特許第6566437号(P6566437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566437
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】外気導入による換気温調式建屋
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20190819BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20190819BHJP
   F24D 5/02 20060101ALI20190819BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   E04B1/76 200D
   E04B1/70 B
   F24D5/02 Z
   F24F5/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-184908(P2015-184908)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-57673(P2017-57673A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】515193136
【氏名又は名称】株式会社から屋
(74)【代理人】
【識別番号】100082234
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 弘美
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−150643(JP,A)
【文献】 特開平07−217011(JP,A)
【文献】 特開平10−197039(JP,A)
【文献】 特開平08−165723(JP,A)
【文献】 特開2000−171059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/76
E04B 1/70
F24D 5/02
F24D 11/00
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下空間と外気取入れ口及び該外気取入れ口より高所に位置する排気口を設けた気密構造の複数階建て建屋本体と、該建屋本体に設けられ、吸気ファンにより前記外気取入れ口から外気を取り込む気密性と断熱性を有する定圧室と、前記床下空間内に設けられ、該定圧室から断熱性を有する外気供給管を介して外気が供給されると共に、一階床部に設けた回帰口に連通する断熱構造の定温室と、前記床下空間から二階空間に連通して設けた上昇風道と、前記建屋本体に設けられ、前記二階空間を一階空間に連通する下降風道と、前記一階空間及び二階空間の仕切壁に設けた通気口と、前記床下空間に配置した熱源とから構成し、前記定圧室では取り入れた外気の圧力変動を安定化し、前記床下空間から前記上昇風道及び通気口を介して前記一階空間及び二階空間を流動させ、前記下降風道により二階空間から一階空間に温度差により降下して前記回帰口から前記定温室に流入する屋内空気を、前記定圧室で安定化して該定温室に送られる外気と混合して温調空気を生成し、該温調空気は必要に応じて前記熱源により加温して前記床下空間から建屋本体内に循環させ、一部は前記排気口から屋外に放出して常時換気するようにしてなる外気導入による換気温調式建屋。
【請求項2】
床下空間と外気取入れ口及び該外気取入れ口より高所に位置する排気口を設けた気密構造の建屋本体と、該建屋本体に設けられ、吸気ファンにより前記外気取入れ口から外気を取り込む気密性と断熱性を有する定圧室と、前記床下空間内に設けられ、該定圧室から断熱性を有する外気供給管を介して外気が供給されると共に、一階床部に設けた回帰口に連通する断熱構造の定温室と、前記床下空間に連通して一階床部に設けた吹出し口と、前記建屋本体の一階空間に設けた通気口と、前記床下空間に配置した熱源とから構成し、前記定圧室では取り入れた外気の圧力変動を安定化し、前記床下空間から前記吹出し口を介して前記一階空間に屋内空気を流動させ、温度差により降下して前記回帰口から前記定温室に流入する屋内空気を、前記定圧室で安定化して該定温室に送られる外気と混合して温調空気を生成し、該温調空気は必要に応じて前記熱源により加温して前記床下空間から建屋本体内に循環させ、一部は前記排気口から屋外に放出して常時換気するようにしてなる外気導入による換気温調式建屋。
【請求項3】
前記定圧室には導入する外気を浄化する空気浄化装置を設けてあることを特徴とする請求項1又は2記載の外気導入による換気温調式建屋。
【請求項4】
前記定温室に流入する前記屋内空気のリターン流量は、前記定圧室から供給される外気との温度差によって比例的に増減することを特徴とする請求項1又は2記載の外気導入による換気温調式建屋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を導入して建屋内の換気を行い、かつ外気と屋内空気との温度差を利用して混合することにより好適な温調を図ることができるようにした外気導入による換気温調式建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の換気には第一種換気、第二種換気、第三種換気があるが、いずれの換気方法も電動ファンに依存するものである。他に、外気と屋内空気との温度差による対流運動を利用して換気を行う自然対流式換気方法も知られている(特許文献1)。
【0003】
この自然対流式換気方法は、床下空間に給気手段により外気を供給し、床下空間に設置した蓄熱暖房装置により外気と循環空気を暖めて吹出し開口部から居住空間に吹出し、暖気の一部を排気手段から建物の外に排出し、居住空間を巡った暖気は回帰開口部から床下空間に回帰させ、回帰空気量制御手段により回帰開口部から床下に回帰する空気の量を増減制御する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】第4392508号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の第一種から第三種の換気方法は、電動ファンの力で換気を行うものであるから電気代が嵩む、住宅内の冷暖房に別途冷暖房器具が必要であるし、この電気代やガス代のエネルギー代が掛るという欠点がある。また、特許文献1の技術は、省エネルギーであるが、床下への循環空気の回帰量は機械的に制御すること、外気と循環空気の温度差は自然対流にのみ利用するもので温調に関係していないこと、風量が不定で風圧も弱いので空気浄化装置を組付けると外気が供給されずに対流運動が停止するという未解決の問題点がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の欠点や未解決の問題点に鑑みなされたもので、外気を供給して建屋内の換気を行うと共に、供給する外気と循環する屋内空気との温度差に比例して回帰量を自然に制御するので、屋内空気を加温する熱源の負荷が小さくランニングコストが掛からないし、自動的に建屋内の温調が行われるので操作上の面倒からも開放される外気導入による換気温調式建屋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、床下空間と外気取入れ口及び該外気取入れ口より高所に位置する排気口を設けた気密構造の複数階建て建屋本体と、該建屋本体に設けられ、吸気ファンにより前記外気取入れ口から外気を取り込む気密性と断熱性を有する定圧室と、前記床下空間内に設けられ、該定圧室から断熱性を有する外気供給管を介して外気が供給されると共に、一階床部に設けた回帰口に連通する断熱構造の定温室と、前記床下空間から二階空間に連通して設けた上昇風道と、前記建屋本体に設けられ、前記二階空間を一階空間に連通する下降風道と、前記一階空間及び二階空間の仕切壁に設けた通気口と、前記床下空間に配置した熱源とから構成し、前記定圧室では取り入れた外気の圧力変動を安定化し、前記床下空間から前記上昇風道及び通気口を介して前記一階空間及び二階空間を流動し、前記下降風道により二階空間から一階空間に温度差により降下して前記回帰口から前記定温室に流入する屋内空気を、前記定圧室で安定化して該定温室に送られる外気と混合して温調空気を生成し、該温調空気は必要に応じて前記熱源により加温して前記床下空間から建屋本体内に循環させ、一部は前記排気口から屋外に放出して常時換気するようにしてなる。
【0008】
また、請求項2に係る本発明を構成する手段は、床下空間と外気取入れ口及び該外気取入れ口より高所に位置する排気口を設けた気密構造の建屋本体と、該建屋本体に設けられ、吸気ファンにより前記外気取入れ口から外気を取り込む気密性と断熱性を有する定圧室と、前記床下空間内に設けられ、該定圧室から断熱性を有する外気供給管を介して外気が供給されると共に、一階床部に設けた回帰口に連通する断熱構造の定温室と、前記床下空間に連通して一階床部に設けた吹出し口と、前記建屋本体の一階空間に設けた通気口と、前記床下空間に配置した熱源とから構成し、前記定圧室では取り入れた外気の圧力変動を安定化し、前記床下空間から前記吹出し口を介して前記一階空間に屋内空気を流動させ、温度差により降下して前記回帰口から前記定温室に流入する屋内空気を、前記定圧室で安定化して該定温室に送られる外気と混合して温調空気を生成し、該温調空気は必要に応じて前記熱源により加温して前記床下空間から建屋本体内に循環させ、一部は前記排気口から屋外に放出して常時換気するようにしてなる。
【0009】
そして、前記定圧室には導入する外気を浄化する空気浄化装置を設けるとよい。
【0010】
また、前記定温室に流入する前記屋内空気のリターン流量は、前記定圧室から供給される外気との温度差によって比例的に増減するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述の如く構成したから下記の諸効果を奏する。
(1)導入する外気は定圧室で圧力変動を安定化して定温室に供給し、定温室では外気と建屋内を還流する屋内空気を混合して温調空気を生成するので、安定した屋内温度にすることができる。
(2)定温室に供給する外気と屋内から還流する屋内空気とは温度差に比例して屋内空気のリターン流量が減少し或いは増加する現象を利用するので、動力源を用いないで建屋内の温調を図ることができるし、熱源に掛る負荷を小さくできるので低コストで換気と温調空気を図ることができる。
(3)外気吸引ファンを設けて定圧室に導入する外気は、空気浄化装置により浄化するから、建屋本体内の空気浄化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は二階建て建屋の全体構成を示す断面図である。
図2】定温室の斜視図である。
図3】外気温度とリターン流量の関係を示す線図である。
図4】第2の実施の形態に係る平屋建て建屋の全体構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図1乃至図3は第1の実施の形態を示す。図において、1は気密構造からなる二階建の建屋本体、2は該建屋本体1を構成して地盤Gに敷設したスラブ、3は該スラブ2の周囲に起立した基礎、4、4、・・は該基礎3に立設した4面の外壁、5は該外壁4の上に設置した屋根部である。6は前記スラブ2に対面して設けた一階床部で、該一階床部6とスラブ2の間に床下空間7が画成してある。
【0014】
8は一階天井、9は二階床部で、一階床部6と一階天井8との間に設けた仕切壁10、10によって一階には複数の一階空間11、11(以下、一階空間11と称する。)が画成してある。また、二階床部9と二階天井12との間に設けた仕切壁13、13によって二階空間14、14(以下、二階空間14と称する。)が画成してある。そして、該二階空間14は階段15によって一階空間11と連通し、屋根部5に設けた排気ダクト16によって屋外と連通している。
【0015】
建屋本体1は上述の構成からなり、一階床部6には床下空間7と一階空間11に連通する床ガラリ17を設け、一階空間11及び二階空間14の各仕切壁10、13には壁ガラリ18、18が設けてあり、建屋本体1内を空気が流動するようにしてある。19は床下空間7に開口して一階床部6に設けた回帰口で、該回帰口19にはガラリが設けてある。20は床下空間7から二階空間14に連通して設けた通気管からなる上昇風道である。
【0016】
21は一階空間11に設けた定圧室で、該定圧室21は断熱性のある材料により気密構造の箱型に構成してあり、外壁4に設けた吸気口22に接続して吸気管23が導出してあり、該吸気管23には空気浄化装置24が設けてある。25は定圧室21に設けた外気吸引ファンで、該外気吸引ファン25には一階床部6を通して床下空間7に伸長する断熱性を有する外気供給管26が接続してある。
【0017】
27は床下空間7に設置した定温室で、該定温室27は図2に示すように、断熱性のある材料によって箱型に構成してあり、一側側面27Aに前記外気供給管26の先端が接続してある。また、上側面27Bには前記回帰口19に連通する流入口28が設けてあり、一側側面27Aと直角方向に異なる他側側面27Cに床下空間7に開口する放出口29が設けてある。30、30は床下空間7に設置した熱源で、該熱源30には循環空気の加温に大きな熱量を必要としないので例えばエアコンディショナーを用いている。
【0018】
本実施の形態は上述の構成からなるもので、次にその作用について説明する。先ず、外気温度が低下する冬季について説明する。外気吸引ファン25を駆動して定圧室21を負圧にすると、例えばマイナス10度の外気が定圧室21に吸引され、空気浄化装置24によって浄化された外気は外気供給管26を介して定温室27に吹込まれる。外気供給管26及び定温室27は断熱構造にすることにより定温室27内で外気は略マイナス10℃を維持することができる。
【0019】
他方、屋内空気は、建屋本体1内の床下空間7から一階空間11、上昇風道20を上昇して二階空間14に流動し、温度の低下に伴って階段である降下風道15から降下して回帰口19に還流する。屋内空気は定温室27内の温度差に比例してリターン量が増大し(図3参照)、回帰口19、流入口28から定温室27に流入する。
ここで、リターン流量の増減について説明すると、リターン流量は屋内温度、外気温度及び熱源の温度の3要素によって決定される。屋内温度と外気温度との温度差によって建屋本体1内での循環量が決まり、屋内温度が一定であれば外気温度が低いほど循環量が増えることになり、外気温度と屋内温度が同じであれば、エアコンディショナー30の温度を上げることで循環量を増やすことが出来る。
【0020】
このように、定温室27への屋内空気の流入量は外気温度との温度差に比例し、温度差が大きいほど定温室27への室内空気のリターン流量が増加するので、定温室27内の外気の温度に対する温度差に比例して屋内空気のリターン流量が増すことで温度の均一化が図られた温調空気が生成される。温調空気は定温室27の放出口29から床下空間7に放出され、必要に応じてエアコンディショナー30に設定した温度によって加温した温調空気は上昇気流となって上記の流れで建屋本体1内を還流する。
【0021】
建屋本体1内を上昇する屋内空気は流動する間に約30%は上昇気流として排気ダクト16から屋外に放出されることで、建屋本体1内の換気が行われる。また、加温状態にある屋内空気の約70%は下降気流となって階段である下降風道15を流下して一階空間11に流入し、回帰口19から流入口28を介して定温室27に流入する。
【0022】
このように、導入する外気の温度と建屋本体1内を流動する屋内空気の温度差に比例して定温室27に流入する屋内空気の量が自然に制御されるから、所望の室温を維持できる。定温室27から床下空間7に放出される温調空気の温度が低い場合、室内温度を高くしたい場合には必要に応じてエアコンディショナー30を駆動して加温するだけで良いから、エアコンディショナー30の負荷は最小限でランニングコストも大幅に節減することができる。
【0023】
他方、夏季には、外気の温度と屋内空気の温度に大きな差は生じないので外気と室内空気の混合量は少ないため、外気吸引ファン25による換気が主な作用であるが、寒冷地では夏季でも夜から朝の時間帯では外気温度と屋内温度に温度差が生じるので定温室27へのリターン流量は増加する。
【0024】
次に、図4は第2の実施の形態を示す。なお、上述した第1の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して援用し、その説明を省略する。図において、31は気密構造からなる平屋建ての建屋本体、32は該建屋本体31を構成して地盤Gに敷設したスラブ、33は該スラブ32の周囲に起立した基礎、34、34、・・は該基礎33に立設した4面の外壁で、35は該外壁34の上に設置した屋根部である。36は前記スラブ32に対面して設けた一階床部で、該一階床部36とスラブ32の間に床下空間37が画成してある。
【0025】
38は一階天井、39、39は一階床部36と一階天井38との間に設けた仕切壁で、該仕切壁39によって複数の部屋40、40が画成してある。41は屋根部35に設けた排気ダクトで、該排気ダクト41によって部屋40は屋外と連通している。
【0026】
建屋本体31は上述の構成からなり、一階床部36には床下空間37と部屋40に連通する床ガラリ42を設け、仕切壁39には壁ガラリ43を設けることで建屋本体31内を空気が流動するようにしてある。44は床下空間37に開口して一階床部36に設けた回帰口で、該回帰口44にはガラリが設けてある。
【0027】
そして、1の部屋40に定圧室21を設置し、外壁34に設けた吸気口45に吸気管23を接続することで、外気吸引ファン25により外気を定圧室21に導入するようになっている。
【0028】
本実施の形態は上述の構成からなるもので、外気吸引ファン25により外気を導入して建屋本体31内の換気を行い、また定圧室21から外気を定温室27に供給し、建屋本体31内を還流する屋内空気との温度差によって屋内空気のリターン流量を制御して温調を図るという作用は、平屋建ての建屋においても第1の実施の形態と同じに実現できる。
【0029】
なお、本発明は平屋建て建屋から二階以上の複数階の建屋に用いることが出来るものである。
【符号の説明】
【0030】
1、31 建屋本体
7、37 床下空間
11、40 一階部屋(一階空間)
14 二階部屋(二階空間)
15 階段(下降風道)
16、41 排気ダクト
17、18、42、43 ガラリ(通気口)
19、44 回帰口
20 上昇風道
21 定圧室
22 吸気口
24 空気浄化装置
25 外気吸引ファン
26 外気供給管
27 定温室
30 エアコンディショナー(熱源)
図1
図2
図3
図4