(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポート切替制御部は、前記ポート切替制御部によって取得された前記識別情報に基づいて、前記少なくとも1つのポートを、前記第1のポートと前記第2のポートとの間で切替える、請求項2に記載の光信号中継装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0016】
(1)本発明の一態様に係る光信号中継装置は、複数のポートを備える。複数のポートの各々は、局側装置との間で光信号を送信および受信するための第1の光トランシーバ、および、宅側装置との間で光信号を送信および受信するための第2の光トランシーバの両方に接続可能であるように構成される。光信号中継装置は、複数のポートの各々を、第1の光トランシーバに適合した第1のポートと、第2の光トランシーバに適合した第2のポートとの間で切替えるポート切替制御部と、第1のポートおよび第2のポートの間の切替えに従って、複数のポートの間の伝送経路を切替えるように構成された経路切替部とをさらに備える。経路切替部は、第2のポートからの伝送経路を集約して、伝送経路を第1のポートに接続されるように構成された集約部を含む。光信号中継装置は、経路切替部を制御するように構成された経路切替制御部をさらに備える。
【0017】
上記によれば、通信経路の集約および切り替えの高い自由度を持つ光信号中継装置を実現することができる。複数のポートの各々は、第1のポート(Trunk用ポート)および第2のポート(Leaf用ポート)のいずれかに設定されることができる。光信号中継装置は、局側装置と宅側装置との間のさまざまな接続形態を実現することができる。これにより、Leaf Aggregationの自由度を高めることができる。
【0018】
(2)上記(1)に記載の光信号中継装置において、第1の光トランシーバおよび第2の光トランシーバの各々は、識別情報を記憶する。複数のポートのうち少なくとも1つのポートが、第1の光トランシーバまたは第2の光トランシーバに接続されている場合において、ポート切替制御部は、少なくとも1つのポートを介して識別情報を取得して、少なくとも1つのポートに接続された光トランシーバを識別する。
【0019】
上記によれば、外部からの制御なしに、光信号中継装置は、第1の光トランシーバ(Trunk側光トランシーバ)または第2の光トランシーバ(Leaf側光トランシーバ)を識別することができる。
【0020】
(3)上記(1)または(2)に記載の光信号中継装置において、ポート切替制御部は、ポート切替制御部によって取得された識別情報に基づいて、少なくとも1つのポートを、第1のポートと第2のポートとの間で切替える。
【0021】
上記によれば、外部からの制御なしに、光信号中継装置は、光トランシーバに接続されたポートを、第1のポートと第2のポートとの間で切り替えることができる。
【0022】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの光信号中継装置において、集約部は、2つの上り信号の間にアイドルパターンを挿入して連続信号を生成する。
【0023】
上記によれば、第1の光トランシーバにより連続送信および連続受信が可能になるので、光信号中継装置の設計の柔軟性を高めることができる。
【0024】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの光信号中継装置において、経路切替部は、第1の光トランシーバからの下り信号を第2のポートに分配するための分配部を含む。
【0025】
上記によれば、局側装置からの信号(下り信号)を簡易な構成によって複数の第2の光トランシーバに分配することができる。
【0026】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの光信号中継装置において、複数の光トランシーバが、複数のポートにそれぞれ接続される。複数の光トランシーバは、第1の光トランシーバと、第2の光トランシーバと、第1の光トランシーバと切替可能な予備の第1の光トランシーバおよび第2の光トランシーバと切替可能な予備の第2の光トランシーバのうちの少なくとも一方とを含む。
【0027】
上記によれば、複数の局側装置からの信号(下り信号)を簡易な構成によって複数の第2の光トランシーバに分配することができる。
【0028】
(7)上記(1)から(6)のいずれかの光信号中継装置において、第2の光トランシーバは、第2の光トランシーバが光信号を受信したことを検出して、その検出結果を示す検出信号を出力する。光信号中継装置は、検出信号の衝突を監視するように構成された衝突監視部をさらに備える。
【0029】
上記によれば、複数の上り信号が衝突するかどうかを監視することができる。
(8)上記(1)から(7)のいずれかの光信号中継装置において、第1の光トランシーバは、下り信号の受信により、経路切替部に連続信号を出力する。第2の光トランシーバは、上り信号の受信により、経路切替部にバースト信号を出力する。光信号中継装置は、連続信号およびバースト信号を再生可能に構成された信号再生部をさらに備える。
【0030】
上記によれば、信号再生部を連続信号およびバースト信号の両方の再生に用いることができるので、部品点数を削減することができる。
【0031】
(9)本発明の一態様に係る光通信システムは、局側装置と、宅側装置と、光通信回線と、光通信回線に配置された光信号中継装置とを備える。光信号中継装置は、複数のポートを含む。複数のポートの各々は、局側装置との間で光信号を送信および受信するための第1の光トランシーバ、および、宅側装置との間で光信号を送信および受信するための第2の光トランシーバの両方に接続可能であるように構成される。光信号中継装置は、複数のポートの各々を、第1の光トランシーバに適合した第1のポートと、第2の光トランシーバに適合した第2のポートとの間で切替えるポート切替制御部と、第1のポートおよび第2のポートの間の切替えに従って、複数のポートの間の伝送経路を切替えるように構成された経路切替部とをさらに含む。経路切替部は、第2のポートからの伝送経路を集約して、伝送経路を第1のポートに接続されるように構成された集約部を含む。光信号中継装置は、経路切替部を制御するように構成された経路切替制御部をさらに含む。
【0032】
上記によれば、通信経路の集約および切り替えの高い自由度を持つ光通信システムを実現することができる。
【0033】
(10)局側装置と宅側装置との間で光信号を中継するための光信号中継装置が有するポートの切替方法である。ポートは、局側装置との間で光信号を送信および受信するための第1の光トランシーバ、および、宅側装置との間で光信号を送信および受信するための第2の光トランシーバの両方に接続可能であるように構成される。方法は、ポートを通じて、ポートに接続された光トランシーバから識別情報を取得するステップと、識別情報に基づいて、ポートを、第1の光トランシーバに適合した第1のポートと、第2の光トランシーバに適合した第2のポートとの間で切替えるステップとを備える。
【0034】
上記によれば、局側装置と宅側装置との間の通信経路の集約および切り替えを高い自由度で実行することができる。
【0035】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下の説明において「接続」との用語は、信号の送信および受信が可能な態様での接続であることを意味するために用いられる。したがって「接続」は、機械的な接続に限定されない。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る光通信システムの構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、光通信システム301は、PONシステムであり、たとえばGE(Gigabit Ethernet(登録商標))−PONもしくは10G−EPON(Ethernet(登録商標) PON)、またはその両方である。光通信システム301は、上位ネットワークに接続された少なくとも1つのOLT201と、光信号中継装置101と、少なくとも1つのONU202と、光ファイバ210,211,213と、光カプラ212とを備える。
【0037】
各々の光ファイバ211は、OLT201に接続される。各々の光ファイバ213は、対応するONU202に接続される。光カプラ212は、光ファイバ211と、光ファイバ213とを接続する。光ファイバ210,211,213および光カプラ212によって、光通信システム301の光通信回線が構成される。
【0038】
光信号中継装置101は、光ファイバ210および光ファイバ211に接続される。光信号中継装置101は、OLT201からONU202への光信号(下り信号)を中継するとともに、ONU202からOLT201への光信号(上り信号)を中継する。以下ではOLT側を「Trunk側」と呼び、ONU側を「Leaf側」と呼ぶことがある。Trunk側およびLeaf側は、
図1において「Trunk」および「Leaf」と表記される。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る光信号中継装置の構成を示したブロック図である。
図2に示されるように光信号中継装置101は、M(Mは1以上の整数)本の光ファイバ210にそれぞれ接続されるM個のTrunk側光トランシーバと、N(Nは1以上の整数)本の光ファイバ211にそれぞれ接続されるN個のLeaf側光トランシーバと、(M+N)個のポートとを有する。
図2および以後に説明される図において、光トランシーバは「TR」と表記される。
【0040】
(M+N)個のポートは互いに同一の構成を有する。MとNの組み合わせは、光通信システム301の構成に従って決定される。MとNの和はたとえば16であるが、このように限定されるものではない。
【0041】
(M+N)個のポートの各々は、Trunk側光トランシーバおよびLeaf側光トランシーバのいずれにも接続可能に構成される。各々の光トランシーバは、ポートに挿抜可能(プラガブル)に構成される。後述するように、光トランシーバは、複数のピンを有する。各ポートは、対応する光トランシーバの複数のピンに接続されることにより、その光トランシーバとの間で信号を入力および出力することができる。
【0042】
具体的には、光信号中継装置101は、Trunk側光トランシーバ11,12,13,・・・,1Mと、Leaf側光トランシーバ21,22,23,・・・,2Nと、ポート13
1,13
2,13
3,・・・,13
M,13
M+1,13
M+2,13
M+3,・・・,13
M+Nと、ポート切替回路14
1,14
2,14
3,・・・,14
M,14
M+1,14
M+2,14
M+3,・・・,14
M+Nと、経路切替部15と、制御部16とを含む。Trunk側光トランシーバ11,12,13,・・・,1Mの各々は、対応する光ファイバ210からの連続光信号の受信および、対応する光ファイバ210への連続光信号の送信が可能なように構成される。Leaf側光トランシーバ21,22,23,・・・2Nの各々は、対応する光ファイバ210からのバースト光信号の受信、および対応する光ファイバ210への連続光信号の送信が可能なように構成される。各々の光トランシーバは、光信号と電気信号とを相互に変換可能である。
【0043】
各ポートは、データの入力/出力インターフェースとしての機能を担う。(M+N)個のポートのうち、ポート13
1,13
2,13
3,・・・,13
Mは、それぞれ、Trunk側光トランシーバ11,12,13,・・・,1Mに接続される。ポート13
M+1,13
M+2,13
M+3,・・・,13
M+Nは、それぞれLeaf側光トランシーバ21,22,23,・・・,2Nに接続される。
【0044】
ポート切替部14
1,14
2,14
3,・・・,14
M,14
M+1,14
M+2,14
M+3,・・・,14
M+Nの各々は、対応するポートを、そのポートに接続された光トランシーバに適合させる。ポートにTrunk側光トランシーバが接続された場合には、そのポートは、Trunk側光トランシーバからの連続信号(下り信号)を受けるとともに、Trunk側光トランシーバへ連続信号(上り信号)を出力する。同じポートにLeaf側光トランシーバが接続された場合には、そのポートは、Leaf側光トランシーバからのバースト信号(上り信号)を受けるとともに、Leaf側光トランシーバへ連続信号(下り信号)を出力する。すなわち、ポート切替部14
1,14
2,・・・,14
M,14
M+1,14
M+2,・・・,14
M+Nの各々は、対応するポートの機能を、Trunk側光トランシーバに適合した第1のポート(Trunk用ポート)用と、Leaf側光トランシーバに適合した第2のポート(Leaf用ポート)用との間で切り替える。
【0045】
経路切替部15は、信号の伝送経路を、複数のTrunk側光トランシーバと複数のLeaf側光トランシーバとの間で切り替える。経路切替部15は、集約部31と、分配部32とを含む。
【0046】
集約部31は、Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nからの複数の伝送経路(通信経路)を集約する。分配部32は、Trunk側光トランシーバ11,12,・・・,1Mのうちの少なくとも1つから送信された下り信号を、ポート13
M+1,13
M+2,13
M+3,・・・,13
M+Nを通じて、Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nに分配する。
【0047】
上述の機能を達成するための集約部31および分配部32の構成は限定されない。経路切替部15は、たとえばFPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現可能である。集約部31は、たとえば論理回路を含んでもよい。
【0048】
分配部32は、たとえば論理回路によって実現されてもよい。分配部32は、Trunk側光トランシーバからの下り信号をコピーして、互いに同じ複数の下り信号を生成する。そして分配部32は、それら複数の下り信号を複数のLeaf側光トランシーバに分配する。しかしながら、分配部32は論理回路によって構成されるように限定されるものではない。たとえば分配部32は、信号を分岐するための配線によって実現されてもよい。分配部32を有することにより、光信号中継装置101は、OLT201からの信号(下り信号)を複数のLeaf側光トランシーバに分配することを簡易な構成で実現することができる。
【0049】
制御部16は、光信号中継装置101を統括的に制御する。制御部16は、たとえばCPU(Central Processing Unit)によって実現可能である。
【0050】
制御部16は、ポート切替制御部33と、経路切替制御部34と、衝突監視部35とを含む。ポート切替制御部33は、ポート切替部14
1,14
2,14
3,・・・,14
M,14
M+1,14
M+2,14
M+3,・・・,14
M+Nの各々を制御する。
【0051】
ポート切替制御部33は、各々のポートに接続された光トランシーバが、Trunk側光トランシーバとLeaf側光トランシーバのいずれであるかを識別する。この識別の結果に基づいて、ポート切替制御部33は、各々のポート切替部を制御する。経路切替制御部34は、経路切替部15を制御する。これによりLeaf Aggregationを実現することができる。
【0052】
衝突監視部35は、Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nの各々から出力されたバースト信号が衝突するか否かを監視する。Leaf側光トランシーバ21,22,23,・・・,2Nの各々は、ONUからの光バースト信号を受信する。光バースト信号を受信すると、各々のLeaf側光トランシーバは、受信検出信号を出力する。
【0053】
基本的には、各ONUからバースト信号を送出するタイミングは、OLTによって制御される。OLTは、各ONUから送出されるバースト信号が時間的に重ならない(衝突しない)ように、各ONUに対して、バースト信号を送出するタイミングを指定する。しかしながら、光通信システム301に何らかの異常が生じた場合に、2つのバースト光信号が衝突する可能性がある。衝突監視部35は、Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nの各々から出力される受信検出信号に基づいて、バースト信号の衝突の有無を監視する。
【0054】
本発明の実施の形態に従う、ポートの切り替えについて以下に詳細に説明する。
図3は、Leaf側光トランシーバおよびTrunk側光トランシーバのピン配置の一例を示した図である。この実施の形態では、Leaf側光トランシーバおよびTrunk側光トランシーバの各々は、たとえばXFP(10 Gigabit small Form−factor Pluggable)に準拠した光トランシーバであってもよい。Leaf側光トランシーバおよびTrunk側光トランシーバの各々のピンアサインは、MSA(Multi−Source Agreement)に従って定められてもよい。
【0055】
図3に示されるように、少なくとも一部のピンアサインが、Leaf側光トランシーバ(OLT−XFP)とTrunk側光トランシーバ(DWDM−XFP)との間で共通する。i,j,k,lは、任意の正の整数である。
【0056】
Trunk側とLeaf側との間では、光トランシーバの種類は異なり得る。
図3に示されるように、たとえば10G−EPONの光信号中継装置では、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)−XFP(10 Gigabit Small Form Factor Pluggable)がTrunk側に実装され、OLT−XFPがLeaf側に実装される。
【0057】
番号i,i+1のピンは、I2Cに従うデータ通信用のピンである。i番目のピンは、クロック信号(SCL)用のピンであり、(i+1)番目のピンは、データ信号(SDA)用のピンである。j番目のピンは、受信信号の検出結果を出力するためのピンである。k番目のピンおよびk+1番目のピンは、光トランシーバの受信した信号を光トランシーバから出力するためのピンである。l番目のピンおよびl+1番目のピンは、光トランシーバの信号入力ピンである。
【0058】
この実施形態では、光トランシーバから出力される信号および光トランシーバに入力される信号の各々は、2つの信号の対によって構成される差動信号である。受信信号を構成する2つの信号(RDN,RDP)が、それぞれk番目のピンおよびk+1番目のピンにアサインされる。送信信号を構成する2つの信号(TDN,TDP)が、それぞれl番目のピンおよびl+1番目のピンにアサインされる。
【0059】
上記以外のピンに割り当てられる信号は、Leaf側光トランシーバとTrunk側光トランシーバとの間で異なり得る。各々のポート切替部は、対応するポートを、そのポートに接続される光トランシーバに適合させる。これにより、Leaf側光トランシーバとTrunk側光トランシーバとの間のピンアサインの違いが存在しても、各々のポートは、Trunk側光トランシーバおよびLeaf側光トランシーバの両方に適合されることができる。すなわち、各ポートは互換性を有する。
【0060】
図4は、
図2に示された集約部31の1つの構成例を示したブロック図である。
図4に示されるように、集約部31は、OR回路41と、アイドルパターン発生回路42とを含むことができる。OR回路41は、N個のLeaf側光トランシーバからそれぞれ送られたデータ信号DATA1,DATA2,・・・,DATAnを受けて、それらデータ信号の論理和を生成する。アイドルパターン発生回路42は、2つのデータ信号の間にアイドルパターンを挿入して連続信号を生成する。
【0061】
図5は、
図2に示されたTrunk側光トランシーバおよびLeaf側光トランシーバの基本的な構成を示したブロック図である。Trunk側光トランシーバ11は、送信部51と、受信部52と、ファイバ接続部53と、制御部54と、記憶部55とを含む。
【0062】
送信部51は、ポートを通じて電気信号を受けて、その電気信号を光信号に変換する。送信部51は、その光信号を光ファイバに出力する。
【0063】
受信部52は、光ファイバを通じて光信号を受けて、その光信号を電気信号に変換する。受信部52は、その電気信号をポートへ出力する。
【0064】
ファイバ接続部53は、送信部51および受信部52を光ファイバに光学的に接続する。ファイバ接続部53は、送信部51から光ファイバへの光信号の送信および光ファイバから受信部52への光信号の受信を可能にする。
【0065】
制御部54は、送信部51および受信部52を制御する。制御部54は、Trunk側光トランシーバ11を監視して、その監視結果をポートに出力する。さらに制御部54は、そのTrunk側光トランシーバ11を識別するための識別情報を、ポートに出力する。たとえば
図2に示された制御部16からの要求に応じて、制御部54は、識別情報を出力する。
【0066】
記憶部55は、識別情報を不揮発的に記憶する。識別情報の種類は特に限定されない。たとえば、識別情報は、シリアルIDであってもよい。
【0067】
Leaf側光トランシーバ21の構成は、
図5に示された構成と基本的には同じであるので以後の説明は繰り返さない。Leaf側光トランシーバは、そのLeaf側光トランシーバを識別するための識別情報を記憶するとともに、
図2に示された制御部16からの要求に応じて、その識別情報を出力する。
【0068】
図6は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置による、上り信号の中継を説明するための図である。
図7は、集約部31の動作を説明するための信号波形図である。
【0069】
図6および
図7に示されるように、Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nは、それぞれデータ信号DATA1,DATA2,・・・,DATAnを出力する。各々のデータ信号は、対応するONUから送られたバースト信号に対応する。集約部31は、それらデータ信号の論理和を生成する。
【0070】
複数のバースト信号が時間的に重ならないように、OLT201は、各々のONU202にバースト信号を送信のタイミングを指示する。通常では、データ信号DATA1,DATA2,・・・,DATAnは、時間的に重ならない。集約部31は、2つのデータ信号の間にアイドルパターンIDLEを挿入して連続信号を生成する。その連続信号は、Trunk側光トランシーバに送られる。たとえばTrunk側光トランシーバ11は、その連続信号を光ファイバ210に送出する。Trunk側光トランシーバにより連続送信および連続受信が可能になるので、光信号中継装置101の設計の柔軟性を高めることができる。
【0071】
集約部31は、上り信号の複数の通信経路を集約する。集約先は、Trunk側光トランシーバ11,12,・・・,1Mのうちの少なくとも1つである。集約先は、単一のTrunk側光トランシーバに限定されるものではない。集約先は2以上のTrunk側光トランシーバであってもよい。
【0072】
図8は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置による、下り信号の中継を説明するための図である。
図8に示されるように、たとえばTrunk側光トランシーバ11が対応するOLT201からの下り信号を受信する。Trunk側光トランシーバ11は、その下り信号を経路切替部15に出力する。経路切替部15において、分配部32は、Trunk側光トランシーバ11からの下り信号を、Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nに分配する。各々のLeaf側光トランシーバは、その下り信号を光ファイバ211に送出する。
【0073】
図2に戻り、制御部16は、Trunk側光トランシーバ11,12,・・・,1MおよびLeaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nの各々から識別情報を読み出す。これにより、制御部16は、各ポートに接続された光トランシーバを、Trunk側光トランシーバまたはLeaf側光トランシーバであると識別する。そして制御部16は、その識別結果に従って、ポートを設定する。以後、この処理を「ポート切替」と呼ぶ。
【0074】
図9は、本発明の実施の形態に係るポート切替の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートの処理は、ポートごとに実行されてもよい。
図9に示されるように、処理が開始されると、ステップS1において、ポート切替制御部33は、ポートに光トランシーバが新しく接続されたか否かを判定する。判定の方法は特に限定されるものではない。たとえば上述のI2C通信を利用して、光トランシーバがポートに接続されたことを示す情報を、ポート切替制御部33がその光トランシーバから取得してもよい。
【0075】
光トランシーバがポートに新しく接続された場合(ステップS1においてYES)、処理はステップS2に進む。一方、光トランシーバがポートに接続済である場合、あるいは光トランシーバがポートに接続されていない場合(ステップS1においてNO)、以後の処理は実行されない。
【0076】
ステップS2において、ポート切替制御部33は、光トランシーバから識別情報を読み出す。
【0077】
ステップS3において、ポート切替制御部33は、その識別情報に基づいて、光トランシーバの種類を識別する。識別情報がシリアルIDである場合、ポート切替制御部33は、そのシリアルIDを、Trunk側光トランシーバまたはLeaf側光トランシーバに関連付けるための情報を記憶してもよい。その情報は、たとえばデータベースの形態で、光信号中継装置101の内部に記憶されてもよい。
【0078】
ステップS4において、ポート切替制御部33は、識別された光トランシーバの種類に応じて、ポートを切替える。具体的には、ポート切替制御部33は、ポート切替部を制御する。これによりポートは、Trunk側光トランシーバまたはLeaf側光トランシーバに適合される。
【0079】
本発明の実施の形態によれば、光信号中継装置101は、第1の光トランシーバ(Trunk側光トランシーバ)または第2の光トランシーバ(Leaf側光トランシーバ)を外部からの制御なしに識別することができる。さらに、光信号中継装置101は、外部からの制御なしに、光トランシーバに接続されたポートを、第1のポート(Trunk用ポート)と第2のポート(Leaf用ポート)との間で切り替えることができる。
【0080】
この発明の実施の形態においては、Leaf側光トランシーバが上り信号を受信したときに、Leaf側光トランシーバは受信検出信号を出力する。制御部16は、Leaf側光トランシーバからの受信検出信号に基づいて、上り信号の衝突を監視する。
【0081】
図10は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置における、上り信号の衝突を監視するための構成を説明したブロック図である。
図10に示されるように、衝突監視部35は、Leaf側光トランシーバ21,22,23,・・・,2Nからそれぞれ受信検出信号Rx_SD1,Rx_SD2,・・・,Rx_SDnを受信するように構成される。衝突監視部35は、2つ以上の受信検出信号が時間的に重なる(すなわち衝突する)場合に、上り信号の衝突を検出する。
【0082】
図11は、本発明の実施の形態に係る衝突の監視の処理を説明するフローチャートである。
図11に示されるように、ステップS11において、衝突監視部35は、受信検出信号Rx_SD1,・・・,Rx_SDnのいずれかが検出されたかどうかを判定する。なお、
図11では、「Rx_SD」は、受信検出信号Rx_SD1,・・・,Rx_SDnのいずれかの信号を表す。受信検出信号Rx_SD1,・・・,Rx_SDnのいずれかの信号が衝突監視部35に入力されたことにより、受信検出信号Rx_SD1,・・・,Rx_SDnのいずれかが検出されたと衝突監視部35は判定する。この場合(ステップS11においてYES)、処理はステップS12に進む。一方、受信検出信号Rx_SD1,・・・,Rx_SDnのいずれも検出されない場合(ステップS11においてNO)、処理は終了する。
【0083】
ステップS12において、衝突監視部35は、2つ以上の受信検出信号が時間的に衝突したかどうかを判定する。2つ以上の受信検出信号が衝突した場合(ステップS12においてYES)、ステップS13において、衝突監視部35は、受信検出信号の衝突を表す監視結果を出力する。一方、2つ以上の受信検出信号の衝突がない場合(ステップS12においてNO)、処理は終了する。ただし、衝突監視部35は、受信検出信号の衝突が無かったことを表す監視結果を出力してもよい。
【0084】
下り信号の再生と上り信号の再生とは、別々のCDR(Clock Data Recovery)回路によって実行されてもよい。しかしながら以下に説明されるように、この発明の実施の形態では、共通のCDR回路によって、下り信号の再生と上り信号の再生とを実行することができる。
【0085】
図12は、共通のCDR回路によって下り信号と上り信号とを再生する構成を示したブロック図である。
図12に示されるように、光信号中継装置101は、ポート13
1〜13
M+Nにそれぞれ割り当てられたCDR回路17
1〜17
M+Nをさらに含む。ポートの切替によって、そのポートが受ける信号は、下り信号(連続信号)と上り(バースト信号)の間で切り替わる。CDR回路17
1〜17
M+Nの各々は、下り信号および上り信号のいずれも再生可能である。すなわち、各CDR回路は、下り信号の再生および上り信号の再生の両方に共通に用いられることができる。
【0086】
共通のCDR回路によって、下り信号の再生と上り信号の再生とを実行することによって、光信号中継装置101を構成する部品の点数を減らすことができる。なお、OLTからの下り信号に対してCDR回路を同期させ、ONUが下り信号に同期させた上り信号を生成してもよい。この場合、上り信号と下り信号との間では位相差が生じるものの周波数が一致する。したがって、上り信号に対しては位相差のみの調整で、CDR回路を使ってクロック調整を行うことができる。
【0087】
ポートに接続された光トランシーバのうちの一部が、予備の光トランシーバとして待機してもよい。このような構成によれば、稼働中の光トランシーバが故障した場合、故障した光トランシーバと、待機中の光トランシーバとの間で冗長切替を実行することができる。
【0088】
図13は、光トランシーバの冗長切替を実現するための光信号中継装置の構成の一例を示した図である。
図13に示された構成において、光信号中継装置101は、スイッチ18a,18bと、予備の光トランシーバとをさらに含む。
図13において、Trunk側光トランシーバ1M_1およびLeaf側光トランシーバ2N_1が予備の光トランシーバである。
【0089】
光信号中継装置101は、ポート13
M+1およびポート13
M+N+1と、ポート切替部14
M+1および、ポート切替部14
M+N+1とを含む。Trunk側光トランシーバ1M_1はポート13
M+1に接続される。Leaf側光トランシーバ2N_1はポート13
M+N+1と、ポート13
M+1の機能を切替えるためのポート切替部14
M+1とポート13
M+N+1の機能を切替えるためのポート切替部14
M+N+1とを含む。
【0090】
スイッチ18aは、M本の光ファイバ210と、M個のTrunk側光トランシーバとの間での通信経路を切換える。スイッチ18bは、N本の光ファイバ211と、N個のLeaf側光トランシーバとの間での通信経路を切換える。スイッチ18a,18bは、制御部16によって制御されてもよい。
【0091】
Trunk側光トランシーバ11,12,・・・,1Mのいずれか1つが故障した場合に、スイッチ18aは、その故障した光トランシーバと光ファイバ210との間の接続を切り離して、その光ファイバ210をTrunk側光トランシーバ1M_1に接続する。Leaf側光トランシーバ21,22,・・・,2Nのいずれか1つが故障した場合に、スイッチ18bは、その故障した光トランシーバと光ファイバ211との間の接続を切り離して、その光ファイバ211をLeaf側光トランシーバ2N_1に接続する。
【0092】
予備のTrunk側光トランシーバの個数および予備のLeaf側光トランシーバの個数は、ともに2以上であってもよい。また、予備のTrunk側光トランシーバと予備のLeaf側光トランシーバとのいずれか一方が光信号中継装置101に含まれるのでもよい。
【0093】
以上のように本発明の実施の形態によれば、各々のポートを、Leaf側光トランシーバ用ポートおよびTrunk側光トランシーバ用ポートの間で自由に切替えることができる。これにより、Leaf側の集約の自由度を高めることが可能な光信号中継装置を実現することができる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。