特許第6566329号(P6566329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社新盛インダストリーズの特許一覧

<>
  • 特許6566329-インクジェットプリンタ− 図000002
  • 特許6566329-インクジェットプリンタ− 図000003
  • 特許6566329-インクジェットプリンタ− 図000004
  • 特許6566329-インクジェットプリンタ− 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566329
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ−
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20190819BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20190819BHJP
   B65H 1/18 20060101ALI20190819BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20190819BHJP
   B41J 11/24 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   B65H7/02
   B65H1/04 310
   B65H1/18 310
   B65H3/06 340C
   B41J11/24
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-16240(P2018-16240)
(22)【出願日】2018年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-131379(P2019-131379A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2018年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591110078
【氏名又は名称】株式会社新盛インダストリーズ
(72)【発明者】
【氏名】浅井 省行
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−001302(JP,A)
【文献】 特開2007−203633(JP,A)
【文献】 特開平10−101238(JP,A)
【文献】 特開2014−117856(JP,A)
【文献】 特開2016−193776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68
B65H 7/00− 7/20
B65H 43/00−43/08
B41J 3/36− 3/37
B41J 11/00−11/70
B41J 29/00−29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された記録媒体を案内支持するとともに上下自在に移動するプラテンと、該プラテンを上方向に付勢する付勢手段と、前記プラテンに対向して設けられ前記記録媒体に印刷を行う記録ヘッドと、前記プラテンの上方向の移動によって積層された最上位の前記記録媒体を押さえる押さえ板と、前記記録ヘッドによって印刷された最上位の前記記録媒体が手動で長手方向に取り出された時に、取り出された最上位の前記記録媒体を押圧しながら回転するピックアップローラと、該ピックアップローラに連動して回転するエンコーダを備えて最上位の前記記録媒体の移動量を検出する移動量検出装置と、前記ピックアップローラは、取り出された最上位の前記記録媒体の移動に伴って揺動するようになっていることを特徴とするインクジェットプリンタ−。
【請求項2】
最上位の前記記録媒体が移動して、最上位の前記記録媒体の後縁が前記記録ヘッドで印刷された印刷領域を通過したことを検出して、次の記録媒体に印刷を開始することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された記録媒体に印刷を行ってから1枚ずつ取り出して、次の記録媒体に印刷をするようにしたインクジェットプリンタ−に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ−、ファクシミリなどの画像形成装置では、シート材搬送装置を備えており、シート材搬送装置から一枚ずつ分離されて画像形成ユニットに供給され画像形成されている。シート材搬送装置には、シート材を載置するシート材積載カセットが装着されている
【0003】
このシート材積載カセット上に載置された最上位のシート材に自重で接触して回転可能な給送ローラによって1枚ずつ分離給送される。また、給送ローラは、回動軸を中心に回動可能に設けられ、載置されたシート材の高さに応じて移動可能となっている。このようなシート材搬送装置を備えた画像形成装置の一例としてレーザプリンタが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−335167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシート材搬送装置及び画像形成装置は、シート材搬送装置に装着されたシート材積載カセットにシート材が載置され、最上位のシート材に接触した回転可能な給送ローラによって1枚ずつ画像形成ユニットに分離給送しているため、シート材搬送装置が必要になり画像形成装置本体が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、積層された記録媒体を案内支持するプラテン上で印刷を行い、印刷後の最上位の記録媒体が印刷領域を通過して取り出されたら次の記録媒体に印刷するインクジェットプリンタ−を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために請求項1に記載のインクジェットプリンタ−は、積層された記録媒体を案内支持するとともに上下自在に移動するプラテンと、該プラテンを上方向に付勢する付勢手段と、前記プラテンに対向して設けられ前記記録媒体に印刷を行う記録ヘッドと、前記プラテンの上方向の移動によって積層された最上位の前記記録媒体を押さえる押さえ板と、前記記録ヘッドによって印刷された最上位の前記記録媒体が手動で長手方向に取り出された時に、取り出された最上位の前記記録媒体を押圧しながら回転するピックアップローラと、該ピックアップローラに連動して回転するエンコーダを備えて最上位の前記記録媒体の移動量を検出する移動量検出装置と、前記ピックアップローラは、取り出された最上位の前記記録媒体の移動に伴って揺動するようになっているものである。
【0008】
上記の課題を解決するために請求項2に記載のインクジェットプリンタ−は、最上位の前記記録媒体が移動して、最上位の前記記録媒体の後縁が前記記録ヘッドで印刷された印刷領域を通過したことを検出して、次の記録媒体に印刷を開始するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ−は、積層された記録媒体を案内支持するとともに上下自在に移動するプラテンと、該プラテンを上方向に付勢する付勢手段と、前記プラテンに対向して設けられ前記記録媒体に印刷を行う記録ヘッドと、前記プラテンの上方向の移動によって積層された最上位の前記記録媒体を押さえる押さえ板と、前記記録ヘッドによって印刷された最上位の前記記録媒体が手動で長手方向に取り出された時に、取り出された最上位の前記記録媒体を押圧しながら回転するピックアップローラと、該ピックアップローラに連動して回転するエンコーダを備えて最上位の前記記録媒体の移動量を検出する移動量検出装置と、前記ピックアップローラは、取り出された最上位の前記記録媒体の移動に伴って揺動するようになっているので、材質の柔らかい記録媒体が波を打って取り出されても正確に追従して、最上位の記録媒体の移動量を正確にしかも簡易な方法で検出することができる。
【0010】
また、請求項2に記載のインクジェットプリンタ−は、最上位の前記記録媒体が移動して、最上位の前記記録媒体の後縁が前記記録ヘッドで印刷された印刷領域を通過したことを検出して、次の記録媒体に印刷を開始するので、次の記録媒体を印刷するまでの待機時間が少なく短時間で印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの概略斜視図である。
図2】本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの長手方向の概略断面図である。
図3】本発明に係るインクジェットプリンタ−の移動量検出装置の拡大斜視図であって、(a)図は、左斜目上から見た概略斜視図であり、(b)図は、右斜目上から見た概略斜視図である。
図4】本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施例にて、本発明に係るインクジェットプリンタ−について実施例に基づいて詳述する。なお、本発明については、実施例の詳細な説明だけに限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【実施例】
【0013】
本実施例では、記録媒体の一例としてプラテンに積層されたポリ袋に印刷される場合のインクジェットプリンタ−について説明する。図1は、本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの概略斜視図であり、図2は、本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの長手方向の概略断面図であり、図4は、本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの概略平面図である。図1図2および図4において、インクジェットプリンタ−1は、主として筐体2(二点鎖線で示されている。)とテーブル3とから成り、筐体2は、ポリ袋Wの取り出し方向Aの上流側の後端を支点として前後方向に回動するようになっている。
【0014】
筐体2のポリ袋Wの取り出し方向Aの前面にポリ袋が取り出された時に、ポリ袋Wの移動量を検出する移動量検出装置4が筐体2の前面に設けられている。また、テーブル3の底板3aには、付勢手段の一例としてコイルバネ6が上方に付勢するように設けられ、ポリ袋Wが積層されたプラテン5を押し上げ、テーブル3の上面と同じ高さになるように設けられた押さえ板7に積層されたポリ袋Wの一部分が押圧されている。
【0015】
インクジェットプリンタ−1の幅方向の記録ヘッドの印刷方向Bに記録ヘッド8が走査し、記録ヘッド8からインクが吐出されてポリ袋Wに印刷され、印字領域9(二点鎖線で示されている。)が形成される。印刷後は、図4のように記録ヘッド8が印字領域9から退避してテーブル3の左端から記録ヘッド8の左端までの距離Lのホームポジションの位置まで走査して待機する。また、押さえ板7の中央部は、印字領域9よりやや大きくなるように開口部10が形成されている。
【0016】
次に、移動量検出装置4について詳述する。図3は、本発明に係るインクジェットプリンタ−の移動量検出装置の拡大斜視図であって、(a)図は、左斜目上から見た概略斜視図であり、(b)図は、右斜目上から見た概略斜視図である。図3において、筐体2の前面に設けられた移動量検出装置4のコノ字状のフレーム11に枢軸14が回転自在に枢着されている。また、フレーム11の内方には、コの字状に形成された揺動フレーム15が枢軸14に回動するように枢着されている。一方、揺動フレーム15から横に突出したフック15aとフレーム11から横に突出したフック(フレーム11に隠れて見えない。)にコイルバネ16が懸架され、揺動フレーム15が枢軸14に対して時計方向に回動するように付勢力が作用している。
【0017】
フレーム11の下方には、片持ち軸17がフレーム11に回転自在に枢着され、ピックアップローラ12と駆動ギア13が一体となって片持ち軸17に嵌合され、片持ち軸17と一体となって回転する。また、枢軸14には、従動ギア18と回転ディスク19が嵌合され枢軸14と一体となって回転し、駆動ギア13と従動ギア18が歯合している。一方、ピックアップローラ12は、積層されたポリ袋Wの最上位のポリ袋Wの表面を押圧し、最上位のポリ袋Wを一枚ずつ取り出した時に、ポリ袋Wの移動に連動して回転するように高さ調整されている。
【0018】
回転ディスク19には、円周状に等角度でスリット19aが形成されるとともに、スリット19aを挟んで対向位置に図示されていない発光素子と受光素子が揺動フレーム15に一体に設けられたサブフレーム20に設けられ、回転ディスク19が回転することによってパルス出力が得られ、このパルス出力が図示されていないコントローラに入力されて回転数を検出することができる。ここでは、エンコーダ21は、主としてスリット19aが形成された回転ディスク19、発光素子と受光素子とコントローラを含んでいる。このようにして、移動量検出装置4が構成されている。
【0019】
次に、最上位のポリ袋Wを取り出した時の最上位のポリ袋Wの移動量の検出方法について詳述する。図1および図2において、積層されたポリ袋Wの一番上のポリ袋Wに印刷方向Bに記録ヘッド8が走査して印刷が終了すると、作業者が印刷が終了された最上位のポリ袋Wの前縁を摘んで取り出し方向Aへ取り出す。すると、ポリ袋Wの移動に連動してポリ袋Wを押圧しているピックアップローラ12が回転し、駆動ギア13もピックアップローラ12と一体となって回転し、駆動ギア13に歯合した従動ギア18も回転する。
【0020】
従動ギア18が回転すると、枢軸14とともに回転ディスク19も一体となって連動して回転し、スリット19aを挟んで対向位置に設けられた発光素子と受光素子によってパルス出力が得られ、コントローラに入力されることによって回転ディスク19の回転数が検出され取り出されたポリ袋Wの移動距離が検出される。
【0021】
図4は、本発明に係るインクジェットプリンタ−の筐体を取り除いたテーブルの概略平面図である。図4において、距離Sは、プラテン5に積層されたポリ袋Wの後縁と印字領域9の前縁までの距離を示している。作業者が印刷が終了した最上位のポリ袋Wを取り出し方向Aへ取り出して、最上位のポリ袋Wが距離Sだけ移動したと検出されると、印字領域9を通過して全体が開放された状態となる。そうすると、複数枚の印刷をするように設定された時は、最上位のポリ袋Wが距離Sだけ移動したと検出されたら次のポリ袋Wの印刷が開始される。
【0022】
印刷された最上位のポリ袋Wが1枚ずつ取り出されるごとに、テーブル3の底板3aに設けられたコイルバネ6の上方向への付勢力によってプラテン5に積層されたポリ袋Wが押さえ板7の方へ押し上げられ、ピックアップローラ12が略一定の押圧力で最上位のポリ袋Wを押圧しながら回転することになる。
【0023】
記録媒体の一例としてのポリ袋は、材質が柔らかく可撓性があるため、最上位のポリ袋Wを取り出す時にゆるやかに波を打って移動するが、その場合でも、ピックアップローラ12は、枢軸14回りに揺動フレーム15が回動するので、取り出される最上位のポリ袋Wのゆるやかな波にスムーズに追従することができる。
【0024】
本実施例では、記録媒体の一例としてポリ袋が積層された場合について説明してあるが、ポリ袋のような材質の柔らかい可撓性のあるものから紙類やプラスチックのような硬いものまで適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
近年、利便性とコスト面から商品に製造年月日や賞味期限などが印刷されたラベルを貼付する代わりに、直接製品のポリ袋やフィルムなどに印刷するようになっている。今までの枚葉状の用紙に印刷するだけでなく、このような商品のいろいろな包装材やダンボール箱などに直接印刷する方法として、インクジェットプリンターが広く利用されつつある。
【符号の説明】
【0026】
1 インクジェットプリンタ−
2 筐体
3 テーブル
3a 底板
4 移動量検出装置
5 プラテン
6 コイルバネ
7 押さえ板
8 記録ヘッド
9 印字領域
10 開口部
11 フレーム
12 ピックアップローラ
13 駆動ギア
14 枢軸
15 揺動フレーム
15a フック
16 コイルバネ
17 片持ち軸
18 従動ギア
19 回転ディスク
19a スリット
20 サブフレーム
21 エンコーダ
A 取り出し方向
B 印刷方向
L テーブル3の左端から記録ヘッド8の左端までの距離
W ポリ袋
S ポリ袋Wの後縁と印字領域9の前縁までの距離
図1
図2
図3
図4