(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0017】
[電子機器]
図1に、本発明の一実施形態に係る電子機器を示す。
図1の当該電子機器は、AVアンプ(Audio/Visual Amplifier)である。このAVアンプは、入力される音声信号及び映像信号に例えばノイズ除去、増幅等の処理を加えた信号を例えばスピーカー、ディスプレイ等の出力装置に対して出力するものである。
【0018】
当該電子機器は、電子機器本体1と、この電子機器本体1の底面に取り付けられ、それ自体が本発明の別の実施形態である複数の電子機器用支持脚2とを備える。より詳しくは、当該電子機器は、電子機器本体1の底面に、4つの電子機器用支持脚2が取り付けられている。
【0019】
〔電子機器本体〕
電子機器本体1は、箱型の筐体3を備え、この筐体3の内部に電子回路等が配設されている。また、電子機器本体1は、筐体3の前面に、例えば押しボタンスイッチ4、回転ノブ5等の各種操作部材と、例えばLED、液晶パネル等から形成される表示装置6とが配設されている。
【0020】
電子機器本体1の質量としては、4つの電子機器用支持脚2によって支持される場合、例えば8kg以上20kg以下とすることができる。
【0021】
〔電子機器用支持脚〕
電子機器用支持脚2は、
図2乃至5に示すように、外形形状が扁平円柱状、つまり軸方向の長さが径よりも小さい円柱状に形成されている。電子機器用支持脚2の軸方向の最大長さの平均径に対する比としては、例えば0.2以上0.4以下とすることができる。
【0022】
この電子機器用支持脚2は、有底筒状の外殻7と、この外殻7内に配設されるリブ構造8とを備える。この外殻7及びリブ構造8は、樹脂で一体に形成される。また、電子機器用支持脚2は、外殻7の底面に貼着されるクッションシート9をさらに備える。
【0023】
<外殻>
外殻7は、円筒状の外周壁部10と、底壁部11とを有する。底壁部11は、外縁近傍部の厚さが小さく、これ以外の領域が下方に突出している。この底壁部11の中央には、電子機器用支持脚2を電子機器本体1に取り付けるねじを挿入するための取付穴12が形成されている。また、底壁部11の底面には、クッションシート9の貼着位置を示す位置決め溝13が形成されている。また、底壁部11には、外周部の1箇所に電子機器用支持脚2の中心軸周りの向き(リブ構造8の配向)を示す指示突起14が形成されている。
【0024】
この外殻7及び以下に説明するリブ構造8は、射出成形により一体に形成することができる。このため、外殻7の外周壁部10及びリブ構造8は、金型からの脱離のための抜き勾配を有していてもよい。
【0025】
外殻7及びリブ構造8を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)などを挙げることができる。
【0026】
(外周壁部)
外殻7の外周壁部10は、美観を担保すると共に、リブ構造8の外周を保持して振動を抑制する。
【0027】
材質にもよるが、外周壁部10の平均板厚の下限としては、1.2mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。一方、外周壁部10の平均板厚の上限としては、2.5mmが好ましく、2.0mmがより好ましい。外周壁部10の平均板厚が前記下限に満たない場合、外周壁部10の強度が不十分となるおそれがある。逆に、外周壁部10の平均板厚が前記上限を超える場合、外周壁部10の剛性が大きくなりすぎて、リブ構造8との接続部が振動によって破断し易くなるおそれがある。
【0028】
(底壁部)
外殻7の底壁部11は、リブ構造8の土台となる。リブ構造8は、下端が底壁部11に接続されていることによって、振動が抑制されるので、振動が伝播する際に内部に歪みが生じ、振動エネルギーを熱に変換して振動を減衰させる。
【0029】
底壁部11の平均板厚の下限としては、2mmが好ましく、3mmがより好ましい。一方、底壁部11の平均板厚の上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。底壁部11の平均板圧が前記下限に満たない場合、底壁部11の強度が不十分となるおそれがある。一方、底壁部11の平均板圧が前記上限を超える場合、電子機器用支持脚2の高さが不必要に大きくなるおそれがある。
【0030】
<リブ構造>
リブ構造8は、外殻7内に軸方向と平行に配設される。つまり、リブ構造8は、底壁部11から電子機器用支持脚2の軸方向に突出する複数のリブから形成される。リブ構造8の複数のリブは、それぞれ底壁部11に沿って延び、一方の側縁(下縁)が底壁部11に接続された帯板状に形成される。
【0031】
リブ構造8において、平面視で中央部分が、高さが僅かに大きいことによって上方に突出し、電子機器本体1の底面に当接し、主に、電子機器本体1の重さを受け止める固定部15とされている。また、リブ構造8において、固定部15の外側部分が電子機器本体1の底面に当接せず、主に振動を吸収する振動抑制部16とされている。つまり、リブ構造は、固定部15を構成する第1のリブ構造と、固定部15及び外周壁部10間に配設される振動抑制部16を構成する第2のリブ構造とを有する。
【0032】
リブ構造8の固定部15は、底壁部11の取付穴12の内縁から連続するよう形成され、電子機器用支持脚2を電子機器本体1に取り付けるねじを受け入れる円筒状の中心リブ17と、固定部15の外縁を画定する環状の境界リブ18と、中心リブ17及び境界リブ18間を接続するよう、電子機器用支持脚2の中心軸を中心とする放射状に形成される複数の内側直線リブ19とを有する。中心リブ17の上端内側には、電子機器用支持脚2を電子機器本体1に取り付けるねじの座面を形成する座板20が形成されている。
【0033】
固定部15において、内側直線リブ19は、中心リブ17と境界リブ18とを堅固に接続し、中心リブ17、境界リブ18及び内側直線リブ19が実質的に剛体と見なせるように形成される。これにより、固定部15は、主に電子機器本体1の重量を支持することができる十分な強度を有するものとなり得る。
【0034】
リブ構造8の振動抑制部16は、固定部15の境界リブ18から電子機器用支持脚2の中心軸を中心とする放射状に形成される複数の外側直線リブ21と、各外側直線リブ21の外側に配設され、放射方向に対して傾斜し、外側に向かって延びる複数の傾斜リブ22と、傾斜リブ22の外側先端と外殻7の外周壁部10とを接続する複数の接続リブ23とを有する。また、リブ構造8の振動抑制部16は、外側直線リブ21と傾斜リブ22との間に配置される環状の中間リブ24をさらに有する。
【0035】
(外側直線リブ)
複数の外側直線リブ21は、電子機器用支持脚2の中心軸を中心とする円状領域に配設されている。つまり、各外側直線リブ21の先端の電子機器用支持脚2の中心軸からの距離は、互いに等しい。
【0036】
1つの外側直線リブ21には、上方に突出し、電子機器本体1の底面に形成される係合穴に嵌合する位置決め突起25が形成されている。この位置決め突起25は、電子機器用支持脚2の中心軸周りの向きを定める。前記指示突起14は、この位置決め突起25の位置を電子機器用支持脚2の底面側から判別可能とするものである。
【0037】
この外側直線リブ21は、固定部15と傾斜リブ22との間の振動の伝播方向を電子機器用支持脚2の中心軸を中心とする放射方向に制限する。
【0038】
材質にもよるが、外側直線リブ21の平均板厚の下限としては、2mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。一方、外側直線リブ21の平均板厚の上限としては、3.5mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。外側直線リブ21の平均板厚が前記下限に満たない場合、強度が不十分となるおそれがある。逆に、外側直線リブ21の平均板厚が前記上限を超える場合、振動の伝播方向を十分に制限できないおそれがある。
【0039】
外側直線リブ21の放射方向の平均長さの下限としては、2.0mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。一方、外側直線リブ21の平均長さの上限としては、4.0mmが好ましく、3.5mmがより好ましい。外側直線リブ21の平均長さが前記下限に満たない場合、振動の伝播を放射方向に十分制限できないおそれがある。逆に、外側直線リブ21の平均長さが前記上限を超える場合、電子機器用支持脚2が不必要に大きくなるおそれがある。
【0040】
(傾斜リブ)
複数の傾斜リブ22は、電子機器用支持脚2の中心軸を中心とする放射方向に対して傾斜しているため、外側直線リブ21に対して折れ曲がるよう変形することによって振動エネルギーを熱に変換し、放射方向に伝播する振動を比較的効率よく減衰させる。これにより、電子機器用支持脚2は、電子機器本体1の振動を減衰させると共に、設置場所の載置面から電子機器本体1に伝わる振動を抑制することができる。
【0041】
また、複数の傾斜リブ22は、外側直線リブ21が配置された円状領域の外周の円環状領域に配設されているため、電子機器用支持脚2の強度を確保しつつ、外周壁部10と固定部15との間で伝導する振動を効率よく減衰させることができる。
【0042】
傾斜リブ22の放射方向に対する平均傾斜角度の下限としては、15°が好ましく、20°がより好ましい。一方、傾斜リブ22の放射方向に対する平均傾斜角度の上限としては、45°が好ましく、40°がより好ましい。傾斜リブ22の放射方向に対する平均傾斜角度が前記下限に満たない場合、変形し難くなることで振動を十分に吸収できないおそれがある。逆に、傾斜リブ22の放射方向に対する平均傾斜角度が前記上限を超える場合、弾性変形能が大きくなることで、振動エネルギーを熱に変換する効率が低下して振動を十分に吸収できないおそれがある。
【0043】
傾斜リブ22は、平面視で直線状に形成されてもよいが、少なくともその一部が湾曲していることが好ましい。傾斜リブ22が湾曲していることによって、傾斜リブ22が湾曲部において屈曲し易くなり、振動エネルギーを熱に変換して振動を減衰させる能力を向上することができる。
【0044】
傾斜リブ22の板厚方向中心における最小曲率半径の下限としては、10mmが好ましく、15mmがより好ましい。一方、傾斜リブ22の板厚方向中心における最小曲率半径の上限としては、40mmが好ましく、30mmがより好ましい。傾斜リブ22の板厚方向中心における最小曲率半径が前記下限に満たない場合、傾斜リブ22が屈曲し易くなりすぎることで、熱エネルギーに変換される振動エネルギーが小さくなるおそれがある。逆に、傾斜リブ22の板厚方向中心における最小曲率半径が前記上限を超える場合、傾斜リブ22の変形能を十分に向上できないおそれがある。
【0045】
材質にもよるが、傾斜リブ22の平均板厚の下限としては、2mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。一方、傾斜リブ22の平均板厚の上限としては、3.5mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。傾斜リブ22の平均板厚が前記下限に満たない場合、変形能が大き過ぎて吸収できる振動エネルギーが小さくなるおそれがある。逆に、傾斜リブ22の平均板厚が前記上限を超える場合、剛性が大きくなりすぎて振動を十分に吸収できないおそれがある。
【0046】
傾斜リブ22の平均長さの下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。一方、傾斜リブ22の平均長さの上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。傾斜リブ22の平均長さが前記下限に満たない場合、変形能が不足して振動を十分に減衰できないおそれがある。逆に、傾斜リブ22の平均長さが前記上限を超える場合、電子機器用支持脚2が不必要に大きくなるおそれがある。
【0047】
(接続リブ)
複数の接続リブ23は、傾斜リブ22と外殻7の外周壁部10とを接続するよう配設される。この接続リブ23は、外側直線リブ21及び傾斜リブ22よりも板厚が小さい。これにより、外側直線リブ21及び傾斜リブ22を介して外周壁部10に伝導する振動をさらに低減することができる。
【0048】
接続リブ23の平均板厚の下限としては、0.8mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。一方、接続リブ23の平均板厚の上限としては、2.0mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。接続リブ23の平均板厚が前記下限に満たない場合、接続リブ23の強度が不足するおそれがある。逆に、接続リブ23の平均板厚が前記上限を超える場合、振動吸収能力を十分に向上できないおそれがある。
【0049】
接続リブ23の平均長さの下限としては、0.8mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。一方、接続リブ23の平均長さの上限としては、3.0mmが好ましく、2.0mmがより好ましい。接続リブ23の平均長さが前記下限に満たない場合、接続リブ23の振動吸収能力が不十分となるおそれがある。逆に、接続リブ23の平均長さが前記上限を超える場合、接続リブ23の強度が不十分となるおそれがある。
【0050】
(中間リブ)
中間リブ24は、外側直線リブ21と傾斜リブ22との接続部間を接続するよう環状に配設される。これにより、外側直線リブ21の変形が抑制され、電子機器用支持脚2の強度が向上する。また、中間リブ24は、各外側直線リブ21及び傾斜リブ22の変形を均等化すること、つまり振動を全ての外側直線リブ21及び傾斜リブ22に分散することで、電子機器用支持脚2の強度及び振動吸収能力を向上する。
【0051】
中間リブ24の平均板厚の下限としては、2mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。一方、中間リブ24の平均板厚の上限としては、3.5mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。中間リブ24の平均板厚が前記下限に満たない場合、電子機器用支持脚2の強度及び振動吸収能力を十分に向上できないおそれがある。逆に、中間リブ24の平均板厚が前記上限を超える場合、外側直線リブ21と傾斜リブ22との間の振動の伝達を阻害することにより振動吸収能力を低下させるおそれがある。
【0052】
<クッションシート>
クッションシート9は、緩衝性を有するシート状の材料から形成され、当該電子機器が載置される面の振動が電子機器用支持脚2に伝わり難いようにする。
【0053】
このクッションシート9の材質としては、例えばフェルト、発泡ゴム等が挙げられ、中でもフェルトが好適に用いられる。
【0054】
クッションシート9の平均厚さとしては、材質にもよるが例えば1mm以上3mm以下とすることができる。
【0055】
また、クッションシート9は、底面に、強度を向上して例えば異物の噛み込み等を防止するために、被覆層が形成されてもよい。この被覆層としては、例えばエチレン−エチルアクリレートコポリマーの塗工層等を用いることができる。また、クッションシート9の被覆層の平均厚さとしては、例えば0.2mm以上0.5mm以下とすることができる。
【0056】
クッションシート9を底壁部11の裏面に貼着する方法としては、例えば接着剤、両面テープ等を用いる方法を適用することができ、中でも両面テープを用いる方法が簡便である。
【0057】
<利点>
以上のように、本発明の一実施形態に係る電子機器用支持脚2は、外側直線リブ21に接続される傾斜リブ22を有することによって、振動エネルギーを比較的効率よく熱エネルギーに変換することができるので防振性に優れる。このため、電子機器用支持脚2を備える当該電子機器は、電子機器本体1の振動を低減することができる。
【0058】
[第二実施形態]
図6及び
図7に、本発明の第二実施形態に係る電子機器用支持脚2aを示す。
図6の電子機器用支持脚2aは、
図2の電子機器用支持脚2に替えて
図1の電子機器に用いることができる。
【0059】
本実施形態の電子機器用支持脚2aは、有底筒状の外殻7と、この外殻7内の中央部に配設され、電子機器本体1に固定される固定部26と、固定部26の外周の外殻7内に配設されるリブ構造27とを備える。また、電子機器用支持脚2aは、外殻7の底面に貼着されるクッションシート9をさらに備える。
【0060】
図6の電子機器用支持脚2aにおける外殻7及びクッションシート9は、
図2の電子機器用支持脚2における外殻7及びクッションシート9と同様とすることができる。以下、
図6の電子機器用支持脚2aについて、
図2の電子機器用支持脚2と同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0061】
<固定部>
図6の電子機器用支持脚2aの固定部26は、厚肉円筒状乃至穴空き円板状に形成され、内腔が底壁部11の取付穴12から連続し、その内腔上端に当該電子機器用支持脚2aを電子機器本体1に取り付けるねじの座面を形成する座板28が配設されている。この固定部26は、主に電子機器本体1の重量を支持する剛体であり、外殻7及びリブ構造27と一体に樹脂から形成することができる。
【0062】
<リブ構造>
リブ構造27は、外殻7内に軸方向と平行に配設される。つまり、リブ構造27は、底壁部11から電子機器用支持脚2の軸方向に突出する複数のリブから形成される。リブ構造27の複数のリブは、それぞれ底壁部11に沿って延び、一方の側縁(下縁)が底壁部11に接続された帯板状に形成される。
【0063】
より具体的には、
図6の電子機器用支持脚2aのリブ構造27は、固定部26の外周に等間隔に配設され、外殻7の中心軸を中心とする放射方向(径方向)に対して傾斜し、外側に向かって延びる複数の傾斜リブ22と、傾斜リブ22の外側先端と外殻7の外周壁部10とを接続する複数の接続リブ23とを有する。
図6の電子機器用支持脚2aのリブ構造27の傾斜リブ22及び接続リブ23の構成は、
図2の電子機器用支持脚2のリブ構造8の傾斜リブ22及び接続リブ23の構成と同様とすることができる。
【0064】
当該電子機器用支持脚2aは、複数の傾斜リブ22が折れ曲がるよう変形することによって振動エネルギーを熱に変換して比較的効率よく減衰させる。これにより、電子機器用支持脚2aは、電子機器本体1の振動を減衰させると共に、設置場所の載置面から電子機器本体1に伝わる振動を抑制することができる。
【0065】
[第三実施形態]
図8及び
図9に、本発明の第三実施形態に係る電子機器用支持脚2bを示す。
図8の電子機器用支持脚2bは、
図2の電子機器用支持脚2に替えて
図1の電子機器に用いることができる。
【0066】
本実施形態の電子機器用支持脚2bは、電子機器本体1に固定される固定部29と、この固定部29の外周に配設される筒状の外周壁部30と、固定部29及び外周壁部30間に配設されるリブ構造31とを備える。また、電子機器用支持脚2bは、固定部29の底面に貼着されるクッションシート9をさらに備える。
【0067】
図8の電子機器用支持脚2bにおけるクッションシート9は、
図2の電子機器用支持脚2におけるクッションシート9と同様とすることができる。以下、
図8の電子機器用支持脚2bについて、
図2の電子機器用支持脚2と同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0068】
<固定部>
図8の電子機器用支持脚2bの固定部29は、厚肉円筒状乃至円板状に形成され、下面に開口する取付穴32を有する。この固定部29は、主に電子機器本体1の重量を支持する剛体であり、外周壁部30及びリブ構造31と一体に樹脂から形成することができる。
【0069】
<外周壁部>
外周壁部30は、美観を担保すると共に、リブ構造31の外周を接続して自由振動を規制することにより振動を抑制する。
【0070】
図8の電子機器用支持脚2bの外周壁部30の板厚は、
図2の電子機器用支持脚2の外周壁部10と同様とすることができる。
【0071】
<リブ構造>
リブ構造31は、固定部29の外周に等間隔に配設され、外周壁部30の中心軸を中心とする放射方向(径方向)外側に延びる直線リブ33と、各直線リブ33の外側に配設され、放射方向に対して傾斜し、外側に向かって延びる複数の傾斜リブ34とを有する。また、リブ構造31は、直線リブ33と傾斜リブ34との間に配置される環状の中間リブ35をさらに有する。
【0072】
図8の電子機器用支持脚2bにおける直線リブ33及び中間リブ35の構成は、
図2の電子機器用支持脚2における外側直線リブ21及び中間リブ24の構成と同様とすることができる。
【0073】
(傾斜リブ)
本実施形態の電子機器用支持脚2bにおいて、傾斜リブ34は、それぞれ平面視直線状に形成され、放射方向に対して一定角度で傾斜している。
【0074】
図8の電子機器用支持脚2bにおける傾斜リブ34の構成は、平面視直線状に形成される点を除いて、
図2の電子機器用支持脚2における傾斜リブ22の構成と同様とすることができる。
【0075】
このように、平面視で湾曲していない傾斜リブ34を有する電子機器用支持脚2bにおいても、傾斜リブ34が放射方向に対して傾斜していることによって、傾斜リブ34を湾曲させるようにして、固定部29を外周壁部30に対して相対移動(振動)させることができる。このため、当該電子機器用支持脚2bも、傾斜リブ34の変形により振動エネルギーを熱に変換して振動を抑制することができる。
【0076】
[第四実施形態]
図10に、本発明の第四実施形態に係る電子機器用支持脚2cを示す。
図10の電子機器用支持脚2cは、
図2の電子機器用支持脚2に替えて
図1の電子機器に用いることができる。
【0077】
本実施形態の電子機器用支持脚2bは、有底筒状の外殻7と、この外殻7内に配設されるリブ構造36とを備える。この外殻7及びリブ構造36は、樹脂で一体に形成される。
【0078】
図10の電子機器用支持脚2cにおける外殻7は、
図2の電子機器用支持脚2における外殻7と同様とすることができる。以下、
図10の電子機器用支持脚2cについて、
図2の電子機器用支持脚2と同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0079】
リブ構造36は、外殻7内に軸方向と平行に配設される。つまり、リブ構造36は、外殻7の底壁部11から電子機器用支持脚2cの軸方向に突出する複数のリブから形成される。リブ構造36の複数のリブは、それぞれ底壁部11に沿って延び、一方の側縁(下縁)が底壁部11に接続された帯板状に形成される。
【0080】
リブ構造36において、平面視で中央部分が、高さが僅かに大きいことによって上方に突出し、電子機器本体1の底面に当接し、主に、電子機器本体1の重さを受け止める固定部37とされている。また、リブ構造36において、固定部37の外側部分が電子機器本体1の底面に当接せず、主に振動を吸収する振動抑制部38とされている。つまり、リブ構造は、固定部37を構成する第1のリブ構造と、固定部37及び外周壁部10間に配設される振動抑制部38を構成する第2のリブ構造とを有する。
【0081】
図10の電子機器用支持脚2cのリブ構造36における固定部37の構成は、
図2の電子機器用支持脚2のリブ構造8における固定部15の構成と同様とすることができる。
【0082】
本実施形態におけるリブ構造36の振動抑制部38は、固定部37と外殻7の外周壁部10とを接続する複数の傾斜リブ39のみによって構成されている。
【0083】
(傾斜リブ)
傾斜リブ39は、それぞれの中央部で屈曲しており、屈曲部より固定部37側の部分と、屈曲部より外周壁部10側の部分とが、外周壁部10の中心軸を中心とする放射方向に対して反対方向に傾斜している。このため、この傾斜リブ39は、各部が外周壁部10の中心軸を中心とする放射方向に対して傾斜しているものの、全体としては略放射方向に延在している。なお、本実施形態における傾斜リブ39は、直線状の傾斜リブの外側に逆方向に傾斜したさらなる傾斜リブが接続されているものと解釈してもよい。
【0084】
傾斜リブ39の屈曲点で区分され、放射方向に対する傾斜方向が異なる各部の放射方向に対する傾斜角度の下限としては、15°が好ましく、20°がより好ましい。一方、傾斜リブ39の各部の放射方向に対する傾斜角度の上限としては、45°が好ましく、40°がより好ましい。傾斜リブ39の放射方向に対する傾斜角度が前記下限に満たない場合、変形し難くなることで振動を十分に吸収できないおそれがある。逆に、傾斜リブ39の各部の放射方向に対する傾斜角度が前記上限を超える場合、弾性変形能が大きくなることで、振動エネルギーを熱に変換する効率が低下して振動を十分に吸収できないおそれがある。
【0085】
材質にもよるが、傾斜リブ39の平均板厚の下限としては、2mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。一方、傾斜リブ39の平均板厚の上限としては、3.5mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。傾斜リブ39の平均板厚が前記下限に満たない場合、変形能が大き過ぎて吸収できる振動エネルギーが小さくなるおそれがある。逆に、傾斜リブ39の平均板厚が前記上限を超える場合、剛性が大きくなりすぎて振動を十分に吸収できないおそれがある。
【0086】
傾斜リブ39の各部の平均長さの下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。一方、傾斜リブ39の平均長さの上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。傾斜リブ39の平均長さが前記下限に満たない場合、変形能が不足して振動を十分に減衰できないおそれがある。逆に、傾斜リブ39の平均長さが前記上限を超える場合、電子機器用支持脚2が不必要に大きくなるおそれがある。
【0087】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0088】
当該電子機器が備える当該電子機器用支持脚の数としては、安定して電子機器本体を支持できる数であればよく、3以上の任意の数とされる。
【0089】
当該電子機器用支持脚において、平面視内側に傾斜リブを配設し、外側に直線リブを配設してもよい。
【0090】
当該電子機器用支持脚において、底壁部、直線リブ、中間リブ及び接続リブは、任意の構成であって、省略又は追加してもよい。
【0091】
当該電子機器用支持脚において、傾斜リブが放射方向に対して同じ方向に傾斜する範囲内で屈曲して形成されることによって変形が促進されてもよい。
【0092】
当該電子機器用支持脚における固定部は、リブ構造によって形成されるものでなくてもよく、中心リブと境界リブとの間が中実のソリッドであってもよく、板厚が大きい有蓋筒状に形成されてもよい。