(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明による燃料電池システムの実施形態の一つである第1実施例について説明する。
図1は、この燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、インバータ装置50および制御装置60を備えている。
【0027】
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1および第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。第1室R1は、第1空間を形成し、第2室R2は、第2空間を形成する。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する部材であり、第1室R1および第2室R2は連通するようになっている。
【0028】
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、ケーシング21、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23および燃料電池24を備えている。
【0029】
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造を介して仕切部材12に設置されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23、燃料電池24および第1燃焼部26である燃焼空間R3が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が、燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
【0030】
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては、天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては、天然ガスにて説明する。
【0031】
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。改質水ポンプ41aは、水タンク13(貯水器)に貯蔵されている凝縮水を改質水として改質部23に供給する。
【0032】
また、蒸発部22には、改質用原料の供給源(以下、供給源という。)Gsからの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。改質用原料供給管42には、原料ポンプ42aが設けられている。原料ポンプ42aは、筺体11内に収納されている。原料ポンプ42aは、燃料電池24に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、制御装置60からの制御指令値にしたがって供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。この原料ポンプ42aは、改質用原料を吸入し改質部23に圧送する。
【0033】
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が、生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は、燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部23は、改質用原料(原燃料)と改質水とから燃料である改質ガスを生成して燃料電池24に供給する。なお、水蒸気改質反応は、吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は、発熱反応である。
【0034】
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は、400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなどは、直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は、省略することができる。
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
【0035】
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44aによって送出されたカソードエアは、カソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0036】
カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。カソードエア供給管44のカソードエアブロワ44aの下流側に設けられた流量センサ44a1は、カソードエアブロワ44aが吐出するカソードエア流量を検出する。
【0037】
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O
2−)が、電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24bおよび空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
−
(化2)
CO+O
2−→CO
2+2e
−
(化3)
1/2O
2+2e
−→O
2−
【0038】
そして、燃料流路24bおよび空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池24と蒸発部22(改質部23)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(カソードオフガス)によって燃焼され、その燃焼ガス(火炎27)によって蒸発部22および改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは、導出口21aから燃料電池モジュール20の外に排気される。このように、燃焼空間R3が、燃料電池24からのアノードオフガスと燃料電池24からのカソードオフガスとが燃焼されて改質部23を加熱する第1燃焼部26である。すなわち、第1燃焼部26は、燃料電池24からの未使用の燃料を含む可燃性ガスを導入し酸化剤ガスで燃焼して燃焼排ガスとして導出する燃焼部である。
第1燃焼部26(燃焼空間R3)では、アノードオフガスが燃焼されて火炎27が発生している。第1燃焼部26には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ26a1,26a2が設けられている。
【0039】
排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
【0040】
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水供給源Ws(例えば水道管)が接続されており、水供給源Wsからの水(低温の水。例えば水道水)が、補給されるようになっている。貯湯槽31の水供給源Wsからの水の入口に設けられた圧力センサ32eは、水供給源Wsから貯湯槽31へ補給される水の圧力を検出して、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。また、圧力センサ32eは、貯湯水循環ライン32の貯湯水循環ポンプ32aの上流に設けて、その検出結果を制御装置60に送信するようにしてもよい。その圧力センサ32eの検出結果に基づき、貯湯水循環ライン3
2の水圧並びに水供給源Wsからの水の断水を検知可能である。また、貯湯槽31に貯留された高温の温水が、貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
【0041】
貯湯水循環ライン32の一端は、貯湯槽31の下部に、他端は、貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ32a、第1温度センサ32b、熱交換器33、第3温度センサ32d、第2温度センサ32cが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ32aは、第2温度センサ32cの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
【0042】
貯湯水循環ポンプ32aは、電気モータ32a1にて駆動される。貯湯水循環ポンプ32aは、電気モータ32a1の入力値即ち電源電圧の電圧値に応じて所定の回転数にて回転する。電圧センサ32a2は、電気モータ32a1の入力値即ち電源電圧の電圧値を検出して、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。回転数センサ32a3は、貯湯水循環ポンプ32aの回転数を検出して、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0043】
第1温度センサ32bは、熱交換器33の貯湯水導入側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。第1温度センサ32bは、貯湯水の熱交換器33の入口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の出口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0044】
第2温度センサ32cは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32に配設されている。第2温度センサ32
cは、貯湯水の熱交換器33の出口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0045】
第3温度センサ32dは、貯湯水循環ライン32の熱交換器33の内部に配設されている。第
3温度センサ32
dは、貯湯水の熱交換器33の内部温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0046】
熱交換器33は、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
【0047】
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部には、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される導出口21aに連通している。ケーシング33aの下部には、第1排気口11aに接続されている排気管46が接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続されている凝縮水供給管47が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33bが配設されている。
【0048】
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、導出口21aを通ってケーシング33a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部33bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管46を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管47を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33bに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
【0049】
このように、熱交換器33は、燃料電池システムの中で流通する水分を含んだガス中の水蒸気を液状の熱媒体との熱交換で凝縮し凝縮水を生成する凝縮器である。本実施形態では、燃料電池システムの中で流通する水分を含んだガスは、燃焼排ガスであり、液状の熱媒体は、貯湯水である。
【0050】
熱交換器33の燃焼排ガス導入部、すなわちケーシング21の導出口21aには、第2燃焼部28が設けられている。第2燃焼部28は、第1燃焼部26から排気されるガスである第1燃焼部オフガス、すなわち、第1燃焼部26から排気される未使用の可燃性ガス(例えば、水素、メタンガス、一酸化炭素など)を導入し燃焼して導出するものである。第2燃焼部28は、可燃性ガスを燃焼する触媒である燃焼触媒(例えばプラチナやパラジウムなどの貴金属がセラミックの単体などに担持させたものである。燃焼触媒は、ペレット状のものを充填しても良いし、セラミック・メタルのハニカムや発泡金属の上に担持させたような形態のものでも良い。)で構成されている。
【0051】
第2燃焼部28には、燃焼触媒を触媒の活性温度まで加熱して可燃性ガスを燃焼させるための燃焼触媒ヒータ28aが設けられている。燃焼触媒ヒータ28aは制御装置60の指示によって加熱されるものである。
【0052】
燃焼排ガスの熱交換器33の入口即ち燃焼触媒ヒータ28aの下流には、第4温度センサ33cが設けられている、第4温度センサ33cは、燃焼排ガスの熱交換器33の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0053】
また、燃料電池システムは、水タンク13および純水器14を備えている。水タンク13および純水器14は、第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。水タンク13は、熱交換器33(凝縮器)から供給された凝縮水を貯蔵する貯水器である。水タンク13を含んで構成され、熱交換器33(凝縮器)から流出した凝縮水が流通する水路が、凝縮水系Lgである。本実施形態では、凝縮水系Lgは、凝縮水供給管47、純水器14(後述する)、配管48および水タンク13から構成されている。なお、凝縮水系Lgは、純水器14を除いて構成するようにしてもよい。
【0054】
また、水タンク13には、水タンク13内の凝縮水を加熱する(水タンク13を加熱する)加熱装置である水タンク凍結防止ヒータ13bが設けられている。なお、加熱装置は、凝縮水系の凝縮水を加熱する加熱装置であり、凝縮水系を加熱する。水タンク凍結防止ヒータ13bは、例えば電気式ヒータや燃焼装置(例えばバーナなど)であり、制御装置60により制御されるように構成されている。水タンク凍結防止ヒータ13bは、加熱して水タンク13が凍結するのを防止する。
【0055】
純水器14は、熱交換器33からの凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管48を介して水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管48を通って水タンク13に導出される。すなわち、純水器14は、熱交換器33からの凝縮水を純水化して水タンク13に供給する。
【0056】
また、純水器14には、純水器14内の凝縮水を加熱する(純水器14を加熱する)加熱装置である純水器凍結防止ヒータ14aが設けられている。純水器凍結防止ヒータ14aは、水タンク凍結防止ヒータ13bと同様に構成されている。純水器凍結防止ヒータ14aは、加熱して純水器14が凍結するのを防止する。
【0057】
また、燃料電池システムは、排水装置70を備えている。排水装置70は、水受け部材71、排水管72を備えている。水受け部材71は、筐体11内に配設され水タンク13から溢れ出た水を少なくとも受けるものである。水受け部材71の直上には、オーバーフローライン13c、ドレン管46aの各下端が配設されている。これにより、水受け部材71は、水タンク13から溢れ出た水をオーバーフローライン13cを介して確実に受けることができ、第1排気口11aから入った外部の水(例えば雨水)を排気管46およびドレン管46aを介して確実に受けることができる。排水管72は、水受け部材71が受けた水を水受け部材71から筐体11の外部に排出するものである。
【0058】
また、ドレン管46aの上端は、排気管46に接続されている。ドレン管46aの下端は、下方に延ばされ、排水装置70の水受け部材71の上方位置まで延設されている。ドレン管46aは、第1排気口11aから入った外部の水
が熱交換器33を介して純水器14に流入するのを抑制するためのものである。
【0059】
また、燃料電池システムは、第2室R2を形成する筐体11に形成された空気導入口11bと、第1室R1を形成する筐体11に形成された空気導出口11cと、空気導入口11bに設けられた換気用空気ブロワ15と、を備えている。換気用空気ブロワ15は、筐体11内を換気する換気装置である。この換気用空気ブロワ15が作動すると、外気が、空気導入口11bを介して換気用空気ブロワ15に吸い込まれ、第2室R2に送出される。さらに、第2室R2内の気体(主として空気)は、仕切部材12を通って第1室R1に流れ、第1室R1内の気体は、空気導出口11cを介して外部に排出される。
【0060】
さらに、燃料電池システムは、インバータ装置50を備えている。インバータ装置50は、燃料電池24から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して交流の系統電源51および外部電力負荷53に接続されている電源ライン52に出力する第1機能と、系統電源51からの交流電圧を電源ライン52を介して入力し所定の直流電圧に変換して補機や制御装置60に出力する第2機能と、を有している。また、インバータ装置50は、系統電源51の交流電圧の停電を検出す
る停電センサ50aの機能を備え、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0061】
系統電源(または商用電源)51は、該系統電源51に接続された電源ライン52を介して外部電力負荷53に電力を供給するものである。燃料電池24は、インバータ装置50を介して電源ライン52に接続されている。外部電力負荷53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどである。
【0062】
さらに、燃料電池システムには、
図1に示す如く、分電盤81、自動電源切換器82、自立専用コンセント83が設けられている。燃料電池モジュール20の発電中に停電センサ50aにより系統電源51の交流電圧の停電を感知すると、燃料電池システムの制御装置60は、分電盤81、自動電源切換器82を作動させて、速やかに系統電源51を燃料電池システムから切り離なす。その切り離しと同時に制御装置60は、発電継続に必要なポンプやファンなどの補器に必要な電力を供給しつつ、自立専用コンセント83に電力を供給する自立運転へと燃料電池システムの運転状態を切り換える。このコンセント83に家庭用電化製品84例えばテレビ、ノートパソコン、電気スタンド、扇風機等を接続することにより、家電製品の使用が、可能となる。
【0063】
補機は、燃料電池モジュール20に改質用原料、水、空気を供給するためのモータ駆動のポンプ41a,42a、換気用空気ブロワ15およびカソードエアブロワ44aなどの他ヒータである前述の純水器凍結防止ヒータ14a、水タンク凍結防止ヒータ13b、
着火ヒータ26a1、26b1、燃焼触媒ヒータ28a、貯湯水循環ポンプ32aなどから構成されている。
【0064】
燃料電池システムが備える制御装置60には、上述した温度センサ32b,32c,32d、33c、電圧センサ32a2、回転数センサ32a3、圧力センサ32
e、停電センサ50a、流量センサ44a1,各ポンプ32a,41a,42a、各ブロワ15,44a、および各ヒータ13b,14a,26a1,26a2,28a、分電盤81、自動電源切換器82が接続されている(
図2参照)。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システムの運転を実施している。RAMは、同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは、前記プログラムを記憶するものである。
【0065】
次に、上述した燃料電池システムの作動に係る第1制御例として貯湯水循環ライン32の気泡の検出とその押し出しについて説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると(あるいはユーザによって予め設定された起動開始時刻となったことにより自動的に起動が開始されると)、貯湯水循環ポンプ32aが作動を開始し、
図3に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。
【0066】
制御装置60は、ステップS102において、貯湯水循環ライン32に気泡が発生したか否かを判定する。例えば、温度センサ32dが検出する貯湯水循環ライン32での熱交換器33の内部温度T32dが閾値Aを越えたか否かに基づいて、気泡が、貯湯水循環ライン32に発生したか否かを判定する。具体的には、その閾値Aは、
図4に示す如く、貯湯水循環ライン32での熱交換器33の内部温度T32dに対するその継続時間tに基づいて設定されるもので、例えば、熱交換器33の内部温度T32dが、65℃の場合はtは15秒間継続、また75℃の場合はtは1秒間継続である。
【0067】
なお、貯湯水循環ライン32に気泡が発生したか否かの判定は、これに代えて、温度センサ32cが検出する貯湯水循環ライン32での熱交換器33の出口温度T32cがその閾値を越えたか否かに基づいて、行うようにしてもよい。
【0068】
また、貯湯水循環ライン32に気泡が発生したか否かを判定は、電圧センサ32a2及び回転数センサ32a3の検出結果により、貯湯水循環ポンプ32aを駆動する電気モータ32a1への入力値に対する貯湯水循環ポンプ32aの回転数が閾値Bを越えた否かに基づいて、行うことができる。具体的には、その閾値Bは、
図5に示す如く、電気モータ32a1への入力値である入力電圧Vaに対する貯湯水循環ポンプ32a回転数Nに基づいて設定されるもので、例えば、入力電圧Vaが、21.6ボルトの場合は、回転数Nが4000回転、また、入力電圧Va26.4ボルトの場合は、回転数Nが、5000回転に設定されている。なお、入力電圧Vaは、電圧センサ32a2にて検出され、通常は電気モータ32a1には、所定の24ボルトの入力電圧Vaが印加されるものであるが、入力電圧に変動が生じる場合がある。
【0069】
制御装置60は、気泡を検出した場合には、ステップS102にて「Yes」と判定し、プログラムをステップS104に進める。一方、気泡を検出していない場合には、制御装置60は、ステップS102にて「No」と判定し、ステップS102の処理を繰り返す。
【0070】
制御装置60は、ステップS104において、貯湯水循環ポンプ32aの作動を停止する。貯湯水循環ポンプ32aの作動が停止即ち貯湯水循環ポンプ32aの回転が低下又は止められることに伴い、貯湯水循環ライン32の貯湯水の循環が、止められる。
【0071】
ステップS104と同時S106に進み、タイマTMのカウントを開始する。この間、貯湯水循環ライン32の貯湯水の循環が止められるので、貯湯水循環ポンプ32aのインペラ32fの回転により攪拌されていたそれぞれの気泡は、浮力により上昇して、貯湯水循環ポンプ32aの内部上方に集まることにより、
図6に示す如く、塊り32gとなり大型化する。気泡は、貯湯水循環ポンプ32aの作動により、水圧が下がる貯湯水循環ポンプ32aの入口部32iならびにインペラ32fの回転方向裏側に発生し易い。符号32oは、貯湯水循環ポンプ32aの出口を示す。
図6の矢印Rの向きは、インペラ32fの回転方向を示す。
【0072】
さらに、制御装置60は、ステップS108において、貯湯水循環ポンプ32aの作動の停止が、所定時間継続しているか否かを判定する。具体的には、制御装置60は、上記気泡の検出時点からカウントを開始されたタイマTMが所定値TM1以上となった場合には、気泡は、貯湯水循環ポンプ32aの内部上方に集まり、
図6に示す如く、大きな塊り32gになっていると判定する。所定値TM1は、気泡が、浮力により、上昇して大きな塊り32gになるのに必要な所定時間に相当する時間であり、例えば1.5秒時間に設定されている。
【0073】
タイマTMが、所定
値TM1以上となった場合には、制御装置60は、ステップS108にて「Yes」と判定し、ステップ110に進み、貯湯水循環ポンプ32aの作動を復帰させる。貯湯水循環ポンプ32aの内部上方に集まった気泡の大きな塊り32gは、貯湯水循環ポンプ32aの回転により、貯湯水循環ポンプ32aから押し出すことができる。
【0074】
この気泡は、貯湯水循環ポンプ32aの作動により、最終的には、貯湯槽31の上部へ移動させて滞留させることにより、貯湯水の循環流量が、確保できる。その結果、貯湯水の循環流量の確保により、熱交換器内を流れる貯湯水の蒸発による貯湯水に含まれる成分(カルシウム等)の析出が、防止されて、その析出物(スケール)の熱交換器への付着による熱交換器の腐食が、防止される。
【0075】
次に、上述した燃料電池システムの作動に係る第2制御例として貯湯水循環ライン32の水圧の低下の検出とその制御について説明する。制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると(あるいはユーザによって予め設定された起動開始時刻となったことにより自動的に起動が開始されると)、貯湯水循環ポンプ32aが作動を開始し、
図7に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。
【0076】
制御装置60は、圧力センサ32
eの検出結果に基づき、ステップS202において、貯湯水循環ライン32の水圧が、閾値C以下か否かを判定する。例えば、閾値Cは、断水時の水圧に相当する水圧又は貯湯水循環ライン32における貯湯水の流量を確保する水圧とすることができる。
【0077】
制御装置60は、水圧が閾値C以下と判定した場合には、ステップS202にて「Yes」と判定し、プログラムをステップS204に進める。一方、水圧が閾値C以上である場合は、ステップS202にて「No」と判定し、プログラムをステップS206に進め、貯湯水循環ポンプ32aは通常運転が行われる。
【0078】
ステップS204では、貯湯水循環ポンプ32aの出力アップを行い、具体的には、電気モータ32a1の回転数を上昇させて、貯湯水循環ライン32の貯湯水の循環流量を増大させ、貯湯水循環ライン32の貯湯水の水圧を上げるようにして、ステップS202での水圧が閾値C以下でなくなるまで、この処理を繰り返す。
【0079】
次に、上述した燃料電池システムの作動に係る第3制御例として燃料電池システムの停電での自立運転における制御について説明する。この第3制御例は、停電等により、燃料電池システムが、交流の系統電源51および外部電力負荷53に接続されている電源ライン52なる商用電力系統と切り離して発電継続に必要な燃料電池システムの補器に必要な電力を供給しつつ外部の自立用コンセント8
3に電力を供給可能な自立運転を行っている状態における制御に関する。自立運転においては、補器のうち燃料電池モジュール20の出力電力のうちの余剰電力を吸収する補機が、その余剰電力分全ての負荷出力を出すと、燃料電池モジュール20の作動が活発化し、燃焼排ガスの温度上昇が起こる。燃料電池モジュール20の出力電力のうちの余剰電力を吸収する補機が、例えば、ヒータ、特に、燃焼触媒を触媒の活性温度まで加熱して燃焼排ガスに含まれた可燃性ガスを燃焼させる燃焼触媒ヒータ28aである場合は、燃焼排ガスの熱交換器入口温度が上昇して、熱交換器33により加熱される貯湯水の過度の温度上昇が、顕著に起こる。その結果、熱交換器33内を流れる貯湯水の蒸発による貯湯水に含まれる成分(カルシウム等)が析出し、その析出物(スケール)の熱交換器33への付着による熱交換器の腐食が生じる。第3制御例は、自立運転を行っている状態における熱交換器33により加熱される貯湯水の過度の温度上昇を防止できる燃料電池システムの提供を目的とする。
【0080】
第3制御例は、燃料電池システムの自立運転状態では、燃焼排ガスの熱量と熱交換器33の入口の前記貯湯水の温度に基づいて、燃料電池システムの補機のうち燃料電池モジュール20の出力電力のうちの余剰電力を吸収する補機の最大負荷出力を制限する最大負荷出力制限制御部と、を備える。これによれば、燃料電池モジュール20の出力電力のうちの余剰電力を吸収する補機の最大負荷出力は、燃焼排ガスの熱量と熱交換器の入口側前記貯湯水の温度に基づいて即ち熱交換器33に作用している熱に基づいて、制限される。従って、その補器による燃料電池システムの作動が制限され、その結果、燃料電池システムの作動による熱の熱交換器3
3への作用が制限されるので、熱交換器33により加熱される貯湯水の過度の温度上昇が、防止される。その結果、熱交換器33内を流れる貯湯水の蒸発による貯湯水に含まれる成分(カルシウム等)の析出が、防止されて、その析出物(スケール)の熱交換器への付着による熱交換器の腐食が、防止される。
【0081】
第3制御例では、燃焼排ガスの熱量は、具体的には、水素と反応させるための燃料電池モジュール20に送り込まれるカソードエアの流量と熱交換器3
3の入口の温度との積としている。これによれば、燃焼排ガスの熱量は、カソードエアの流量の測定と熱交換器3
3の内部温度の測定に基づいて、燃焼排ガスの熱量を精度よく求めることができる。
【0082】
第3制御例では、余剰電力を吸収する補機は、具体的には、ヒータである。これによれば、熱交換器3
3に熱的影響を与える熱源となるヒータの作動を制御できる。なお、このヒータには、燃焼触媒ヒータ28a、着火ヒータ26a1,26a2などが相当する。
【0083】
第3制御例では、余剰電力を吸収する補機であるヒータは、具体的には、熱交換器の前記燃焼排ガスの入口に設けられて、燃焼触媒を活性温度までに加熱する燃焼触媒ヒータ28aである。これによれば、余剰電力を吸収するヒータが、熱交換器3
3の燃焼排ガスの入口に設けられて、燃焼触媒を活性温度までに加熱する燃焼触媒ヒータ28aであるので、直接に燃焼触媒ヒータ28aよる熱交換器3
3における貯湯水の過度の温度上昇が、防止される。
【0084】
制御装置60は、図示しない起動スイッチがオンされると(あるいはユーザによって予め設定された起動開始時刻となったことにより自動的に起動が開始されると)、燃料電池システムは通常運転による発電を開始し、
図8に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。
【0085】
制御装置60は、停電センサ50aの作動に基づき、ステップS302において、系統電源51の交流電圧の停電が発生したか否かを判定する。制御装置60は、停電を検出した場合には、ステップS302にて「Yes」と判定し、プログラムをステップS304に進める。一方、停電を検出していない場合には、制御装置60は、ステップS302にて「No」と判定し、ステップS310に進み、燃料電池システムは、通常運転を継続する。
【0086】
制御装置60は、ステップS304において、燃料電池システムを自立運転に切り換える。この自立運転は、分電盤81、自動電源切換器82を作動させて、速やかに系統電源51を燃料電池システムから切り離なす。その切り離しと同時に制御装置60は、発電継続に必要なポンプやファンなどの補器に必要な電力を供給しつつ、自立専用コンセント83に電力を供給する。このコンセント83に家庭用電化製品84例えばテレビ、ノートパソコン、電気スタンド、扇風機等を接続することにより、家電製品の使用が可能となる停電自立運転が、行える。
【0087】
制御装置60は、ステップS304と同時に、ステップS306に進み、燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pを演算する。燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pの演算は、具体的には、流量センサ44a1により検出されたカソードエアブロア44aの吐出量Qと、温度センサ33cにより検出された燃焼排ガスの熱交換器入口温度T33cと、温度センサ32bにより検出された貯湯水の熱交換器入口温度T32bに基づいて、
図9に示す制御マップを用いて行われる。例えば、カソードエアブロアの吐出量Qが
19.1[NLM]の場合、
図9の実線Dに示される如く、燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cと貯湯水熱交換器入口温度T32bに基づいて算出された補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmにより、燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pは、100[%]から30[%]の範囲に設定される。なお、補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cに、貯湯水熱交換器入口温度T32bの基準温度と貯湯水熱交換器入口温度T32bの運転時の温度との差に基づく補正係数Mを乗じたものである。この様に、補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、貯湯水熱交換器入口温度T32bの基準温度と貯湯水熱交換器入口温度T32bの運転時の温度との差を燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cに換算する補正係数Mを用いて、燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cを補正したものである。
【0088】
燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pは、補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmの温度上昇に伴い、カソードエアブロアの吐出量Qが19.
1[NLM]の場合は、
図9の実線Dの点Dyに示す如く、100[%]から制限が開始されて低減され、そして、点Dzに示す如く、制限上限の30[%]に制御され、点Dyと点Dz間では、最大負荷出力Pは、比例的に変化する。なお、具体的には、前述の点Dyに相当する補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、例えば、360×M[℃]である。また、前述の点Dzに相当する補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、例えば、400×M[℃]である。
【0089】
また、燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pは、カソードエアブロアの吐出量Qが 64.5[NLM]の場合は、補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmの温度上昇に伴い、
図9の二点鎖線Eの点Eyに示す如く、100[%]から制限が開始されて低減され、そして、点Ezに示す如く、制限上限の30[%]に制御され、点Eyと点Ez間では、最大負荷出力Pは、比例的に変化する。なお、具体的には、前述の点Eyに相当する補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、例えば、300×M[℃]である。また、前述の点Ezに相当する補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、例えば、320×M[℃]である。この様に、燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pを制限開始及び制限上限とする補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmは、カソードエアブロアの吐出量Qが19.1[NLM]の場合に比較して、カソードエアブロアの吐出量Qが64.5[NLM]と増えた場合は、温度が下げて設定してある。燃焼触媒ヒータ28aの最大負荷出力Pは、前述のカソードエアブロアの吐出量Qが19.1[NLM]及び64.5[NLM]の他、カソードエアブロアの吐出量Qと補正燃焼排ガス熱交換器入口温度T33cmに基づいて、その制限を設定することが可能であることは明らかである。
【0090】
次いで、ステップS308に進み、燃焼触媒ヒータ28aは、ステップS306にて演算された最大負荷出力Pの値(100[%]〜30[%])での作動即ち出力を制限される制御がされることにより、燃焼排ガスの加熱に基づく熱交換器33の内部温度の過熱化が防止され、この処理は、ステップS302における停電を検出しなくなるまで、即ち停電が復旧するまで繰り返される。
【0091】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムは、電気化学反応にて発電を行うとともに発電により生じた燃焼排ガスを排出する燃料電池モジュール20と、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、貯湯水循環ラインに設けられ電気モータ32a1によって駆動される貯湯水循環ポンプ32aと、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、貯湯水循環ラインに気泡が生じたことを検出する気泡検出部S102と、気泡検出部S102による気泡検出信号にて貯湯水循環ポンプ32aの作動を所定時間停止させた後、復帰させる制御装置60と、を備えるので、貯湯水循環ライン32に気泡が生じたことを検出した場合、貯湯水循環ポンプ32aの作動を所定時間停止させることにより、攪拌されていたそれぞれの気泡は、浮力により上昇して、貯湯水循環ポンプ32aの内部上方に集まることにより、塊りとなり大型化する。この大型化した気泡の塊りは、貯湯水循環ポンプ32aの作動を復帰させることにより、押し出すことができ、この気泡は最終的には、貯湯槽31の上部へ移動させて滞留させることにより、貯湯水の循環流量を確保できる。その結果、貯湯水の循環流量の確保により、熱交換器33内を流れる貯湯水の蒸発による貯湯水に含まれる成分(カルシウム等)の析出が、防止されて、その析出物(スケール)の熱交換器33への付着による熱交換器33の腐食が、防止される。
【0092】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、気泡検出部S102は、熱交換器33の内部温度T32d又は熱交換器33の出口温度T32cが閾値を超えた時に、気泡検出信号を発生させるので、気泡が発生すると、その気泡により貯湯水の流量が減少して貯湯水による冷却が低下するため、気泡は、熱交換器33の内部温度T32d又は熱交換器33の出口温度T32cが上昇することの温度測定に基づいて、検出できる。
【0093】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、気泡検出部S102は、電気モータ32a1への入力値Vaに対する貯湯水循環ポンプ32aの回転数Nが閾値Bを越えた場合に気泡検出信号を発生させるので、気泡が発生すると、その気泡は貯湯水よりも軽いことから、貯湯水循環ポンプ32aに対する負荷の軽減により貯湯水循環ポンプ32aの回転数Nが上昇するので、貯湯水循環ポンプ32aの回転数測定に基づいて、気泡が、検出できる。
【0094】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、貯湯水循環ライン32の水圧が閾値よりも低くなったことを検出する水圧低下検出部S202と、水圧低下検出部S202による水圧低下検出信号にて貯湯水循環ライン32を流れる貯湯水の流量を増大させるように貯湯水循環ポンプ32の動作を制御する制御部60とを、を備えたので、貯湯水循環ライン32の水圧が閾値よりも低くなった場合には、貯湯水循環ライン32を流れる貯湯水の流量を増大させるように貯湯水循環ポンプ32aが作動するので、貯湯水の流量を確保できる。
【0095】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、水圧低下検出部S202は、貯湯水循環ライン32の熱交換器33よりも上流側の設けられた圧力スイッチ32eを有するので、貯湯水循環ライン32の水圧低下は、圧力スイッチ32eにて直接的に検出できる。
【0096】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、電気化学反応にて発電を行うとともに発電により生じた燃焼排ガスを排出する燃料電池モジュール20と、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、商用電力系統を切り離して発電継続に必要な燃料電池システムの補機に必要な電力を供給しつつ外部の自立用コンセント83に電力を供給可能な自立運転を行っている状態では、燃焼排ガスの熱量と熱交換器33の入口の貯湯水の温度T32bに基づいて、補機のうち燃料電池モジュール20の出力電力のうちの余剰電力を吸収する補機の最大負荷出力Pを制限する最大負荷出力制限制御部S306、S308と、を備えたので、燃料電池モジュール20の出力電力のうちの余剰電力を吸収する補機の最大負荷出力Pは、燃焼排ガスの熱量と熱交換器33の入口の貯湯水の温度T32bに基づいて即ち熱交換器33に作用している熱に基づいて、制限される。従って、その補器による燃料電池システムの作動が制限され、その結果、燃料電池システムの作動による熱の熱交換器33への作用が制限される。従って、熱交換器33により加熱される貯湯水の過度の温度上昇が、を防止される。その結果、熱交換器33内を流れる貯湯水の蒸発による貯湯水に含まれる成分(カルシウム等)の析出が、防止されて、その析出物(スケール)の熱交換器への付着による熱交換器の腐食が、防止される。
【0097】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、燃焼排ガスの熱量は、水素と反応させるための燃料電池モジュール20に送り込まれるカソードエアの流量と熱交換器の入口の温度T33cとの積であるので、カソードエアの流量測定と熱交換器の内部温度測定に基づいて、燃焼排ガスの熱量を精度よく求めることができる。
【0098】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば、余剰電力を吸収する補機は、ヒータ28a,26a1,26a2であるので、熱交換器に熱的影響を与える熱源となるヒータの作動を制御できる。
【0099】
上述のように、本実施形態に係る燃料電池システムよれば,余剰電力を吸収するヒータが、熱交換器33の燃焼排ガスの入口に設けられて、燃焼触媒を活性温度までに加熱する燃焼触媒ヒータ28aであるので、直接に燃焼触媒ヒータよる熱交換器における貯湯水の過度の温度上昇が、防止される。
【0100】
なお、複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合せることが可能であることは、明らかである。