特許第6566301号(P6566301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6566301車両通過判定装置、車両検知システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566301
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】車両通過判定装置、車両検知システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20190819BHJP
【FI】
   G07B15/00 510
【請求項の数】5
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-96879(P2015-96879)
(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-212700(P2016-212700A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年5月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年12月6日、日本大学理工学部ウェブサイト 平成26年12月6日、平成26年度第58回日本大学理工学部学術講演会 平成26年12月1日、平成26年度第58回日本大学理工学部学術講演会予稿集 平成27年2月6日、電子情報通信学会2015年総合大会ウェブサイト 平成27年3月11日、電子情報通信学会2015年総合大会 平成27年2月24日、電子情報通信学会2015年総合大会講演論文集 平成27年3月25日、平成26年度日本大学大学院理工学研究科修士論文要旨集 平成27年2月23日、平成26年度日本大学大学院理工学研究科(情報科学専攻)修士論文審査会
(73)【特許権者】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509049090
【氏名又は名称】首都高ETCメンテナンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】泉 隆
(72)【発明者】
【氏名】岡村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 友彰
(72)【発明者】
【氏名】及川 宗敏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】若山 佳之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 友理
(72)【発明者】
【氏名】山内 伸一郎
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−168141(JP,A)
【文献】 特開2003−228747(JP,A)
【文献】 特開平08−263788(JP,A)
【文献】 特開平06−149774(JP,A)
【文献】 特開平10−162115(JP,A)
【文献】 特開平11−306483(JP,A)
【文献】 特開2001−175989(JP,A)
【文献】 特開2005−182631(JP,A)
【文献】 特開2009−140343(JP,A)
【文献】 特開2013−182319(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0162448(US,A1)
【文献】 特開平10−312217(JP,A)
【文献】 特開2007−269240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B15/00−15/06
G08G 1/00− 1/16
G06Q50/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通過方向に複数並べられた検出器がそれぞれ出力する車両の有無を示す検出結果を取得する取得部と、
前記検出器が並べられている順序に基づく情報であって、前記検出結果の組み合わせの遷移が、正常であるか異常であるかをペトリネットによって示す遷移情報が、予め記憶されている記憶部と、
前記取得部が取得した前記検出結果と、前記記憶部に記憶されている前記遷移情報とに基づいて、通過する車両ごとにトークンを割り当て、前記ペトリネット上において車両を前記トークンとして示すことにより、前記検出結果の組み合わせが正常遷移であるか、異常遷移であるかを、通過する車両ごとに判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする車両通過判定装置。
【請求項2】
前記遷移情報とは、複数並べられた前記検出器の互いの距離に更に基づく情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両通過判定装置。
【請求項3】
前記遷移情報とは、車両の有無を示す前記検出結果によって、車両有り又は無しの状態が継続して検出されている時間に更に基づく情報である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両通過判定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車両通過判定装置と、
前記出力部が出力する前記判定結果を示す情報を示す表示装置と、
を備えることを特徴とする車両検知システム。
【請求項5】
ペトリネットによって構成され、検出結果の基準を示す情報である遷移情報が予め記憶されている記憶部を備える車両通過判定装置のコンピュータに、
車両の通過方向に複数並べられた検出器がそれぞれ出力する車両の有無を示す検出結果を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記検出結果と、前記遷移情報とに基づいて、通過する車両ごとにトークンを割り当て、前記ペトリネット上において車両を前記トークンとして示すことにより、前記検出結果の組み合わせが正常遷移であるか、異常遷移であるかを、通過する車両ごとに判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を出力する出力ステップと
を実行させるための車両通過判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通過判定装置、車両検知システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車有料道路における利用料金の徴収には、ノンストップ自動料金支払いシステム(以下、ETCシステム:Electronic Toll Collection System)が使用されている。ETCシステムは、ETC車載器を備えた車両と、車線の上部に設置されたアンテナとが通信を行うことにより、車両が停止することなく利用料金を徴収する。
【0003】
このようなETCシステムでは、車両を検出する検出器が、料金徴収車線の上部に間隔を開けて複数設置されている。従来のETCシステムは、料金徴収車線の通過方向と逆行している車両を、検出器が検出した場合には、料金所のゲートを閉じて車両の運転者に停止を促す情報を表示機に明示する制御を行うものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−92284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ETCシステムには、車両の逆行などの異常状態を検出するものがある。この異常状態を検出する場合、ETCシステムが複数の検出器を備え、これら複数の検出器による検出結果の組み合わせによって、正常状態と、異常状態とを判別することにより、検出する場合がある。しかしながら、これら複数の検出器による検出結果の組み合わせは多岐にわたる場合があり、このような場合、異常状態を判定するための設計や、その検証が煩雑になることがある。すなわち、複数の車両検出器を備えるETCシステムでは、異常状態を判定するための設計作業及び設計の検証作業が煩雑になる、という問題があった。
【0006】
本発明は、ETCシステムの設計作業及び設計の検証作業が煩雑になる程度を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、車両の通過方向に複数並べられた検出器がそれぞれ出力する車両の有無を示す検出結果を取得する取得部と、前記検出器が並べられている順序に基づく情報であって、前記検出結果の組み合わせの遷移が、正常であるか異常であるかをペトリネットによって示す遷移情報が、予め記憶されている記憶部と、前記取得部が取得した前記検出結果と、前記記憶部に記憶されている前記遷移情報とに基づいて、通過する車両ごとにトークンを割り当て、前記ペトリネット上において車両を前記トークンとして示すことにより、前記検出結果の組み合わせが正常遷移であるか、異常遷移であるかを、通過する車両ごとに判定する判定部と、前記判定部による判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする車両通過判定装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ETCシステムの設計作業及び設計の検証作業が煩雑になる程度を低減することができる車両通過判定装置、及びそのプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る車両検知システムの構成の概要を示す模式図である。
図2】第1の実施形態に係る遷移情報の一例を示す状態遷移図である。
図3】第1の実施形態に係る車両検知システムの構成の一例を示す概要図である。
図4】第1の実施形態に係る車両通過判定装置の動作の一例を示す流れ図である。
図5】第2の実施形態に係る車両検知システムの構成の概要を示す模式図である。
図6】第2の実施形態に係る遷移情報の一例を示す状態遷移図である。
図7】第2の実施形態に係る車両通過判定装置の動作の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、図を参照して車両検知システム1の第1の実施形態について説明する。初めに図1を参照して、車両検知システム1の構成の概要について説明する。
図1は、本実施形態の車両検知システム1の構成の概要を示す模式図である。車両検知システム1は、車両通過判定装置10と、車両位置検出装置20と、表示装置30とを備える。ここでは、車両検知システム1が設置されている場所が、料金所のゲートである場合を一例にして説明する。まず、車両位置検出装置20の概要について説明する。
【0011】
車両位置検出装置20は、複数の検出器を備える。ここでは、この車両位置検出装置20が、3つの検出器を備える場合を一例にして説明する。検出器201と、検出器202と、検出器203とは、料金所の車両通過レーンLTを通過する車両の通過方向に互いに所定の間隔をあけて、設置される。以下、これら3つの検出器を区別する場合には、検出器201、検出器202、及び検出器203と称し、3つの検出器を区別しない場合には、これらを総称して検出器200と称する。
【0012】
検出器200は、車両検出センサを備えている。この車両検出センサは赤外線、可視光線、音波などの透過の有無又は反射の有無により検出対象の位置に物体が存在するか否かを検出する。検出器200は、この検出対象の位置の車両の有無を検出することができる。
検出器200は、車両の有無を検出した結果を、他の機器に出力する。以下の説明において、検出器201が車両の有無を検出した結果を、検出結果r1と称する。検出器202が車両の有無を検出した結果を、検出結果r2と称する。検出器203が車両の有無を検出した結果を、検出結果r3と称する。以下、検出結果r1と、検出結果r2と、検出結果r3とを区別しない場合には、これらを総称して検出結果rと称する。
車両位置検出装置20は、検出器200が検出した車両の有無を示す検出結果rを、車両通過判定装置10に出力する。
【0013】
なお、図1に示す検出器200の数は一例であって、これに限られない。車両位置検出装置20は、車両通過レーンLTを通過する車両の進行方向が判定可能な数の検出器200を備えていればよい。具体的には、車両位置検出装置20は、検出器200を2台以上備えていればよい。
【0014】
次に、車両位置検出装置20の検出領域について説明する。本実施形態では、検出される対象である車両を、車両Vと称する。また、車両Vが料金所を通過する方向を方向drと称し、方向drと逆の方向を方向rvと称する。また、方向drを、前方とも称する。方向rvを、後方とも称する。
【0015】
この検出領域には、検出器200が車両の有無を検出可能な位置と、検出器200が車両の有無を検出不可能な位置とが含まれる。検出器200が車両の有無を検出可能な位置には、検出器201が検出可能な位置である位置S1と、検出器202が検出可能な位置である位置S2と、検出器203が検出可能な位置である位置S3とが含まれる。すなわち、検出器201は、位置S1に車両が存在するか否かを検出する。検出器202は、位置S2に車両が存在するか否かを検出する。検出器203は、位置S3に車両が存在するか否かを検出する。ここで、位置S1を、検出器201の検出領域とも称する。位置S2を、検出器202の検出領域とも称する。位置S3を、検出器203の検出領域とも称する。
【0016】
検出器200が車両の有無を検出不可能な位置には、位置S1よりも後方の位置P0と、位置S1と位置S2との間の位置P1とが含まれる。また、検出器200が車両の有無を検出不可能な位置には、位置S2と位置S3との間の位置P2と、位置S3よりも前方の位置P3とが含まれる。本実施形態では、車両Vが料金所に到達してから、料金所を通過するまでの車両Vの位置は、これら7つの位置によって示される。車両Vの位置について、図1を参照して、より具体的に説明する。
【0017】
まず、図1に示すように、車両Vが、方向drに向かって料金所を通過する場合について説明する。この場合、車両Vは、位置P0、位置S1、位置P1、位置S2、位置P2、位置S3、位置P3の順に通過する。以下の説明において、車両Vが方向drに向かって進行する場合を、順方向の進行と称する。
次に、車両Vが、方向rvに向かって料金所を通過する場合について説明する。この場合、車両Vが位置P3から料金所に進入したとすると、車両Vは、位置P3、位置S3、位置P2、位置S2、位置P1、位置S1、位置P0の順に通過する。以下の説明において、車両Vが方向rvに向かって進行する場合を、逆方向の進行、又は逆走と称する。なお、車両Vがいずれの位置から進行を開始したかを問わず、車両Vが方向rvに向かって進行すれば、逆走である。例えば、車両Vが位置S2から位置P1に向かって進行した場合には、逆走である。
【0018】
次に、車両通過判定装置10の構成の概要について説明する。車両通過判定装置10は、車両位置検出装置20の検出結果rと、遷移情報Info1とに基づいて車両Vの通過の判定を行う。以下、この遷移情報Info1の具体例について、図2を参照して説明する。
【0019】
図2は、遷移情報Info1の一例を示す状態遷移図である。本実施形態においては、遷移情報Info1とは、有限オートマトンによって示される情報である。この有限オートマトンは「状態」と、状態間を接続する「遷移」と、遷移の可否を判定する条件である「遷移条件」とによって、対象のシステムのふるまいを表す。なお、以下の説明において、遷移情報Info1の「状態」を、車両Vの状態とも記載する。また、遷移情報Info1の「遷移」を、車両Vの状態の遷移とも記載する。また、遷移情報Info1の「遷移条件」を、車両Vの状態の遷移条件とも記載する。
【0020】
図2に示す遷移情報Info1において、車両Vの状態は、検出器200の検出結果rによって示される。例えば、検出器201の検出結果r1が“車両あり”を示し、検出器202の検出結果r2、及び検出器203の検出結果r3がいずれも“車両なし”を示す場合には、車両Vの状態は、状態STS1である。この状態STS1は、図1に示す位置S1に対応する。以下、検出器200の検出結果rが“車両あり”を示す場合には、検出結果rの値が“1”であるとして説明する。また、検出器200の検出結果rが“車両なし”を示す場合には、検出結果rの値が“0”であるとして説明する。また、検出器201、検出器202、検出器203の各検出結果rをまとめて示す場合には、“検出結果r1の値、検出結果r2の値、検出結果r3の値”と記載する。例えば、検出器201の検出結果r1が“車両あり”を示し、検出器202の検出結果r2、及び検出器203の検出結果r3がいずれも“車両なし”を示す場合には、“100”と記載する。また、例えば、検出器201の検出結果r1、検出器202の検出結果r2、及び検出器203の検出結果r3が、いずれも“車両あり”を示す場合には、“111”と記載する。
【0021】
また、図2に示す遷移情報Info1において、車両Vの状態の遷移条件は、検出器200の検出結果rに対応付けられて、遷移毎に予め定められている。以下の説明において、車両Vの状態の遷移条件を、検出器200の検出結果rに対応付けて条件C[検出結果r1の値、検出結果r2の値、検出結果r3の値]と記載する。例えば、検出器200の検出結果r“100”に対応付けられている遷移条件は、条件C[100]と記載する。また、例えば、検出器200の検出結果r“111”に対応付けられている遷移条件は、条件C[111]と記載する。
【0022】
また、遷移情報Info1の「遷移」には、「正常遷移」と、「異常遷移」とが含まれる。このうち正常遷移とは、車両Vが図1に示す方向drに進行する場合の、車両Vの状態の遷移である。また、異常遷移とは、車両Vが図1に示す方向rvに進行する場合の、すなわち逆行する場合の車両Vの状態遷移である。以下、遷移情報Info1の具体例について図2を参照して詳細に説明する。まず、遷移情報Info1の正常遷移について、状態毎に説明し、次に遷移情報Info1の異常遷移について、状態毎に説明する。
【0023】
[状態STP0からの正常遷移]
状態STP0は、図2に示す遷移情報Info1の初期状態を示す。この状態STP0とは、料金所に進入する車両Vがまだ位置S1に進行していないことを示す状態である。
状態STP0の他の状態への正常遷移は、遷移T01と、遷移T02とがある。
遷移T01の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T01にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置P0から位置S1に進行せずに留まっている場合、検出器201、検出器202、及び検出器203は、いずれも“車両なし”を出力する。この場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。すなわち、条件C[000]とは、車両Vが位置S1に進行せずに位置P0に留まっていることを示す。車両Vが位置P0に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STP0に保持される。
【0024】
遷移T02の遷移条件は、条件C[100]である。検出結果rが条件C[100]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T02にしたがって状態STS1に遷移する。ここで、車両Vが位置P0から位置S1に進行して、位置S1に達した場合、検出器201が“車両あり”を出力し、検出器202、及び検出器203は、“車両なし”を出力する。この場合、検出結果rは“100”であり、条件C[100]と合致する。したがって、車両Vが位置S1に達した場合、車両Vの状態は、状態STP0から状態STS1に遷移する。
ここで、車両Vが位置P0から位置S1に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STP0から状態STS1への遷移は正常遷移である。
【0025】
[状態STS1からの正常遷移]
状態STS1は、車両Vが位置S1に存在していることを示す。
状態STS1からの他の状態への正常遷移は、遷移T03と、遷移T04と、遷移T05と、遷移T06とがある。
遷移T03の遷移条件は、条件C[100]である。検出結果rが条件C[100]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T03にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置S1に留まっている場合、検出結果rは“100”であり、条件C[100]と合致する。したがって、車両Vが位置S1に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS1に保持される。
【0026】
遷移T06の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T06にしたがって状態STP1に遷移する。ここで、車両Vが位置S1から位置P1に進行して、位置P1に達した場合、検出器201、検出器202、及び検出器203は、いずれも“車両なし”を出力する。この場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P1に達した場合、車両Vの状態は、状態STS1から状態STP1に遷移する。
ここで、車両Vが位置S1から位置P1に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS1から状態STP1への遷移は正常遷移である。
【0027】
遷移T04の遷移条件は、条件C[110]である。検出結果rが条件C[110]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T04にしたがって状態STS1S2に遷移する。ここで、車両Vの状態が、状態STS1S2に遷移する場合について説明する。車両Vの車両長が、検出器201から検出器202までの間隔より長い場合、検出器201と、検出器202とが同時に“車両あり”を検出する場合がある。具体的には、車両Vの先頭部分が位置S2にある場合に、この車両Vの後尾部分が位置S1にある場合がある。この場合、車両位置検出装置20の検出結果rは“110”であり、条件C[110]と合致する。したがって、車両Vの先頭が位置S2にある場合に、車両Vの後尾が位置S1にある場合には、車両Vの状態は、状態STS1から状態STS1S2に遷移する。
ここで、車両Vが位置S1から位置S2に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS1から状態STS1S2への遷移は正常遷移である。
【0028】
遷移T05の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T05にしたがって状態STS2に遷移する。ここで、車両Vの状態が、状態STS2に遷移する場合の具体例について説明する。車両位置検出装置20は、所定の時間おきに車両Vの位置を検出する。車両Vが位置S1から位置S2に進行する場合、検出器201の出力は“車両あり”から“車両なし”に変化し、検出器202の出力は“車両なし”から“車両あり”に変化する。車両Vの速度が比較的遅い場合には、車両位置検出装置20は、検出器201と検出器202とのいずれもが“車両なし”を検出する。つまり、車両Vの速度が比較的遅い場合には、車両位置検出装置20は、位置S1から位置P1に移動し、更に位置S2に移動したことを検出する。一方、車両Vの速度が比較的速い場合には、車両位置検出装置20は、検出器201が“車両なし”を検出すると同時に検出器202が“車両あり”を検出することができる。つまり、車両位置検出装置20は、位置S1から位置P1を介さずに位置S2に移動したことを検出する。
この遷移T05は、車両位置検出装置20が、車両Vが位置P1へ移動したことを検出せずに、車両Vが位置S2に移動したことを検出したことを示す遷移である。車両Vが、位置S1から、位置S2に進行して、位置S2に達した場合、車両位置検出装置20の検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが、比較的速い速度によって位置S1から位置S2に移動した場合、車両Vの状態は状態STS1から状態STS2へ遷移する。
ここで、車両Vが位置S1から位置S2に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS1から状態STS2への遷移は正常遷移である。
【0029】
[状態STS1S2からの正常遷移]
状態STS1S2は、車両Vの車両長が検出器201から検出器202までの間隔より長い場合に遷移する状態である。状態STS1S2は、車両Vが位置S1と、位置P1と、位置S2とに存在していることを示す。
状態STS1S2からの他の状態への正常遷移は、遷移T07と、遷移T08とがある。
遷移T07の遷移条件は、条件C[110]である。検出結果rが条件C[110]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T07にしたがって遷移する。ここで、車両Vの先頭が位置S2に、車両Vの後尾が位置S1に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS1S2に保持される。
【0030】
遷移T08の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T08にしたがって状態STS2に遷移する。ここで、車両Vが位置S2に進行して、車両Vの後尾が位置P1に達した場合、検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが検出器201の検出領域である位置S1より前方に進行し、検出領域外に達した場合、車両Vの状態は、状態STS1S2から状態STS2に遷移する。
ここで、車両Vが位置S1から位置S2に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS1S2から状態STS2への遷移は正常遷移である。
【0031】
[状態STP1からの正常遷移]
状態STP1は、車両Vが位置P1に存在していることを示す。
状態STP1からの他の状態への正常遷移は、遷移T09と、遷移T10とがある。
遷移T09の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T09にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置P1に留まっている場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P1に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STP1に保持される。
【0032】
遷移T10の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T10にしたがって状態STS2に遷移する。ここで、車両Vが位置P1から位置S2に進行して、位置S2に達した場合、検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが位置S2に達した場合、車両Vの状態は、状態STP1から状態STS2に遷移する。
ここで、車両Vが位置P1から位置S2に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STP1から状態STS2への遷移は正常遷移である。
【0033】
[状態STS2からの正常遷移]
状態STS2は、車両Vが位置S2に存在していることを示す。
状態STS2からの他の状態への正常遷移は、遷移T11と、遷移T12と、遷移T13と、遷移T14とがある。
遷移T11の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T11にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置S2に留まっている場合、検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが位置S2に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS2に保持される。
【0034】
遷移T14の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T14にしたがって状態STP2に遷移する。ここで、車両Vが位置S2から位置P2に進行して、位置P2に達した場合、検出器201、検出器202、及び検出器203は、いずれも“車両なし”を出力する。この場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P2に達した場合、車両Vの状態は、状態STS2から状態STP2に遷移する。
ここで、車両Vが位置S2から位置P2に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS2から状態STP2への遷移は正常遷移である。
【0035】
遷移T12の遷移条件は、条件C[011]である。検出結果rが条件C[011]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T12にしたがって状態STS2S3に遷移する。車両Vの車両長が、検出器202から検出器203までの間隔より長い場合、つまり、車両Vの先頭が位置S3にあり、車両Vの後尾が位置S2にある場合には、車両Vの状態は、状態STS2から状態STS2S3に遷移する。
なお、この遷移T12は、条件Cの成立過程が遷移T04と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ここで、車両Vが位置S2から位置S3に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS2から状態STS2S3への遷移は正常遷移である。
【0036】
遷移T13の遷移条件は、条件C[001]である。検出結果rが条件C[001]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T13にしたがって状態STS3に遷移する。ここで、車両Vが、比較的速い速度によって位置S2から位置S3に移動した場合、車両Vの状態は状態STS2から状態STS3へ遷移する。
なお、この遷移T13は、条件Cの成立過程が遷移T05と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ここで、車両Vが位置S2から位置S3に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS2から状態STS3への遷移は正常遷移である。
【0037】
[状態STS2S3からの正常遷移]
状態STS2S3は、車両Vの車両長が検出器202から検出器203までの間隔より長い場合に遷移する状態である。
状態STS2S3からの他の状態への正常遷移は、遷移T15と、遷移T16とがある。
遷移T15の遷移条件は、条件C[011]である。検出結果rが条件C[011]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T15にしたがって遷移する。ここで、車両Vの先頭が位置S3に、車両Vの後尾が位置S2に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS2S3に保持される。
【0038】
遷移T16の遷移条件は、条件C[001]である。検出結果rが条件C[001]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T16にしたがって状態STS3に遷移する。ここで、車両Vが位置S3に進行して、車両Vの後尾が位置P2に達した場合、検出結果rは“001”であり、条件C[001]と合致する。したがって、車両Vが検出器202の検出領域である位置S2より前方に進行し、検出領域外に達した場合、車両Vの状態は、状態STS2S3から状態STS3に遷移する。
ここで、車両Vが位置S2から位置S3に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS2S3から状態STS3への遷移は正常遷移である。
【0039】
[状態STP2からの正常遷移]
状態STP2は、車両Vが位置P2に存在していることを示す。
状態STP2からの他の状態への正常遷移は、遷移T17と、遷移T18とがある。
遷移T17の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T17にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置P2に留まっている場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P2に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STP2に保持される。
【0040】
遷移T18の遷移条件は、条件C[001]である。検出結果rが条件C[001]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T18にしたがって状態STS3に遷移する。ここで、車両Vが位置P2から位置S3に進行して、位置S3に達した場合、検出結果rは“001”であり、条件C[001]と合致する。したがって、車両Vが位置S3に達した場合、車両Vの状態は、状態STP2から状態STS3に遷移する。すなわち、状態STS3は、車両Vが位置S3に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置P2から位置S3に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STP2から状態STS3への遷移は正常遷移である。
【0041】
[状態STS3からの正常遷移]
状態STS3は、車両Vが位置S3に存在していることを示す。
状態STS3からの他の状態への正常遷移は、遷移T19と、遷移T20とがある。
遷移T19の遷移条件は、条件C[001]である。検出結果rが条件C[001]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T19にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置S3に留まっている場合、検出結果rは“001”であり、条件C[001]と合致する。したがって、車両Vが位置S3に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS3に保持される。
【0042】
遷移T20の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T20にしたがって状態STP3に遷移する。ここで、車両Vが位置S3から位置P3に進行して、位置P3に達した場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P3に達した場合、車両Vの状態は、状態STS3から状態STP3に遷移する。すなわち、状態STP3は、車両Vが位置P3に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置S3から位置P3に進行することは、方向drに進行することを示す。方向drへの進行は正常遷移であるから、状態STS3から状態STP3への遷移は正常遷移である。
【0043】
[状態STP3からの正常遷移]
状態STP3は、車両Vが位置P3に存在していることを示す。
状態STP3からの他の状態への正常遷移は、遷移T21と、遷移T22とがある。
遷移T21の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T21にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置P3に留まっている場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P3に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STP3に保持される。
遷移T22は、状態STP3からの遷移を示す。
【0044】
次に、遷移情報Info1の異常遷移について、状態毎に説明する。
【0045】
[状態STP3からの異常遷移]
状態STP3からの他の状態への異常遷移は、遷移T23がある。
遷移T23の遷移条件は、条件C[001]である。検出結果rが条件C[001]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T23にしたがって状態STS3’に遷移する。ここで、車両Vが位置P3から位置S3に進行して、位置S3に達した場合、検出結果rは“001”であり、条件C[001]と合致する。したがって、車両Vが位置S3に達した場合、車両Vの状態は、状態STP3から状態STS3’に遷移する。
ここで、車両Vが位置P3から位置S3に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STP3から状態STS3’への遷移は異常遷移である。
【0046】
[状態STS3’からの異常遷移]
状態STS3’からの他の状態への異常遷移は、遷移T24と、遷移T25と、遷移T26と、遷移T27とがある。
遷移T24の遷移条件は、条件C[001]である。検出結果rが条件C[001]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T24にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置S3に留まっている場合、検出結果rは“001”であり、条件C[001]と合致する。したがって、車両Vが位置S3に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS3’に保持される。すなわち、状態STS3’は、車両Vが位置S3に存在していることを示す。
【0047】
遷移T27の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T27にしたがって状態STP2に遷移する。ここで、車両Vが位置S3から位置P2に進行して、位置P2に達した場合、検出器201、検出器202、及び検出器203は、いずれも“車両なし”を出力する。この場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P2に達した場合、車両Vの状態は、状態STS3’から状態STP2に遷移する。すなわち、状態STP2は、車両Vが位置P2に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置S3から位置P2に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS3’から状態STP2への遷移は異常遷移である。
【0048】
遷移T25の遷移条件は、条件C[011]である。検出結果rが条件C[011]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T25にしたがって状態STS2’S3’に遷移する。車両Vの車両長が、検出器202から検出器203までの間隔より長い場合、つまり、車両Vの先頭が位置S2にあり、この車両Vの後尾が位置S3にある場合には、車両Vの状態は、状態STS3’から状態STS2’S3’に遷移する。
なお、この遷移T25は、条件Cの成立過程が遷移T04と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ここで、車両Vが位置S3から位置S2に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS3’から状態STS2’S3’への遷移は異常遷移である。異常遷移には二つの走行パターンがある。一つは、上記「車両Vの先頭が位置S2にあり、この車両Vの後尾が位置S3にある場合」のように車両が逆走するパターン、もう一つは「車両Vの後尾が位置S2にあり、この車両Vの先頭が位置S3にある場合」のように車両が後退するパターンである。以降では、前者の逆走するパターンの例とともに説明する。
【0049】
遷移T26の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T26にしたがって状態STS2’に遷移する。ここで、車両Vが、比較的速い速度によって位置S3から位置S2に移動した場合、車両Vの状態は状態STS3’から状態STS2’へ遷移する。
なお、この遷移T26は、条件Cの成立過程が遷移T05と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ここで、車両Vが位置S3から位置S2に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS3’から状態STS2’への遷移は異常遷移である。
【0050】
[状態STS2’S3’からの異常遷移]
状態STS2’S3’は、車両Vの車両長が検出器202から検出器203までの間隔より長い場合に遷移する状態である。
状態STS2’S3’からの他の状態への異常遷移は、遷移T28と、遷移T29とがある。
遷移T28の遷移条件は、条件C[011]である。検出結果rが条件C[011]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T28にしたがって遷移する。ここで、車両Vの先頭が位置S2に、車両Vの後尾が位置S3に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS2’S3’に保持される。すなわち、状態STS2’S3’は、車両Vが位置S2と、位置P2と、位置S3とに存在していることを示す。
【0051】
遷移T29の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T29にしたがって状態STS2’に遷移する。ここで、車両Vが位置S2に進行して、車両Vの後尾が位置P2に達した場合、検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが検出器203の検出領域である位置S3より後方に逆行し、検出領域外に達した場合、車両Vの状態は、状態STS2’S3’から状態STS2’に遷移する。すなわち状態STS2’は、車両Vが位置S2に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置S3から位置S2に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS2’S3’から状態STS2’への遷移は異常遷移である。
【0052】
[状態STP2からの異常遷移]
状態STP2からの他の状態への異常遷移は、遷移T30がある。
遷移T30の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T30にしたがって状態STS2’に遷移する。ここで、車両Vが位置P2から位置S2に進行して、位置S2に達した場合、検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが位置S2に達した場合、車両Vの状態は、状態STP2から状態STS2’に遷移する。すなわち、状態STS2’は、車両Vが位置S2に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置P2から位置S2に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STP2から状態STS2’への遷移は異常遷移である。
【0053】
[状態STS2’からの異常遷移]
状態STS2’からの他の状態への異常遷移は、遷移T31と、遷移T32と、遷移T33と、遷移T34とがある。
遷移T31の遷移条件は、条件C[010]である。検出結果rが条件C[010]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T31にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置S2に留まっている場合、検出結果rは“010”であり、条件C[010]と合致する。したがって、車両Vが位置S2に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS2’に保持される。すなわち、状態STS2’は、車両Vが位置S2に存在していることを示す。
【0054】
遷移T34の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T34にしたがって状態STP1に遷移する。ここで、車両Vが位置S2から位置P1に進行して、位置P1に達した場合、検出器201、検出器202、及び検出器203は、いずれも“車両なし”を出力する。この場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P1に達した場合、車両Vの状態は、状態STS2’から状態STP1に遷移する。すなわち、状態STP1は、車両Vが位置P1に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置S2から位置P1に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS2’から状態STP1への遷移は異常遷移である。
【0055】
遷移T32の遷移条件は、条件C[110]である。検出結果rが条件C[110]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T32にしたがって状態STS1’S2’に遷移する。車両Vの車両長が、検出器201から検出器202までの間隔より長い場合、つまり、車両Vの先頭が位置S1にあり、車両Vの後尾が位置S2にある場合には、車両Vの状態は、状態STS2’から状態STS1’S2’に遷移する。
なお、この遷移T32は、条件Cの成立過程が遷移T04と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ここで、車両Vが位置S2から位置S1に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS2’から状態STS1’S2’への遷移は異常遷移である。
【0056】
遷移T33の遷移条件は、条件C[100]である。検出結果rが条件C[100]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T33にしたがって状態STS1’に遷移する。ここで、車両Vが、比較的速い速度によって位置S2から位置S1に移動した場合、車両Vの状態は状態STS2’から状態STS1’へ遷移する。
なお、この遷移T33は、条件Cの成立過程が遷移T05と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ここで、車両Vが位置S2から位置S1に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS2’から状態STS1’への遷移は異常遷移である。
【0057】
[状態STS1’S2’からの異常遷移]
状態STS1’S2’は、車両Vの車両長が検出器201から検出器202までの間隔より長い場合に遷移する状態である。
状態STS1’S2’からの他の状態への異常遷移は、遷移T35と、遷移T36とがある。
遷移T35の遷移条件は、条件C[110]である。検出結果rが条件C[110]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T35にしたがって遷移する。ここで、車両Vの先頭が位置S1に、車両Vの後尾が位置S2に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS1’S2’に保持される。すなわち、状態STS1’S2’は、車両Vが位置S1と、位置P1と、位置S2とに存在していることを示す。
【0058】
遷移T36の遷移条件は、条件C[100]である。検出結果rが条件C[100]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T36にしたがって状態STS1’に遷移する。ここで、車両Vが位置S1に進行して、車両Vの後尾が位置P1に達した場合、検出結果rは“100”であり、条件C[100]と合致する。したがって、車両Vが検出器202の検出領域である位置S2より後方に逆行し、検出領域外に達した場合、車両Vの状態は、状態STS1’S2’から状態STS1’に遷移する。すなわち状態STS1’は、車両Vが位置S1に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置S2から位置S1に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS1’S2’から状態STS1’への遷移は異常遷移である。
【0059】
[状態STP1からの異常遷移]
状態STP1からの他の状態への異常遷移は、遷移T37がある。
遷移T37の遷移条件は、条件C[100]である。検出結果rが条件C[100]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T37にしたがって状態STS1’に遷移する。ここで、車両Vが位置P1から位置S1に進行して、位置S1に達した場合、検出結果rは“100”であり、条件C[100]と合致する。したがって、車両Vが位置S1に達した場合、車両Vの状態は、状態STP1から状態STS1’に遷移する。すなわち、状態STS1’は、車両Vが位置S1に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置P1から位置S1に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STP1から状態STS1’への遷移は異常遷移である。
【0060】
[状態STS1’からの異常遷移]
状態STS1’からの他の状態への異常遷移は、遷移T38と、遷移T39とがある。
遷移T38の遷移条件は、条件C[100]である。検出結果rが条件C[100]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T38にしたがって遷移する。ここで、車両Vが位置S1に留まっている場合、検出結果rは“100”であり、条件C[100]と合致する。したがって、車両Vが位置S1に留まっている場合、車両Vの状態は、状態STS1’に保持される。すなわち、状態STS1’は、車両Vが位置S1に存在していることを示す。
【0061】
遷移T39の遷移条件は、条件C[000]である。検出結果rが条件C[000]に合致した場合に、車両Vの状態は、遷移T39にしたがって状態STP0に遷移する。ここで、車両Vが位置S1から位置P0に進行して、位置P0に達した場合、検出結果rは“000”であり、条件C[000]と合致する。したがって、車両Vが位置P0に達した場合、車両Vの状態は、状態STS1’から状態STP0に遷移する。すなわち、状態STP0は、車両Vが位置P0に存在していることを示す。
ここで、車両Vが位置S1から位置P0に進行することは、方向rvに進行することを示す。方向rvへの進行は異常遷移であるから、状態STS1’から状態STP0への遷移は異常遷移である。
【0062】
ここまで、遷移情報Info1の正常遷移及び異常遷移について、状態毎に説明した。
次に、車両通過判定装置10が、車両Vの状態の遷移を、正常遷移と、異常遷移とに判定する具体例について説明する。
【0063】
[車両Vが順方向に進行した場合]
はじめに、車両Vが順方向に進行した場合について説明する。この一例においては、車両Vが、位置P0、位置S1、位置P1、位置S2、位置P2、位置S3、位置P3と、順方向に進行した場合について説明する。この場合、車両Vの状態は、状態STP0、状態STS1、状態STP1、状態STS2、状態STP2、状態STS3、状態STP3の順に遷移する。この場合、すべての遷移が正常遷移である。この場合、車両通過判定装置10は、これらすべての遷移を、正常遷移であると判定する。
【0064】
[車両Vが逆走した場合]
次に、車両Vが逆走した場合について説明する。この一例においては、車両Vが、方向drへ、位置P0、位置S1、位置P1まで進行したのち、方向rvへ、位置S1、位置P0と、逆走した場合について説明する。この一例は、車両Vが料金所の車両通過レーンLTに進入したものの、例えば、先行車が停車したために、車両通過レーンLTの外に移動しようとして、車両Vが後退した場合を示す。この場合、車両Vの状態は、状態STP0、状態STS1、状態STP1、状態STS1’、状態STP0の順に遷移する。この場合、車両Vの状態の遷移のうち、状態STP0から状態STS1、及び状態STS1から状態STP1への遷移は、それぞれ正常遷移である。この場合、車両通過判定装置10は、これらの遷移を、正常遷移であると判定する。また、車両Vの状態の遷移のうち、状態STP1から状態STS1’、及び状態STS1’から状態STP0への遷移は、それぞれ異常遷移である。この場合、車両通過判定装置10は、これらの遷移を、異常遷移であると判定する。
【0065】
ここで、この遷移情報Info1は、車両Vが存在する位置が同一であっても、正常遷移の状態と、異常遷移の状態とに分けて、状態が規定されている。したがって、車両通過判定装置10は、車両Vが位置S1に存在する場合でも、状態STS1と、状態STS1’とに分けて、正常遷移と、異常遷移とを判定する。すなわち、車両通過判定装置10は、車両Vの進行方向に基づいて車両Vの状態の遷移を、正常遷移と、異常遷移とに判定する。
【0066】
以下、図1に戻り本実施形態の車両検知システム1の構成の概要を説明する。
ここで、車両通過判定装置10が遷移情報Info1と、検出結果rとに基づいて正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定した結果を、判定結果jと称する。
表示装置30は、車両通過判定装置10が判定した、判定結果jを表示する。表示装置30は、ディスプレイを備えており、車両通過判定装置10が判定した判定結果jを画面によって表示する。この一例の場合、例えば、料金所詰所内にいる料金収受員は、表示装置30により表示された判定結果jに基づいて、異常遷移となる方向rvへ進行している車両Vの有無を認識する。
【0067】
なお、ここでは表示装置30がディスプレイである場合を一例として説明したが、これに限られない。表示装置30は、車両通過判定装置10が判定した結果を画像や音声など、人が認識できる方式で示すことができればよい。
また、ここでは表示装置30が情報を提示する対象が、料金収受員である場合を一例として説明したが、これに限られない。
【0068】
また、車両位置検出装置20と、車両通過判定装置10とは、通信線L1と、通信線L2と、ネットワークNによって接続されている。車両位置検出装置20と、車両通過判定装置10とは、専用ケーブルである通信線L1と、通信線L2とによって互いが接続されている。
【0069】
なお、ここでは車両通過判定装置10と、車両位置検出装置20とが、専用ケーブルで接続されている場合を一例として説明したが、これに限られない。車両通過判定装置10と、車両位置検出装置20とは、互いに情報の送受が可能な手段を備えていればよい。
【0070】
次に、車両検知システム1の構成の詳細について、図3を参照して説明する。
図3は、車両検知システム1の構成の一例を示す概要図である。
【0071】
車両位置検出装置20は、検出器201と、検出器202と、検出器203によって車両Vの有無を検出し、検出結果rを車両通過判定装置10へ出力する。
【0072】
車両通過判定装置10について説明する。車両通過判定装置10は、CPU(Central Processing Unit)110と、記憶部120とを備える。
CPU110は、その機能部としての取得部111と、判定部112と、出力部113とを備える。
【0073】
取得部111は、車両位置検出装置20と接続されている。取得部111は、車両位置検出装置20が送信した検出結果rを取得する。取得部111は、取得した検出結果rを、判定部112へ供給する。
【0074】
記憶部120には、遷移情報Info1が予め記憶されている。
なお、ここでは、記憶部120が車両通過判定装置10の内部に設置されている場合を一例として説明しているが、これに限られない。例えば、記憶部120は、車両通過判定装置10の外部に設置されていてもよい。
【0075】
判定部112は、検出結果rを取得部111から取得する。判定部112は、記憶部120から遷移情報Info1を読み出す。判定部112は、取得した検出結果rと、読み出した遷移情報Info1とに基づいて車両Vの通過の判定をする。具体的には、判定部112は、検出結果rと、遷移情報Info1とに基づいて、車両Vの状態の遷移が正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定する。判定部112は、判定した判定結果jを出力部113へ供給する。
【0076】
出力部113は、表示装置30と接続されている。出力部113は、判定部112から供給された判定結果jを表示装置30へ供給する。
【0077】
表示装置30は、車両通過判定装置10の出力部113から供給された判定結果jに基づいて、予め設定された表示をする。予め設定された表示とは、例えば、正常遷移であれば「OK」の文字を、異常遷移であれば「NG」の文字をディスプレイに表示することをいう。
【0078】
なお、ここでは表示装置30が「OK」の文字又は「NG」の文字を表示する場合を一例として説明したが、これに限られない。表示装置30が情報を提示する対象が、正常遷移と、異常遷移とを判別することが可能であればよい。
【0079】
次に、車両通過判定装置10の車両通過判定プログラムPrg10に基づく動作について図4を参照して説明する。ここでは、車両通過判定装置10が、車両Vの状態の遷移を正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定する場合を一例として説明する。
【0080】
図4は、車両通過判定装置10の動作の一例を示す流れ図である。車両通過判定装置10は、車両通過判定プログラムPrg10に基づいて、図4に示すステップS110から、ステップS170までを実行する。ここで、車両通過判定プログラムPrg10とは、車両通過判定装置10が、車両Vの状態の遷移が正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定するための制御プログラムである。
【0081】
取得部111は、車両位置検出装置20から検出結果rを取得する(ステップS110)。判定部112は、記憶部120から遷移情報Info1を読み出す(ステップS120)。判定部112は、記憶部120から読み出した遷移情報Info1と、取得部111から取得した検出結果rとに基づいて、遷移情報Info1の車両Vの状態を更新する(ステップS130)。判定部112は、更新した車両Vの状態への遷移が、正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定する(ステップS140)。車両通過判定装置10は、判定結果jが正常遷移の場合、出力部113から正常遷移の判定結果jを出力する(ステップS150)。車両通過判定装置10は、判定結果jが異常遷移の場合、出力部113から異常遷移の判定結果jを出力する(ステップS160)。判定部112は、更新された遷移情報Info1を記憶部120へ書き込む(ステップS170)。
【0082】
以上説明したように、本実施形態の車両検知システム1は、車両通過判定装置10と、車両位置検出装置20と、表示装置30とを備える。
車両通過判定装置10は、取得部111と、判定部112と、出力部113と、記憶部120とを備える。取得部111は、車両の通過方向に複数並べられた車両位置検出装置20がそれぞれ出力する車両の有無を示す検出結果rを取得する。記憶部120には、予め遷移情報Info1が記憶されている。遷移情報Info1は、車両位置検出装置20が並べられている順序に基づく情報であって、検出結果rの組み合わせの遷移が、正常であるか異常であるかを示す情報である。判定部112は、取得部111が取得した検出結果rと、記憶部120に記憶されている遷移情報Info1とに基づいて、検出結果rの組み合わせが正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定する。出力部113は、判定部112による判定結果jを出力する。表示装置30は、出力部113が出力する判定結果jを示す。
また、車両通過判定装置10は、検出結果rと、遷移情報Info1とに基づいて車両の状態の遷移を正常遷移と、異常遷移とに判定する。本実施形態の場合、遷移情報Info1とは、図2に示す有限オートマトンである。図2に示す有限オートマトンは車両Vが同一の位置に存在していても、正常遷移と、異常遷移との場合で状態を区別する。すなわち、遷移、車両Vが存在する位置が同一であっても、状態を正常遷移と、異常遷移とによって状態を分けることにより、正常遷移と、異常遷移とを明確に判定する。
これにより、車両通過判定装置10は、異常状態を判定するための設計作業及び設計の検証作業が煩雑になる程度を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態の車両検知システム1が備える表示装置30は、出力部113が出力する判定結果jを示す。
この表示装置30は、ディスプレイを備えており、車両通過判定装置10が判定した判定結果jを画面によって表示する。
これにより、料金所詰所内にいる料金収受員は、表示装置30により表示された判定結果jに基づいて、異常遷移となる方向rvへ進行している車両Vの有無を認識することができる。
【0084】
[第2の実施形態]
以下、図5を参照して第2の実施形態の概要について説明する。
図5は、本実施形態の車両検知システム1の構成の概要を示す模式図である。ここでは、車両検知システム1が設置されている場所が、料金所のゲートである場合を一例にして説明する。第1の実施形態と、第2の実施形態とでは、車両通過判定装置10が備える記憶部120に、予め記憶される遷移情報Info1が異なる。具体的には、第1の実施形態においては、遷移情報Info1が有限オートマトンによって示される情報であるのに対し、第2の実施形態においては、遷移情報Info1がペトリネットによって示される情報である点が異なる。ペトリネットは、プレース、トランジション、アーク、トークンの4つの要素を含んでおり、プレースにおけるトークンの有無によって対象のシステムの状態の移り変わりを表す。以下、本実施形態の遷移情報Info1を説明するにあたって、まず、本実施形態の構成の概要を説明し、次に遷移情報Info1であるペトリネットの詳細について説明する。
【0085】
本実施形態では、車両位置検出装置20が、5つの検出器を備える場合を一例にして説明する。検出器211と、検出器212と、検出器213と、検出器214と、検出器215とは、料金所の車両通過レーンLTを通過する車両Vの通過方向に互いに所定の間隔をあけて、設置される。以下、これら5つの検出器を区別する場合には、検出器211、検出器212、検出器213、検出器214、及び検出器215と称し、5つの検出器を区別しない場合には、これらを総称して検出器210と称する。
【0086】
次に、本実施形態における車両位置検出装置20の検出領域について説明する。本実施形態では、検出される対象である車両を、車両Vと称する。また、車両Vが料金所を通過する方向を方向drと称し、方向drと逆の方向を方向rvと称する。また、方向drを、前方とも称する。方向rvを、後方とも称する。
【0087】
検出器210は、車両の有無を検出した結果を、他の機器に出力する。以下の説明において、検出器211が車両の有無を検出した結果を、検出結果r11と称する。検出器212が車両の有無を検出した結果を、検出結果r12と称する。検出器213が車両の有無を検出した結果を、検出結果r13と称する。検出器214が車両の有無を検出した結果を、検出結果r14と称する。検出器215が車両の有無を検出した結果を、検出結果r15と称する。以下、検出結果r11と、検出結果r12と、検出結果r13と、検出結果r14と、検出結果r15とを区別しない場合には、これらを総称して検出結果r10と称する。以下、検出器210の検出結果r10が“車両あり”を示す場合には、検出結果r10の値が“1”であるとして説明する。また、検出器210の検出結果r10が“車両なし”を示す場合には、検出結果r10の値が“0”であるとして説明する。車両位置検出装置20は、検出器210が検出した車両の有無を示す検出結果r10を、車両通過判定装置10に出力する。
【0088】
この検出領域には、検出器210が車両Vの有無を検出可能な位置と、検出器210が車両Vの有無を検出不可能な位置とが含まれる。検出器210が車両Vの有無を検出可能な位置には、位置S11と、位置S12と、位置S13と、位置S14と、位置S15が含まれる。位置S11とは、検出器211が検出可能な位置である。位置S12とは、検出器212が検出可能な位置である。位置S13とは、検出器213が検出可能な位置である。位置S14とは、検出器214が検出可能な位置である。位置S15とは、検出器215が検出可能な位置である。すなわち、検出器211は、位置S11に車両Vが存在するか否かを検出する。検出器212は、位置S12に車両Vが存在するか否かを検出する。検出器213は、位置S13に車両Vが存在するか否かを検出する。検出器214は、位置S14に車両Vが存在するか否かを検出する。検出器215は、位置S15に車両Vが存在するか否かを検出する。ここで、位置S11を、検出器211の検出領域とも称する。位置S12を、検出器212の検出領域とも称する。位置S13を、検出器213の検出領域とも称する。位置S14を、検出器214の検出領域とも称する。位置S15を、検出器215の検出領域とも称する。
【0089】
検出器210が車両の有無を検出不可能な位置には、位置S11よりも後方の位置P10と、位置S12と位置S13との間の位置P11とが含まれる。また、検出器210が車両の有無を検出不可能な位置には、位置S13と位置S14との間の位置P12と、位置S15よりも前方の位置P13とが含まれる。本実施形態では、車両Vが料金所に到達してから、料金所を通過するまでの車両Vの位置は、これら7つの位置によって示される。
ここでは、検出器211と、検出器212とは近接して設置されており、検出器211と、検出器212との間隔が車両長xより短い場合について説明する。すなわち、検出器211と、検出器212との間には、検出器210が車両Vを検出しない領域は存在しない。また、検出器214と、検出器215とは近接して設置されており、検出器214と、検出器215との間隔が車両長xより短い場合について説明する。すなわち、検出器214と、検出器215の間には、検出器210が車両Vを検出しない領域は存在しない。
ここで、検出器212から検出器213までの距離を距離d1と称する。検出器211から検出器213までの距離を距離d2と称する。検出器213から検出器214までの距離を距離d3と称する。検出器213から検出器215までの距離を距離d4と称する。また、車両Vの車両の長さを車両長xと称する。
この一例では、各距離と、車両長xとの関係は、式(1)と、式(2)と、式(3)とによって示される。
【0090】
【数1】
【0091】
【数2】
【0092】
【数3】
【0093】
以下、車両Vの位置について、図5を参照して、より具体的に説明する。
まず、図5に示すように、車両Vが、方向drに向かって料金所を通過する場合について説明する。この場合、車両Vは、位置P10、位置S11、位置S12、位置P11、位置S13、位置P12、位置S14、位置S15、位置P13の順に通過する。以下の説明において、車両Vが方向drに向かって進行する場合を、順方向の進行と称する。
次に、車両Vが、方向rvに向かって料金所を通過する場合について説明する。この場合、車両Vが位置P13から料金所に進入したとすると、車両Vは、位置P13、位置S15、位置S14、位置P12、位置S13、位置P11、位置S12、位置S11、位置P10の順に通過する。以下の説明において、車両Vが方向rvに向かって進行する場合を、逆方向の進行、又は逆走と称する。なお、車両Vがいずれの位置から進行を開始したかを問わず、車両Vが方向rvに向かって進行すれば、逆走である。例えば、車両Vが位置P11から位置S12に向かって進行した場合には、逆走である。
【0094】
本実施形態では、車両通過判定装置10は、検出器210の検出結果r10と遷移情報Info1とに基づいて車両Vの通過の判定を行う。以下、図6を参照して、本実施形態の遷移情報Info1の具体例について説明する。
【0095】
図6は、本実施形態における遷移情報Info1の一例を示す状態遷移図である。上述の実施形態における状態遷移図は、有限オートマトンであるが、本実施形態における状態遷移図は、ペトリネットである。すなわち、本実施形態において遷移情報Info1は、ペトリネットによって示される情報である。
本実施形態のペトリネットによって示される遷移情報Info1において、プレースPCは、車両Vの状態を示す要素である。トランジションtsは、検出器210の検出結果r10に基づいて車両V状態の遷移の可否の条件を示す要素である。アークaは、プレースPCと、トランジションtsとを接続する要素であり、トークンtkが遷移する遷移先を示す。トークンtkは、車両通過レーンLTに存在する車両Vを示す要素である。本実施形態のペトリネットによって示される遷移情報Info1は、車両Vを示すトークンtkが、車両Vの状態を示すプレースPCをトランジションtsに基づいて移動することにより、車両通過レーンLT上に存在する車両Vの状態の変化を示す。
ここで、トランジションtsとして示される検出結果r10に基づいて設定される車両V状態の遷移の可否の条件のことを、発火条件とも称する。また、車両Vが車両通過レーンLTを移動することにより、トランジションtsの発火条件と合致して、トークンtkが次のプレースPCへ遷移することを、発火とも称する。次に、プレースPCの詳細な具体例について説明する。
【0096】
本実施形態のペトリネットによって示される遷移情報Info1には、15個のプレースPCが含まれる。以下、プレースPCの具体例について説明する。
プレースPCP10は、位置P10に存在していることを示す。プレースPCS11は、位置S11に存在していることを示す。プレースPCS12は、位置S12に車両Vが存在していること示す。プレースPCP11は、位置P11に車両Vが存在していることを示す。プレースPCS13は、位置S13に車両Vが存在していることを示す。プレースPCP12は、位置P12に車両Vが存在していることを示す。プレースPCS14は、位置S14に車両Vが存在していることを示す。プレースPCS15は、位置S15に車両Vが存在していることを示す。
また、プレースPCS11S12は、検出器211と、検出器212とに車両Vが検出され、二つの検出器の位置に跨って車両Vが存在していることを示す。プレースPCS14S15は、検出器214と、検出器215とに車両Vが検出され、二つの検出器の位置に跨って車両Vが存在していることを示す。
【0097】
また、車両Vの車両長xが距離d2より長い場合、検出器211と、検出器212と、検出器213とが車両Vを検出することがある。プレースPCS11S12S13は、車両長xが距離d2より長く、検出器211、検出器212、及び検出器213が車両Vを検出する位置に車両Vが存在していること示す。また、車両Vの車両長xが距離d1より長い場合、検出器212と、検出器213とが車両Vを検出することがある。プレースPCS12S13は、車両長xが距離d1より長く、検出器212及び検出器213が車両Vを検出する位置に車両Vが存在していることを示す。また、車両Vの車両長xが距離d3より長い場合、検出器213と、検出器214とが車両Vを検出することがある。プレースPCS13S14は、車両長xが距離d3より長く、検出器213、及び検出器214が車両Vを検出する位置に車両Vが存在していることを示す。また、車両Vの車両長xが距離d4より長い場合、検出器213と、検出器214と、検出器215とが車両Vを検出することがある。プレースPCS13S14S15は、車両長xが距離d4より長く、検出器213、検出器214、検出器215が車両Vを検出する位置に車両Vが存在していることを示す。
【0098】
次に、トランジションtsの概要について説明する。
本実施形態のペトリネットによって示される遷移情報Info1には、22個のトランジションtsが含まれる。トランジションtsは、発火前のプレースPCにトークンtkが予め設定された数存在しており、かつトランジションtsに示す発火条件が成立した場合に発火する。これにより、トークンtkは発火後のプレースPCへ遷移する。以下、トランジションtsに対して発火前にトークンtkが位置するプレースPCを遷移前のプレースPCとも称する。また、トランジションtsに対して発火後にトークンtkが位置するプレースPCを遷移先のプレースPCとも称する。
ここでは、本実施形態の遷移情報Info1が有限容量ペトリネットによって示される場合を一例にして説明する。有限容量ペトリネットでは、各プレースPCに存在できるトークンtkの数を制限したい場合、各プレースPCに存在できるトークンtkの容量を予め定義される。ここで、各プレースPCに存在できるトークンtkの容量を容量関数Kと称する。各プレースPCには複数のトークンtkが存在する場合もあるが、この一例では、容量関数Kが、すべてのプレースPCで1である場合について説明する。次に、トランジションtsの詳細な具体例について説明する。
【0099】
トランジションts1は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCP10である場合に、検出結果r11が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts1が発火する。トランジションのts1が発火することにより、トークンtkは、アークa1と、トランジションts1と、アークa2を介してプレースPCS11に遷移する。
トランジションts2は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS11である場合に、検出結果r11が“1”であり、かつ検出結果r12が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts2が発火する。トランジションts2が発火することにより、トークンtkは、アークa3と、トランジションts2と、アークa4とを介してプレースPCS11S12に遷移する。
トランジションts3は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS11S12である場合に、検出結果r11が“1”であり、かつ検出結果r12が“1”であり、かつ検出結果r13が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts3が発火する。トランジションts3が発火することにより、トークンtkは、プレースPCS11S12から、アークa5と、トランジションts3と、アークa6とを介してプレースPCS11S12S13へ遷移する。
トランジションts4は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS11S12である場合に、検出結果r11が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r12が“1”であることを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts4が発火する。トランジションts4が発火することにより、トークンtkは、アークa7と、トランジションts4と、アークa8とを介してプレースPCS12へ遷移する。
【0100】
トランジションts5は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS11S12S13である場合に、検出結果r11が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r12が“1”であり、かつ検出結果r13が“1”であることを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts5が発火する。トランジションts5が発火することにより、トークンtkは、アークa9と、トランジションts5と、アークa10とを介してプレースPCS12S13へ遷移する。
トランジションts6は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS11S12である場合に、検出結果r11が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r12が“1”であり、検出結果r13が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts6が発火する。トランジションts6が発火することにより、トークンtkは、アークa11と、トランジションts6と、アークa12とを介してプレースPCS12S13へ遷移する。
トランジションts7は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS12である場合に、検出結果r12が“1”であり、かつ検出結果r13が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts7が発火する。トランジションts7が発火することにより、トークンtkは、アークa13と、トランジションts7と、アークa14とを介してプレースPCS12S13遷移する。
トランジションts8は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS12である場合に、検出結果r12が“1”から“0”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts8が発火する。トランジションts8が発火することにより、トークンtkは、アークa15と、トランジションts8と、アークa16とを介してプレースPCP11へ遷移する。
【0101】
トランジションts9は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS12S13である場合に、検出結果r12が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r13が“1”であることを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts9が発火する。トランジションts9が発火することにより、トークンtkは、アークa17と、トランジションts9と、アークa18とを介してプレースPCS13へ遷移する。
トランジションts10は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS12である場合に、検出結果r12が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r13が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts10が発火する。トランジションts10が発火することにより、トークンtkは、アークa19と、トランジションts10と、アークa20とを介してプレースPCS13へ遷移する。
トランジションts11は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCP11である場合に、検出結果r13が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts11が発火する。トランジションts11が発火することにより、トークンtkは、アークa21と、トランジションts11と、アークa22とを介してプレースPCS13へ遷移する。
トランジションts12は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13である場合に、検出結果r13が“1”であること、かつ検出結果r14が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts12が発火する。トランジションts12が発火することにより、トークンtkは、アークa23と、トランジションts12と、アークa24とを介してプレースPCS13S14へ遷移する。
【0102】
トランジションts13は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13である場合に、検出結果r13が“1”から“0”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts13が発火する。トランジションts13が発火することにより、トークンtkは、アークa25と、トランジションts13と、アークa26とを介してプレースPCP12へ遷移する。
トランジションts14は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13S14である場合に、検出結果r13が“1”であり、かつ検出結果r14が“1”であり、かつ検出結果r15が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts14が発火する。トランジションts14が発火することにより、トークンtkは、アークa27と、トランジションts14と、アークa28とを介してプレースPCS13S14S15へ遷移する。
トランジションts15は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13S14である場合に、検出結果r13が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r14が“1”であることを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts15が発火する。トランジションts15が発火することにより、トークンtkは、アークa29と、トランジションts15と、アークa30とを介してプレースPCS14へ遷移する。
トランジションts16は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13である場合に、検出結果r13が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r14が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts16が発火する。このトランジションts16が発火することにより、トークンtkは、アークa31と、トランジションts16と、アークa32とを介してプレースPCS14へ遷移する。
【0103】
トランジションts17は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCP12である場合に、検出結果r14が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts17が発火する。トランジションts17が発火することにより、トークンtkは、アークa33と、トランジションts17と、アークa34とを介してプレースPCS14へ遷移する。
トランジションts18は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13S14S15である場合に、検出結果r13が“1”から“0”変化すること、かつ検出結果r14が“1”であること、かつ検出結果r15が“1”であることを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts18が発火する。トランジションts18が発火することにより、トークンtkは、アークa35と、トランジションts18と、アークa36とを介してプレースPCS14S15へ遷移する。
トランジションts19は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS13S14である場合に、検出結果r13が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r14が“1”であること、かつ検出結果r15が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts19が発火する。トランジションts19が発火することにより、トークンtkは、アークa37と、トランジションts19と、アークa38とを介してプレースPCS14S15へ遷移する。
トランジションts20は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS14である場合に、検出結果r14が“1”であり、かつ検出結果r15が“0”から“1”へ変化することを発火条件とする。車両の移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts20は発火する。トランジションts20が発火することにより、トークンtkは、アークa39と、トランジションts20と、アークa40とを介してプレースPCS14S15へ遷移する。
【0104】
トランジションts21は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS14S15である場合に、検出結果r14が“1”から“0”へ変化すること、かつ検出結果r15が“1”であることを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts21が発火する。トランジションts21が発火することにより、トークンtkは、アークa41と、トランジションts21と、アークa42とを介してプレースPCS15へ遷移する。
トランジションts22は、発火前のトークンtkの位置がプレースPCS15である場合に、検出結果r15が“1”から“0”へ変化することを発火条件とする。車両Vの移動に伴い、この発火条件が成立した場合、トランジションts22が発火する。トランジションts22が発火することにより、トークンtkは、アークa43と、トランジションts22と、アークa44とを介してプレースPCP13へ遷移する。
【0105】
ここまで、トランジションtsの発火条件が成立した場合、トランジションtsが発火することにより、トークンtkが遷移先のプレースPCへ遷移する場合について説明した。このトランジションtsの発火は、上述した発火条件の他に、抑止アークnaと、プレース時間とによって条件づけられる。以下、まずは抑止アークnaについて説明し、次にプレース時間について説明する。
【0106】
まず、抑止アークnaについて説明する。本実施形態のペトリネットによって示される遷移情報Info1には、プレースPCと、トランジションtsとを接続するアークaの他に、抑止アークnaが存在する。この抑止アークnaによってトランジションtsに接続されるプレースPCにトークンtkが存在している場合、トランジションtsの発火を抑止する。ここで、抑止アークnaによって接続されるプレースを抑止プレースPCDと称する。
抑止アークnaによってトランジションtsに接続される抑止プレースPCDは、アークaによってトランジションtsに接続されるプレースPCの状態を示す。すなわち、アークaによってトランジションtsに接続されるプレースPCにトークンtkが存在する場合、抑止アークnaによって接続される抑止プレースPCDにもトークンtkが存在する。また、アークaによってトランジションtsに接続されるプレースPCにトークンtkが存在しない場合、抑止アークnaによって接続される抑止プレースPCDにもトークンtkが存在しない。
【0107】
ここで、トランジションts20に接続される抑止プレースPCD13を例にして説明する。トランジションts20には、抑止プレースPCD13が接続される。この抑止プレースPCD13には、プレースPCS15が含まれる。この抑止プレースPCD13に含まれるプレースPCS15は、プレースPCS15の状態を示す。すなわち、プレースPCS15にトークンtkが存在する場合、抑止プレースPCD13に含まれるプレースPCS15にもトークンtkが存在する。この抑止プレースPCD13に含まれるプレースPCS15にトークンtkが存在する場合には、トランジションts20は、発火が抑止される。また、プレースPCS15にトークンtkが存在しない場合、抑止プレースPCD13に含まれるプレースPCS15にもトークンtkが存在しない。この抑止プレースPCD13に含まれるプレースPCS15にトークンtkが存在しない場合には、トランジションts20は、発火が抑止されない。
ここで、抑止アークnaによって接続される抑止プレースPCDに、複数のプレースPCが含まれる場合がある。この場合、抑止プレースPCDに含まれる複数のプレースPCの内、1つでもトークンtkが存在している間、トランジションtsは発火が抑止される。また、抑止プレースPCDに複数のプレースPCが含まれる場合には、抑止プレースPCDに含まれるプレースPCを総称して抑止プレースPCDと称する。
以下、抑止プレースPCDの具体例について説明する。
【0108】
抑止プレースPCD1は、トランジションts1に接続される。この抑止プレースPCD1には、プレースPCS11S12と、プレースPCS11S12S13とが含まれる。抑止プレースPCD2は、トランジションts2に接続される。この抑止プレースPCD2には、プレースPCS12と、プレースPCS12S13とが含まれる。抑止プレースPCD3は、トランジションts3に接続される。この抑止プレースPCD3には、プレースPCP11と、プレースPCS13と、プレースPCS13S14と、プレースPCS13S14S15とが含まれる。抑止プレースPCD4は、トランジションts6に接続される。この抑止プレースPCD4には、プレースPCP11と、プレースPCS13と、プレースPCS13S14と、プレースPCS13S14S15とが含まれる。抑止プレースPCD5は、トランジションts7に接続される。この抑止プレースPCD5には、プレースPCP11と、プレースPCS13と、プレースPCS13S14と、プレースPCS13S14S15とが含まれる。
【0109】
抑止プレースPCD6は、トランジションts10に接続される。この抑止プレースPCD6には、プレースPCP11と、プレースPCS13S14と、プレースPCS13S14S15とが含まれる。抑止プレースPCD7は、トランジションts11に接続される。この抑止プレースPCD7には、プレースPCS13S14と、プレースPCS13S14S15とが含まれる。抑止プレースPCD8は、トランジションts12に接続される。この抑止プレースPCD8には、プレースPCP12と、プレースPCS14と、プレースPCS14S15とが含まれる。抑止プレースPCD9は、トランジションts14に接続される。この抑止プレースPCD9には、プレースPCS15が含まれる。抑止プレースPCD10は、トランジションts16に接続される。この抑止プレースPCD10には、プレースPCP12と、プレースPCS14S15とが含まれる。抑止プレースPCD11は、トランジションts17に接続される。この抑止プレースPCD11には、プレースPCS14S15が含まれる。抑止プレースPCD12は、トランジションts19に接続される。この抑止プレースPCD12には、プレースPCS15が含まれる。抑止プレースPCD13は、トランジションts20に接続される。この抑止プレースPCD13には、プレースPCS15が含まれる。
【0110】
次に、プレース時間について説明する。ここで、プレース時間とは、トークンtkがプレースPCに遷移してから、そのプレースPCに存在する時間を示す。トランジションtsは、プレース時間の中でも、トランジションtsの遷移前のプレースPCにおけるトークンtkの存在時間に基づいて、発火を抑止する。このトランジションtsの遷移前のプレースPCにおけるトークンtkの存在時間をプレース滞在時間θと称する。
このプレース滞在時間θに基づいて発火を抑止する条件は、下限と、上限との2つ設定される。この下限における条件を最小プレース時間θminと称する。また、上限における条件を最大プレース時間θmaxと称する。
具体的には、トランジションtsに最小プレース時間θminが設定される場合、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θminに達するまでトランジションtsは発火しない。また、トランジションtsに最大プレース時間θmaxが設定される場合、プレース滞在時間θが、最大プレース時間θmaxよりも経過するとトランジションtsは発火しない。
【0111】
この一例の場合、本実施形態のペトリネットによって示される遷移情報Info1に含まれるすべてのトランジションtsには、最大プレース時間θmaxが設定される。この最大プレース時間θmaxは、すべて異常状態判定時間Tmaxとする。この異常状態判定時間Tmaxとは、プレース滞在時間θにトークンtkが存在し続けることによって、車両通過判定装置10が異常遷移であると判定する時間である。
これにより、トランジションtsの遷移前のプレースPCに存在するトークンtkのプレース滞在時間θが最大プレース時間θmaxより長い場合、トランジションtsは発火しない。すなわち、検出器210の検出結果r10が変化した場合であっても、その変化が最大プレース時間θmaxより長い場合、トランジションtsは発火しない。これにより、例えば、検出器210にゴミなどの遮蔽物が付着した場合、検出結果r10は、最大プレース時間θmaxより長い時間“1”となる。このため、車両通過判定装置10は、正常な遷移であると判定しない。
以下、トランジションtsに設定される最小プレース時間θminの具体例について説明する。
【0112】
トランジションts1は、遷移前のプレースPCがプレースPCP10である。このプレースPCP10は、車両通過判定装置10の判定外となる状態であるので、最小プレース時間θminは設定されない。トランジションts2は、最小プレース時間θmin1が設定される。この最小プレース時間θmin1は、(距離d2−距離d1)/最大速度SPmaxによって示される。ここで、車両Vが車両通過レーンLTを通過する最大の速度を、最大速度SPmaxと称する。すなわち、最小プレース時間θmin1は、距離d2と距離d1との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxで通過する場合に要する時間を示す。トランジションts3と、トランジションts6とは、最小プレース時間θmin2が設定される。この最小プレース時間θmin2は、距離d1/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θminは、距離d1を車両Vが最大速度SPmaxおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts4は、最小プレース時間θmin3が設定される。この最小プレース時間θmin3は、(車両長x−(距離d2−距離d1))/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin3は、車両長xと、距離d2との距離d1との差によって示される距離との差を、車両Vの最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
【0113】
トランジションts5は、最小プレース時間θmin4が設定される。この最小プレース時間θmin4は、(車両長x−距離d2)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin4は、車両長xと、距離d2との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts7と、トランジションts10とは、最小プレース時間θmin5が設定される。この最小プレース時間θmin5は、(距離d2−車両長x)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin5は、距離d2と、車両長xとの差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts8は、最小プレース時間θmin6が設定される。この最小プレース時間θmin6は、(距離d2−距離d1)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin6は、距離d2と、距離d1との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
【0114】
トランジションts9は、最小プレース時間θmin7が設定される。この最小プレース時間θmin7は、(車両長x−距離d1)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin7は、車両長xと、距離d1との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
トランジションts11は、最小プレース時間θmin8が設定される。この最小プレース時間θmin8は、(距離d1−車両長x)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin8は、距離d1と、車両長xとの差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
トランジションts12と、トランジションts16には、最小プレース時間θmin9が設定される。この最小プレース時間θmin9は、((距離d1+距離d3)−車両長x)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin9は、距離d1と、距離d3との和と、車両長xとの差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
【0115】
トランジションts13は、最小プレース時間θmin10が設定される。この最小プレース時間θmin10は、車両長x/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin10は、車両長xによって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts14と、トランジションts19とは、最小プレース時間θmin11が設定される。この最小プレース時間θmin11は、(距離d4−距離d3)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin11は、距離d4と、距離d3との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts15は、最小プレース時間θmin12が設定される。この最小プレース時間θmin12は、(車両長x−距離d3)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin12は、車両長xと、距離d3との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
【0116】
トランジションts17は、最小プレース時間θmin13が設定される。この最小プレース時間θmin13は、(距離d3−車両長x)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin13は、距離d3と車両長xとの差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts18は、最小プレース時間θmin14が設定される。この最小プレース時間θmin14は、(車両長x−距離d4)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin14は、車両長xと、距離d4との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts20は、最小プレース時間θmin15が設定される。この最小プレース時間θmin15は、(距離d4−距離d3)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin15は、距離d4と、距離d3との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
【0117】
トランジションts21は、最小プレース時間θmin16が設定される。この最小プレース時間θmin16は、(車両長x−(距離d4−距離d3)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち、最小プレース時間θmin16は、車両長xと、距離d4との距離d3との差によって示される距離との差を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。トランジションts22は、最小プレース時間θmin17が設定される。この最小プレース時間θmin17は、(距離d4−距離d3)/最大速度SPmaxによって示される。すなわち最小プレース時間θmin17は、距離d4と、距離d3との差によって示される距離を、車両Vが最大速度SPmaxにおいて通過する場合に要する時間を示す。
【0118】
これにより、トランジションtsの遷移前のプレースPCに存在するトークンtkのプレース滞在時間θが最小プレース時間θminに満たない場合、トランジションtsは発火しない。すなわち、検出器210の検出結果r10が変化した場合であっても、その変化が最小プレース時間θminによって示される時間内である場合、トランジションtsは発火しない。これにより、例えば、検出器210にゴミなどの遮蔽物が付着し、更にそのゴミが風にあおられてはためく場合など、検出結果r10は、短い時間内で変化を繰り返す。この検出結果r10の変化が最小プレース時間θminに満たない短い変化である場合、車両通過判定装置10は、正常な遷移であると判定しない。
【0119】
また、トークンtkが、現在の状態のプレースPCから、トランジションtsを介して遷移先のプレースPCへ遷移する際、現在の状態のプレースPCにアークaが複数接続される場合がある。この複数あるアークaの内、トークンtkの遷移先を示すアークaは、アーク関数によって定義される。アーク関数とは、アークaに関連付けられるトークンtkの入出力条件を示す関数である。この一例の場合、アーク関数は予め設定される。
車両通過レーンLTを通過する車両Vは、その種類に応じて車両長xが異なる場合がある。この一例では、車両Vの車両長xの情報が予め取得されている場合について説明する。また、車両Vが車両通過レーンLTを通過する速度は、車両V毎に異なる場合がある。ここでは、車両Vが車両通過レーンLTを通過する速度を、車両速度spと称する。この一例では、車両Vの車両速度spの情報が予め取得されている場合について説明する。
この一例では、ペトリネットにおいて車両Vを示すトークンtkは、この車両Vの車両長xと、車両Vの速度spとを変数として備える場合について説明する。このトークンtkが備える車両長xと、車両速度spと、アーク関数とに基づいて、トークンtkの遷移先を示すアークaが定義される。以下、アーク関数の具体例について説明する。
【0120】
プレースPCS11S12に接続されるアークaは、3つ存在する。アーク関数f1が成立する場合、トークンtkは、アークa5を介して遷移する。また、アーク関数f2が成立する場合、トークンtkは、アークa11を介して遷移する。また、アーク関数f3が成立する場合、トークンtkは、アークa7を介して遷移する。
アーク関数f1は、車両長x>距離d2によって示される。すなわち、車両長xが距離d2よりも長い場合にアーク関数f1が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS11S12から、アークa5と、トランジションts3と、アークa6とを介してプレースPCS11S12S13へ遷移する。
アーク関数f2は、距離d1<車両長x<距離d2かつ、車両速度sp>(距離d2−車両長x)/サンプリング時間Tsによって示される。ここで、サンプリング時間Tsとは、検出器210が検出結果r10を車両通過判定装置10へ出力する時間の間隔である。すなわち、車両長xが距離d1よりも長く、距離d2よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d2−車両長xによって示される距離よりも長い場合にアーク関数f2が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS11S12から、アークa11と、トランジションts6と、アークa12とを介してプレースPCS12S13へ遷移する。
アーク関数f3は、距離d1<車両長x<距離d2、かつ、車両速度sp<(距離d2−車両長x)/サンプリング時間Ts、または、距離d1>車両長xによって示される。すなわち、車両長xが距離d1よりも長く、距離d2よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsの間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d2−車両長xによって示される距離よりも短い場合か、車両長xが距離d1よりも短い場合にアーク関数f3が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS11S12から、アークa7と、トランジションts4と、アークa8とを介してプレースPCS12へ遷移する。
【0121】
プレースPCS12に接続されるアークaは、3つ存在する。アーク関数f4が成立する場合、トークンtkは、アークa13を介して遷移する。また、アーク関数f5が成立する場合、トークンtkは、アークa19を介して遷移する。また、アーク関数f6が成立する場合、トークンtkは、アークa15を介して遷移する。
【0122】
アーク関数f4は、車両長x>距離d1によって示される。すなわち、車両長xが距離d1よりも長い場合、アーク関数f4が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS12から、アークa13と、トランジションts7と、アークa14とを介してプレースPCS12S13へ遷移する。アーク関数f5は、車両長x<距離d1と、車両速度sp>(距離d1−車両長x)/サンプリング時間Tsとによって示される。すなわち、車両長xが距離d1よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d1−車両長xによって示される距離よりも長い場合に、アーク関数f5が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS12から、アークa19と、トランジションts10と、アークa20とを介してプレースPCS13へ遷移する。アーク関数f6は、車両長x<距離d1と、車両速度sp<(距離d1−車両長x)/サンプリング時間Tsとによって示される。すなわち、車両長xが距離d1よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d1−車両長xによって示される距離よりも短い場合に、アーク関数f6が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS12から、アークa15と、トランジションts8と、アークa16とを介してプレースPCP11へ遷移する。
【0123】
プレースPCS13に接続されるアークaは、3つ存在する。アーク関数f7が成立する場合、トークンtkは、アークa23を介して遷移する。また、アーク関数f8が成立する場合、トークンtkは、は、アークa31を介して遷移する。また、アーク関数f9が成立する場合、トークンtkは、アークa25を介して遷移する。
【0124】
アーク関数f7は、車両長x>距離d3によって示される。すなわち、車両長xが距離d3よりも長い場合、アーク関数f7が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS13から、アークa23と、トランジションts12と、アークa24とを介してプレースPCS13S14へ遷移する。アーク関数f8は、車両長x<距離d3と、車両速度sp>(距離d3−車両長x)/サンプリング時間Tsによって示される。すなわち、車両長xが距離d3よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d3−車両長xによって示される距離よりも長い場合に、アーク関数f8が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS13から、アークa31と、トランジションts16と、アークa32とを介してプレースPCS14へ遷移する。アーク関数f9は、車両長x<距離d3と、車両速度sp<(距離d3−車両長x)/サンプリング時間Tsによって示される。すなわち、車両長xが距離d3よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d3−車両長xによって示される距離よりも短い場合に、アーク関数f9が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS13から、アークa25と、トランジションts13と、アークa26とを介してプレースPCP12へ遷移する。
【0125】
プレースPCS13S14に接続されるアークaは、3つ存在する。アーク関数f10が成立する場合、トークンtkは、アークa27を介して遷移する。また、アーク関数f11が成立する場合、トークンtkは、アークa37を介して遷移する。また、アーク関数f12が成立する場合、トークンtkは、アークa29を介して遷移する。
【0126】
アーク関数f10は、車両長x>距離d4によって示される。すなわち、車両長xが距離d4よりも長い場合、アーク関数f10が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS13S14から、アークa27と、トランジションts14と、アークa28とを介してプレースPCS13S14S15へ遷移する。アーク関数f11は、車両長x<距離d4と、車両速度sp>(距離d4−車両長x)/サンプリング時間Tsによって示される。すなわち、車両長xが距離d4よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d4−車両長xによって示される距離よりも長い場合に、アーク関数f11が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS13S14から、アークa37と、トランジションts19と、アークa38とを介してプレースPCS14S15へ遷移する。アーク関数f12は、車両長x<距離d4と、車両速度sp<(距離d4−車両長x)/サンプリング時間Tsによって示される。すなわち、車両長xが距離d4よりも短い場合であって、かつサンプリング時間Tsによって示される時間の間に車両Vが方向drへ移動する距離が、距離d4−車両長xによって示される距離よりも短い場合に、アーク関数f12が成立する。この場合、トークンtkは、プレースPCS13S14から、アークa29と、トランジションts15と、アークa30とを介してプレースPCS14へ遷移する。
【0127】
なお、ここではサンプリング時間Tsが、検出器210が検出結果r10を車両通過判定装置10へ出力する時間の間隔である場合について説明したが、これに限られない。検出器210は常に検出結果r10を車両通過判定装置10へ出力しており、車両通過判定装置10に検出結果r10の変化が認識される間隔をサンプリング時間Tsとしてもよい。
【0128】
ここまで、本実施形態のペトリネットが示す遷移情報Info1の遷移について、プレースPC毎と、トランジションts毎とに説明した。これにより、遷移情報Info1は、車両通過レーンLTを走行する車両Vを示すトークンtkとして示すことにより、車両Vの遷移の状態を示す。すなわち、遷移情報Info1は、車両通過レーンLTを通過する車両Vの状態を示す。
ここで、本実施形態において、車両通過判定装置10の、車両Vの正常遷移と、異常遷移とを判定する方法について説明する。本実施形態において、車両通過判定装置10は、各プレースPCに存在するトークンtkのプレース滞在時間θが最大プレース時間θmaxを越えているか否かに基づいて判定する。具体的には、車両通過判定装置10は、トークンtkのプレース滞在時間θが異常状態判定時間Tmaxを越えている場合、車両Vの状態の遷移を、異常遷移であると判定する。
次に、本実施形態において、車両通過判定装置10が、車両Vの状態の遷移を、正常遷移と、異常遷移とに判定する具体例について説明する。
【0129】
[車両Vが方向drに進行する場合]
この一例では、車両V1台が、車両通過レーンLTを順方向に進行した場合について説明する。また、この一例において、車両Vが、位置P10、位置S11、位置S12、位置P11、位置S13、位置P12、位置S14、位置S15と、位置P13と、順方向に進行した場合について説明する。この一例における車両Vを、車両V1と称する。車両V1の車両長xを、車両長x1と称する。車両V1の車両速度spを、車両速度sp1と称する。また、この一例では、すべてのプレースPCにおいて最大プレース時間θmaxが異常状態判定時間Tmaxである場合について説明する。
【0130】
まず、車両V1が位置P10に存在する場合、本実施形態のペトリネットが示す遷移情報Info1のプレースPCP10には、トークンtkが出現する。
ここで、車両V1の進行によって出現するトークンtkをトークンtk1と称する。トークンtk1は、トランジションts1の発火条件が成立し、かつ抑止プレースPCD1の条件が成立しない場合、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1が位置S11へ進行することにより、トランジションts1の発火条件が成立し、トランジションts1が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS11へ遷移する。
【0131】
トークンtk1は、トランジションts2の発火条件が成立し、かつ抑止プレースPCD2の条件が成立しない場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θmin1より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin1によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に、車両V1の後尾が位置S11、車両V1の先頭が位置S12となる位置へ進行する。これにより、トランジションts2が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS11S12へ遷移する。
【0132】
この一例では、アーク関数f3が成立する場合について説明する。
トークンtk1は、トランジションts4の発火条件が成立する場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θmin3より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin3によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に位置S12へ進行する。これにより、トランジションts4が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS12へ遷移する。
【0133】
この一例の場合、アーク関数f6が成立する場合について説明する。
トークンtk1は、トランジションts8の発火条件が成立する場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θmin6より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin6によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に位置P11へ進行する。これにより、トランジションts8が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCP11へ遷移する。
【0134】
トークンtk1は、トランジションts11の発火条件が成立し、かつ抑止プレースPCD7の条件が成立しない場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θmin8より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin8によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に位置S13へ進行する。これにより、トランジションts11が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS13へ遷移する。
【0135】
この一例の場合、アーク関数f9が成立する場合について説明する。
トークンtk1は、トランジションts13の発火条件が成立する場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが最小プレース時間θmin10より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin10によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に位置P12へ進行する。これにより、トランジションts13が発火するすなわち、トークンtk1は、プレースPCP12へ遷移する。
【0136】
トークンtk1は、トランジションts17の発火条件が成立し、かつ抑止プレースPCD11の条件が成立しない場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θmin13より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin13によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に位置S14へ進行する。これにより、トランジションts17が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS14へ遷移する。
【0137】
トークンtk1は、トランジションts20の発火条件が成立し、かつ抑止プレースPCD13の条件が成立しない場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが、最小プレース時間θmin15より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin15によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に、車両V1の後尾が位置S14、車両V1の先頭が位置S15となる位置へ進行する。これにより、トランジションts20が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS14S15へ遷移する。
【0138】
トークンtk1は、トランジションts21の発火条件が成立する場合に、遷移先プレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが最小プレース時間θmin16より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin16によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に、位置S15へ進行する。これにより、トランジションts21が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCS15へ遷移する。
【0139】
トークンtk1は、トランジションts22の発火条件が成立する場合に、遷移先プレースPCへ遷移する。更に具体的には、トークンtk1は、プレース滞在時間θが最小プレース時間θmin17より長く、異常状態判定時間Tmaxより短い場合に、遷移先のプレースPCへ遷移する。
車両V1は、最小プレース時間θmin17によって示される時間経過後から、異常状態判定時間Tmaxによって示される時間の間に、位置P13へ進行する。これにより、トランジションts22が発火する。すなわち、トークンtk1は、プレースPCP13へ遷移する。
【0140】
上述したように、車両Vが車両通過レーンLTを方向drへ進行している場合に、トークンtkのプレース滞在時間θが異常状態判定時間Tmaxを越えない場合、車両通過判定装置10は、車両Vの状態遷移を正常遷移であると判定する。
次に、車両Vの状態遷移が異常遷移する場合について説明する。
【0141】
[車両Vが方向rvに進行する場合]
この一例では、車両V1台が、車両通過レーンLTを逆方向に進行した場合について説明する。また、この一例において、車両Vが、位置P10、位置S11、位置S12、位置P11まで進行したのち、方向rvへ逆走した場合について説明する。この一例における車両Vを、車両V2と称する。車両V2の車両長xを、車両長x2と称する。車両V2の車両速度spを、車両速度sp2と称する。また、この一例では、すべてのプレースPCにおいて最大プレース時間θmaxが異常状態判定時間Tmaxである場合について説明する。また、車両V2が走行することにより、遷移情報Info1に出現するトークンtkをトークンtk2と称する。
【0142】
以下、車両V2がP10から位置P11まで進行するトークンtk2の遷移は、トークンtk1遷移と重複するので、詳細な説明を省略する。
車両V2が、位置P11に存在する場合、トークンtk2は、プレースPCP11に存在する。このプレースPCP11からの遷移は、トランジションts11を介したプレースPCS13のみである。
ここで車両V2が、方向rvである位置S12へ進行した場合、検出器212が車両V2を検出する。この検出結果r10の変化は、プレースPCP11からの遷移であるトランジションts11の発火条件を満たさないため、トークンtk2は、プレースPCP11に存在し続ける。すなわち、トークンtk2のプレース滞在時間θは最大プレース時間θmaxより長くなる。これにより、車両通過判定装置10は、車両Vは異常遷移であると判定する。
【0143】
なお、車両通過判定装置10は、最大プレース時間θmaxを待たなくても、ペトリネットから外れた検知があった場合には、異常状態として判定してもよい。具体的には、車両通過判定装置10は、トークンtkの遷移先となるトランジションtsと、検出結果r10とを比較する。これにより、車両通過判定装置10は、このトランジションtsと、検出結果r10とに不一致がある場合には、異常状態として判定する。
【0144】
次に、車両通過判定装置10の車両通過判定プログラムPrg20に基づく動作について図7を参照して説明する。ここでは、車両通過判定装置10が、車両Vの状態遷移が正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定する場合を一例として説明する。
【0145】
図7は、車両通過判定装置10の動作の一例を示す流れ図である。車両通過判定装置10は、車両通過判定プログラムPrg20に基づいて、図7に示すステップS210から、ステップS270までを実行する。ここで、車両通過判定プログラムPrg20とは、車両通過判定装置10が、車両Vの状態の遷移が正常遷移であるか、異常遷移であるかを判定するための制御プログラムである。
【0146】
取得部111は、車両位置検出装置20から検出結果r10を取得する(ステップS210)。判定部112は、記憶部120から遷移情報Info1を読み出す(ステップS220)。判定部112は、記憶部120から読み出した遷移情報Info1と、取得部111から取得した検出結果r10とに基づいて、遷移情報Info1の車両Vの状態を更新する(ステップS230)。判定部112は、更新した遷移情報Info1の中に、ペトリネットから外れたトークンtkが存在するか否かを判定する(ステップS235)。ペトリネットから外れたトークンtkが存在する場合、車両通過判定装置10は、出力部113から異常遷移の判定結果jを出力する(ステップS260)。ペトリネットから外れたトークンtkが存在しない場合(ステップS235:NO)、処理をステップS240へ進める。判定部112は、更新した遷移情報Info1の中に、プレース滞在時間θが最大プレース時間θmaxより長いトークンtkが存在するか否かを判定する(ステップS240)。車両通過判定装置10は、判定結果jが正常遷移の場合、出力部113から正常遷移の判定結果jを出力する(ステップS250)。車両通過判定装置10は、判定結果jが異常遷移の場合、出力部113から異常遷移の判定結果jを出力する(ステップS260)。判定部112は、更新された遷移情報Info1を記憶部120へ書き込む(ステップS270)。
【0147】
以上説明したように、本実施形態の遷移情報Info1はペトリネットによって示される。ペトリネット上において車両Vをトークンtkとして示すことにより、車両Vの状態は、トークンtkが存在するプレースPCによって示される。また、遷移情報Info1としてペトリネットを使用することにより、複数のトークンtkの状態が同時に示される。すなわち、遷移情報Info1としてペトリネットを使用することにより、複数の車両Vの状態が同時に示される。これにより、車両通過判定装置10は、複数の車両Vの状態の遷移を同時に判定することができる。
【0148】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0149】
なお、上記の実施形態における車両通過判定装置10が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0150】
なお、車両通過判定装置10が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、車両通過判定装置10が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0151】
また、車両通過判定装置10が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0152】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0153】
10…車両通過判定装置、20…車両位置検出装置、30…表示装置、111…取得部、112…判定部、113…出力部、120…記憶部、PC…プレース、ts…トランジション、tk…トークン、a…アーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7