特許第6566056号(P6566056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566056
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】光導波路素子及び偏波調整方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   G02B6/126
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-19551(P2018-19551)
(22)【出願日】2018年2月6日
(65)【公開番号】特開2019-138955(P2019-138955A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2018年2月6日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成25年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【弁理士】
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博之
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−361948(JP,A)
【文献】 特開2005−140585(JP,A)
【文献】 特開2011−203603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0146736(US,A1)
【文献】 Milos Nedeljkovic et al.,Germanium-on-silicon waveguides operating at mid-infrared wavelengths up to 8.5 μm,OPTICS EXPRESS,2017年10月30日,Vol. 25, No. 22,pp. 27431 - 27441
【文献】 Katrien De Vos et al.,Multiplexed antibody detection with an array of silicon-on-insulator microring resonators,IEEE Photonics Journal,2009年10月30日,Vol. 1, No. 4,pp. 225 - 235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに該偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力ポート及び第2出力ポートを含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、
前記光導波路コアを包含するクラッドと
を備え、
前記入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を前記偏波分離部へ送り、
前記偏波分離部は、前記入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を前記第1出力ポートへ、他方を前記第2出力ポートへ、それぞれ送り、
前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートは、それぞれ前記偏波分離部から送られる光を前記基準面と交差する方向に出力し、
前記第1出力ポートから出力される一方の偏波光の前記基準面に対する出力の方向と、前記第2出力ポートから出力される他方の偏波光の前記基準面に対する出力の方向とが揃うように、前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートの配置、並びに前記偏波分離部から送られる一方の偏波光の前記第1出力ポートへの入力の方向、及び前記偏波分離部から送られる他方の偏波光の前記第2出力ポートへの入力の方向が設定される
ことを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに該偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力ポート及び第2出力ポートを含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、
前記光導波路コアを包含するクラッドと
を備え、
前記入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を前記偏波分離部へ送り、
前記偏波分離部は、前記入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を前記第1出力ポートへ、他方を前記第2出力ポートへ、それぞれ送り、
前記偏波分離部と前記第2出力ポートとの間に、他方の偏波光を一方の偏波光に変換する偏波回転部がさらに形成されており、
前記第1出力ポート及び前記第2出力ポートは、それぞれ前記偏波分離部から送られる光を、互いに前記基準面に対する出力の方向が揃った状態で、前記基準面と交差する方向に出力する
ことを特徴とする光導波路素子。
【請求項3】
直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに該偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力部及び第2出力部を含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、
前記光導波路コアを包含するクラッドと
を備え、
前記入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を前記偏波分離部へ送り、
前記偏波分離部は、前記入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を前記第1出力部へ、他方を前記第2出力部へ、それぞれ送り、
前記第1出力部は、それぞれm個(mは2以上の整数)の第1分岐部及び第1出力ポートを含み、
m個の前記第1分岐部は直列に接続されており、かつ各前記第1分岐部には、前記第1出力ポートが1つずつ接続されており、
k番目の(kはk≦m−1の整数)の前記第1分岐部は、光をn分岐(nは2以上の整数)し、n分岐された1つの光をk+1番目の前記第1分岐部に送り、他の1つの光を当該k番目の第1分岐部と接続された前記第1出力ポートに送り、
m番目の前記第1分岐部は、光をn分岐し、n分岐された1つの光を当該m番目の第1分岐部と接続された前記第1出力ポートに送り、
前記第2出力部は、それぞれm個の第2分岐部及び第2出力ポートを含み、
m個の前記第2分岐部は直列に接続されており、かつ各前記第2分岐部には、前記第2出力ポートが1つずつ接続されており、
k番目の前記第2分岐部は、光をn分岐し、n分岐された1つの光をk+1番目の前記第2分岐部に送り、他の1つの光を当該k番目の第2分岐部と接続された前記第2出力ポートに送り、
m番目の前記第2分岐部は、光をn分岐し、n分岐された1つの光を当該m番目の第2分岐部と接続された前記第2出力ポートに送り、
各前記第1出力ポートは、それぞれ前記第1分岐部から送られる光を前記基準面と交差する方向に出力し、
各前記第2出力ポートは、それぞれ前記第2分岐部から送られる光を前記基準面と交差する方向に出力する
ことを特徴とする光導波路素子。
【請求項4】
前記偏波分離部と最も前段の前記第2分岐部との間に、他方の偏波光を一方の偏波光に変換する偏波回転部がさらに形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の光導波路素子。
【請求項5】
直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに該偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力部及び第2出力部を含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、
前記光導波路コアを包含するクラッドと
を備え、
前記入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を前記偏波分離部へ送り、
前記偏波分離部は、前記入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を前記第1出力部へ、他方を前記第2出力部へ、それぞれ送り、
前記第1出力部は、前記偏波分離部と接続された第1分岐部、並びにそれぞれp個(pは2以上の整数)の第1サブ接続導波路部及び第1出力ポートを含み、
前記第1分岐部は、前記偏波分離部から送られる光をp分岐し、p分岐された光を1つずつ前記第1サブ接続導波路部に送り、
p個の前記第1サブ接続導波路部は、前記第1分岐部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置され、各前記第1サブ接続導波路部には、前記第1出力ポートが1つずつ直列に接続されており、
各前記第1サブ接続導波路部は、前記第1分岐部から送られる光を、当該第1サブ接続導波路部と接続された前記第1出力ポートに送り、
p個の前記第1サブ接続導波路部のうちの1つを除く他の前記第1サブ接続導波路部の中途には、互いに異なる濃度で不純物が導入された不純物領域がそれぞれ形成されており、
前記第2出力部は、前記偏波分離部と接続された第2分岐部、並びにそれぞれp個の第2サブ接続導波路部及び第2出力ポートを含み、
前記第2分岐部は、前記偏波分離部から送られる光をp分岐し、p分岐された光を1つずつ前記第2サブ接続導波路部に送り、
p個の前記第2サブ接続導波路部は、前記第2分岐部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置され、各前記第2サブ接続導波路部には、前記第2出力ポートが1つずつ直列に接続されており、
各前記第2サブ接続導波路部は、前記第2分岐部から送られる光を、当該第2サブ接続導波路部と接続された前記第2出力ポートに送り、
p個の前記第2サブ接続導波路部のうちの1つを除く他の前記第2サブ接続導波路部の中途には、互いに異なる濃度で不純物が導入された不純物領域がそれぞれ形成されており、
各前記第1出力ポートは、それぞれ前記第1サブ接続導波路部から送られる光を前記基準面と交差する方向に出力し、
各前記第2出力ポートは、それぞれ前記第2サブ接続導波路部から送られる光を前記基準面と交差する方向に出力する
ことを特徴とする光導波路素子。
【請求項6】
前記偏波分離部と前記前記第2分岐部との間に、他方の偏波光を一方の偏波光に変換する偏波回転部がさらに形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の光導波路素子。
【請求項7】
前記クラッド上における、前記第1出力ポートの周囲及び前記第2出力ポートの周囲を画成する位置に、遮光体が追加して形成される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光導波路素子。
【請求項8】
当該光導波路素子は、光デバイスと共通の支持基板上の、該光デバイスが備える光回路が形成された領域以外の領域に形成され、
前記入力ポートは、前記光デバイスが備える入力ポートと共通の設計で形成される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光導波路素子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の光導波路素子の前記入力ポートに、前記光ファイバから光信号を入力する過程と、
前記偏波分離部においてTE偏波光とTM偏波光とに分離された前記光信号について、前記第1出力ポートら出力される光及び前記第2出力ポートから出力される光を観察することによって、前記光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認する過程と、
前記光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認しつつ、前記光ファイバの偏光軸を回転させることによって、前記光信号の偏波状態を調整する過程と
を含むことを特徴とする偏波調整方法。
【請求項10】
請求項3、4、5及び6、請求項3、4、5又は6を引用する請求項7、並びに請求項3、4、5、6又は請求項3、4、5若しくは6を引用する請求項7を引用する請求項8のいずれか一項に記載の光導波路素子の前記入力ポートに、前記光ファイバから光信号を入力する過程と、
前記偏波分離部においてTE偏波光とTM偏波光とに分離された前記光信号について、前記第1出力ポートから出力される光及び前記第2出力ポートから出力される光を観察し、光を出力する前記第1出力ポートの個数と光を出力する第2出力ポートの個数とを比較することによって、前記光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認する過程と、
前記光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認しつつ、前記光ファイバの偏光軸を回転させることによって、前記光信号の偏波状態を調整する過程と
を含むことを特徴とする偏波調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部の光学素子からの光の偏波状態を確認及び調整するための光導波路素子、及びこれを利用する偏波調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光配線層として機能する光導波路が形成されたSOI(Silicon On Insulator)基板に、GaAs又はInP等の化合物半導体素子をハイブリット集積し、光トランシーバ等の光デバイスを構成する技術が注目されている。
【0003】
このような光デバイスには、光ファイバ等の外部の光学素子から送られる入力光の入力ポート、及び外部の光学素子へ送る出力光の出力ポートとして、端面接続型のスポットサイズ変換器(例えば非特許文献1又は非特許文献2参照)や、平面結合型のグレーティングカプラ(例えば非特許文献3参照)が形成される。
【0004】
光ファイバを伝播する光には、TM(Transverse Magnetic)偏波及びTE(Transverse Electric)偏波が含まれる。一方で、SOI基板を利用する光デバイスでは、Si(シリコン)で構成される光導波路コアが、実質的な光の伝送路となる。そして、Si製の光導波路コアには、偏波依存性がある。
【0005】
このため、光ファイバから送られる入力光を光デバイスに入力するに当たり、入力光の偏波状態を確認しつつ、偏波状態を調整する(例えば一方の偏波成分を0にする)必要がある。
【0006】
ここで、従来においては、偏光子を利用して、光ファイバからの入力光の偏波状態の確認及び調整を行っていた。この場合には、光ファイバからの入力光を偏光子に入力する。そして、偏光子を透過した光を、赤外線カメラを用いて観察することによって、入力光の偏波状態を確認する。さらに、偏光子の透過光を観察しつつ、光ファイバの偏光軸を回転させることによって、偏波状態を調整することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】15th Microoptics Conference(MOC'09),Tokyo,Japan,Oct.25-28,2009 J90 [Simple Spot-Size Converter With Narrow Waveguide ForSilicon Wire Circuits]
【非特許文献2】Electronics Letters 5th December 2002 Vol.38 No.25 p.1669-1670
【非特許文献3】IEEE Journal of quantum electronics, vol.38, No.7,July 2002 p.949-955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的な光デバイスでは、入力ポートと出力ポートとが、互いに対向する位置に設けられる。従って、光デバイスを実用する際には、光デバイスを挟んで、入力ポートと接続される光ファイバ(入力用光ファイバ)と出力ポートと接続される光ファイバ(出力用光ファイバ)とを、互いに対向して配置する。そして、入力用光ファイバと入力ポートとの光軸を合わせることによって、及び出力用光ファイバと出力ポートとの光軸を合わせることによって、それぞれを光学的に接続する。
【0009】
ここで、光デバイスを実用する際において入力光の偏波状態を確認及び調整する場合、上述の偏光子を利用する方法では、光デバイス自体や出力用光ファイバが存在するため、偏光子及び赤外線カメラを設置することができない。このため、偏光子を利用する方法を用いる場合には、光デバイスと入力用光ファイバ及び出力用光ファイバとの接続状態を解除し、光デバイス及び出力用光ファイバを一端外した上で、入力用光ファイバ、偏光子及び赤外線カメラを、この順に配置した測定系を構築する必要がある。従って、偏光子を利用する方法を用いる場合には、実用の際の光デバイス及び光ファイバの状態に対して、配置を組み替える必要があり、手間がかかる。
【0010】
そこで、この発明の目的は、従来の偏光子を利用する方法に対して、より簡易に、光ファイバからの入力光の偏波状態を確認及び調整できる光導波路素子、及びこれを利用する偏波調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、この発明の第1の要旨による光導波路素子は、直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力ポート及び第2出力ポートを含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備えている。入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を偏波分離部へ送る。偏波分離部は、入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を第1出力ポートへ、他方を第2出力ポートへ、それぞれ送る。第1出力ポート及び第2出力ポートは、それぞれ偏波分離部から送られる光を基準面と交差する方向に出力する。第1出力ポートから出力される一方の偏波光の基準面に対する出力の方向と、第2出力ポートから出力される他方の偏波光の基準面に対する出力の方向とが揃うように、第1出力ポート及び第2出力ポートの配置、並びに偏波分離部から送られる一方の偏波光の前記第1出力ポートへの入力の方向、及び偏波分離部から送られる他方の偏波光の第2出力ポートへの入力の方向が設定される。
また、光導波路素子は、直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力ポート及び第2出力ポートを含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備えている。入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を偏波分離部へ送る。偏波分離部は、入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を第1出力ポートへ、他方を第2出力ポートへ、それぞれ送る。偏波分離部と第2出力ポートとの間に、他方の偏波光を一方の偏波光に変換する偏波回転部がさらに形成されている。第1出力ポート及び第2出力ポートは、それぞれ偏波分離部から送られる光を、互いに基準面に対する出力の方向が揃った状態で、基準面と交差する方向に出力する。
【0012】
また、この発明の第2の要旨による光導波路素子は、直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力部及び第2出力部を含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備えている。入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を前記偏波分離部へ送る。偏波分離部は、入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を第1出力部へ、他方を第2出力部へ、それぞれ送る。第1出力部は、それぞれm個(mは2以上の整数)の第1分岐部及び第1出力ポートを含む。m個の第1分岐部は直列に接続されている。各第1分岐部には、第1出力ポートが1つずつ接続されている。k番目の(kはk≦m−1の整数)の第1分岐部は、光をn分岐(nは2以上の整数)し、n分岐された1つの光をk+1番目の第1分岐部に送り、他の1つの光を当該k番目の第1分岐部と接続された第1出力ポートに送る。m番目の第1分岐部は、光をn分岐し、n分岐された1つの光を当該m番目の第1分岐部と接続された第1出力ポートに送る。第2出力部は、それぞれm個の第2分岐部及び第2出力ポートを含む。m個の第2分岐部は直列に接続されている。各第2分岐部には、第2出力ポートが1つずつ接続されている。k番目の第2分岐部は、光をn分岐し、n分岐された1つの光をk+1番目の第2分岐部に送り、他の1つの光を当該k番目の第2分岐部と接続された第2出力ポートに送る。m番目の第2分岐部は、光をn分岐し、n分岐された1つの光を当該m番目の第2分岐部と接続された前記第2出力ポートに送る。各第1出力ポートは、それぞれ第1分岐部から送られる光を基準面と交差する方向に出力する。各第2出力ポートは、それぞれ第2分岐部から送られる光を基準面と交差する方向に出力する。
【0013】
また、この発明の第3の要旨による光導波路素子は、直列に接続された入力ポート及び偏波分離部、並びに偏波分離部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置された第1出力部及び第2出力部を含み、水平な基準面に沿って形成された光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備えている。入力ポートは、外部の光ファイバから入力される光を偏波分離部へ送る。偏波分離部は、入力ポートから送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離し、一方を第1出力部へ、他方を第2出力部へ、それぞれ送る。第1出力部は、偏波分離部と接続された第1分岐部、並びにそれぞれp個(pは2以上の整数)の第1サブ接続導波路部及び第1出力ポートを含む。第1分岐部は、偏波分離部から送られる光をp分岐し、p分岐された光を1つずつ第1サブ接続導波路部に送る。p個の第1サブ接続導波路部は、第1分岐部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置されている。各第1サブ接続導波路部には、第1出力ポートが1つずつ直列に接続されている。各第1サブ接続導波路部は、第1分岐部から送られる光を、当該第1サブ接続導波路部と接続された第1出力ポートに送る。p個の第1サブ接続導波路部のうちの1つを除く他の第1サブ接続導波路部の中途には、互いに異なる濃度で不純物が導入された不純物領域がそれぞれ形成されている。第2出力部は、偏波分離部と接続された第2分岐部、並びにそれぞれp個の第2サブ接続導波路部及び第2出力ポートを含む。第2分岐部は、偏波分離部から送られる光をp分岐し、p分岐された光を1つずつ第2サブ接続導波路部に送る。p個の第2サブ接続導波路部は、第2分岐部とそれぞれ直列に接続され、かつ互いに並列に配置されている。各第2サブ接続導波路部には、第2出力ポートが1つずつ直列に接続されている。各第2サブ接続導波路部は、第2分岐部から送られる光を、当該第2サブ接続導波路部と接続された第1出力ポートに送る。p個の第2サブ接続導波路部のうちの1つを除く他の第2サブ接続導波路部の中途には、互いに異なる濃度で不純物が導入された不純物領域がそれぞれ形成されている。各第1出力ポートは、それぞれ第1サブ接続導波路部から送られる光を基準面と交差する方向に出力する。各第2出力ポートは、それぞれ第2サブ接続導波路部から送られる光を基準面と交差する方向に出力する。
【0014】
この発明の偏波調整方法は、上述した第1〜第3の要旨による光導波路素子のいずれかの入力ポートに、光ファイバから光信号を入力する過程と、偏波分離部においてTE偏波光とTM偏波光とに分離された光信号について、第1出力ポートら出力される光及び第2出力ポートから出力される光を観察することによって、光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認する過程と、光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認しつつ、光ファイバの偏光軸を回転させることによって、光信号の偏波状態を調整する過程とを含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明の光導波路素子及び偏波調整方法では、光ファイバからの光信号を基準面に沿った方向から入力し、光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光を、基準面と交差する方向に出力することができる。このため、上述した偏光子を利用する方法とは異なり、偏波状態の確認及び調整に際して、新たな測定系を構築する必要がなく、簡易に偏波状態の確認及び調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の光導波路素子を示す概略的平面図である。
図2】(A)及び(B)は、第1の光導波路素子を示す概略的端面図である。
図3】第1の光導波路素子の変形例を示す概略的平面図である。
図4】共通の支持基板を用いて作製した場合の、光デバイス及び第1の光導波路素子を示す概略的平面図である。
図5】第2の光導波路素子を示す概略的平面図である。
図6】第2の光導波路素子を示す概略的端面図である。
図7】第3の光導波路素子を示す概略的平面図である。
図8】第4の光導波路素子を示す概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0018】
(第1の光導波路素子)
図1及び図2を参照して、この発明の第1の光導波路素子について説明する。図1は、第1の光導波路素子を示す概略的平面図である。図2(A)は、図1に示す第1の光導波路素子をI−I線で切り取った概略的端面図である。また、図2(B)は、図1に示す第1の光導波路素子をII−II線で切り取った概略的端面図である。なお、図1では、後述するクラッドを省略している。また、図2では、ハッチングを省略している。
【0019】
なお、以下の説明では、各構成要素について、光の伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
【0020】
第1の光導波路素子100は、支持基板10、クラッド20及び光導波路コア30を備えて構成されている。
【0021】
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体で構成されている。
【0022】
クラッド20は、支持基板10上に、支持基板10の上面10aを被覆し、かつ光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えばSiOを材料として形成されている。
【0023】
光導波路コア30は、水平な基準面15に沿って形成されている。ここでは、基準面15は、支持基板10の上面10aと平行な面として設定されている。また、光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。この結果、光導波路コア30は、実質的な光の伝送路として機能し、入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。
【0024】
光導波路コア30は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも2μm以上、特にTM偏波の放射損失を避けるには3μm以上離間して形成されているのが好ましい。
【0025】
光導波路コア30は、入力ポート31、接続導波路部32、偏波分離部33、第1出力部34及び第2出力部35を含んで構成されている。
【0026】
入力ポート31、接続導波路部32及び偏波分離部33は、この順に直列に接続されている。
【0027】
第1出力部34及び第2出力部35は、偏波分離部33とそれぞれ直列に接続され、かつ偏波分離部33に対して互いに並列に配置されている。第1出力部34は、この順に直列に接続された、第1接続導波路部41、第1テーパ部42及び第1出力ポート43を含んでいる。また、第2出力部35は、この順に直列に接続された、第2接続導波路部51、第2テーパ部52及び第2出力ポート53を含んでいる。
【0028】
入力ポート31には、入力用光ファイバから送られる光が入力される。また、入力ポート31は、入力用光ファイバから送られる光を接続導波路部32に送る。
【0029】
入力ポート31は、スポットサイズ変換器として構成されている。スポットサイズ変換器としての入力ポート31は、接続導波路部32と接続された他端31bから一端(入力端)31aへ向かって(すなわち接続導波路部32から離間する方向へ向かって)、連続的に幅が縮小するテーパ形状とされている。入力ポート31の入力端31aは、第1の光導波路素子100の一端面100aと、面位置が一致している。入力ポート31では、幅が狭い入力端31a側に向かうにつれて光の閉じ込め効果が弱まり、幅が広い他端31b側に向かうにつれて光の閉じ込め効果が強くなる。従って、入力ポート31を伝播する光のMFD(Mode Field Diameter:モードフィールド径)は、入力端31a付近ほど拡大される。これによって、入力用光ファイバから入力ポート31へ、MDFを合わせて光を入力することができる。
【0030】
なお、入力ポート31としてのスポットサイズ変換器は、図1に示す構成に限定されない。光導波路コア30よりも低い屈折率で、かつクラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiO(xは0<x<2を満たす実数)を材料とした第2の光導波路コアによって、光導波路コア30の入力ポート31の領域を被覆する、二重コア構造とすることもできる(図示せず)。
【0031】
接続導波路部32は、入力ポート31から送られる光を偏波分離部33に送る。
【0032】
接続導波路部32は、例えばシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、接続導波路部32は、基本モードの光を伝播させる。
【0033】
偏波分離部33は、接続導波路部32から送られる光をTE偏波光とTM偏波光とに分離する。そして、一方の偏波光を第1出力部34の第1接続導波路部41へ、他方の偏波光を、第2出力部35の第2接続導波路部51へ、それぞれ送る。ここでは、TE偏波光が第1接続導波路部41へ、及びTM偏波光が第2接続導波路部51へ送られる場合について説明する。
【0034】
偏波分離部33としては、例えば双方向結合器、マルチモード干渉(MMI:Multi Mode Interference)カプラ、又は特開2015−121696号公報に開示された光導波路素子を用いることができる。
【0035】
第1接続導波路部41は、偏波分離部33から送られるTE偏波光を、第1テーパ部42へ送る。また、第2接続導波路部51は、偏波分離部33から送られるTM偏波光を、第2テーパ部52へ送る。
【0036】
第1接続導波路部41及び第2接続導波路部51は、それぞれ例えばシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、第1接続導波路部41及び第2接続導波路部51は、それぞれ基本モードの光を伝播させる。
【0037】
第1テーパ部42は、第1接続導波路部41から送られるTE偏波光を、第1出力ポート43へ送る。また、第2テーパ部52は、第2接続導波路部51から送られるTM偏波光を、第2出力ポート53へ送る。
【0038】
第1テーパ部42は、第1接続導波路部41と接続された一端から第1出力ポート43と接続された他端まで、連続的に幅が拡大するテーパ形状で形成されている。また、第2テーパ部52は、第2接続導波路部51と接続された一端から第2出力ポート53と接続された他端まで、連続的に幅が拡大するテーパ形状で形成されている。第1テーパ部42を後述する第1出力ポート43の前段に形成することによって、第1出力ポート43から出力される光を、観察しやすいビーム幅に拡大することができる。
【0039】
第1出力ポート43は、第1テーパ部42から送られるTE偏波光を、基準面15と交差する方向へ出力する。第1出力ポート43は、グレーティングカプラとして構成されている。
【0040】
グレーティングカプラとしての第1出力ポート43には、厚さ方向に穿たれた格子溝61が、光の伝播方向(第1テーパ部42と第1出力ポート43とを結ぶ光軸方向)に沿って連続的に複数形成されている。各格子溝61は、厚さ方向に沿った断面形状が矩形に穿たれている。これら格子溝61の形成周期、及び入力されるTE偏波光に対する等価屈折率を適宜設計することによって、第1出力ポート43は、特定のブラッグ波長のTE偏波光を選択的に回折する。ここでは、入力用光ファイバから送られる光の波長に対応させて、回折すべきブラッグ波長を設定することによって、第1テーパ部42から送られるTE偏波光を、基準面15と交差する方向に出力することができる。
【0041】
また、第2出力ポート53は、第2テーパ部52から送られるTM偏波光を、基準面15と交差する方向へ出力する。第2出力ポート53も、第1出力ポート43と同様に、グレーティングカプラとして構成されている。
【0042】
第1の光導波路素子100は、入力用光ファイバから送られる光信号の偏波状態を確認及び調整するための素子として使用される。
【0043】
ここでは、一端(入力端)31aから入力ポート31に入力用光ファイバからの光信号が入力される。入力された光信号は、入力ポート31から、接続導波路部32を経て偏波分離部33に送られる。偏波分離部33において、光信号は、TE偏波光とTM偏波光とに分離される。TE偏波光は、第1出力部34に送られる。また、TM偏波光は、第2出力部35に送られる。TE偏波光は、第1接続導波路部41及び第1テーパ部42を順次に経て、第1出力ポート43から、基準面15と交差する方向に出力される。また、TM偏波光は、第2接続導波路部51及び第2テーパ部52を順次に経て、第2出力ポート53から、基準面15と交差する方向に出力される。
【0044】
第1の光導波路素子100では、第1出力ポート43から出力されるTE偏波光、及び第2出力ポート53から出力されるTM偏波光を、例えば赤外線カメラを用いて観察することによって、TE偏波光及びTM偏波光の強度比に応じた明暗を確認することができる。これによって、入力用光ファイバからの光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認することができる。
【0045】
さらに、第1の光導波路素子100では、TE偏波光及びTM偏波光の強度比を確認しつつ、入力用光ファイバの偏光軸を回転させることによって、偏波状態を調整することができる。例えば、観察されるTM偏波光の強度が0となるように、入力用光ファイバを回転させることによって、入力用光ファイバからの光信号をTE偏波光のみとなるように調整することができる。
【0046】
ここで、第1出力ポート43から出力されるTE偏波光と、第2出力ポート53から出力されるTM偏波光とは、基準面15に対して、異なる角度で出力される。そこで、偏波分離部33と第2出力ポート53との間、すなわち第2接続導波路部51の中途に、偏波回転部(図示せず)をさらに形成することができる。
【0047】
偏波回転部は、偏波分離部33から第2出力ポート53へ送られる他方の偏波光(ここではTM偏波光)を一方の偏波光(ここではTE偏波光)に変換する。偏波回転部としては、幅の異なる光導波路コアを重ねる構造や屈折率の異なるコアを重ねる構造等の厚さ方向でモード分布を偏心させる構造、又は異なる偏波間を結合するグレーティングを用いることができる。
【0048】
偏波回転部を設ける場合には、第1出力ポート43及び第2出力ポート53に入力される光を、ともに一方の偏波光(ここではTE偏波光)に揃えることができる。このため、第1出力ポート43及び第2出力ポート53から出力される光が、基準面15に対して共通の方向に出力される。従って、赤外線カメラ等を用いて観察するのが容易となる。また、第1出力ポート43及び第2出力ポート53を共通の設計で形成できるため、設計が容易である。
【0049】
また、他の変形例として、例えば図3に示すように、出力されるTE偏波光及びTM偏波光の基準面15に対する角度が揃うように、第1出力ポート43及び第2出力ポート53の配置を設定することができる。図3は、第1の光導波路素子の変形例を示す概略的平面図である。なお、図3では、偏波分離部33、第1出力部34及び第2出力部35のみを示してあり、その他の構成要素を省略している。
【0050】
図3に示す構成例では、第2接続導波路部51を、曲線導波路を含んで形成することにより、第2出力ポート53からのTM偏波光の出力の方向が、第1出力ポート43からのTE偏波光の出力の方向に揃うように、第1出力ポート43及び第2出力ポート53が配置されている。
【0051】
このように、第1出力ポート43及び第2出力ポート53の配置を適宜設定することによって、第1出力ポート43及び第2出力ポート53から出力される光を、基準面15に対して共通の方向に出力させることができる。従って、赤外線カメラ等を用いて観察するのが容易となる。
【0052】
また、第1の光導波路素子100は、図4に示すように、光デバイス150と共通の支持基板10を用いて作製することができる。図4は、共通の支持基板10を用いて作製した場合の、光デバイス150及び第1の光導波路素子100を示す概略的平面図である。なお、図4では、クラッド20を省略している。
【0053】
図4に示すように、第1の光導波路素子100は、支持基板10上における、光デバイス150が備える光回路130(具体的な構成については図示を省略する)の形成領域以外の余剰の領域に形成される。この場合には、第1の光導波路素子100の入力ポート31と、光デバイス150が備える、光回路130と接続された入力ポート110とを、共通の設計で形成する。また、第1の光導波路素子100の入力ポート31の入力端と、光デバイス150の入力ポート110の入力端とを、共通のダイシング等により端面を揃えて形成する。これにより、第1の光導波路素子100の入力ポート31の入力端と、光デバイス150の入力ポート110の入力端とを、物理的状態を共通させて形成することができる。
【0054】
光デバイス150と共通の支持基板10を用いて第1の光導波路素子100を作製した場合においても、上述した方法によって、入力用光ファイバから送られる光信号の偏波状態を確認及び調整することができる。そして、光信号の偏波状態の調整後、光デバイス150又は入力用光ファイバを、基準面15に沿ってスライドさせることによって、光信号の偏光状態を維持した上で、入力用光ファイバと光デバイス150の入力ポート110とを接続できる。このため、入力用光ファイバと光デバイス150の入力ポート110とで、偏光軸を正確に対応させることができる。
【0055】
このように、第1の光導波路素子100では、入力用光ファイバからの光信号を基準面15に沿った方向から入力し、光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光を、基準面15と交差する方向に出力することができる。このため、上述した偏光子を利用する方法とは異なり、偏波状態の確認及び調整に際して、新たな測定系を構築する必要がなく、簡易に偏波状態の確認及び調整を行うことができる。
【0056】
(第2の光導波路素子)
図5及び図6を参照して、この発明の第2の光導波路素子について説明する。図4は、第2の光導波路素子を示す概略的平面図である。図6は、図5に示す第2の光導波路素子をIII−III線で切り取った概略的端面図である。なお、図5では、クラッドを省略している。また、図6では、ハッチングを省略している。また、上述した第1の光導波路素子100と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
第2の光導波路素子200では、上述した第1の光導波路素子100に追加して、さらに遮光体70が形成されている。
【0058】
遮光体70は、クラッド20上の、上面視において第1出力ポート43の周囲及び第2出力ポート53の周囲を画成する位置に形成される。
【0059】
遮光体70は、光を透過させない材料によって形成される。例えば、光デバイス150(図4参照)に電極を形成する場合、この電極と同じ材料を用いて形成することができる。この場合には、光デバイス150の電極を形成するのと共通の過程において、遮光体70を形成することができる。
【0060】
第2の光導波路素子200では、入力用光ファイバと入力ポート31との間における結合損失成分や、光導波路コア30を伝播する光の反射又は散乱損失成分等の迷光が、遮光体70により遮られる。この結果、第2の光導波路素子200では、第1出力ポート43から出力されるTE偏波光、及び第2出力ポート53から出力されるTM偏波光が、迷光に埋もれることなく観察される。
【0061】
(第3の光導波路素子)
図7を参照して、この発明の第3の光導波路素子について説明する。図7は、第3の光導波路素子を示す概略的平面図である。なお、図7では、各構成要素が線で結ばれているが、これは光が伝播する伝送路を模式的に示したものであり、ここでは光導波路コアの一部として構成された接続用の導波路である。
【0062】
また、第3の光導波路素素子300において、光導波路コアの第1出力部及び第2出力部以外の構成は、上述した第1の光導波路素子100と同様であるため、図7には、光導波路コアの第1出力部及び第2出力部のみを示すとともに、共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
第3の光導波路素子300では、第1出力部34が、第1接続導波路部41、並びにそれぞれm個(mは2以上の整数)の第1分岐部81−1〜m、第1テーパ部82−1〜m及び第1出力ポート83−1〜mを含んで構成されている。
【0064】
第1分岐部81−1〜mのうちの最も前段に形成された第1分岐部81−1は、第1接続導波路部41と接続されている。
【0065】
各第1分岐部81は、上述した偏波分離部33(図1参照)から第1接続導波路部41を経て送られるTE偏波光をn分岐(nは2以上の整数)して出力する。なお、図7では、各第1分岐部81が、入力されたTE偏波光を2分岐する構成を示している。そこで、以下、第1分岐部81−1〜mが、TE偏波光を2分岐する構成について説明する。
【0066】
第1分岐部81−1〜mは、この順に直列に接続されている。また、各第1分岐部81には、それぞれ第1テーパ部82及び第1出力ポート83が、この順に1つずつ接続されている。従って、第1分岐部81−1〜m−1に対して、後段の第1分岐部81と第1テーパ部82及び第1出力ポート83とが互いに並列に接続されている。
【0067】
各第1分岐部81は、2分岐されたTE偏波光のうち一方のTE偏波光を、後段の第1分岐部81に送る。また、各第1分岐部81は、2分岐された他方のTE偏波光を、その第1分岐部81と接続された第1テーパ部82及び第1出力ポート83に送られる。
【0068】
なお、最も後段に形成された第1分岐部81−mには、より後段の第1分岐部81は接続されない。従って、2分岐されたTE偏波光の一方は、例えば、遮断されるか又は図示しない他の経路へ送って放出される。そして、2分岐されたTE偏波光の他方が、第1テーパ部82を経て第1出力ポート83に送られる。
【0069】
すなわち、k番目(kはk≦m−1の整数)の第1分岐部81には、互いに並列に配置された、k+1番目の第1分岐部81とk番目の第1テーパ部82とが、それぞれ直列に接続される。そして、k番目の第1分岐部81は、分岐された1つのTE偏波光をk+1番目の第1分岐部81に送り、また、分岐された他の1つのTE偏波光を、k番目の第1テーパ部82を経てk番目の第1第1出力ポート83に送る。また、m番目の第1分岐部81には、テーパ部82が直列に接続される。そして、m番目の第1分岐部81は、分岐された1つのTE偏波光を、m番目の第1テーパ部82を経てm番目の第1出力ポート83に送る。
【0070】
なお、第1分岐部81−1〜mが、TE偏波光を3以上に分岐する場合(すなわちn≦3の場合)には、後段の第1分岐部81又は第1テーパ部82に送られる以外の分岐光は、遮断又は放出される。
【0071】
各第1分岐部81は、例えば方向性結合器、MMIカプラ等として構成することができる。特に第1分岐部81がTE偏波光を2分岐する場合には、第1分岐部81として3dBカプラ又はY分岐等を用いることができる。
【0072】
第1テーパ部82−1〜m及び第1出力ポート83−1〜mは、上述した第1テーパ部42及び第1出力ポート43(図1参照)と同様に構成することができる。第1出力ポート83−1〜mに送られたTE偏波光は、それぞれ基準面15(図2参照)と交差する方向へ出力される。
【0073】
また、第3の光導波路素子300では、第2出力部35が、第2接続導波路部51、並びにそれぞれm個の第2分岐部91−1〜m、第2テーパ部92−1〜m及び第2出力ポート93−1〜mを含んで構成されている。
【0074】
第2分岐部91−1〜mのうちの最も前段に形成された第2分岐部91−1は、第2接続導波路部51と接続されている。
【0075】
各第2分岐部91は、上述した偏波分離部33(図1参照)から第2接続導波路部51を経て送られるTM偏波光をn分岐して出力する。なお、図7では、各第2分岐部91が、入力されたTM偏波光を2分岐する構成を示している。そこで、以下、第2分岐部91−1〜mが、TM偏波光を2分岐する構成について説明する。
【0076】
第2分岐部91−1〜mは、この順に直列に接続されている。また、各第2分岐部91には、それぞれ第2テーパ部92及び第2出力ポート93が、この順に1つずつ接続されている。従って、各第2分岐部91に対して、後段の第2分岐部91と第2テーパ部92及び第2出力ポート93とが互いに並列に接続されている。
【0077】
各第2分岐部91において、2分岐されたTM偏波光のうち一方のTM偏波光は、後段の第2分岐部91に送られる。また、2分岐された他方のTM偏波光は、第2テーパ部92及び第2出力ポート93に送られる。
【0078】
なお、最も後段に形成された第2分岐部91−mには、より後段の第2分岐部91は接続されない。従って、2分岐されたTM偏波光の一方は、例えば、遮断されるか又は図示しない他の経路へ送って放出される。そして、2分岐されたTM偏波光の他方が、第2テーパ部92を経て第2出力ポート93に送られる。
【0079】
すなわち、k番目(kはk≦m−1の整数)の第2分岐部91には、互いに並列に配置された、k+1番目の第2分岐部91とk番目の第2テーパ部92とが、それぞれ直列に接続される。そして、k番目の第2分岐部91は、分岐された1つのTM偏波光をk+1番目の第2分岐部91に送り、また、分岐された他の1つのTM偏波光を、k番目の第2テーパ部92を経て第2出力ポート93に送る。また、m番目の第2分岐部91には、m番目の第2テーパ部92が直列に接続される。そして、m番目の第2分岐部91は、分岐された1つのTM偏波光を、m番目の第2テーパ部92を経て第2出力ポート93に送る。
【0080】
なお、第2分岐部91−1〜mが、TM偏波光を3以上に分岐する場合(すなわちn≦3の場合)には、後段の第2分岐部91又は第2テーパ部92に送られる以外の分岐光は、遮断又は放出される。
【0081】
各第2分岐部91は、例えば方向性結合器、MMIカプラ等として構成することができる。特に第2分岐部91がTE偏波光を2分岐する場合には、第2分岐部91として3dBカプラ又はY分岐等を用いることができる。
【0082】
第2テーパ部92−1〜m及び第2出力ポート93−1〜mは、上述した第2テーパ部52及び第2出力ポート53(図1参照)と同様に構成することができる。第2出力ポート93−1〜mに送られたTM偏波光は、それぞれ基準面15(図2参照)と交差する方向へ出力される。
【0083】
第3の光導波路素子300では、偏波分離部33から第1出力部34へ送られるTE偏波光は、第1分岐部81−1〜mによって一定の比率で分岐されつつ、第1出力部34を伝播する。このため、各第1分岐部81と接続されたそれぞれの第1出力ポート83から出力されるTE偏波光は、後段に配置された第1出力ポート83ほど出力強度が小さくなる。同様に、偏波分離部33から第2出力部35へ送られるTM偏波光についても、各第2分岐部91と接続されたそれぞれの第2出力ポート93から出力されるTE偏波光は、後段に配置された第2出力ポート93ほど出力強度が小さくなる。
【0084】
ここでは、各第1分岐部81及び第2分岐部91が光を2分岐する構成である。このため、第1出力ポート83−1〜mからの出力強度は、一段前の第1出力ポート83に対して3dBずつ強度が減衰する。また、第2出力ポート93−1〜mからの出力強度は、一段前の第2出力ポート93に対して3dBずつ出力強度が減衰する。
【0085】
このように、第3の光導波路素子300では、TE偏波光及びTM偏波光を、それぞれ複数の第1出力ポート83及び第2出力ポート93から出力することができる。そして、偏波分離部33から第1出力部34へ送られるTE偏波光及び第2出力部35へ送られるTM偏波光の強度によって、第1出力ポート83−1〜m又は第2出力ポート93−1〜mの何段目まで到達するかが異なる。
【0086】
これら複数の第1出力ポート83及び第2出力ポート93から出力されるTE偏波光及びTM偏波光を観察することによって、何段目までの第1出力ポート83からTE偏波光が出力されるか、及び何段目までの第2出力ポート93からTM偏波光が出力されるかを確認することができる。この結果に基づき、TE偏波光を出力する第1出力ポート83−1〜mの個数とTM偏波光を出力する第2出力ポート93−1〜mの個数とを比較することによって、入力用光ファイバからの光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光のおおよその偏波消光比を確認することができる。なお、第1分岐部81−1〜m及び第2分岐部91−1〜mにおいて、光を何分岐するかによって、第1出力ポート83−1〜mの出力比及び第2出力ポート93−1〜mの出力比の分解能を適宜設定することができる。
【0087】
ここで、第3の光導波路素子300においても、第2の光導波路素子200と同様に、遮光体70(図5参照)を設けることもできる。
【0088】
また、第1の光導波路素子100と同様に、偏波分離部33と最も前段の第2分岐部91−1との間、すなわち第2接続導波路部51の中途に、偏波回転部をさらに形成する構成(図示せず)、又は出力されるTE偏波光及びTM偏波光の基準面15に対する角度が揃うように、各第1出力ポート83及び各第2出力ポート93の配置を設定する構成(図3参照)とすることもできる。
【0089】
(第4の光導波路素子)
図8を参照して、この発明の第4の光導波路素子について説明する。図8は、第4の光導波路素子を示す概略的平面図である。なお、第4の光導波路素素子において、光導波路コアの第1出力部及び第2出力部以外の構成は、上述した第1の光導波路素子100と同様であるため、図8には、光導波路コアの第1出力部及び第2出力部のみを示すとともに、共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
第4の光導波路素子400では、第1出力部34が、第1接続導波路部41、第1分岐部85、並びにそれぞれp個(pは2以上の整数)の第1サブ接続導波路部86−1〜p、第1テーパ部87−1〜p及び第1出力ポート88−1〜pを含んで構成されている。
【0091】
第1分岐部85は、第1接続導波路部41と接続されている。第1サブ接続導波路部86−1〜pは、第1分岐部85とそれぞれ直列に接続され、かつ第1分岐部85に対して互いに並列に配置されている。また、各第1サブ接続導波路部86の、第1分岐部85とは反対側の端には、それぞれ第1テーパ部87及び第1出力ポート88がこの順に1つずつ直列に接続されている。
【0092】
第1分岐部85は、上述した偏波分離部33(図1参照)から第1接続導波路部41を経て送られるTE偏波光をp分岐(pは2以上の整数)して出力する。第1分岐部85において、p分岐されたTE偏波光は、1つずつ第1サブ接続導波路部86−1〜pに送られる。
【0093】
第1分岐部85は、例えば方向性結合器、MMIカプラ等として構成することができる。
【0094】
各第1サブ接続導波路部86は、第1分岐部85から送られるTE偏波光を、それぞれ接続された第1テーパ部87を経て第1出力ポート88に送る。
【0095】
第1サブ接続導波路部86−1〜pのうちの1つを除く他の第1サブ接続導波路部86(ここでは第1サブ接続導波路部86−2〜p)の中途には、不純物が導入された不純物領域89が形成されている。これら各不純物領域89は、互いに異なる濃度の不純物が導入されて形成されている。各不純物領域89の不純物濃度は、一定の比率で、例えば第1サブ接続導波路部86−2〜pの順に、大きくなるように設定されている。なお、第1サブ接続導波路部86−1には、不純物領域89が形成されない。
【0096】
第1テーパ部87−1〜p及び第1出力ポート88−1〜pは、上述した第1テーパ部42及び第1出力ポート43(図1参照)と同様に構成することができる。第1出力ポート88−1〜pに送られたTE偏波光は、それぞれ基準面15(図2参照)と交差する方向へ出力される。
【0097】
また、第4の光導波路素子400では、第2出力部35が、第2接続導波路部51、第2分岐部95、並びにそれぞれp個(pは2以上の整数)の第2サブ接続導波路部96−1〜p、第2テーパ部97−1〜p及び第2出力ポート98−1〜pを含んで構成されている。
【0098】
第2分岐部95は、第2接続導波路部51と接続されている。第2サブ接続導波路部96−1〜pは、第2分岐部95とそれぞれ直列に接続され、かつ第2分岐部95に対して互いに並列に配置されている。また、各第2サブ接続導波路部96の、第2分岐部95とは反対側の端には、それぞれ第2テーパ部97及び第2出力ポート98がこの順に1つずつ直列に接続されている。
【0099】
第2分岐部95は、上述した偏波分離部33(図1参照)から第2接続導波路部51を経て送られるTM偏波光をp分岐して出力する。第2分岐部95において、p分岐されたTM偏波光は、1つずつ第2サブ接続導波路部96−1〜pに送られる。
【0100】
第2分岐部95は、例えば方向性結合器、MMIカプラ等として構成することができる。
【0101】
各第2サブ接続導波路部96は、第2分岐部95から送られるTM偏波光を、それぞれ接続された第2テーパ部97を経て第2出力ポート98に送る。
【0102】
第2サブ接続導波路部96−1〜pのうちの1つを除く他の第2サブ接続導波路部96(ここでは第2サブ接続導波路部96−2〜p)の中途には、不純物が導入された不純物領域99が形成されている。これら各不純物領域99は、互いに異なる濃度の不純物が導入されて形成されている。各不純物領域99の不純物濃度は、上述した不純物領域89と共通する一定の比率で、例えば第2サブ接続導波路部96−2〜pの順に、大きくなるように設定されている。なお、第2サブ接続導波路部96−1には、不純物領域99が形成されない。
【0103】
第2テーパ部97−1〜p及び第2出力ポート98−1〜pは、上述した第2テーパ部52及び第2出力ポート53(図1参照)と同様に構成することができる。第2出力ポート98−1〜pに送られたTM偏波光は、それぞれ基準面15(図2参照)と交差する方向へ出力される。
【0104】
第4の光導波路素子400では、第1分岐部85によってp分岐されたTE偏波光は、第1サブ接続導波路部86−1又は不純物領域89が形成された第1サブ接続導波路部86−2〜pを経て、第1出力ポート88−1〜pから出力される。上述したように、第1サブ接続導波路部86−2〜pに形成された不純物領域89はそれぞれ不純物濃度が異なる。このため、不純物濃度が大きい不純物領域89を経て第1出力ポート88に送られるTE偏波光ほど、強度が減衰し、第1出力ポート88からの出力が小さくなる。ここでは、第1サブ接続導波路部86−1には不純物領域89が形成されず、かつ第1サブ接続導波路部86−2〜pの順に不純物領域89の不純物濃度が大きくなるように設定されている。従って、第1出力ポート88−1からのTE偏波光の出力強度が最大となり、第1出力ポート88−2〜pの順に、出力強度が小さくなる。同様に、第2分岐部95によってp分岐されたTM偏波光についても、第2出力ポート98−1からの出力強度が最大となり、第2出力ポート98−2〜pの順に、出力強度が小さくなる。
【0105】
このように、第4の光導波路素子400では、TE偏波光及びTM偏波光を、それぞれ複数の第1出力ポート88及び第2出力ポート98から出力することができる。そして、偏波分離部33から第1出力部34へ送られるTE偏波光及び第2出力部35へ送られるTM偏波光の強度によって、第1出力ポート88−1〜p又は第2出力ポート98−1〜pのうちのいくつの出力ポートから出力されるかが異なる。
【0106】
そして、これら複数の第1出力ポート88及び第2出力ポート98から出力されるTE偏波光及びTM偏波光を観察することによって、第1出力ポート88−1〜pのいくつからTE偏波光が出力されるか、及び第2出力ポート98−1〜pのいくつからTM偏波光が出力されるかを確認することができる。この結果に基づき、TE偏波光を出力する第1出力ポート88−1〜mの個数とTM偏波光を出力する第2出力ポート98−1〜mの個数とを比較することによって、入力用光ファイバからの光信号に含まれるTE偏波光及びTM偏波光のおおよその偏波消光比を確認することができる。なお、第1サブ接続導波路部86−2〜pに形成された各不純物領域89の濃度の比、及び第2サブ接続導波路部96−2〜pに形成された各不純物領域99の濃度の比に応じて、第1出力ポート88−1〜pの出力比及び第2出力ポート98−1〜pの出力比の分解能を適宜設定することができる。
【0107】
ここで、第4の光導波路素子400においても、第2の光導波路素子200と同様に、遮光体70(図5参照)を設けることもできる。
【0108】
また、第1の光導波路素子100と同様に、偏波分離部33と最も前段の第2分岐部95との間、すなわち第2接続導波路部51の中途に、偏波回転部をさらに形成する構成(図示せず)、又は出力されるTE偏波光及びTM偏波光の基準面15に対する角度が揃うように、各第1出力ポート88及び各第2出力ポート98の配置を設定する構成(図3参照)とすることもできる。
【0109】
(製造方法)
上述した第1の光導波路素子100、第2の光導波路素子200、第3の光導波路素子300及び第4の光導波路素子400は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。
【0110】
すなわち、まず、支持基板層、SiO層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。次に、例えばエッチング技術を用い、Si層をパターニングすることによって、光導波路コア30を形成する。その結果、支持基板10としての支持基板層上にSiO層が積層され、さらにSiO層上に光導波路コア30が形成された構造体を得ることができる。次に、例えばCVD法を用いて、SiO層上に、SiOを、光導波路コア30を被覆して堆積させる。その結果、SiOのクラッド20によって光導波路コア30が包含され、第1の光導波路素子100、第3の光導波路素子300又は第4の光導波路素子400を製造することができる。なお、第2の光導波路素子200を製造する場合には、クラッド20形成後に、金属等の材料を堆積及びパターニングすることによって、遮光体70を形成する。
【符号の説明】
【0111】
10:支持基板
15:基準面
20:クラッド
30:光導波路コア
31、110:入力ポート
32:接続導波路部
33:偏波分離部
34:第1出力部
35:第2出力部
41:第1接続導波路部
42、82、87:第1テーパ部
43、83、88:第1出力ポート
51:第2接続導波路部
52、92、97:第2テーパ部
53、93、98:第2出力ポート
70:遮光体
81、85:第1分岐部
86:第1サブ接続導波路部
89、99:不純物領域
91、95:第2分岐部
96:第2サブ接続導波路部
100:第1の光導波路素子
130:光回路
150:光デバイス
200:第2の光導波路素子
300:第3の光導波路素子
400:第4の光導波路素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8