(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記閉領域は、前記断面において、前記延出方向及び前記乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向に並んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用シート。
複数の前記閉領域は、前記断面の中で占める広さが互いに異なる第一閉領域及び第二閉領域を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
前記第二サイドフレーム片は、前記乗物用シートの幅方向において前記第一サイドフレーム片よりも前記フレームの中央寄りに配置された状態で前記第一サイドフレーム片に重なっており、
前記断面において前記閉領域の間に位置する部分には、前記第一サイドフレーム片が前記幅方向において前記フレームの中央に向かって隆起した隆起領域が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
複数の前記閉領域の一つは、前記断面において前記第二サイドフレーム片が有する角部と、該角部の対角をなすように前記第一サイドフレーム片が屈曲することで形成された屈曲部と、によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
前記フレームは、前記乗物用シートの幅方向において互いに離れた一対の前記サイドフレームと、前記幅方向において前記サイドフレーム間を連結する連結フレームと、を有し、
前記連結フレームは、前記サイドフレームの前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片のうち、一方のサイドフレーム片と前記幅方向において部分的に重なっており、
前記連結フレーム及び前記一方のサイドフレーム片が重なり合ったフレーム重なり部分では、前記延出方向と交差する前記フレーム重なり部分の断面が前記連結フレーム及び前記一方のサイドフレーム片に囲まれて閉じた閉断面をなした状態で前記連結フレーム及び前記一方のサイドフレーム片が重なり合っていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のサイドフレーム片によって構成されたサイドフレームでは、サイドフレーム片同士が部分的に重ねられているが、サイドフレーム片同士が重なり合っている部分に関しては、十分な剛性を確保する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイドフレームにおいてサイドフレーム片同士が重なり合っている部分の剛性が確保された乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、内部にフレームを備える乗物用シートであり、前記フレームの側端部に位置するサイドフレームは、所定方向に延出しており、前記サイドフレームの延出方向において部分的に重なり合った第一サイドフレーム片及び第二サイドフレーム片を有し、前記サイドフレームにおいて前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片の双方が重なり合った重なり部分では、前記延出方向と交差する前記重なり部分の断面において前記双方に囲まれて閉じた閉領域が複数形成された状態で前記双方が重なり合って
おり、複数の前記閉領域の一つは、前記断面において前記第二サイドフレーム片が有する角部と、該角部の対角をなすように前記第一サイドフレーム片が屈曲することで形成された屈曲部と、によって構成されており、前記第一サイドフレーム片は、前記延出方向及び前記乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向における第一端部及び第二端部を有し、前記第一端部は、前記幅方向において前記フレームの中央に向かって延出しており、前記乗物用シートに乗員が着座した状態では前記第二端部よりも乗員に近い側に位置し、前記屈曲部は、前記幅方向において、前記第一端部の中で最も前記フレームの中央寄りに位置する部分よりも外側に位置していることにより解決される。
【0008】
上記のように構成された本発明の乗物用シートでは、サイドフレーム片同士が重なり合った部分(重なり部分)の断面において、サイドフレーム片に囲まれて閉じた閉領域が複数形成されている。このように閉領域が複数形成されていれば、閉領域が一つのみ形成されている構成に比較して、重なり部分の剛性がより高くなる。
また、上記の構成では、シート幅方向において、屈曲部が第一サイドフレーム片中、乗員により近い側の端部(第一端部)の延出方向先端部分よりも外側に位置している。このような構成であれば、シート着座時に乗員がサイドフレーム間に入り込めるスペースが屈曲部の形成によって狭くなるのを抑えることが可能となる。
また、
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、内部にフレームを備える乗物用シートであり、前記フレームの側端部に位置するサイドフレームは、所定方向に延出しており、前記サイドフレームの延出方向において部分的に重なり合った第一サイドフレーム片及び第二サイドフレーム片を有し、前記サイドフレームにおいて前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片の双方が重なり合った重なり部分では、前記延出方向と交差する前記重なり部分の断面において前記双方に囲まれて閉じた閉領域が複数形成された状態で前記双方が重なり合っており、前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片は、前記延出方向及び前記乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向における第一端部及び第二端部を有し、前記乗物用シートに乗員が着座した状態では、前記第一端部が前記第二端部よりも乗員に近い側に位置し、前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片のうち、一方のサイドフレーム片が有する前記第一端部には、前記第二端部が位置する側に向かって屈曲することで形成されたフランジ部が設けられていることにより解決される。
上記の構成では、複数の閉領域の一つが、第二サイドフレーム片の角部と、当該角部の対角をなす第一サイドフレーム片の屈曲部と、によって構成されている。このような構成であれば、第一サイドフレーム片中、屈曲部が形成されている部分がシート幅方向において内側に位置するようになる。これにより、屈曲部が形成された分、サイドフレームがシート幅方向外側に広がるのを抑えつつ、サイドフレーム(厳密には、第一サイドフレーム片)の剛性を向上させることが可能となる。
また、上記の構成では、いずれか一方のサイドフレーム片中、乗員により近い側の端部(第一端部)に、乗員から離れる側(第二端部が位置する側)に向かって屈曲することで形成されたフランジ部が設けられている。このような構成であれば、フランジ部を設けたことで乗物用シートの品質(例えば、乗り心地)に影響が及ぶのを抑えることが可能となる。また、上記のように構成されたフランジ部であれば、乗員が位置する側に向かって屈曲したフランジ部と比較して、周囲の部材と干渉し難くなる。
【0009】
上記の構成において、複数の前記閉領域は、前記断面において、前記延出方向及び前記乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向に並んでいるとよい。
上記の構成では、複数の閉領域が、サイドフレームの延出方向及び乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向に並んでいる。これにより、閉領域が並ぶ方向において重なり部分の剛性を向上させることが可能となる。
【0010】
上記の構成において、複数の前記閉領域は、前記断面の中で占める広さが互いに異なる第一閉領域及び第二閉領域を有するとよい。
上記の構成では、重なり部分の断面において、互いに広さが異なる第一閉領域及び第二閉領域が形成されている。このような構成であれば、重なり部分の剛性を高める際、第一閉領域及び第二閉領域のうち、より広い閉領域が位置する側を優先して剛性を高めることが可能となる。
【0011】
上記の構成において、前記第二サイドフレーム片は、前記乗物用シートの幅方向において前記第一サイドフレーム片よりも前記フレームの中央寄りに配置された状態で前記第一サイドフレーム片に重なっており、前記断面において前記閉領域の間に位置する部分には、前記第一サイドフレーム片が前記幅方向において前記フレームの中央に向かって隆起した隆起領域が設けられているとよい。
上記の構成では、乗物用シートの幅方向(シート幅方向)において、第二サイドフレーム片が第一サイドフレーム片よりも内側に位置している。また、第一サイドフレーム片には、補強部としての隆起領域が設けられており、隆起領域は、フレームの中央に向かって隆起している。このような構成であれば、サイドフレームがシート幅方向外側に広がるのを抑えつつ、サイドフレーム(厳密には、第一サイドフレーム片)の剛性を向上させることが可能となる。
【0012】
上記の構成において、複数の前記閉領域の一つは、前記断面において前記第二サイドフレーム片が有する角部と、該角部の対角をなすように前記第一サイドフレーム片が屈曲することで形成された屈曲部と、によって構成されているとよい。
上記の構成では、複数の閉領域の一つが、第二サイドフレーム片の角部と、当該角部の対角をなす第一サイドフレーム片の屈曲部と、によって構成されている。このような構成であれば、第一サイドフレーム片中、屈曲部が形成されている部分がシート幅方向において内側に位置するようになる。これにより、屈曲部が形成された分、サイドフレームがシート幅方向外側に広がるのを抑えつつ、サイドフレーム(厳密には、第一サイドフレーム片)の剛性を向上させることが可能となる。
【0014】
上記の構成において、前記フレームは、前記乗物用シートの幅方向において互いに離れた一対の前記サイドフレームと、前記幅方向において前記サイドフレーム間を連結する連結フレームと、を有し、前記連結フレームは、前記サイドフレームの前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片のうち、一方のサイドフレーム片と前記幅方向において部分的に重なっており、前記連結フレーム及び前記一方のサイドフレーム片が重なり合ったフレーム重なり部分では、前記延出方向と交差する前記フレーム重なり部分の断面が前記連結フレーム及び前記一方のサイドフレーム片に囲まれて閉じた閉断面をなした状態で前記連結フレーム及び前記一方のサイドフレーム片が重なり合っているとよい。
上記の構成では、サイドフレーム片と連結フレームとが重なり合った部分(フレーム重なり部分)の断面が閉断面となっている。このような構成であれば、フレーム重なり部分の剛性が的確に確保されるようになる。
【0015】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、内部にフレームを備える乗物用シートであり、前記フレームの側端部に位置するサイドフレームは、所定方向に延出しており、前記サイドフレームの延出方向において部分的に重なり合った第一サイドフレーム片及び第二サイドフレーム片を有し、前記サイドフレームにおいて前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片の双方が重なり合った重なり部分では、前記延出方向と交差する前記重なり部分の断面において前記双方に囲まれて閉じた閉領域が複数形成された状態で前記双方が重なり合っており、複数の前記閉領域は、前記断面において、前記延出方向及び前記乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向に並んでおり、複数の前記閉領域のうち前記乗物用シートの前後方向における後方に位置す
る閉領域の一部
が前方に位置す
る閉領域よりも
前記乗物用シートの幅方向において内側に位置することにより解決される。
また、前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、内部にフレームを備える乗物用シートであり、ヘッドレストと、前記フレームの前方に配置されたパッド材と、を有し、前記フレームの側端部に位置するサイドフレームは、所定方向に延出しており、前記サイドフレームの延出方向において部分的に重なり合った第一サイドフレーム片及び第二サイドフレーム片を有し、前記サイドフレームにおいて前記第一サイドフレーム片及び前記第二サイドフレーム片の双方が重なり合った重なり部分では、前記延出方向と交差する前記重なり部分の断面において前記双方に囲まれて閉じた閉領域が複数形成された状態で前記双方が重なり合っており、複数の前記閉領域は、前記断面において、前記延出方向及び前記乗物用シートの幅方向の各々と交差する方向に並んでおり、複数の前記閉領域のうち前記乗物用シートの前後方向における後方に位置す
る閉領域の一部
が前方に位置す
る閉領域よりも
前記乗物用シートの幅方向において内側に位置し、前記乗物用シートの幅方向において前記サイドフレームの間が連結フレームによって連結されていることにより解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の乗物用シートによれば、サイドフレーム片同士が重なり合った部分(重なり部分)の剛性がより高くなる。
また、本発明の乗物用シートによれば、閉領域が並ぶ方向において重なり部分の剛性が向上する。
また、本発明の乗物用シートによれば、重なり部分の剛性を高める際、第一閉領域及び第二閉領域のうち、より広い閉領域が位置する側を優先して剛性を高めることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、サイドフレームがシート幅方向外側に広がるのを抑えつつ、サイドフレームの剛性を向上させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、第一サイドフレーム片に屈曲部を形成した分、サイドフレームがシート幅方向外側に広がるのを抑えつつ、第一サイドフレーム片の剛性を向上させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、シート着座時に乗員がサイドフレーム間に入り込めるスペースが屈曲部の形成によって狭くなるのを抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、サイドフレーム片と連結フレームとが重なり合った部分(フレーム重なり部分)の剛性が的確に確保されるようになる。
また、本発明の乗物用シートによれば、一方のサイドフレーム片にフランジ部を設けたことで乗物用シートの品質(例えば、乗り心地)に影響が及ぶのを抑えることが可能となる。さらに、乗員が位置する側に向かって屈曲したフランジ部と比較して、周囲の部材と干渉し難くなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る乗物用シートについて
図1〜
図6を参照しながら説明する。以下では、乗物用シートの一例として車両用シートを挙げ、その構成例について説明することとする。ただし、本発明は、車両用シート以外の乗物用シート、例えば、船舶や航空機に搭載されるシートにも適用され得る。
【0019】
以下の説明において、「前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの幅方向であり、車両用シートに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。また、「正面視」とは、車両用シートの前側から車両用シートあるいは車両用シートの構成部品を見ていることを意味する。
【0020】
なお、以下に説明するシート各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートが通常状態(車両用シートの着座可能状態であって、シート各部が着座可能位置にある状態)にあるときの内容となっている。
【0021】
<<本実施形態に係る車両用シートの基本構成>>
車両用シートSは、
図1に示すように、シートバックS1とシートクッションS2とヘッドレストS3とを有する。また、車両用シートSは、シート内部にフレームを有する。具体的に説明すると、シートバックS1の内部には、
図2及び
図3に図示のシートバックフレームF1が配置されている。シートバックS1は、シートバックフレームFの前方にウレタン等のパッド材を配置して当該パッド材を表皮材で覆うことにより構成されている。
【0022】
シートバックフレームF1は、
図2及び
図3に示すように、シート幅方向において互いに離れた一対のサイドフレーム10と、シート幅方向においてサイドフレーム10間を連結する連結フレーム50と、を有する。
【0023】
サイドフレーム10は、シートバックフレームF1の側端部に位置し、所定方向に延出し、厳密には上下方向に対してやや傾いた(後傾した)方向に延出している。連結フレーム50は、サイドフレーム10とは別部材によって構成され、左右一対のサイドフレーム10の上端部同士(厳密には、後述の第二サイドフレーム片30の上端部同士)を連結している。本実施形態において、連結フレーム50は、サイドフレーム10の上端部に溶接されることでサイドフレーム10に組み付けられている。
【0024】
以下、
図2〜
図5を参照しつつ、サイドフレーム10及び連結フレーム50のそれぞれの構造について詳しく説明する。
【0025】
本実施形態に係るサイドフレーム10は、上下に分かれた2つのパーツ(サイドフレーム片)によって構成されている。具体的に説明すると、各サイドフレーム10は、より下方に位置する第一サイドフレーム片20と、より上方に位置する第二サイドフレーム片30と、を上下に並ぶように組み合わせることで構成されている。
【0026】
第一サイドフレーム片20は、所定形状に加工された金属板からなり、サイドフレーム10の下側部分をなす。第一サイドフレーム片20は、下部(以下、第一サイドフレーム片下部21)と上部(以下、第一サイドフレーム片上部22)とを有する。第一サイドフレーム片下部21は、
図2に示すように、側方視で略半円状となっている側壁21a、側壁21aの後端からシート幅方向内側に延出した後壁21b、及び、側壁21aの前端からシート幅方向内側に延出した前壁21cを備えている。
【0027】
側壁21aは、その上端位置から中央位置に亘って前方に膨らみ、中央位置から下端位置に向かうにつれて徐々に幅狭となる形状をなしている。後壁21bは、側壁21aの上端から下端に亘って設けられており、シート幅方向内側に幾分張り出ている。前壁21cは、側壁21aの上端から下端に亘って設けられており、
図2に示すように側壁21aの下端で後方に回り込んで後壁21bと連続している。シート幅方向における前壁21cの延出量(張り出し量)は、後壁21bの延出量よりも短く、換言すると、後壁21bは、前壁21cよりもフレームの中央寄りに位置するように延出している。ここで、「フレームの中央」とは、シート幅方向におけるシートバックフレームF1の中央位置(つまり、左右一対のサイドフレーム10の各々から等距離にある位置)のことである。
【0028】
第一サイドフレーム片上部22は、
図2及び
図3に示すように、第一サイドフレーム片下部21と連続しており、第一サイドフレーム片下部21の上端から上方に延出している。第一サイドフレーム片上部22は、
図2や
図3に図示の側壁22aと、
図4に図示の後壁22bと、
図2〜4に図示の前壁22cと、を備えている。
【0029】
側壁22aは、第一サイドフレーム片下部21の側壁21aと連続しており、サイドフレーム10の延出方向に沿って若干長く延出している。また、側壁22aの前後方向中央部分には、
図2に示すように補強ビード22hが形成されている。この補強ビード22hは、側壁22aをシート幅方向外側に隆起させることで形成された隆起領域であり、側壁22aの上端からサイドフレーム10の延出方向に沿って長く形成されている。
【0030】
後壁22bは、側壁22aの後端からシート幅方向内側(換言すると、フレームの中央)に向かって延出しており、側壁22aの上端から下端に亘って設けられている。また、後壁22bは、第一サイドフレーム片下部21の後壁21bと連続している。
【0031】
前壁22cは、側壁22aの前端からシート幅方向内側(換言すると、フレームの中央)に向かって延出しており、側壁22aの上端から下端に亘って設けられている。また、前壁22cは、第一サイドフレーム片下部21の前壁21cと連続している。なお、
図4に示すように、第一サイドフレーム片上部22の前壁22cの横幅(シート幅方向における長さ)は、第一サイドフレーム片上部22の後壁22bの横幅よりも幾分短くなっている。
【0032】
本実施形態において、前壁22cの上端は、
図2及び
図3に示すように、サイドフレーム10の延出方向に対して斜めにカットされている。
【0033】
ここで、後壁22b及び前壁22cは、前後方向(すなわち、サイドフレーム10の延出方向及びシート幅方向の各々と交差する方向)における第一サイドフレーム片20の端部に相当する。前壁22cは、車両用シートSに乗員が着座した状態において、後壁22bよりも乗員に近い側に位置する第一端部に相当する。後壁22bは、車両用シートSに乗員が着座した状態において、前壁22cよりも乗員から離れた側に位置する第二端部に相当する。また、第一サイドフレーム片上部22において、側壁22aの後端部と後壁22bは、
図2及び
図4に示すように、互いに略直交して角部22dをなしている。
【0034】
第二サイドフレーム片30は、サイドフレーム10の上側部分をなし、金属板によって構成されている。第二サイドフレーム片30は、複数回折り曲げられてリップ溝側鋼のような形状をなしている。第二サイドフレーム片30は、
図2及び
図3に示すように、下部(以下、第二サイドフレーム片下部31)と上部(以下、第二サイドフレーム片上部32)を有する。
【0035】
第二サイドフレーム片下部31は、第一サイドフレーム片上部22と重ね合されている。このように第一サイドフレーム片20及び第二サイドフレーム片30は、サイドフレーム10の延出方向において部分的に重ね合されることでサイドフレーム10を構成している。換言すると、サイドフレーム10は、第一サイドフレーム片上部22と第二サイドフレーム片下部31とが重ね合されることで構成された重なり部分40を有している。
【0036】
なお、
図4に示すように、重なり部分40では、第二サイドフレーム片下部31がシート幅方向において第一サイドフレーム片上部22よりも内側(換言すると、フレームの中央寄り)に配置された状態で第一サイドフレーム片上部22に重ねられている。
【0037】
また、第一サイドフレーム片上部22及び第二サイドフレーム片下部31は、互いに重ね合された状態で溶接(より厳密には、レーザ溶接)にて接合されている。ここで、第一サイドフレーム片上部22における第二サイドフレーム片下部31との溶接箇所の中には、第一サイドフレーム片上部22の前壁22cの上端が含まれている。第一サイドフレーム片上部22の前壁22cの上端は、前述したようにサイドフレーム10の延出方向に対して斜めにカットされている。このため、第一サイドフレーム片上部22及び第二サイドフレーム片下部31を溶接する際には、第一サイドフレーム片上部22の前壁22cの上端において溶接しろ(溶接長)をより長く確保することが可能となる。
【0038】
第二サイドフレーム片下部31の構成について説明すると、第二サイドフレーム片下部31は、サイドフレーム10の延出方向に沿って延出しており、
図4に図示の側壁31a、後壁31b及び前壁31cを有する。側壁31aは、サイドフレーム10の延出方向に沿って延出している。側壁31aは、第一サイドフレーム片上部22の側壁22aに沿っており、前後方向において第一サイドフレーム片上部22の側壁22aと略同じ幅を有する。
【0039】
後壁31bは、
図4に示すように、側壁31aと略直交し、側壁31aの後端からシート幅方向内側(換言すると、フレームの中央)に向かって延出している。後壁31bは、側壁31aの上端から下端に亘って設けられており、シート幅方向内側に幾分延出している。後壁31bは、その大部分が第一サイドフレーム片上部22の後壁22bに沿っており、シート幅方向において第一サイドフレーム片上部22の後壁22bよりも若干内側に長く延出している。
【0040】
また、
図4に示すように、側壁31aと後壁31bとの境界部分は、L字状に屈曲して屈曲部31dを形成している。屈曲部31dは、その頂点(L字の屈曲点に相当する箇所)がシート幅方向内側(換言すると、シートの中央)により近付くように屈曲している。そして、
図4に示すように、屈曲部31dは、重なり部分40(厳密には、重なり部分40の断面X1)において、第一サイドフレーム片上部22の角部22d(すなわち、側壁22aと後壁22bとの境界部分)の対角をなす位置に設けられている。なお、屈曲部31dの大きさについては、シート仕様に応じて自由に設計することが可能である。
【0041】
また、
図4に示すように、後壁31bには、補強のために後方フランジ部31eが設けられている。後方フランジ部31eは、後壁31bにおけるシート幅方向内側の端部(延出方向先端部)が前方(すなわち、前壁31cが位置する側)に向かって屈曲することで形成されている。
【0042】
前壁31cは、
図4に示すように、側壁31aと略直交し、側壁31aの前端からシート幅方向内側(換言すると、フレームの中央)に向かって延出している。前壁31cは、側壁31aの上端から下端に亘って設けられており、シート幅方向内側に幾分延出している。シート幅方向における前壁31cの延出量(張り出し量)は、後壁31bの延出量よりも短い。換言すると、後壁31bは、前壁31cよりもフレームの中央寄りに位置するように延出している。
【0043】
また、前壁31cは、その大部分が第一サイドフレーム片上部22の前壁22cに沿っており、シート幅方向において第一サイドフレーム片上部22の前壁22cよりも内側に若干長く延出している。
【0044】
また、
図4に示すように、前壁31cには、補強のために前方フランジ部31fが設けられている。前方フランジ部31fは、第二サイドフレーム片30(一方のサイドフレーム片)に設けられたフランジ部であり、前壁31cにおけるシート幅方向内側の端部(延出方向先端部)が後方(すなわち、後壁31bが位置する側)に向かって屈曲することで形成されている。
【0045】
ここで、後壁31b及び前壁31cは、前後方向(すなわち、サイドフレーム10の延出方向及びシート幅方向の各々と交差する方向)における第二サイドフレーム片30の端部に相当する。前壁31cは、車両用シートSに乗員が着座した状態において、後壁31bよりも乗員に近い側に位置する第一端部に相当する。後壁31bは、車両用シートSに乗員が着座した状態において、前壁31cよりも乗員から離れた側に位置する第二端部に相当する。
【0046】
第二サイドフレーム片上部32は、
図2及び
図3に示すように、第二サイドフレーム片下部31と連続しており、第二サイドフレーム片下部31の上端から上方に延出している。また、第二サイドフレーム片上部32は、上方に向かうにつれて徐々にシート幅方向内側に向かうように緩やかに湾曲している。第二サイドフレーム片上部32は、
図2及び
図3に示すように、側壁32a、後壁32b及び前壁32cを有する。
【0047】
側壁32aは、第二サイドフレーム片下部31の側壁31aと連続しており、上方に向かうほどシート幅方向内側に向かうように円弧状に湾曲している。また、側壁32aの前後方向中央部分には、
図2に示すように補強ビード32hが形成されている。この補強ビード32hは、側壁32aをシート幅方向外側に隆起させることで形成され、側壁32aの上端から下端に亘って形成されている。
【0048】
また、第一サイドフレーム片上部22及び第二サイドフレーム片下部31が重ね合わされた状態では、
図2に示すように、第一サイドフレーム片上部22の側壁22aに形成された補強ビード22hと、第二サイドフレーム片上部32の側壁32aに形成された補強ビード32hとが連続するように並んでいる。
【0049】
後壁32bは、側壁32aの後端からシート幅方向内側に向かって延出しており、側壁32aの上端から下端に亘って設けられている。後壁32bは、上方に向かうほどシート幅方向内側に向かうように円弧状に湾曲している。後壁32bは、第二サイドフレーム片下部31の後壁31bと連続している。
【0050】
前壁32cは、側壁32aの前端からシート幅方向内側に向かって延出しており、側壁32aの上端から下端に亘って設けられている。前壁32cは、上方に向かうほどシート幅方向内側に向かうように円弧状に湾曲している。前壁32cは、第二サイドフレーム片下部31の前壁31cと連続している。また、前壁32cの下端部は、
図3に示すように、下方に向かうにつれて幅狭となるように構成されている。
【0051】
本実施形態に係る連結フレーム50は、前後方向及び上下方向に複数回折り曲げられた金属プレートからなり、シート幅方向に沿って延出している。シート幅方向における連結フレーム50の両端部は、それぞれ、第二サイドフレーム片上部32に溶接されている。
【0052】
より詳しく説明すると、
図5に示すように、第二サイドフレーム片上部32において側壁32a、後壁32b及び前壁32cの各々の上端部に囲まれたスペースに連結フレーム50の端部が入り込んでいる。そして、上記のスペースに入り込んだ連結フレーム50の端部が側壁32a、後壁32b及び前壁32cの各々に溶接(厳密には、レーザー溶接)されることで、連結フレーム50が第二サイドフレーム片上部32に接合されている。
【0053】
以上のように、本実施形態において、連結フレーム50は、第二サイドフレーム片30(一方のサイドフレーム片に相当)とシート幅方向において部分的に重なっている。換言すると、シートバックフレームF1の上端部には、連結フレーム50及び第二サイドフレーム片30が重なり合ったフレーム重なり部分60が設けられている。
【0054】
フレーム重なり部分60では、
図5に示すように、断面X2(サイドフレーム10の延出方向と交差する断面)が閉断面をなした状態で連結フレーム50及び第二サイドフレーム片30が重なり合っている。ここで、「閉断面をなした状態」とは、
図5に示すように、連結フレーム50及び第二サイドフレーム片30の第二サイドフレーム片上部32に囲まれて閉じた閉断面をなしている状態を意味する。
【0055】
また、第二サイドフレーム片上部32の側壁32aに形成されている補強ビード32hは、
図2や
図5に示すように、サイドフレーム10の延出方向においてフレーム重なり部分60が設けられている範囲に達している。
【0056】
<<重なり部分の詳細について>>
第一サイドフレーム片上部22と第二サイドフレーム片下部31とが重なり合っている部分、すなわち、重なり部分40について
図4を参照しながら詳細に説明する。
【0057】
重なり部分40では、その断面X1(厳密には、サイドフレーム10の延出方向と交差する断面)において閉領域が複数形成された状態で、第一サイドフレーム片上部22及び第二サイドフレーム片下部31の双方が重なり合っている。ここで、「閉領域」とは、第一サイドフレーム片上部22及び第二サイドフレーム片下部31の双方に囲まれて閉じた領域のことである。
【0058】
断面X1には、前後方向(サイドフレーム10の延出方向及びシート幅方向の各々と交差する方向)に並んだ第一閉領域41及び第二閉領域42が存在する。このように重なり部分40の断面X1において複数の閉領域が形成されることで、当該重なり部分40の断面係数を効果的に増やすことが可能となる。これにより、車両用シートSでは、重なり部分40の剛性が効果的に高められている。
【0059】
なお、上記2つの閉領域は、断面X1の中で占める広さ(すなわち、各閉領域が囲む面積)が互いに異なるように形成されている。具体的に説明すると、
図4に示すように、第一閉領域41の広さよりも第二閉領域42の広さの方が大きくなっている。このような構成であれば、重なり部分40において、第一閉領域41が位置する側の部分(具体的には、前方部分)の剛性を優先的に高めることが可能となる。ただし、これに限定されるものではなく、第二閉領域42の広さよりも第一閉領域41の広さの方が大きくなっていてもよい。また、第二閉領域42の広さと第一閉領域41の広さとが等しくてもよい。
【0060】
各閉領域について説明すると、第一閉領域41は、
図4に示すように、より前方に形成された閉領域である。第一閉領域41は、第一サイドフレーム片上部22の側壁22aの前端部及び前壁22cと、第二サイドフレーム片下部31の側壁31aとに囲まれており、前後方向に長い偏平な閉領域となっている。
【0061】
第二閉領域42は、
図4に示すように、より後方に形成された閉領域である。第二閉領域42は、第一サイドフレーム片上部22の側壁22a及び後壁22bがなす角部22dと、第二サイドフレーム片下部31の後壁31bがなす屈曲部31dと、によって構成された略正方形状の閉領域となっている。
【0062】
なお、
図4に示すように、屈曲部31dは、シート幅方向において、第二サイドフレーム片下部31の前壁31cの内側端(最もフレームの中央寄りに位置する部分)よりも外側に位置している。
図4を参照して分かり易く説明すると、屈曲部31dは、シート幅方向において、
図4に図示した距離wだけ前壁31cの内側端よりも外側に位置している。このように本実施形態では第二サイドフレーム片下部31において屈曲部31dをシート幅方向外側に近付けるように設けている。このような構成であれば、シート着座時に乗員が窮屈感(具体的には、サイドフレーム10間に入り込めるスペースが屈曲部31dの形成によって狭くなったという感覚)を感じてしまうのを、抑制することが可能となる。
【0063】
また、
図4に示すように、断面X1において閉領域41、42の間に位置する部分には、第一サイドフレーム片上部22の側壁22aをシート幅方向内側(第二サイドフレーム片下部31が位置する側)に向かって隆起してなる補強ビード22hが配置されている。本実施形態において、補強ビード22hは、前後方向において第一閉領域41と第二閉領域42との略中間の位置に配置されている。ただし、補強ビード22hの位置については、特に限定されるものではなく、第一閉領域41により近付いた位置、あるいは第二閉領域42により近付いた位置であってもよい。
【0064】
<<その他の実施形態>>
以上までに説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0065】
また、上記の実施形態では、シートバックフレームF1のサイドフレーム10が上下二つのサイドフレーム片(第一サイドフレーム片20及び第二サイドフレーム片30)に分割され、サイドフレーム片同士が部分的に重なり合っている構成について説明した。ただし、これに限定されるものではなく、本発明は、
図6に示すようにシートクッションフレームF2のサイドフレーム110が前後二つのサイドフレーム片(第一サイドフレーム片120及び第二サイドフレーム片130)に分割され、サイドフレーム片同士が部分的に重なっている構成に対しても適用可能である。すなわち、シートクッションフレームF2のサイドフレーム110中、サイドフレーム片同士が重なり合った重なり部分の断面(前後方向を法線方向とする断面)において、
図4に図示した構成と同じように閉領域が複数形成されていれば、当該重なり部分の剛性を十分に確保することが可能となる。