(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送電回路は、交流電流を発生する電源装置を有し、交流電流のうち正方向の電流を前記第1コイルに流し、交流電流のうち負方向の電流を前記第2コイルに流す、請求項8に記載の非接触給電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のワイヤレス充電装置では、携帯機器を充電器に取り付ける際に、取付面に対する面内方向の回転ずれが生じると、受電コアが給電カットコアに囲まれなくなり、この状態では、受電コアと給電カットコアが電磁結合できず、充電不良を引き起こす虞があった。ここで、充電器側のケースで携帯機器の取付位置を受電コアと給電カットコアが電磁結合できるように規制する構造にすると、充電器に対する携帯機器の取付け自体が難しくなるという問題があった。つまり、従来技術では、携帯機器(給電対象機器を)を充電器(非接触給電装置)に適切に配置することが難しく、ユーザの負担が大きく利便性が損なわれるという課題があった。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、給電対象機器を適切に配置することが容易な非接触給電装置、及びそれを備える非接触電力伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、非接触給電装置である。この非接触給電装置は、
給電対象機器の少なくとも一部を収容可能な凹部を有する筐体と、
前記筐体に収容された第1磁性体、第2磁性体、及び給電コイルと、を備え、
前記給電コイルは、前記第1磁性体に導線を巻回した第1コイルと、前記第2磁性体に導線を巻回した第2コイルと、を含み、
前記第1コイルに通電することにより前記第1磁性体に現れる一対の磁極部が、前記凹部を介して相互に対向し、
前記第2コイルに通電することにより前記第2磁性体に現れる一対の磁極部が、前記凹部を介して相互に対向し、
前記第1磁性体に現れる前記一対の磁極部同士を結ぶ第1仮想線と、前記第2磁性体に現れる前記一対の磁極部同士を結ぶ第2仮想線とが、前記凹部の開口方向から見て互いに交差する。
【0008】
前記第1及び第2仮想線が、前記凹部の開口方向から見て互いに略直交してもよい。
【0009】
前記第1及び第2磁性体がそれぞれ、前記凹部を挟み込むように配置されてもよい。
【0010】
前記第1磁性体は、両端部に前記凹部側に突出する第1及び第2凸部を有してもよい。
【0011】
前記第2磁性体は、両端部に前記凹部側に突出する第3及び第4凸部を有してもよい。
【0012】
前記第1コイルは、前記第1凸部に導線を巻回した第1巻線部と、前記第2凸部に導線を巻回した第2巻線部と、を含み、
前記第2コイルは、前記第3凸部に導線を巻回した第3巻線部と、前記第4凸部に導線を巻回した第4巻線部と、を含み、
前記第1及び第2巻線部は、互いに同じ向きの磁界を発生するように相互に接続され、
前記第3及び第4巻線部は、互いに同じ向きの磁界を発生するように相互に接続されてもよい。
【0013】
前記第1磁性体は、前記凹部を介して端面同士が相互に対向する棒状の第1及び第2部分を有し、
前記第2磁性体は、前記凹部を介して端面同士が相互に対向する棒状の第3及び第4部分を有し、
前記第1から第4部分を相互に連結する第3磁性体を備え、
前記第1コイルは、前記第1部分に導線を巻回した第1巻線部と、前記第2部分に導線を巻回した第2巻線部と、を含み、
前記第2コイルは、前記第3部分に導線を巻回した第3巻線部と、前記第4部分に導線を巻回した第4巻線部と、を含み、
前記第1及び第2巻線部は、互いに同じ向きの磁界を発生するように相互に接続され、
前記第3及び第4巻線部は、互いに同じ向きの磁界を発生するように相互に接続されてもよい。
【0014】
前記第1及び第2コイルに互いに異なるタイミングで通電する送電回路を備えてもよい。
【0015】
前記送電回路は、交流電流を発生する電源装置を有し、交流電流のうち正方向の電流を前記第1コイルに流し、交流電流のうち負方向の電流を前記第2コイルに流してもよい。
【0016】
前記筐体内において前記凹部の周囲を螺旋状に周回する補助コイルを備えてもよい。
【0017】
前記筐体内において前記凹部の底部と対向する位置に設けられた、平面的に周回する付加コイルを備えてもよい。
【0018】
前記付加コイルの、前記凹部の底部とは反対側に、シート状ないし板状の磁性体を備えてもよい。
【0019】
本発明のもう1つの態様は、非接触電力伝送装置である。この非接触電力伝送装置は、前記非接触給電装置と、前記非接触給電装置の前記凹部に少なくとも一部が収容された携帯用電子機器と、を備え、前記携帯用電子機器は、二次電池及び受電コイルを含む非接触受電装置を有する。
【0020】
前記凹部の開口幅が、前記携帯用電子機器の長手方向の寸法よりも短くてもよい。
【0021】
前記受電コイルは、巻軸が前記二次電池の厚み方向と略平行であって前記二次電池の周囲を螺旋状に周回してもよい。
【0022】
前記受電コイルは、巻軸が前記二次電池の外周側面に沿って湾曲していてもよい。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、給電対象機器を適切に配置することが容易な非接触給電装置、及びそれを備える非接触電力伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態1における給電対象機器としての携帯用電子機器80の斜視図。
【
図3】携帯用電子機器80の非接触受電装置90の第1構成例の概略断面図。
【
図4】非接触受電装置90の第2構成例の概略断面図。
【
図5】本発明の実施の形態1における非接触給電装置10及びそれに対する携帯用電子機器80の配置方法を示す斜視図。
【
図6】本発明の実施の形態1の非接触電力伝送装置1における、非接触受電装置90、第1磁性体20、第1コイル25、第2磁性体30、及び第2コイル35の配置例1を示す斜視図。
【
図9】非接触電力伝送装置1における、非接触受電装置90、第1磁性体20、第1コイル25、第2磁性体30、及び第2コイル35の配置例2を示す斜視図。
【
図12】非接触受電装置90の第3構成例の組立説明図。
【
図13】非接触受電装置90の第3構成例の斜視図。
【
図16】非接触電力伝送装置1における、非接触受電装置90、第1磁性体20、第1コイル25、第2磁性体30、及び第2コイル35の配置例3を示す斜視図。
【
図19】非接触電力伝送装置1における、非接触受電装置90、第1磁性体20、第1コイル25、第2磁性体30、及び第2コイル35の配置例4を示す斜視図。
【
図23】非接触給電装置10及び携帯用電子機器80の回路図。
【
図24】任意の周期における第1コイル25及び第2コイル35に流れる電流の波形図。
【
図25】本発明の実施の形態2に係る非接触電力伝送装置2の正断面図。
【
図26】本発明の実施の形態3に係る非接触電力伝送装置3の正断面図。
【
図27】本発明の実施の形態4における非接触給電装置10及びそれに対する携帯用電子機器80の配置方法を示す斜視図。
【
図28】本発明の実施の形態4の非接触電力伝送装置4における、非接触受電装置90、並びに非接触給電装置10の各磁性体及び各コイルの配置例を示す斜視図。
【
図31】非接触受電装置90、並びに非接触給電装置10の各磁性体及び各コイルの他の配置例を示す斜視図。
【
図32】実施の形態1の非接触給電装置10における磁性体組の他の構成例1を示す斜視図。
【
図34】実施の形態1の非接触給電装置10における磁性体組及びコイル組の他の構成例を示す斜視図。
【
図35】実施の形態4の非接触給電装置10において磁極数を6個とした構成の磁性体組及びコイル組の平面図。
【
図36】実施の形態4の非接触給電装置10において磁極数を8個とした構成の磁性体組及びコイル組の平面図。
【
図37】実施の形態4の非接触給電装置10において第3磁性体40の一部を切り欠いた構成の磁性体組及びコイル組の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
実施の形態1
図1〜
図24を参照し、本発明の実施の形態1を説明する。
図1に示すように、携帯用電子機器80は、本実施の形態では補聴器であり、ハウジング81から引き出されたケーブル82の先端に耳への挿入部83を有する。ハウジング81は、不図示のクリップ等の係止手段によりユーザの服に留めることができる。なお、携帯用電子機器80は、耳に引っ掛けたり耳に差し込んだりするタイプであってもよい。携帯用電子機器80は、ハウジング81の内部に、
図3又は
図4に示す非接触受電装置90及び不図示のマイク等の機能部品を有する。なお、
図2に示す非接触受電装置90は、
図3に示す第1構成例を概略分解斜視図として示したものである。
【0028】
図3に示すように、第1構成例に係る非接触受電装置90は、リチウムイオン二次電池等の二次電池84、受電コイル85、ケース86、及び蓋87を含む。ケース86及び蓋87は、例えばフェライト等の磁性粉の焼結体である。受電コイル85は、巻軸が二次電池84の厚み方向と略平行であって二次電池84の周囲を螺旋状に周回する。受電コイル85の軸方向は、ハウジング81の厚み方向と平行である。もっとも、二次電池84がハウジング81内で厚さ方向に対して斜めに配置される場合もあり、そのような場合を含め、受電コイル85の軸方向はハウジング81の厚さ方向と平行にならないこともある。ケース86は、二次電池84を収容する内部空間を有する箱形状であって、二次電池84の底面と外周面(側面)を覆う。ケース86の側面が、受電コイル85と二次電池84の外周面との間に介在する。蓋87は、ケース86に被せられてケース86の上部開口を覆う(二次電池84の上面を覆う)。ケース86は、好ましくは側面より外側に延在した鍔部86aを底面部に有する。蓋87は、好ましくはケース86の側面より外側に延在した鍔部87aを有する。鍔部86a,87aは、受電コイル85の軸方向の両端部外側(
図3における受電コイル85の下側及び上側)にそれぞれ位置し、ケース86の側面に受電コイル85を巻く際のズレを防止する。
【0029】
図4に示すように、第2構成例に係る非接触受電装置90は、
図3に示すケース86及び蓋87が可撓性を有する磁性シート88,89a,89bに変わった点で相違し、その他の点で一致する。磁性シート88は、内側に二次電池84を収容する、両端が開口した中空筒状(例えば円筒状)である。磁性シート88は、受電コイル85と二次電池84の外周面との間に設けられる。磁性シート89aは、磁性シート88の一方の開口(ここでは上部開口)を覆う。磁性シート89bは、磁性シート88の他方の開口(ここでは下部開口)を覆う。
【0030】
図5に示すように、非接触給電装置10は、給電対象機器の例示である携帯用電子機器80の少なくとも一部を収容可能な凹部12aを有する筐体(ハウジング)12と、筐体12に収容(例えば一体化ないし保持)された、第1磁性体20、第1コイル25、第2磁性体30、及び第2コイル35と、を備える。筐体12は、例えば絶縁樹脂製である。凹部12aの開口幅Wは、携帯用電子機器80の長手方向の寸法Lよりも短い。第1コイル25及び第2コイル35は、給電コイルを構成する。第1コイル25は、フェライト等の磁性材料からなる第1磁性体20に導線を例えば螺旋状に巻回したものである。第2コイル35は、フェライト等の磁性材料からなる第2磁性体30に導線を例えば螺旋状に巻回したものである。
【0031】
第1コイル25に通電することにより第1磁性体20に現れる一対の磁極部(第1磁性体20の端部同士)は、凹部12aを介して相互に対向する。同様に、第2コイル35に通電することにより第2磁性体30に現れる一対の磁極部(第2磁性体30の端部同士)は、凹部12aを介して相互に対向する。
図7に示すように、第1磁性体20に現れる一対の磁極部(以下「第1磁性体20の磁極部」とも表記)同士を結ぶ第1仮想線x1と、第2磁性体30に現れる一対の磁極部(以下「第2磁性体30の磁極部」とも表記)同士を結ぶ第2仮想線x2とが、凹部12aの開口方向から見て(すなわち平面視で)互いに交差、好ましくは略直交する。
【0032】
図6〜
図8に示すように、第1磁性体20及び第2磁性体30はそれぞれ、半環状であって凹部12aを挟み込むように配置されている。第1磁性体20は、第2磁性体30より大回りとなる半環状であり、両端部に凹部12a側に突出する第1凸部21及び第2凸部22を有する。第1凸部21及び第2凸部22は、第1磁性体20の磁極部同士の磁気的結合を強める役割と、当該磁極部同士の距離を第2磁性体30の磁極部同士の距離と揃える役割を持つ。
【0033】
図6〜
図11に示すように、非接触電力伝送装置1において、携帯用電子機器80に内蔵される非接触受電装置90は、携帯用電子機器80の一部が筐体12の凹部12aに収容された状態で、第1磁性体20の磁極部間かつ第2磁性体30の磁極部間に位置する。なお、
図6及び
図9において、筐体12及びハウジング81の図示は省略している。
図6〜
図8に示す配置例1と、
図9〜
図11に示す配置例2は、凹部12aに対する携帯用電子機器80(すなわち非接触受電装置90)の配置角度が平面視で互いに90°異なる点で相違し、その他の点で一致する。
【0034】
図6〜
図8に示す配置例1では、第1磁性体20の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90の受電コイル85と鎖交し、当該磁束の時間変化によって受電コイル85に発生する誘導起電力で二次電池84が充電される。
図9〜
図11に示す配置例2では、第2磁性体30の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90の受電コイル85と鎖交し、当該磁束の時間変化によって受電コイル85に発生する誘導起電力で二次電池84が充電される。
【0035】
図12〜
図15に示すように、第3構成例に係る非接触受電装置90は、磁性シート98(可撓性を有する磁性体)に導線を螺旋状に周回させた受電コイル85を、二次電池84の外周面に半周に渡って設けたものである。すなわち、受電コイル85は、巻軸が二次電池84の外周側面に沿って湾曲している。
図16〜
図18に示す配置例3は、
図6〜
図8に示す配置例1と比較して、非接触受電装置90が
図12〜
図15に示す第3構成例に変わった点で相違し、その他の点で一致する。
図16〜
図18に示す配置例3と、
図19〜
図21に示す配置例4は、凹部12aに対する携帯用電子機器80(すなわち非接触受電装置90)の配置角度が平面視で互いに90°異なる点で相違し、その他の点で一致する。
【0036】
図16〜
図18に示す配置例3では、第2磁性体30の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90の受電コイル85と鎖交し、当該磁束の時間変化によって受電コイル85に発生する誘導起電力で二次電池84が充電される。
図19〜
図21に示す配置例4では、第1磁性体20の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90の受電コイル85と鎖交し、当該磁束の時間変化によって受電コイル85に発生する誘導起電力で二次電池84が充電される。
【0037】
図22(A)〜
図22(D)により、平面視での非接触受電装置90の角度と磁束の流れについて説明する。
図22(A)は、
図20に対応する配置である。
図22(A)では、第1磁性体20の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90に鎖交する。
図22(B)は、
図22(A)から非接触受電装置90を時計回りに約30°回転させたものである。
図22(B)では、第1磁性体20の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90に鎖交する。
図22(C)は、
図22(B)から更に非接触受電装置90を時計回りに約30°回転させたものである。
図22(C)では、第2磁性体30の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90に鎖交する。
図22(D)は、
図17に対応する配置である。
図22(D)では、第2磁性体30の磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90に鎖交する。このように、平面視での非接触受電装置90の角度に応じて、非接触受電装置90の磁束の入口(受電コイル85の両端部)と相対的に近い磁極部間に発生する磁束が非接触受電装置90(受電コイル85)に鎖交し、当該磁束の時間変化によって受電コイル85に発生する誘導起電力で二次電池84が充電される。
図22(B)及び
図22(C)の場合、
図22(A)及び
図22(D)と比較して給電効率は落ちるものの、支障なく二次電池84の充電が可能である。
【0038】
図23は、非接触電力伝送装置1における非接触給電装置10及び携帯用電子機器80の回路図である。なお、本回路図では、第1コイル25の発生する磁束が受電コイル85に鎖交する場合を示しているが、非接触受電装置90の配置形態によっては第2コイル35の発生する磁束が受電コイル85に鎖交する。非接触給電装置10は、第1コイル25及び第2コイル35に通電する送電回路として、交流電源18と、ダイオードD1,D2とを有する。交流電源18は、高周波の交流電圧を発生して交流電流を供給するものである。交流電源18から供給される正方向の電流は、ダイオードD1を介して第1コイル25に供給される一方、ダイオードD2によって第2コイル35に対しては遮断される。交流電源18から供給される負方向の電流は、ダイオードD2を介して第2コイル35に供給される一方、ダイオードD1によって第1コイル25に対しては遮断される。このように、第1コイル25及び第2コイル35は交互に(異なるタイミングで)通電される。具体的には、交流電源18から供給される各周期の交流電流のうち、
図24に示す時刻T0〜T1の期間(周期前半)の電流は、第1コイル25に流れて第2コイル35には流れず、時刻T1〜T2の期間(周期後半)の電流は、第2コイル35に流れて第1コイル25には流れない。
【0039】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0040】
(1) 非接触電力伝送装置1において非接触給電装置10は、第1磁性体20、第1コイル25、第2磁性体30及び第2コイル35により、筐体12の凹部12a内を横切る互いに異なる2方向の磁束を発生させるため、平面視での非接触受電装置90の配置角度が
図22(A)〜
図22(D)のように変化しても確実に非接触電力伝送を実行できる。このため、凹部12aの形状により平面視での携帯用電子機器80の角度を細かく規制する必要がなく、ユーザは余裕ある寸法の凹部12aに携帯用電子機器80を配置すれば非接触での二次電池84の充電が可能である。すなわち、携帯用電子機器80(給電対象機器を)を非接触給電装置10に適切に(非接触給電可能に)配置することが容易であり、ユーザの負担が小さく利便性が高い。
【0041】
(2)
図23に例示の回路により第1コイル25及び第2コイル35は異なるタイミングで通電し、凹部12a内での両コイルの発生磁束の混合を抑制しており、凹部12a内を横切る互いに異なる2方向の磁束を確実に発生させることができる。
【0042】
(3) ダイオードD1,D2の整流作用により、交流電源18から供給される正方向の電流を第1コイル25に流し、負方向の電流を第2コイル35に流すため、第1コイル25及び第2コイル35に異なるタイミングで通電するための回路構成が簡素で済む。
【0043】
(4) 第1磁性体20は、両端部に凹部12a側に突出する第1凸部21及び第2凸部22を有するため、第1磁性体20の磁極部同士の磁気的結合が強化される。また、当該磁極部同士の距離が第2磁性体30の磁極部同士の距離と略等しくなることで、双方の磁極部間に発生する磁束(凹部12a内の磁束)のバランスが良くなる。
【0044】
(5)
図5に示すように、凹部12aの開口幅Wは、携帯用電子機器80の長手方向の寸法Lよりも短いため、非接触給電できない姿勢(非接触受電装置90の磁束の入口と出口を結ぶ仮想線が上下方向となる姿勢)で非接触受電装置90が凹部12aに配置されることを抑制できる。
【0045】
実施の形態2
図25は、本発明の実施の形態2に係る非接触電力伝送装置2の正断面図である。本実施の形態の非接触電力伝送装置2は、実施の形態1のものと比較して、非接触給電装置10が補助コイル11及びボビン13を備える点で相違し、その他の点で一致する。補助コイル11は、ボビン13に導線を巻回したものであって筐体12に収容(例えば一体化ないし保持)され、筐体12内において凹部12aの周囲を螺旋状に周回する。補助コイル11は、非接触給電に補助的に用いられてもよいし、携帯用電子機器80との通信用に用いられてもよい。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0046】
実施の形態3
図26は、本発明の実施の形態3に係る非接触電力伝送装置3の正断面図である。本実施の形態の非接触電力伝送装置3は、実施の形態1のものと比較して、非接触給電装置10が付加コイル16及び平板状磁性体17を備える点で相違し、その他の点で一致する。付加コイル16は、筐体12に収容(例えば一体化ないし保持)され、筐体12内において凹部12aの底部と対向する位置で平面的に(スパイラル状に)周回する。平板状磁性体17(シート状ないし板状の磁性体)は、付加コイル16の、凹部12aの底部とは反対側に設けられる。付加コイル16は、非接触給電に補助的に用いられてもよいし、携帯用電子機器80との通信用に用いられてもよい。なお、付加コイル16は、
図25の補助コイル11と併存してもよい。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0047】
実施の形態4
図27〜
図31により、本発明の実施の形態4を説明する。
図27において筐体12内に収容された磁性体組及びコイル組は、
図28〜
図31により詳細に示される。
図28、
図29及び
図31において、筐体12及びハウジング81の図示は省略している。なお、
図31に示す配置例は、
図28の配置例と比較して、凹部12aに対する携帯用電子機器80(すなわち非接触受電装置90)の配置角度が平面視で互いに90°異なる点で相違し、その他の点で一致する。
【0048】
本実施の形態における磁性体組は、第1磁性体を構成する第1部分20a及び第2部分20b、第2磁性体を構成する第3部分30a及び第4部分30b、並びに第1部分20aから第4部分30bを相互に連結する環状の第3磁性体40からなる。第1部分20a及び第2部分20bは、第3磁性体40から凹部12a側に突出し、かつ凹部12aを介して端面同士が相互に対向する棒状部分である。同様に、第3部分30a及び第4部分30bは、第3磁性体40から凹部12a側に突出し、かつ凹部12aを介して端面同士が相互に対向する棒状部分である。第1部分20a及び第2部分20bを相互に結ぶ仮想線と、第3部分30a及び第4部分30bを相互に結ぶ仮想線は、互いに略直交する。
【0049】
本実施の形態におけるコイル組は、第1コイルを構成する第1巻線部25a及び第2巻線部25b、並びに第2コイルを構成する第3巻線部35a及び第4巻線部35bを含む。第1巻線部25aは第1部分20aに導線を巻回したものである。第2巻線部25bは第2部分20bに導線を巻回したものである。第3巻線部35aは第3部分30aに導線を巻回したものである。第4巻線部35bは第4部分30bに導線を巻回したものである。第1巻線部25a及び第2巻線部25bは、互いに同じ向きの磁界を発生するように相互に接続(例えば直列接続)される。同様に、第3巻線部35a及び第4巻線部35bは、互いに同じ向きの磁界を発生するように相互に接続(例えば直列接続)される。
【0050】
本実施の形態における非接触電力伝送の原理は実施の形態1と同様である。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態は、磁性体組の高さ方向の寸法が小さいため、実施の形態1と比較して筐体12の高さを抑えたい場合には有利である。なお、本実施の形態においても、
図25の補助コイル11及び
図26の付加コイル16の少なくともいずれかを追加してもよい。
【0051】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0052】
実施の形態1では第1磁性体20及び第2磁性体30が共に凹部12aを下方から挟み込む配置である場合を例示したが、第1磁性体20及び第2磁性体30のいずれかは凹部12aを側方から挟み込む配置であってもよい。
図32は、第1磁性体20が凹部12aを側方から挟み込む例を示している。
図32に示す磁性体組の構成は、
図6のものと比較して、第1磁性体20が自身の両端部を支点に90°回転した点と、第1磁性体20の第1凸部21及び第2凸部22が無くなった点で相違し、その他の点で一致する。第1凸部21及び第2凸部22が無くなると、第1磁性体20の磁極部間の磁気的結合は弱くなるものの、原理的に非接触電力伝送は可能である。なお、
図32において、第1磁性体20及び第2磁性体30の少なくとも一方の両端部に凹部12a側に突出する凸部を設けてもよい。
【0053】
実施の形態1では第1磁性体20及び第2磁性体30が共に半円弧形状である場合を例示したが、第1磁性体20及び第2磁性体30のいずれか又は両方は、U字形状あるいはV字形状であってもよい。
図33は、第1磁性体20及び第2磁性体30の双方をU字形状とした例を示している。なお、
図33において、第1磁性体20及び第2磁性体30の少なくとも一方の両端部に凹部12a側に突出する凸部を設けてもよい。
【0054】
実施の形態1では第2磁性体30の両端部に凸部を設けない例を説明したが、
図34に示すように、第2磁性体30の両端部に凹部12a側に突出する第3凸部31及び第4凸部32を設けてもよい。また、実施の形態1では第1コイル25及び第2コイル35を第1磁性体20及び第2磁性体30の環状部に設ける例を説明したが、
図34に示すように、第1コイルを構成する第1巻線部25a及び第2巻線部25bを第1磁性体20の第1凸部21及び第2凸部22に設け、第2コイルを構成する第3巻線部35a及び第4巻線部35bを第2磁性体30の第3凸部31及び第4凸部32に設けてもよい。
図34の構成によれば、第1磁性体20の磁極部同士の磁気的結合、及び第2磁性体30の磁極部同士の磁気的結合が共に高められ、非接触給電の効率が高められる。
【0055】
実施の形態4では
図29に示すように円環状の第3磁性体40から凹部12a側に突出する4個の凸部を90°間隔で設ける例を説明したが、凸部の数は6個以上の偶数個であってもよい。
図35は、第3磁性体40から凹部12a側に突出する凸部41を60°間隔で6個とした例を示す。
図36は、凸部41を45°間隔で8個として例を示す。いずれの場合も、各凸部41に給電コイルの一部を構成する巻線部42を設け、巻軸が共通する巻線部42のペアに任意の順番で通電することで、凹部12a内を横切る互いに異なる3〜4方向の磁束を発生させることができる。また、実施の形態4では、第3磁性体40が閉じた環状である例を説明したが、
図37に示すように、第3磁性体40は一部が切り欠かれた環状であってもよい。
【0056】
実施の形態では携帯用電子機器80の一部のみを凹部12aに収容する例を説明したが、携帯用電子機器80が耳に引っ掛けたり耳に差し込んだりするタイプである場合等、携帯用電子機器80の全体を凹部12aに収容してもよい。