(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部成形空間を、前記清掃用軟質部を成形する清掃用軟質部成形空間の中心軸に対して実質的に対称となる周方向に互いに実質的に180度ずれた二箇所に連通して繋がるように構成した請求項1記載の歯間清掃具の製造方法。
前記ハンドル部における前記滑り止め部が被覆される領域よりも基端側に、貫通又は有底の穴部を有する領域を設けてなる請求項1〜5の何れか1項に記載の歯間清掃具の製造方法。
【背景技術】
【0002】
歯間清掃具として、合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル部と、前記ハンドル部の先端部に設けた細長い軸状の芯部とを有し、前記軟質部は、前記芯部を被覆する清掃用軟質部を有し、前記ハンドル部で持ち手としての把持部を構成し、前記芯部と清掃用軟質部とで歯間清掃用の清掃部を構成したものが実用化されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
前記歯間清掃具の製造方法としては、第1金型の第1成形空間に合成樹脂材料を充填して基材部を製作し、第1金型にて成形した基材部を第2金型の第2成形空間にセットして、第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形することで、歯間清掃具を得るようになした製造方法が広く採用されている。また、通常は、複数個の歯間清掃具を同時成形できるように、第1金型に複数個の第1成形空間を形成するとともに、第2金型に第1成形空間と同数の第2成形空間を形成し、歯間清掃具を製作する際には、複数個の第1成形空間に対して共通のランナから合成樹脂材料を供給して、複数個の基材部を同時に製作し、ランナにて連結された複数個の基材部からなる一次成形品を第2金型の第2成形空間にセットして、共通のランナを通じて複数個の第2成形空間にエラストマ材料を充填することで、複数個の歯間清掃具を同時成形している。
【0004】
ところで、前記第2成形空間へのエラストマ材料の充填は、金型構造をできるだけ簡単にするため、通常は、第2成形空間における歯間清掃具の先端側にゲートを配置させて、第2成形空間に装填した基材部の芯部の先端側から基端側へ向けてエラストマ材料を充填するように構成している。また、エラストマ材料は比較的粘性が高いことから、第2成形空間内における清掃用軟質部の成形時に、芯部の基部側から芯部の先端部側へ向けてエラストマ材料を充填すると、清掃用軟質部の先端部に充填不良が発生することがあるので、このことからも、通常は、芯部の先端側から基端側へ向けてエラストマ材料を充填して、清掃用軟質部の先端部における成形不良を防止するように構成している。
【0005】
ところが、前述のように芯部の先端部から基端側へ向けてエラストマ材料を充填すると、金型構造を簡単にでき、しかも清掃用軟質部の先端部における成形不良を防止できるが、ゲート部の開口面積を大きくすることができず、エラストマの注入量を多くすることができないため、把持部側までエラストマ材料を十分に充填できず、把持部に滑り止め部などを形成することが困難になったり、充填したエラストマの温度が早く低下してしまうので、芯部を構成する合成樹脂と接着しにくく、滑り止め部が剥がれ易くなったりすること、芯部の先端部が軟化して変形しないように、芯部の直径がどうしても大きくなり、清掃部を歯間に挿入できなくなったり、歯間へ挿入可能な清掃部の長さが短くなったりして、十分な清掃性が得られないこと、などの問題があった。
【0006】
そこで、本出願人は、特許文献4において、第2成形空間にハンドル部の外周に沿った環状の貯留空間を形成し、該貯留空間にエラストマ材料を貯留して、該貯留空間からハンドル部に沿って形成した複数の連結部成形空間を通じて、清掃部成形空間の基部に、その全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給するように構成した歯間清掃具の製造方法を提案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記特許文献4記載の製造方法においても、貯留空間へのエラストマ材料の供給口と、該貯留空間から連結部成形空間へのエラストマ材料の供給口との距離が、複数の連結部成形空間の間において異なると、複数の連結部成形空間へのエラストマ材料の供給タイミングに差が生じ、複数の連結部成形空間から清掃部成形空間の基部へのエラストマ材料の供給タイミングにバラツキが発生し、清掃用軟質部の品質が低下したり、ハンドル部におけるエラストマ層の厚さにバラツキを生じ、外観上の課題が発生することを見出した。
【0009】
また、前記特許文献4記載の製造方法では、第2金型に対して複数の第2成形空間を並列状に形成し、ランナへ供給したエラストマ材料を複数の供給路を通じて、前記複数の第2成形空間に対して個別に供給する関係上、第2金型の合わせ面にランナを配置することができず、金型構造が複雑になるという問題があるとともに、エラストマ材料の無駄が多くなる。しかも、ランナの一端側から他端側へエラストマ材料が順次供給される関係上、一端側の第2成形空間と他端側の第2成形空間とでエラストマ材料の供給タイミングに時間差が発生し、清掃用軟質部の品質にバラツキが発生する可能性があることを見出した。
【0010】
本発明の目的は、ハンドル部に形成する滑り止め部を有効活用して、清掃用軟質部の品質を向上でき、しかも歯間清掃具間におけるハンドル部に被覆される滑り止め部や清掃用軟質部の品質バラツキを少なくし得る歯間清掃具の製造方法および該製造方法で製造された歯間清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る歯間清掃具の製造方法は、合成樹脂材料を用いて成形され、ハンドル部及び該ハンドル部の先端部に設けられる細長い軸状の芯部を有する基材部と、前記基材部上にエラストマ材料を用いて成形され、前記芯部の少なくとも実質的に一部に被覆される清掃用軟質部、前記ハンドル部の少なくとも実質的に一部に被覆される滑り止め部、及び同じくハンドル部の少なくとも一部に被覆され、前記滑り止め部の二箇所から延びて前記清掃用軟質部に繋がる連結部を有する軟質部とを備える歯間清掃具の製造方法であって、前記軟質部を成形する金型のゲートを、前記滑り止め部を成形する滑り止め部成形空間のうち、前記連結部を成形する連結部成形空間に連通する前記二箇所の連通口の位置から略等しい距離となる位置に開口させ、該ゲートから前記軟質部の成形空間に前記エラストマ材料を充填するものである。
【0012】
より具体的には、合成樹脂材料を用いて成形され、ハンドル部及び該ハンドル部の先端部に設けられる、先端側へ向けて縮径するテーパ状で細長い軸状の芯部を有する基材部と、前記基材部上にエラストマ材料を用いて成形され、前記芯部の少なくとも実質的に一部に被覆される清掃用軟質部であって、芯部に被覆される厚さ0.1mm〜0.3mmの被覆部と、被覆部に長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した長さ0.1mm〜2.0mmの複数の突起部とを有する清掃用軟質部、前記ハンドル部の少なくとも実質的に一部に被覆される厚さ0.1mm〜0.6mm(より好ましくは、0.2〜0.5mm)の滑り止め部、及び同じくハンドル部の少なくとも一部に被覆され、前記滑り止め部の二箇所から延びて前記清掃用軟質部に繋がる連結部を有する軟質部とを備える歯間清掃具の製造方法に関するものである。ここで、清掃用軟質部の突起部は棒状の突起に限定されるものではなく、周方向に連続的に延びる板状の突起、例えば略180度の範囲にわたって延びる半円板状の突起など、種々の形態が可能である。
【0013】
この製造方法では、軟質部の成形空間にハンドル部をセットして軟質部を成形するときに、滑り止め部成形空間から連結部成形空間を通じて清掃部の成形空間へエラストマ材料を供給することになる。軟質部の成形時にエラストマ材料を金型に注入するための金型のゲートを、滑り止め部を成形する滑り止め部成形空間のうち、連結部を成形する連結部成形空間に連通する二箇所の連通口の位置から略等しい距離となる位置に開口させるため、軟質部の成形時にゲートから滑り止め部成形空間へ供給したエラストマ材料を、該滑り止め部成形空間から連結部成形空間に対して同時に供給することが可能となる。このため、複数の連結部成形空間から清掃部の成形空間に対して同じタイミングでエラストマ材料を供給できることから、清掃用軟質部の成形不良が効果的に防止され、歯間清掃具の品質が向上する。また、芯部の基部側からエラストマ材料を充填するので、ハンドル部に対して滑り止め部を無理なく成形することが可能となる。更に、断面積の大きい芯部の基部側からエラストマ材料を充填するので、エラストマ材料の充填時における熱による芯部の変形を防止しつつ、芯部の先端側部分を小径に構成することが可能となることから、歯間に挿入可能な清掃部の長さを極力長く設定し、歯間の清掃性を向上することができる。更にまた、この製造方法にて製作した歯間清掃具には、ハンドル部にエラストマ材料からなる滑り止め部及び連結部が成形されるので、滑り止め部及び連結部により歯間清掃具のハンドリング性を向上できる。
【0014】
ここで、前記連結部成形空間を、前記清掃用軟質部を成形する清掃用軟質部成形空間の中心軸に対して実質的に対称となる周方向に互いに実質的に180度ずれた二箇所に連通して繋がるように構成することが好ましい実施の形態である。二箇所の連通孔は、両連通孔から同じ距離だけ離れた中間位置にゲートが配置されていれば、清掃用軟質部成形空間の中心軸に対する周方向の角度は180度以外の角度に設定しても、二箇所の連通孔に対して同じタイミングでエラストマ材料を供給することができるが、清掃用軟質部成形空間の中心軸に対する周方向の角度を180度に設定することで、2つの連結部成形空間から清掃部成形空間に対してより精度良く同じタイミングでエラストマ材料を供給することが可能となり、清掃部の成形不良を一層効果的に防止できる。しかも、連結部が対称に配置されるので、歯間清掃具の意匠性を向上できるとともに、連結部を摘まんで保持するときのハンドリング性を向上できる。
【0015】
前記清掃用軟質部成形空間の基端部に、全周にわたる清掃用軟質部基端部を成形する清掃用軟質部基端部成形空間を形成し、前記連結部成形空間を、該清掃用軟質部基端部成形空間の二箇所に連通して繋がるように構成することが好ましい実施の形態である。このように構成することで、清掃用軟質部基端部成形空間をエラストマ材料の貯留空間として機能させ、連結部成形空間から供給されるエラストマ材料を清掃用軟質部基端部成形空間で一旦貯留してから、清掃部成形空間の先端側へ供給できるので、清掃部成形空間の基端部から先端側へその全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給することが可能となり、清掃用軟質部の成形不良を一層効果的に防止できる。また、この製造方法にて製作した歯間清掃具には、清掃用軟質部基端部成形空間にてエラストマからなる清掃用軟質部基端部が成形され、この清掃用軟質部基端部が歯間に対する清掃部の最大挿入長さを規制する挿入規制部として機能するので、過度の挿入による芯部への負荷を回避することが可能となり、軸折れを防止できるとともに、清掃用軟質部基端部を歯肉に当接させることで、歯肉へのマッサージ効果が期待できる。
【0016】
前記ハンドル部を実質的に扁平な棒状に形成するとともに、前記連結部成形空間を該ハンドル部の幅広な両面に対向する位置に設け、且つ前記ゲートの開口を該ハンドル部の幅狭な面に対向する位置に設けることが好ましい実施の形態である。このように構成すると、連結部成形空間の幅を広く設定して、清掃部成形空間に対してエラストマ材料を十分に供給することができ、清掃用軟質部の成形不良を一層効果的に防止できる。また、歯間清掃具の使用時には、親指と人差し指とでハンドル部や滑り止め部の幅広な両面を摘まんで清掃操作できるので、歯間清掃具を保持し易く、しかも連結部成形空間により、ハンドル部の幅広な両面にエラストマからなる連結部が成形されるので、滑り止め部だけでなく連結部においても、保持した指の滑りを防止でき、歯間清掃具のハンドリング性を向上できるので好ましい。また、滑り止め部の幅広な両面には前記ゲートの跡が残らないので、例えば滑り止め部の幅広な両面に基材部を一部露出させる等することによりロゴや抽象模様などのデザイン形状を設ける場合においても、デザイン形状に悪影響を与えるゲート跡が存在せず、見栄えがよくなるとともにデザイン設計の自由度も向上する。
【0017】
前記ゲートの開口位置が金型の合わせ面上に配されるように前記軟質部の成形空間を設定し、前記合わせ面に沿って形成された前記ゲートを通じて、前記軟質部の成形空間にエラストマ材料を充填することが好ましい実施の形態である。このように構成すると、軟質部の成形空間に対するエラストマ材料の供給路を合わせ面に配置することが可能となり、金型構造を簡略に構成できるとともに、エラストマ材料の供給路を短くして、エラストマ材料の無駄を少なくできる。
【0018】
前記金型に前記軟質部を成形する成形空間を複数並列状に設け、複数並列状に並んだ前記成形空間を二つ一組として、当該組を為す隣接する滑り止め部成形空間の略中間の位置に、双方共通のエラストマ材料の供給路を延設する。前記略中間の位置から、各滑り止め部成形空間の互いに対向する位置に形成される前記ゲートの開口に至る個別の供給路を分岐形成し、これら共通の供給路及び個別の供給路を通じて各成形空間にエラストマ材料を充填して複数の基材部上に前記軟質部を同時成形することが好ましい実施の形態である。この場合には、滑り止め部成形空間から連結部成形空間の2つの連通口へのエラストマ材料の供給タイミングを略同じに設定して、連結部成形空間から清掃部成形空間の基部に対して同じタイミングでエラストマ材料を供給できるので、滑り止め部及び清掃用軟質部の品質を向上できる。また、軟質部を成形する成形空間を金型に複数並列状に設けているので、複数の歯間清掃具を同時成形でき、歯間清掃具の生産性を向上できる。加えて、当該組を為す隣接する滑り止め部成形空間の略中間の位置に、双方共通のエラストマ材料の供給路を延設して、両者の成形空間に対するエラストマ材料の供給のタイミングをほぼ同じとすることで、個々の成形空間に対してエラストマ材料の供給路を設ける場合に比べ、清掃用軟質部の品質バラツキを半減できる。
【0019】
前記ハンドル部における前記滑り止め部が被覆される領域よりも基端側に、貫通又は有底の穴部を有する領域を設けているので、基材部の合成樹脂材料の樹脂量を少なくすることができ、完成した歯間清掃具の把持部の基端側にこのような穴部が存在することで、把持性やデザイン性を向上させる(バリエーションを増やす)ことができる。また、このような穴部は基材部を第2成形空間にセットして軟質部を成形する際、ランナ部と同様、成形空間の適正な位置に基材部を安定的に装填する位置合わせのための有効な部分となり、軟質部の成形不良を防止する効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る歯間清掃具の製造方法によれば、軟質部の成形空間にハンドル部をセットして軟質部を成形するときに、滑り止め部成形空間と連結部成形空間とを通じて清掃部の成形空間へエラストマ材料を供給する際に、軟質部を成形する金型のゲートを、滑り止め部を成形する滑り止め部成形空間のうち、連結部を成形する連結部成形空間に連通する二箇所の連通口の位置から略等しい距離となる位置に開口させ、該ゲートから軟質部の成形空間にエラストマ材料を充填する。このため、ゲートから滑り止め部成形空間へ供給したエラストマ材料を、該滑り止め部成形空間から連結部成形空間に対して同時に供給することが可能となる。複数の連結部成形空間から清掃部の成形空間に対して同じタイミングでエラストマ材料を供給することで、清掃用軟質部の成形不良を効果的に防止し、歯間清掃具の品質を向上できる。また、芯部の基部側からエラストマ材料を充填するので、ハンドル部に対して滑り止め部を無理なく成形することが可能となる。更に、断面積の大きい芯部の基部側からエラストマ材料を充填するので、エラストマ材料の充填時における熱による芯部の変形を防止しつつ、芯部の先端側部分を小径に構成することが可能となることから、歯間に挿入可能な清掃部の長さを極力長く設定し、歯間の清掃性を向上することができる。更にまた、この製造方法にて製作した歯間清掃具には、ハンドル部にエラストマ材料からなる滑り止め部及び連結部が成形されるので、滑り止め部及び連結部により歯間清掃具のハンドリング性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<歯間清掃具>
先ず、歯間清掃具1の構成について説明する。
図1、
図2に示すように、歯間清掃具1は、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としての把持部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂からなる基材部10と、エラストマ材料からなる軟質部20とを備えている。この歯間清掃具1は、複数個の歯間清掃具1を切り離し可能に並列状に連結してなる歯間清掃具連結体5の形態に製作され、利用者は、例えば歯間清掃具連結体5の一側から順番に歯間清掃具1を連結突部13において切り離して、歯間清掃具1を順次使用することになる。なお、歯間清掃具連結体5を構成する歯間清掃具1の連結個数は任意に設定可能である。
【0023】
(基材部)
基材部10は、合成樹脂からなり、
図1、
図2に示すように、把持部3を構成する扁平な棒状(細長い板状)のハンドル部11と、ハンドル部11の先端部に連設した細長い軸状の芯部12と、隣接するハンドル部11を切り離し可能に連結する連結突部13とを備え、基材部10を複数並列状に連結突部13で連結した一次成形品10Aの形態で製作される。なお、符号37は、歯間清掃具1の第1ランナ部である。
【0024】
ハンドル部11は、緩やかに湾曲する扁平な棒状(細長い板状)に形成したが、手で保持して歯間を清掃し易い形状であれば、それ以外の任意の形状、例えば
図12(a)に示す歯間清掃具1Aのハンドル部11Aのように、扁平な直線状の細長い板状に形成したり、
図12(b)に示す歯間清掃具1Bのハンドル部11Bのように、断面円形の棒状に形成したり、
図12(c)に示す歯間清掃具1Cのハンドル部11Cのように、断面四角形の棒状に形成したり、
図12(d)に示す歯間清掃具1Dのハンドル部11Dのように、断面六角形の棒状に形成したりするなど、円形や楕円形や多角形状の横断面形状の棒状に形成することもできる。ハンドル部11の先端部は芯部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯部12に滑らかに連設されている。ハンドル部11の寸法は、手で保持して歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定できる。扁平な棒状とする場合、その幅(幅広な面から見た幅)は最大3.0〜10mmに設定することが好ましく、その厚み(幅狭な面から見た幅)は最大0.8〜5.0mmに設定することが好ましく、幅と厚みの比率(幅/厚み)は1.0〜10に設定することが好ましい。
【0025】
芯部12は、略直線状の細長い軸状に形成され、芯部12にはエラストマ材料が被覆されて、芯部12は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。ただし、芯部12のテーパ形状のなす角度は、芯部12の全長にわたって同じ角度に設定することもできるし、芯部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。
【0026】
図1、
図2に示すように、連結突部13は、隣接するハンドル部11間においてハンドル部11に一体的に形成され、ハンドル部11の基端部側と先端部側とに長手方向に間隔をあけて1対設けられ、正面視において等脚台形状に形成されている。連結突部13の個数は、任意に設定可能で、例えば後述するように、1個だけ設けることも可能である(
図13及び
図14参照)。
【0027】
基材部10を構成する合成樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、飽和ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの熱可塑性合成樹脂材料を採用できる。特に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミドは、基材部10の折れを防止できることから好ましく、ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから最も好ましい。また、基材部10を構成する合成樹脂材料に対して、ガラス繊維や炭素繊維やアラミド繊維などの繊維材を添加することも好ましい。繊維材を添加すると、基材部10の寸法安定性が向上するとともに、基材部10の強度剛性が高くなって変形が防止されるので、成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42に装填する場合は装填不良も防止できる。更に、繊維材を添加すると芯部12の熱変形温度が高くなるので、清掃用軟質部21を成形するときのエラストマ材料の熱により、芯部12が軟化して変形することを効果的に防止できるだけでなく、繊維材により強度剛性も高くなるので、エラストマ材料の射出圧による芯部12の変形を防止でき、清掃用軟質部21の成形不良を効果的に防止できる。
【0028】
(軟質部)
軟質部20は、
図1に示すように、エラストマ材料を用いて基材部10に一体成形したもので、芯部12に被覆した清掃用軟質部21と、ハンドル部11の基端部側に被覆した滑り止め部22と、滑り止め部22の二箇所から延びて清掃用軟質部21に繋がる、ハンドル部11の先端部側に被覆した1対の連結部23を備えている。
【0029】
清掃用軟質部21は、基端部に設けた歯間への挿入を規制する環状の挿入規制部(これが清掃用軟質部基端部に相当する)21aと、挿入規制部21aから先端側へ延びて芯部12に被覆した被覆部21bと、被覆部21bに長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の突起部21cとを有している。
【0030】
挿入規制部21aは、被覆部21bの基端部に全周にわたって連なるように、芯部12の基端部に被覆部21bよりも外方へ突出するようにリング状に形成され、この挿入規制部21aにより、歯間に対する清掃部2の最大挿入長さが規制されるように構成されている。また、挿入規制部21aをエラストマ材料で構成しているので、挿入規制部21aを歯肉に当接させることで、歯肉へのマッサージ効果も期待できる。挿入規制部21aの厚さ及び幅は任意に設定できるが、清掃用軟質部21の成形不良を防止するため、例えば厚さは0.1mm〜2.5mmに、また幅は1.2mm〜3.0mmに設定することが好ましい。
【0031】
被覆部21bの肉厚は、厚過ぎると被覆部21bの直径が大きくなって歯間への挿入性が低下し、薄すぎると清掃部2の先端部までエラストマ材料を充填できないので0.1mm〜0.3mmに設定することが好ましい。また、被覆部21bの肉厚は滑り止め部22のエラストマの厚みより小さいことが好ましい。このように構成することで、滑り止め部成形空間47から連結部成形空間48を通じて清掃用軟質成形空間46へエラストマ材料を射出する際の摩擦熱が発生し易くなる。発生した摩擦熱は、清掃用軟質部21における芯部12とエラストマ材料の界面を溶融させるため、清掃用軟質部21の高い接着性が得られる。
【0032】
突起部21cは、被覆部21bの長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、被覆部21bの周方向に間隔をあけて配置されている。突起部21cの基端部の横断面積や長さ、個数や配設ピッチは、任意に設定可能であるが、成形性及び清掃性を考慮して、突起部21cの基端部の横断面積は、0.03mm
2〜1.5mm
2程度に設定することが好ましく、突起部21cの長さは0.1mm〜2.0mm程度に設定することが好ましく、突起部21cの個数は20個〜100個に設定することが好ましく、突起部21cの配設ピッチは0.1mm〜1.5mmに設定することが好ましい。ここにおいて突起部21cの長さBとは、
図16に示すように、突起部21cと被覆部21bとの接続部分の最も後端側(ハンドル部11側)の後端212を通り、芯部12の中心線CLと直交する線分CXと、突起部21cのうちの中心線CLから最も離れた突起部21cの先端211を通り、芯部12の中心線CLと平行な線分CYとの交点を交点Pとしたときに、後端212から交点Pまでの距離を意味する。また、突起部21cとして、本例では棒状とし、特に円錐状のものを採用したがこれに何ら限定されず、断面形状も円形以外に楕円形や多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。さらに、棒状以外に、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものや周方向に連続的に延びる半円形状のものなど任意の形状を採用することもできる。
【0033】
滑り止め部22は、ハンドル部11の長さ方向の途中部に形成した環状凹部14を埋めるようにエラストマ材料を充填して外装されている。滑り止め部22の幅は任意に設定可能である。また、滑り止め部22の厚さは、薄すぎるとエラストマ材料の充填不良が発生し、厚すぎると把持部3を指で保持したときに違和感があるので、0.1mm〜0.6mmに設定することが好ましく、0.2〜0.5mmに設定することがより好ましい。このように、環状凹部14を埋めるように滑り止め部22を形成することで、滑り止め部22の剥離が防止されるように構成されている。
【0034】
連結部23は、ハンドル部11の先端側の幅広な両面の幅方向の中央部に形成され、ハンドル部11の先端側部分の中心軸に対して対称となる周方向に180度ずれた二箇所に形成されている。ハンドル部11の先端側に形成した直線状の1対の溝部15を埋めるようにエラストマ材料を充填して設けられている。ただし、連結部23は、ハンドル部11の先端側の幅広な両面の最短距離の対面位置に配置されていれば、必ずしも幅方向の中央部に設ける必要はなく、幅方向の任意の位置に設けることができる。
【0035】
連結部23は、軟質部20の成形時に、滑り止め部22から清掃用軟質部21へエラストマ材料を供給するために設けられている。連結部23の幅は任意に設定可能であるが、狭すぎると、軟質部20の成形時に、エラストマ材料の充填不良が発生し易くなるので、0.1mm以上に設定することが好ましい。
【0036】
軟質部20を構成するエラストマ材料としては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマ材料や、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマ材料などを採用できる。特に、基材部10を構成する合成樹脂材料との相溶性を有する材料が好ましく、例えば基材部10をポリプロピレンで構成する場合には、軟質部20をポリオレフィン系エラストマ材料又はスチレン系エラストマ材料で構成することが好ましい。
【0037】
<製造方法>
次に、歯間清掃具1の製造方法について説明する。
この歯間清掃具1の製造方法は、
図3、
図4、
図7〜
図9に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する基材部成形工程と、第1金型30、31にて成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する軟質部成形工程とを備えている。
【0038】
(基材部成形工程)
基材部成形工程では、
図3、
図4に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する。より具体的には、第1金型30、31として、芯部成形部32aとハンドル部成形部32bとからなる第1成形空間32を複数並列状に形成し、隣接するハンドル部成形部32b間にそれに連通する1対の連結突部成形部35をそれぞれ形成するとともに、これら複数の第1成形空間32の基端側に第1ランナ33を形成し、第1ゲート34を通じて複数の第1成形空間32を第1ランナ33に連通したものを用い、第1ランナ33へ繊維材を添加した合成樹脂材料を供給することで、第1ゲート34を通じて複数の第1成形空間32内に繊維材を添加した合成樹脂材料を充填して、複数の基材部10を同時成形することになる。そして、複数の基材部10と第1ランナ部37と第1ゲート部36と連結突部13とを有する一次成形品10Aを製作する。なお、基材部10は1つずつ成形することも可能であるが、複数個の基材部10を同時に成形することで、生産性を向上できるとともに、成形された第1ランナ部37を保持して、複数個の基材部10を同時に移載でき、作業性を向上できるので好ましい。また、第1ゲート34は、第1成形空間32の芯部成形部32aとは反対側の基端部側、より好ましくは連結突部成形部35よりも第1成形空間32の芯部成形部32aとは反対側の基端部側であれば、任意の位置に形成することができるが、第1成形空間32の基端部に第1ゲート34としてサイドゲートを形成すると、第2金型40、41に一次成形品10Aを装填する際に、一次成形品10Aの第1ゲート部36が第2金型40、41間に挟み込まれるリスクを低減できるので好ましい。また、第1金型30、31に、コールドランナからなる第1ランナ33に代えてホットランナを設けることも可能であるが、第1金型30、31が大型になるとともに製作コストが高くなるので、コールドランナからなる第1ランナ33を設けることが好ましい。また、第1ランナ部37により複数の基材部10を安定性良く連結できるので、一次成形品10Aを第2金型40、41に移載するときに、一次成形品10Aのハンドリング性を向上できるので好ましい。更に、第1ゲート34として例えば円柱形様若しくは紡錘形様で直径0.1〜3.0mmにすると、コールドランナを採用でき、第1ゲート34の間隔を狭くして成形品を小型に構成できるので好ましい。
【0039】
連結突部成形部35の個数は任意に設定可能で、1個だけ設けることも可能であるが、後述の変形例(
図13、
図14)のように第1ランナ部37及び第1ゲート部36を除去することなく残して該第1ランナ部37を介して基材部10を互いに連結するようにしないと、単に連結突部1個のみで基材部10間を連結したような場合は、隣接する基材部10の連結強度を十分に確保できず、基材部10の成形後、型開きするときに基材部10が互いに動いて連結突部13が破断し、基材部10がバラバラになり成形不能になる。また、連結突部13が折れ曲がって、第2成形空間42の適正位置に基材部10を装填できず、成形不良が発生したり、使用の際に他の歯間清掃具も連結から外れてしまうなど使い勝手が悪くなるので、ハンドル部成形部32bの長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
【0040】
また、この基材部成形工程において、第1成形空間32の連結突部成形部35よりも基端部側の第1ゲート34から、複数の第1成形空間32に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時にそれぞれ供給すると、繊維材は第1成形空間32の長さ方向、即ち基材部10の長さ方向に配向されることになり、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯部12の折れや座屈を効果的に防止できる。しかも、繊維材により基材部10の寸法安定性が向上するとともに、強度剛性が高くなって基材部10の変形が防止されるので、成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42に装填するときにおける装填不良を防止できる。また、繊維材により芯部12の熱変形温度が高くなるので、清掃用軟質部21を成形するときのエラストマ材料の熱により、芯部12が軟化して変形することを効果的に防止でき、また繊維材により芯部12の強度剛性が高くなるので、エラストマ材料の射出圧による芯部12の変形を防止できる。そして、このように清掃用軟質部21を成形するときにおける芯部12の変形を防止できるので、清掃用軟質部21の成形不良を一層効果的に防止できる。
【0041】
(軟質部成形工程)
軟質部成形工程では、
図7〜
図9に示すように、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aを第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形し、
図5、
図6に示すように、複数の歯間清掃具1を並列状に連設した歯間清掃具連結体5Aを得ることになり、第1ランナ部37及び第1ゲート部36と供給路部52及び第2ゲート部54とを除去することで、
図1に示す歯間清掃具連結体5を得ることになる。
【0042】
先ず、軟質部成形工程で用いる第2金型40、41について説明すると、第2金型40、41には、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aの複数の基材部10に対応する位置に複数の第2成形空間42が形成されるとともに、一次成形品10Aの第1ランナ部37と複数の第1ゲート部36と連結突部13とに適合する嵌合空間43、44、45が形成されている。
【0043】
第2金型40、41と基材部10間には第2成形空間42として、芯部12を取り囲む清掃用軟質部成形空間46と、ハンドル部11の途中部を取り囲む滑り止め部成形空間47と、滑り止め部成形空間47と清掃用軟質部成形空間46とを連通する1対の連結部成形空間48が形成されている。
【0044】
第2金型40、41の合わせ面には第2成形空間42が複数並列状に形成され、第2成形空間42へエラストマ材料を供給する第2ゲート49は、滑り止め部22を成形する滑り止め部成形空間47のうち、連結部23を成形する連結部成形空間48に連通する二箇所の連通口48aの位置から略等しい距離となる位置に開口されている。第2ゲート49の形成位置は第2金型40、41の任意の位置に形成することができるが、第2金型40、41の合わせ面に配置すると、第2金型40、41の金型構造を簡単にできるので好ましい。具体的には、ハンドル部11を扁平な棒状に形成する場合には、連結部成形空間48をハンドル部11の幅広な両面に対向する位置に設け、第2ゲート49の開口を滑り止め部成形空間47の幅狭な面に対向する位置に設けることができる。また、連結部成形空間48の二箇所の連通口48aは、第2ゲート49までの距離が同じであれば、任意の位置に形成することができるが、清掃用軟質部21を成形する清掃用軟質部成形空間46の中心軸に対して対称となる周方向に180度ずれた二箇所に形成することが好ましく、第2ゲート49を第2金型40、41の合わせ面に形成する場合には、ハンドル部11の幅広な両面の幅方向の中央部に対向する位置に設けることができる。なお、第2ゲート49の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。第2ゲート49の形状は円形としているが、本発明はこれに何ら限定されず、その他の形状でも勿論よい。
【0045】
両連結部成形空間48は、連通口48aから第2成形空間42の先端側へ略平行に延びて、その先端部は清掃用軟質部成形空間46の基端部の挿入規制部成形空間46aの二箇所に連通して繋がるように形成されている。
【0046】
第2金型40には、隣接する第2成形空間42を一組として、当該組を為す隣接する滑り止め部成形空間47の略中央部位置に、双方共通のエラストマ材料の供給路50が延設され、該中央部位置から、各滑り止め部成形空間47の互いに対向する位置に、滑り止め部成形空間47に開口する第2ゲート49に至る個別の供給路51が分岐形成され、これら共通の供給路50及び個別の供給路51を通じて各第2成形空間42にエラストマ材料を充填して複数の基材部10上に軟質部20を同時成形できるように構成されている。ただし、前述のように、二箇所の連通口48aに対する第2ゲート49からの距離が同じに設定されていれば、二箇所の連通口48aに対して同じタイミングでエラストマ材料を供給できるので、
図10に示す第2金型40、41のように、供給路50、51に代えて、個別の供給路51に分岐していない1本の供給路50Aを設け、各第2成形空間42の滑り止め部成形空間47の厚さ方向の途中部の第2ゲート49に該供給路50Aを連通させることもできる。また、
図11(a)に示す歯間清掃具1Eのように、ハンドル部11及び環状凹部14に代えて途中部にC字状凹部14Eを形成したハンドル部11Eを設け、滑り止め部22に代えてC字状の滑り止め部22Eを形成したり、
図11(b)に示す歯間清掃具1Fのように、ハンドル部11及び環状凹部14に代えて途中部にU字状凹部14Fを形成したハンドル部11Fを設け、滑り止め部22に代えてU字状の滑り止め部22Fを形成したり、
図11(c)に示す歯間清掃具1Gのように、ハンドル部11に代えて断面円形のハンドル部11Gを設け、環状凹部14に代えてハンドル部11Gの途中部に円環状の環状凹部14Gを設け、滑り止め部22に代えて円環状の滑り止め部22Gを設ける場合でも、矢印Aで示す位置に対応させて第2金型40、41に第2ゲート49を設けることで、連結部23の基端部に形成される二箇所の連通口48aに対して、同じタイミングでエラストマ材料を供給することができる。
【0047】
なお、第2金型40、41に、芯部12を挟持可能な複数の保持ピンを清掃用軟質部成形空間46内に出没可能に設けて、芯部12を清掃用軟質部成形空間46の中央部に精度良く位置決め保持するように構成することもできる。
【0048】
軟質部成形工程では、複数のハンドル部11が複数の第2成形空間42にそれぞれ装填されるように、複数のハンドル部11を第1ランナ部37にて並列状に連結してなる一次成形品10Aを第2金型40、41にセットした状態で、両第2金型40、41を型閉じする。次に、図示外の第2ランナにエラストマ材料を供給して、第2ランナに接続された共通の供給路50へエラストマ材料を順次供給して、共通の供給路50と個別の供給路51と第2ゲート49とを経て、隣接する1組の滑り止め部成形空間47へエラストマ材料を同時に供給し、第2成形空間42にエラストマ材料を充填する。このとき、滑り止め部成形空間47に供給されたエラストマ材料は、滑り止め部成形空間47に充填されるとともに、第2ゲート49からの距離が同じに設定された1対の連通口48aに略同じタイミングで到達して、1対の連通口48aから連結部成形空間48を通って清掃用軟質部成形空間46の基端部の環状の挿入規制部成形空間46aに供給され、挿入規制部成形空間46aに一時貯留された後、挿入規制部成形空間46aから清掃用軟質部成形空間46の先端部に全周にわたって略一様なタイミングで供給されて、清掃用軟質部成形空間46の先端部まで充填されることになる。
【0049】
こうして、エラストマ材料を第2成形空間42に充填した後、第2金型40、41を型開きして、
図5、
図6に示すような構成の歯間清掃具連結体5Aを得ることになり、その後歯間清掃具連結体5Aから合成樹脂からなる第1ランナ部37及び第1ゲート部36を除去するとともに、供給路50、51及び第2ゲート49にて成形されたエラストマ材料からなる供給路部52及び第2ゲート部54を除去して歯間清掃具連結体5を得ることになる。
【0050】
このように、この軟質部成形工程によれば、第2金型40、41の第2ゲート49を、滑り止め部22を成形する滑り止め部成形空間47のうち、連結部23を成形する連結部成形空間48に連通する二箇所の連通口48aの位置から略等しい距離となる位置に開口させ、該第2ゲート49から軟質部20の第2成形空間42にエラストマ材料を充填するので、第2ゲート49から滑り止め部成形空間47へ供給したエラストマ材料を、該滑り止め部成形空間47から連結部成形空間48に対して同時に供給することが可能となり、複数の連結部成形空間48から清掃用軟質部成形空間46に対して同じタイミングでエラストマ材料を供給して、清掃用軟質部21の成形不良を効果的に防止して、歯間清掃具1の品質を向上できる。また、芯部12の基部側からエラストマ材料を充填するので、ハンドル部11に対して滑り止め部22を無理なく成形することが可能となる。更に、断面積の大きい芯部12の基部側からエラストマ材料を充填するので、エラストマ材料の充填時における熱による芯部12の変形を防止しつつ、芯部12の先端側部分を小径に構成することが可能となり、歯間に挿入可能な清掃部2の長さを極力長く設定でき、歯間の清掃性を向上できる。更にまた、この製造方法にて製作した歯間清掃具1には、ハンドル部11にエラストマ材料からなる滑り止め部22及び連結部23が成形されるので、滑り止め部22及び連結部23により歯間清掃具1のハンドリング性を向上できる。
【0051】
次に、
図13及び
図14に基づき本発明に係る歯間清掃具連結体の変形例について説明する。本変形例は、基材部10同士を互いに連結する連結突部13を1個のみとするとともに、第1ランナ部37及び第1ゲート部36を除去することなく残した状態で歯間清掃具連結体5として完成させたものである。
【0052】
このような構造によれば、隣接する歯間清掃具1同士が1個の連結突部13によって連結されるとともに、各歯間清掃具1がそれぞれ第1ゲート部36を通じて第1ランナ部37に連結されるので、すべての歯間清掃具1が第1ランナ部37を介して連結されることになる。したがって隣接する基材部10の連結強度が十分に確保され、基材部10の型開きをする際にも基材部10が互いに動くことで連結突部13が1個のみの場合であっても破断/変形してしまうことが防止され、第2成形空間の適正位置に基材部10を装填することができ、良好な成形を維持できる。また、ユーザが使用する際には、第1ランナ部37を持ったまま歯間清掃具1を引っ張ることで連結突部13をまず千切り、そのまま引っ張ることで次に第1ゲート部36が千切れ、使用する歯間清掃具1を容易に独立化させることができ、使い勝手がよくなる。
【0053】
このように製品(歯間清掃具連結体5)の一部として残る第1ランナ部37は様々な形状をとり得るが、本例では同じく製品の一部として残る第1ゲート部36が突出する歯間清掃具1側と反対側に、ユーザが把持できる把持部39が突設され、使用の際にユーザが持ちやすくなるように構成されている。より具体的には、第1ランナ部37は複数の歯間清掃具1の並んでいる方向に延びる棒状本体38と該棒状本体38の一端から長さ寸法の約1/4の位置から湾曲して歯間清掃具1側と反対側に延びて前記一端から長さ寸法の約3/4の位置に戻る略C字状の把持部39とより構成されている。このような構成により、例えば把持部39の中央位置から一次成形品の成形樹脂を注入すれば、バランス良く各成形空間に樹脂が供給され、一次成形品の品質を向上させることができる。
【0054】
次に、
図15に基づき、本発明に係る歯間清掃具連結体の他の変形例について説明する。本変形例は、ハンドル部11における滑り止め部22が被覆される領域、すなわちこの例では環状凹部14の領域、よりも基端側に、貫通又は有底の穴部16を有する領域を設けたものである。このような穴部16は、一次成形品10Aである基材部10を第2成形空間にセットして軟質部20を成形する際に成形空間の適正な位置に基材部を安定的に装填する位置合わせのための有効な部分として機能する。また、基材部10の合成樹脂材料の樹脂量を少なくすることができるので、材料コスト削減、軽量化を図ることができる。さらに、完成した歯間清掃具の把持部基端側にこのような穴部16が存在することで、把持性が向上し、デザインバリエーションも増やすことができる。本例では、各基材部10に貫通した穴部16Aが二つ設けられ、これら穴部16Aの間に有底の穴部16Bが表裏にそれぞれ設けられている。穴部16の数、形状などの形態はこれに何ら限定されない。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。例えば、本実施形態では2種類の金型(第1金型、第2金型)で成形する場合について説明したが、一つの可動式金型の中で回転させて成形するような形態も本発明に含まれる。