(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態としての噴流はんだ槽及び噴流はんだ付け装置の実施の形態について説明する。なお、以下で上流側とは、各図中の白抜き矢印で示す基板の搬送方向に対して、基板を噴流はんだ付け装置に搬入する側を表し、下流側とは、基板を噴流はんだ付け装置から搬出する側を表す。また、溶融はんだは、下方から上方に向けて噴流されるものとする。なお、本例においては、フラクサ、プリヒータ部、噴流はんだ槽、冷却機からなるはんだ付け処理装置に係る実施の形態を用いて説明するが、本例に限定されないことはいうまでもない。基板の搬送は、所定の角度、例えば5度程度の傾斜する仰角をもって行われる場合を例示する。
【0023】
[噴流はんだ付け装置1の全体構成例]
図1に示す噴流はんだ付け装置1は、例えば、電子部品を載置した基板5を、溶融したはんだを噴流させてはんだ付け処理する装置であって、本体部10と、基板5を図中の白抜き矢印方向に搬送する搬送レール13とを備える。本体部10は、筐体であり、その側方に基板5を搬入する搬入口11と、基板5を搬出する搬出口12とを有する。搬入口11側が、上述したように上流側となる。
【0024】
本体部10はその内部に、基板5にフラックスを塗布するフラクサ15と、フラックスを塗布された基板5を予備加熱するプリヒータ部16と、溶融したはんだを噴流して基板5に接触させる噴流はんだ槽20と、はんだ付けされた基板5を冷却する冷却機17とを、搬送レール13に沿って上流側からこの順で備える。搬送レール13は、基板5を搬出口12から排出すると、噴流はんだ付け装置1によるはんだ付け処理が完了となる。更に、噴流はんだ付け装置1は、各部の動作を制御する
図2に示す制御部80を備える。
【0025】
フラクサ15は、搬送された基板5にフラックスを塗布する。フラックスには溶剤と活性剤等が使用される。フラクサ15は、複数の塗布装置を設けてもよい。その場合、はんだの種類や基板5の品種、フラックスの種類によって使い分けることができる。フラクサ15は、省略してもよい。
【0026】
プリヒータ部16は、基板5を加熱することで、基板5を均一に所定の温度まで上昇させる。このように基板5を加熱すると、基板5の所定の箇所にはんだが付着されやすくなる。プリヒータ部16は、例えば、ハロゲンヒータが用いられる。また、ヒータによって加熱された気体(熱風)をファンによって基板5に吹き付けて基板5を加熱することや遠赤外線パネルヒータなどを用いることもできる。
【0027】
噴流はんだ槽20は、図示しないポンプによって図示しないダクトを介して圧送された溶融はんだSを基板5に噴流させ、基板5の所定の箇所にはんだを形成する。噴流はんだ槽20は、図示しないヒータで250℃程度の温度に溶融はんだを加熱する。噴流はんだ槽20の構成については、後で詳述する。
【0028】
冷却機17は、図示しない冷却ファンを有し、噴流はんだ槽20ではんだ付け処理された基板5を冷却する。なお、本例では冷却ファンはONやOFFだけの制御であるが、冷却時間は製品に合わせて、作業者が任意に設定してもよい。また、基板5が所定の温度となるまで冷却するようにチラー等の手段を用いて温度管理するようにしてもよい。この場合でも、冷却温度を作業者が任意に設定できる。
【0029】
図2に示すように、制御部80は、搬送レール13、フラクサ15、プリヒータ部16、噴流はんだ槽20、冷却機17、操作部81及びメモリ部82と接続する。操作部81は、液晶表示パネルやテンキー等が使用される。作業者が操作部81を操作することで、制御部80は、搬送レール13の搬送速度や基板5を搬送するタイミング、フラクサ15が有するフラックスの温度、フラックスの塗布量、プリヒータ部16の温度、噴流はんだ槽20の溶融はんだSの温度や、噴流量、噴流速度、冷却機17が有する図示しない冷却ファンのONやOFF、等を制御する。メモリ部82は、操作部81で入力された情報や、制御部80の指示、噴流はんだ付け装置1の稼働時間等を記憶する。
【0030】
以下、各実施の形態における噴流はんだ槽について説明する。それぞれの噴流はんだ槽は、上述した噴流はんだ付け装置1に備えることができる。
【0031】
[第1の実施の形態の噴流はんだ槽20Aの構成例]
図3、4に示すように、噴流はんだ槽20Aは、噴流はんだ槽20の一例であり、溶融はんだSを収容する筐体のはんだ槽本体21を備え、はんだ槽本体21の上方に設けられた第1の噴流ノズルとしての一次噴流ノズル30と、一次噴流ノズル30の下流側に配置される第2の噴流ノズルとしての二次噴流ノズル40とをはんだ槽本体21の内部に備える。はんだ槽本体21は、図示しないヒータで加熱してはんだを溶融させた溶融はんだSを、所定の深さにわたり収容する。一次噴流ノズル30の下部には、図示しないダクトを介して図示しない第1の噴流ポンプが設置され、二次噴流ノズル40の下部には、図示しないダクトを介して図示しない第2の噴流ポンプがそれぞれ設置される。
【0032】
一次噴流ノズル30は、上下が開口したノズル本体部30Aを備え、ノズル本体部30Aの上方端の開口である噴流口31から溶融はんだSを噴流する。一次噴流ノズル30は、噴流口31から溶融はんだSを噴流するための第1のはんだ流形成板としてのはんだ流形成板32を備える。
【0033】
噴流口31は、溶融はんだSの液面から上方に突出している。噴流口31には側板33A、33Bが設けられ、側板33A、33Bは、噴流口31から噴流する溶融はんだSよりも上方に突出するため、噴流口31から噴流した溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちない。
【0034】
ノズル本体部30Aは、その内部に、底面が矩形状の空洞部34を有する。ノズル本体部30Aの上流側の壁30aの、上流側の上方には、ガイド板36が設けられ、一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40の間には、橋架部材37が設けられる。ノズル本体部30Aには更に、噴流口31から噴流してノズル本体部30Aの上流側に落ちた溶融はんだSを受け取るはんだ受取部38と、噴流口31から噴流してノズル本体部30Aの下流側に落ちた溶融はんだSを受け取るはんだ受取部39が設けられる。
【0035】
はんだ流形成板32は、噴流口31と略同形状の平板で、ノズル本体部30Aの上方端に、溶融はんだSの液面に対して平行に設けられている。はんだ流形成板32には、複数の円筒状の噴流孔32bが開けられており、この噴流孔32bから勢い良く且つ所望の高さに安定して溶融はんだSを噴流する。噴流孔32bは、図中の白抜き矢印に示す、基板5の搬送方向に対して直交する方向に沿う列をなす第1の孔群32b1と、基板5の搬送方向に対して直交する方向に沿う列をなして、第1の孔群32b1の下流側に配される第2の孔群32b2とを1つの孔グループ32c1としたとき、孔グループ32c1が2つ、基板5の搬送方向に沿って配置される。第1の孔群32b1は、基板5の搬送方向に所定のピッチ分ずれて配置される。第2の孔群32b2は、第1の孔群32b1に対して基板5の搬送される方向に1/2ピッチ分だけずれて配置される。噴流孔32bは、本例の場合、開口部の直径が5mm程度の大きさを有している。
【0036】
ガイド板36は、ノズル本体部30Aに設けられる取付部36aと、取付部36aに対してノズル本体部30Aの反対側に接合されるガイド部36bとを有する。取付部36aは、ネジ36cで壁30aに取り付けられる。ガイド部36bは、取付部36aに接合される板部36dと、板部36dの下方で取付部36aから離れる方向に折曲するガイド部36eとを有する。ガイド部36eは、下方から上方に噴流して上方から下方に落ちる溶融はんだSの、落ちる方向に対して、上流側が下方で下流側が上方に傾斜するように設けられ、ガイド部36eには、千鳥状に複数の孔36fが設けられている。
【0037】
橋架部材37は、ノズル本体部30Aの下流側の壁30bの上方に、接合されており、二次噴流ノズル40の上流側の壁40aに向けて延在する。橋架部材37の上面は、はんだ流形成板32と平行に設けられていて、噴流口31から噴流して基板5に付着しなかった溶融はんだSの流れを下流側に誘導する。橋架部材37の上流端から下流端までの長さは、一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40との距離よりも短く、橋架部材37の下流端と二次噴流ノズル40の上流側の壁40aとの間には隙間53Aが開いている。
【0038】
橋架部材37の基板5の搬送方向に対して直交する幅と、噴流口31の基板5の搬送方向に対して直交する幅とは、同じ長さである。側板33A、33Bは、橋架部材37の側方にものびているため、橋架部材37上を誘導される溶融はんだSを基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちないように規制して、橋架部材37の溶融はんだSの流れの表面を平滑にしている。
【0039】
隙間53Aは、二次噴流ノズル40の近傍に、基板5の搬送方向に対して直行する向きに沿う孔を形成している。一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40から噴流する溶融はんだSが互いに干渉しないように、且つ、一次噴流ノズル30から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが冷えて固まらないようにするため、隙間53Aの上流端から下流端までの長さは、例えば5mm以上7mm以下であることが好ましい。そのため、橋架部材37上を誘導される溶融はんだSの流れ方向に沿う橋架部材37の長さは、一次噴流ノズル30の下流側の壁30bと二次噴流ノズル40の壁40aとの距離よりも5mm以上7mm以下短いことが好ましい。しかしながら、基板のサイズ、搬送速度、はんだ付け処理を行うためのに用いるはんだの種類、溶融はんだの溶融温度の設定など種々の要因で変更できる。
【0040】
はんだ受取部38は、上端38aが開放されていて、1つの側方に開口部38bを有する容器形状をしており、壁30aにネジ止めされている。はんだ受取部38の上端38aは、溶融はんだSの液面よりも上方に突出している。基板5の搬送方向に対して直交するはんだ受取部38の幅は、噴流口31の幅と同じか噴流口31の幅よりも大きく、はんだ受取部38内には、ガイド板36のガイド部36eが収納される。
【0041】
はんだ受取部39は、上端39aが開放されていて、1つの側方に開口部39bを有する容器形状をしており、壁30bにネジ止めされている。はんだ受取部39の上端39aは、溶融はんだSの液面よりも上方に突出している。隙間53Aの下方にはんだ受取部39の底部が位置する。
【0042】
二次噴流ノズル40は、上下が開口したノズル本体部40Aを備え、ノズル本体部40Aの上方端の開口である噴流口41から溶融はんだSを噴流する。二次噴流ノズル40は、噴流口41から溶融はんだSを噴流するための第2のはんだ流形成板としてのはんだ流形成板42を備える。
【0043】
ノズル本体部40Aの下流側の壁40bの上方端40cには、溶融はんだ流を成形して噴流幅を変更する下流形成部46(リアフォーマ)が設けられる。ノズル本体部40Aは、底面が矩形状の空洞部44を有し、空洞部44は、下方よりも上方が一次噴流ノズル30に近づいている。二次噴流ノズル40には更に、噴流口41から噴流してノズル本体部40Aの下流側に落ちた溶融はんだSを受け取るはんだ受取部47が設けられる。
【0044】
噴流口41は、溶融はんだSの液面から上方に突出している。噴流口41には、側板43A、43Bが設けられ、側板43A、43Bは、噴流口41から噴流する溶融はんだSよりも上方に突出するため、噴流口41から噴流した溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちない。側板43A、43Bは、下流形成部46の側方にものびているため、下流形成部46上を誘導される溶融はんだSを、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちないように規制して、下流形成部46の溶融はんだSの流れの表面を平滑にしている。
【0045】
本実施の形態において、はんだ流形成板42には、はんだ流形成板32と同じ部材を使用し、はんだ流形成板42は、噴流口41と略同形状の平板で、ノズル本体部40Aの上方端に、溶融はんだSの液面に対して平行に設けられている。はんだ流形成板42には、複数の円筒状の噴流孔42bが開けられており、この噴流孔42bから勢い良く且つ所望の高さに安定して溶融はんだSを噴流する。噴流孔42bは、基板5の搬送方向に対して直交する方向に沿う列をなす第1の孔群42b1と、基板5の搬送方向に対して直交する方向に沿う列をなして、第1の孔群42b1の下流側に配される第2の孔群42b2とを1つの孔グループ42c1としたとき、孔グループ42c1が2つ、基板5の搬送方向に沿って配置される。第1の孔群42b1は、基板5の搬送方向に所定のピッチ分ずれて配置される。第2の孔群42b2は、第1の孔群42b1に対して基板5の搬送される方向に1/2ピッチ分だけずれて配置される。
【0046】
下流形成部46は、噴流口41から噴流して下流側に流れる溶融はんだSを形成する下流形成板46aと、下流形成板46aをノズル本体部40Aに対して回転させるための軸46bと、下流形成板46aの下流端に取り付けられるはんだ流変更板46cと、はんだ流変更板46cに対して下流形成板46aを挟む位置に設けられる支持板46dと、はんだ流変更板46c、下流形成板46a、支持板46dをこの順で止めるネジ46eと、支持板46dから突出する突出部46fと、突出部46fに開けられたネジ孔に挿通されるボルト46gとを備える。
【0047】
図5に示すように、下流形成板46aは、溶融はんだSの流れを基板5の搬送方向に沿って下流側に誘導する誘導部46a1と、誘導部46a1の下流端である折曲部46a3から上方に向かって折曲する誘導部46a2と、誘導部46a2の下流端で下方に折曲する取付部46a4を有する。誘導部46a1は、下流側が下方に位置するように軸46bから延在する。
【0048】
図3に戻るが、軸46bは、誘導部46a1の上流端に設けられていて、基板5の搬送方向に対して直交して延在する。軸46bは、ノズル本体部40Aの下流側の壁40bの上方端40cに回転可能に取り付けられる。
【0049】
図5に示すように、はんだ流変更板46cには、上下に長い長孔46c1が設けられる。はんだ流変更板46cは、長孔46c1と、取付部46a4に設けられたネジ孔と、支持板46dに設けられたネジ孔とを介して、はんだ流変更板46cと下流形成板46aと支持板46dがネジ46eで止められる。そのため、長孔46c1に対するネジ46eの止める高さを変更することにより、はんだ流変更板46cの下流形成板46aに対する高さを上下に変更できる。
【0050】
支持板46dは、ネジ46eが螺合するネジ孔を有する取付部46d1と、取付部46d1から折曲する支持部46d2とを有する。支持部46d2から直交して、突出部46fがノズル本体部40Aに対して反対方向に向けて突出する。突出部46fには、支持部46d2から突出する方向に直交して貫通するネジ孔46f1が設けられる。
【0051】
ボルト46gの軸は、下方にのびて、ネジ孔46f1に螺合する。ボルト46gの軸先は、はんだ受取部47の底面に接しており、ボルト46gをボルト46gの頭部が突出部46fに近づく方向又は遠ざかる方向に回転させると、ボルト46gのはんだ受取部47に対する高さは変わらず、突出部46fがボルト46gに対して上下するので、軸46bを支点として、下流形成板46a、はんだ流変更板46c、支持板46dが突出部46fと一緒に回転する。
【0052】
はんだ受取部47は、上端47aが開放されていて、1つの側方に開口部47bを有する容器形状をしており、ノズル本体部40Aの壁40bにネジ止めされている。はんだ受取部47の上端47aは、溶融はんだSの液面よりも上方に突出している。基板5の搬送方向に対して直交するはんだ受取部47の幅は、噴流口41の幅と同じか噴流口41の幅よりも大きい。はんだ受取部47の底面は、ボルト46gの軸先を支持する。
【0053】
[噴流はんだ付け装置1、噴流はんだ槽20Aの動作例]
次に、動作例について説明する。作業者が図示しない操作部81によって各種設定を行って、制御部80によって各部が動作していることを前提とする。
【0054】
図1に示すように、作業者が基板5を搬送レール13上に載せると、搬送レール13が図中の白抜き矢印の方向に基板5を搬送し、基板5が、搬入口11から本体部10内に搬入される。基板5がフラクサ15上に到達すると、フラクサ15が、基板5の所定の箇所にフラックスを塗布する。
【0055】
搬送レール13は、フラクサ15でフラックスが塗布された基板5をプリヒータ部16に搬送する。プリヒータ部16は、基板5を所定の温度まで加熱する。
【0056】
搬送レール13は、プリヒータ部16で所定の温度まで加熱された基板5を噴流はんだ槽20Aに搬送する。噴流はんだ槽20Aが、基板5の所定の箇所にはんだ付けを行う。図示しない噴流ポンプが駆動して、溶融はんだSが一次噴流ノズル30や二次噴流ノズル40から噴流する。
【0057】
一次噴流ノズル30に接続された図示しない第1の噴流ポンプの駆動により、
図3の黒矢印に示すように、溶融はんだSは、図示しないダクトを介して空洞部34内に入り、ノズル本体部30A内を上昇すると、噴流口31に設けられるはんだ流形成板32の噴流孔32bから、噴流する。噴流孔31bから噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5に接触して付着する。一次噴流ノズル30から噴流した溶融はんだSは、荒れた波であり、基板5のスルーホールや電子部品の隅部のように、はんだの侵入しにくい箇所まで侵入する。
【0058】
噴流孔32bから噴流し、基板5に付着しなかった溶融はんだSは、ノズル本体部30Aの上流側や隙間53Aから流れ落ちる。ノズル本体部30Aの上流側から下方へ流れ落ちてガイド板36にぶつかった溶融はんだSは、ガイド部36eの傾斜に沿って又は孔36fを通ってはんだ受取部38内に落ちる。はんだ受取部38内に落ちた溶融はんだSは、開口部38bから、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0059】
噴流孔32bから噴流した溶融はんだSの一部は、冷やされてはんだボールとなり、勢い良く落ちることがある。勢い良く落ちたはんだボールは、溶融はんだSの液面等で跳ね返り、基板5に付着して不良品になってしまったり、基板5に設けられた端子間に入ってはんだブリッジを起こしたりする。はんだブリッジは、基板を組み込んだ電子機器の正常機能を妨げる原因となる。しかしながら、ガイド板36を設けたことにより、噴流孔32bから噴流した溶融はんだSがガイド部36eや孔36fによってなだらかにはんだ受取部38内に落ちるため、はんだボールの発生を抑制することができる。
【0060】
基板5に付着せずにノズル本体部30Aの下流側に移動した溶融はんだSは、橋架部材37上を誘導され、橋架部材37の下流端の隙間53Aからはんだ受取部39内に落ちる。はんだ受取部39内に落ちた溶融はんだSは、開口部39bから、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0061】
橋架部材37上には溶融はんだSの流れに逆らうものがないため、橋架部材37上を流れる溶融はんだSは、平坦な波を形成できる。よって、橋架部材37上を通る基板5に対して、基板5の温度低下を抑制できるので、一次噴流ノズル30によって付着した溶融はんだSが冷えて固化することがないため、続く二次噴流ノズル40によって、更に溶融はんだSを基板5のスルーホール内等へ濡れ上がらせることができる。
【0062】
二次噴流ノズル40に接続された図示しない第2の噴流ポンプが駆動すると、溶融はんだSは、図示しないダクトを介して空洞部44内に入り、二次噴流ノズル40内を上昇すると、噴流口41に設けられるはんだ流形成板42の噴流孔42bから噴流する。噴流孔42bから噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5と接触して付着し、はんだ付けされる。
【0063】
噴流孔42bから噴流した溶融はんだSのうち、噴流口41の上流側に流れた溶融はんだSは、隙間53Aから流れ落ち、はんだ受取部39に受け取られた後、開口部39bからはんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0064】
噴流孔42bから噴流した溶融はんだSのうち、噴流口41の下流側に流れた溶融はんだSは、下流形成部46上を通り、はんだ流変更板46cの下流側からはんだ受取部47内に流れ落ちて、開口部47bからはんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0065】
図1に示すように、搬送レール13は、はんだ付けされた基板5を冷却機17に搬送する。冷却機17の図示しない冷却ファンが、はんだ付け処理された基板5を所定の時間冷却する。基板5が冷却された後、搬送レール13は、基板5を搬出口12から排出すると、噴流はんだ付け装置1によるはんだ付け処理が完了となる。
【0066】
ここで、下流形成部46の動作について説明する。
図6(A)は、はんだ流変更板46cを下流形成板46aに対して最も低く取り付けるように、長孔46c1の最も上方にネジ46eを止めた状態を示す。この状態において、噴流口41から上方の搬送レール13に向けて噴流して下流側に流れた溶融はんだSは、誘導部46a1、46a2上を誘導されて、はんだ流変更板46cの上方でやや上方に押し上げられ、はんだ流変更板46cの下流端から落ちる。
【0067】
この状態から、ネジ46eを長孔46c1の最も下方に止めかえると、
図6(B)に示すように、はんだ流変更板46cを取り付ける高さが下流形成板46aに対して最も高くなる。この状態において、噴流口41から上方に噴流し、誘導部46a1、46a2上を誘導された溶融はんだSは、はんだ流変更板46cの上方で
図6(A)に示した状態よりも上方に押し上げられた後、はんだ流変更板46cの下流端から落ちる。
【0068】
また、
図6(A)に示した状態から、作業者がボルト46gの頭部を突出部46fから離れるように回転させると、ボルト46gの軸に対して突出部46fが下方に移動するように、下流形成板46a、支持板46d、はんだ流変更板46c、突出部46fが一体となって軸46bを支点に回転する。すると、
図6(C)に示すように、支持板46dの下方端がノズル本体部40Aの下流端40cに近づいて、下流形成板46aが搬送レール13から遠ざかる方向に回転する。
図6(A)の状態から
図6(C)の状態に下流形成部46を回転させるのに限られず、図示しないが、ボルト46gの頭部を突出部46fに近づける方向に回転させることで、下流形成部46を搬送レール13に近づける方向に回転させてもよい。もちろん、下流形成部46を回転させた状態から、下流形成板46aに対してはんだ流変更板46cを取り付ける高さを変更しても良い。
【0069】
このように、下流形成部46は、ノズル本体部40Aに対して回転できる上に、下流形成板46aに対してはんだ流変更板46cの高さを変えることができるため、下流形成板46aとはんだ流変更板46c上を通る溶融はんだSの、形と高さを変えることができる。そのため、二次噴流ノズル40は、基板のサイズや基板に搭載される電子部品に応じて基板5に対して噴流する溶融はんだSとの接触量と接触時間を変更することができる。
【0070】
本実施の形態では、一次噴流ノズル30からも、二次噴流ノズル40からも、荒れた波の溶融はんだSが噴流するため、ともに基板5のスルーホールや電子部品の隅部のように、はんだの侵入しにくい箇所まで侵入する作用がある。そのため、一次噴流ノズル30による噴流では溶融はんだSの濡れ上がりが不十分であった場合でも、二次噴流ノズル40から噴流する溶融はんだSが更に侵入し、
図11Aに示すように、溶融はんだSが、基板5のスルーホールH内の下方から上方に十分に濡れ上がる。よって、高熱容量を要する電子部品を基板5にはんだ付けする際であっても、基板5のスルーホールH内に十分に溶融はんだSを濡れ上がらせて、未はんだを抑制して良好なはんだ付けをすることができる。
【0071】
本実施の形態において下流形成部46を設けたことにより、一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40の荒れた波によるはんだ付け後に、例え基板5のはんだ付け部へのはんだの付着状態が安定せずにはんだブリッジ等が起きていても、下流形成部46上を誘導される溶融はんだSによって、発生したはんだブリッジを溶かし直して、良好なはんだ付け部に修正することができる。
【0072】
本実施の形態において、橋架部材37が一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40の間に設けられることにより、噴流口31から噴流する溶融はんだSは、二次噴流ノズル40に向かって基板5の搬送方向に沿って誘導され、隙間53Aの上方で二次噴流ノズル40から噴流した溶融はんだSとぶつかる。そのため、一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40から噴流する溶融はんだSが互いに干渉しない。また、基板5は、一次噴流ノズル30から噴流した溶融はんだSが付着した後、橋架部材37の上方を搬送される間も、溶融はんだSと接触する。これにより、一次噴流ノズル30から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが二次噴流ノズル40からの溶融はんだSに接触する前に冷えて固まらないようにすることができる。
【0073】
本実施の形態において下流形成板46aを折曲する構成としたが、これに限られない。折曲部46a3を設けたことにより、噴流口41から噴流した溶融はんだSは、誘導部46a1から折曲部46a3に向けて流れ、折曲部46a3で溜まった後に誘導部46a2に流れる。そのため、平板状の下流形成板よりも溶融はんだSが下流側に誘導されやすい上に、折曲部46a3で溶融はんだSが溜められることにより、下流形成板上において基板5が溶融はんだSから離れる点、いわゆるピールバック・ポイントの調整を容易にすることができる。
【0074】
はんだ受取部38、39、47は、省略してもよいが、本実施の形態において、はんだ受取部38、39、47を設けたことにより、噴流した溶融はんだSが直接溶融はんだSの液面に落ちることがない。はんだ受取部38、39、47には、図示しないはんだの酸化物(ドロス)を取り除く構造を設けてもよい。
【0075】
[第2の実施の形態の噴流はんだ槽20Bの構成例]
続いて、各図を参照し、二次噴流ノズル(第2の噴流ノズル)に対して基板の搬送方向の下流側に三次噴流ノズル(第3の噴流ノズル)を備える場合の第2の実施の形態の噴流はんだ槽20Bについて説明する。噴流はんだ槽20Bは、噴流はんだ付け装置1に備えられる噴流はんだ槽20の一例であり、噴流はんだ槽20Bでは、第1の実施の形態の噴流はんだ槽20Aと同じ部材には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図7に示すように、噴流はんだ槽20Bは、溶融はんだSを収容するはんだ槽本体21を備え、はんだ槽本体21の上方に設けられた第1の噴流ノズルとしての一次噴流ノズル50と、一次噴流ノズル50の下流側に配置される第2の噴流ノズルとしての二次噴流ノズル60と、二次噴流ノズル60の下流側に配置される第3の噴流ノズルとしての三次噴流ノズル70とをはんだ槽本体21の内部に備える。一次噴流ノズル50の下部には、図示しないダクトを介して図示しない第1の噴流ポンプが設置され、二次噴流ノズル60の下部には、図示しないダクトを介して図示しない第2の噴流ポンプが設置され、三次噴流ノズル70の下部には、図示しないダクトを介して図示しない第3の噴流ポンプが設置される。
【0077】
一次噴流ノズル50は、上下が開口したノズル本体部30Aと、噴流口31から溶融はんだSを噴流するために複数の噴流孔32bが設けられているはんだ流形成板32を備える。ノズル本体部30Aは、その内部に、底面が矩形状の空洞部34を有する。
【0078】
噴流口31には側板54A、54Bが設けられ、側板54A、54Bは、ノズル本体部30Aの上流側の壁30aの上方から下流側の壁30bの上方までのびている。側板54A、54Bは、噴流口31から噴流する溶融はんだSよりも上方に突出するため、噴流口31から噴流した溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちない。
【0079】
壁30aの上流側の上方には、ガイド板36Bが設けられる。ガイド板36Bは、第1の実施の形態で説明したガイド板36から、ノズル本体部30Aに対して取り付ける位置を上下方向に変更できるようにしたものである。ノズル本体部30Aには更に、噴流口31から噴流してノズル本体部30Aの上流側に落ちた溶融はんだSを受け取るはんだ受取部38が設けられる。
【0080】
ガイド板36Bは、ノズル本体部30Aの壁30aにネジ36cで取り付けられる取付部36hと、取付部36hに対してノズル本体部30Aの反対側に接合されて複数の孔36fが設けられるガイド部36bとを有する。取付部36hには、上下に長い長孔36gが設けられており、取付部36hは、長孔36gと壁30aの上方に設けられたネジ孔とを介して、ノズル本体部30Aにネジ36cで止められる。長孔36gに対してネジ36cを止める高さを変更することにより、一次噴流ノズル50に対してガイド板36Bが取り付けられる高さを上下に変更できる。
【0081】
はんだ受取部38は、上端38aが開放されていて、
図4(A)に示したように1つの側方に開口部38bを有する容器形状をしており、壁30aにネジ止めされている。はんだ受取部38内には、ガイド板36Bのガイド部36bが収納される。
【0082】
二次噴流ノズル60は、上下が開口したノズル本体部40Aと、噴流口41から溶融はんだSを噴流するために複数の噴流孔42bが設けられているはんだ流形成板42を備える。ノズル本体部40Aは、その内部に、底面が矩形状の空洞部44を有する。
【0083】
一次噴流ノズル30と二次噴流ノズル40の間には、橋架部材37Bが設けられる。二次噴流ノズル40には、橋架部材37Bの下方に、噴流口41から噴流してノズル本体部40Aの上流側に落ちた溶融はんだSを受け取るはんだ受取部48が設けられる。二次噴流ノズル60には更に、ノズル本体部40Aの下流側の壁40bの上方に、ガイド板36が設けられる。
【0084】
噴流口41には、側板63A、63Bが設けられ、側板63A、63Bは、噴流口41から噴流する溶融はんだSよりも上方に突出するため、噴流口41から噴流した溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちない。側板63A、63Bは、ガイド板36の側方にものびているため、噴流口41の下流側から落ちる溶融はんだSを基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちないように規制している。
【0085】
橋架部材37Bは、ノズル本体部40Aの上流側の壁40aの上方に、ネジ止めされており、一次噴流ノズル50の壁30bに向けて延在する。橋架部材37Bの上面は、はんだ流形成板42と平行に設けられていて、噴流口41から噴流して基板5に付着しなかった溶融はんだSの流れを上流側に誘導する。橋架部材37Bの上流端から下流端までの長さは、一次噴流ノズル50と二次噴流ノズル60との距離よりも短く、橋架部材37Bの上流端と一次噴流ノズル50の下流端の上方端との間には隙間53Bが開いている。
【0086】
橋架部材37Bの基板5の搬送方向に対して直交する幅と、噴流口41の基板5の搬送方向に対して直交する幅とは、同じ長さである。側板63A、63Bは、橋架部材37Bの側方にものびているため、橋架部材37B上を誘導される溶融はんだSを基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちないように規制して、橋架部材37Bの溶融はんだSの流れの表面を平滑にしている。
【0087】
隙間53Bは、一次噴流ノズル50の近傍に、基板5の搬送方向に対して直行する向きに沿う孔を形成している。一次噴流ノズル50と二次噴流ノズル60から噴流する溶融はんだSが互いに干渉しないように、且つ、一次噴流ノズル50から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが冷えて固まらないようにするため、隙間53Bの上流端から下流端までの長さは、例えば5mm以上7mm以下であることが好ましい。そのため、橋架部材37B上を誘導される溶融はんだSの流れ方向に沿う橋架部材37Bの長さは、一次噴流ノズル50の壁30bと二次噴流ノズル60の壁40aとの距離よりも5mm以上7mm以下短いことが好ましい。しかしながら、基板のサイズ、搬送速度、はんだ付け処理を行うためのに用いるはんだの種類、溶融はんだの溶融温度の設定など種々の要因で変更できる。
【0088】
はんだ受取部48は、平板を折り曲げてL字型にした形状をしており、ノズル本体部40Aの壁40aにネジ止めされている。はんだ受取部48の上端は、溶融はんだSの液面よりも上方に突出している。隙間53Bの下方にはんだ受取部48の底部が位置する。はんだ受取部48の底部の上流端は、壁30bに接する。
【0089】
三次噴流ノズル70は、上下が開口したノズル本体部70Aを備え、ノズル本体部70Aの上方端の開口である噴流口71から溶融はんだSを噴流する。二次噴流ノズル60と三次噴流ノズル70の間には、橋架部材とはんだ受取部の機能を兼ね備えたはんだ誘導部材77が設けられる。ノズル本体部70Aの下流側の壁70bの上方端70dには、溶融はんだ流を成形して噴流幅を変更する下流形成部(リアフォーマ)76が設けられる。ノズル本体部70Aは、底面が矩形状の空洞部74を有し、空洞部74は、下方よりも上方が二次噴流ノズル60に近づいている。
【0090】
噴流口71は、溶融はんだSの液面から上方に突出している。噴流口71には、側板72A、72Bが下流形成部76の側方に到るまで設けられ、側板72A、72Bは、噴流口71から噴流する溶融はんだSよりも上方に突出するため、噴流口71から噴流した溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちない。
【0091】
誘導部材77は、三次噴流ノズル70の上流側の壁70aの上方に設けられていて、壁70aの上方端から、二次噴流ノズル60の下流側に向けて延在する誘導部77aと、誘導部77aの下流端から下方に折曲して壁70aにネジ止めされる取付部77bと、取付部77bから二次噴流ノズル60に向けて折曲する底部77cとを有する。誘導部材77は、基板5の搬送方向に対して直行する両端が開放されている。
【0092】
誘導部77aは、搬送レール13に対して平行に延在し、噴流口71から噴流して上流側に流れる溶融はんだSを誘導する。誘導部77aの基板5の搬送方向に対して直交する幅は、噴流口71の基板5の搬送方向に対して直交する幅と同じ長さである。誘導部77aの上流端と二次噴流ノズル60の下流側の壁40bの上方端との間には隙間53Cが開いている。誘導部77aは、基板5の搬送方向に対して直行する両端近傍に、基板5の搬送方向に沿う誘導部77aの全長にわたってサイドガイド77Bを有する。サイドガイド77Bは、誘導部77aから上方に折曲し、誘導部77a上を移動する溶融はんだSが基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちないように規制して、誘導部77aの溶融はんだSの流れの表面を平滑にする。
【0093】
この誘導部77aのサイドガイド77Bに連接して三次噴流ノズル70の側板72A、72Bが設けられているので、誘導部77aのサイドガイド77B及び三次噴流ノズル70の側板72A、72Bによって、溶融はんだSが、基板5の搬送方向に対して直交する向きに流れ落ちないように規制されている。
【0094】
底部77cは、取付部77bの下方端から二次噴流ノズル60に向けて折曲しており、底部77cの上流端は、壁40bに沿って折曲している。もちろん、この底部77cが壁40bに沿って折曲している部分が、ノズル本体部40Aに図示しないネジ等で止められていてもよい。
【0095】
隙間53Cは、二次噴流ノズル60の近傍に、基板5の搬送方向に対して直行する向きに沿う孔を形成している。二次噴流ノズル60と三次噴流ノズル70から噴流する溶融はんだSが互いに干渉しないように、且つ、一次噴流ノズル50と二次噴流ノズル60から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが冷えて固まらないようにするため、隙間53Cの上流端から下流端までの長さは、例えば5mm以上7mm以下であることが好ましい。そのため、誘導部77aを誘導される溶融はんだSの流れ方向に対する誘導部77aの長さは、二次噴流ノズル60の下流側の壁40bの上方端と三次噴流ノズル70の上流側の壁70aの上方端の距離よりも5mm以上7mm以下短いことが好ましい。しかしながら上述のように、基板のサイズ、搬送速度、はんだ付け処理を行うためのに用いるはんだの種類、溶融はんだの溶融温度の設定など種々の要因で変更できる。
【0096】
ガイド板36は、隙間53Cと誘導部77aの下方、底部77cの上方、及び取付部77bの上流側によって囲まれる空間の中に設けられている。
【0097】
下流形成部76は、噴流口71から噴流して下流側に流れる溶融はんだSを形成する下流形成板76aと、下流形成板76aをノズル本体部40Aに対して回転させるための軸76bと、下流形成板76aの下流端に取り付けられるはんだ流変更板76cと、はんだ流変更板76cに対してはんだ流変更板76cを下流形成板76aに止めるネジ76dと、ノズル本体部70Aの下流側の壁70bに設けられる支持部76eと、ノズル本体部70Aに対して下流側に突出する突出部76fと、突出部76fに開けられたネジ孔に挿通されるボルト76gとを備える。
【0098】
図8(A)に示すように、下流形成板76aは、溶融はんだSの流れを基板5の搬送方向に沿って下流側に誘導する誘導部76a1と、誘導部76a1の下流端である折曲部76a3から上方に向かって折曲する誘導部76a2と、誘導部76a2の下流端で下方に折曲する取付部76a4を有する。
【0099】
誘導部76a1は、下流側が下方に位置するように軸76bから延在する。誘導部76a2には、上下に貫通する孔が設けられており、この孔にボルト76gが回転は可能だが上下方向には移動しないようにはまっている。取付部76a4は、溶融はんだSの液面側に向かってのびていて、はんだ流変更板76cに取り付けられるネジ76dが螺合するネジ孔を有する。
【0100】
軸76bは、誘導部76a1の上流端に設けられていて、基板5の搬送方向に対して直交して延在する。軸76bは、ノズル本体部70Aの下流側の壁70bの上方端70dに回転可能に取り付けられる。
【0101】
はんだ流変更板76cには、上下に長い長孔76c1が設けられる。はんだ流変更板76cは、長孔76c1と、取付部76a4に設けられたネジ孔とを介して、はんだ流変更板76cが下流形成板76aにネジ76dで止められる。そのため、長孔76c1に対するネジ76dの止める高さを変更することにより、はんだ流変更板76cの下流形成板76aに対する高さを上下に変更できる。
【0102】
支持部76eは、ボルト76gを支持する支持部とはんだ受取部との機能を兼ね備えている。支持部76eは、上端76e1が開放されていて、1つの側方に開口部76e2を有する容器形状をしており、ノズル本体部70Aの壁70bにネジ止めされている。支持部76eの上端76e1は、溶融はんだSの液面よりも上方に突出している。基板5の搬送方向に対して直交する支持部76eの幅は、ノズル本体部70Aと同じかノズル本体部70Aよりも大きい。
【0103】
突出部76fは、ノズル本体部70Aに取り付けられる側の支持部76eの内壁から直交して、ノズル本体部70Aに対して反対方向に向けて突出する。突出部76fには、突出部76fが支持部76eから突出する方向に直交して上下に貫通するネジ孔76f1が設けられる。
【0104】
ボルト76gの軸は、軸先が支持部76eに向かうように下方にのびている。ボルト76gをボルト76gの頭部が突出部76fに近づく方向又は遠ざかる方向に回転させると、軸76bを支点として、下流形成板76aとはんだ流変更板76cが一体となって回転する。
【0105】
[噴流はんだ槽20Bの動作例]
次に、動作例について説明する。作業者が図示しない操作部81によって各種設定を行って、制御部80によって各部が動作していることを前提とする。噴流はんだ付け装置1全体の動作については、第1の実施の形態において説明したので、省略する。
【0106】
一次噴流ノズル30に接続された図示しない第1の噴流ポンプの駆動により、
図7の黒矢印に示すように、溶融はんだSは、図示しないダクトを介して空洞部34内に入り、ノズル本体部30A内を上昇すると、噴流口31に設けられるはんだ流形成板32の噴流孔32bから噴流する。噴流口31から噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5に接触して付着する。一次噴流ノズル50から噴流した溶融はんだSは、荒れた波であり、基板5のスルーホールや電子部品の隅部のように、はんだの侵入しにくい箇所まで侵入する。
【0107】
噴流孔32bから噴流し、基板5に付着しなかった溶融はんだSは、ノズル本体部30Aの上流側や隙間53Bから流れ落ちる。ノズル本体部30Aの上流側から下方へ流れ落ちてガイド板36Bにぶつかった溶融はんだSは、ガイド部36bの傾斜に沿って又は孔36fを通ってはんだ受取部38内に落ちる。はんだ受取部38内に落ちた溶融はんだSは、
図4(A)に示した開口部38bから、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0108】
基板5に付着せずにノズル本体部30Aの下流側に移動した溶融はんだSは、隙間53Bからはんだ受取部48に向けて落ちる。はんだ受取部48に落ちた溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交するはんだ受取部48の側方から、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0109】
二次噴流ノズル60に接続された図示しない第2の噴流ポンプの駆動により、溶融はんだSは、図示しないダクトを介して空洞部44内に入り、二次噴流ノズル40内を上昇すると、噴流口41に設けられるはんだ流形成板42の噴流孔42bから噴流する。噴流口41から噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5と接触して付着する。二次噴流ノズル60から噴流した溶融はんだSは、荒れた波であり、基板5のスルーホールや電子部品の隅部のように、はんだの侵入しにくい箇所まで侵入する。
【0110】
噴流孔42bから噴流した溶融はんだSのうち、噴流口41の上流側に流れた溶融はんだSは、橋架部材37Bの上を一次噴流ノズル50側に流れ、隙間53Bからはんだ受取部48に向けて落ちる。溶融はんだSは、はんだ受取部48に受け取られた後、はんだ受取部48の側方から、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0111】
橋架部材37Bを搬送レール13と平行に設けたとともに、橋架部材37B上には溶融はんだSの流れに逆らうものがないため、橋架部材37B上を流れる溶融はんだSは、基板5の搬送方向に沿う平坦な波を形成できる。よって、橋架部材37B上を通る基板5の温度低下を抑制できるので、一次噴流ノズル50から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが冷えて固化することがないため、続く二次噴流ノズル60によって更に溶融はんだSを基板5のスルーホール内等へ濡れ上がらせることができる。
【0112】
噴流孔42bから噴流した溶融はんだSのうち、噴流口41の下流側に流れた溶融はんだSは、隙間53Cから誘導部材77の底部77cに向けて落ちる。隙間53Cの下方で底部77cの上方には、ガイド板36が設けられているので、隙間53Cから下方へ流れ落ちてガイド部36bにぶつかった溶融はんだSは、ガイド部36bの傾斜に沿って又は孔36fを通って、底部77cに落ちる。底部77cに落ちた溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する誘導部材77の側方から、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0113】
二次噴流ノズル60にガイド板36を設けたことにより、噴流孔42bから噴流した溶融はんだSが冷やされてはんだボールが形成されても、はんだボールがガイド部36bや孔36fによってなだらかに誘導部材77の底部77cに落ちるため、基板5に付着したり基板5に設けられた端子間に入ったりすることを抑制することができる。
【0114】
三次噴流ノズル70に接続された図示しない第3の噴流ポンプの駆動により、溶融はんだSは、図示しないダクトを介して空洞部74内に入り、三次噴流ノズル70内を上昇すると、噴流口71から噴流する。噴流口71から噴流した溶融はんだSは、搬送レール13によって搬送される基板5と接触して付着し、はんだ付けされる。一次噴流ノズル50と二次噴流ノズル60からの荒れた波が付着して、基板5にはんだ付け不良が発生した場合でも、三次噴流ノズル70からの穏やかな溶融はんだSの流れが、そのはんだ付け不良を修正する。
【0115】
噴流口71から噴流した溶融はんだSのうち、噴流口71の上流側に流れた溶融はんだSは、誘導部77a上を基板5の搬送方向に対して平行に二次噴流ノズル60側に流れ、隙間53Cからガイド板36を経由して底部77cに流れ落ちる。底部77cに落ちた溶融はんだSは、基板5の搬送方向に対して直交する誘導部材77の側方から、はんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0116】
誘導部77aを搬送レール13と平行に設けたとともに、誘導部77a上には溶融はんだSの流れに逆らうものがないため、誘導部77a上を流れる溶融はんだSは、基板5の搬送方向に沿う平坦な波を形成できる。よって、誘導部77a上を通る基板5の温度低下を抑制できるので、一次噴流ノズル50と二次噴流ノズル60から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが冷えて固化することがないため、続く三次噴流ノズル70によって均一なはんだ付けを行うことができる。
【0117】
噴流口71から噴流した溶融はんだSのうち、噴流口71の下流側に流れた溶融はんだSは、下流形成部76上を通り、はんだ流変更板76cの下流側から支持部76e内に流れ落ちて、開口部76e2からはんだ槽本体21に溜められた溶融はんだSの液面に戻る。
【0118】
図1に示すように、搬送レール13は、はんだ付けされた基板5を冷却機17に搬送する。冷却機17の図示しない冷却ファンが、はんだ付け処理された基板5を所定の時間冷却する。基板5が冷却された後、搬送レール13は、基板5を搬出口12から排出すると、噴流はんだ付け装置1によるはんだ付け処理が完了となる。
【0119】
ここで、下流形成部76の動作について説明する。
図8(A)は、はんだ流変更板76cを下流形成板76aに対して最も低く取り付けるように、長孔76c1の最も上方にネジ76dを止めた状態を示す。この状態において、噴流口71から上方の搬送レール13に向けて噴流して下流側に流れた溶融はんだSは、誘導部76a1、76a2上を誘導されて、はんだ流変更板76cの上方でやや上方に押し上げられ、はんだ流変更板76cの下流端から落ちる。
【0120】
この状態から、ネジ76dを長孔76c1の最も下方に止めかえると、
図8(B)に示すように、はんだ流変更板76cを取り付ける高さが下流形成板76aに対して最も高くなる。この状態において、噴流口71から上方に噴流し、誘導部76a1、76a2上を誘導された溶融はんだSは、はんだ流変更板76cの上方で
図8(A)に示した状態よりも上方に押し上げられた後、はんだ流変更板76cの下流端から落ちる。
【0121】
また、
図8(A)に示した状態から、作業者がボルト76gの頭部を突出部76fから離れるように回転させると、ボルト76gの動きに下流形成板76aが引かれて、下流形成板76aとはんだ流変更板76cが一体となって軸46bを支点に回転する。すると、
図8(C)に示すように、ボルト76gの下方端が支持部76eから遠ざかり、下流形成板76aが搬送レール13に近づく方向に回転する。
図8(A)の状態から
図8(C)の状態に下流形成部76を回転させるのに限られず、図示しないが、ボルト76gの頭部を突出部76fに近づく方向に回転させることで、下流形成部76を搬送レール13から遠ざかる方向に回転させてもよい。もちろん、下流形成部76を回転させた状態から、下流形成板76aに対してはんだ流変更板76cを取り付ける高さを変更しても良い。
【0122】
このように、下流形成部76は、ノズル本体部70Aに対して回転できる上に、下流形成板76aに対してはんだ流変更板76cの高さを変えることができるため、下流形成板76aとはんだ流変更板76c上を通る溶融はんだSの、形と高さを変えることができる。そのため、三次噴流ノズル70は、基板のサイズや基板に搭載される電子部品に応じて基板5に対して噴流する溶融はんだSとの接触量と接触時間を変更することができる。
【0123】
本実施の形態では、一次噴流ノズル50からも、二次噴流ノズル60からも、荒れた波の溶融はんだSが噴流するため、ともに基板5のスルーホールや電子部品の隅部のように、はんだの侵入しにくい箇所まで侵入する作用がある。そのため、一次噴流ノズル50による噴流では溶融はんだSの濡れ上がりが不十分であった場合でも、二次噴流ノズル60から噴流する溶融はんだSが更に侵入し、
図11Aに示すように、溶融はんだSが、基板5のスルーホールH内の下方から上方に十分に濡れ上がる。よって、高熱容量を要する電子部品を基板5にはんだ付けする際であっても、基板5のスルーホールH内に十分に溶融はんだSを濡れ上がらせて、未はんだを抑制して良好なはんだ付けをすることができる。
【0124】
橋架部材37Bが一次噴流ノズル50と二次噴流ノズル60の間に設けられることにより、噴流口41から噴流する溶融はんだSは、一次噴流ノズル50に向かって基板5の搬送方向に沿って誘導され、隙間53Bの上方で一次噴流ノズル50から噴流した溶融はんだSとぶつかる。そのため、一次噴流ノズル30から噴流した溶融はんだSが基板5に付着した後、橋架部材37Bの上方を搬送される基板5にも、溶融はんだSが接触する。これにより、一次噴流ノズル50から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが二次噴流ノズル60からの溶融はんだSに接触する前に冷えて固まらないようにすることができる。
【0125】
本実施の形態において、誘導部材77が二次噴流ノズル60と三次噴流ノズル70の間に設けられることにより、噴流口71から噴流する溶融はんだSは、二次噴流ノズル60に向かって基板5の搬送方向に沿って誘導され、隙間53Cの上方で二次噴流ノズル60から噴流した溶融はんだSとぶつかる。そのため、二次噴流ノズル60から噴流した溶融はんだSが基板5に付着した後、誘導部材77の上方を搬送される基板5にも、溶融はんだSが接触する。これにより、二次噴流ノズル60から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが三次噴流ノズル70からの溶融はんだSに接触する前に冷えて固まらないようにすることができる。
【0126】
本実施の形態において下流形成板76aを折曲する構成としたが、これに限られない。折曲部76a3を設けたことにより、噴流口71から噴流した溶融はんだSは、誘導部76a1から折曲部76a3に向けて流れ、折曲部76a3で溜まった後に誘導部76a2に流れる。そのため、平板状の下流形成板よりも溶融はんだSが下流側に誘導されやすい上に、折曲部76a3で溶融はんだSが溜められることにより、下流形成板上において基板5が溶融はんだSから離れる点、いわゆるピールバック・ポイントの調整を容易にすることができる。
【0127】
なお、上述の実施の形態で説明した各ガイド板、橋架部材、誘導部材、はんだ受取部、支持部、下流形成部は、従来の噴流ノズルに対しても容易に着脱できる。なお、ガイド板36、36Bは、上述の実施の形態で説明した配置に限られない。一次噴流ノズルと二次噴流ノズルの間に設けられてもよいし、三次噴流ノズルの下流側の壁に設けられてもよい。また、噴流ノズルに対するガイド板の取り付け方は、ガイド板36、36Bに示した例に限られず、下流形成部のように軸を有して回転できる構成としてもよい。
【0128】
橋架部材37、37Bや誘導部材77は、隙間53A〜53Cを形成するように、隣り合うノズル本体部の長さよりも短くしたが、これに限られない。基板5の搬送方向に沿う橋架部材37、37Bや誘導部材77の長さは、隣り合うノズル本体部の距離と同じであっても、隣り合うノズル本体部の距離よりも長くてもよい。このような場合においては、隙間53A〜53Cの代わりに、橋架部材37、37Bや誘導部材77に、スリット等を設けて基板5の搬送方向に対して直行する向きに沿う孔を形成することで、溶融はんだSをこのスリット等から落下させる構成としてもよい。また、スリットは、基板5の搬送方向に直交する向きの全長にわたって設けてもよいし、当該向きに複数に分断されていてもよい。隣り合う噴流ノズルから噴流した溶融はんだSがぶつかっても、隙間53A〜53C、スリット等から溶融はんだSが落ちるため、互いの噴流ノズルから噴流する溶融はんだSどうしがぶつかった影響が基板5に及ぶことがない。また、基板5の上方にまで溶融はんだSが上昇する、オーバーフローを抑制することができる。
【0129】
上述した実施の形態において、誘導部材77にはサイドガイド77Bを設け、サイドガイド77Bが、基板5の搬送方向に沿う誘導部77aの全長にわたって設けられるものとしたが、これに限られない。誘導部77aの上流端近傍のサイドガイド77Bを切り欠き、切り欠いた部分から溶融はんだSをはんだ槽本体21に収容される溶融はんだSの液面に向けて落とすようにしてもよい。サイドガイド77Bに切り欠きを設けた場合、溶融はんだSを落とすための隙間、スリット等を設けなくてもよい。
【0130】
また、橋架部材37、37Bにもサイドガイドを設ければ、各側板を橋架部材37、37Bの側方まで伸ばさなくても良い。一方で、側板72A、72Bを誘導部材77の側方まで伸ばし、サイドガイド77Bを省略してもよい。
【0131】
上述した実施の形態において、下流形成部46、76を設けたが、下流形成部46は、省略してもよいし、下流形成部46、76の構成は上述した例に限られない。二次噴流ノズル又は三次噴流ノズルの下流側の壁の上方端に、接合されてもよいし、橋架部材37Bのように取り付けられてもよいし、ガイド板36Bのように上下移動できるように取り付けられていてもよい。
【0132】
図9に示すように本実施の形態のはんだ流形成板32の噴流孔32bとはんだ流形成板42の噴流孔42bは、平板状のはんだ流形成板32、42に噴流孔32b、42bが開けられており、噴流孔32b、42bの断面を長方形としたが、これに限られない。例えば、
図10(A)に示すように、はんだ流形成板301Aは、断面が台形の噴流孔301bを平板状のはんだ流形成板301Aに開けた形態であってもよい。すなわち、噴流孔301bは、上方に行くほど経口が小さくなる形状をしてもよい。また、例えば、
図10(B)に示すように、はんだ流形成板302Aの噴流孔302bは、はんだ流形成板302Aから直交する方向に突出した形状をするとともに、断面が長方形であってもよい。
図10(C)に示すように、はんだ流形成板303Aの噴流孔303bは、はんだ流形成板303Aから突出した形状をするとともに、断面が台形であってもよい。
図10(D)に示すように、はんだ流形成板304Aの噴流孔304bは、はんだ流形成板304Aから突出した形状をするとともに、円錐形の斜面が湾曲した形状であってもよい。
【0133】
はんだ流形成板32、42は、溶融はんだSの液面に対して平行に設けられるものとしたが、これに限られず、例えば、基板5の搬送方向に沿うように設けられてもよい。また、はんだ流形成板32、42には異なる部材を使用してもよく、異なる噴流孔を設けてもよい。噴流孔301b、303b、304bは、孔が先細りするため、溶融はんだSをより小さな力で勢い良く噴流することができる。そのため、例えば、はんだ流形成板32には噴流孔32bを採用してはんだ流形成板42に噴流孔301b、303b又は304bを採用すれば、一次噴流ノズル接続される噴流ポンプの圧力と、二次噴流ノズルに接続される噴流ポンプの圧力を同じにしても、一次噴流ノズルよりも二次噴流ノズルのほうが勢い良く溶融はんだSを噴流することができる。
【0134】
本実施の形態において、噴流孔32b、42bは、千鳥状に配され、第1の孔群と、第2の孔群とを1つの孔グループとしたとき、孔グループが2つ、基板5の搬送方向に沿って配置されるものとしたが、これに限られない。孔グループは、少なくとも2以上設けられていることが好ましい。また、孔グループは、第1の孔群と第2の孔群のみならず、基板5の搬送方向に対して直交する方向に沿うn列(nは自然数)の孔群から構成されて、nが2以上の場合、第1の孔群に対して基板5の搬送される方向に1/nピッチ分だけずれて配置されることが好ましい。
【0135】
本実施の形態において、均一に溶融はんだSを基板5に接触させるために噴流孔32b、42bから溶融はんだSが噴流する構成としたが、これに限られない。基板5に対して平行な向きの噴流孔32b、42bの断面形状は円形に限らず、多角形や星形、十字型などであってもよい。
【0136】
図12は、本発明に係る第3の実施の形態の噴流はんだ槽20Aの構成例を示す概略断面図であり、
図3に示される橋架部材37の代わりに、可変構成とした橋架部材49を設けたものであり、他の構成は同じである。橋架部材49は、二次噴流ノズル(第2の噴流ノズル)40の壁40aの上端部に壁40aに沿って上下動可能なようになされており、ねじ49aでその取付け位置が固定される。さらに、橋架部材49は、回動可能なようになされており、ネジ49bで回動位置が固定される。この橋架部材49の上下位置及び回動位置を調整することにより、基板5は、一次噴流ノズル30から噴流した溶融はんだSが付着した後、橋架部材49の上方を搬送される間も、溶融はんだSと接触するので、温度低下が抑制される。これにより、一次噴流ノズル30から噴流して基板5に付着した溶融はんだSが二次噴流ノズル40からの溶融はんだSに接触する前に冷えて固化することがないため、均一にはんだ付けをすることができる。なお、橋架部材48を一次噴流ノズル(第1の噴流ノズル)30の壁30bに設けても良い。
【0137】
上述した実施の形態において、基板5には、スルーホールHが設けられているものとし、本発明は、スルーホールH内に溶融はんだSを十分に濡れ上がらせることができるものとしたが、これに限られない。スルーホールHが設けられていない基板に対しても、良好なはんだ付けを行うことができる。