特許第6566417号(P6566417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6566417光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物および光導波路形成用感光性フィルム、ならびにそれを用いた光導波路、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566417
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物および光導波路形成用感光性フィルム、ならびにそれを用いた光導波路、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20190819BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   G02B6/12 371
   H05K1/02 T
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-122724(P2015-122724)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2017-9689(P2017-9689A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】平山 智之
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/068594(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/068593(WO,A1)
【文献】 特開2003−105118(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/174924(WO,A1)
【文献】 特開2008−223028(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0258913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12
C08G 59/18
C08L 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂および光カチオン重合開始剤を含有し、上記エポキシ樹脂が固形エポキシ樹脂成分のみで構成される光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物であって、上記エポキシ樹脂が、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)を含有することを特徴とする光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物
【請求項2】
固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)の各配合割合が、重量基準で、(a)+(b)+(c)=100重量部とした場合、(a)40〜60重量部、(b)20〜40重量部、(c)15〜20重量部である請求項記載の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a)の軟化点が65℃以下である請求項または記載の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b)の軟化点が80℃以下である請求項のいずれか一項に記載の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物が、基材とその基材上にクラッド層が形成され、さらに上記クラッド層中に所定パターンで、光信号を伝搬するコア層が形成されてなる光導波路におけるコア層形成材料である請求項1〜のいずれか一項に記載の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物をフィルム状に形成してなる光導波路形成用感光性フィルム。
【請求項7】
基材とその基材上にクラッド層が形成され、さらに上記クラッド層中に所定パターンで、光信号を伝搬するコア層が形成されてなる光導波路であって、上記コア層が、請求項1〜のいずれか一項に記載の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物、または請求項記載の光導波路形成用感光性フィルムを硬化させることにより形成されてなることを特徴とする光導波路。
【請求項8】
請求項記載の光導波路を備えることを特徴とする光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信,光情報処理,その他一般光学にて広く用いられる光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板における光導波路を構成するコア層等の形成材料として用いられる光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物および光導波路形成用感光性フィルム、ならびにそれを用いた光導波路、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板向けの光導波路形成材料には各種感光性エポキシ樹脂組成物が用いられ、例えば、これを用いてコア層をパターン形成する際には、例えば、フォトマスクを介して紫外線(UV)照射を行なうことにより所望のコアパターンを作製している。
【0003】
このような感光性エポキシ樹脂組成物は光硬化感度が高い一方、塗工後の表面粘着性(タック性)の観点からR−to−R(ロール・トゥ・ロール:roll-to-roll)のような連続プロセスには適合できないという欠点を有する(ロールに接触した際にフィルムが破壊される)ため、生産性に乏しいという問題があった(特許文献1)。そのため、R−to−Rプロセスに適合するために、一般的には感光性樹脂として常温で固体を示す樹脂成分が用いられる。その際、高分子量であればあるほど硬化前段階のアモルファスフィルムのフレキシビリティは上がるが、その一方でパターニング解像性が低下することとなる。逆に、低分子量のものであればパターニング解像性は高まるがフレキシビリティは低下することとなる。このように、一般的にはフィルムのフレキシビリティと解像性はトレードオフの関係にあり問題があった。そこで、フィルムのフレキシビリティと解像性を両立する光導波路材料が求められ、例えば、光導波路のクラッド層形成材料であるが、エポキシ基含有アクリルゴム、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリレートを用いた樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。
【0004】
ところで、光導波路のコア層形成材料に関しては、その使用用途に基づき、その硬化物の諸物性として高屈折率、高透明性、高解像パターニング性、高耐熱性といった多くの要求特性を満たす必要がある。そのため、光導波路の製造に際しては、形成材料としてメーカー各社ともに種々の原料の配合やそのバランスをとることにより上記要求特性を満たすための検討が行われている。
【0005】
前述のように、大量生産を視野に入れたR−to−Rプロセスにおいて、一般に未硬化フィルムをドライフィルム化する手法が用いられているが、その材料開発において未硬化フィルムの低タック性、フレキシビリティといったドライフィルム材料としてのプロセス適合性の要求から、結果的に、材料設計の自由度を狭めることになる。しかも、上記材料設計の自由度が狭まるということのみならず、ドライフィルムを作製する際、ラミネート基材がフィルムの両面に必要となることから、省資源化およびコストの観点から問題となるため、材料開発においてウェットプロセスへの適合性もまた重要視される(特許文献3)。
【0006】
このような技術背景を鑑みて、従来では、例えば、特殊なノボラック型多官能エポキシ樹脂を主剤にして種々の樹脂を配合することにより上記特性を満たす感光性エポキシ樹脂組成物が開発されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−281475号公報
【特許文献2】特開2011−27903号公報
【特許文献3】特開2010−230944号公報
【特許文献4】特開2011−237645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光・電気伝送用混載基板向けの光導波路形成材料には、上記の要求特性のうち特に高い透明性が要求されるため、特殊なノボラック型多官能エポキシ樹脂は電子遷移吸収起因により黄色が強く、光伝搬損失上の機能として不充分である。
【0009】
また、R−to−Rプロセス適合性を鑑みた場合、材料設計として液状成分を可塑剤的に少量添加することにより未硬化時の塗膜柔軟性を付与することが一般的だが、作製工程上の環境因子、特に季節因子等の温度変化により意図せずタックが発生する問題が多発し、これが塗膜破壊の原因となる。これを回避しようとして液状成分を除去すると塗膜柔軟性が損なわれ、クラックが発生するといったトレードオフに陥ることとなる。
【0010】
また、硬化後のフィルムについても低温下の金属ロールに引っ張り応力が掛った状態で湾曲させると、硬化フィルムにクラックが発生するといった不具合も頻発する。
【0011】
このようなことから、コア層形成材料として、従来の製造工程を変更することなく、ウェットプロセスにて優れたR−to−R適合性とともに、高透明性をも備えたコア層形成材料が求められている。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高いR−to−R適合性、および、高透明性、例えば波長850nmにおける高透明性を兼ね備えたコア層形成材料となりうる光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物および光導波路形成用感光性フィルム、ならびにそれを用いた光導波路、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明は、エポキシ樹脂および光カチオン重合開始剤を含有し、上記エポキシ樹脂が固形エポキシ樹脂成分のみで構成される光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物を第1の要旨とする。
【0014】
また、本発明は、上記第1の要旨である光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物をフィルム状に形成してなる光導波路形成用感光性フィルムを第2の要旨とする。
【0015】
さらに、本発明は、基材とその基材上にクラッド層が形成され、さらに上記クラッド層中に所定パターンで、光信号を伝搬するコア層が形成されてなる光導波路であって、上記コア層が、上記第1の要旨の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物、または上記第2の要旨の光導波路形成用感光性フィルムを硬化させることにより形成されてなる光導波路を第3の要旨とする。
【0016】
そして、本発明は、上記第3の要旨の光導波路を備える光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板を第4の要旨とする。
【0017】
本発明者は、良好なR−to−R適合性を有し、かつ高透明性および低損失をも備えた光導波路のコア層形成材料となる感光性エポキシ樹脂組成物を得るために鋭意検討を重ねた。その結果、上記のように、固形成分のみで構成されてなるエポキシ樹脂成分を用いると、所期の目的が達成されることを見出し本発明に到達した。
【0018】
[1]R−to−R適合性(未硬化フィルム柔軟性)に関しては、本発明者は、エポキシ樹脂を固形エポキシ樹脂のみから構成することはもちろんのこと、より好ましい態様として固形エポキシ樹脂の軟化点に着目した。一般に、樹脂の柔軟性は、分子の絡み合いによる強靭性の発現と主鎖の採りうるコンフォメーションの多様さに起因する。軟化点の高い固形エポキシ樹脂は、ある一定以上の分子量を有すると高い未硬化柔軟性を発現するようになる。これは、高分子量樹脂として主鎖の絡み合い(相互作用)が強くなることに起因するが、配合組成上ワニス粘度の上昇に寄与するため溶剤成分を過剰に使用する必要が発生することから、厚膜塗工に適さなくなることに加え、パターニング性の悪化も懸念される。
【0019】
一方、軟化点の低い材料は主鎖の絡み合いが弱いため主鎖間の相互作用に束縛されず、取りうるコンフォメーションは多様となるため柔軟化が期待できる。高温領域でもなく低温領域でもない中途半端な温度領域の軟化点を有する材料は、上記軟化点が高い材料と軟化点が低い材料の両方の短所が顕著に影響し、柔軟性が悪化する傾向がみられる。
【0020】
本発明では、固形を示すエポキシ樹脂を用いることにより、液状成分を添加することなく未硬化における柔軟性の付与が達成されることとなる。
【0021】
[2]屈折率に関しては、光導波路のコア層形成材料としての機能を果たす上で高屈折率は欠かすことのできない機能である。一般的に、樹脂の高屈折率化にはナノフィラー、重元素含有モノマー、フルオレン骨格含有モノマーの添加が設計の主流であるが、中でも安価に採用できる設計はフルオレン骨格含有モノマーの使用である。しかしながら、一般にフルオレン骨格含有モノマーの選択肢は限られており、高粘性液体モノマーか高結晶性のモノマーのどちらかしかないのが実情である。上記高粘性液体モノマーについては、タック発生の原因となるため使用することができず、また高結晶性モノマーは、樹脂成分中、多くを占める割合にて使用すると再結晶が生じワニスのポットライフを縮めることにつながる。このため、安価に高屈折率化が図れる屈折率の上限は、限定的となるが1.59程度の屈折率を付与することができれば光導波路のコア層形成材料としての機能を果たすことができる。本発明においては、高屈折率化、ポットライフの観点から、高結晶性の固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂を用いると、コア層としての良好な機能を付与することが容易となり好ましい。
【0022】
[3]直線損失に関しては、好ましくは、使用原料として色相の低いクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂材料を用い、かつ波長850nm吸収因子となる芳香環の振動吸収の4倍音吸収の少ない上記クレゾールノボラック樹脂をベース樹脂とすることで低損失効果を付与することが可能となる。
【0023】
[4]ワニス安定性に関しては、固形樹脂成分のみで構成することにより対応することが可能となる。より好適には、上記屈折率の項において述べたように、結晶性のフルオレンモノマーの導入は再結晶の懸念を有することから、本発明では、鋭意検討の結果、特に好ましくは、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂を15〜20重量部とする使用量により、ワニス安定性の維持が容易となる。
【0024】
このように、上記各項目を全て満たすようにエポキシ樹脂を固形成分のみで構成することにより、さらに好ましくは上述のようにエポキシ樹脂として材料を選定し、かつ選定した材料の配合比率を特定することにより要求物性を満たすことがより一層容易になるのである。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明は、エポキシ樹脂が、固形成分からのみ構成されてなる光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物である。このため、上記光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物を用いて、光導波路のコア層を形成した場合、従来の製造工程を変更することなく、優れたR−to−R適合性および高透明性、さらには低損失を備えたコア層を形成することが可能となる。
【0026】
そして、上記エポキシ樹脂が、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)を含有する構成成分であると、より一層優れたR−to−R適合性および高透明性、さらには低損失を備えたコア層を形成することが可能となる。
【0027】
また、上記固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)を含有する構成のエポキシ樹脂において、上記各固形エポキシ樹脂の混合配合割合を、重量基準で、特定範囲に設定すると、より一層優れたR−to−R適合性および高透明性、さらには低損失を備えたコア層を形成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
《光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物》
本発明の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物(以下、単に「感光性エポキシ樹脂組成物」という場合がある。)は、特定の樹脂成分、および、光カチオン重合開始剤を用いて得られるものである。そして、本発明においては、上記特定の樹脂成分が、固形エポキシ樹脂成分のみで構成されていることを特徴とする。なお、本発明において、「液状」、あるいは「固形」とは、常温(25±5℃)の温度下において流動性を示す「液体」状態、または流動性を示さない「固体」状態を呈することを意味する。また、本発明において、常温とは上述のとおり、25±5℃の温度領域を意味する。
以下、各種成分について順に説明する。
【0030】
<特定の樹脂成分>
上記特定の樹脂成分は、前述のとおり、固形エポキシ樹脂成分のみで構成される。そして、良好なR−to−R適合性を有し、かつ高透明性および低損失の観点から、上記固形エポキシ樹脂成分は、具体的には、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)の3成分を含有する構成であることが好ましい。
【0031】
上記固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a)は、常温にて固体を呈するものであり、例えば、下記の一般式(1)で表されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂があげられる。
【0032】
【化1】
【0033】
上記式(1)において、好ましくはRは全てメチル基である。
【0034】
上記一般式(1)で表されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、具体的には、YDCN−704A、YDCN−700−10、YDCN−700−7、YDCN−700−5、YDCN-700−3(いずれも新日鉄住金化学社製)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0035】
そして、上記固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a)としては、軟化点が65℃以下であることが好ましい。より好ましくは55〜65℃である。すなわち、軟化点が高すぎると、R−to−R適合性が低下する傾向がみられる。
【0036】
上記固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b)としては、常温にて固体を呈するものであり、具体的には、長鎖二官能芳香族ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるJER1002、JER1004、JER1007、JER1010(いずれも三菱化学社製)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いることができる。
【0037】
そして、上記固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b)としては、軟化点が80℃以下であることが好ましい。より好ましくは65〜78℃である。すなわち、軟化点が高すぎると、R−to−R適合性が低下する傾向がみられる。
【0038】
上記固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)は、常温にて固体を呈し、主鎖にフルオレン骨格を有する固形エポキシ樹脂であって、例えば、下記の一般式(2)で表されるエポキシ樹脂があげられる。
【0039】
【化2】
【0040】
上記式(2)において、好ましくはR〜Rは水素原子であり、具体的には、オグソールPG−100(大阪ガスケミカル社製)等があげられる。
【0041】
上記特定の樹脂成分である、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)の各配合割合は、重量基準で、好ましくは、(a)+(b)+(c)=100重量部とした場合、(a)40〜60重量部、(b)20〜40重量部、(c)15〜20重量部である。より好ましくは、(a)50〜60重量部、(b)25〜35重量部、(c)18〜20重量部である。すなわち、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a)が少なすぎると、光伝搬損失が低下する傾向がみられ、多すぎると、他の機能性付与においてバランスがとれなくなる傾向がみられる。また、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b)が少なすぎると、硬化物の柔軟性が低下する傾向がみられ、多すぎると、光伝搬損失が低下する傾向がみられる。そして、固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)が少なすぎると、屈折率が不足する傾向がみられ、多すぎると、ポットライフが悪化する傾向がみられる。
【0042】
本発明では、上記固形エポキシ樹脂成分としては、具体的には、上記固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)を含有する構成であることが好ましいが、上記(a),(b),(c)以外の固形エポキシ樹脂を用いてもよい。より好ましくは、上記(a),(b),(c)の3成分が固形エポキシ樹脂成分全体の80重量%以上を占めることである。特に好ましくは、固形エポキシ樹脂成分が、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a),固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b),固形フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(c)の3成分のみからなる構成である。
【0043】
<光カチオン重合開始剤>
上記光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、感光性エポキシ樹脂組成物に対して光照射による硬化性を付与するため、例えば、紫外線照射による硬化性を付与するために用いられるものである。
【0044】
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0045】
さらに、光カチオン重合開始剤の具体例として、トリフェニルスルホニウム塩系ヘキサフルオロアンチモネートタイプのSP−170(ADEKA社製)、CPI−101A(サンアプロ社製)、WPAG−1056(和光純薬工業社製)、ジフェニルヨードニウム塩系ヘキサフルオロアンチモネートタイプのWPI−116(和光純薬工業社製)等があげられる。
【0046】
上記光カチオン重合開始剤の含有量は、感光性エポキシ樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して0.1〜3重量部に設定することが好ましく、より好ましくは0.25〜1重量部である。すなわち、光カチオン重合開始剤の含有量が少なすぎると、満足のいく光照射(紫外線照射)による光硬化性が得られ難く、多すぎると、光感度が上がり、パターニングに際して形状異常をきたす傾向がみられる、および、初期損失の要求物性が悪化する傾向がみられる。
【0047】
本発明の感光性エポキシ樹脂組成物には、上記特定の樹脂成分および光カチオン重合開始剤以外に、必要に応じて、例えば、接着性を高めるためにシラン系あるいはチタン系のカップリング剤、オレフィン系オリゴマーやノルボルネン系ポリマー等のシクロオレフィン系オリゴマーやポリマー、合成ゴム、シリコーン化合物等の密着付与剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等の各種酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤等を配合することができる。これら添加剤は、本発明における効果を阻害しない範囲内にて適宜に配合される。これらは単独でまたは二種類以上併用して用いることができる。
【0048】
上記酸化防止剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して3重量部未満に設定することが好ましく、特に好ましくは1重量部以下である。すなわち、酸化防止剤の含有量が多すぎると、初期損失の要求物性が悪化する傾向がみられる。
【0049】
本発明の感光性エポキシ樹脂組成物は、上記特定の樹脂成分および光カチオン重合開始剤、さらには必要に応じて他の添加剤を、所定の配合割合にして撹拌混合することにより調製することができる。さらに、本発明の感光性エポキシ樹脂組成物を塗工用ワニスとして調製するために、加熱下(例えば、60〜120℃程度)、有機溶剤に撹拌溶解させることが好ましい。上記有機溶剤の使用量は、適宜調整されるものであるが、例えば、感光性エポキシ樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して20〜80重量部に設定することが好ましく、特に好ましくは30〜60重量部である。すなわち、有機溶剤の使用量が少なすぎると、塗工用ワニスとして調製した際に高粘度となり塗工性が低下する傾向がみられ、有機溶剤の使用量が多すぎると、塗工用ワニスを用いて厚膜に塗工形成することが困難となる傾向がみられる。
【0050】
上記塗工用ワニスを調製する際に用いられる有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルラクテート、2−ブタノン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジグライム、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチルフラン、ジメトキシエタン等があげられる。これら有機溶剤は、単独でまたは二種類以上併用し、塗工に好適な粘度となるように、例えば、上記範囲内において所定量用いられる。
【0051】
《光導波路》
つぎに、本発明の感光性エポキシ樹脂組成物をコア層形成材料として用いてなる光導波路について説明する。
【0052】
本発明の光導波路は、例えば、基材と、その基材上に、所定パターンで形成されたクラッド層(アンダークラッド層)と、上記クラッド層上に、光信号を伝搬する、所定パターンで形成されたコア層と、さらに、上記コア層上に形成されたクラッド層(オーバークラッド層)とを備えた構成からなる。そして、本発明の光導波路では、上記コア層が、前述の感光性エポキシ樹脂組成物によって形成されてなる。また、上記アンダークラッド層形成材料およびオーバークラッド層形成材料に関しては、同じ成分組成からなるクラッド層形成用樹脂組成物を用いてもよいし、異なる成分組成の樹脂組成物を用いてもよい。なお、本発明の光導波路において、上記クラッド層は、コア層よりも屈折率が小さくなるよう形成する必要がある。
【0053】
本発明において、光導波路は、例えば、つぎのような工程を経由することにより製造することができる。すなわち、基材を準備し、その基材上に、クラッド層形成材料である感光性樹脂組成物からなる感光性ワニスを塗工する。このワニス塗工面に対して紫外線等の光照射を行ない、さらに必要に応じて加熱処理を行なうことにより感光性ワニスを硬化させる。このようにしてアンダークラッド層(クラッド層の下方部分)を形成する。
【0054】
ついで、上記アンダークラッド層上に、本発明の感光性エポキシ樹脂組成物を有機溶剤に溶解させてなるコア層形成材料(感光性ワニス)を塗工することによりコア層形成用の未硬化層を形成する。このとき、上記コア層形成材料(感光性ワニス)を塗工した後、有機溶剤を加熱乾燥して除去することにより未硬化の光導波路形成用感光性フィルムとなるフィルム形状に形成されることとなる。そして、このコア層形成用未硬化層面上に、所定パターン(光導波路パターン)を露光させるためのフォトマスクを配設し、このフォトマスクを介して紫外線等の光照射を行ない、さらに必要に応じて加熱処理を行なう。その後、上記コア層形成用未硬化層の未露光部分(未硬化部分)を、現像液を用いて溶解除去することにより、所定パターンのコア層を形成する。
【0055】
つぎに、上記コア層上に、上述のクラッド層形成材料である感光性樹脂組成物からなる感光性ワニスを塗工した後、紫外線照射等の光照射を行ない、さらに必要に応じて加熱処理を行なうことにより、オーバークラッド層(クラッド層の上方部分)を形成する。このような工程を経由することにより、目的とする光導波路を製造することができる。
【0056】
上記基材材料としては、例えば、シリコンウエハ、金属製基板、高分子フィルム、ガラス基板等があげられる。そして、上記金属製基板としては、SUS等のステンレス板等があげられる。また、上記高分子フィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等があげられる。そして、その厚みは、通常、10μm〜3mmの範囲内に設定される。
【0057】
上記光照射では、具体的には紫外線照射が行なわれる。上記紫外線照射での紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯,高圧水銀灯,超高圧水銀灯等があげられる。また、紫外線の照射量は、通常、10〜20000mJ/cm2、好ましくは100〜15000mJ/cm2、より好ましくは500〜10000mJ/cm2程度があげられる。
【0058】
さらに、上記紫外線照射等の光照射による露光後、光反応による硬化を完結させるために加熱処理を施してもよい。また、上記加熱処理条件としては、通常、80〜250℃、好ましくは、100〜150℃にて、10秒〜2時間、好ましくは、5分〜1時間の範囲内で行なわれる。
【0059】
また、上記クラッド層形成材料としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂等の各種液状エポキシ樹脂、固形多官能脂肪族エポキシ樹脂等の固形エポキシ樹脂、さらには、前述の各種光酸発生剤を適宜含有するエポキシ樹脂組成物があげられ、コア層形成材料と比較して適宜、低屈折率となる配合設計が行われる。さらに、必要に応じてクラッド層形成材料をワニスとして調製し塗工するため、塗工に好適な粘度が得られるように従来公知の各種有機溶剤、また、上記コア層形成材料を用いた光導波路としての機能を低下させない程度の各種添加剤(酸化防止剤、密着付与剤、レベリング剤、UV吸収剤)を適量用いてもよい。
【0060】
上記ワニス調製用に用いられる有機溶剤としては、前述と同様、例えば、乳酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルラクテート、2−ブタノン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジグライム、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチルフラン、ジメトキシエタン等があげられる。これら有機溶剤は、単独でまたは二種類以上併用して、塗布に好適な粘度が得られるように、適量用いられる。
【0061】
なお、上記基材上における、各層の形成材料を用いての塗工方法としては、例えば、スピンコーター、コーター、円コーター、バーコーター等の塗工による方法や、スクリーン印刷、スペーサを用いてギャップを形成し、そのなかに毛細管現象により注入する方法、マルチコーター等の塗工機によりR−to−Rで連続的に塗工する方法等を用いることができる。また、上記光導波路は、上記基材を剥離除去することにより、フィルム状光導波路とすることも可能である。
【0062】
このようにして得られた光導波路は、例えば、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板用の光導波路として用いることができる。
【実施例】
【0063】
つぎに、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0064】
[実施例1]
まず、実施例となる光導波路の作製に先立ち、クラッド層形成材料およびコア層形成材料である各感光性ワニスを調製した。
【0065】
<クラッド層形成材料の調製>
遮光条件下にて、液状長鎖二官能半脂肪族エポキシ樹脂(EXA−4816、DIC社製)80部、固形多官能脂肪族エポキシ樹脂(EHPE−3150、ダイセル社製)20部、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)(アデカオプトマーSP−170、アデカ社製)2.0部を乳酸エチル40部に混合し、85℃加熱下にて撹拌完溶させ、その後室温(25℃)まで冷却した後、直径1.0μmのメンブランフィルタを用い加熱加圧濾過を行なうことにより、クラッド層形成材料となる感光性ワニスを調製した。
【0066】
<コア層形成材料の調製>
遮光条件下にて、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)40部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)40部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)(CPI−101A、サンアプロ社製)0.5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(Songnox1010、共同薬品社製)0.5部、リン酸エステル系酸化防止剤(HCA、三光社製)0.125部を、乳酸エチル50部に混合し、110℃加熱下にて攪拌完溶させ、その後室温(25℃)まで冷却した後、直径1.0μmメンブランフィルタを用い加熱加圧濾過を行なうことにより、コア層形成材料となる感光性ワニスを調製した。
【0067】
《光導波路の作製》
<アンダークラッド層の作製>
総厚22μmのフレキシブルプリント回路(FPC)基材の裏面上に、スピンコーターを用いて上記クラッド層形成材料である感光性ワニスを塗工した後、ホットプレート上にて有機溶剤の乾燥(130℃×10分間)を行なった。ついで、UV照射機〔5000mJ/cm2(I線フィルタ)〕によりマスクパターン露光を行ない、さらに後加熱(130℃×10分間)を行なった。ついで、γ−ブチロラクトン中にて現像(室温25℃下、3分間)して、水洗した後、ホットプレート上で水分を乾燥(120℃×5分間)させることにより、アンダークラッド層(厚み:15μm)を作製した。
【0068】
<コア層の作製>
上記のようにして形成されたアンダークラッド層上に、スピンコーターを用いて、コア層形成材料である感光性ワニスを塗工した後、ホットプレート上にて有機溶剤(乳酸エチル)を乾燥させる(130℃×5分間)ことにより、未硬化フィルム状態の未硬化層(コア形成層)を形成した。形成された未硬化層(コア形成層)に対して、UV照射機〔混線(バンドフィルタ無し)〕にて8000mJ/cm2(波長365nm積算)のマスクパターン露光〔パターン幅/パターン間隔(L/S)=50μm/200μm〕を行ない、後加熱(140℃×10分間)を行なった。その後、γ−ブチロラチクトン中にて現像(室温(25℃)下、3分間)した後、水洗し、ホットプレート上にて水分を乾燥(120℃×5分間)させることにより、所定パターンのコア層(厚み50μm)を作製した。
【0069】
<オーバークラッド層の作製>
上記のようにして形成されたコア層上に、スピンコーターを用いて、クラッド層形成材料である感光性ワニスを塗工した後、ホットプレート上にて有機溶剤(乳酸エチル)の乾燥(130℃×10分間)を行なった。その後、5000mJ/cm2(I線フィルタ)の露光、130℃×10分間の露光後加熱処理(PEB処理)を行ない、さらに、γ−ブチロラチクトン中にて現像(室温(25℃)下、3分間)した後、水洗し、ホットプレート上にて水分を乾燥(120℃×10分間)させることにより、オーバークラッド層(コア層上のオーバークラッド層厚み10μm)を作製した。
【0070】
このようにして、FPC基材の裏面上に、アンダークラッド層が形成され、このアンダークラッド層上に所定パターンのコア層が形成され、さらにこのコア層上にオーバークラッド層が形成された光導波路(光導波路総厚み75μm)を作製した。
【0071】
[実施例2]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)50部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0072】
[実施例3]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)55部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)15部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0073】
[実施例4]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)60部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)20部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0074】
[実施例5]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−5、新日鐵化学社製)50部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0075】
[実施例6]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−7、新日鐵化学社製)50部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0076】
[実施例7]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−10、新日鐵化学社製)50部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0077】
[実施例8]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)60部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1003、三菱化学社製)20部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0078】
[実施例9]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)65部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)15部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0079】
[実施例10]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)35部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)45部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0080】
[実施例11]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)60部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)10部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0081】
[実施例12]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)55部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)20部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)25部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0082】
[比較例1]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型固形エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)65部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER828、三菱化学社製)15部、固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)20部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0083】
[比較例2]
コア層形成材料である感光性ワニスの調製において、樹脂成分の配合組成を、固形クレゾールノボラック型固形エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)60部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)30部、液状フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールEG−200、大阪ガスケミカル社製)10部に変えた。それ以外は実施例1と同様にしてコア層形成材料となる感光性ワニスを調製し、光導波路を作製した。
【0084】
このようにして得られた各コア層形成材料である感光性ワニス、および、各光導波路を用いて、R−to−R適合性、コア層の屈折率、光導波路の損失評価(直線損失)、ワニス安定性、総合評価に関して下記に示す方法に従って測定・評価した。これらの結果をコア層形成材料の配合組成とともに後記の表1〜表2に併せて示す。
【0085】
[R−to−R適合性]
上記実施例および比較例において調製したコア層形成材料となる感光性ワニスを用いて、下記の測定評価を行なった。
【0086】
(1)タック性
シリコンウエハ上にコア層形成材料(感光性ワニス)を塗工した後、これをホットプレート上にて130℃×5分間のプリベーク(加熱乾燥)を行なうことにより、厚み約50μmとなる塗工膜を作製した。上記塗工膜の表面を10秒間指触した後、指を離した際の表面状態によりタック発生の有無を確認した。
【0087】
(2)未硬化物(未硬化フィルム)柔軟性
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上にコア層形成材料(感光性ワニス)を塗工した後、加熱乾燥(130℃×5分間)することにより厚み約50μmの未硬化フィルム(アモルファスフィルム)を作製した。つぎに、PET基材上のアモルファスフィルムを直径8cmおよび4cmの各巻き芯に沿って巻回することにより、アモルファスフィルムに発生したクラックの有無を確認した。
【0088】
(3)硬化物(硬化フィルム)柔軟性
PET基材上にコア層形成材料(感光性ワニス)を塗工した後、加熱乾燥(130℃×5分間)することにより厚み約50μmの未硬化フィルム(アモルファスフィルム)を作製した。つぎに、PET基材上のアモルファスフィルムに対して、混線(超高圧水銀ランプ使用、バンドパスフィルタなし)にて波長365nm照度を基準に8000mJ/cm2にて、厚み5mmのガラスマスク(パターンなし)を介して露光を行なった。その後、140℃×10分間の後加熱を行なうことにより硬化フィルムを作製した。作製したPET基材上の硬化フィルムを直径8cmの巻き芯、さらには直径4cmの巻き芯に沿って、硬化フィルムをそれぞれ外巻きに巻回した。その際、硬化フィルムに関してクラック発生の有無を目視により確認した。
【0089】
上記各測定項目の確認の結果に関して、下記の基準に基づき評価した。
○:タックの発生なく、かつ未硬化フィルムおよび硬化フィルムをそれぞれ直径4cmの巻き芯に巻き付けたが、クラックは発生しなかった。
△:タックの発生なく、かつ未硬化フィルムおよび硬化フィルムを直径8cmの巻き芯にそれぞれ巻き付けたが、クラックが発生しなかった。さらに、硬化フィルムをそれぞれ直径4cmの巻き芯に巻き付けたが、クラックが発生した。
×:タックが発生した。
【0090】
[屈折率]
厚み0.8mmのシリコンウエハ上に、得られたコア層形成材料(感光性ワニス)をスピンコーターにて塗工した後、130℃×10分間の加熱乾燥を行なった。ついで、混線(超高圧水銀ランプ使用、バンドパスフィルタなし)にて365nm照度を基準に、8000mJ/cm2にて、厚み5mmのガラスマスク(パターンなし)を介して露光を行なった。その後、140℃×10分間の後加熱を行なうことにより屈折率評価用サンプル(厚み:10μm)を作製した。作製したサンプルを用いて、SAIRON TECHNOLOGY社製プリズムカップラー(SPA−4000型番)により、波長850nmにおける屈折率を確認した。その結果、下記の基準に基づき評価した。
【0091】
○:波長850nmでの屈折率が1.590以上であった。
△:波長850nmでの屈折率が1.585以上1.590未満であった。
×:波長850nmでの屈折率が1.585未満であった。
【0092】
[光導波路の損失評価(直線損失)]
上記実施例および比較例にて作製された光導波路をサンプルとして用い、光源(850nmVCSEL光源OP250、三喜社製)から発振された光をマルチモードファイバー〔FFP−G120−0500、三喜社製(直径50μmMMF、NA=0.2)〕にて集光して、上記サンプルに入射した。そして、サンプルから出射された光をレンズ〔清和光学製作所社製、FH14−11(倍率20、NA=0.4)〕にて集光し、光計測システム(オプティカルマルチパワーメーターQ8221、アドバンテスト社製)にて6チャンネルを評価した。その平均全損失から直線損失を算出した。そして、このようにして求めた直線損失から、カットバック法により単位長当りの損失値を算出した。その値を基に、下記の基準に基づき評価した。
○:直線損失値が0.05dB/cm未満であった。
△:直線損失値が0.05dB/cm以上0.06dB/cm以下であった。
×:直線損失値が0.06dB/cmを超える値であった。
【0093】
[ワニス安定性]
作製したコア層形成材料(感光性ワニス)を一定の環境下(5℃冷蔵保管)にて静置した後、ワニスにおける白濁の発生の有無を確認した。その結果、下記の基準に基づき評価した。
【0094】
○:5℃冷蔵保管条件下にて1週間を超えて静置したが、白濁は発生しなかった。
△:5℃冷蔵保管条件下、1週間以内に白濁は発生しなかった。
×:ワニス作製時に加熱状態で解放した後、放冷の際に白濁が発生した。
【0095】
[総合評価]
上記各評価結果を基に、下記の基準に従い総合的に評価した。
○:すべての評価項目において○であった。
△:評価項目中1つ以上△の項目があった。
×:評価項目中1つ以上×の項目があった。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
上記結果から、樹脂成分として固体を示すエポキシ樹脂成分のみを用いてなる感光性エポキシ樹脂組成物(実施例品)に関して、R−to−R適合性およびワニス安定性に優れ、また高い屈折率を有するものが得られた。そして、上記感光性エポキシ樹脂組成物(実施例品)を用いて形成されたコア層を備えた光導波路は、光導波路の損失評価(直線損失)において良好な評価結果が得られた。中でも、軟化点が65℃以下の固形クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−700−3、新日鐵化学社製)、軟化点が80℃以下の固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学社製)、および固形フルオレン骨格含有二官能エポキシ樹脂(オグソールPG−100、大阪ガスケミカル社製)を所定の配合割合にて用いてなる実施例1〜4品は、全ての評価項目において良好な結果が得られており、特に優れたものであるといえる。
【0099】
これに対して、樹脂成分として固体を示すエポキシ樹脂とともに液状を示すエポキシ樹脂を併用してなる感光性エポキシ樹脂組成物(比較例品)は、いずれもR−to−R適合性に劣る結果となり、比較例2品においては、さらに屈折率に関しても劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物は、光導波路を構成するコア層の形成材料として有用である。そして、上記光導波路形成用感光性エポキシ樹脂組成物をコア層形成材料として用いて作製される光導波路は、例えば、光・電気伝送用混載フレキシブルプリント配線板等に用いられる。