特許第6566429号(P6566429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566429
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】植物育成用照明装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   A01G7/00 601B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-185511(P2017-185511)
(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-58110(P2019-58110A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137122
【氏名又は名称】株式会社ボックス
(73)【特許権者】
【識別番号】501241542
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】100089509
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 清光
(72)【発明者】
【氏名】山内 敏郎
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/189773(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/160534(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/109395(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01574126(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方へ成長する茎(11)と、その周囲に結実する果実(13)を有する植物(10)に対して、結実部(15)の周囲へ光を照射する照明装置(32)を配置し、この照明装置を植物の成長に合わせて上方へ移動可能にした植物育成用照明装置において、
前記照明装置は、果実(13)へ下方から反射光を照射する反射材(32)を備え、
この反射材(32)が茎(11)に沿って上方へ移動可能であり、かつ任意の高さ位置で固定可能になっているとともに、
前記反射材(32)は、中心部が低く、外周部が高い凹面を形成する立体的な形状をなすことを特徴とする植物育成用照明装置。
【請求項2】
上記反射材(32)は発泡樹脂からなることを特徴とする請求項1の植物育成用照明装置。
【請求項3】
上記反射材(32)には、茎(11)及び葉(12)を通過させるための中央穴(32b)又はび切り込み(32c)もしくは双方が形成されていることを特徴とする請求項1又は2の植物育成用照明装置。
【請求項4】
上方へ成長する茎(11)と、その周囲に結実する果実(13)を有する植物(10)に対して、結実部(15)の周囲へ光を照射する照明装置(32)を配置し、この照明装置を植物の成長に合わせて上方へ移動可能にした植物育成用照明装置において、
前記照明装置は、果実(13)へ下方から反射光を照射する反射材(32)を備え、
この反射材(32)が茎(11)に沿って上方へ移動可能であり、かつ任意の高さ位置で固定可能になっているとともに、
果実(13)を上方から照射する灯具(31)を備え、灯具(31)を果実(13)の上方に、反射材(32)を果実(13)の下方となるように所定の間隔(H)を持って配置したことを特徴とする植物育成用照明装置。
【請求項5】
上記灯具(31)と反射材(32)が一体化されて、ユニット化していることを特徴とする請求項4の植物育成用照明装置。
【請求項6】
上記灯具(31)又は反射材(32)もしくは双方の相対位置が可変であることを特徴とする請求項4又は5の植物育成用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植物育成用照明装置、特に果実に対して反射光を照射することができる照射装置に関する。なお、本願において果実とは、果樹類や果菜類の実を意味する。
【背景技術】
【0002】
植物の人工栽培等において、LED等の灯具を用いて補光することは公知である。また、この照明を、つる植物の成長に合わせて高さ調整するとともに、つるの固定点も一緒に上昇させるものもある(特許文献1参照)。
さらに、果実の下面における着色を良好にするため、地面に反射シート(反射材)を広げ、これによる反射光を果実の下面に当てて着色を促進させることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−192552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、果実を収穫する植物の場合、果実に対して十分な光量を照射することにより、十分な着色や成熟度になるよう熟成を促進し、高品質にすることが行われ、このためには補光照明することにより、果実に当てる十分な光量を確保している。
また、高性植物で、成長とともに結実部が順次上方へ移動するものは、照明を植物の成長に応じて上昇させることにより、結実部に対して一定の補光光量が確保される。
特に、パプリカのような熟成に長時間を要するものは、補光照明により有効に熟成を促進できることが知られている。
さらに、反射光を下方から果実へ照射して、下面の着色等を良好にすることにより、全体が均一に着色されて熟成した高品質のものとし、かつ全体の熟成速度を均一化するとともに全体の熟成を促進することも知られている。
しかし、従来の反射光は、反射シートを地面上に固定しているため、植物が成長して結実部が上方へ移動するにしたがって結実部も照明も反射シートから離れていくため、果実に対する反射光の照射が次第に減少し、反射光による熟成の促進が期待できなくなった。
そこで本願は、植物が成長しても、結実部に対して一定の光量を上下から確保して、全体の均一な熟成を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上方へ成長する茎(11)と、その周囲に結実する果実(13)を有する植物(10)に対して、果実(13)へ光を照射する照明装置を結実部(15)の周囲に配置し、この照明装置を植物の成長に合わせて上方へ移動可能にした植物育成用照明装置において、
前記照明装置は、果実(13)へ下方から反射光を照射する反射材(32)を備え、
この反射材(32)が茎(11)に沿って上方へ移動可能であり、かつ任意の高さ位置で固定可能になっているとともに、
前記反射材(32)は、凹面を形成する立体的な形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
植物の成長に応じて、反射材(32)が茎(11)に沿って上方へ移動し、果実(13)へ下方から反射光を照射できる所定位置で固定できるようにしたので、植物の成長により結実部(15)が上方へ移動しても、これに追随して反射材(32)を上方へ移動させ、果実(13)に対して外光等の反射光が良好になる任意位置で固定できる。
このため、果実(13)に対する反射光の光量を常時一定にできるから、結実部(15)が高い位置に移動しても、果実(13)の下部における着色を良好にして全体の熟成を促進でき、高品質を維持できる。
また、反射材(32)が、凹面を形成する立体的な形状をなすので、果実に対する反射光Rの光量を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】異なる収穫期の状態にある植物を並べて示す第1実施例の斜視図
図2】第1実施例における結実部を照明する照明ユニットの断面図
図3】第1実施例における照明ユニットの斜視図
図4】第2実施例の照明ユニットの斜視図
図5】第3実施例の照明ユニットの上部を下方から示す斜視図
図6】第4実施例の斜視図
図7】第4実施例におけるクリップの平面図
図8】第5実施例の斜視図
図9】第6実施例の斜視図
図10】第6実施例の使用例を示す図
図11】第7実施例の斜視図
図12】第8実施例の展開状態における反射板の斜視図
図13図12の13−13線に沿う断面図及びその使用状態図
図14】第8実施例の反射板を植物へ取付けた状態における断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて実施形態に係る植物育成用照明装置を説明する。
図1図3は第1実施例に係り、図1は上方へ高く成長する高性の結実植物(例えばパプリカ)について、成長段階の異なるものを3つ並べて示す。図中のAは第1収穫期、Bは第2収穫期、Cは第3収穫期のものである。
【0009】
各植物10は、上方へ伸びる茎11と、その周囲に形成される葉12及び果実13を有する。茎11は、上下方向に長く垂直に配置された支柱20に沿って誘引される。ただし、支柱20に代えて上方から垂下される誘引用ロープであってもよい。
支柱20は、丸棒状もしくはパイプ状の長尺部材であり、地面21と栽培用ハウスを構成する屋根22の内側下方へ略水平に配置された梁23との間へ、略垂直に立てられている。
支柱20の高さは植物10の成長限界高さに合わせてあり、例えば3〜5m程度とする。
【0010】
この例は植物のハウス栽培例を示すが、ハウス外における露地栽培でもよい。
また、植物10を直接地面21へ植えているが、人工栽培として、根を肥培用の液体タンクへ入れてもよい。この場合、地面21はハウスの床面となる。
【0011】
植物10は、成長に応じて結実部15が順次上方へ移動するようになっており、Aに示すように、第1収穫期では比較的地面21に近い部分に結実する。Bに示す第2収穫期では結実部15はAより高い位置になり、Cの第3収穫期にはさらに高くなる。果実13は収穫期に応じて比較的高い位置に順次移って結実する。なお、本願において結実部15とは、植物10の高さ方向において、同時期に結実する果実が集中するような所定の範囲をいう。
【0012】
この結実部15の周囲には、照明ユニット30が設けられている。照明ユニット30は上方の灯具31と下方の反射板32を一体化したユニットを構成する。灯具31は上方から照射する補光用照明の光源部であり、例えばLEDで構成される。
反射板32は反射部材の一例であり、必ずしも板状部材から形成されなくてもよく、例えば、シート状でもよい。
【0013】
照明ユニット30は、昇降ロープ33により結実部15の位置に合わせて上下方向へ移動でき、結実部15の位置にて固定され、その収穫期中は所定高さを維持する。
灯具31は上方から照射する補光用照明の光源部であり、例えばLEDで構成され、昇降ロープ33と一緒に梁23から垂れ下がる電線35により給電される。
【0014】
灯具31は、栽培用ハウスの屋根22等を通して、上方から植物10へ照射される外光Lを補うものであり、照明光Sを上方から結実部15へ直接照射する。なお、光源からの照射方向は一定でなく、複数の果実へ種々な方向へ照射する。その光量や光線の種類(波長)は適宜調整される。
また、灯具31は、結実部15に対する外光Lの補光のみならず、夜間や曇天の光量不足時においても、植物10に対する人工照明手段として有効である。
【0015】
この例における照明ユニット30は、灯具31と反射板32が結実部15を上下に挟んで配置され、植物10の成長に合わせて、結実部15とともに上方へ移動し、上昇した結実部15の位置で固定されるので、結実部15の周囲に常時位置し、所定間隔の灯具31と反射板32が果実13を上下から常時効率よく照射して熟成を促進させることができる。特に、反射板32が結実部15の下方かつ近傍に位置するから、果実13の下面に反射光を十分に照射できる。
特に、植物10が成長しても、灯具31と反射板32の距離を所定範囲に維持して果実13に対して一定量以上の反射光を照射可能にすることが重要であり、照明ユニット30を植物10の成長に合わせて上昇させることにより、これを実現している。
【0016】
昇降ロープ33はロープロック装置34とともに照明ユニット30の高さ可変手段をなし、照明ユニット30からロープロック装置34まで上昇し、ここでロープロック装置34により拘束又は解放されるようになっている。昇降ロープ33は、さらにロープロック装置34からUターンして下方へ垂下し、先端が自由端になっている。昇降ロープ33のうち、照明ユニット30からロープロック装置34までが吊り下げ部であり、ロープロック装置34から自由端までが操作部33aをなしている。
【0017】
照明ユニット30の高さは、ロープロック装置34による昇降ロープ33の吊り下げ長さ(ロープロック装置34から照明ユニット30までの吊り下げ部の長さ)を調節することにより行われる。
ロープロック装置34は、梁23に固定されており、昇降ロープ33の操作部33a側の引き出し長さを調節自在になっている。
【0018】
操作部33aを下方(b矢示方向)へ引くと、昇降ロープ33を拘束していたロープロック装置34がロック解除されて昇降ロープ33が解放され、操作部33aを下方へ引き出し可能になり、照明ユニット30を上方(a矢示方向)へ引き上げることができる。
【0019】
照明ユニット30が所定位置まで上昇すると、操作部33aを横方向(c矢示方向)へ動かすことにより、ロープロック装置34において昇降ロープ33が拘束されてロック状態となり、昇降ロープ33はこの位置で上下動不能となる。このため、照明ユニット30は所定位置に位置決めされて固定され、次の操作までこの位置に維持される。
その後、再び操作部33aを下方へ引いてロックを外すと、操作部33aの引き出し量を調節することができるようになり、照明ユニット30の高さ調節が可能になる。
【0020】
なお、このようなロープロック装置は公知であり、例えばブラインド用の昇降コードに対するロック装置として多くのものが公知である(一例として。実開昭61−179296号公報がある)。
ただし、ロープロック装置34はこのようなものに限らず、種々可能であり、例えば、ロープロック装置34を電動モータで構成し、電気的な制御により巻き上げ又は巻き下げをして、照明ユニット30を所定位置に固定してもよい。
【0021】
さらには、ロープロック装置34を単なるプーリーとして、引き出し長さを調節した操作部33aを支柱20へ縛り付けるようにしてもよい。この場合にはロープロック装置34を省略可能になる。
【0022】
図2は、植物10を照射する照明ユニット30の断面図(図1の照明ユニット30を拡大して示す)であり、図3は照明ユニット30自体の斜視図である。なお、図2では支柱20を省略してある。
これらの図に示すように、照明ユニット30は、円形リング状の上枠36と反射板32を上下方向に向けて設けられる側枠37で所定間隔を隔てて一体化したユニット構造をなしている。
【0023】
上枠36は樹脂等適宜材料からなり、植物10の結実部15周囲を囲む程度の大きさを有する。周方向所定間隔(この例では120°)に斜めロープ38の下端が結ばれ、斜めロープ38の上端は、上枠36の中心部上方にて連結部材39aへ一つに結ばれる。
【0024】
図3中の丸囲み部Aに示すように、連結部材39aには、上方から垂れ下がる昇降ロープ33の下端に取り付けられたフック39bが係止し、これにより、照明ユニット30は昇降ロープ33の下端へ吊り下げられる。昇降ロープ33には電線35が沿わされており、その下端が灯具31に接続されている。
【0025】
連結部材39aには、灯具吊り下げロープ31aの上端が連結され、灯具吊り下げロープ31aの下端には灯具31が支持されている。灯具吊り下げロープ31aは、上枠36の中心部を昇降ロープ33の延長上に沿って上下方向に配置され、灯具31は灯具吊り下げロープ31aにより、連結部材39aから吊り下げられて上枠36の内側に中心部近傍に垂れ下がって配置される。
【0026】
灯具31の高さ位置は、照明する植物10の結実部15の位置に応じて調整できる。具体的には、灯具吊り下げロープ31aの長さを調整することにより、灯具31の高さを自由に変化させることができ、結実部15に対して効率よく照明されるよう任意に調整できる。すなわち、昇降ロープ33により結実部15全体に対する照明ユニット30の概略的位置を高さ調節でき、さらに灯具吊り下げロープ31aにより、結実部15における各果実13の位置に応じて灯具31の高さを調節できる。また後述するように、反射板32の高さ位置も調節できる。
【0027】
電線35は灯具31から灯具吊り下げロープ31aに沿って上方へ延び、さらに、昇降ロープ33に沿って上方へ配線される。
なお、灯具31の吊り下げは、灯具吊り下げロープ31aを省略して電線35自体で行うようにすることもできる。この場合は、電線35の長さを調整することにより、灯具31の高さを調整することができる。
【0028】
また、昇降ロープ33も電線35に代えることができる。この場合は、各斜めロープ38の上端を電線35の灯具31より上方部分へ連結するとともに、電線35の吊り下げ量を変化させることにより、照明ユニット30及び灯具31の高さを調整する。
【0029】
なお、連結部材39a、フック39bは必須でなく、各斜めロープ38と昇降ロープ33を直接結び付ける等自由である。この場合、例えば、昇降ロープ33の下部を三つ叉状に枝分かれさせ、この枝分かれした部分の各先端部を上枠36へ適宜方法で連結させてもよい。
【0030】
図3中の丸囲み部Bに示すように、側枠37の上部は、上枠36に設けられた上下の貫通穴36aを貫通して上方へ出ており、ここで、例えば玉状に結んだ抜け止め部37aにより下方への抜け止めがされて固定される。
側枠37は上枠36の周方向へ等間隔で複数本が設けられ、各上端部が上枠36へ連結される。
【0031】
なお、側枠37の上端部と上枠36の連結は、これに限らず種々可能であり、例えば、側枠37がロープ状の場合は直接上枠36へ結び付けてもよい。
また、側枠37を斜めロープ38の延長部として、側枠37と斜めロープ38を連続一体に形成することもできる。
側枠37の下部は、灯具31と反射板32の間隔が所定間隔を保つように反射板32へ連結される。
【0032】
図3の丸囲み部Cに示すように、側枠37の下部は、反射板32の外周部に形成された上下方向の貫通穴32aを貫通して下方へ突出し、ここでストッパ37bを設けることにより、反射板32の高さが位置決めされる。
【0033】
ストッパ37bは、例えば側枠37の下部を通過させる貫通穴が形成されるとともに、その下方側開口部近傍に弾性突起37cを一体に突出形成し、側枠37を下方へ引き出すことを許容するとともに、弾性突起37cが側枠37の貫通部周囲へ係止することにより、上方への引き出しを不可とするものである。ただし、このようなストッパ37bはこの例に限らず種々可能である。
また、側枠37がロープ状の場合は、側枠37の反射板32から下方へ出た部分に結び目を作って反射板32を下方へずれないようにしてもよい。
【0034】
各側枠37の下端は、同様にして反射板32を位置決める。これにより、灯具31と反射板32の間隔は所定の間隔H(図2)になる。
反射板32の高さは、結実部15に対して下方から外光L及び灯具31の照明光Sの反射光Rを効率よく、かつ十分な光量で照射できるように調整される。
【0035】
反射板32は、外光L及び灯具31の照明光Sを反射して、その反射光Rを下方から果実13へ照射して結実を促進するものであり、反射効率の高い適宜材料が選ばれている。
例えば、平滑で高い反射率を有する樹脂板がある。特に、発泡スチロールなどの発泡樹脂製であれば軽量化に優れて好ましいものである。また、より高い反射率を求めるなら、アルミ箔などの金属箔で紙や樹脂等の好ましくは軽量板材料の上を覆ったものや、鏡のようなアルミ蒸着部材がある。
【0036】
この例における反射板32は、発泡スチロール等の発泡樹脂を円板状に形成したものである。ただし、反射板32の形状は、円板に限定されず、反射光を照射する結実部15の条件に応じて多角形や不規則な異形形状等が適宜可能である。
図3の丸囲み部Dに示すように、反射板32の中心には、茎11を通す中央穴32bと、放射状の切り込み32cが形成されている。切り込み32cは中央穴32bから外周方向へ所定長さで切り込まれ、例えば、図1のAの状態からBの状態へ照明ユニット30を移動させるとき、茎11及び葉12を通過させるためのものであり、複数設けられている。
【0037】
反射板32を発泡樹脂材料とすることにより、茎11及び葉12を通過させる際に、中央穴32bや切り込み32cにおける弾性変形を可能とする。また、著しく軽量になるので、照明ユニット30全体を軽量にして吊り下げを容易にする。なお、中央穴32bの大きさ並びに切り込み32cの数や長さ等は任意に設定できる。また、中央穴32bと切り込み32cのいずれか一方を省略することも可能である。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
図1において、まずAに示すように、植物10の茎11を支柱20へ固定するとともに、予め反射板32の中央穴32bへ支柱20を通した状態で、照明ユニット30を支柱20に沿って下降させ、植物10の茎11上部及び葉12を中央穴32b及び切り込み32cに通過させ、第1収穫期における結実部15の所定の位置で照明ユニット30を植物10の結実部15周囲へ固定する。
【0039】
この状態では、図2にも示すように、結実部15の葉12や果実13に対して、上方から灯具31による直接の照明光Sが照明し、下方から反射板32による反射光Rが当たるようになっている。
また、灯具31の照明に加えて、外光Lも上方から結実部15を照射し、さらに反射板32により反射されて反射光Rとなって下方から結実部15を照射する。
【0040】
すなわち、灯具31は結実部15に対して、照明光Sが上方からの外光Lの補光手段となり、反射板32も照明光S及び外光Lを反射した反射光Rによる下方からの補光手段となる。
このとき、灯具31と反射板32の間隔Hがほぼ一定であり、結実部15に対して、灯具31の補光と反射板32の反射光による補光が十分量確保されているため、結実部15は効率よく熟成を促進される。しかも着色等の熟成が遅れがちな果実13の下部も良好に着色して熟成が均一に促進される。
【0041】
このように、照明ユニット30を灯具31及び反射板32が一体化されたユニットとすることにより、その昇降等の操作を簡単にできる。また、灯具31と反射板32を所定の間隔Hにすることで、照明ユニット30の昇降時において、結実部15に対する最適な補光条件を常時維持でき、その都度間隔を設定する手間を省くことができる。
【0042】
なお、間隔Hは経験により、結実部15に対する十分な補光を可能にするように予め設定されている。しかし、灯具31及び反射板32の相対位置を、いずれか一方又は双方同時に調整することが可能であり、これにより具体的な個々の結実部15に対して、当初の間隔Hでは補光が不十分となるような結実部15においては、各果実13に対する補光照射が最適となるように個別的な調整がきる。なお、この個別調整はA以降のB及びC等の各収穫期においても同様にできる。
【0043】
次に、図1のAにおける第1収穫期が過ぎると、結実部15は、図1のBに示すように、上方へ移る。そこで、照明ユニット30を支柱20に沿って上昇させ、新たな結実部15を囲むように配置する。すると、この第2収穫期における新たな結実部15でも、照明ユニット30による上下からの補光により効率的な熟成が促進される。
【0044】
このとき、照明ユニット30の上昇に伴って反射板32も上昇し、灯具31との間隔Hをほぼ維持したままなので、果実13に対する下方からの十分量の反射光を確保できる。
したがって、従来のような、地面に反射材を配置したとき、下方からの反射光が著減して果実13の下部に対する不十分な補光状態となることがなく、第1収穫期と同様に下部も良好にかつ迅速に着色し、全体が均一に着色して熟成した高品質なものとなり、かつ全体の均一な熟成の促進が図られる。
【0045】
さらに、図1のBにおける第2収穫期が終了すると、結実部15は、図1のCに示す、より上方へ移り、第3収穫期となる。
このときも、同様にして照明ユニット30を反射板32と共に、第3収穫期における結実部15を囲む位置へ上昇させて、十分な熟成を促進できる。
【0046】
以下、結実部15が上方へ移動するにつれて照明ユニット30を上方へ移動させれば、高収量かつ短時間で、高品質の果実13を収穫することが可能になる。しかも、結実部15が上方へ移動して収穫期が変化しても、各収穫期における熟成の程度及び時間を一定に維持できるので、各収穫期にわたって品質を安定させ、時間を短縮した収穫が可能になる。
【0047】
次に、バリエーションとしての各実施例を説明する。なお、以下の説明において、前実施例と共通部には共通符号を用い、重複した部分の説明は原則として省略する。
図4は、灯具31の固定構造を変更した第2実施例である。図5では、上枠36から中心方向へ突出する支持腕40を設け、その先端で、上枠36の略中心上に灯具31を設けてある。反射板32、上枠36及び側枠37の各関係は第1実施例と同様である。
【0048】
照明ユニット30は、後述するように、反射板32を茎11へ固定することにより照明ユニット30は任意の位置で上下方向へ可動に固定される。しかも、反射板32を茎11に対して上下方向へ移動できるので、照明ユニット30は、ユニットとして灯具31と反射板32の間隔を一定に維持したまま高さ方向可変に支持される。したがって照明ユニット30の吊り下げ手段を省略できる。
【0049】
なお、支持腕40に沿って電線35が灯具31配線されている。図示は省略してあるが、電線35は上枠36の外周部から上方へ延びている。ただし、図2と同様に灯具31から直接上方へ延ばすこともできる。この場合には、電線35を照明ユニット30の吊り下げ手段として利用できる。
また、支持腕40の長さ方向に対して、灯具31を径方向へ自在に取り付けたり、支持腕40に対して灯具31を首振り自在に取り付けて、光の照射角度を調整自在にしてもよい。このようにすれば、灯具31の照明光Sを結実部15に対して最適に調整して照射をできる。
【0050】
図5は、灯具31の配置を変更した第3実施例における上枠36を下側から示す図である。この例では、上枠36の内周等に沿って、複数の灯具31を周方向へ所定間隔で配置されている。灯具31の数は任意である。このようにすると、茎11等に邪魔されずに結実部15の周囲を均一に照射できる。このとき灯具31は照射角が上枠36の中心を向くように、任意の角度に傾けて調整してもよい。なお、灯具31の配置に関する部分以外は第2実施例と同じである。
【0051】
図6は、照明ユニット30専用のガイド50を設け、これに沿って照明ユニット30を昇降させ、かつガイド50上の任意位置へ固定するようにした第4実施例である。ガイド50は地面と梁(図1参照)の間にほぼ垂直に支持された丸棒状もしくはパイプ状の長尺部材であり、照明ユニット30の上下移動をガイドし、かつ所定の高さ位置で支持するための部材である。
【0052】
照明ユニット30は図4のものを使用している。しかし、他の形式の照明ユニット(例えば、灯具31を上枠36から紐で吊したものや図5のような灯具31を含むもの)を用いることは自由である。
この例では、図4の上枠36及び反射板32の各外周にクリップ60を設け、これをガイド50へ固定するようにしている。
【0053】
クリップ60は、例えばバネ材からなる略C字状の部材であり、クリップ60を拡大してガイド50の軸方向から示した図7に示すように、基部61を上枠36の外周部に外方へ突出形成した連結部62で固定するとともに、互いに湾曲して先端を自由端とする把持部63を備える。各把持部63間に形成される円形の空間64をガイド50(図7では断面にて示してある)の外径以下とする。
【0054】
このようにすると、把持部63の自由端間を互いに離反するe矢示及びd矢示方向へ開いてガイド50の周囲へ取り付け、ガイド50に沿って高さ(長さ)方向へ自由に移動させるとともに、所定位置で把持部63を閉じると、ガイド50の周囲を強固に把持して上下方向へ移動不可となり、照明ユニット30の高さ位置が決定される。
【0055】
したがって、照明ユニット30の吊り下げも不要となり、ガイド50に沿った任意の高さ調整が可能となる。なお、クリップ60の構造は、この例に限らず種々可能である。
また、この例では、上枠36及び反射板32の双方にクリップ60を設けてあるが、いずれか一方(反射板32側が好ましい)を省略することもできる。
【0056】
図8は、図6のバリエーションである第5実施例であり、照明装置を非ユニット化した例である。この例では、図6において照明ユニット30を構成している側枠37を省略したものに相当し、上枠36と反射板32は、それぞれクリップ60にてガイド50へ任意高さで取付けられる。但し、灯具31と反射板32の間隔は所定の間隔H(図2)程度になるように調整される。
【0057】
このようにすると、灯具31と反射板32を一体に昇降させることはできなくなるもの、灯具31と反射板32を任意の位置で固定できるので、結実部15に応じて灯具31と反射板32の間隔Hを最適に変化させ、結実部15に対する反射板32の反射光量を常時最適化できる。
なお、この非ユニット化は、図6のユニットに基づくものであるが、図1等他のユニットを構成する上枠36や反射板32を用いることもできる。
【0058】
図9及び図10は、照明装置を非ユニット化するとともに、灯具も省略し、反射板32を単独で用いた第6実施例である。図9に示す照明装置は、図1の照明ユニット30において反射板32のみで構成した例であり、反射板32は茎11及び支柱20の周囲へ直接固定されている。
【0059】
この場合、中央穴32bの大きさを、茎11及び支柱20の太さを合計した大きさよりも小さくしておけば、中央穴32b周囲を茎11及び支柱20で拡大させて弾性変形したことによる反力としての弾力により茎11(及び支柱20)の上下方向所定位置で固定できる。また、反射板32を上方へ強く引っ張れば、中央穴32b及び切り込み32cの変形により、反射板32が上方へ移動可能となり、任意の位置で固定できる。
【0060】
したがって、植物10の成長に合わせて結実部15の下方となる位置へ反射板32を順次移動させることができ、移動位置にて高さ位置を再び固定すれば(すなわち、反射板32を上方へ引っ張り上げていた力を除けば)、反射板32はその位置で上下方向の位置を固定され、外光L等の反射光を果実13へ向けて下方から照射することができる。
【0061】
しかも、植物10の成長に応じて、常時反射板32を結実部15の下方所定位置に移動させて固定しておくことができるので、結実部15に対する反射光Rの光量を一定にでき、果実13の下部を効率よく着色させ、全体が均一に着色かつ熟成された高品質のものとなり、しかも全体の熟成が促進されて、高品質な果実13を短時間で収穫可能になる。
【0062】
なお、支柱20を省略することができ、この場合、支柱20に代えて植物10を誘引ロープで上方へ引っ張る構成としてもよい。さらに、中央穴32bを適切な大きさに調整することで、反射板32は茎11の周りの任意位置へ移動させて直接固定できる。
【0063】
また、図10に示すように、植物10が複数に枝分かれした状態においても、各枝14に対して反射板32を個々に取り付け、それぞれの結実部15に対して斜め下方の所定位置から反射光Rを照射できるように調整することもできる。この場合も、各枝14ごとに反射板32を結実部15の位置が変化するのに対応させて移動することができる。
【0064】
また、反射板32は中央穴32bを通る部分の枝14の軸線方向に対して適宜傾けるだけで、枝14に対して任意に傾斜した状態で固定できる。
この場合も、各枝14ごとに反射板32を結実部15の位置が変化するのに対応させて移動することができる。したがって、反射板32を適宜傾斜することで、各枝14の果実13に対して最適な反射光Rの照射が可能になる。
【0065】
図11は、図9において、専用のガイド50を反射板32の径方向外方へ設けた第7実施例である。
この例では、反射板32の外周部にガイド50の固定部70を設け、この固定部70により上下移動と任意位置における固定を可能にしている。
固定部70は図中の丸囲み部に単独で示すように、図9の反射板32における中央穴32b及び切り込み32cと同様の穴71(穴径はガイド50の外径より小さい)及び切り込み72を設けることにより、固定部70をガイド50の長さ方向へ高さ移動自在に移動させ、かつ所定位置でガイド50へ固定することが可能になる。
【0066】
なお、反射板32の中央部には中央穴32b、切り込み32cが設けられており、茎11の周囲を上下移動可能になっている。固定部70と反射板32は連結部73にて連結された平板状の一体形状をなし、例えば、この一体形状に板材をカットすることにより連続一体に形成される。このようにすると、反射板32と固定部70を同時に形成できるので製造が容易になる。
また、固定部70は、穴71及び切り込み72を設けたものに限定されず、上下移動と任意位置における固定を可能にするものであれば種々可能である。例えば、輪ゴムよゴムバンドのような別体のものでもよい。図7のクリップのようなものでもよい。
【0067】
図12図14は、反射板32を立体的な形状にして傾斜角度を設けた第8実施例である。この例では、平板状をなす展開状態の反射板32(図12)を、略すり鉢の立体的な形状(図14)にして使用するようになっている。
図12は展開状態の反射板32を示す。この状態の反射板32は、板材からカットされた平板状をなし、中心に中央穴32bを設け、かつ中央穴32bから放射状に切り込み32cを設けるとともに、中央穴32bから外周へ達するスリット32dを設ける。
スリット32dを挟む反射板32の外周部には、一方に突起32eが一体に設けられ、他方にこれが係合する係合穴32fが設けられる。係合穴32fは周方向へ複数設けられている。
【0068】
図13のAは、図12の13−13線断面に沿って突起32eと係合穴32fを示す。
図13のBは、突起32eと係合穴32fの係合状態を示し、スリット32dを閉じ、スリット32dを挟む縁部32gと32hを重ね合わせると、突起32eを係合穴32fへ係合し、一体化できる。
【0069】
図14はこの状態を示し、スリット32dを閉じた分だけ反射板32は中心部が低く、外周部が高い略すり鉢状の立体的な形状となり、略V字状断面で上方へ開放された凹面となる。上面の傾斜は水平線hに対してθとなる。
このため、外光L(又は照明Sもしくは双方の光)の反射光Rは茎11の方向に向かって傾く。したがって、果実13が茎11に近い位置にある場合には、より反射光Rの光量を多くすることができる。
【0070】
なお、突起32eと係合穴32fの係合において、係合穴32fを選択することにより、縁部32gと32hを重ね合わ量を変化させ、これにより反射板32の傾斜を変化させることができる。
すなわち、スリット32dの縁部32gと32hの重なり合う程度を変化させ、重なり合いが大きくなるほど、傾斜をきつくすることができる。この傾斜程度は、結実部15の状況に応じて調整される。
【0071】
また、スリット32dの両縁部32gと32hを重ね合わせて結合するための手段は、突起32eと係合穴32fによる直接の係合ばかりでなく、種々可能であり、例えば、重ね合わせた状態の両縁部32gと32hを別部材のクリップで固定してもよい。
【0072】
なお、本願は種々に変更・変形可能であり、例えば、本願発明の照明装置を適用する植物は、人工栽培を含むハウス内で育成されるものばかりでなく、露地栽培の植物に対しても有効である。また、全体が均一に着色して熟成する果実植物に対して適用することが好ましい。果実植物としては果樹類のみならず果菜類も含む。このような果菜類としては、一例としてあげたパプリカだけでなく、トマトのような高性のもの等が種々可能である。
【符号の説明】
【0073】
10:植物、11:茎、13:果実、15:結実部、30:照明ユニット、31:灯具、32:反射板、33:昇降ロープ、50:ガイド、60:クリップ、70:固定部、L:外光、S:照明光、R:反射光
図1
図2
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