(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566421
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】道路
(51)【国際特許分類】
E01F 7/06 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
E01F7/06
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-206863(P2015-206863)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2017-78300(P2017-78300A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594075765
【氏名又は名称】日本環境アメニティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171435
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】上山 満
(72)【発明者】
【氏名】竹山 正明
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貢一
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−342514(JP,A)
【文献】
特開平10−311199(JP,A)
【文献】
特開平09−088016(JP,A)
【文献】
特開平05−313251(JP,A)
【文献】
特開2013−007181(JP,A)
【文献】
特開平09−328339(JP,A)
【文献】
特開平10−266139(JP,A)
【文献】
特開2007−169957(JP,A)
【文献】
特開2009−068238(JP,A)
【文献】
実開平02−080115(JP,U)
【文献】
特開2015−151671(JP,A)
【文献】
特開2014−005631(JP,A)
【文献】
米国特許第04308933(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/06
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面部の左右両側方に側壁部を立設し、
前記左右両側壁部間の上方が天空に向けて解放した状態で、
前記左右両側壁部間に亘って架設する側壁部支持梁を、前記路面部の上方で、且つ、前記路面部の長手方向に所定間隔置きに並設してある道路であって、
隣接する前記側壁部支持梁間を通って路面に照射される自然光が、前記側壁部支持梁によって形成される影部にも散乱によって照射される透光性散乱板を、隣接する前記側壁部支持梁間毎に設け、
前記透光性散乱板を隣接する前記側壁部支持梁間に亘って傾斜姿勢で取り付ける支持フレームを設け、
前記透光性散乱板を複数枚に分割する分割散乱板で形成し、
前記支持フレームは、複数枚の前記分割散乱板夫々の表裏の内の下側面を載置させて下から受ける第1フレーム部と、前記分割散乱板の横方向の移動を規制する第2フレーム部とを備え、
複数枚の前記分割散乱板を並べて、夫々の前記分割散乱板を別々に前記第1フレーム部から上下方向に着脱自在に取り付け、
前記第1フレーム部上の複数枚の前記分割散乱板夫々に、ワイヤの挿通部を設け、
前記ワイヤを前記挿通部に挿通させた状態で、その両端部を前記支持フレームに取り付けて、前記分割散乱板夫々を前記支持フレームに対して落下止めしてある道路。
【請求項2】
前記支持フレームに対して、複数枚の前記分割散乱板の一部を各々又は複数まとめて着脱自在に取り付ける小フレームを設け、
前記第1フレーム部上に並べた前記小フレーム同士の隣接する物同士の間に、シール材を設けてある請求項1に記載の道路。
【請求項3】
前記分割散乱板は、可視光透過率70%以上でヘイズ率35%以上のものから形成してある請求項1または2に記載の道路。
【請求項4】
前記分割散乱板は、ガラス粉、ガラスビーズ、セラミック粒子の中の少なくとも一種を、板ガラス表面に固着して透光性散乱層を形成したものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の道路。
【請求項5】
前記分割散乱板は、セラミックを表面にドット印刷した板ガラス、セラミックを表面に縞模様に印刷した板ガラス、表面をエッジングした板ガラス、乳濁ガラス、泡ガラスの中から選択された少なくとも1種から成る板ガラスを使用してある請求項1〜3のいずれか1項に記載の道路。
【請求項6】
前記分割散乱板は、積層する複数枚の板ガラス間にガラス繊維、紙、布の中から選択された少なくとも1種を介在させた合わせガラス、又は、複層ガラスから成るものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の道路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面部の左右両側方に側壁部を立設し、前記左右両側壁部間の上方が天空に向けて解放した状態で、前記左右両側壁部間に亘って架設する側壁部支持梁を、前記路面部の上方で、且つ、前記路面部の長手方向に所定間隔置きに並設してある道路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の道路においては、
図3(a)に、一般的な半地下構造道路施設の一例として示すように、路面部1の上方が天空に向けて解放した状態であるために、路面部1上に太陽光などの自然光が照射され、その自然光の照射調整などは行われていないのが現状である(周知技術で、適切な文献が見当たらない。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、左右両側壁部間に亘って架設する側壁部支持梁3が、路面部1の上方で、且つ、路面部1の長手方向に所定間隔置きに多数並設してあるために、路面部1上に側壁部支持梁3の影が多数形成され、路面部1を走行する車両では、太陽光に照射された箇所と側壁部支持梁3の影とが交互に視覚に入り、光のチラツキ現象がドライバーにとっては、運転しづらいものとなっていた。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、路面上の光のチラツキを防止して運転環境を向上させるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、路面部の左右両側方に側壁部を立設し、前記左右両側壁部間の上方が天空に向けて解放した状態で、前記左右両側壁部間に亘って架設する側壁部支持梁を、前記路面部の上方で、且つ、前記路面部の長手方向に所定間隔置きに並設してある道路であって、隣接する前記側壁部支持梁間を通って路面に照射される自然光が、前記側壁部支持梁によって形成される影部にも散乱によって照射される透光性散乱板を、隣接する前記側壁部支持梁間毎に設け、前記透光性散乱板を隣接する前記側壁部支持梁間に亘って傾斜姿勢で取り付ける支持フレームを設け、前記透光性散乱板を複数枚に分割する分割散乱板で形成し、前記支持フレームは、複数枚の前記分割散乱板夫々の表裏の内の下側面を載置させて下から受ける第1フレーム部と、前記分割散乱板の横方向の移動を規制する第2フレーム部とを備え、複数枚の前記分割散乱板を並べて、夫々の前記分割散乱板を別々に前記第1フレーム部から上下方向に着脱自在に取り付け、前記第1フレーム部上の複数枚の前記分割散乱板夫々に、ワイヤの挿通部を設け、前記ワイヤを前記挿通部に挿通させた状態で、その両端部を前記支持フレームに取り付けて、前記分割散乱板夫々を前記支持フレームに対して落下止めしたところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、隣接する前記側壁部支持梁間を覆う透光性散乱板を、隣接する前記側壁部支持梁間毎に設けたことにより、隣接する側壁部支持梁間を通って路面に照射される自然光は、透光性散乱板により散乱し、側壁部支持梁によって形成される影部にも自然光が照射される。
そのために、路面上に光の照射される明暗部が形成させにくくなる。
従って、路面上を車で走行しても、光のチラツキが抑制され、運転環境を良好に改善できる。又、前記側壁部支持梁間を覆う透光性散乱板は、所定の傾斜角を持って、定間隔置きに設置してあれば、換気空間を確保することができる。
その上、前記透光性散乱板を複数枚に分割する分割散乱板で形成し、隣接する前記側壁部支持梁間に亘って傾斜姿勢で取り付けた前記透光性散乱板の支持フレームに対して、複数枚の前記分割散乱板を並べて、夫々の前記分割散乱板を別々に着脱自在に取り付けたことにより、透光性散乱板の全体面積が大きくても、小さいサイズの分割散乱板を複数枚取り付けて全体として透光性散乱板を形成することで、施工材料の輸送性及び施工性を向上させることができる。
また、複数枚の分割散乱板は、夫々が別々に支持フレームに対して着脱自在に取り付けることで、一部の分割散乱板のみを簡単に取り外して修理交換ができ、長距離にわたる道路上に取り付けた透光性散乱板の管理が容易になる。
その上、複数の分割散乱板は、挿通部にワイヤを挿通させて、支持フレームにワイヤの両端部を取り付けることにより、支持フレームから分割散乱板が不測に外れてしまったとしても、ワイヤにより落下止めをしてあり、安全性をより高くした状態で道路に対する透光性散乱板の設置が可能になる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記支持フレームに対して、複数枚の前記分割散乱板の一部を各々又は複数まとめて着脱自在に取り付ける小フレームを設け、前記第1フレーム部上に並べた前記小フレーム同士の隣接する物同士の間に、シール材を設けたところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、小フレームにより、分割散乱板を各々又は複数まとめて支持フレームに着脱自在にすることができ、分割散乱板の交換作業が容易で、強度も向上し、各分割散乱板の間の小フレームの影も光の散乱により打ち消され、特に問題なく目的を果たすことができる。
その上、シール材により支持フレーム上に並べた前記小フレーム同士の隣接する物同士の間がシールされ、そのために、降雨時に道路上に雨水が滴下するのを防止でき、自動車走行における視覚障害をもたらすのを防止して安全走行を維持しやすくなる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記分割散乱板は、可視光透過率70%以上でヘイズ率35%以上のものから形成したところにある。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、前記分割散乱板は、ガラス粉、ガラスビーズ、セラミック粒子の中の少なくとも一種を、板ガラス表面に固着して透光性散乱層を形成したところにある。
【0014】
本発明の第4の特徴構成によれば、分割散乱板は、ガラス粉、ガラスビーズ、セラミック粒子の中の少なくとも一種を、板ガラス表面に固着して透光性散乱層を形成することにより、耐久性が良くしかも光の透過度を落とさずに散乱による効果を最大に生かすことができる。
【0015】
本発明の第5の特徴構成は、前記分割散乱板は、セラミックを表面にドット印刷した板ガラス、セラミックを表面に縞模様に印刷した板ガラス、表面をエッジングした板ガラス、乳濁ガラス、泡ガラスの中から選択された少なくとも1種から成る板ガラスを使用したところにある。
【0016】
本発明の第5の特徴構成によれば、分割散乱板の製作がより簡単になる。
【0017】
本発明の第6の特徴構成は、前記分割散乱板は、積層する複数枚の板ガラス間にガラス繊維、紙、布の中から選択された少なくとも1種を介在させた合わせガラス、又は、複層ガラスから成るものである。
【0018】
本発明の第6の特徴構成によれば、分割散乱板は、積層する複数枚の板ガラス間にガラス繊維、紙、布の中から選択された少なくとも1種を介在させた合わせガラス、又は、複層ガラスから成るものにすることにより、分割散乱板のバリエーションを増やすことができ、施工環境に合わせることができながら、製作価格の選択の自由度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の透光性散乱板の一部拡大縦断面を含む全体側面図である。
【
図3】道路の一部切欠き斜視図で、(a)は透光性散乱板を取付ける前の斜視図、(b)は透光性散乱板を取付けた状態の斜視図である。
【
図4】分割散乱板の取付途中を示す縦断側面図である。
【
図5】分割散乱板を取り付けた状態の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、例えば、半地下道のように、路面部1の左右両側方に側壁部2を立設し、前記左右両側壁部2間の上方が天空に向けて解放した状態で、前記左右両側壁部2間に亘って架設する側壁部支持梁3を、前記路面部1の上方で、且つ、前記路面部1の長手方向に所定間隔置きに多数並設してある道路を示してある。
上記道路においては、路面部1上に多数の側壁部支持梁3の影が形成され、路面を走行する車両では、太陽光に照射された箇所と側壁部支持梁3の影とが交互に視覚に入り、光のチラツキ現象がドライバーにとっては、運転しづらくなる状況が発生する(
図3(a))。
そこで上記運転状況が悪化する危険性を、回避するために、隣接する側壁部支持梁3間を覆う透光性散乱板4を、隣接する側壁部支持梁3間毎に設けてある(
図1、
図2、
図3(b))。
【0021】
前記透光性散乱板4を設置するに当たり、
図2、
図3(b)に示すように、前記透光性散乱板4は、太陽の日射方向にその表面を略向けて傾斜させて設置し、両端部を隣接する側壁部支持梁3夫々に亘って跨るように取り付け支持させてある。
【0022】
前記透光性散乱板4は、
図2に示すように、約500℃で溶融する顔料とガラス粉の混合物を塗布して、加熱一体化したセラミック層9を、板ガラス表面に形成した半透明板ガラス6と網入りガラス7とを、樹脂中間膜8を介して一体化した合わせガラスから成るものを使用して、投下物に対する安全性や、積雪などに対する強度を確保してある。
【0023】
前記側壁部支持梁3夫々の上面には、想定される降雨量に応じた排水のために、水勾配を形成してあって、
図1、
図3(a)、(b)に、矢印Aに示すように下方に流下して排水されるように形成してある。
【0024】
図1、
図3(b)、
図4に示すように、前記透光性散乱板4は、複数枚に分割して分割散乱板4Aを形成してあり、隣接する側壁部支持梁3に亘って取り付けた透光性散乱板4の支持フレーム10(第1フレーム部10A、第2フレーム部10B)に対して、複数枚の分割散乱板4Aを並べて、夫々の分割散乱板4Aを別々に着脱自在に取り付けてある。
図5、
図6に示すように、前記複数枚の分割散乱板4Aの一部を各々又は複数まとめて支持する小フレーム20を、支持フレーム10(第1フレーム部10A、第2フレーム部10B)に対して着脱自在に設け、その小フレーム20夫々に、
図5に示すように、アイボルト12を取り付けて、ワイヤ11の挿通部13を設け、ワイヤ11を挿通部13に挿通させた状態で、その両端部を支持フレーム10に取り付けて、複数枚の分割散乱板4A夫々を支持フレーム10に対して落下止めしてある。
また、前記支持フレーム10上に並べた分割散乱板4A同士の隣接する物同士の間、つまり、小フレーム20同士の間には、
図6に示すように、ゴム製のシール材14を設けて、雨水が路面部1上に滴下するのを防止してある。
【0025】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 前記透光性散乱板4は、光が透過してしかも散乱により側壁部支持梁3により形成される影の部分に透過光が散乱して明暗の差を減少できるものであれば、上記のセラミック層を表面に形成した半透明板ガラス6に限らず、ドット印刷したガラスや、細かい縞模様に印刷した板ガラス、表面を凹凸面にエッジングした板ガラス、乳濁ガラス、泡硝子などを使用しても良い。尚、分散散乱板は、可視光透過率70%以上、ヘイズ率が35%以上とすることが好ましい。
〈2〉 前記分割散乱板4Aは、ガラス粉、ガラスビーズ、セラミック粒子の中の少なくとも一種を、板ガラス表面に固着して透光性散乱層を形成したものであったり、積層する複数枚の板ガラス間にガラス繊維、紙、布の中から選択された少なくとも1種を介在された合わせガラス、又は、複層ガラスから成るものであっても良い。
〈3〉 上記実施形態では、1つの小フレーム20に2枚の分割散乱版4Aを設け、分割散乱板4Aを2枚単位で小フレーム20ごとに交換できるようにした。しかし、1つの小フレーム20に1枚の分割散乱版4Aを設け、分割散乱板4Aを1枚単位で小フレーム20ごとに交換できるようにしてもよい。
【0026】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 路面部
2 側壁部
3 側壁部支持梁
4 透光性散乱板
4A 分割散乱板
10 支持フレーム
10A 第1フレーム部
10B 第2フレーム部
11 ワイヤ
13 挿通部
14 シール材
20 小フレーム