(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移載装置は、前記一対の収納部のうち一方の収納部の前記棚から受け取った前記容器を180度水平旋回させて、前記一対の収納部のうち他方の収納部の前記棚へ受け渡す、
請求項1に記載の保管装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような保管装置は、出荷先(当該保管装置が利用される半導体製造工場等)で組み立てられることが一般的であるが、出荷先で組立作業を実施する場合、出荷元(当該保管装置の製造工場等)で組立作業を実施する場合よりも作業コストが高くなる傾向がある。そこで、出荷元で組み立てた保管装置をそのまま、あるいは可能なかぎり少ない数の組立ユニットとして出荷先に搬入できることが望まれている。しかしながら、出荷元で組み立てた保管装置を出荷可能とするためには、保管装置を小型化する必要がある。
【0005】
そこで、本開示の一形態は、容器の収納密度を高めることにより小型化を図ることができる保管装置及び当該保管装置を含む搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る保管装置は、前後幅が左右幅よりも小さい容器が載置される複数の棚を有し、第1の方向に対向して配置される一対の収納部と、一対の収納部の間に設けられ、一対の収納部の棚同士の間で容器を移載する移載装置と、を備え、一対の収納部の各々において、同一の高さ位置に配置される複数の棚は、第1の方向に直交する第2の方向に配列され、移載装置は、複数の棚の各々に、容器の前面が第2の方向を向く状態で容器を載置する。
【0007】
本開示の一形態に係る保管装置では、一対の収納部の各々において、容器の前面が棚の配列方向(第2の方向、すなわち収納部の長手方向)を向くように、容器が載置される。ここで、容器の前後幅は、容器の左右幅よりも小さい。従って、上記保管装置によれば、容器の側面が棚の配列方向を向くように容器が棚に載置される構成と比較して、各収納部の長手方向における容器の収納密度を高めることができる。その結果、保管装置の長手方向における全長を短くして保管装置の小型化を図ることができる。
【0008】
上記保管装置では、移載装置は、一対の収納部のうち一方の収納部の棚から受け取った容器を180度水平旋回させて、一対の収納部のうち他方の収納部の棚へ受け渡してもよい。この構成によれば、上下方向に隣接する棚に載置される容器同士の間隔を比較的小さくすることができるため、各収納部の高さ方向における容器の収納密度を高めることができる。その結果、保管装置の高さ方向における全長を短くして保管装置の小型化を図ることができる。
【0009】
上記保管装置では、一対の収納部の各々は、第1の方向に沿って容器を搬送する天井搬送車がアクセス可能なポートを有し、一方の収納部のポートは、当該ポートに載置された容器を180度水平旋回させる旋回機構を有してもよい。移載装置が容器を180度水平旋回させて一方の収納部の棚から他方の収納部の棚に容器を移載する場合、一方の収納部の棚に載置される容器の向きと他方の収納部の棚に載置される容器の向きとは、互いに逆になる。一方、天井搬送車によって搬送可能な容器の向き(天井搬送車の走行方向に対する容器の向き)は予め決められている。上記構成によれば、一方の収納部のポートに旋回機構を設ける簡易な構成により、各収納部のポートに載置される容器の向き(すなわち、入庫直後の容器の向き及び出庫直前の容器の向き)を天井搬送車により搬送可能な向きと一致させることができる。その結果、第1の方向に沿って走行する天井搬送車は、いずれの収納部のポートも、入庫又は出庫のために利用することが可能となる。これにより、天井搬送車による容器の入出庫作業の効率を向上させることができる。
【0010】
上記保管装置では、一対の収納部のうち一方の収納部のポートは、入庫用のポートであり、一対の収納部のうち他方の収納部のポートは、出庫用のポートであってもよい。この構成によれば、一対の収納部を入庫専用の収納部と出庫専用の収納部とに分けることができる。その結果、天井搬送車による容器の入出庫をスムーズに行うことが可能となり、天井搬送車の渋滞の発生を抑制することができる。
【0011】
上記保管装置では、一対の収納部のうち少なくとも一方の収納部は、容器を搬送する天井搬送車が所定の停止位置において容器を上下方向に移動させることで容器の入庫又は出庫が行われる第1のポートと、天井搬送車が上記所定の位置において容器を水平方向及び上下方向に移動させることで容器の入庫又は出庫が行われる第2のポートと、を有してもよい。この構成によれば、所定の停止位置に停止した天井搬送車による入出庫作業(すなわち、第1のポート及び第2のポートへのアクセス)を一連の移載動作として実行することが可能となる。例えば、天井搬送車は、第1のポート及び第2のポートの一方に容器を入庫した後、第1のポート及び第2のポートの他方から容器を出庫することができる。その結果、天井搬送車による容器の入出庫をスムーズに行うことが可能となり、天井搬送車の渋滞の発生を抑制することができる。
【0012】
本開示の一形態に係る搬送システムは、上記保管装置と、一対の収納部のうち少なくとも一方の収納部にアクセス可能であり、容器の前面が第2の方向を向く状態で該容器を第1の方向に沿って搬送する天井搬送車と、を含む。上記搬送システムでは、上述した理由により、保管装置の長手方向における全長を短くして保管装置の小型化を図ることができる。また、上記搬送システムでは、天井搬送車により搬送される容器と収納部に載置される容器とは、いずれも容器の前面が第2の方向を向く状態となる。これにより、天井搬送車の走行方向と一対の収納部が互いに対向する方向とが直交する場合に必要となる機構等(例えば収納部に載置される容器を90度水平旋回させる機構等)が不要となる。従って、上述のように天井搬送車と保管装置とが配置される搬送システムによれば、保管装置の構造を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一形態によれば、容器の収納密度を高めることにより小型化を図ることができる保管装置及び当該保管装置を含む搬送システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、以降の説明においては、
図1の紙面における右方向を前方向、左方向を後方向、上方向を右方向、下方向を左方向とする。また、
図1の紙面手前側に向かう方向を上方向、紙面奥側に向かう方向を下方向とする。
【0016】
[第1実施形態]
図1〜
図5に示すように、第1実施形態の保管装置1は、複数の半導体ウェハを収容する容器としてのFOUP90を複数収納可能とされている。FOUP90は、SEMIスタンダードにおいて規定されている、ミニエンバイロメント方式の半導体製造工場で使用される300mm半導体ウェハ用の搬送及び保管等を目的としたキャリアである。本実施形態では一例として、FOUP90は、本体部91と、扉92と、フランジ部93と、一対の取っ手部94,94と、を備える。本体部91は、半導体ウェハを収容する箱状の筐体である。本体部91の前面側には、半導体ウェハを出し入れするための開口が設けられており、本体部91の背面側は、平面視上丸みを帯びた湾曲形状をなしている(
図1参照)。扉92は、本体部91の開口を塞ぐ部材であり、本体部91に対して着脱自在とされている。フランジ部93は、本体部91の上面に設けられている。フランジ部93は、後述する天井搬送車10の把持機構11によって把持される部分である。取っ手部94,94は、本体部91の両側面に設けられている。作業者は、例えば、本体部91の背面側からFOUP90を抱え込み、取っ手部94を両手で掴んでFOUP90を持ち上げることにより、FOUP90を容易に持ち運ぶことができる。また、FOUP90の前後幅w1は、FOUP90の左右幅w2よりも小さい。
【0017】
保管装置1は、略直方体状の筐体2内に、一対の収納部3A,3Bと、収納部3Aと収納部3Bとの間に設けられた移載装置4と、を備える。
図1及び
図2に示すように、筐体2は、前後方向(第1の方向)に対向する側壁部21,21と、左右方向(第2の方向)に対向する側壁部22,22と、側壁部21,21及び側壁部22,22の上面を塞ぐ天板部23と、を備える。また、側壁部21に沿って左右方向に所定間隔で、支柱24が立設されている。筐体2は、側壁部21,21、側壁部22,22、及び天板部23により、略直方体状に設けられている。ただし、筐体2は、後述するポート32A,32Bと天井搬送車10との間でFOUP90の移載が可能なように、ポート32A,32Bが外部に開放された形状をなしている(
図3及び
図4参照)。本実施形態では一例として、天井搬送車10が上方からポート32A,32Bにアクセス可能なように、筐体2には、ポート32A,32Bの少なくとも上方を開放する開口Sが設けられている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、収納部3A,3Bは、各側壁部21,21に沿って、前後方向に対向して配置されている。収納部3Aは、前方側の側壁部21に沿って配置されており、収納部3Bは、後方側の側壁部21に沿って配置されている。各収納部3A,3Bは、FOUP90が載置される複数の棚31を有する。各収納部3A,3Bにおいて、複数の棚31は、上下方向及び左右方向に配列されている。すなわち、複数の棚31は上下方向に多段に設けられている。また、同一の高さ位置に配置される複数の棚31は、左右方向に並ぶように配列されている。
【0019】
各棚31には、FOUP90の前面(すなわち、本体部91に対して扉92が設けられる側の面)が左右方向を向く状態で、FOUP90が載置される。
図1に示すように、本実施形態では一例として、収納部3Aの棚31には、FOUP90の前面が右方向を向く状態で、FOUP90が載置される。また、収納部3Bの棚31には、FOUP90の前面が左方向を向く状態で、FOUP90が載置される。上述の通り、FOUP90の前後幅w1は、FOUP90の左右幅w2よりも小さい。従って、上述のようにFOUP90を棚31に載置することにより、FOUP90の側面が棚31の配列方向(すなわち左右方向)を向くようにFOUP90を棚31に載置する場合と比較して、各収納部3A,3Bの左右方向におけるFOUP90の収納密度を高めることができる。その結果、保管装置1の左右方向における全長を短くして保管装置1の小型化を図ることができる。
【0020】
本実施形態では一例として、各棚31は、FOUP90の底面の前面側の一部を支持する第1棚部材31aと、FOUP90の底面の背面側の一部を支持する第2棚部材31bと、から構成される。第1棚部材31a及び第2棚部材31bはそれぞれ、支柱24に取り付けられている。
【0021】
具体的には、
図1に示すように、収納部3Aの棚31を構成する第1棚部材31a及び第2棚部材31bはそれぞれ、支柱24の左側面及び右側面に取り付けられている。すなわち、一の支柱24に取り付けられた第1棚部材31aと、当該支柱24の1つ左側にある支柱24に取り付けられた第2棚部材31bとの組により、収納部3Aの1つの棚31が構成される。一方、収納部3Bの棚31を構成する第1棚部材31a及び第2棚部材31bはそれぞれ、支柱24の右側面及び左側面に取り付けられている。一の支柱24に取り付けられた第1棚部材31aと、当該支柱24の1つ右側にある支柱24に取り付けられた第2棚部材31bとの組により、収納部3Bの1つの棚31が構成される。1つの棚31を構成する第1棚部材31aと第2棚部材31bとの間には、後述する移載装置4のフォーク45aが進入してFOUP90の移載(荷掬い又は荷降ろし)を行うことが可能なように、所定の間隔が設けられている。
【0022】
移載装置4は、収納部3A,3Bの棚31同士の間でFOUP90を移載する装置である。移載装置4は、以下に述べる機構により、複数の棚31の各々に、FOUP90の前面が左右方向を向く状態でFOUP90を載置する。
図1及び
図2に示すように、移載装置4は、収納部3A,3B間に左右方向に沿って敷設された一対のレール40,40と、当該レール40,40に沿って左右方向に移動可能とされた台車41と、台車41上に設けられた回転台42と、回転台42上に立設されたマスト43と、マスト43に対して昇降駆動可能に取り付けられた昇降台44と、昇降台44上に取り付けられた移載機構45と、を備える。なお、
図2において、移載対象のFOUP90以外のFOUP90については、図示を省略している。
【0023】
台車41には、走行車輪41a,41aが設けられている。走行車輪41a,41aがレール40,40上に支持されることにより、台車41は、レール40,40に沿って走行可能とされている。移載装置4は、図示しない駆動機構で台車41を走行させることで、移載機構45の左右方向における位置を決定することができる。具体的には、移載装置4は、台車41の走行制御により、FOUP90の移載を行う対象の棚31に対応する左右方向における位置に、移載機構45を移動させることができる。
【0024】
移載装置4は、図示しない駆動機構で昇降台44を上下方向に昇降させることで、移載機構45の上下方向における位置を決定することができる。具体的には、移載装置4は、昇降台44の昇降制御により、FOUP90の移載を行う対象の棚31に対応する上下方向における位置に、移載機構45を移動させることができる。
【0025】
移載装置4は、図示しない駆動機構で回転台42を回転させることで、回転台42とともにマスト43及び昇降台44を水平に回転させ、移載機構45が対向する方向(すなわち、移載機構45がアクセス可能な方向)を決定することができる。例えば、
図1及び
図2に示すように、収納部3Bの棚31に載置されたFOUP90の荷掬い、又は、収納部3Bの棚31へのFOUP90の荷降ろしを行う場合、移載装置4は、回転台42の回転制御により、移載機構45が収納部3Bに対向するように、回転台42を回転させる。
【0026】
移載機構45は、例えば伸縮自在のロボットハンドであり、その先端部にフォーク45aが設けられている。フォーク45aは、棚31に載置されたFOUP90を下方から掬い上げて支持することが可能となっている。例えば、フォーク45aの上面に上方に突出する突起(不図示)が設けられるとともに、FOUP90の底面に当該突起を挿入可能な穴部(不図示)が設けられる。すなわち、フォーク45aの上面の突起がFOUP90の底面の穴部に挿入されることで、フォーク45aからFOUP90が滑り落ちないように所定の位置に位置決めされるようになっている。
【0027】
移載装置4は、上述した機構により、一方の収納部(例えば収納部3A)の棚31から受け取ったFOUP90を180度水平旋回させて他方の収納部(例えば収納部3B)の棚31へ受け渡すように構成されている。以下、移載装置4が収納部3Bの棚31から受け取ったFOUP90を収納部3Aの棚31へ受け渡す場合を例に挙げて、移載装置4の移載動作の一例について説明する。
【0028】
まず、移載装置4は、台車41の走行制御、昇降台44の昇降制御、及び回転台42の回転制御により、移載機構45を荷掬い対象のFOUP90が載置された収納部3Bの棚31に対応する荷掬い位置に移動させる。続いて、移載装置4は、移載機構45を伸長させて、フォーク45aを荷掬い対象のFOUP90の下方に進入させる。続いて、移載装置4は、フォーク45aが第1棚部材31aと第2棚部材31bとの間を通って荷掬い対象のFOUP90を掬い上げるように、昇降台44を上昇させる。その後、移載装置4は、移載機構45を縮めることで、FOUP90を取り込む。
【0029】
続いて、移載装置4は、移載機構45が収納部3Aに対向するように、回転台42を180度水平旋回させる。これにより、フォーク45a上のFOUP90は、水平に180度回転させられる。すなわち、フォーク45aに掬い上げられる前の状態(収納部3Bの棚31に載置されている状態)において前面が左方向を向いていたFOUP90は、前面が右方向を向く状態に変化させられる。続いて、移載装置4は、台車41の走行制御及び昇降台44の昇降制御により、移載機構45をFOUP90の移載先の収納部3Aの棚31に対応する荷降ろし位置に移動させる。続いて、移載装置4は、移載機構45を伸長させて、フォーク45a上のFOUP90を移載先の棚31の上方に進入させる。続いて、移載装置4は、フォーク45aが当該棚31を構成する第1棚部材31aと第2棚部材31bとの間を通るように、昇降台44を下降させる。これにより、FOUP90は、フォーク45aから移載先の棚31に受け渡される。
【0030】
なお、移載装置4が同一の収納部(収納部3A又は収納部3B)内において一の棚31から他の棚31へFOUP90を移載する場合には、回転台42による180度の水平旋回は行われないため、移載の前後においてFOUP90の向きは変化しない。
【0031】
上述した回転式の移載装置4によれば、フォーク45aの厚みを比較的小さくすることができ、その結果、上下方向に隣接する棚31に載置されるFOUP90同士の間隔を比較的小さくすることができる。すなわち、上下方向に隣接する棚31同士の間隔を比較的小さくすることができる。これにより、各収納部3A,3Bの高さ方向におけるFOUP90の収納密度を高めることができる。その結果、保管装置1の高さ方向における全長を短くして保管装置1の小型化を図ることができる。
【0032】
図3及び
図4に示すように、保管装置1と天井搬送車10とを含む搬送システム100では、一例として、天井搬送車用の軌道50が、各収納部3A,3Bにおいて左右方向に並ぶ棚31の列(本実施形態では一例として5列)のうち最も左側の列の上方を通るように、前後方向に沿って敷設されている。軌道50は、例えば、保管装置1が設置される半導体製造工場の天井付近に敷設されている。天井搬送車10は、例えばOHT(Overhead Hoist Transfer)であり、軌道50に吊り下げられた状態で軌道50に沿って一方向(本実施形態では一例として前側から後側に向かう方向)に走行する。すなわち、本実施形態では、収納部3Aは、天井搬送車10の走行方向上流側に配置されており、収納部3Bは、天井搬送車10の走行方向下流側に配置されている。
【0033】
天井搬送車10は、一対の収納部3A,3Bのうち少なくとも一方の収納部(本実施形態では一例として両方の収納部3A,3B)にアクセス可能である(詳しくは後述)。また、天井搬送車10は、FOUP90の前面が左右方向(第2の方向)を向く状態で、FOUP90を前後方向(第1の方向)に沿って搬送する。本実施形態では一例として、天井搬送車10は、FOUP90の前面が右側を向く状態で、FOUP90を前側から後側に向かう方向に沿って搬送する。
【0034】
天井搬送車10は、FOUP90のフランジ部93を把持可能な把持機構11と、把持機構11が接続されたベルト12の繰出し、巻き取りによって把持機構11を昇降可能な昇降機構13と、昇降機構13を天井搬送車10の走行方向(本実施形態では「前後方向」)に直交する方向(本実施形態では「左右方向」)に水平移動可能な水平移動機構14と、を備える。
【0035】
図1及び
図3に示すように、収納部3Aの最も左側の列の最上段(他の列の最上段よりも1段下の段)には、天井搬送車10がアクセス可能なように上方が開放されたポート32Aが設けられている。具体的には、天井搬送車10は、ポート32Aの上方に停止し、把持機構11を昇降機構13で昇降させることで、ポート32Aとの間でFOUP90の移載(荷降ろし又は荷掬い)を行うことができる。なお、本実施形態では一例として、ポート32Aは、収納部3Aの他の棚31と同様に、第1棚部材31a及び第2棚部材31bによって構成されている。
【0036】
図1及び
図4に示すように、収納部3Bの最も左側の列の最上段(他の列の最上段よりも1段下の段)には、天井搬送車10がアクセス可能なように上方が開放されたポート32Bが設けられている。具体的には、天井搬送車10は、ポート32Bの上方に停止し、把持機構11を昇降機構13で昇降させることで、ポート32Bとの間でFOUP90の移載(荷降ろし又は荷掬い)を行うことができる。ポート32Bは、当該ポート32B上に載置されたFOUP90を180度水平旋回させる旋回機構を有する。
【0037】
本実施形態では一例として、ポート32Bは、180度水平旋回可能なターンテーブル(旋回機構)33と、ターンテーブル33上に取り付けられた一対の支持部34,34と、によって構成される。支持部34,34は、互いに所定間隔離間して設けられた直方体状の部材である。支持部34,34は、通常状態(FOUP90の移載が可能な状態)において前後方向に延在している。これにより、FOUP90の底面の前面側の一部及び背面側の一部が、支持部34,34により支持されるようになっている。また、支持部34,34の間隔は、移載装置4のフォーク45aが進入してFOUP90の移載(荷掬い又は荷降ろし)を行うことが可能な大きさとされている。ターンテーブル33は、支持部34,34上にFOUP90が載置された状態で旋回することで、FOUP90の向きを180度回転させる。
【0038】
ポート32Bにターンテーブル33が設けられていることにより、ポート32Aに入庫されたFOUP90をポート32Bから出庫したり、ポート32Bに入庫されたFOUP90をポート32Aから出庫したりすることが可能となる。以下、このことについて具体的に説明する。また、本実施形態では一例として、天井搬送車10は、走行方向(前側から後側に向かう方向)に対して右側にFOUP90の前面が向くようにしてFOUP90を搬送するものとする。
【0039】
まず、ポート32Aに入庫されたFOUP90をポート32Bから出庫する場合について説明する。この場合、ポート32Aの上方に停止した天井搬送車10から、ポート32AにFOUP90が受け渡されることにより、ポート32AへのFOUP90の入庫が行われる。入庫直後においては、ポート32Aに載置されたFOUP90は、当該FOUP90の前面が右方向を向いた状態となる(
図1及び
図3参照)。
【0040】
ポート32Aに入庫されたFOUP90は、移載装置4による収納部3Bへの移載の過程で、移載装置4の水平旋回(回転台42の回転動作)により、FOUP90の前面が左方向を向いた状態となる(
図1の収納部3Bの左から2〜4列目のFOUP90を参照)。すなわち、ポート32Aに入庫されたFOUP90は、最終的に出庫のためにポート32Bに移載されたときには、天井搬送車10により搬送可能な向きとは反対側を向いた状態(すなわち、FOUP90の前面が左方向を向いた状態)になってしまう。そこで、ターンテーブル33は、移載装置4によってポート32BにFOUP90が移載されると、180度水平旋回する。これにより、ポート32B上のFOUP90の向きを天井搬送車10により搬送可能な向き(すなわち、FOUP90の前面が右方向を向いた状態)と一致させることができる(
図1及び
図4参照)。その結果、天井搬送車10が、ポート32Bに載置されたFOUP90を出庫することが可能となる。
【0041】
次に、ポート32Bに入庫されたFOUP90をポート32Aから出庫する場合について説明する。この場合、ポート32Bの上方に停止した天井搬送車10から、ポート32BにFOUP90が受け渡されることにより、ポート32BへのFOUP90の入庫が行われる。入庫直後においては、ポート32Bに載置されたFOUP90は、当該FOUP90の前面が右方向を向いた状態となる(
図1及び
図4参照)。
【0042】
ここで、ポート32Bに入庫されたFOUP90を180度水平旋回させない場合、当該FOUP90は、移載装置4による収納部3Aへの移載の過程で、移載装置4の水平旋回(回転台42の回転動作)により、FOUP90の前面が左方向を向いた状態となる。すなわち、ポート32Bに入庫されたFOUP90は、最終的に出庫のためにポート32Aに移載されたときには、天井搬送車10により搬送可能な向きとは反対側を向いた状態(すなわち、FOUP90の前面が左方向を向いた状態)になってしまう。
【0043】
そこで、ターンテーブル33は、ポート32Bに入庫されたFOUP90を180度水平旋回させる。これにより、当該FOUP90は、FOUP90の前面が左方向を向いた状態となる。その結果、当該FOUP90は、移載装置4による収納部3Aへの移載の過程で、FOUP90の前面が右方向を向いた状態となる。すなわち、ポート32Bに入庫されたFOUP90は、最終的に出庫のためにポート32Aに移載されたときには、天井搬送車10により搬送可能な向きとなる。その結果、天井搬送車10が、ポート32Aに載置されたFOUP90を出庫することが可能となる。
【0044】
上述のように、一方の収納部(本実施形態では一例として収納部3B)のポート32Bがターンテーブル33を備える簡易な構成により、各収納部3A,3Bのポート32A,32Bに載置されるFOUP90の向き(すなわち、入庫直後のFOUP90の向き及び出庫直前のFOUP90の向き)を天井搬送車10により搬送可能な向きと一致させることができる。その結果、天井搬送車10は、いずれの収納部3A,3Bのポート32A,32Bも、入庫又は出庫のために利用することが可能となる。これにより、天井搬送車10によるFOUP90の入出庫作業の効率を向上させることができる。
【0045】
ここで、ポート32A,32Bのうち一方のポートを入庫用のポートとし、他方のポートを、出庫用のポートとしてもよい。この構成によれば、収納部3A,3Bを入庫専用の収納部と出庫専用の収納部とに分けることができる。その結果、天井搬送車10によるFOUP90の入出庫をスムーズに行うことが可能となり、天井搬送車10の渋滞の発生を抑制することができる。例えば、天井搬送車10の走行方向上流側の収納部(本実施形態では収納部3A)のポート32Aを入庫用のポートとし、天井搬送車10の走行方向下流側の収納部(本実施形態では収納部3B)のポート32Bを出庫用のポートとしてもよい。この場合、1台の天井搬送車10が、一連の走行動作により、FOUP90の入庫及び出庫の両方を行うことが可能となる。具体的には、1台の天井搬送車10が、上流側のポート32AにFOUP90を荷降ろし(入庫)した後に、下流側のポート32BからFOUP90を荷掬い(出庫)することが可能となる。その結果、天井搬送車10の運用効率を向上させることができる。
【0046】
図5に示すように、本実施形態では一例として、左側の側壁部22のうち、収納部3Aの最も左側の列の所定高さ位置にある特定の棚31A上の空間に隣接する部分に開口部22aが設けられ、当該開口部22aを塞ぐシャッター22bが設けられている。ここで、棚31Aに載置されるFOUP90は、前面が右方向を向いた状態となっている。このため、作業者は、シャッター22bを開ける(本実施形態では一例として後方向にスライドさせる)ことにより、棚31Aに載置されたFOUP90にアクセス可能となる。作業者は、当該FOUP90を背面側から抱え込み、一対の取っ手部94を両手で掴むことにより、当該FOUP90を容易に取り出すことができる。また、作業者は、FOUP90を棚31Aに収納する場合には、FOUP90を取り出す際の動作と逆の動作により、棚31AにFOUP90を容易に収納することができる。このように、保管装置1では、FOUP90の前面が左右方向を向くようにして棚31に載置されるので、側壁部22に開口部22aを設ける簡易な構成により、作業者がFOUP90を容易に出し入れ可能なマニュアルポートを構成することができる。具体的には、保管装置1内部においてFOUP90の向きを変更する機構等を設けることなく、保管装置1の妻側からFOUP90を出し入れ可能なマニュアルポートを構成することができる。
【0047】
以上述べた保管装置1では、収納部3A,3Bの各々において、FOUP90の前面が棚31の配列方向(すなわち収納部3A,3Bの長手方向)を向くように、FOUP90が載置される。ここで、FOUP90の前後幅w1は、FOUP90の左右幅w2よりも小さい。従って、保管装置1によれば、FOUP90の側面が棚31の配列方向を向くようにFOUP90が棚31に載置される構成と比較して、各収納部3A,3Bの長手方向におけるFOUP90の収納密度を高めることができる。その結果、保管装置1の長手方向における全長を短くして保管装置1の小型化を図ることができる。
【0048】
また、移載装置4は、収納部3A,3Bのうちの一方の収納部の棚31から受け取ったFOUP90を180度水平旋回させて他方の収納部の棚31へ受け渡す。上述の通り、移載装置4をこのような構造とすることにより、上下方向に隣接する棚31に載置されるFOUP90同士の間隔を比較的小さくすることができる。これにより、各収納部3A,3Bの高さ方向におけるFOUP90の収納密度を高めることができる。その結果、保管装置1の高さ方向における全長を短くして保管装置1の小型化を図ることができる。
【0049】
また、収納部3A,3Bの各々は、前側から後側に向かう方向(第1の方向)に沿って走行してFOUP90を搬送する天井搬送車10がアクセス可能なポート32A,32Bを有する。収納部3A,3Bのうちの一方の収納部のポート(本実施形態では一例として収納部3Bのポート32B)は、当該ポート32Bに載置されたFOUP90を180度水平旋回させるターンテーブル33を有する。移載装置4は、収納部3Aの棚31から収納部3Bの棚31にFOUP90を移載する際に、FOUP90を180度水平旋回させるので、収納部3Aの棚31に載置されるFOUP90の向きと収納部3Bの棚31に載置されるFOUP90の向きとは、互いに逆になる。移載装置4が収納部3Bの棚31から収納部3Aの棚31にFOUP90を移載する場合も同様である。一方、天井搬送車10によって搬送可能なFOUP90の向き(天井搬送車10の走行方向に対するFOUP90の向き)は予め決められている。上記構成によれば、収納部3Bのポート32Bにターンテーブル33を設ける簡易な構成により、各収納部3A,3Bのポート32A,32Bに載置されるFOUP90の向き(すなわち、入庫直後のFOUP90の向き及び出庫直前のFOUP90の向き)を天井搬送車10により搬送可能な向きと一致させることができる。その結果、天井搬送車10は、いずれの収納部3A,3Bのポート32A,32Bも、入庫又は出庫のために利用することが可能となる。これにより、天井搬送車10によるFOUP90の入出庫作業の効率を向上させることができる。
【0050】
また、搬送システム100は、保管装置1と、一対の収納部3A,3Bのうち少なくとも一方の収納部(本実施形態では一例として両方の収納部3A,3B)にアクセス可能であり、FOUP90の前面が左右方向を向く状態で、当該FOUP90を前後方向に沿って搬送する天井搬送車10と、を含む。搬送システム100では、上述した理由により、保管装置1の長手方向及び上下方向のそれぞれにおける全長を短くして保管装置1の小型化を図ることができる。また、搬送システム100では、天井搬送車10により搬送されるFOUP90と収納部3A,3Bに載置されるFOUP90とは、いずれもFOUP90の前面が左右方向を向く状態となる。これにより、天井搬送車10の走行方向と収納部3A,3Bが互いに対向する方向とが直交する場合に必要となる機構等(例えば収納部3A,3Bに載置されるFOUP90を90度水平旋回させる機構等)が不要となる。従って、上述のように保管装置1と天井搬送車10とが配置される搬送システム100によれば、保管装置1の構造を簡略化することができる。
【0051】
[第2実施形態]
図6を用いて、第2実施形態の保管装置1Aについて説明する。保管装置1Aは、収納部3Aの左から2列目の最上段の棚がFOUP90の入庫又は出庫のためのポート32Cとして利用可能に構成されている点で、保管装置1と主に相違する。保管装置1Aでは、収納部3Aは、2つのポート32A,32Cを有する。ポート32Aとポート32Cとは、高さ位置(上下方向における位置)及び水平位置(左右方向における位置)の両方において互いに異なるように設けられている。具体的には、ポート32Cは、ポート32Aよりも1つ上の段の1つ右側の列に位置している。
【0052】
一例として、保管装置1Aでは、筐体2は、収納部3Aの左から2列目の最上段の棚(ポート32C)に載置されるFOUP90の上方及び左側方が開放されるように形成されている。具体的には、天板部23及び支柱24の一部が切り欠かれている。これにより、ポート32Aの上方に停止した天井搬送車10が、いわゆる横移載により、ポート32Cにアクセス可能とされている。具体的には、
図6に示すように、ポート32Aの上方に停止した天井搬送車10は、昇降機構13を水平移動機構14で右方向に移動させ、把持機構11を昇降機構13で昇降させることで、ポート32Cとの間でFOUP90の移載を行うことが可能とされている。
【0053】
このように、収納部3Aは、天井搬送車10がポート32Aの上方の位置(所定の停止位置)においてFOUP90を上下方向に移動させることでFOUP90の入庫又は出庫が行われるポート(第1のポート)32Aを有する。また、収納部3Aは、天井搬送車10がポート32Aの上方の位置においてFOUP90を水平方向及び上下方向に移動させることでFOUP90の入庫又は出庫が行われるポート(第2のポート)32Cを有する。この構成によれば、所定の停止位置に停止した天井搬送車10による入出庫作業(すなわち、ポート32A及びポート32Cへのアクセス)を一連の移載動作として実行することが可能となる。例えば、天井搬送車10は、ポート32A及びポート32Cの一方にFOUP90を入庫した後、ポート32A及びポート32Cの他方からFOUP90を出庫することができる。その結果、天井搬送車10によるFOUP90の入出庫をスムーズに行うことが可能となり、天井搬送車10の渋滞の発生を抑制することができる。また、保管装置1Aと天井搬送車10とを含む搬送システム100Aにおいても、上述した搬送システム100と同様の効果が奏される。
【0054】
以上、本開示の一形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されない。例えば、一方の収納部に設けられた一以上のポートでFOUP90の入庫及び出庫の両方を行い、他方の収納部ではFOUP90の入庫及び出庫を行わない場合(例えば、第2実施形態のように一方の収納部(上記例では収納部3A)に2つのポート32A,32Cを設ける構成とする場合等)が考えられる。このような場合には、一方の収納部のポートに入庫されたFOUP90を他方の収納部のポートから出庫する状況(或いは他方の収納部のポートに入庫されたFOUP90を一方の収納部のポートから出庫する状況)は生じないため、第1実施形態のように一のポートにターンテーブル(旋回機構)を設けなくともよい。
【0055】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態の構成を組み合わせた構成を採用してもよい。この場合、一方の収納部(上記例では収納部3A)側に2つのポート32A,32Cが設けられ、他方の収納部(上記例では収納部3B)側に1つのポート32Bが設けられる構成となる。
【0056】
また、本開示の一形態に係る搬送システムが搬送する容器は、複数の半導体ウェハが収容されたFOUP90に限定されず、ガラスウェハ、レチクル等が収容されたその他の容器であってもよい。また、本開示の一形態に係る搬送システムは、半導体製造工場に限定されず、その他の施設にも適用可能である。