(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリーブは、前記筒部材の一部を形成し前記外周側部材及び前記内周側部材の他方の側に位置し前記他方との間を密封可能な弾性体で形成された前記軸線を中心とする環状のガスケット部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の密封装置。
【背景技術】
【0002】
ロボットのアームやエレベータ等には減速機を介してモータからの駆動力が伝達され、所望のトルクが発生又は作用するようになっている。減速機は、主として回転軸や歯車をハウジング内に備えられており、また、ハウジング内には、回転軸や歯車の潤滑剤として、グリース等の潤滑油が充填されている。潤滑油は密封装置によってハウジングから外部へ漏れ出ることを防止されている。
【0003】
図2は、減速機に用いられている従来の密封装置の概略構成を示すための断面図である。減速機に用いられている従来の密封装置100は、補強環101と、補強環101に一体的に形成されている弾性体から成る弾性体部102とを備え、弾性体部102は、減速機の軸112が摺動可能に軸112に接触するシールリップ103を備えている。弾性体部102には、ガータスプリング104が嵌着されており、ガータスプリング104はシールリップ103に軸112に対する緊迫力を与えている。また、密封装置100は、補強環101の内周側に嵌着された環状の取付環106に形成された補助リップとしての異物除去リップ105を有しており、異物除去リップ105は、シールリップ103よりも内部側において、軸112が摺動可能に軸112に接触している。
【0004】
密封装置100は、減速機のハウジング110の貫通孔111に挿通された軸112との間に取り付けられて、貫通孔111の密封を図り、ハウジング110内に充填されている潤滑油の外部への漏洩の防止を図っている。
【0005】
減速機内においては、ギア等の部品の接触により金属の摩耗粉が発生するが、この摩耗粉等の異物が潤滑油と共にシールリップ103と軸112との間に噛み込まれると、シールリップ103や軸112が摩耗してシールリップ103のシール性能が低下してしまう。このため、異物除去リップ105は、異物がシールリップ103方向に侵入することを抑制しており、シールリップ103のシール性能の低下を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、モータの制御の高速化や複雑化により、減速機においてもギア等の部品の運動が高速化し又は複雑化し、摩耗粉が多く発生して潤滑油中の異物が多くなり、従来の密封装置100においては、異物が異物除去リップ105を超えて、シールリップ103と軸112との間に侵入してしまう場合があった。これにより、従来の密封装置100においては、シールリップ103や軸112の摩耗の進行が早く、シールリップ103のシール性能の低下が早くなり、寿命が短くなってしまう場合があった。
【0008】
このため、従来の減速機に用いられる密封装置においては、異物がシールリップと軸との間に侵入しないようにする異物の遮断能力を向上させ、異物が多く発生する場合においても、異物がシールリップと軸との間に侵入してしまうことを抑制することができる構成が求められていた。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、異物の遮断能力を向上させることができる密封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線について互いに相対回動可能な環状の外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された内周側部材との間を密封する密封装置であって、前記外周側部材及び前記内周側部材の一方に取り付けられるオイルシールと、前記外周側部材及び前記内周側部材の他方に対して相対回動不能に設けられ前記軸線を中心とする環状のスリーブとを備え、前記オイルシールは、前記軸線を中心とする環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線を中心とする環状の弾性体部と、前記軸線に交差する径方向へ広がる円盤部を有し前記補強環に嵌着されている前記軸線を中心とする環状の取付環と、該取付環に取り付けられている前記軸線を中心とする環状の第1補助リップとを備え、前記弾性体部は、前記外周部材及び前記内周部材の他方に当接する環状のシールリップを備え、前記第1補助リップは、前記シールリップよりも内部側において前記外周側部材及び前記内周側部材の他方に当接し、前記スリーブは、前記外周側部材及び前記内周側部材の他方に前記軸線に沿って設けられた筒部材と、前記内部側で前記径方向へ前記筒部材から延設されると共に先端部に前記外周側部材及び前記内周側部材の一方に当接する第2補助リップが形成されたフランジ部とを備え、前記フランジ部は、前記取付環の前記円盤部に前記内部側から対向してラビリンスシール部を形成する間隙を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る密封装置において、前記第2補助リップは、前記内部側に向かって傾斜して延びている。
【0012】
本発明の一態様に係る密封装置において、前記スリーブは、前記外周側部材及び前記内周側部材の他方に取り付け取り外し可能に取り付けられている。
【0013】
本発明の一態様に係る密封装置において、前記スリーブは、前記筒部材の一部を形成し前記外周側部材及び前記内周側部材の他方の側に位置し前記他方との間を密封可能な弾性体で形成された前記軸線を中心とする環状のガスケット部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る密封装置によれば、異物の遮断能力を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための軸線に沿う断面における密封装置の断面図である。本発明の実施の形態に係る密封装置1は、減速機50の外周側部材としてのハウジング51において、内周側部材としての軸52が挿通された貫通孔53に取り付けられて、貫通孔53の密封を図り、潤滑油がハウジング51の内部から貫通孔53を介して外部へ漏れ出ることを抑制すると共に、雨水や泥水やダスト等がハウジング51の外部から貫通孔53を介してハウジング51の内部へ侵入することを抑制する。
【0018】
密封装置1は、
図1に示すように、ハウジング51の貫通孔53に取り付けられたオイルシール10と、軸52の周囲との間を密封可能に軸52と一体的に嵌め込まれる環状のスリーブ30とを備えている。以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(
図1参照)方向を外側とし、軸線x方向において矢印b(
図1参照)方向を内側(内部側)とする。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう)において、軸線xから離れる方向(
図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(
図1の矢印d方向)を内周側とする。
【0019】
オイルシール10は、
図1に示すように、軸線xを中心とする環状の金属製の補強環11と、軸線xを中心とする環状の弾性体から成る弾性体部12と、補強環11に嵌着されている軸線xを中心とする環状の取付環13と、取付環13に取り付けられている軸線xを中心とする環状の第1補助リップとしての外側異物除去リップ14とを備えている。補強環11の金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延綱)がある。弾性体部12の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
【0020】
補強環11は、軸線xに沿う断面(以下、単に「断面」ともいう。)が略L字状の形状を呈しており、円盤部11aと、円筒部11bとから形成されている。円盤部11aは、例えば軸線xに垂直な方向に広がる中空円盤状の部分であり、円筒部11bは、円盤部11aの外周側の端部から軸線x方向において内側に延びる円筒状の部分である。
【0021】
弾性体部12は、補強環11に取り付けられており、本実施の形態においては補強環11は弾性体部12に埋設されており、弾性体部12は補強環11全体を覆うように補強環11と一体的に形成されている。弾性体部12は、リップ腰部15と、シールリップ16と、ダストリップ17とを備えている。
図1に示すように、リップ腰部15は、補強環11の円盤部11aにおける内周側の端部の近傍に位置する部分であり、シールリップ16は、リップ腰部15から内側に向かって延びる部分であり、補強環11の円筒部11bに対向して配置されている。ダストリップ17は、リップ腰部15から軸線xに向かって延びている。
【0022】
シールリップ16は、内側の端部に、断面形状が内周側に向かって凸の楔形状の環状のリップ先端部16aを有している。リップ先端部16aは、後述するスリーブ30の筒部材31の外周面に筒部材31が摺動可能に接触するように形成されており、スリーブ30の筒部材31との間を密封するようになっている。また、シールリップ16の外周側には、シールリップ16を径方向において内周側に付勢するガータスプリング18が嵌着されている。ガータスプリング18は、シールリップ16に軸52に対する緊迫力を与えている。ダストリップ17は、リップ腰部15から延びる部位であり、外側且つ内周側に向かって延出しており、ダストリップ17により、外側からリップ先端部16a方向へのダスト等の侵入の防止が図られている。
【0023】
また、弾性体部12は、ライニング部19と、ガスケット部20とを備えている。ライニング部19は、補強環11の円筒部11bを内周側から覆い、ガスケット部20は、補強環11の円筒部11bを外周側から覆っている。
【0024】
取付環13は、
図1に示すように、断面略L字状の形状を呈しており、円盤部13aと、円筒部13bとから形成されている。円盤部13aは、軸線xに交差する径方向に広がる中空円盤状の部分であり、円筒部13bは、円盤部13aの外周側の端部から軸線x方向において外側へ延びる円筒状の部分である。なお、軸線xに交差する径方向とは、例えば軸線xに垂直な方向であるが、軸線xに垂直な方向のみに限られないものである。取付環13は、補強環11に嵌着されている。より具体的には、取付環13は、補強環11の円筒部11bとシールリップ16との間の空間において圧入されており、取付環13の円筒部13bが補強環11の円筒部11bとの間において弾性体部12のライニング部19を外周側に圧縮して取り付けられている。
【0025】
外側異物除去リップ14は、取付環13の円盤部13aの内周側の端部から軸線xに向かって延びるリップであり、シールリップ16と同じ弾性体から形成されており、軸52の外周面52aに軸52が摺動可能に接触するように形成されている。外側異物除去リップ14は、具体的には、取付環13の円盤部13aの内周側の端部から内周側及び内側に向かって斜めに延びる円錐筒状の部材である。
【0026】
スリーブ30は、軸線xを中心とする環状の形状を有しており、内周側部材としての軸52に対して相対回動不能に軸52と一体的に動作可能になるように設けられている。スリーブ30は、断面略L字状の形状を呈しており、軸線xに沿って設けられた筒部材31と、内部側で筒部材31から径方向へ延設されるフランジ部32とを備えている。フランジ部32の先端部には外周側部材としてのハウジング51に当接する第2補助リップとしての内側異物除去リップ36が形成されており、フランジ部32は内部側からオイルシール10の内側の面を覆うように設けられている。
【0027】
また、スリーブ30は、
図1に示すように、金属材から成る軸線xを中心とする環状の形状の断面略L字状のスリーブ補強環33と、スリーブ補強環33に一体的に取り付けられた弾性体から成る軸線xを中心とする環状の形状の断面略L字状のスリーブ弾性体部34とを有している。スリーブ弾性体部34は、ゴム材からなり、ゴム材をゴム焼き付けの方法(加硫接着)によってスリーブ補強環33に焼き付けて形成されたものであり、ゴム焼き付けの方法によって形成しているために耐久性に優れるものである。また、スリーブ弾性体部34のゴム材がスリーブ補強環33に焼き付けられスリーブ弾性体部34とスリーブ補強環33とが一体的に形成されているので、スリーブ30を軸52に取り付ける際あるいはスリーブ30を交換する際に軸52を傷付けることなく作業を行うことができる。スリーブ補強環33を構成する金属材は例えば補強環11を構成する金属材と同じものであり、スリーブ弾性体部34を構成するゴム材はゴム焼き付け方法に適した耐久性のあるゴム材、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
【0028】
スリーブ弾性体部34の筒部材31を形成する部分であるガスケット部34aは、スリーブ補強環33の筒部材31を形成する部分である補強環筒部材33aに対して軸52側に位置し、スリーブ弾性体部34のフランジ部32を形成する部分である弾性体部フランジ部34bは、スリーブ補強環33のフランジ部32を形成する部分である補強環フランジ部33bに対し内部側に位置している。具体的には、スリーブ補強環33の補強環筒部材33aは、軸線xを中心とする円筒状の部材である。スリーブ30の取り付け状態において、ガスケット部34aは補強環筒部材33aと軸52との間で圧縮され弾性変形しスリーブ30との間を密封する。補強環筒部材33aの外周面は、シールリップ16とダストリップ17と外側異物除去リップ14に対する摺動面を形成し、シールリップ16とダストリップ17と外側異物除去リップ14が補強環筒部材33aの外周面に当接している。
【0029】
スリーブ30は、軸52に取り付け取り外し可能に取り付けることが可能である。このために、シールリップ16とダストリップ17と外側異物除去リップ14等が位置するオイルシール10の内周側の面と軸52の外周面52aとの間には、スリーブ30の筒部材31を嵌め込むための円環状の嵌め込み隙間35が形成されており、嵌め込み隙間35の間隔はスリーブ30の筒部材31の径方向の厚さよりも所定量だけ小さく設定されている。スリーブ30の外側の先端部は嵌め込み隙間35に差し込みやすいように先細に形成されている。スリーブ30の筒部材31を嵌め込み隙間35に嵌め込むことによってスリーブ弾性体部34が径方向に弾性変形しながらスリーブ補強環33と共に嵌め込み隙間35に嵌め込まれ、この結果、スリーブ30は軸52と一体的動作可能であって軸52に対して密封することが可能になる。また、シールリップ16等とのシール摺動面である補強環筒部材33aの外周面が摩耗粉等で劣化した場合には、劣化したスリーブ30を嵌め込み隙間35から抜き出し、新たなスリーブ30と交換することが可能である。このように、スリーブ30を交換するだけで、シールリップ16とダストリップ17と外側異物除去リップ14とのシール摺動面である補強環筒部材33aの外周面のメイテナンスを容易に図ることができる。
【0030】
内側異物除去リップ36はフランジ部32の外周側の端部から貫通孔53の周面53aに向かって延びるリップであり、ハウジング51の貫通孔53の周面53aに摺動可能に接触するように形成されている。内側異物除去リップ36は、具体的には、スリーブ弾性体部34と同一材料から一体的に形成されており、スリーブ弾性体部34の弾性体部フランジ部34bの外周側の端部から外周側及び内側に向かって斜めに延びる円錐筒状の部材である。
図1に示すように、弾性体部フランジ部34bの先端部は補強環フランジ部33bの先端部を包むような形状を有し、弾性体部フランジ部34bの先端部の外側面と補強環フランジ部33bの外側面とが略同一面を形成している。なお、弾性体部フランジ部34bを省きスリーブ弾性体部34をガスケット部34aのみで構成することも可能であり、この場合には、内側異物除去リップ36を補強環フランジ部33bの先端部に取り付けるようにすればよい。
【0031】
スリーブ30のフランジ部32は、取付環13の円盤部13aに内部側から対向してラビリンスシール部を形成する間隙gを形成している。ラビリンスシール部は
図1において斜線部で示されている。具体的には、
図1に示すように、間隙gは、フランジ部32の外側面を形成する補強環フランジ部33bの外側面及び補強環フランジ部33bを包み込む弾性体部フランジ部34bの外側面と、取付環13の円盤部13aに取り付けられた外側異物除去リップ14の外周側の外側異物除去リップ基部14aの内側面との間に形成されており、軸線xに垂直な方向に扁平に環状に形成されている。なお、本実施の形態においては、外側異物除去リップ14は外周側に外側異物除去リップ基部14aを有しており、外側異物除去リップ基部14aは円盤部13aの内側面に加硫接着されているが、外側異物除去リップ14は外側異物除去リップ基部14aを有していなくともよく、この場合、間隙gはスリーブ30のフランジ部32と円盤部13aとの間に形成される。
【0032】
上述の補強環11は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部12は成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。また、この架橋成形の際に、補強環11は成形型の中に配置されており、弾性体部12が架橋接着により補強環11に接着され、弾性体部12が補強環11と一体的に成形される。また、同様に、取付環13は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、外側異物除去リップ14が架橋成形により一体的に成形される。
【0033】
使用状態において、密封装置1におけるオイルシール10は、ハウジング51の貫通孔53の周面53aと、軸52の外周面52aとの間に形成される空間の密封を図っている。具体的には、オイルシール10は、ハウジング51の貫通孔53に圧入されて取り付けられ、弾性体部12のガスケット部20が圧縮されて貫通孔53の周面53aに当接している。これにより、オイルシール10とハウジング51の貫通孔53の周面53aとの間の密封が図られている。また、シールリップ16のリップ先端部16aは、スリーブ30の補強環筒部材33aの外周面に当接して、オイルシール10とスリーブ30の筒部材31との間の密閉が図られている。このように、オイルシール10は、ハウジング51内の潤滑油が外部に漏れ出ることの防止を図っている。
【0034】
潤滑油や摩耗粉等の異物がシールリップ16に到達するように移動するとすれば、異物は、まず内側異物除去リップ36を通過し、次にラビリンスシール部を形成する間隙gをハウジング51側からスリーブ30の筒部材31側へ移動し、次に外側異物除去リップ14を通過して、シールリップ16に到達することになる。異物は、外側異物除去リップ14に至るまでに、内側異物除去リップ36と間隙gによるラビリンスシール部とを経る必要があり、密封装置1は、摩耗粉がシールリップ16に到達しないようにする遮断能力を向上させることができる。
【0035】
以上、本実施の形態によれば、スリーブ30のフランジ部32は、その先端部にハウジング51に当接する内側異物除去リップ36を有すると共に、取付環13の円盤部13aに内部側から対向してラビリンスシール部を形成する間隙gを形成しているので、外側異物除去リップ14に加えて内側異物除去リップ36とラビリンスシール部(間隙g)をさらに設けることができ、密封装置1の摩耗粉等の異物の遮断能力を向上させることができる。これにより、減速機50が厳しい使用条件で使用されて摩耗粉が多く発生して潤滑油中に異物が多くなる場合においても、密封装置1は、シールリップ16のシール性能の低下を抑制することができ、寿命を長くすることができ、また、減速機50の寿命をも長くすることができる。
【0036】
また、内側異物除去リップ36はハウジング51側に設けられ外側異物除去リップ14はハウジング51側と対向するスリーブ30の筒部材31側に設けられ、内側異物除去リップ36と外側異物除去リップ14との間には径方向に扁平なラビリンスシール部が形成されているので、摩耗粉等の異物は内側異物除去リップ36から外側異物除去リップ14へ流動するまでに高い流動抵抗を受けることになり、密封装置1の摩耗粉等の異物の遮断能力を向上させることができる。
【0037】
また、内側異物除去リップ36は内部側に向かって傾斜して延びているので、内部側から外側へ異物が侵入するように内部側から外側へ流動圧力が作用した場合に、内側異物除去リップ36の先端部はハウジング51の貫通孔53の周面53aにより強く当接するように圧力を受け、内側異物除去リップ36と周面53aとの間に異物が侵入可能な隙間を形成しにくくすることができる。また、外側から内側に流動圧力が作用する場合には、内側異物除去リップ36より外側に存在する異物が内側異物除去リップ36より内側に移動するように内側異物除去リップ36が開くように変形しやすくなっているので、内側異物除去リップ36に対して外側にある異物は、遠心力の作用を受けてハウジング51の貫通孔53の周面53a側へ集められ内側異物除去リップ36を通って内部側に効率的に戻されることになる。
【0038】
また、内側異物除去リップ36は、ハウジング51の貫通孔53の周面53aに当接しているので、軸52がハウジング51に対し相対的に回転した場合に、内側異物除去リップ36の先端部は遠心力の作用を受けて周面53aに押しつけられ、内側異物除去リップ36の締め代を失いにくくすることができ、また、遠心力の作用を受ける異物が内側異物除去リップ36の先端部に押し付けられることによって内側異物除去リップ36の先端部をハウジング51の貫通孔53の周面53aにより強く当接させ、周面53aとの間に異物が侵入可能な隙間を形成しにくくすることができる。
【0039】
また、スリーブ30は軸52に取り付け取り外し可能に取り付けることが可能であるので、シールリップ16等とのシール摺動面が摩耗粉等で劣化した場合にも、シール摺動面のメイテナンスを容易に図ることができる。
【0040】
また、スリーブ30は筒部材31の一部を形成するガスケット部34aを備えるので、潤滑油が内部側から外側へ漏れ出ないようにスリーブ30の内周面と軸52の外周面との間を密封することができる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る密封装置に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部をそうするように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。本実施の形態においては、回動する内周側部材としての軸52にスリーブ30が取り付けられ、回動しない外周側部材としてのハウジング51にオイルシール10が取り付けられるとしたが、本発明はこれに限られず、オイルシールは互いに相対回動可能な外周側部材及び内周側部材の一方に、スリーブは外周側部材及び内周側部材の他方に取り付けられていればよく、例えば、オイルシール10は回動可能なハウジング51に取り付けられ、スリーブ30は回動不能な軸52に取り付けられてもよい。