(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6566084
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ゴムシート部材の供給装置および方法
(51)【国際特許分類】
B65H 20/16 20060101AFI20190819BHJP
B65H 20/06 20060101ALI20190819BHJP
B29D 30/30 20060101ALI20190819BHJP
B29C 31/00 20060101ALI20190819BHJP
B65H 19/10 20060101ALI20190819BHJP
B65H 16/00 20060101ALI20190819BHJP
B65H 23/188 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
B65H20/16
B65H20/06
B29D30/30
B29C31/00
B65H19/10 A
B65H16/00
B65H23/188
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-95333(P2018-95333)
(22)【出願日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 陽久
【審査官】
西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−296949(JP,A)
【文献】
特開昭59−108652(JP,A)
【文献】
実開昭61−173450(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00 − 19/30
B65H 20/00 − 20/40
B65H 23/00 − 23/34
B65H 16/00 − 16/10
B29D 30/06
B29D 30/30
B29C 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムシート部材がロール状に巻き取られた状態で保持される保持機と、前記ゴムシート部材が載置される載置面を有して前記保持機の上方に配置される搬送機と、前記ゴムシート部材の先端部を把持および把持解除可能な把持機と、前記搬送機の下方に設定された把持位置と前記搬送機の上方の搬送方向上流側に設定された解除位置との上下方向中途の位置を旋回中心として、前記把持機を前記把持位置と前記解除位置との間で旋回移動させる旋回駆動機構と、前記把持位置と前記解除位置の間の所定の位置で前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の幅方向位置を検知するセンサと、前記解除位置の近傍で前記
載置面に対して近接離反移動可能な押え部とを備えて、
前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の先端部が、前記把持位置で前記把持機により把持されて、この状態で前記把持機を前記解除位置まで旋回移動させて、前記解除位置で前記先端部が前記押え部により前記載置面に押圧された後、前記保持機から順次繰り出された前記ゴムシート部材が前記載置面に載置されて、前記搬送機により搬送方向下流側に搬送される構成にしたことを特徴とするゴムシート部材の供給装置。
【請求項2】
前記解除位置で前記把持機による把持が解除された前記先端部が、前記把持機によって保持された状態になり、前記先端部よりも後方部分が前記押し部を構成する押えローラにより前記載置面に押圧された状態で、前記搬送機を搬送方向上流側に走行させることで、前記先端部が前記把持機から外れて前記押えローラにより前記載置面に押圧される構成にした請求項1に記載のゴムシート部材の供給装置。
【請求項3】
前記センサによる検知データに基づいて、前記把持位置と前記解除位置の間で前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の幅方向位置を目標位置に調整する構成にした請求項1または2に記載のゴムシート部材の供給装置。
【請求項4】
前記ゴムシート部材の先端部に対する前記把持機による把持幅が500mm以上に設定されている請求項1〜3のいずれかに記載のゴムシート部材の供給装置。
【請求項5】
ゴムシート部材がロール状に巻き取られた状態で保持される保持機の上方に、前記ゴムシート部材が載置される載置面を有する搬送機を配置して、前記搬送機の下方に把持位置を設定し、前記搬送機の上方の搬送方向上流側に解除位置を設定して、前記把持位置と前記解除位置との上下方向中途の位置を旋回中心として、前記ゴムシート部材の先端部を把持および把持解除可能な把持機を前記把持位置と前記解除位置との間で旋回移動可能にしておき、前記把持位置と前記解除位置の間の所定の位置で前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の幅方向位置をセンサにより検知しつつ、前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の先端部を前記把持位置で前記把持機により把持して、前記把持機を前記解除位置まで旋回移動させて、前記解除位置で前記先端部を押え部により前記載置面に押圧した後、前記搬送機を稼働させるとともに前記保持機から前記ゴムシート部材を順次繰り出して前記載置面に載置して、前記搬送機により搬送方向下流側に搬送することを特徴とするゴムシート部材の供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシート部材の供給装置および方法に関し、さらに詳しくは、ロール状に巻き取られているゴムシート部材を、幅方向のずれを抑制してコンパクトなスペースで効率よく供給できるシート材の供給装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤなどのゴム製品を製造する際には、様々なゴムシート部材が使用されている。ゴムシート部材には、例えば、未加硫ゴムだけからなる部材、スチールコードや樹脂コード等の補強線材が未加硫ゴムに埋設された部材などがある。これらのゴムシート部材どうしや別の部材を積層したり、つなぎ合わせることにより成形された未加硫の成形体を加硫することによりゴム製品が完成する。
【0003】
製造工程では、ゴムシート部材は折り畳まれた状態やロール状に巻き取られた状態にして一時的に保管される。折り畳まれた状態で保管されているゴムシート部材を、搬送コンベヤに載置して次工程に搬送するための供給装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1で提案されている供給装置のように、ゴムシート部材の先端部を挟持するフックや押えロールを搬送コンベヤに向かって水平移動させる構造であると、装置の可動域が大きくなり、供給装置の設置および稼働のために広いスペースが必要になる。また、ゴムシート部材が折り畳まれた状態であると、搬送コンベヤに向かって円滑に引き出すことが難しいため、搬送コンベヤの載置面に対して高精度の位置決めが要求される場合には不利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−4555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ロール状に巻き取られているゴムシート部材を、幅方向のずれを抑制してコンパクトなスペースで効率よく供給できるシート材の供給装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のゴムシート部材の供給装置は、ゴムシート部材がロール状に巻き取られた状態で保持される保持機と、前記ゴムシート部材が載置される載置面を有して前記保持機の上方に配置される搬送機と、前記ゴムシート部材の先端部を把持および把持解除可能な把持機と、前記搬送機の下方に設定された把持位置と前記搬送機の上方の搬送方向上流側に設定された解除位置との上下方向中途の位置を旋回中心として、前記把持機を前記把持位置と前記解除位置との間で旋回移動させる旋回駆動機構と、前記把持位置と前記解除位置の間の所定の位置で前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の幅方向位置を検知するセンサと、前記解除位置の近傍で前記載置面に対して近接離反移動可能な押え部とを備えて、前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の先端部が、前記把持位置で前記把持機により把持されて、この状態で前記把持機を前記解除位置まで旋回移動させて、前記解除位置で前記先端部が前記押え部により前記載置面に押圧された後、前記保持機から順次繰り出された前記ゴムシート部材が前記載置面に載置されて、前記搬送機により搬送方向下流側に搬送される構成にしたことを特徴とする。
【0007】
本発明のゴムシート部材の供給方法は、ゴムシート部材がロール状に巻き取られた状態で保持される保持機の上方に、前記ゴムシート部材が載置される載置面を有する搬送機を配置して、前記搬送機の下方に把持位置を設定し、前記搬送機の上方の搬送方向上流側に解除位置を設定して、前記把持位置と前記解除位置との上下方向中途の位置を旋回中心として、前記ゴムシート部材の先端部を把持および把持解除可能な把持機を前記把持位置と前記解除位置との間で旋回移動可能にしておき、前記把持位置と前記解除位置の間の所定の位置で前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の幅方向位置をセンサにより検知しつつ、前記保持機から繰り出された前記ゴムシート部材の先端部を前記把持位置で前記把持機により把持して、前記把持機を前記解除位置まで旋回移動させて、前記解除位置で前記先端部を押え部により前記載置面に押圧した後、前記搬送機を稼働させるとともに前記保持機から前記ゴムシート部材を順次繰り出して前記載置面に載置して、前記搬送機により搬送方向下流側に搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保持機から繰り出されたゴムシート部材の先端部を把持機により把持して、搬送機の下方の把持位置から搬送機の上方の解除位置に向かって旋回移動させる。次いで、把持解除されたゴムシート部材の先端部を搬送機の載置面に押圧した後、保持機から順次繰り出されたゴムシート部材を載置面に載置して搬送機によって搬送方向下流側へ搬送するので、ゴムシート部材を保持機から搬送機の載置面まで移動させるために必要なスペースをコンパクトにし易くなり、効率的にゴムシート部材を搬送できる。そして、把持位置と解除位置の間の所定位置で、保持機から繰り出されたゴムシート部材の幅方向位置をセンサにより検知することで、ゴムシート部材が許容範囲よりも幅方向にずれた状態で搬送先に搬送される不具合を抑制することが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のゴムシート部材の供給装置の実施形態の内部構造を側面視で例示する説明図である。
【
図2】
図1の供給装置を平面視で例示する説明図である。
【
図3】
図1の供給装置により把持位置でゴムシート部材の先端部を把持機により把持する状態を拡大して例示する説明図である。
【
図4】
図3の把持機を解除位置に向かって旋回移動させている状態を例示する説明図である。
【
図5】
図4のゴムシート部材の先端部の幅方向位置をセンサにより検知して、繰り出されたゴムシート部材をセンタリングしている状態を例示する説明図である。
【
図6】
図5のセンタリングされているゴムシート部材を平面視で例示する説明図である。
【
図7】
図5の把持機を解除位置に旋回移動させた状態を例示する説明図である。
【
図8】
図7のゴムシート部材の先端部を押え部により載置面に押圧している状態を例示する説明図である。
【
図9】
図8のゴムシート部材を搬送機により下流側へ搬送している状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のゴムシート部材の供給装置および方法を、タイヤを製造する場合を例示にして図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1、
図2に例示する本発明のゴムシート部材の供給装置1(以下、供給装置1という)の実施形態は、ゴムシート部材Sがロール状に巻き取られた状態で保持される保持機3と、保持機3の上方に配置される搬送機5と、ゴムシート部材Sの先端部Sfを把持および把持解除可能な把持機8と、把持機8を旋回移動させる旋回駆動機構9と、ゴムシート部材Sの幅方向位置を検知するセンサ11と、搬送機5の上方に配置される押え部12とを備えている。これら供給装置1の構成要素は本体フレーム2に設置されている。ゴムシート部材Sとしては、トレッドゴムやサイドゴムなど、未加硫ゴムだけから形成されたシート部材、或いは、カーカス材やベルト材など、樹脂コードやスチールコード等の補強線材が未加硫ゴムに埋設されたシート部材を例示できる。
【0012】
保持機3は、保持フレーム3aと、保持フレーム3aに支持されたドラム等の芯部3bおよびライナ巻取り部3cと有している。芯部3bおよびライナ巻取り部3cは、回転可能に支持されている。芯部3bには、ゴムシート部材SがライナLを介在させて巻き取られてロール状になっている。
【0013】
この実施形態の保持フレーム3aは、その下端部にローラが取付られていて任意の位置に移動可能になっている。そのため保持機3は、本体フレーム2に形成されている所定の設置位置に着脱自在な構造になっている。保持機3が本体フレーム2の所定の設置位置に装着されると、ライナ巻取り部3cは、本体フレーム2に設置されているライナ用駆動モータ4と変速ギヤを介して連結される。このライナ用駆動モータ4によりライナ巻取り部3cは回転駆動される。ライナ巻取り部3cによりライナLが巻き取られると、ライナLともにゴムシート部材Sが保持機3から繰り出されて芯部3aが回転する。芯部3aには回転に抵抗する適度なブレーキ力が付与される。
【0014】
搬送機5は、一対のプーリ7と、プーリ7の間に張設された搬送ベルト6とを有している。搬送ベルト6の上面がゴムシート部材Sが載置される載置面6aになる。一方のプーリ7がモータ等により回転駆動されて、環状の搬送ベルト6が回転走行する。尚、
図2、
図6では、搬送ベルト6の幅方向中心位置を一点鎖線CLで示している。
【0015】
把持機8は、対向配置される受け部8bおよび可動部8aを有していて、可動部8aは流体シリンダ等によって受け部8bに対して近接離反移動する。この実施形態では、受け部8bおよび可動部8aはそれぞれ、搬送ベルト6の幅方向に延在する棒状体になっている。そして、流体シリンダのロッドが受け部8bを貫通し、貫通したロッドの先端に可動部8aが取付けられている。
【0016】
搬送機5の搬送方向上流側(図では右側)には、把持機8を旋回移動させる旋回駆動機構9が配置されている。旋回駆動機構9は、搬送ベルト6を幅方向に挟んで対向配置された円弧状の回転ギヤ10aと、それぞれの回転ギヤ10aがガイドされるギヤガイド10bと、それぞれの回転ギヤ10aを旋回させる駆動モータ10cとを有している。この実施形態では複数のギヤガイド10bが、回転ギヤ10aの内周面に沿って周方向に間隔をあけて配置されている。
【0017】
それぞれの回転ギヤ10aの外周面にはギヤ歯が周方向に一定間隔で突設されていて、このギヤ歯に噛み合う駆動歯車10dが設けられている。それぞれの回転ギヤ10aは、変速ギヤおよび駆動歯車10a等を介して駆動モータ10cに連結されている。それぞれの回転ギヤ10aには、把持機8(受け部8bおよび可動部8a)が掛け渡されて取付られている。
【0018】
搬送機5の下方にはゴムシート部材Sの先端部Sfを把持機8により把持する把持位置P1が設定されている。搬送機5の上方の搬送方向上流側には先端部Sfが把持機8により把持解除される解除位置P2が設定されている。把持機8は、把持位置P1と解除位置P2との上下方向中途の位置を旋回中心Cとして、旋回駆動機構9によって把持位置P1と解除位置P2との間を旋回移動可能になっている。
【0019】
センサ11は、把持位置P1と解除位置P2の間の所定の位置で保持機3から繰り出されたゴムシート部材Sの幅方向位置を検知する。ゴムシート部材Sの幅方向位置を検知できる種々のタイプのセンサ11を用いることができるが、例えば、ゴムシート部材Sの平面視の画像データを取得できるカメラ装置等を用いることができる。
【0020】
この実施形態では、センサ11は搬送ベルト6の搬送方向上流端の上方位置に配置されている。搬送ベルト6の搬送方向上流端よりも上流側には、搬送ベルト6の幅方向に延在する支持ロール13が本体フレーム2に回転自在に取付けられている。この実施形態では、支持ロール13を支持ロール13の延在方向(即ち、搬送ベルト6の幅方向)に移動させることができる調整機構13aが備わっている。
【0021】
押え部12は、押えローラ12aと、押えローラ12aがロッド先端に取り付けられた流体シリンダ12bとを有している。押えローラ12aは搬送ベルト6の幅方向に延在している。流体シリンダ12bの作動によって押えローラ12aは、解除位置P2の近傍で載置面6aに対して近接離反移動可能になっている。
【0022】
ライナ用駆動モータ4、搬送機5、把持機8、旋回駆動機構9、押え部12、調整機構13aの動きは制御部14により制御される。センサ11による検知データは制御部14に入力される。
【0023】
次に、保持機3に巻き取られているゴムシート部材Sを搬送面6aに載置して、搬送機5によって搬送先に供給する方法を説明する。
【0024】
まず、
図1、
図2に例示するように、ライナLを介在させてゴムシート部材Sがロール状に巻き取られている保持機3を、供給装置1の所定の設置位置に装着する。これにより保持機3は搬送機5(搬送ベルト6)に対して所定の幅方向位置に固定される。把持機8は把持位置P1に配置しておく。
【0025】
次いで、
図3に例示するように、保持機3からライナLおよびゴムシート部材Sを繰り出して、ライナLの先端部をライナ巻取り部3cに巻き付け、ゴムシート部材Sの先端部Sfを受け部8bと可動部8aとの間に挿入する。この実施形態では、把持位置P1の上方位置で先端部Sfをロールに支持させて垂下させているので受け部8bと可動部8aとの間に挿入させ易くなっている。その後、可動部8aを受け部8bに対して近接移動させて把持機8により先端部Sfを把持する。この実施形態では、先端部Sfが幅方向全長に渡って把持機8により把持される。
【0026】
次いで、
図4に例示するように、ライナ用駆動モータ4を稼働させることにより、ライナLおよびゴムシート部材Sを保持機3から繰り出しつつ、ライナLをライナ巻取り部3cに巻取る。また、駆動モータ10cを稼働させることにより、それぞれの回転ギヤ10aをギヤガイド10bにガイドさせて、旋回中心Cを中心として回転させる。これに伴い、把持機8を旋回中心Cを中心として把持位置P1から解除位置P2に向かって旋回移動させる。この過程では、繰り出したゴムシート部材Sに過度の張力が作用しないように、保持機3による繰り出し速度よりも把持機8による旋回速度を小さくして、保持機3と把持機8との間ではゴムシート部材Sに適度の弛みを設ける。
【0027】
図5、
図6に例示するように、把持機8を解除位置P2に向かって旋回移動させている途中で、繰り出したゴムシート部材Sが支持ロール13に載置された状態になる。そして、先端部Sfがセンサ11により検知される。センサ11による検知データが制御部14に入力されて、ゴムシート部材Sの幅方向位置が目標位置に対して許容範囲にあるか否かを制御部14が判断する。例えば、ゴムシート部材Sの幅方向中心位置に中心線が付されていて、この中心線が搬送ベルト6の予め設定された幅方向位置(例えば幅方向中心位置CL)に一致しているか否かが判断される。そして、両者が一致していれば、ゴムシート部材Sは搬送ベルト6に対して良好にセンタリングされていて、両者が大きく乖離していればセンタリング不良になっていることになる。
【0028】
この実施形態では、センサ11による検知データに基づいて制御部14が調整機構13aを作動させて支持ロール13を支持ロール13の延在方向に移動させる。これにより、支持ロール13に載置されているゴムシート部材Sを支持ロール13とともに移動させて、先端部Sfの幅方向位置が目標位置に対して許容範囲になるように調整する。
【0029】
調整機構13aに代えて、或いは、加えて、把持機8(受け部8bおよび可動部8a)をセンサ11の検知データに基づいて、その延在方向(即ち、搬送ベルト6の幅方向)に移動させる構成にすることもできる。これにより、先端部Sfの幅方向位置が目標位置に対して許容範囲になるように把持機8によって調整することが可能になる。
【0030】
調整機構13aを設けない場合は例えば、センサ11により検知された先端部Sfの幅方向位置が目標位置に対して許容範囲外である場合は、保持機3から搬送機5へのゴムシート部材Sの供給を停止する。そして、再度、
図3で示した工程からやり直すことで、先端部Sfの幅方向位置を目標位置に調整することができる。
【0031】
次いで
図7に例示するように、把持機8が解除位置P2まで移動すると、可動部8aを受け部8bに対して離反移動させて把持機8による先端部Sfの把持を解除する。把持機8による把持が解除された先端部Sfは、可動部8aと受け部8bとの間に差し込まれたままになって把持機8によって保持された状態になる。
【0032】
そして、待機位置にある押えローラ12aを下方移動させて、載置面6aに対して近接移動させる。この押えローラ12aによって、ゴムシート部材Sの先端部Sfよりも後方部分が載置面6aに押圧された状態にする。
【0033】
この状態で
図8に例示するように、搬送機5を搬送方向上流側(図では右側)に若干走行させる。これにより、先端部Sfは受け部8bと可動部8aとの間から引き抜かれて外れた状態になり、先端部Sfの最先端部分は、幅方向が載置面6aの目標位置に位置決めされて押えローラ12aにより押圧された状態になる。押えローラ12aによる押圧力は先端部Sfを押し潰さない大きさに設定される。尚、
図5〜8に記載する工程では、基本的にライナ用駆動モータ4を稼働せずに停止させておく。
【0034】
次いで、押えローラ12aを上方移動させることにより、載置面6aに対して離反移動させて待機位置に戻す。次いで、
図9に例示するように、搬送機5を搬送方向下流側(図では左側)に走行させるとともに、ライナ用駆動モータ4を稼働させて保持機3からライナLおよびゴムシート部材Sを連続的に繰り出す。これにより、保持機3から順次繰り出したゴムシート部材Sを載置面6aに載置して、搬送機5により搬送方向下流側に搬送して次工程に供給する。
【0035】
ゴムシート部材Sの位置決め(センタリング)について詳述すると、載置面6aに載置したゴムシート部材Sの幅方向位置が目標位置から大きく乖離している場合は、搬送機5を次のように制御する。
図8に例示したようにゴムシート部材Sを搬送方向上流側に走行させた後、下流側および上流側に交互に走行方向を変えて所定距離走行させる。その際に、載置面6aに載置されたゴムシート部材Sの幅方向位置をセンサ11により検知する。そして、この検知データに基づいて、支持ロール13aをその延在方向に移動させることにより、ゴムシート部材Sの幅方向位置を目標位置に対して許容範囲にすることができる。
【0036】
上述したように、保持機3から繰り出されたゴムシート部材Sの先端部Sfは、把持機8によって把持された状態で、旋回中心Cを中心にして把持位置P1から解除位置P2に向かって旋回移動される。次いで、先端部Sfを載置面6aに押圧して位置決めした後、保持機3から順次繰り出されたゴムシート部材Sを載置面6aに載置して搬送機5によって搬送方向下流側へ搬送するので、ゴムシート部材Sを保持機3から載置面6aまで移動させるために必要なスペースをコンパクトにして、可動域を小さくして効率的にゴムシート部材Sを搬送できる。また、保持機3から繰り出されたゴムシート部材Sの幅方向位置をセンサ11により検知することで、ゴムシート部材Sが予め設定された基準位置の許容範囲よりも幅方向にずれた状態で搬送先に搬送される不具合を抑制することができる。
【0037】
先端部Sfに対する把持機8による把持幅は例えば、500mm以上、或いは700mm以上に設定することができる。把持幅の上限は例えば1500mmである。この仕様にすることで、幅広のゴムシート部材Sであっても、しわや歪みを抑制して保持機3から搬送機5に移動させて次工程に迅速に供給することが可能になる。
【符号の説明】
【0038】
1 供給装置
2 本体フレーム
3 保持機
3a 保持フレーム
3b 芯部
3c ライナ巻取り部
4 ライナ用駆動モータ
5 搬送機
6 搬送ベルト
6a 載置面
7 プーリ
8 把持機
8a 可動部
8b 受け部
9 旋回駆動機構
10a 回転ギヤ
10b ギヤガイド
10c 駆動モータ
10d 駆動歯車
11 センサ
12 押え部
12a 押えローラ
12b 流体シリンダ
13 支持ロール
13a 調整機構
14 制御部
S ゴムシート部材
Sf 先端部
L ライナ
P1 把持位置
P2 解除位置
【要約】
【課題】ロール状に巻き取られているゴムシート部材を、幅方向のずれを抑制してコンパクトなスペースで効率よく供給できるシート材の供給装置および方法を提供する。
【解決手段】保持機3の上方に搬送機5を配置し、搬送機5の下方に設定された把持位置P1と搬送機5の上方の搬送方向上流側に設定された解除位置P2の間の所定の位置で保持機3から繰り出されたゴムシート部材Sの幅方向位置をセンサ11により検知しつつ、保持機3から繰り出されたゴムシート部材Sの先端部Sfを把持位置P1で把持機8により把持し、把持位置P1と解除位置P2との上下方向中途の位置を旋回中心Cとして把持機8を解除位置P2まで旋回移動させて、把持解除された先端部Sfを押え部12により搬送機5の載置面6aに押圧した後、保持機3から順次繰り出されたゴムシート部材Sを載置面6aに載置して搬送機5により搬送方向下流側に搬送する。
【選択図】
図7