特許第6566396号(P6566396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566396
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】レーダ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/28 20060101AFI20190819BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20190819BHJP
   G01S 7/282 20060101ALI20190819BHJP
   H04B 7/04 20170101ALI20190819BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   G01S13/28 210
   G01S7/02 212
   G01S7/282 200
   H04B7/04
   H01Q21/06
【請求項の数】3
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-155863(P2015-155863)
(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公開番号】特開2017-32522(P2017-32522A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年2月26日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、140GHz帯高精度レーダーの研究開発に係る委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】岸上 高明
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/147980(WO,A1)
【文献】 特開2015−132556(JP,A)
【文献】 特開2012−145332(JP,A)
【文献】 特開2012−083143(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/147941(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/129142(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00−7/42
G01S 13/00−13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nt個(Ntは3以上)の送信符号系列を変調してNt個のレーダ信号を生成し、前記レーダ信号を互いに異なるNt個の送信アンテナから送信するレーダ送信部と、
前記レーダ信号がターゲットに反射された反射波信号をNr個(Nrは複数)の受信アンテナを用いて受信し、ドップラー周波数解析処理を行うレーダ受信部と、
を具備し、
前記レーダ送信部は、
所定の符号長を有し、互いに直交するNt個以上の直交符号系列を記憶し、
所定のパルス系列の要素に対して互いに異なる前記直交符号系列の要素を乗算することにより前記Nt個の送信符号系列を生成し、
前記各直交符号系列は、前記符号長の後半の要素が前記符号長の前半の要素の逆順となる関係を有する、
レーダ装置。
【請求項2】
前記パルス系列は、2以上の偶数である相補符号、又は、複数の相補符号の組み合わせであるスパノ符号である、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記パルス系列は、チャープパルスである、
請求項1に記載のレーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高分解能が得られるマイクロ波又はミリ波を含む波長の短いレーダ送信信号を用いたレーダ装置の検討が進められている。また、屋外での安全性を向上させるために、車両以外にも、歩行者を含む物体(以下、物標又はターゲットとも呼ぶ)を広角範囲で検知するレーダ装置(広角レーダ装置)の開発が求められている。
【0003】
例えば、レーダ装置として、パルス波を繰り返し発信するパルスレーダ装置が知られている。広角範囲において車両や歩行者を検知する広角パルスレーダの受信信号は、近距離に存在するターゲット(例えば車両)と、遠距離に存在するターゲット(例えば歩行者)とからの複数の反射波が混合された信号となる。このため、(1)レーダ送信部では、低いレンジサイドローブとなる自己相関特性(以下、低レンジサイドローブ特性と呼ぶ)を有するパルス波又はパルス変調波を送信する構成が要求され、(2)レーダ受信部では、広い受信ダイナミックレンジを有する構成が要求される。
【0004】
低レンジサイドローブ特性を得るためのパルス波あるいはパルス変調波として、Barker符号、M系列符号や相補符号を用いたパルス圧縮レーダが提案されている。例えば、相補符号は、2つの符号系列(相補符号系列)からなる。例えば、2つの符号系列をa,bとし、n=1,…,L(符号系列長)とした場合、2つの符号系列の自己相関演算(下記式(1)、(2)参照。ただし、n>L又はN<1において、a=0、b=0。アスタリスク(*)は複素共役演算子を表す)の結果を、それぞれのシフト時間τを一致させて加算すると(下記式(3)参照)、τ≠0の加算結果は0となり、レンジサイドローブが0の相関値となる。
【数1】
【数2】
【数3】
【0005】
相補符号の生成方法については、非特許文献1に開示されている。この相補符号の生成方法では、要素が1あるいは−1であり、相補性を有するa=[1、1],b=[1、−1]の符号系列を基に、L=4,8,16,32,…,2の符号長の相補符号を順次生成することができる。レーダ装置は、符号長が長いほど所要受信ダイナミックレンジが拡大するが、相補符号を用いることによって、より短い符号長であってもピークサイドローブ比(PSR: Peak Sidelobe Ration)を低くすることができる。よって、近距離のターゲットと遠距離のターゲットからの複数の反射波が混合された場合でも、レーダ装置は、受信に必要となるダイナミックレンジを低減することができる。一方、M系列符号を用いる場合では、PSRは20log(1/L)で与えられ、低レンジサイドローブを得るには、相補符号よりも長い符号長Lが必要となる(例えば、PSR=60dBの場合、L=1024となる)。
【0006】
広角レーダ装置の構成として、以下の2つの構成が挙げられる。
【0007】
第1の広角レーダ装置は、パルス波又は変調波を狭角(数度程度のビーム幅)の指向性ビームを用いて、機械的又は電子的に走査してレーダ波を送信し、狭角の指向性ビームを用いて反射波を受信する構成である。第1の構成の広角レーダ装置では、高分解能を得るためには、多くの走査が必要となるので、高速移動するターゲットに対する追従性が劣化する。
【0008】
第2の広角レーダ装置は、複数のアンテナ(アンテナ素子)で構成されるアレーアンテナによって反射波を受信し、アンテナ間隔に対する受信位相差に基づく信号処理アルゴリズムによって反射波の到来角を推定する手法(Direction of Arrival (DOA) estimation)を用いる構成である。第2の構成の広角レーダ装置では、送信側での送信ビームの走査間隔を間引いたとしても、受信側において到来角を推定できるので、走査時間の短縮化が図れ、第1の構成の広角レーダ装置と比較して追従性が向上する。例えば、到来方向推定方法には、行列演算に基づくフーリエ変換、逆行列演算に基づくCapon法及びLP(Linear Prediction)法、又は、固有値演算に基づくMUSIC(Multiple Signal Classification)及びESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)が挙げられる。
【0009】
また、レーダ装置として、受信側に加え、送信側にも複数のアンテナ(アレーアンテナ)を備え、送受信アレーアンテナを用いた信号処理によりビーム走査を行う構成(以下、MIMOレーダとも呼ぶ)が提案されている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0010】
MIMOレーダでは、送受信アレーアンテナにおけるアンテナ素子の配置を工夫することにより、最大で送信アンテナ素子数と受信アンテナ素子数との積に等しい仮想的な受信アレーアンテナを構成することができる。これにより、少ない素子数によってアレーアンテナの実効的な開口長を増大させる効果がある。
【0011】
また、MIMOレーダを用いてターゲットの有無を広角範囲で検出する方法が提案されている。MIMOレーダは、複数の送信アンテナから、受信側で分離可能な直交性を有する多重信号を送信する。直交性を有する多重信号として、例えば直交性を有する符号系列(例えば、非特許文献3参照)が適用される。
【0012】
また、特許文献1には、複数(例えば2個)のレーダにおいて、数学的な直交性を有する相補符号を送信符号として用いて、セクタレーダ間の干渉を抑圧するレーダシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭61−96482号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Budisin,S.Z., "New complementary pairs of sequences", Electronics Letters , Vol. 26, Issue: 13, pp. 881-883, 1990
【非特許文献2】Jian Li, Stoica, Petre, "MIMO Radar with Collocated Antennas", Signal Processing Magazine, IEEE Vol. 24, Issue: 5, pp. 106-114, 2007
【非特許文献3】C.-C. Tseng, C.L. Liu, "Complementary sets of sequences", Information Theory, IEEE Transactions on Vol. 18, Issue: 5, pp. 644-652, 1972
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記のような符号多重を用いたMIMOレーダ装置では、MIMOレーダ装置とターゲット間の相対速度が高まると、ドップラー周波数偏移に起因するドップラー位相変動が増大し、符号多重信号間の干渉が増大する。そして、符号多重信号間の干渉が増大すると、物標からの反射波をアンテナ毎に独立して取り出すことが困難になり、MIMOレーダ装置の測位性能が劣化し、ターゲットの誤検出あるいはターゲットの未検出が増加するという課題がある。
【0016】
本開示の一態様は、ドップラー周波数偏移が発生した場合の符号多重信号間の干渉を低減できるレーダ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示の一態様に係るレーダ装置は、Nt個(Ntは3以上)の送信符号系列を変調してNt個のレーダ信号を生成し、前記レーダ信号を互いに異なるNt個の送信アンテナから送信するレーダ送信部と、前記レーダ信号がターゲットに反射された反射波信号をNr個(Nrは複数)の受信アンテナを用いて受信し、ドップラー周波数解析処理を行うレーダ受信部と、を具備し、前記レーダ送信部は、所定の符号長を有し、互いに直交するNt個以上の直交符号系列を記憶し、所定のパルス系列の要素に対して互いに異なる前記直交符号系列の要素を乗算することにより前記Nt個の送信符号系列を生成し、前記各直交符号系列は、前記符号長の後半の要素が前記符号長の前半の要素の逆順となる関係を有する構成を採る。
【0018】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、ドップラー周波数偏移が発生した場合の符号多重信号間の干渉を低減できる。
【0020】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施の形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
図2】本開示の実施の形態に係るレーダ送信信号の一例を示す図
図3】本開示の実施の形態に係るレーダ送信信号生成部の他の構成を示すブロック図
図4】本開示の実施の形態に係るレーダ送信信号の送信タイミング、及び、測定範囲の一例を示す図
図5】計算機シミュレーションにより算出した多重信号間の干渉抑圧比を示す図
図6】本開示の変形例1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図
図7】本開示の変形例1に係る送信チャープパルスと反射波受信信号を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施の形態]
本開示に係る一態様はターゲットとレーダ間の相対距離の変動に起因してドップラー位相変動が生じる環境下でドップラー位相変動により発生する、MIMOレーダにて符号多重送信されるレーダ送信信号間の相互干渉を低減する直交符号系列を提案するものである。これにより、本開示に係る一態様は、ドップラー周波数偏移が発生した場合の符号多重信号間の干渉を低減することができる。
【0023】
以下、本開示の一態様に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0024】
なお、以下では、レーダ装置において、送信側で、複数の送信アンテナから符号分割多重された異なる送信信号(符号化パルス)を送出し、受信側で、各送信信号を分離して受信処理を行う符号化パルスを用いたMIMOレーダの構成について説明する。
【0025】
[レーダ装置の構成]
図1は、本実施の形態に係るレーダ装置10の構成を示すブロック図である。
【0026】
レーダ装置10は、レーダ送信部100と、レーダ受信部200と、基準信号生成部300と、を有する。
【0027】
レーダ送信部100は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号に基づいて高周波(無線周波数)のレーダ信号(レーダ送信信号)を生成する。そして、レーダ送信部100は、複数の送信アンテナ109−1〜109−Nt(Ntは複数)によって構成される送信アレーアンテナを用いて、レーダ送信信号を所定の送信周期にて送信する。
【0028】
レーダ受信部200は、ターゲット(図示せず)により反射したレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ202−1〜202−Nr(Nrは複数)から成る受信アレーアンテナを用いて受信する。レーダ受信部200は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号を用いて、各アンテナ202において受信した反射波信号を信号処理し、ターゲットの有無の検出、及び、方向推定の少なくとも1つを行う。なお、ターゲットはレーダ装置10が検出する対象の物体であり、例えば、車両又は人を含む。
【0029】
基準信号生成部300は、レーダ送信部100及びレーダ受信部200のそれぞれに接続されている。基準信号生成部300は、基準信号としてのリファレンス信号をレーダ送信部100及びレーダ受信部200に共通に供給し、レーダ送信部100及びレーダ受信部200の処理を同期させる。
【0030】
[レーダ送信部100の構成]
レーダ送信部100は、レーダ送信信号生成部101、DA(Digital Analog)変換部107−1〜107−Nt、送信RF(Radio Frequency)部108−1〜108−Nt、送信アンテナ109−1〜109−Ntを有する。すなわち、レーダ送信部100は、Nt個の送信アンテナ109を有し、各送信アンテナ109は、それぞれ個別の送信RF部108及びDA変換部107に接続されている。
【0031】
レーダ送信信号生成部101は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号を所定数倍したタイミングクロックを生成し、生成したタイミングクロックに基づいて、Nt個のベースバンドのレーダ送信信号を生成する。
【0032】
そして、レーダ送信信号生成部101は、生成したレーダ送信信号を、所定のレーダ送信周期(Tr)にて、1回のレーダ測位あたり、複数回(Na回)出力する。相補符号は、相補性を有する2つの符号を基本単位として構成されるため、Naは偶数とする。
【0033】
レーダ送信信号は、r(k,m)=I(k,m)+jQ(k,m)で表される。ここで、zは各送信アンテナ109に対応する番号を表し、z=1,…,Ntである。また、jは虚数単位を表し、kは離散時刻(離散時間とも呼ぶ)を表す。離散時刻kは、レーダ送信周期(Tr)の開始タイミングを基準(k=1)とし、レーダ送信周期Trが終了する直前までの離散サンプル点までの範囲で可変する。I(k,m)はベースバンドのレーダ送信信号の同相成分の信号(以下、I信号(In-phase signal)と呼ぶ)、Q(k,m)はベースバンドのレーダ送信信号の直交成分の信号(以下、Q信号(Quadrature signal)と呼ぶ)を表す。また、mはレーダ送信周期の序数を表す。1回のレーダ測位においてNa回の送信が行われるため、m=1,…,Naである。
【0034】
レーダ送信信号生成部101は、送信信号制御部102、符号生成部103、直交符号記憶部104、直交化部105−1〜105−Nt、変調部106−1〜106−Ntとを含む構成である。
【0035】
送信信号制御部102は、レーダ送信部100における符号生成部103及び直交符号記憶部104を制御する。これにより、直交化部105は、出力される送信符号系列を生成し、変調部106は、生成した送信符号化系列を基に、Nt個の複素ベースバンドのレーダ送信信号r(k,m)を生成する。詳細については後述する。
【0036】
符号生成部103は、所定数Ncodeの相補符号からなる符号CC(s)を記憶しており、送信信号制御部102からの制御信号に基づいて、記憶している所定の符号(パルス系列)を直交化部105−1〜105−Ntへ出力する。ここで、s=1,…,Ncodeであり、相補符号は相補性を有する2つの符号を基本単位として構成されるため、Ncodeは2以上の偶数とする。例えば、複数の相補符号を組み合わせて送信するスパノ符号を用いる場合のNcodeは、2×Lccを用いる。なお、Lccは、符号CC(s)の符号長である。
【0037】
ここで、符号生成部103に対する送信信号制御部102の制御の例について説明する。
【0038】
送信信号制御部102から符号生成部103への制御信号は、レーダ送信周期(Tr)毎に出力する符号を指示(以下、出力符号指示と呼ぶ)する。以下、出力符号指示について説明する。
【0039】
送信信号制御部102は、符号生成部103に対して、例えば、以下のように出力符号指示を行う。
【0040】
(ステップA1)送信信号制御部102は、Nb個の符号(CC(1),…,CC(Nb))を1単位として、所定の繰り返し回数に応じて、順に、Nb個の符号を出力するように符号生成部103に指示する。ここで、繰り返し回数は、後述する直交符号記憶部104に記憶されている直交符号系列の符号長であるLoc回である。
【0041】
(ステップA2)Loc回の繰り返しが終了した時点(Nb×Loc回の出力符号指示が含まれる)で、送信信号制御部102は、続くNb個の符号(CC(Nb+1),…,CC(2Nb))を1単位として、所定のLoc回繰り返しに応じて、順に、Nb個の符号(CC(Nb+1),…,CC(2Nb))を出力するように符号生成部103に指示する。
【0042】
(ステップA3)以降、上記ステップA1、A2の動作を繰り返す。なお、送信信号制御部102は、CC(Ncode)まで出力したらCC(1)に戻り、以降、巡回的に出力符号指示を出力する。
【0043】
(ステップA4)1回のレーダ測位は、Na回のレーダ送信周期(Tr)であるため、送信信号制御部102は、Na/(Nb×Loc)が整数値となるようにあらかじめNa、Nb、Locの値を設定し、Na回の符号出力指示の出力が終了した時点で、動作を終了する。
【0044】
さらに、繰り返しレーダ測位を行う場合は、上述したステップA1〜A4の動作を繰り返し行う。
【0045】
ここで、Nb≦Ncodeであり、相補符号は相補性を有する2つの符号を基本単位として構成されるため、Nbは2以上の偶数とする。複数の相補符号を組み合わせて送信するスパノ符号を用いる場合、Nbは2、4、あるいは8を用いる。また、互いに相補性を有するペアの関係となる相補符号が連続的に読み出される。例えば、CC(1)とCC(2)は、ペアとなる関係の相補符号であり、同様に、CC(3)とCC(4)もペアとなる関係の相補符号であり、CC(5)以降も同様である。ここで、互いに相補性を有するペアとなる関係の相補符号とは、それぞれの自己相関演算時に生じるサイドローブを互いに打ち消す関係の符号である。
【0046】
また、符号CC(s)は符号長Locの符号を含み、各要素は、次式(4)のように表すことができる。
【数4】
ここで、符号の各要素は{1,−1}あるいは{1,−1,j,−j}の値である。
【0047】
直交符号記憶部104は、Nt個の多重信号に対し、互いに直交する関係となるNt個の直交符号系列(符号長Loc)を記憶しており、送信信号制御部102からの制御信号に基づいて、記憶している直交符号系列の所定の要素(以下、単に要素とも呼ぶ)を直交化部105−1〜105−Ntへ出力する。
【0048】
ここで、第z(z=1,…,Nt)の多重信号に対する直交符号系列OC(z)の要素は、次式(5)のように表すことができる。
【数5】
【0049】
直交符号記憶部104に記憶されたNt個の直交符号系列は、互いに直交する関係の符号であるため、任意の直交符号系列間OC(z)、OC(z)の相関特性は、次式(6)の関係を有する。式(6)において、アスタリスク(*)は、複素共役演算子である。
【数6】
【0050】
さらに、本実施の形態では、Nt多重時に用いる符号長Locの直交符号系列は、次式(7)に示すように、後半の要素が前半の要素の逆順となる関係を有する。
【数7】
【0051】
ここで、多重数Ntと直交符号系列の符号長Locは次式(8)の関係をもつ。ceil[x]はx以上の最小の整数を与える演算子である。
【数8】
【0052】
なお、1≦n≦Loc/2の範囲の直交符号系列の要素は、Walsh符号、又は、直交M系列符号の公知の直交符号系列を用いて生成してもよい。例えば、Nt=4、Loc=8とし、1≦n≦Loc/2の範囲の直交符号系列の要素をWalsh符号により生成する場合、次式(9)で表すことができる。
【数9】
【0053】
上記の直交符号系列を用い、例えば、レーダ送信周期毎にドップラー位相変動φを受けて、レーダ受信部にて受信される直交符号系列OC(z, φ)と、レーダ送信部が送信する直交符号系列OC(z)との相関演算を行う場合、次式(10)で表すことができる。
【0054】
なお、式(10)による相関演算は、レーダ送信部において多重数Ntで直交符号系列を用いて多重されるレーダ送信信号に対し、後述するレーダ受信部の直交符号乗算部と加算部の演算処理による分離受信の動作に相当する。
【数10】
【0055】
式(10)により、レーダ送信周期毎にドップラー位相変動φを受けて受信される符号長Locの直交符号系列OC(z, φ)と直交符号系列OC(z)との相互相関演算は、符号長Loc/2の直交符号系列の各要素がドップラー位相変動φの実数成分の変動の影響を受けたoc(zcos{((Loc+1)/2−l)φ}との相互相関演算を行うことと等価となる。ここで、l=1,…,Loc/2である。
【0056】
このように、本実施の形態による直交符号系列を用いることで、ドップラー位相変動φを受けた複素受信信号との直交符号系列間の相互相関演算は、ドップラー位相変動φを受けた複素受信信号の実数成分の変動の影響を受けた相互相関演算となるため、ドップラー位相変動φによる直交符号系列間の干渉の影響を低減することができる。
【0057】
ここで、直交符号記憶部104に対する送信信号制御部102の制御の例について説明する。
【0058】
送信信号制御部102から直交符号記憶部104への制御信号は、レーダ送信周期(Tr)毎に出力する要素を指示(以下、要素出力指示と呼ぶ)する。以下、要素出力指示について説明する。
【0059】
送信信号制御部102は、直交符号記憶部104に対して、例えば、以下のように要素出力指示を行う。
【0060】
(ステップB1)送信信号制御部102は、直交符号系列OC(z)の1番目の要素oc(z)をNb回繰り返し出力するように直交符号記憶部104に指示する。ここで、z=1,…,Ntである。
【0061】
(ステップB2)Nb回繰り返し出力が終了したら(Nb回の要素出力指示が含まれる)、送信信号制御部102は、直交符号系列OC(z)の2番目の要素oc(z)を、Nb回繰り返し出力するように直交符号記憶部104に指示する。
【0062】
(ステップB3)以降、上記ステップB1、B2の動作を繰り返す。なお、送信信号制御部102は、直交符号系列OC(z)のLoc番目の要素oc(z)LocをNb回繰り返し出力する指示が終了したら、直交符号系列OC(z)の1番目の要素oc(z)に戻り、以降、巡回的に要素出力指示を出力する。
【0063】
(ステップB4)1回のレーダ測位は、Na回のレーダ送信周期(Tr)であるため、送信信号制御部102は、Na/(Nb×Loc)が整数値となるように、あらかじめNa、Nb、Locの値を設定し、Na回の要素出力指示の出力が終了した時点で、動作を終了する。
【0064】
さらに、繰り返しレーダ測位を行う場合は、上述したステップB1〜B4の動作を繰り返し行う。
【0065】
直交化部105−1〜105−Ntは、それぞれ、レーダ送信周期(Tr)毎に符号生成部103から出力される符号に対し、レーダ送信周期(Tr)毎に直交符号記憶部104から出力される直交符号系列の要素を乗算して送信符号系列を生成し、その送信符号系列を変調部106−1〜106−Ntへ出力する。
【0066】
すなわち、第z(z=1,…,Nt)の直交化部105は、レーダ送信周期(Tr)毎に出力される符号生成部103からの符号OC(s(m))に、レーダ送信周期(Tr)毎に直交符号記憶部104から出力される直交符号系列の要素oc(z)β(m)を乗算して送信符号系列oc(z)β×OC(s(m))を生成する。ここで、s(m)は、第m(m=1,…,Na)のレーダ送信周期に送信信号制御部102により指示(出力符号指示)された符号番号であり、1からNcodeのいずれかの値をとる。β(m)は、第mのレーダ送信周期に送信信号制御部102により指示(要素出力指示)された直交符号系列の要素番号であり、1からLocのいずれかの値をとる。
【0067】
以下、第mのレーダ送信周期(Tr)で第zの直交化部105から出力される送信符号系列は、式(11)で表すことができる。なお、式(11)において、z=1,…,Ntであり、m=1,…,Naである。
【数11】
【0068】
第z(z=1,…,Nt)の変調部106は、それぞれ、第zの直交化部105から出力される送信符号系列A(z、m)に対し、パルス変調(振幅変調、ASK(Amplitude Shift Keying)、パルスシフトキーイング)、または位相変調(PSK:Phase Shift Keying)を行い、デジタル信号をDA変換部107−1〜107Ntへ出力する。なお、第zの変調部106において、変調信号した信号に対し、さらに所定の帯域内で制限されたベースバンドのレーダ送信信号として出力するため、帯域制限フィルタ(LPF;Low Pass Filter)を通過させて信号を出力してもよい。
【0069】
第z(z=1,…,Nt)のDA変換部107は、それぞれ、第zの変調部106から出力されるデジタル信号をアナログ信号であるベースバンドのレーダ送信信号に変換し、送信RF部108−1〜108−Ntへ出力する。
【0070】
第z(z=1,…,Nt)の送信RF部108は、それぞれ、第zのDA変換部107から出力されるベースバンドのレーダ送信信号を、周波数変換により所定のキャリア周波数帯でのレーダ送信信号を生成し、送信増幅器により所定の送信電力P[dB]に増幅して、送信アンテナ109−1〜109−Ntへ出力する。
【0071】
第z(z=1,…,Nt)の送信アンテナ109は、それぞれ、第zの送信RF部108から出力されるレーダ送信信号を空間に放射する。
【0072】
図2は、レーダ送信部100のNt個の送信アンテナ109−1〜109−Ntから送信されるレーダ送信信号を示す。各レーダ送信周期Trのうち、符号送信区間Twの間に送信符号系列(パルス符号系列)が送信され、残りの区間(Tr−Tw)は無信号区間となる。符号送信区間Tw内には、符号長LCCの送信符号系列が含まれる。1つのサブパルスあたり、No個のサンプルを用いたパルス変調が施されることにより、各符号送信区間Tw内には、Nr(=No×LCC)個のサンプルの信号が含まれる。また、無信号区間(Tr−Tw)には、Nu個のサンプルが含まれる。
【0073】
なお、レーダ送信部100は、送信タイミングを多重信号毎に変えてもよく、送信タイミングの変更により、送信時の瞬時的なピーク電力を低減できるため、送信電力を高めることができる。
【0074】
また、レーダ送信部100は、図1に示すレーダ送信信号生成部101の代わりに、図3に示すレーダ送信信号生成部101aを備えてもよい。レーダ送信信号生成部101aは、図1に示す変調部106−1〜106−Ntの代わりに、変調部106aを備える。変調部106aの基本的な機能は、変調部106−1〜106−Ntと同じである。変調部106aは、符号生成部103から出力される符号に対して所定の変調を行い、その結果を直交化部105−1〜105−Ntへ出力する。このように、図3に示す構成では、1つの変調部で済むため、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0075】
なお、多重信号毎に異なる相補符号を用いてもよい。その場合、複数のアンテナの受信処理に、複数の相関器が必要となり、回路規模が増加することになるが、多重信号間の干渉抑圧効果をより高める効果がある。
【0076】
[レーダ受信部200の構成]
図1において、レーダ受信部200は、Nr個の受信アンテナ202−1〜202−Nrを備え、アレーアンテナを構成する。また、レーダ受信部200は、Nr個のアンテナ系統処理部201−1〜201−Nrと、方向推定部215と、を有する。
【0077】
各受信アンテナ202は、ターゲット(物体)に反射したレーダ送信信号である反射波信号を受信し、受信した反射波信号を、対応するアンテナ系統処理部201へ受信信号として出力する。
【0078】
各アンテナ系統処理部201は、受信RF部203と、信号処理部207とを有する。
【0079】
受信RF部203は、増幅器204と、周波数変換部205と、直交検波部206と、を有する。受信RF部203は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号を所定数倍したタイミングクロックを生成し、生成したタイミングクロックに基づいて動作する。
【0080】
具体的には、増幅器204は、各受信アンテナ202から受け取る受信信号を所定レベルに増幅する。周波数変換部205は、高周波帯域の受信信号をベースバンド帯域に周波数変換する。直交検波部206は、ベースバンド帯域の受信信号を、I信号及びQ信号を含むベースバンド帯域の受信信号に変換する。なお、送信RF部108及び受信RF部203での周波数変換に行う場合に、レーダ装置10は、局部発振機器あるいはその源振を共通にしておくことで、位相誤差の影響を低減することができる。
【0081】
信号処理部207は、受信アンテナ202によって受信されたベースバンド信号毎に信号処理を行う。信号処理部207は、A/D(Analog Digital)変換部208、209、相関演算部211、直交符号乗算部212、加算部213−1〜213−Nt、ドップラー解析部214−1〜214−Ntを有する。以下、第dの信号処理部207の動作について説明する。ここで、d=1,…,Nrである。
【0082】
A/D変換部208には、直交検波部206からI信号が入力され、A/D変換部209には、直交検波部206からQ信号が入力される。A/D変換部208は、I信号を含むベースバンド信号に対して、離散時刻でのサンプリングを行うことにより、I信号をデジタルデータに変換する。A/D変換部209は、Q信号を含むベースバンド信号に対して、離散時刻でのサンプリングを行うことにより、Q信号をデジタルデータに変換する。
【0083】
ここで、A/D変換部208、209のサンプリングでは、レーダ送信信号における1つのサブパルスの時間Tp(=Tw/L)あたり、Ns個の離散サンプルが行われる。すなわち、1サブパルスあたりのオーバーサンプル数はNsとなる。
【0084】
以下の説明では、I信号Ir(d)(k,m)及びQ信号Qr(d)(k、m)を用いて、A/D変換部208、209の出力としての第m(m=1,…,Na)番目のレーダ送信周期Tr[m]の離散時刻kにおけるベースバンドの受信信号を複素数信号x(d)(k、m)=Ir(d)(k,m)+jQr(d)(k、m)と表す。また、以下では、離散時刻kは、レーダ送信周期(Tr)の開始するタイミングを基準(k=1)とし、信号処理部207は、レーダ送信周期Trが終了する前までのサンプル点であるk=(Nr+Nu)Ns/Noまでの計測を周期的に行う。すなわち、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noとなる。ここで、jは虚数単位である。また、d=1,…,Nrである。
【0085】
相関演算部211は、レーダ送信周期Tr毎に、A/D変換部208,209から受け取る離散サンプル値Ir(d)(k,m)及びQr(d)(k、m)を含む離散サンプル値x(d)(k、m)と、送信信号制御部102からの出力符号指示により符号生成部103から出力された符号CC(s(m))との相関演算を行う。CC(s(m))は、第mのレーダ送信周期において、送信信号制御部102から出力符号指示された符号を表す。例えば、第m番目のレーダ送信周期における符号CC(s(m))とのスライディング相関演算の相関演算値AC(d)(k、m)は、例えば以下の式(12)に基づき算出される。
【数12】
【0086】
式(12)において、アスタリスク(*)は複素共役演算子を表す。
【0087】
相関演算部211は、例えば、式(12)に従って、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noの期間に渡って相関演算を行う。
【0088】
なお、相関演算部211は、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noに対して相関演算を行う場合に限定されず、レーダ装置10の測定対象となるターゲットの存在範囲に応じて、測定レンジ(すなわち、kの範囲)を限定してもよい。これにより、レーダ装置10では、相関演算部211の演算処理量の低減が可能となる。例えば、相関演算部211は、k=Ns(L+1)),…,(Nr+Nu)Ns/No−NsLに測定レンジを限定してもよい。この場合、図4に示すように、レーダ装置10は、符号送信区間Twに相当する時間区間では測定を省略できる。
【0089】
これにより、レーダ装置10は、レーダ送信信号がレーダ受信部200に直接的に回り込むような場合でも、レーダ送信信号が回り込む期間(少なくともτ1未満の期間)では相関演算部211による処理を省略できるので、回り込みの影響を排除した測定が可能となる。また、測定レンジ(kの範囲)を限定する場合、以下で説明する加算部213、ドップラー解析部214及び方向推定部215の処理に対しても、同様に測定レンジ(kの範囲)を限定した処理を適用すればよい。これにより、各構成部での処理量を削減でき、レーダ受信部200における消費電力を低減できる。
【0090】
直交符号乗算部212は、離散時刻k毎の相関演算部211の出力である相関演算値AC(d)(k、m)に対し、送信信号制御部102からの要素出力指示により直交符号記憶部104から出力された多重信号毎の直交符号系列の要素oc(z)β(m)との複素共役した値oc(z)β(m)との乗算演算AC(d)(k、m)×oc(z)β(m)を行う。ここで、z=1,…,Ntであり、d=1,…,Nrである。
【0091】
加算部213は、第m番目のレーダ送信周期Trの離散時刻k毎に直交符号乗算部212から受け取る乗算演算値AC(d)(k、m)×oc(z)β(m)に対し、レーダ送信周期間Trの複数回Npの期間(Tr×Np)にわたり、加算数Npを加算する。加算部213による加算は、次式(13)のように表すことができる。
【数13】
【0092】
式(13)において、mod[x,y]は、割り算(x/y)の余りを表す演算子である。また、Npを、直交符号系列による直交化単位である(Nb×Loc)の整数倍となるように設定することで、ドップラー解析前にNt個の符号多重信号の符号多重分離を行うことができる。
【0093】
また、式(13)において、mは1以上の整数である。これにより、レーダ装置10は、Np回にわたる加算を行う時間範囲において、また、ターゲットからの反射波の受信信号が高い相関を有する範囲において、加算の効果により、SNRを高めることができ、ターゲットの到来距離の推定に関する測定性能を向上することができる。なお、式(13)において、z=1,…,Ntである。
【0094】
なお、レーダ装置10は、理想的な加算利得を得るためには、加算回数Npの加算区間において、位相成分がある程度の範囲で揃う条件が必要である。つまり、Npは、測定対象となるターゲットの想定最大移動速度に基づいて設定されることが好ましい。これはターゲットの想定最大速度が大きいほど、ターゲットからの反射波に含まれるドップラー周波数の変動量が大きく、高い相関を有する時間期間が短くなるためである。この場合、加算回数Npは小さい値となるため、加算部213の加算による利得向上効果が小さくなる。
【0095】
ここで、Nt個の符号多重信号の符号多重分離の詳細について説明する。
【0096】
例えば、Nb=2、Loc=8、Np=(Nb×Loc)=16である。直交符号系列OC(z)は、直交化単位である(Nb×Loc)回のレーダ送信周期を用いて送信されるため、加算部213からの第1番目の出力CI(z)(d)(k,1)は、次式(14)で表すことができる。
【数14】
【0097】
ここで、受信信号にノイズが含まれない理想的な条件において、1つの物標からの反射波信号が離散時刻kに、レーダ装置10に、到来した場合を考える。レーダ装置10は、反射波信号にドップラー周波数変動による位相変動が含まれない場合、式(14)では、符号生成部103から出力される相補符号の性質及び直交符号記憶部104から出力される直交符号系列の要素の性質により、式(15)に示す低レンジサイドローブ特性が得られる。式(15)において、γは伝搬路複素減衰を表す。
【数15】
【0098】
ドップラー解析部214は、離散時刻k毎に得られた加算部213のNc個の出力であるCI(z)(d)(k,Nc(w−1)+1)〜CI(z)(d)(k,Nc×w)を一つの単位として、離散時刻kのタイミングを揃えてコヒーレント積分を行う。例えば、ドップラー解析部214は、次式(16)に示すように、2Nf個の異なるドップラー周波数fsΔφに応じた位相変動φ(fs)=2πfs(Tr×Np)Δφを補正した上で、コヒーレント積分を行う。
【数16】
【0099】
式(16)において、FT_CI(z)(d)(k,fs,w)は、ドップラー解析部214における第w番目の出力であり、第zの送信信号に対する離散時刻kでのドップラー周波数fsΔφのコヒーレント積分結果を示す。また、fs=−Nf+1,…,Nfであり、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noである。また、wは1以上の整数、Δφは位相回転単位である。
【0100】
これにより、レーダ装置10は、送信信号#1〜#Ntに対する離散時刻k毎の2Nf個のドップラー周波数成分に応じたコヒーレント積分結果であるFT_CI(1)(d)(k,−Nf+1,w),…,FT_CI(Nt)(d)(k,Nf+1,w)を、レーダ送信周期間Trの複数回Np×Ncの期間(Tr×Np×Nc)毎に得られる。なお、jは虚数単位である。また、z=1,…,Ntであり、Na=Np×Ncである。
【0101】
Δφ=1/Ncでは、ドップラー解析部214の処理は、サンプリング間隔Tm=(Tr×Np)、サンプリング周波数fm=1/Tmで加算部213の出力を離散フーリエ変換(DFT)処理していることと等価である。
【0102】
また、Nfを2のべき乗の数に設定することで、ドップラー解析部214は、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理を適用でき、演算処理量を大きく削減できる。ドップラー解析部214は、Nf>Ncとなる場合には、q>Ncとなる領域においてCI(k,Nc(w−1)+q)=0とするゼロ埋め処理を行うことで、同様にFFT処理を適用でき、演算処理量を大きく削減できる。
【0103】
また、ドップラー解析部214は、FFT処理の代わりに、式(7)に示す積和演算を逐次的に演算する処理を行ってもよい。つまり、ドップラー解析部214は、離散時刻k毎に得られた加算部213のNc個の出力であるCI(z)(d)(k,Nc(w−1)+q+1)に対して、fs=−Nf+1,…,0,…,Nf−1に対応する係数exp[−j2πfsTrNpqΔφ]を生成し、逐次的に積和演算処理してもよい。ここで、q=0〜Nc−1である。
【0104】
なお、以下の説明では、Nr個のアンテナ系統処理部201の各々において同様の処理を施して得られた第w番目の出力である、FT_CI(z)(k,fs,w),…,FT_CI(z)Nr(k,fs,w)を列ベクトルの要素として、式(17)のようにh(k,fs,w)として表記する。以下では式(17)で表記される列ベクトルh(k,fs,w)を仮想受信アレー相関ベクトルとよぶ。仮想受信アレー相関ベクトルh(k,fs,w)は、送信アンテナ数Nt受信アンテナ数Nrとの積であるNt×Nr個の要素を含む。仮想受信アレー相関ベクトルh(k,fs,w)は、後述する、ターゲットからの反射波信号に対して受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理の説明に用いる。また、以降の説明において、仮想受信アレー相関ベクトルh(k,fs,w)の要素の一部を、式(18)の定義される列ベクトルを用いて表記することがある。ここで、z=1,…,Ntであり、d=1,…,Nrである。
【数17】
【数18】
【0105】
以上、信号処理部207の各構成部における処理について説明した。
【0106】
方向推定部215は、アンテナ系統処理部201−1〜201−Nrから出力されるw番目のドップラー解析部214の仮想受信アレー相関ベクトルh(k,fs,w)に対してアレー補正値h_cal[y]を用いてアンテナ系統処理部201間の位相偏差及び振幅偏差を補正した仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)を算出する。仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)は次式(19)で表される。なお、y=1,…,(Nt×Nr)である。
【数19】
【0107】
そして、方向推定部214は、仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)を用いて、受信アンテナ202間の反射波信号の位相差に基づいて、水平方向及び垂直方向の方向推定処理を行う。方位推定部214は、方向推定評価関数値P(θ,φ,k,fs,w)における方位方向θ及び仰角方向φを所定の角度範囲内で可変として空間プロファイルを算出し、算出した空間プロファイルの極大ピークを大きい順に所定数抽出し、極大ピークの方位方向及び仰角方向を到来方向推定値とする。
【0108】
なお、評価関数値P(θ,φ,k,fs,w)は、到来方向推定アルゴリズムによって各種のものがある。例えば、以下の参考非特許文献1に開示されているアレーアンテナを用いた推定方法を用いてもよい。
【0109】
(参考非特許文献1)Direction-of-arrival estimation using signal subspace modeling Cadzow, J.A.; Aerospace and Electronic Systems, IEEE Transactions on Volume: 28 , Issue: 1 Publication Year: 1992 , Page(s): 64 - 79
【0110】
例えばビームフォーマ法は、式(20)のように表すことができる。他にも、Capon、MUSICといった手法も同様に適用可能である。
【数20】
【0111】
式(20)において、上付き添え字Hは、エルミート転置演算子である。また、a(θ,φ)は、方位方向θ、仰角方向φの到来波に対する仮想受信アレーの方向ベクトルを示す。
【0112】
以上のように、方向推定部215は、算出された第w番目の到来方向推定値、離散時刻k、ドップラー周波数fsΔφ及び角度θを、レーダ測位結果として出力する。
【0113】
ここで、方向ベクトルa(θ,φ)は、方位方向θ及び仰角方向φからレーダ送信信号に対する反射波信号が到来した場合の仮想受信アレーの複素応答を要素とした(Nt×Nr)次の列ベクトルである。仮想受信アレーの複素応答a(θ,φ)は、アンテナ間の素子間隔によって幾何光学的に算出される位相差を表す。
【0114】
また、θは、到来方向推定を行う方位範囲内を所定の方位間隔β1で変化させたものである。例えば、θは以下のように設定される。
θ=θmin+uβ1、u=0,…,NU
NU=floor[(θmax−θmin)/β1]+1
ここで、floor(x)は、実数xを超えない最大の整数値を返す関数である。
【0115】
また、φvは、到来方向推定を行う仰角範囲内を所定の仰角間隔β2で変化させたものである。例えば、φvは以下のように設定される。
φv=φmin+vβ2、V=0,…,NV
NV=floor[(θmax−θmin)/β]+1
【0116】
なお、本実施の形態では、後述する仮想受信アレー配置VA#1,…,VA#(Nt×Nr)に基づいて仮想受信アレーの方向ベクトルが予め算出されているものとする。仮想受信アレーの方向ベクトルの要素は、後述する仮想受信アレー配置番号順VA#1,…,VA#(Nt×Nr)にアンテナ間の素子間隔で幾何光学的に算出される位相差を表す。
【0117】
また、時刻情報kは、距離情報に変換して出力されてもよい。時刻情報kを距離情報R(k)に変換するためには式(21)を用いればよい。式(21)において、Tは符号送信区間を表し、Lはパルス符号長を表し、Cは光速度を表す。
【数21】
【0118】
また、ドップラー周波数情報(fsΔφ)は相対速度成分に変換して出力されてもよい。ドップラー周波数fsΔφを相対速度成分v(fs)に変換する際には次式(22)を用いて変換することができる。式(22)において、λは、送信RF部108から出力されるRF信号のキャリア周波数の波長である。
【数22】
【0119】
以上のように本実施の形態で生成されるレーダ送信信号は、物標からの反射波信号にドップラー周波数変動による位相変動が含まれない場合、低レンジサイドローブ特性、及び、MIMO符号多重信号間での低相互相関特性が得られる特性の送信信号となる。
【0120】
また、物標からの反射波信号にドップラー変動が含まれない場合においても、直交符号系列にドップラー変動による位相変動の影響を抑圧する効果の符号を用いることで、MIMO符号多重信号間での低相互相関特性を維持することができる。
【0121】
本実施の形態の直交符号系列を用いた場合のシミュレーションの結果について説明する。図5は、物標の移動速度が可変する環境において計算機シミュレーションにより多重信号間の干渉抑圧比を算出した結果を示す図である。図5の縦軸は多重信号間の干渉抑圧比[dB]を示しており、図5の横軸はドップラー速度[km/h]を示している。また、図5において、R1は、直交符号系列W1に対して本実施の形態の直交符号系列W2を用いた場合の干渉抑圧比を示しており、R2は、直交符号系列W1に対して従来の所定の直交符号系列を用いた場合の干渉抑圧比を示している。
【0122】
直交符号系列W1は、Loc=8、Nt=5、Nb=2であり、以下の要素を有する。
CC(1)=[1,−1,1,−1,1,−1,1,−1]
CC(2)=[1,1,−1,−1,1,1,−1,−1]
CC(3)=[1,−1,−1,1,1,−1,−1,1]
CC(4)=[1,1,1,1,−1,−1,−1,−1]
CC(5)=[1,−1,1,−1,−1,1,−1,1]
【0123】
直交符号系列W2は、Loc=16、Nt=5、Nb=2であり、以下の要素を有する。
CC(1)=[1,−1,1,−1,1,−1,1,−1,−1,1,−1,1,−1,1,−1,1]
CC(2)=[1,1,−1,−1,1,1,−1,−1,−1,−1,1,1,−1,−1,1,1]
CC(3)=[1,−1,−1,1,1,−1,−1,1,1,−1,−1,1,1,−1,−1,1]
CC(4)=[1,1,1,1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,1,1,1,1]
CC(5)=[1,−1,1,−1,−1,1,−1,1,1,−1,1,−1,−1,1,−1,1]
【0124】
上記直交符号系列W2では、後半の8個の要素が前半の8個の要素の逆順となっている。
【0125】
図5に示すように、本実施の形態の直交符号系列W2を用いた場合の干渉抑圧比R1は、従来の直交符号系列を用いた場合の干渉抑圧比R2に比べて、20dB以上改善された。
【0126】
以上、本開示の一態様に係る実施の形態について説明した。以下、変形例について説明する。
【0127】
[変形例1]
上記実施の形態では、符号化パルスを用いたMIMOレーダを用いる場合について説明したが、本開示は、チャープ(Chirp)パルスレーダのような周波数変調したパルス波を用いたレーダ方式についても適用可能である。
【0128】
図6を用いて、パルス系列としてチャープパルスを用いる場合のレーダ装置の構成について説明する。図6は、本変形例に係るレーダ装置10aの構成の一例を示す図である。図6において、図1と共通する構成には、図1と同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0129】
図6に示すレーダ装置10aのレーダ送信部100aは、図1に示すレーダ装置10のレーダ送信部100と比較して、DA変換部107−1〜107の代わりにVCO(voltage controlled oscillator)111−1〜111−Ntを備える点が異なる。また、レーダ送信信号生成部101bにおいて、符号生成部103の代わりに変調信号生成部110を備え、変調部106−1〜106−Ntの代わりにDA変換部107−1〜107Ntを備える点が異なる。
【0130】
また、図6に示すレーダ装置10aのレーダ受信部200aは、図1に示すレーダ装置10のレーダ受信部200と比較して、受信RF部203aにおいて、増幅器204、周波数変換部205、及び直交検波部206の代わりにミキサ部216及びLPF217を備える点が異なる。また、信号処理部207aにおいて、A/D変換部208、209の代わりにA/D変換部218を備え、相関演算部211の代わりにFFT部219を備える点が異なる。
【0131】
まず、送信処理について説明する。
【0132】
レーダ送信部100aにおいて、送信信号制御部102は、例えば、Nb=1、Ncode=1として、直交符号記憶部104及び変調信号生成部110を制御する。直交符号記憶部104は、式(5)〜(7)を満たす直交符号系列を記憶する。
【0133】
変調信号生成部110は、送信信号制御部102の制御により、図7Aに示すように、例えばのこぎり歯形状の変調信号を周期的に発生させる。ここで、レーダ送信周期をTchirpとする。
【0134】
第z(z=1,…,Nt)のDA変換部107は、それぞれ、第z(z=1,…,Nt)の直交化部105から出力されるデジタル信号をアナログ信号であるベースバンドのレーダ送信信号に変換し、VCO111−1〜111−Ntへ出力する。
【0135】
第z(z=1,…,Nt)のVCO111は、それぞれ、第zのDA変換部107から出力されるレーダ送信信号に基づいて、周波数変調信号を送信RF部108−1〜108−Ntへ出力する。
【0136】
送信RF部108−1は、一部の信号を、方向性結合器(図示略)を介してレーダ受信部200aのミキサ部216へ出力する。上記一部の信号以外の信号は、送信アンテナ109−1へ出力される。
【0137】
次に、受信処理について説明する。以下に説明する受信処理では、実施の形態で説明した離散時刻kをビート周波数fbで置き換えた動作となる。
【0138】
レーダ受信部200aの受信RF部203aは、ミキサ部216により受信した反射波信号に対して送信信号(送信RF部108−1から入力した信号)をミキシングし、LPF217を通過させる。これにより、反射波信号の遅延時間に応じた周波数となるビート信号が取り出される。例えば、図7Bに示すように、LPF217から周波数のビート周波数が出力される。
【0139】
入力LPF217から出力された信号は、信号処理部207aにおいて、A/D変換部218を介してFFT部219に入力される。FFT部219は、送信周期Tchirp単位でサンプルデータ(Ndata個)をFFT処理する。これにより、信号処理部207aは、反射波信号の遅延時間に応じて、ビート周波数に応じたピークが現れる周波数スペクトラムが得られる。
【0140】
ここで、第m番目のチャープパルス送信によって得られるビート周波数スペクトラム応答をCI_chirp(fb、m)で表す。ここで、fbはFFTのビン番号であり、fb=1,…,Ndata/2である。
【0141】
直交符号乗算部212は、ビート周波数fb毎のFFT部219の出力であるビート周波数スペクトラム応答CI_chirp(fb、m)に対し、送信信号制御部102から要素出力指示された多重信号毎の直交符号系列の要素oc(z)β(m)との複素共役した値oc(z)β(m)との乗算演算CI_chirp(d)(fb、m)×oc(z)β(m)を行う。ここで、z=1,…,Ntであり、d=1,…,Nrである。
【0142】
加算部213は、ビート周波数fb毎の直交符号乗算部212の出力であるCI_chirp(d)(fb、m)×oc(z)β(m)に対し、レーダ送信周期間Tchirpの複数回Npの期間(Tchirp×Np)にわたり、加算数Npを加算する。加算部213による加算は、式(23)のように表すことができる。
【数23】
【0143】
式(23)において、mod[x,y]は、割り算(x/y)の余りを表す演算子である。また、Npを、直交符号系列による直交化単位である(Nb×Loc)の整数倍となるように設定することで、ドップラー解析前にNt個の符号多重信号の符号多重分離を行うことができる。また、式(23)において、mは自然数である。
【0144】
ドップラー周波数解析部214は、ビート周波数fb毎に得られた加算部213の出力であるCI(z)(d)(fb,Nc(w−1)+1)〜CI(z)(d)(fb,Nc×w)を一つの単位として、ビート周波数fbを揃えてコヒーレント積分を行う。例えば、ドップラー解析部214は、式(24)に示すように、2Nf個の異なるドップラー周波数fsΔφに応じた位相変動φ(fs)=2πfs(Tchirp×Np)Δφを補正した上で、コヒーレント積分を行う。
【数24】
【0145】
式(24)において、FT_CI(z)(d)(fb,fs,w)は、ドップラー解析部214における第w番目の出力であり、第zの送信信号に対するビート周波数fbでのドップラー周波数fsΔφのコヒーレント積分結果を示す。また、d=1,…,Nrであり、q=0,…,Nc−1であり、fs=−Nf+1,…,0,…,Nfである。また、wは自然数、Δφは位相回転単位である。
【0146】
これにより、レーダ受信部200aは、送信信号#1〜#Ntに対するビート周波数fb毎の2Nf個のドップラー周波数成分に応じたコヒーレント積分結果であるFT_CI(1)(d)(fb,−Nf+1,w),…,FT_CI(Nt)(d)(fb,Nf−1,w)を、レーダ送信周期間Tchirpの複数回Ncの期間(Tchirp×Np×Nc)毎に得る。なお、jは虚数単位である。
【0147】
以上の構成及び動作により、本変形例でも、実施の形態と同様に、ドップラー周波数偏移が発生した場合の符号多重信号間の干渉を低減するという効果を得ることができる。
【0148】
[変形例2]
また、図1に示すレーダ装置10において、レーダ送信部100及びレーダ受信部200は、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。また、図6に示すレーダ装置10aにおいて、レーダ送信部100a及びレーダ受信部200aは、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。
【0149】
[変形例3]
また、図1に示すレーダ装置10及び図6に示すレーダ装置10aは、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、およびRAM(Random Access Memory)等の作業用メモリを有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。但し、レーダ装置10、10aのハードウェア構成は、かかる例に限定されない。例えば、レーダ装置10、10aの各機能部は、集積回路であるIC(Integrated Circuit)として実現されてもよい。各機能部は、個別に1チップ化されてもよいし、その一部または全部を含むように1チップ化されてもよい。
【0150】
<本開示のまとめ>
本開示のレーダ装置は、Nt個(Ntは複数)の送信符号系列を変調してNt個のレーダ信号を生成し、前記レーダ信号を互いに異なるNt個の送信アンテナから送信するレーダ送信部と、前記レーダ信号がターゲットに反射された反射波信号をNr個(Nrは複数)の受信アンテナを用いて受信し、ドップラー周波数解析処理を行うレーダ受信部と、を具備し、前記レーダ送信部は、所定の符号長を有し、互いに直交するNt個以上の直交符号系列を記憶し、所定のパルス系列の要素に対して互いに異なる前記直交符号系列の要素を乗算することにより前記Nt個の送信符号系列を生成し、前記各直交符号系列は、前記符号長の後半の要素が前記符号長の前半の要素の逆順となる関係を有する構成を採る。
【0151】
また、本開示のレーダ装置において、前記パルス系列は、2以上の偶数である相補符号、又は、複数の相補符号の組み合わせであるスパノ符号であってもよい。
【0152】
また、本開示のレーダ装置において、前記パルス系列は、チャープパルスであってもよい。
【0153】
以上、図面を参照しながら実施の形態及び変形例について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態又は変形例における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0154】
上記実施の形態及び変形例では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0155】
また、上記実施形態又は変形例の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態又は変形例の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0156】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0157】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により,LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本開示は、広角範囲を検知するレーダ装置として好適である。
【符号の説明】
【0159】
10、10a レーダ装置
100、100a レーダ送信部
200、200a レーダ受信部
300 基準信号生成部
101、101a、101b レーダ送信信号生成部
102 送信信号制御部
103 符号生成部
104 直交符号記憶部
105 直交化部
106、106a 変調部
107 DA変換部
108 送信RF部
109 送信アンテナ
110 変調信号生成部
111 VCO
201、201a アンテナ系統処理部
202 受信アンテナ
203、203a 受信RF部
204 増幅器
205 周波数変換部
206 直交検波部
207、207a 信号処理部
208、209、218 A/D変換部
211 相関演算部
212 直交符号乗算部
213 加算部
214 ドップラー解析部
215 方向推定部
216 ミキサ部
217 LPF
219 FFT部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7