特許第6566434号(P6566434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6566434
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】自転車立体駐車システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/14 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   E04H6/14 605
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-31269(P2019-31269)
(22)【出願日】2019年2月25日
【審査請求日】2019年3月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395016017
【氏名又は名称】川本 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】川本 和男
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−049554(JP,A)
【文献】 特公昭55−048155(JP,B2)
【文献】 特開2002−068413(JP,A)
【文献】 実公昭60−016189(JP,Y2)
【文献】 特開平07−269152(JP,A)
【文献】 特開平04−115064(JP,A)
【文献】 特開平10−008757(JP,A)
【文献】 実開昭55−089748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車を積載するパレットに接合したチェーンを回動させることで、複数の自転車を駐車させる自転車立体駐車システムであって、
前記チェーンは、
(a)鉛直に上昇し、
(b)前記チェーンが回動する動線上に設けられた第1の歯車で水平から任意の角度だけ上昇方向に折れ曲がり、前記動線上に設けられた第2の歯車で水平方向に折れ曲がり、
(c)最高高さで水平移動し、
(d)前記チェーンが回動する動線上に設けられた第3の歯車で水平から任意の角度だけ下降方向に折れ曲がり、前記動線上に設けられた第4の歯車で鉛直下降方向に折れ曲がり、
(e)鉛直に下降し、
(f)前記チェーンが回動する動線上に設けられた第5の歯車で水平から任意の角度だけ下降方向に折れ曲がり、前記動線上に設けられた第6の歯車で水平方向に折れ曲がり、
(g)最低高さで水平移動し、
(h)前記チェーンが回動する動線上に設けられた第7の歯車で水平から任意の角度だけ上昇方向に折れ曲がり、前記動線上に設けられた第8の歯車で鉛直上昇方向に折れ曲がり、
回動することで、上下に各1台分の前記パレットを備えるスペースを有し、
前記任意の角度は、前記パレットの幅を2aとおき、前記パレットの高さをbとおいたとき「b/tan>a」を満たし、
前記パレットの幅は、前記チェーンの回動面内における前記パレットが有する載荷台の正射影幅であり、
前記パレットの高さは、前記パレットが有する支持部材の高さであり、
前記チェーンは、
(i)2本1組であって、
(j)複数のジョイント部分を有し、
(k)1本のチェーンの前記ジョイント部分の1つが、前記パレットの有する吊ピンの中心を通る2本の鋼材のうち1本の端部と各々接合され、
2本の前記チェーンが、
(l)相互に平行に位置し、
(m)矩形状である前記パレットの天井部材の水平面における対角上に対向して位置し、
(n)同一方向に等速に回動する、
自転車立体駐車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自転車立体駐車システムにおいて、
前記一組のチェーンおよび前記一組のチェーンに接合したパレットの集合を内包する一式は、自転車の出入庫の際、利用者が提示するQRコード(登録商標)等によって利用者および利用者の自転車を識別し、前記識別された自転車を積載するパレットを出入口まで移動させることで出入庫を可能とする、自転車立体駐車システム。
【請求項3】
請求項1に記載の自転車立体駐車システムにおいて、
建物躯体は、複数の出入口を有し、各出入口は対応する前記一式のパレットの集合を有する自転車立体駐車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車立体駐車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車の利用の増加に伴い、駅前の狭い空地等に自転車が放置され、駅付近の公害となっている。そのため、駅前に大規模な駐輪場の建設が検討され、実際に建設されている場所も増えている。このような駐輪場としては、自転車を平面的に並べたものや、平面的に並べつつ高層化により収容平面を増やしたタワーパーキング等がある。
【0003】
しかしながら、駅前にそのような広い土地を確保することは困難であるため、駐輪場の建設が困難であった。また、平面的な格納方法であるため、面積利用効率が悪く、自転車の収納台数が限られていた。
そのため、狭い土地に多数の自転車を収納するため、自転車を立体的に格納した立体駐輪場が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−270249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術による重層型駐輪装置は、高さ方向に自転車を収容するため平面的な駐輪場に比べて収容台数は増加する。しかしながら、上記駐輪装置では、自転車を載置するパレットが、前記駐輪装置が備える昇降駆動装置により昇降した後、建物内最上層に備えられた走行用モノレールにより水平移動する機構となっている。すなわち、前記水平移動させる際に、他のパレットに搭載された自転車同士が接触するおそれがあるため、パレット間を所定間隔維持する必要があった。そのため、立体構造物の高さ方向の寸法が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、建物の高さを低く抑え、狭いスペースで建設可能な立体駐輪場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0008】
本発明の一実施の形態の自転車立体駐車システムは、自転車を積載するパレットに接合したチェーンを回動させることで、複数の自転車を駐車させる自転車立体駐車システムであって、前記チェーンは、(a)鉛直に上昇し、(b)上昇方向の角度を持ったまま水平移動し、(c)最高高さで水平移動し、(d)下降方向の角度を持ったまま水平移動し、(e)鉛直に下降し、(f)下降方向の角度を持ったまま水平移動し、(g)最低高さで水平移動し、(h)上昇方向の角度を持ったまま水平移動し回動することで、上下に各1台分の前記パレットを備えるスペースを有する。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0010】
本発明の代表的な実施の形態によれば、建物の高さを低く抑え、狭いスペースで建設可能な立体駐輪場を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムの構成の一例を示す概略側面図である。
図2】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットが上昇する様子を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態ではない自転車立体駐車システムにおけるパレットが直角に回動する様子を示す模式図である。
図4】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットが上昇方向の角度αを持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットが上昇方向の角度β1を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。
図6】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットが上昇方向の角度β2を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。
図7】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットが上昇方向の角度β3を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。
図8】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットの構成の一例を示す正面図である。
図9】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットの構成の一例を示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるチェーンとパレットの接合部の一例を示す模式図である。
図11】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口の一つの様子を示す模式図である。
図12】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口の識別部の様子を示す模式図である。
図13】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口において自転車を入庫させる様子を示す模式図である。
図14】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口において自転車を出庫させる様子を示す模式図である。
図15】本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口の全体の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムの構成の一例を示す概略側面図である。
【0013】
図1に示されるように、自転車立体駐車システムは、建物躯体103に、自転車用出入口102として、開口部を設けている。利用者は、自転車101を入庫させる際、出入口102を開口し入庫させる。(開口手段については後述する。)
また、図1に示されるように、自転車立体駐車システムは、自転車101を積載するパレット104を有する。パレット104は、上部に吊ピン105を有する。
【0014】
また、自転車立体駐車システムは、パレット104の有する吊ピン105の中心を通る2本の鋼材のうち1本の端部と接合されるジョイント部分を有するチェーン106および107を有する。チェーン106および107は、公知の駆動方式(例えばギヤードモーターなど)により、同一の方向に運動する。また、チェーン106および107は、所定の位置に設けた複数の歯車と嵌合する。チェーン106および107は、歯車を通過するさい進行方向を変える。
以下、図1に示されるチェーン106および107の運動する例について具体的に説明する。
【0015】
なお、チェーン106と107は、(a)2本1組であって、(b)複数のジョイント部分を有し、(c)1本のチェーン106のジョイント部分の1つが、パレット104の有する吊ピン105の中心を通る2本の鋼材のうち1本の端部と各々接合され、(d)相互に平行に位置し、(e)同一方向に等速に回動する関係である。このことから、以下ではチェーン106について説明し、チェーン107については説明を省略する。
まず、(a)チェーン106は、第1の歯車108を通過するまで、鉛直方向に上昇をする。
次に、(b)チェーン106は、第1の歯車108を通過後、第2の歯車108を通過するまで、上昇方向の角度を持ったまま水平方向に移動する。
次に、(c)チェーン106は、第2の歯車108を通過後、第3の歯車110を通過するまで、最高高さで角度を持たず水平移動する。
次に、(d)チェーン106は、第3の歯車110を通過後、第4の歯車111を通過するまで、下降方向の角度を持ったまま水平方向に移動する。
次に、(e)チェーン106は、第4の歯車111を通過後、第5の歯車112を通過するまで、鉛直方向に下降する。
次に、(f)チェーン106は、第5の歯車112を通過後、第6の歯車113を通過するまで、下降方向の角度を持ったまま水平方向に移動する。
次に、(g)チェーン106は、第6の歯車113を通過後、第7の歯車114を通過するまで、最低高さで角度を持たず水平移動する。
次に、(h)チェーン106は、第7の歯車114を通過後、第8の歯車115を通過するまで、上昇方向の角度を持ったまま水平方向に移動する。
【0016】
第8の歯車115を通過後は、再び(a)チェーン106は、第1の歯車108を通過するまで、鉛直方向に上昇をする。以後、チェーン106は、上述した(b)から(h)を繰り返すことで、建物内部の空間を回動する。なお、図1のパレット116で示されるように、最高高さで1台分のパレットのスペースが確保される。同様に、図1のパレット117で示されるように、最低高さで1台分のパレットのスペースが確保される。また、最低高さに位置するパレット117は、地盤面118より地下に位置する場合がある。
<最高高さまでの移動の説明>
【0017】
図2は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレット201が上昇する様子を示す模式図である。図2で示すように、パレット201は吊ピン202を有し、吊ピン202はチェーン205と接合される。接合の詳細については後述する。吊ピン202は、パレット201の天井面外側に溶接されることにより、パレット201の一体構造物として構成される。パレット201は、図2中の矢印で示すように鉛直方向に上昇する。また、パレット201の下方に一定の間隔を空けて、パレット203が図2中の矢印で示すように鉛直方向に上昇する。パレット203は吊ピン204を有し、吊ピン204はチェーン205と接合される。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態ではない、従来の自転車立体駐車システムにおけるパレット301が直角に回動する様子を示す模式図である。図3で示すように、チェーン305は、歯車306で直角に折れ曲がる。チェーン305の移動に伴う外力が、吊ピン302を介してパレット301に伝達する。チェーン305に接合されている吊ピン302を有するパレット301は、伝達された外力によって、図3中の矢印で示すように水平方向に移動する。
【0019】
また、パレット301の下方に一定の間隔を空けて、パレット303が図3中の矢印で示すように鉛直方向に上昇する。パレット303は吊ピン304を有し、吊ピン304はチェーン305と接合される。
【0020】
この際、パレット301の有する吊ピン302と、パレット303の有する吊ピン304との間隔(以下、吊ピン間距離と略記する)が、所定の距離の場合に、パレット301とパレット303は相互に接触する。例えば、パレット301の幅を2aとおき、パレット301の高さをbとおく(以降、各パレットの幅および高さは同様とする)。吊ピン間距離は、図3で示される307と308の和である。よって、吊ピン間距離をD0とおいて、D0=2a+bとなる時に、パレット301とパレット303は相互に接触を開始する。D0<2a+bの場合は、常に、パレット301とパレット303は接触する。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレット401が上昇方向の角度α(αは0°から90°とする)を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。図4で示すように、チェーン405は、第1の歯車406で、水平から角度410(角度410をαとおく)だけ上昇方向に折れ曲がる。その後、チェーン405は、第2の歯車407で水平方向に折れ曲がる。チェーン405の移動に伴う外力が、吊ピン402を介してパレット401に伝達する。チェーン405に接合されている吊ピン402を有するパレット401は、伝達された外力によって、図4中の矢印で示すように上昇方向の角度αを持ったまま水平方向に第2の歯車407まで移動する。
【0022】
また、パレット401の下方に一定の間隔を空けて、パレット403が図4中の矢印で示すように鉛直方向に上昇する。パレット403は吊ピン404を有し、吊ピン404はチェーン405と接合される。
【0023】
この際、パレット401とパレット403の吊ピン間距離が、所定の距離の場合に、パレット401とパレット403は相互に接触する。吊ピン間距離は、図4で示される長さ408と長さ409の和である。よって、吊ピン間距離をD1とおいて、D1=b+2a(1/cosα−tanα)となる時に、パレット401とパレット403は相互に接触を開始する。D1<b+2a(1/cosα−tanα)の場合は、常に、パレット401とパレット403は接触する。すなわち、D1>b+2a(1/cosα−tanα)をみたすD1の場合はパレット401とパレット403は接触しない。
【0024】
上述した式により、距離差D0−D1=δとおくと、δ=1−1/cosα+tanαとなる。αが0°から90°の間であることから、δ>0である。よって、D1の方が、D0よりも小さな値であるので、図3の場合のような、直角に回動する場合に比べて、図4の場合の方が、各パレット間の距離をδの値だけ短くできる。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレット503が上昇方向の角度β1を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。図5で示すように、チェーン505は、歯車506で、水平から角度510(角度510をβ1とおく)だけ上昇方向に折れ曲がる。その後、チェーン505は、歯車507で水平方向に折れ曲がる。チェーン505の移動に伴う外力が、吊ピン502を介してパレット501に伝達する。チェーン505に接合されている吊ピン502を有するパレット501は、伝達された外力によって、図5中の矢印で示すように、水平方向に移動する。
【0026】
また、パレット501の下方に一定の間隔を空けて、パレット503が図5中の矢印で示すように上昇方向の角度β1を持ったまま水平方向に上昇する。チェーン505の移動に伴う外力が、吊ピン504を介してパレット503に伝達する。チェーン505に接合されている吊ピン504を有するパレット503は、伝達された外力によって、図5中の矢印で示すように、上昇方向の角度β1を持ったまま水平方向に歯車507まで移動する。
【0027】
この際、図5で示されるように、長さ508と長さ509の差が0より大きい場合、パレット501とパレット503は相互に接触しない。図5で示されるように、長さ508はb/tanβ1である。また、長さ509はaである。よって、b/tanβ1>aをみたす場合は、パレット501とパレット503は接触しない。
【0028】
図6は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレット603が上昇方向の角度β2を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。図6で示すように、チェーン605は、歯車606で、水平から角度610(角度610をβ2とおく)だけ上昇方向に折れ曲がる。その後、チェーン605は、歯車607で水平方向に折れ曲がる。チェーン605の移動に伴う外力が、吊ピン602を介してパレット601に伝達する。チェーン605に接合されている吊ピン602を有するパレット601は、伝達された外力によって、図6中の矢印で示すように、水平方向に移動する。
【0029】
また、パレット601の下方に一定の間隔を空けて、パレット603が図6中の矢印で示すように上昇方向の角度β2を持ったまま水平方向に上昇する。チェーン605の移動に伴う外力が、吊ピン604を介してパレット603に伝達する。チェーン605に接合されている吊ピン604を有するパレット603は、伝達された外力によって、図6中の矢印で示すように、上昇方向の角度β2を持ったまま水平方向に歯車607まで移動する。
【0030】
この際、図6で示されるように、長さ608と長さ609の差が0となる場合、パレット601とパレット603は相互に接触する。図6で示すように、長さ608はb/tanβ2である。また、長さ609はaである。よって、b/tanβ2=aをみたす場合はパレット601とパレット603は接触する。
【0031】
図7は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレット703が上昇方向の角度β3を持ったまま水平方向に移動する様子を示す模式図である。図7で示すように、チェーン705は、歯車706で、水平から角度710(角度710をβ3とおく)だけ上昇方向に折れ曲がる。その後、チェーン705は、歯車707で水平方向に折れ曲がる。チェーン705の移動に伴う外力が、吊ピン702を介してパレット701に伝達する。チェーン705に接合されている吊ピン702を有するパレット701は、伝達された外力によって、図7中の矢印で示すように、水平方向に移動する。
【0032】
また、パレット701の下方に一定の間隔を空けて、パレット703が図7中の矢印で示すように上昇方向の角度β3を持ったまま水平方向に上昇する。チェーン705の移動に伴う外力が、吊ピン704を介してパレット703に伝達する。チェーン705に接合されている吊ピン704を有するパレット703は、伝達された外力によって、図7中の矢印で示すように、上昇方向の角度β3を持ったまま水平方向に歯車707まで移動する。
【0033】
この際、図7で示されるように、長さ708と長さ709の差が0より小さい場合、パレット701とパレット703は常に相互に接触する。図7で示すように、長さ708はb/tanβ3である。また、長さ709はaである。よって、b/tanβ3<aをみたす場合はパレット701とパレット703は常に接触する。
【0034】
上述の特性より、角度αは0°より大きくし、かつ、角度β2で示される角度、具体的にはb/tanβ2=aを満たす角度β2の直前までとできる。このとき、図3の場合のような、直角に回動する場合に比べて、各パレット間の距離をδの値だけ短くし、かつ、各パレット間の接触を防止できる。
<パレットおよびチェーンの構造>
【0035】
図8は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットの構成の一例を示す正面図である。図8に示すように、パレットは自転車801を積載するための載荷台802と、自転車801の積載方向を揃えるための車輪受け806と、吊ピン804と、対置する2個の吊ピン804の中心を挿通する軸部材803と、脱落防止部材805と、天井部材807と、支持部材808により構成される。このように、1個のパレットには2台の自転車801を積載できる。
【0036】
載荷台802は、例えば、1枚の鋼板材であって、鋼や鉄、アルミ等の金属の部材である。載荷台802は車輪受け806とねじ接合する。載荷台802は、車輪受け806と一体不可分に成形するように、溶接接合してもよい。なお、載荷台802は、1枚の平板ではなく、複数の短冊状の板として車輪受け806の方向と直交方向に一定の間隔を設けて、接合してもよい。また、載荷台802の大きさは、例えば幅1200mmとし、奥行き1800mmとできる。
【0037】
車輪受け806は、例えば、コの字型の形鋼材であって、鋼や鉄、アルミ等の金属の部材である。車輪受け806は、自転車806の前輪および後輪を、車輪両側面の外側から支持することで、自転車806を直立に保持する。車輪受け806の大きさは、例えば幅90mmとし、奥行き1800mmとできる。
【0038】
吊ピン804は、例えば、鋼や鉄、アルミ等の金属の部材である。吊ピン804は、天井部材807とねじ接合する。吊ピン804は、天井部材807と一体不可分に成形するように、溶接接合してもよい。吊ピン804は、内部に穿孔を備える。穿孔の直径は、例えば、10mmから30mmとできる。吊ピン804は、内部に備えた穿孔の中心軸が揃うように2個対置される。対置された2個の吊ピン804を1組として、天井部材807は前後に2組の吊ピン804を接合する。
【0039】
軸部材803は、例えば、鋼や鉄、アルミ等の金属の部材である。軸部材803は、対置する2個の吊ピン804の中心を軸として、吊ピン804が内部に備える穿孔を挿通する。軸部材803は、吊ピン804から脱落しないような機構を備える。例えば、軸部材803は、吊ピン804との接点の内側に脱落防止部材805を備える。また、軸部材803は、直径10mmから30mmとできるが、吊ピン804の内部の穿孔の直径未満である。また、吊ピン804が内部に備える穿孔と軸部材803との接着点は、摩擦抵抗を低減するための潤滑油等を塗布する。これにより、軸部材803は吊ピン804が内部に備える穿孔を滑りながら回転する。すなわち、軸部材803が回転しても、吊ピン804は一体的に回転せず、パレットの直立状態が保持される。
【0040】
天井部材807は、例えば、1枚の鋼板材であって、鋼や鉄、アルミ等の金属の部材である。天井部材807は、1枚の平板ではなく、複数の短冊状の板として軸部材803の方向と直交方向に一定の間隔を設けて、接合してもよい。また、天井部材807の大きさは、例えば幅1200mmとし、奥行き1800mmとできる。
【0041】
支持部材808は、例えば、鋼や鉄、アルミ等の金属の部材である。支持部材808は、載荷台802の隅部および、天井部材807の隅部とねじ接合する。支持部材808は、載荷台802および、天井部材807と一体不可分に成形するように、溶接接合してもよい。支持部材808の大きさは、例えば、30mm角とできる。支持部材808は、天井部材807の隅部と、載荷台802の隅部との間で、部材が直立するように接合される。パレットが有する支持部材808は、例えば4本とできるが、これに限定されない。
【0042】
図9は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるパレットの構成の一例を示す斜視図である。図9に示すように、パレットは、吊ピン901および902と、軸部材903および904と、ジョイント部905および906と、チェーン907および908と、天井部材909と、支持部材910と、載荷台911と、車輪受け912とにより構成される。
【0043】
軸部材903は、対置する2個の吊ピン901の中心を挿通する。軸部材903は、部材の端部において、チェーン907が有するジョイント部905とねじ接合する。軸部材903は、ジョイント部905と一体不可分に成形するように、溶接接合してもよい。同様にして、軸部材904は、対置する2個の吊ピン902の中心を挿通する。軸部材904は、部材の端部において、チェーン908が有するジョイント部906とねじ接合する。軸部材904は、ジョイント部906と一体不可分に成形するように、溶接接合してもよい。
【0044】
なお、ジョイント部905と、ジョイント部906は、同じ高さに位置する。また、チェーン907および908は、相互に平行に位置する。さらに、チェーン907および908は、同一方向に等速に移動および回動する関係である。
【0045】
図10は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおけるチェーン1004とパレットの接合部の一例を示す模式図である。図10に示すように、パレットは吊ピン1001と、軸部材1002と、ジョイント部1003と、チェーン1004と、天井部材1005と、支持部材1006とにより構成される。
<自転車の入庫について>
【0046】
図11は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口1101の一つの様子を示す模式図である。図11に示すように、自転車1103を入庫させる際、出入口1101が有する識別部1104は、利用者1102が、利用者IDが記録されているQRコード(登録商標)等が付されたカード等を提示することにより、利用者IDを受け付ける。識別部1104は、管理サーバ1106へ、入力を受け付けた利用者IDを送信する(図11のS1107)。
【0047】
次に、出入口1101が有する管理サーバ1106は、積載可能な任意のパレットを選択し、出入口まで移動させる(S1108)。その後、管理サーバ1106は、出入口1101が有する開口部1105を開扉させる(S1109)。これによって、利用者1102は、自転車1103を入庫させることができる。
【0048】
図12は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口の識別部1201の様子を示す模式図である。図12に示すように、識別部1201は、QRコード読み取り部1204と、液晶表示部1205を有する。
【0049】
まず、識別部1201は、利用者1202が利用者IDが記録されているQRコード等が付されたカード等1203を、QRコード読み取り部1204に提示することにより、利用者IDを受け付ける。次に、識別部1201は、入力を受け付けた利用者IDを管理サーバ1206に送信する(図12のS1207)。次に、管理サーバ1206は、積載可能な任意のパレットを選択する(S1208)。
【0050】
その後、管理サーバ1206は、選択したパレットの、例えばパレットに付した番号等を識別部1201に送信する(S1209)。その後、識別部1201は、液晶表示部1205に、選択されたパレット番号等を表示する。なお、本発明の自転車立体駐車システムを利用して、例えば時間貸しの駐輪契約とした場合に、液晶表示部1205は、例えば入庫させた時刻や、出庫の締切時刻等の情報を表示させてもよい。その他、液晶表示部1205が表示させる情報は、これらに限られない。
【0051】
図13は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口において自転車1303を入庫させる様子を示す模式図である。図13に示すように、識別部1304が利用者1302から利用者IDの入力を受け付けた後で、出入口1301は、積載するパレットを選択し、開口部1305を開扉させる。
【0052】
その後、利用者1302は、選択されたパレットが備える車輪受け1306に、自転車1303を積載する。これにより、利用者1302は、自転車1303を入庫させることができる。
<自転車の出庫について>
【0053】
図14は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口において自転車1403を出庫させる様子を示す模式図である。図14に示すように、自転車1403を出庫させる際、出入口1401が有する識別部1404は、利用者1402が、利用者IDが記録されているQRコード等が付されたカード等を提示することにより、利用者IDを受け付ける。識別部1404は、管理サーバ1406へ、入力を受け付けた利用者IDを送信する(図14のS1407)。
【0054】
次に、出入口1401が有する管理サーバ1406は、積載済みのパレットのうち、入力を受け付けた利用者IDに対応するパレットが積載されている場合に、当該入力を受け付けた利用者IDに対応するパレットを出入口まで移動させる(S1408)。その後、管理サーバ1406は、出入口1401が有する開口部1405を開扉させる(S1409)。これによって、利用者1402は、自転車1403を入庫できる。
<自転車の出入口について>
【0055】
図15は、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムにおける出入口の全体の様子を示す模式図である。本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムは、一つの建物につき複数の出入口、例えば、4箇所の出入口を有する。図15に示すように、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムに係る一つの建物は、出入口1501と、出入口1502と、出入口1503と、出入口1504とを有する。
【0056】
上述した、[0013]〜[0016]の説明に係るチェーンおよびパレットの集合を一式とすると、出入口1501は、対応する一式のチェーンおよびパレットの集合(以下、ユニットと略記する)を有する。同様にして、出入口1502は、対応するユニットを有する。出入口1503は、対応するユニットの集合を有する。出入口1504は、対応するユニットを有する。すなわち、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムは、一つの建物にユニットを複数有する。
【0057】
このように、一つの建物が複数の出入口を有し、ユニットを複数有することによって、一つの出入口が故障した場合に、利用者は他の出入口を利用できる。その結果、建物は、全体としての利用機会の損失を防止できる。
【0058】
また、このように、一つの建物が複数の出入口を有し、ユニットを複数有することによって、本発明の実施の形態の自転車立体駐車システムは、土地の形状や大きさ等に応じて、これらのユニットを自由に組み合わせることができる。
<本実施の形態の効果>
【0059】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、自転車を積載する各パレット間の距離を短くすることにより、建物は、躯体の高さを低く抑えることができる。
【0060】
また、パレットを含む水平平面内における対角線上にチェーンを2本1組と対置させることで、建物は、内部のチェーンの本数を低限できる。すなわち、チェーンに付随する歯車の個数および大きさを低減できる。その結果、狭いスペースで建設可能な立体駐輪場を提供できる。
また、利用者はQRコード等によって自転車を出入庫させることにより、建物は、利用者が出入庫させる自転車の盗難を防止できる。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0062】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換を行ってもよい。
【符号の説明】
【0063】
101 自転車
102 自転車用出入口
103 建物躯体
104 パレット
105 吊ピン
106 チェーン
107 チェーン
108 第2の歯車
109 歯車
201 パレット
202 吊ピン
205 チェーン
【要約】
【課題】自転車を積載する各パレット間の距離を短くすることにより、建物の高さを低く抑え、狭いスペースで建設可能な立体駐輪場を提供する。
【解決手段】自転車を積載するパレットに接合したチェーンを回動させることで、複数の自転車を駐車させる自転車立体駐車システムであって、前記チェーンは、(a)鉛直に上昇し、(b)上昇方向の角度を持ったまま水平移動し、(c)最高高さで水平移動し、(d)下降方向の角度を持ったまま水平移動し、(e)鉛直に下降し、(f)下降方向の角度を持ったまま水平移動し、(g)最低高さで水平移動し、(h)上昇方向の角度を持ったまま水平移動し回動することで、上下に各1台分の前記パレットを備えるスペースを有する、自転車立体駐車システム。
【選択図】図1
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図15