【実施例】
【0034】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0035】
(原料)
・セルロース繊維水分散液
株式会社スギノマシン製のセルロースナノファイバー「BiNFi-s 極短」(平均繊維径:75nm、平均繊維長:100μm)を含む水分散液(水分散体のセルロース繊維含有率:5質量%)。
・硝酸銀の水溶液
硝酸銀(和光純薬工業株式会社製:試薬特級)13.65gを50mLの蒸留水に溶解させて、1607mMの硝酸銀の水溶液を得た。
・テトラクロロ金(III)酸四水和物の水溶液
テトラクロロ金(III)酸四水和物(和光純薬工業株式会社製:試薬特級)0.199gを50mLの蒸留水に溶解させて、9.68mMの金含有水溶液を得た。
・ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物の水溶液
ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(和光純薬工業株式会社製:試薬特級)0.263gを50mLの蒸留水に溶解させて、10.17mMの白金含有水溶液を得た。
【0036】
(装置)
・湿式ジェットミル
増幸産業株式会社製の湿式ジェットミル「マスコマイザーX 電動式 MMX-L200-D10」
・透過型電子顕微鏡装置(TEM)
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡「JEM-2100」
・X線回折装置(XRD)
株式会社リガク製の全自動水平型多目的X線回折装置「Smart Lab」
・走査型電子顕微鏡装置(SEM)
日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM-7500FA」
・ICP発光分析装置
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製の装置「iCAP 6500/DUO」
【0037】
実施例1
上記の原料を用いて複合体を作製した。工程は以下の通りである。
(1)セルロース繊維水分散液50mLを湿式ジェットミルにセットして、63℃、150MPaで前処理した。この処理は5回繰り返して行った。
(2)湿式ジェットミルから水分散液を取り出し、この水分散液に硝酸銀水溶液を加えて撹拌して、セルロース繊維が分散し、硝酸銀塩が溶解した液を得た。このとき、液におけるセルロース繊維/硝酸銀の固形分比率(重量比)は1/90であった。
(3)上記の液100mLを湿式ジェットミルにセットして、63℃、150MPaで処理した。この処理は5回繰り返して行った。
(4)処理した混合液に水を加え、限外ろ過膜(分画分子量:10000)を用いて、当該液に含まれる金属塩をろ液として除去した。ここで、ろ液に含まれていた銀元素の量を、ICP発光分析装置を用いて測定した。このとき検出される銀元素は、未反応の硝酸銀に由来するものである。また、原料の硝酸銀水溶液に含まれていた銀元素の量も測定した。そして、当該硝酸銀水溶液に含まれていた銀元素の量と、ろ液に含まれていた銀元素の量との差分から反応率を算出した。その結果、反応率は57.1%であった。
(5)透過型電子顕微鏡装置(TEM)を用いて複合体のTEM像の撮影を行った。
(6)液に含まれている複合体をメンブレンフィルター(孔径:0.2μm)で回収して、得られた複合体を室温で自然乾燥させた。そして、得られた複合体を、X線回折装置(XRD)を用いて評価した。
(7)走査型電子顕微鏡装置(SEM)を用いて複合体のSEM像の撮影を行った。
【0038】
図1にXRDパターンを示す。
図1において、回折角(2θ)が38°付近のピークは金属銀の結晶相に由来するピークであり、複合体は金属銀を含むことがわかった。また、回折角(2θ)が15°、22°、35°付近のピークはセルロース繊維に由来するピークであり、複合体はセルロース繊維を含むことがわかった。
【0039】
図2にTEM像を示す。
図2に示すTEM像から、金属粒子の平均粒径は7.1nm(標準偏差1.6nm)であることがわかった。平均粒径は得られたTEM像において、明暗が明瞭で粒子の輪郭を判別できる粒子を50個選択し、粒子の長軸径を、画像解析ソフトウエアを用いて計測し平均することによって求めた。
【0040】
図3にSEM像を示す。
図3にSEM像から、複合体はセルロース繊維を含み、そのセルロース繊維の表面に金属粒子(白い点)が付着していることがわかった。装置付属のツールでセルロース繊維の平均繊維径を測定したところ、平均繊維径は30nmであった。
【0041】
実施例2
工程(3)において、処理の条件を26℃、50MPaに変えた以外は実施例1と同様にして液を処理した。このときの反応率(%)は3.8%であった。そして、実施例1と同様にして金属粒子の平均粒径を求めたところ、平均粒径は3.9nm(標準偏差0.8nm)であった。結果を
図4及び5に示す。
【0042】
実施例3
工程(3)において、処理の条件を48℃、100MPaに変えた以外は実施例1と同様にして液を処理した。このときの反応率(%)は16.3%であった。そして、実施例1と同様にして金属粒子の平均粒径を求めたところ、平均粒径は6.6nm(標準偏差1.5nm)であった。結果を
図4及び5に示す。
【0043】
実施例4
工程(3)において、処理の条件を73℃、180MPaに変えた以外は実施例1と同様にして液を処理した。このときの反応率(%)は69.7%であった。そして、実施例1と同様にして金属粒子の平均粒径を求めたところ、平均粒径は13.4nm(標準偏差9.9nm)であった。結果を
図4及び5に示す。
【0044】
実施例5
工程(2)において、硝酸銀水溶液の代わりに、金含有水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして液を処理した。そして実施例1と同様にして、TEM像の撮影を行った。TEM像を
図6に示す。実施例1と同様にして金属粒子の平均粒径を求めたところ、平均粒径は4.4nm(標準偏差1.0nm)であった。
【0045】
実施例6
工程(2)において、硝酸銀水溶液の代わりに、白金含有水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして複合体を得た。そして実施例1と同様にして、TEM像の撮影を行った。TEM像を
図7に示す。実施例1と同様にして金属粒子の平均粒径を求めたところ、平均粒径は13.0nm(標準偏差3.4nm)であった。
【0046】
比較例1
実施例1における工程(3)を以下の工程(3)’のように変更して液を処理した。そして、実施例1と同様にして、TEM像の撮影を行った。
(3)’液100mLを、還流冷却管を備えたビーカーに入れて、60℃、30分間加熱した。
【0047】
図8に複合体のTEM像を示す。得られたTEM画像において、粒径の異なる粒子同士が重なりあって粒子の輪郭を判別することができず、個々が独立した粒子を選別することができなかったため、平均粒径を求めることができなかった。