半導体メモリーへのアクセスを停止させず、検知確定時間T0の経過時点でもAC検知信号S1がオフ検知レベルのとき、不揮発性半導体メモリーへのアクセスを停止させ、検知確定時間T0の経過時点のAC検知信号S1がオン検知レベルの場合、不揮発性半導体メモリーへのアクセスを停止させない。
【0070】
これにより、画像形成装置への交流電力供給の遮断を検知したとき、直ちに不揮発性半導体メモリーへのアクセスを停止せず、継続的な交流電力供給の遮断の場合のみ、制御回路は、不揮発性半導体メモリーへのアクセスを停止させる。従って、一時的、瞬間的な交流電力供給の遮断では不揮発性半導体メモリーへのアクセスは停止されないので、不要な不揮発性半導体メモリーのアクセス停止を無くすことができる。また、不揮発性半導体メモリーの動作が停止する可能性がある場合にはアクセス停止がなされるので、不揮発性半導体メモリーのデータの破損を防ぐこともできる。
【0071】
制御回路の消費電力は、データ処理量が多いジョブ実行時の方が、ジョブを実行していないときよりも大きい。交流電力供給が遮断している状態では、電源装置5のコンデンサーやコイルに蓄えられたエネルギー(電荷)を消費しつつ、電源装置5から制御回路に印加される電圧が次第に低下する。制御回路に印加される電圧は、電力消費が大きいジョブ実行時の方が低下しやすい。そこで、制御回路は、遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行している場合の検知確定時間T0を、遮断時点にジョブ実行部がジョブを実行していない場合の検知確定時間T0よりも短くする。ジョブ実行部は、制御部1、通信部16、HDD15、原稿搬送部2a、画像読取部2b、印刷部4のようなジョブを実行時に動作する部分である。
【0072】
これにより、画像形成装置の状態にあわせて不揮発性半導体メモリーのアクセスを停止するか否かを判断することができる。制御回路に印加される電圧が低下しやすいジョブ実行時、検知確定時間T0を短くし、制御回路が停止する前に不揮発性半導体メモリーのアクセス停止の必要性を判断できる。
【0073】
制御回路の消費電力は、データ処理量が多いほど(使用率が高いほど)大きくなる。ジョブの種類により、データ処理量に差がある。そこで、制御回路は、遮断時点に実行しているジョブの種類に応じて検知確定時間T0を変化させる。制御回路は、データ処理量が多いジョブほど検知確定時間T0を短くする。これにより、実行しているジョブの種類にあわせて不揮発性半導体メモリーのアクセスを停止するか否かを判断することができる。言い換えると、電源装置5に蓄えられているエネルギーの減少速度に応じて、アクセスを停止するか否かを判断することができる。制御回路に印加される電圧の低下が速いと考えられるジョブでは、検知確定時間T0を短くし、制御回路が停止する前に不揮発性半導体メモリーのアクセス停止の必要性を判断する。
【0074】
また、検知確定時間T0の経過時点でもAC検知信号S1がオフ検知レベルであったために不揮発性半導体メモリーへのアクセスを停止した後、AC検知信号S1がオン検知レベルになったとき、制御回路は、不揮発性半導体メモリーへのアクセス停止を解除する。これにより、画像形成装置への交流電力供給の遮断の発生後、制御回路や不揮発性半導体メモリーに印加される電圧値が復帰した場合、不揮発性半導体メモリーへのアクセス停止が自動的に解除される。これにより、交流電力供給の遮断の異常に対応するための処置を自動解除し、交流電力供給の正常化にあわせ、画像形成装置を通常状態に戻すことができる。
【0075】
また、AC検知信号S1のオン検知レベルからオフ検知レベルへの変化を認識したとき、制御回路は、検知確定時間T0の経過前に、交流電力供給の遮断の履歴D1を不揮発性半導体メモリーに記憶させる。これにより、交流電力供給が不安定であることや、交流電力の異常発生頻度を示す記録を残すことができる。
【0076】
また、実施形態に係る画像形成装置は、表示を行う表示パネル31、データを送信する通信部16、印刷を行う印刷部4を含む。制御回路は、表示パネル31への履歴D1の表示出力と、通信部16によるコンピューター200への履歴D1の送信出力と、印刷部4による履歴D1の印刷出力の何れか1つ又は複数を行わせる。これにより、交流電力供給が不安定であることや、交流電力の異常発生頻度を示し、建物や画像形成装置の管理者に、屋内配電の異常の可能性の検討や、電源環境の見直しを促すための資料を提供することができる。
【0077】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。