(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁が開く第一の形態と弁が閉じる第二の形態をとることのできる人工弁(400)の製造方法において、前記弁は、支持要素(2)に取り付けられた少なくとも1つの弁葉(3)を有する弁葉アセンブリを含み、前記弁葉は自由縁(5)を有し、これは、前記弁が前記第一の形態をとる第一の位置と前記弁が前記第二の形態をとる第二の位置との間で移動でき、この方法は、
・テキスタイル構造体を提供するステップと、
・前記テキスタイル構造体から前記弁葉アセンブリを、前記テキスタイル構造体の耳が前記弁葉の前記自由縁を形成するように形成するステップと、
を含み、
前記テキスタイル構造体は、たて糸とよこ糸を交差させて、積み重ねられ、相互に接続された2層を有する2層織物にするステップを含む二重織り工程によって製作され、前記2層が、一方の縦の縁辺の耳と、反対の縁辺の連続する接続部とを有し、前記2層間の別の接続部が、1層の中に1以上の弁葉を予め画定する異なる区間を作り、
前記弁葉アセンブリを形成するステップは、1枚の前記織物の2つの横方向の縁辺を接続して、実質的に管状構造体を製作するステップを含み、内層が前記弁葉を形成し、外層が前記支持要素を形成する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】
図1Aは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1C】
図1Cは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1D】
図1Dは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1E】
図1Eは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1F】
図1Fは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1G】
図1Gは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1H】
図1Hは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図1I】
図1Iは、本発明による方法を用いて人工弁を形成するための1種のステップを概略的に示す。
【
図2A】
図2Aは、人工弁を製造するのに適した織物テキスタイル構造の1種の図を概略的に示す。
【
図2B】
図2Bは、人工弁を製造するのに適した織物テキスタイル構造の1種の図を概略的に示す。
【
図2C】
図2Cは、人工弁を製造するのに適した織物テキスタイル構造の1種の図を概略的に示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の他の実施形態における1つのステップを概略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の他の実施形態における1つのステップを概略的に示す。
【
図3C】
図3Cは、本発明の他の実施形態における1つのステップを概略的に示す。
【
図4A】
図4Aは、別の実施形態における1種のステップを概略的に示す。
【
図4B】
図4Bは、別の実施形態における1種のステップを概略的に示す。
【
図5A】
図5Aは、2つの弁葉を有する弁の断面を概略的に示す。
【
図5B】
図5Bは、2つの弁葉を有する弁の断面を概略的に示す。
【0039】
図面はすべて概略図にすぎず、必ずしも正確な縮尺で描かれているとはかぎらず、また、すべての特徴や構成要素が示されているとはかぎらない。異なる図面中の同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【0040】
[詳細な説明]
本発明の方法で製作される人工弁は、1つまたは複数の弁葉を含み、この弁葉は、2層織物から、テキスタイル構造体の耳が弁葉の自由縁を形成するように形成するように形成される。耳は、織物テキスタイル構造体の自己仕上げ、または自己安定縁辺である。耳により、テキスタイル構造体がほどけたり、ほつれたりせず、他の種類の安定化または仕上げが施された縁辺と違い、耳は実際の製織工程の結果であり、縁辺を安定化させるための切断、溶融、ステッチ、またはその他の工程などの追加の工程ステップの結果ではない。織物テキスタイル構造体において、耳は典型的に(ただし、必ずしもそうとはかぎらないが)、たて糸に平行に延び、よこ糸が外に出た後に最後のたて糸を回って再び織物内に戻ることによって形成される。耳は、よこ糸がシャトル式製織工程で無限に供給される場合には自然に作られるが、シャトルレス製織作業でも、よこ糸の末端を、各々が織り合わされ、裁断された後に、しまい込むことによっても作れる。別の方法は、最も外側の糸の端を布の縁辺でロックする、いわゆるもじり耳設計で追加の糸を導入している。耳を設けて弁葉の自由縁を形成することによって、この自由縁は、追加の工程ステップを使用せずに、本来的に機械的に安定した縁辺として提供される。溶融または縫合等の追加の工程ステップにより弁の製造工程全体が複雑化するかもしれず、また、ヤーンの機械的特性が変化する等の副次的影響が生じるかもしれない。それでもなお、例えば、後に弁葉等を形成するための所望の長さの小片(単にレングスとも呼ばれる)に切断される連続的またはエンドレスの織物を製造する場合等、このような追加の縁辺仕上げを適切に使って、人工弁の製造用として織物の他の縁辺を安定化させてもよい。安定化され、または仕上げが施された縁辺を作る適当な例は、例えばレーザまたは、ホットナイフとも呼ばれ、制御された1つのステップで熱可塑性ファイバの織物の切断と融着を同時に行うことのできる電子サーマルカッタで、織物を熱間切断することである。
【0041】
本発明による方法で製作される人工弁は、1つまたは複数の弁葉を含む。一般に、弁は哺乳類、特に血管系の中に見られ、1つ、2つ、または3つの弁葉を含み、心臓弁は典型的に2つまたは3つの弁葉を有する。1つの実施形態において、2つの弁葉を有する人工弁が製作され、第二の弁葉は第一の弁葉のための閉鎖面として機能し、またその逆である。他の実施形態において、弁は3つの弁葉を含み、各弁葉が残りの2つの弁葉のための閉鎖面として機能する。さらに多い弁葉を有する人工弁の製作も同様に可能であるが、より複雑である。
【0042】
先行技術で説明されている方法においては、複数の織物テキスタイル構造体、または複数片の織物テキスタイル構造体を、1つまたは複数の弁葉と支持要素を含む弁葉アセンブリの形成に利用してもよい。このような方法は、各弁葉と支持要素を別々の1枚の織物テキスタイル構造体から形成して、その後、ステントに取り付ける前またはその最中に、各種の複数枚を組み合わせて、例えば縫合またはステッチでシームを作ることによって相互に接続する。この方法では、複数の弁葉と支持要素が1枚の織物テキスタイル構造体から製作される。1枚の織物テキスタイル構造体から弁葉アセンブリを形成するのに適した方法は、扁平な多層織物を提供するステップと、それを折り畳み、端を接続して、実質的に管状構造を製作するステップと、任意選択によりアセンブリをステントに取り付ける前、またはその最中に、任意選択で層間に別の接続部を作るステップと、を含む。
【0043】
本発明の方法において、弁葉アセンブリはたて糸とよこ糸を、積み重ねられ、相互接続された層を有する2層織物へと織ることによって製作されるテキスタイル構造物から形成され、2つの層は、少なくとも1つの縦の縁辺に耳を有する。織物の2つの縦の縁辺は、織物内で縦方向に、それゆえたて糸に平行に延びる。この方法の1つの実施形態において、1枚のテキスタイル構造体が弁葉アセンブリを形成するために提供され、この構造体は二重織り工程によって製作され、その結果、2層織物が得られ、これは1つの縦の縁辺に2つの耳を有し、それゆえ開いており、反対の縁辺では連続した接続部または折り返し線を有し、すなわち、層が閉じた縁辺へと続いており、任意選択で、2つの層間には別の接続部もある。2つの層を接続する折り返し線は典型的に、その縁辺でよこ糸を一方の層から他方の層に交差させことによって作られる。
【0044】
方法の他の実施形態において、1枚のテキスタイル構造体が提供され、これは2層の織物であり、両方の縦の縁辺に2つの耳を有し、それゆえ両側とも開いており、2つの層間には別の接続部があり、異なる区間が作られ、これらが1つの層の中で弁葉を(予め)画定し、2層間の選択された場所で糸を交差させるステップを含む二重織り工程で製作されるもう一方の層の支持要素に取り付けられる。別の接続部は一般に、弁葉を予め画定するが、これは例えば、弁葉アセンブリの製作中および、任意選択で、アセンブリをステントに取り付けている間に、また別の画定するステップが続いてもよいからであるが、弁葉を完全に画定してもよい。
【0045】
上述の織り方により製作された2層織物において、1層は弁葉アセンブリの支持要素を形成し、もう1層はその中の弁葉を形成する。各層の横方向の幅は製織中に、a.o.たて糸の数によって決めることができ、両方の層は、例えば各層のたて糸の数を変えることにより、同じ、または異なる幅またはサイズになるように作ることができる。例えば、織物内の2つの層は、層内で異なる数のたて糸を使用することにより、異なる横方向の幅を有するように製作される。
【0046】
製織工程の他の実施形態において、2つの層の縦方向の長さ、例えば別の接続部間の区間のそのような長さは、同じになるように、または一方の層のよこ糸の数を(局所的に)増やすことによって、1つの層において他方の層より大きくなるように製作できる。例えば、弁葉を形成する層の中の区間は、支持要素を形成する層の中の、それに対応する区間より大きくすることができる。このような方法は、最終的な弁の弁葉の自由縁の過剰長さを作るために有利に利用でき、これについては後述する。このような実施形態において、織り中に、例えば糸の密度または織りパターンを局所的に変えることによって、弁葉に形状を与えることもできる。
【0047】
他の実施形態において、織り中に糸を交差させることにより、または織った後にステッチをかけることにより、層間に別の接続部を作り、例えば、1つの層に弁葉をさらに(予め)画定して、それが他方の(支持要素の)層に取り付けられる。
【0048】
上述の2層織物は、たて糸がビームに取り付けられている織機での不連続的な工程において、異なる長さの織物として製造できる。1枚の織物もまた、たて糸をたて糸ビームに連続的に供給することによる連続製織動作で製造でき、連続的な織物が得られ、これは所望の長さに切断され、切断端は任意選択で安定化される。どちらの場合も、得られる織物片は、たて糸(または切断)端を有する織物端を相互に接続することによって管状構造に作ることができ、支持要素に対応する層が外側を形成し、弁葉に対応する層は構造の内側を形成する。これらの実施形態のたて糸は、織物の耳である自由縁に平行に延びる(支持要素の上側縁辺についても同様)。
【0049】
人工弁の製造方法は、弁葉アセンブリをステントに取り付けるステップをさらに含んでいてもよく、これはまた、少なくとも部分的に、弁葉をよりよく画定し、成形するための別のステップと一致してもよい。これについては、例として3弁葉弁を製作することによって添付の例示的図面でさらに説明するが、これは他の弁の製作にも同様に適用できる。
【0050】
ここで、子
図1A〜1Lを含む
図1を参照すると、これは人工弁を形成する方法のある実施形態の各種のステップを概略的に示している。
図1Aにおいて、織機100が示されており、織機は4つのたて糸ビーム(またはルームビーム)101、102、103、および104を有する。たて糸10は、上側の2つのたて糸ビーム101および103との間および下側の2つのビーム102および104との間に接続される。このようにして、1つの織機設備を使用し、1回の製織工程で、積み重ねられた2層を有するテキスタイル構造体を形成できる。明瞭にするために、織機の一般的なその他の部品、例えば、1つの層の中の(または両方の層の中の)所定のパターンのたて糸で分離して、よこ糸(ウェルトとも呼ばれる)(を担持するシャトルまたはピック)が通過できる開いた空間(すなわち、杼口)を形成するための綜絖を備えるヘルドフレーム(またはハーネス)や、よこ糸を織り前に押し付けるための任意選択のバット(または筬)は示されていない。たて糸は、ビームに取り付けられても(一般に、不連続工程のため)、ビーム101および102を案内部材として連続的に供給されてもよく、この場合、103および104は、製作された2層の織物を受けるための1枚織物用ビームを表す。よこ糸11は、
図1Aに示されるように、テキスタイル構造体1の上層3の中に、よこ糸を上側たて糸と織り合わせることによって織り込まれ(例えば、平織りを形成する)、層3の縁辺5において折り返し線12に向かって戻り、そこでこれは下側層の中に織り込まれ、この下側層の縁辺4に到達して、折り返し線12に向かって戻る。明瞭にするために、折り返し線は図中、実際より大きく見えるようにされている点に留意されたい。このようにして、縁辺5および4が耳として形成される。製織工程は、テキスタイル構造体が所望の大きさになるまで続けられる。その結果、耳4を有する第一の明確な層2と耳5を有する第二の明確な層3を含む2層の織物テキスタイル構造体が得られる。層2は、折り返し線12に沿って、よこ糸を1つの層からもう一方の層に通過させることによって、層3に接続される。これらの層2および3は、最終的な弁のそれぞれ支持要素と弁葉を形成し、折り返し線12は、支持要素と弁葉との間の接続部の一部を形成する。代替的な実施形態は、糸を層間で、折り返し線以外において交差させることによって層2および3を編み込むステップをさらに含み、その結果、別の接続部ができ、例えば層内により多くの区間が形成され、部分的に個々の弁葉を画定する。
【0051】
テキスタイル構造体1が織られた後、これは織機から外される。
図1Bは、その結果として得られるテキスタイル構造体を示しており、これは二重織り(またはダブル幅)の織物として織られており、明確な層2および3を有し、各々がそれぞれ耳4および5を有する。たて糸10は、耳のない縁辺において、実際のテキスタイル構造体の外へとわずかな長さだけ延びる。これらの縁辺は、任意選択で、この段階または後に安定化されてもよい。
【0052】
次のステップで、
図1Cに示されるように、ステッチ22が加えられて、層3および2がさらに(折り返し線12の隣で)接続される。この構造体に2本のステッチ22を追加することによって、層3は弁の弁葉アセンブリと弁の中の別々の弁葉に対応する3つの別々の区間に分割される。
【0053】
次のステップで、
図1Dおよび1Eに示されるように、耳のない2つの縁辺が相互に結合され(すなわち、構造の基端と先端が相互に重ねられた状態とされる)、それによってテキスタイル構造体は管状構造を形成する。
図1Dおよび1Eからわかるように、層3の弁葉は内側にあり、層2の支持要素は構造の外側にある。ループの閉鎖部9において、テキスタイル構造体の両方の縁辺のたて糸10が出会う。その後、ループの閉鎖部9は、閉鎖部が使用時に人工弁に加わる機械的な力に耐えられるように加工される。まず、ほつれたたて糸端を切断してもよく、その後、
図1Eからわかるように、閉鎖部9は層2の表面に向かって折り返されて、その後、ステッチ30で固定され、その結果、接続された4つの層が得られる。あるいは、折り返された端がまず巻き上げられて、その後、層2に対して折り返され、その結果、局所的に5層以上となる。このようにして、ほつれたたて糸の端はすべて、自由に露出しなくなるが、巻き上げられた閉鎖部9は、巻き上げられていない閉鎖部と比較して、幾分厚いという欠点がある。別の代替案は、層2に接続する前に、縁辺を安定化することである。
【0054】
他のステップにおいて、
図1Fに示されるように、追加のステッチ31が、例えばU字形の線に沿って追加され、このステッチは、層3の区間と層2の、それに対応する区間をさらに接続して、弁葉をよりよく画定し、または3Dのような形状にする。支持要素と弁葉の1つの組合せを示す管状構造の一部が
図1Fに示されている。図からわかるように、弁葉の自由縁は耳5により形成される。得られた接続部は、自由縁から始まり、ステッチ22とステッチ31を含む。このようにして、弁葉と支持要素は協働でポケットを形成する。支持要素に隣接する位置をとることにより、弁葉は最終的な弁を開いてもよく、それが支持要素から離れるように延びる位置をとることにより、弁葉は最終的な弁を閉じてもよい。これらのステップは、ステントが存在する状態で実行される可能性があり、複数の層の織物を通るステッチにより、弁葉をステントにも接続する。明瞭さのために、これらのステントはここでは示されていない。
【0055】
次に、
図1Gを参照すると、弁葉とポケットをさらによりよく成形するために、型を使用してもよい。接続線31にステッチをかける前に、任意選択で縁辺5において弁葉を上方に引き上げることにより、型37によって弁葉に形状が付けられてもよい。このようにして、過剰長さが弁葉に沿って弁の最下点と中心との間に作られる。このような過剰長さを作るための別の方法は、すでに層3(の中の部分)を層2より大きく織ることである(例えば、
図4に関して説明するとおり)。
図1Fおよび1Gに示されるステップはまた、ステントに接続している間またはその後に行うことができる。
【0056】
ここで、
図1Hおよび1Iを参照すると、製作されたテキスタイル構造体または弁葉アセンブリが円形のワイヤステント40に接続されて、弁400が作られる。弁葉アセンブリはステント内にセットされ、その底部においてステントとステッチ33で縫い付けられ、上部において、ステッチ32で支持要素2だけに取り付けられる。このステッチ32は好ましくは、継続して弁葉と支持要素を3つのステントポスト41(
図1I参照)で接続し、この接続によってさらに最終的な交連が形成される。3つの弁葉の自由縁5はまた、
図1Hにも描かれている。この形態において、弁400は、中立位置では弁葉の接合によって閉じられる。自由縁5が支持要素2に隣接(すなわち、ステント40の壁に隣接)すると、弁400は開く。ステントの構成とそのポスト41が
図1Iにさらに詳しく示されている。ノット36が縫合糸30に、縫合糸32のための接続点として作られる。代替的な方法においては、この段階でステッチ33がかけられ、すると、仮の接続部35は、ポスト41に縫合している間に構造を所定の位置に保持し、その後取り除くことができる。
図1Iは、弁葉アセンブリがステントの底部から延びる代替的な実施形態を示しており、この部分は別のステップで、ステントの外側に折り返されて、そこに接続される。ここでの利点は、移植時に血管または動脈により円滑にフィットさせることができる点である。
【0057】
代替的な実施形態において、ステッチ22を形成工程の早い段階で使用する代わりに(
図1Cに示される)、このような織りのテキスタイル構造体は、(
図1Bに示されるように)、ステント40(ステントはこの段階で、プラスチックの保護シートに覆われている)またはロッド等の他の形状の部材をきっちりと包み、閉鎖部9の4つの層が相互に縫合される。その後、ステントが慎重に取り外され、管状テキスタイル構造体がステント内部にセットされる。次に、ステッチ31、32、および33に対応するステッチ(縫合)が提供されて、弁葉弁尖が形成され、テキスタイル構造体がステントに固定される。
【0058】
ここで
図2を参照すると、子
図2A、2B、および2Cは、人工弁の製作に適したテキスタイル構造体の各種の図を概略的に示している。
図2Aの実施形態において、テキスタイル構造体1のよこ糸に平行な
図1Aに示される方向Sの断面図が示されている。図からわかるように、よこ糸11は、層2および3において、たて糸10と織り合わされて、平織りを形成する。
図1において示されるような二重織り方法を使用することによって、層2および3の両方が縦方向の(すなわち、たて糸に平行な)耳4および5をそれぞれ有することになる。よこ糸は、折り返し線12において、層2から層3へと通過し、またその逆になり、それによって、弁葉と支持要素との間の最終的な接続部の一部が形成される。
図2Bに、このテキスタイル構造体の、
図2Aに示される方向Vへの側面図が示されている。このようにして、耳4および5だけが概略的に示される。
【0059】
代替的な実施形態において、
図2Cに示されているように、
図2Bと同様の視点から見ると、よこ糸がたて糸と、テキスタイル構造体に交差線220が形成されるように織り合わされる。テキスタイル構造体1はこの時点で、2つの層の中に合計6つの区間、すなわち上層に区間2’、2’’、2’’’と下層に区間3’、3’’、および3’’’を含む。左の交差線220では4つの区間2’、2’’、3’、および3’’が最終的な弁の交連の一部に対応する線に沿って一致する。そのために、たて糸は、織り中に綜絖とたて糸の移動パターンによって制御されるように、区間2’から区間3’’へと通り、たて糸は区間3’から区間2’’へと通過する。このようにして、各区間が支持要素または弁葉に対応する相互構成が得られるだけでなく、製織工程の直接的な結果として、弁葉−支持要素間の接続部が形成され、織物自体と同様の強度を有する。これはまた、最終的な交連を形成するために、ステントへの取付を含め、追加する必要のあるステッチが少なくてよい(またはさらに不要である)ことも示している。対応する製織工程は、右側の交差線220においても行われる。
図2Cに示されるように得られる構造の端を接続することによって、管状の3弁葉構造が得られる。
【0060】
図3は、子
図3A、3B、および3Cからなり、
図2Cに示されている交差ヤーン方式に基づいて、本発明による方法の他の実施形態における各種のステップを概略的に示している。この実施形態において、テキスタイル構造体1は、複数の下位構造を有する(半)連続構造として織られ、各下位構造が形成される予定の1つの弁葉アセンブリに対応する。
図3Aにおいて、各下位構造は、破線225間の構造として示される。この場合、3つの下位構造が示されている。この図において、層3の耳5はテキスタイル構造体1の上にあり、折り返し線12はその下にある。層2は、層3の下にあり、それ以上示されていない。各下位構造は、区間を画定する2本の交差線220により提供される。このようにして、各構造体はそれ自体が
図2Cに示されるテキスタイル構造体に対応する。織った後、半連続的構造体は線225に沿って、
図3Bに示されるようなテキスタイル構造体の複数の小片に切断される。
図1Dに示される工程と同様に、
図3Bの下位構造は
図3Cに示されるような実質的に管状構造に形成できる。この構造体は、例えば
図1E〜1Iのそれらに対応する工程ステップを使用することにより、弁葉アセンブリと人工弁へと形成することができる。
【0061】
図4は、子
図4Aおよび4Bからなり、
図3に関連して説明した方法の変化形として、他の実施形態により製造される連続的な織物構造を概略的に示している。この実施形態において、テキスタイル構造体1は、各層に1つの、2つのよこ糸を使って織られており、上および下層2および3は両側に耳(4、4’、5、および5’)を有する。層2は、より多くのたて糸を使うことによって、幅方向に層3より大きくされており、両方の層に関して、縁辺においてのみ、たて糸10が描かれている点に留意されたい。この構造体から製作される弁葉アセンブリにおいて、支持要素はそれゆえ、弁葉より長く、そこから延び、それゆえ、例えばステントの周囲を保持するために使用できる。耳5,5’’は、結果として得られる弁の中に、弁葉の自由縁を形成してもよい。代替的な実施形態において、延長する支持要素層は、弁葉アセンブリを血管または動脈の壁に取り付けるために使用で、それゆえ、脆弱化した、または動脈瘤の形成された血管と(部分的に)置換される、またはこれを補強するグラフトとして機能する。それゆえ、このような弁葉アセンブリは、またステントがないものも、弁として、かつグラフトとして機能でき、弁付グラフトまたはグラフト付弁と呼ばれてもよい。このような実施形態において、弁葉アセンブリの外で支持要素層に、例えばコーディングまたは別の材料層を提供することにより、浸透性を低下させる処理を施してもよい。
【0062】
図4Aおよび4Bに示されている実施形態において、下層は、追加のよこ糸でさらに広くすることにより、弁葉が大きくされ、その自由縁において過剰長さが作られる。弁葉のための所望の過剰長さに到達したら、
図4Aに示されるように、層3がリテイナバー105で引き戻されて、上層のよこ糸が下層と一致する。下層のたて糸と、上層のたて糸のうちの対応部分がその後、交差されて、交差線220が形成され、これは
図4Bにも示されている。これらの交差線は、少なくとも交差線220により形成される長さにわたる交連が、自由縁から始まり、構造体1から形成される最終的な弁の縦軸に平行に延びる(
図1に概説された方法に対応)。
【0063】
図3のように、得られた織物構造は、所望の長さで、弁葉を形成するための所望の区画の数(典型的には3)を有する小片に切断され、接続されて管状構造を形成し、任意選択により、上述のようにステントに取り付けられてもよい。あるいは、構造は織られてもよく、層3、すなわち弁葉は、層2(支持要素)より大きくなる。
【0064】
本発明の方法で使用されるテキスタイル構造体は、たて糸とよこ糸を上述のような2枚の平坦な2層織物に織ることによって製作される。構造体の層を織っている間に利用される織りパターンは、特に重要でないことがわかり、当業者であれば、所望の特性を得るために選択された糸を組み合わせたパターンをある程度の実験によって選択できるであろう。典型的には、一般的に使用される、平織り、綾織り、またはバスケット織りのようなパターンの織物は、良好な性能を提供することがわかった。また、後でも述べるように、織りパターンは、特定の位置において、織物主要部分とは異なっていて、例えば、弁葉に平らでない形状を持たせてもよい。局所的に適用可能なその他の折りバターンには、いわゆる平畳織り、綾畳織り、逆平畳織り、および逆綾畳織りが含まれていてもよい。
【0065】
本発明の方法において、2層織物が使用され、この織物は、弁に対する圧力差に応答して開位置から閉位置へと移動する弁葉の高い応答性を実現し、弁葉が閉鎖面と当接することによって有効に閉じ、十分な接合部を形成することができるようにするために、強力でありながら、しかも柔軟でしなやかな織物が得られるような厚さの層を含み、そのようなたて糸とよこ糸で織られる。ある実施形態において、織物は、1層の厚さが約20〜200μmの複数の層を含む。好ましくは、良好な性能のためには、層の厚さは最大で180、150、140、130、120、110、または100μm、少なくとも30、40、50、または60μmである。実施形態において、2層織物は、厚さ40〜150μm、または厚さ約50〜100μmの層を含む。
【0066】
本発明の方法においては、各種の繊維をたて糸とよこ糸に使用でき、これには天然または生体由来のほか、合成繊維も含まれる。糸は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントヤーンから形成されてもよい。複数の種名の繊維をたて糸とよこ糸として使用してもよく、たて糸とよこ糸は相互に異なっていてもよい。端位置の特性を有し、製造があまり複雑でない繊維を製造するには、1種類のたてまたはよこ用繊維またはたておよびよこ糸の使用が好ましいかもしれない。ある実施形態において、たておよびよこ糸は、1種類の繊維を少なくとも80または90質量%含み、好ましくは、基本的に1種類の繊維からなる。適当な合成繊維としては、PET等のポリエステル、ポリウレタン、またはPEもしくはPP等のポリオレフィンから製作されるヤーンが含まれる。ある実施形態において、テキスタイル構造体は、破断伸びが10%のヤーンを含む。別の実施形態において、糸の線密度は120dtex未満、好ましくは線密度が100、80、60、50、40、30、20、または15dtex未満、好ましくは線密度が少なくとも5、7、または10dtex、例えば線密度が5〜30dtex、または7〜15dtexである。出願人は、弁葉の柔軟性と応答性に関して、人工弁の製作には、細いヤーンから製作されたテキスタイル構造体を適用することが有利であることを発見した(注:dtexは実際の寸法または空間長さを決めるパラメータではないが、実際には、ヤーンを作るためのほとんどの合成および天然材料の密度は約1kg/dm
3であるため、それはヤーンの直径に対応する)。
【0067】
他の実施形態において、織物中のたておよびよこ糸は、高性能ポリマヤーン、特に、少なくとも1GPaの高い引張強度または靱性を有するマルチフィラメントヤーンを含む。例としては、カーボン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、及び超高分子量ポリオレフィンヤーンが含まれる。
【0068】
別の実施形態において、たておよびよこ糸は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)ファイバを含み、より好ましくは、糸は、UHMWPEヤーンを少なくとも80質量%含み、好ましくは、たて糸および/またはよこ糸は実質的にUHMWPEマルチフィラメントヤーンからなる。このようなヤーンは、人工弁の弁葉と支持要素を作るための織物での使用に理想的に適していることがわかった。UHMWPEヤーンは耐久性があり、所望の機械的特性を持たせて製作でき、医療用グレードのものが市販されており、この医療用グレードはほとんど免疫原性ではない。特に、固有粘度(IV)が少なくとも5dl/g、好ましくは少なくとも10dl/g、より好ましくは少なくとも15dl/gであるUHMWPEヤーンを使用することが好ましい。好ましくは、IVは最大で40dl/g、より好ましくは最大で30dl/g、さらにより好ましくは最大で25または20dl/gである。IVは、PTC−179(Hercules Inc.Rev.Apr.29,1982)方式に従い、デカリン中、135℃、溶融時間16時間で、酸化防止剤としてDBPCを溶液1lにつき2gの量だけ使用し、異なる濃度で測定した粘度をゼロ濃度に外挿することによって判断される。特に、典型的にヤング係数が少なくとも30〜50GPaで、靱性が少なくとも1.2GPaのゲルスパンUHMWPEヤーンが好ましい。UHMWPEヤーンの引張特性は、ASTM D885Mに指定されているように、マルチフィラメントヤーン上で、室温、すなわち約20℃で、ファイバの呼びゲージ長さ500mm、クロスヘッド速度50%/分で、“Fibre Grip D5618C”タイプのインストロン2714クランプを使って定義され、判断される。測定された応力−ひずみ曲線に基づいて、モジュラスは、0.3〜1%ひずみの勾配として判断される。モジュラスと強度を計算するために、測定された引張力が、10メートルのヤーンを計量することにより判断された力値で割られ、GPaの数値は、密度を0.97g/cm
3と仮定して計算される。好ましくは、使用されるヤーンは、少なくとも80または90質量%のUHMWPEフィラメントを含むか、または基本的にはUHMWPEフィラメントからなる。UHMWPEヤーンの好ましい例は、オランダのDSMから入手可能なDyneema Purity(登録商標)ヤーンである。この種のUHMWPEヤーンは、低dtexバージョンで入手可能な医療用グレードのヤーンであり、このヤーンの破断伸びは典型的に、約2〜4%である。超高分子量ポリエチレンは、線状でも分岐状でもよいが、好ましくは線状ポリエチレンが使用され、これは、ヤーンの製造中に引き伸ばすことによって得られる非常に高い靱性とモジュラスによる。線状ポリエチレンは、本明細書において、炭素原子100個につき側鎖が1個未満、好ましくは炭素原子300個につき側鎖が1個未満のポリエチレンを意味するものと理解され、側鎖または分枝は概して、少なくとも10個の炭素原子を含む。UHMWPEサンプル中の側鎖の数は、厚さ2mmの圧縮成形フィルム上のFTIRにより、NMR測定に基づく校正曲線を使って、1375cでの吸収を定量化することによって測定される(例えば、欧州特許第0269151号明細書に記載)。
【0069】
UHMWPEヤーン等で製作された織物は、人工弁に良好な生体適合性を提供し、非常に柔軟で、それゆえ、拍動負荷を受けたときの弁葉の高速応答が可能となる。柔軟な弁葉はまた、指示要素と容易に整列できるため、ステントおよび支持要素の寸法に近い弁開口を作り、また、交連に加わる負荷も小さくなる。さらに、このような細いヤーンを使用することは、比較的穴径が小さく、血液適合性も良好である織物テキスタイル構造体につながることもわかった。弁の耐久性は、例えば、交連を形成する際に複数の層の織物を通してステッチをかけることにより、より強力な接続または取付を可能にすることにより、さらに改善でき、これは、薄い織物によって層を折り畳むことができるほど柔軟であるために可能である。
【0070】
UHMWPIマルチフィラメントヤーンから製作されるこのような織物構造の使用は、先行技術における、天然の弁葉材料の伸び挙動を模倣するために、約15%の弾性伸びが可能となる材料を使用するという教示に反している。UHMWPIヤーンは典型的に、破断伸びが小さく、伸びに対する抵抗が大きい(高モジュラス)ため、それから作成された織物もまた、比較的低伸び材料である。このようなテキスタイル構造体を使用することにより、機械的観点からだけでなく、対象物を延ばすことによってこの対象物へのコラーゲンの成長を誘導するかもしれないため、移植後の耐久性がより高い弁葉と弁を提供できると考えられる。この弁葉の低伸び特性はそれゆえ、コラーゲンまたは接続された組織を過成長させる可能性を誘発する要素を低減させるか、さらには極少化し、そうでなければその結果、弁葉がより厚くなり、可動性が失われ、おそらく、局所的な血栓またはその他の疣腫を誘発する。一般に、組織の過成長または線維症は弁葉の圧縮につながるかもしれず、それが弁の不全の原因となる。
【0071】
本発明による方法において、ステッチは弁葉組立のため、それゆえこれをステントに取り付けて、a.o.交連を形成するために使用できる。このようなステッチは好ましくは、織物テキスタイル構造体のヤーンと同様の強度特性を有するヤーンまたは縫合材料を使用して製作される。好ましい実施形態において、ステッチは、適当な大きさと線密度のヤーンまたは縫合糸を使って行われ、それは、強力で耐久性の高い接続部と交連を確保するように、前述のようなUHMWPEヤーンを少なくとも80または90質量%含むか、基本的にそれかなる。
【0072】
ある実施形態において、弁葉と支持要素を形成するためのテキスタイル構造体が提供され、この構造体は、接続部を形成した後に、概して管状の弁葉アセンブリが得られ、弁葉の自由縁が、少なくとも弁を閉じるのに必要な最低長さ、すなわち、例えば、実質的に円筒形のアセンブリまたは2つもしくは3つの弁葉を有する場合に、弁の中心を通る連行における自由縁の両端間の距離)を有するような大きさを持つ。好ましくは、弁葉の自由縁は、前記距離に関して過剰長さを有する。人工弁がさらにステントを含む場合、弁葉アセンブリと支持要素の円周長さと直径は、少なくとも使用中に(すなわち、移植時に拡張された後に)概して円形の管状ステントの内径に対応する。例えば、半径Rで、交連間に均等に分散されて支持要素に取り付けられた同じサイズの3つの弁葉を有する実質的に円筒形の弁の場合、必要な理論上の自由縁の長さは2Rであろう。少なくとも支持要素と同じ大きさの弁葉を作ることによりこの自由縁の長さは少なくとも2πR/3となり、それゆえ、過大寸法係数は少なくとも1.05となる。弁葉と、任意選択で支持要素を、実際に使用中の弁またはそのステントの実際の大きさに関してより大きく設計することによって、さらに過大寸法とすることができる。これは、既に上述したように(
図4)2層織物を織っている間に行うことができる。
【0073】
一般に、弁を閉じるのに必要な最低長さに関して(例えば、弁の中心を通る交連間の距離をつなぐのに必要な最低長さに関して)、弁葉の自由縁の全体的な過大寸法または過剰長さ係数が少なくとも1.05、好ましくは少なくとも1.07、1.09、1.11、1.13、または1.15で、好ましくは最大約1.4、より好ましくは最大で約1.3を有する弁を製作すると有利であることがわかっている。換言すれば、自由縁は好ましくは、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7、10、または15%で、最大40または30%の過剰長さを有する。このような自由縁の過剰長さは、弁葉間に、すなわち自由縁の長さに沿った主要接合高さにおいて、比較的大きい閉鎖面を確立すること、およびそれゆえ、流体の逆流が生じた時に弁を有効に閉じることを支援するとわかっている。別の利点は、ステントの直径(任意選択で圧縮した後)に精密にマッチする弁葉アセンブリを作る必要がなく、過大な弁葉アセンブリを異なるステントの範囲に(自由縁の所望の最小過剰長さに応じて)使用できることである。
【0074】
ある実施形態において、人工弁は弁に拍動負荷がかかっていなくても、自由縁の長さに沿って0.1mmより高い接合高さを形成できるように製作される弁葉を含む。好ましくは、接合高さは、少なくとも2、3、4、または5mmであり、最大で15、13、11、10、9、8、または7mm、例えば3〜10mm、好ましくは5〜7mmである。
【0075】
他の実施形態において、弁葉には、弁の底部において入る流体に関して凸面を含み、弁葉の中心線におけるその曲率半径が1〜20mm、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mm、好ましくは約12mmの形状が付与される。この特定の小さい半径を持つ、付与された凸面形状は、50mm以上という既知の人工弁の典型的な半径と比較して、弁葉材料における応力と変形が小さく、おそらく、交連における張力が小さいと考えられている。このような形状の結果としてはまた、弁葉と支持要素により比較的大きい容積のポケットが形成され、その中に、閉鎖中に流体が満たされる。これは、開放時に有効に再排出が行われるようにするのに有利であるかもしれず、例えばポケット内に血液が残るのを防ぎ、血栓形成のリスクを低下させる。このような3D型形状は、2層織物を織っている時に、例えば、局所的によこ糸の数を変化させることによって、局所的に織りパターンを変えることによって、または弁葉を形成する層の中の層の糸密度を局所的に変化させることによって、これを任意選択によりその他のステップと組み合せて得られる。
【0076】
他の実施形態において、弁葉アセンブリを形成するステップは、所望の形状の型と接触させることによって弁葉を成形するステップと、任意選択により、型をUHMWPIの融点(ポリマの融点の測定については、ISO11357−3参照)より3〜60℃(好ましくは5〜40℃)低い温度まで加熱するステップと、任意選択により、テキスタイル構造体をクリープ成形する(すなわち、その寸法を変化させる)ステップと、それに制御下で弛緩および/または塑性延伸を加え、型の少なくとも一部に適合させるステップと、をさらに含んでいてもよい。このような熱成形工程は、例えば、国際公開第2010/020660号パンフレットに記載されている。この実施形態により、例えば特定の曲率を作るため、または特定の臨床的要求に応えるために、弁葉に形状が付与される。
【0077】
図5Aにおいて、2つの対向する弁葉を有する人工弁の弁葉アセンブリの断面図が示されている。弁葉3および3’は、拍動負荷がない中立の位置の形状を有し、これによってこれらは自由縁の長さに沿って、それゆえ弁の中心でも相互に当接して、この断面において接合高さHの接合部700が形成される。接合高さHは、弁葉の各々の自由縁の長さにわたり、少なくとも0.1mm延び(その底部は参照番号300で示されている)、おそらく交連の長さに応じて、交連に向かってずっと大きくなる。形状はまた、各弁葉につき、閉鎖面Hの最上部とそれぞれの支持要素との接続部との間に延びる凸面も含み、その最下点120および120’が示されている。各凸面は、それぞれの支持要素2および2’’から出っ張る。
図5Bにおいて、図のように水600でポケットを満たすことによって生じるわずかな静水圧によって、付与された形状と、自由縁の長さを有する閉鎖「リボン」の形成を含む接合高さを検査しやすく、その寸法を予想しやすくできることが示されている。自由縁が過剰長さを有することから(支持要素間の距離にわたり、接合するのに実際に必要なテキスタイルの長さより大きい)、それを水で満たすことによって弁を閉じると、いくつかのスポットにおいて、閉鎖面にしわまたは小さい開口部(通路)ができることに留意する。しかしながら、このような開口部は持続せず、実際の使用中に拍動により閉じる。高さhは、自由縁と最下点を結ぶ直線と、弁葉の曲面との間の直交距離である。
【0078】
また別の実施形態において、弁葉は凸面を含み、弁葉の中心線におけるこの曲面の曲率高さhは1mmより大きく、好ましくは2,3、または4mmより大きく、最も好ましくは約5mmである。最大の数値は、本来的に、弁自体の外寸に依存するが、典型的には約10〜15mm、例えば10、11、12、13、14、または15mmである。この直線区間は、(略)真円区間でない場合、その実際の高さhを測定するのに、自由縁から始まり、その最下点で終了する三角形の断面に見えない場合があり、その最上部で、弁葉は始点と終点との間の線から最も離れた位置で出っ張る。この特定の形状を持つ付与された凸面形状により、弁葉材料の応力が小さくなり、おそらく、交連における張力が減少すると考えられる。
【0079】
また別の実施形態において、方法は、織物テキスタイル構造体の最後の部分の浸透性(血液またはその他の流体に対する)を、構造体にコーティングを形成するか、任意選択によって型内に構造体を配置することによって低下させるステップと、ヤーンポリマ、好ましくはUHMWPEの融点より3〜15℃低い温度に加熱するステップと、融点より3〜15℃低い温度に10秒〜2時間保持して、テキスタイル内の隣接するフィラメントおよび/またはヤーン間を部分的に接続するステップと、をさらに含む。a.o.ヤーンの断面積とテキスタイル構造体内でのその配置(例えば、織り方)に応じて、テキスタイル構造体の浸透性を低下させることが有利でありうる。この実施形態において、テキスタイル構造体の浸透特性を改善することができる。
【0080】
人工弁の製造方法は、弁葉アセンブリをステントに取り付けることによって弁を形成するステップをさらに含んでいてもよい。このようなステントまたはフレームは、典型的には硬質部材を含み、しばしばリングまたは円筒形の硬質または半硬質の構造である。ステントを製造するための適当な材料には、硬質ポリマ、ファイバ強化ホリマ、金属およびその合金、セラミック、およびそれらの組合せが含まれる。適当な硬質ポリマには、ポリアセタール、デキストロプラスト、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアクリルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリエーテルイミドが含まれる。適当な金属には生体適合金属、例えばステンレススチール、チタン、コバルト合金、例えば、コバルト−クロム−ニッケル合金のエルジロイ(登録商標)、およびニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金のMP35N、およびニッケル−チタン合金のニチノール(登録商標)が含まれる。これに加えて、ステントは、セラミック材料、例えば熱分解炭素、シリコンカーバイドまたは金属カーバイド、ヒドロキシアパタイト、およびアルミナ等から製造できる。好ましくは、ステントは少なくとも部分的に、超弾性合金、または形状記憶合金、例えば超弾性材料としも、形状記憶合金としても利用可能なニッケル−チタン合金のニチノール(登録商標)から製作される。このようなステントによって、人工弁を体内の所望の位置に容易に挿入できる。挿入前に、自己拡張型ステントが第一の(比較的低い)温度とされ、その温度では小型の状態を有する。この小型の状態によって、低侵襲性手術を用いてステント(及びそれと共に弁)を体内に容易に挿入できる。ステントを位置決めした後、体温によって、形状記憶合金が加熱され、位相が変わり、形状が変化する。例えば、ニチノール(登録商標)の場合、位相変化はオーステナイト相とマルテンサイト相との間で発生する。その結果、ステントが拡張し、それによって組織の周囲に対してクランプ力が生じる。他の構成において、ニチノール(登録商標)は超弾性であり、約10%の実質的ひずみまで弾性変形可能で、それゆえ、弁は小型の形状へと変形でき、さらに留置後の最終形状に弾性的に展開することが可能となる。
【0081】
本発明はまた、上述のような弁葉アセンブリの製造と、上記の方法で得られる、または得られた弁葉アセンブリおよび人工弁、より詳しくは、以下および特許請求の範囲に挙げられる実施形態において定義される人工弁にも関する。
【0082】
本発明をここで、以下の非限定的な実験を使ってさらに説明する。
【0083】
[実施例1]
この例は、本発明による人工弁の製造と、このような弁を体外で試験し、ヒツジに移植して人工肺動脈弁として使用する実験を説明するものである。この例では、各弁が後述の方法で製作され、これは基本的に、
図1および
図3Bに関連して説明した方法に対応する。
【0084】
図1Bに示される織物を、たて糸密度が1インチ458本、よこ糸が1インチ223本のDyneema Purity(登録商標)TG 10 dtex UHMWPEマルチフィラメントヤーン(オランダのDSMより入手可能)を使って製作した。折り返し2層構造は、長さ90mm、幅21.5mm、層の厚さ0.00314インチ(80μm)、であり、2×2の綾織り、耳は長さ方向であった。使用される円筒形ステントは、
図1Iに示されるような設計であり、電磁研磨ステンレススール304で製作した。これは、外径25mm、内径23mm、高さ17mmであった。ステッチに関して、次の2種類の縫合糸を使用した:テーパ針付Maxbraid PE 3−0縫合糸青(BIOMETMERCK LTDがMPC 900252として販売)(以下、縫合糸Aと呼ぶ)と、テーパ針付Maxbraid PE 4−0縫合糸青(同社がMPC 900244して販売)(以下、縫合糸Bと呼ぶ)。どちらの縫合糸もUHMWPEヤーンを含む。
【0085】
肺動脈弁は、次のように製作した。弁葉の自由縁の長さにわたり接合高さ6mmを得るために、過剰長さの自由縁を製作した。自由縁に過剰長さを持たせることは、以下のステップで実現した。
1.織った時のテキスタイル構造体の弁葉自由縁の長さは本来、支持要素の長さと等しくなり、2層が同じ長さである。円筒形に形成された支持要素の縁辺と弁中心までの距離は、その半径Rであるため、この距離にわたる3つの弁葉に必要な全長は6Rとなり、支持要素の長さは2πRである。これによって、弁葉の本来の過剰長さ係数は2πR/6R=1.05となる。
2.2層の織物をまず、26mmのステントの周囲に(すなわち、その外面に)巻き付け、弁葉の自由縁に垂直な端を相互に縫合する。その後、円筒形のテキスタイル構造体を内径23mmのステントの中にセットし、ステントにUHMWPE縫合糸で固定する。その結果、25/23=1.09の過剰長さ係数が得られる。
3.この例において、最終的な人工心臓弁の大きさは移植時に23mmであり、したがって、ステントの外径25mmが半径方向に23mmに圧縮されている。このようにして、支持要素と弁葉が固定されているステントの内径は、23mmから21mmに縮小される。それによって、23/21=1.10の過剰長さ係数が得られる。
【0086】
このようにして作られる弁葉自由縁の過剰長さ係数全体は、π×25/3×21=1.25となる。それゆえ、創出される過剰長さは約25%である。
【0087】
上述のように、織物は、当初は型として使用されるステントの周囲にきつく巻き付けられ、閉鎖部(
図1Dの9に対応)の4つの層を、縫合糸Aを使い、織物/ステント組合せ体の流出側でノット36を作ることによって開始して縫合し、約2cmの自由端および、織物/弁組合せ体の流入側に向かうステッチ線を作るために使用される長い端を残す。ステント/型を慎重に外し、管状のテキスタイル構造体をステント内にセットする。弁葉と支持要素のたて糸の向きは、ステントの長さ方向の中心軸および交連ステントポストに垂直であり、したがって、よこ糸は中心軸と交連ステントポストに平行である。次に、縫合糸Aをフリンジとステントポストの穴を通して流入側から流出側に向かって案内し(
図1Iに示される)、ステントポスト41を支持要素と弁葉に長さ約9mmの位置で固定する。ポストの最上部(流出側)では、縫合糸Aを使って、ステントの折り曲げ端でロック式にかみ合わせることによって支持要素の縁辺をステントに連続的に固定する(一般に、花綱式縫合線を使用した「ブラロック方式(Method of Blalock)」と呼ばれる)。縫合糸Aの端をその最初のノット36の固定されていない端に結ぶ。テキスタイル構造体は、残りの交連ステントポスト41に120度間隔で仮固定し、これが略同じ自由縁の長さの3つの部分に分割されるようにし、それによって次のステップ中に構造が所定の位置に保持され、その後、仮固定を取り除くことができる。
【0088】
第二の縫合糸Bは、ステント内にテキスタイル構造体を完全に取り付け、実際の弁葉アセンブリを作るために使用され、そのために、2つの残りのステントポスト41を長さ約9mmの位置でステッチをかけ、弁葉の層を支持要素の層とステントに縫い付けて、弁尖を作る。縫合の前に、流入側の支持要素の長さを使って3つの個別の弁葉すべての自由縁を自由縁の中央で3mm巻き上げ、それによって、交連ポスト間の織物に、ステント流出側の平面より上昇するアーチ部を作った。上述の過剰長さとともに、これによって心臓弁の中央に約6mmの接合高さができ、交連に向かっては約9mmとさらに高くなる可能性がある。型(ヒトの大動脈弁から作成した雌型)を使って、
図1Gに示すように弁葉の膨らんだ部分の大きさと形状をさらに整える。弁葉アセンブリを流入側でポスト間の中央に仮縫合(35)し、次のステップでもこの状態が保たれるようにする。この時点から、
図1Lにしたがって縫合を開始する。ポストの最上部で、弁葉と支持要素は、それを取り囲む2カ所の噛み合いによって二重にされる。弁葉シートをステント最上部でわずかに引き戻し、縫合糸で固定する。弁葉の縫合線の経路(U字形)はまた、ステントと型の形状によっても案内される。縫合糸の端を縫合糸Bの初めのノットにおいて固定されていないままの端に結ぶ。それによって得られた弁葉は、これらの弁葉の中心線に凸面を有し、その曲率半径は、拍動負荷がないときに約12mmである。これは、
図3Cに示されているような、高さ5mmで中心に沿った距離hを表すと予想された。テキスタイル構造体は、
図4Iにも示されているように、流入側でステントから数ミリメートル延び、これは、移植時に弁を血管または動脈に取り付けるために使用できる。弁葉センブリはさらに、縫合糸でステントの下側部分にも接続し、仮の縫合糸35を除去する。
【0089】
このように弁葉アセンブリを固定した後、弁のステント40を直径25mmから直径23mmに圧縮し、エチレンオキサイド殺菌剤で殺菌する。
【0090】
上述のように製作された弁の性能を、体外と生体内の両方で試験した。人工心臓弁の機械的および機能的試験を、単純化した模擬循環路内で行った。BVS 5000循環補助装置(米国マサチューセッツ州タンバーのAbiomed)を、タンクと還流コンジットを有する閉ループ回路内に含めた。心臓ポンプブラダをIntra Aortic Balloon Pump(ドイツ、ラスタットのMaquet)により、周波数80拍/分、出力3600cc/分で駆動し、その間に心臓ポンプの流出側での後負荷を、水柱を使って80mmHgに設定した。初期試験において、心臓ポンプの流出側の標準弁の代わりに、55 dtex UHMWPEヤーンの織物から製作した3つの単独弁葉で構成された弁を、その開閉挙動を観察するために透明なプラスチックコンジットに取り付けて使用した。このパイロットバルブを4週間以上(3,571,200サイクル)持続させ、その間、有効に作動し続け、織物の弁葉は劣化しなかった。この経験に基づき、上述のように構成された弁(10dtex UHMWPEヤーンの織物から製作した弁葉に基づく)を、ヒトの全身循環と同等の生理学的負荷条件の下で、累積120日(13,824,000サイクル)にわたり試験した。弁は最適な有効弁口へと十分に開き、一般に知られている流体ストリームに平行な振動弁葉の垂直位置がられ、閉鎖時も、弁葉の自由縁が接する接合線に沿った目に見える閉鎖欠陥は、約0.5mmのわずかな中央の穴以外にはなかった。試験後の目視検査では、弁の形状はまったく損なわれていないことがわかり、弁葉に自由縁の擦り切れやその他の破壊または欠陥も一切見られなかった。上述の縫合線のすべてとノットも無傷であった。
【0091】
人工肺動脈弁はまた、成熟したヒツジモデル(bread”swifter”、体重55〜70kg)の拍動中の心臓にも、体外循環装置を用いて移植した。肺動脈へのアクセスは、左開胸第3〜4 i.c.s.にて確保した。肺動脈を縦に切開し、その後、生来の弁葉を切除した。5−0 プロリーン(登録商標)の3つの位置決めステッチを用い、交連生来ポストを引き寄せた。弁を肺動脈内の大動脈弁輪より上の位置(生来の交連の上の面)に、5−0 プロリーン(登録商標)を使って縫合した。肺動脈をリニア方式で閉じた。
【0092】
心電図は正常な弁葉機能を示し、弁中央に時々わずかな逆流が見られたこと以外に、弁または弁周囲の逆流はなかった。切開創を閉じ、ヒツジを厩舎に戻して回復させた。
【0093】
治療を受けたヒツジはすべて安定したままであり、6カ月の観察期間中、望ましくない臨床的所見はなかった。この期間の後、弁葉の機能を再び評価した。心電図は適正な弁葉機能を示し、軽乃至中程度の弁での逆流があったが、弁周囲の逆流はなく、移植日以降、有効弁口に変化は見られなかった。その後、弁をヒツジから取出して検査した。弁葉と支持要素は組織と共に過成長したが、これは繊維芽細胞と内皮細胞の極めて薄い層のようであり、組織の硬化の組織学的および放射線学的兆候はなく、自由端における最大厚さ(弁葉を含む)は250μmで、流線型の修復組織の量は最下点に向かって増えた。弁の力学は変化していないように見られ、すべての縫合部もそのまま破断せずに残り、弁葉の自由縁は製作当初と全く同様のように見えた。擦り切れその他の異常の兆候も検出できなかった。発明者らは、合成繊維の織物から製作された弁葉を有する人工弁を使用し、かかる移植弁を有する動物が、合併症を起こさずに6カ月間生存したというその他の研究を知らない。
【0094】
[実施例2]
全身循環内に移植する人工動脈弁を、実施例1にいくつか変更を加えて製作した。支持要素の準備にあたっては、3つの半月形の織物(ヒトまたは動物の大動脈のバルサルバ洞に面する)を取り出して、血液供給が冠状動脈口へと流れるようにした。支持要素の残りの縁辺を弁葉に、U字形弁尖縫合ライン(バルサルバ洞に面する)の対応する縫合線にしたがって固定した。第二の縫合糸を使い、ステントポスト41に長さ約9mmの位置で縫い付け、弁葉の層を支持要素の層とステントに縫い付けて弁尖を作ることによって、テキスタイル構造体をステント内に完全に取り付けて、その中に実際の弁葉センブリを作った。
【0095】
続いて、弁を上述の肺動脈弁と同様の方法で製作した。完成したところで、編組UHMWPEヤーンの追加の縫合カフをMaxBraid(商標)3−0 UHMWPE(アイルランド、リムリックのTeleflexから入手可能)で、ブラロックステッチ構成で裏返しに縫合した。
【0096】
弁を成熟したヒツジモデル(bread”swifter”、体重65kg)の停止した心臓に、体外循環装置を援用して移植した。大動脈基部へのアクセスは、左開胸第3〜4 i.c.s.にて確保した。肺動脈を切断して、脇に寄せ、大動脈を横方向に切開できるようにした。心停止状態で、連続縫合糸プロリーン(登録商標)5−0を使って従来の移植を行った。大動脈を心膜パッチで閉じ、その後、心臓の除細動処置を施した。心肺装置を外した。心電図は正常な弁葉機能を示し、弁または弁周辺の逆流は見られなかった。
【0097】
本願で開示した、人工弁の製造方法とその方法により得ることのできる、または得られた弁に関する実施形態、態様、および好ましい特徴または範囲の何れについても、本明細書に特にことわりがないかぎり、またはそれが技術的に実現不可能であることが当業者にとって明白でないかぎり、これらを組み合わせることができる。本発明をさらに、以下の一連の実施形態にまとめる。
【0098】
弁が開く第一の形態と弁が閉じる第二の形態をとることのできる人工弁(400)の製造方法において、弁は、支持要素(2)に取り付けられた少なくとも1つの弁葉(3)を有する弁葉アセンブリを含み、弁葉は自由縁(5)を有し、これは、弁が第一の形態をとる第一の位置と弁が第二の形態をとる第二の位置との間で移動でき、この方法は、
−テキスタイル構造体を提供するステップと、
−テキスタイル構造体から弁葉アセンブリを、テキスタイル構造体の耳が弁葉の自由縁を形成するように形成するステップと、
を含み、
テキスタイル構造体は、たて糸とよこ糸を織って、積み重ねられ、相互に接続された2層を有し、2層が縦方向の1つの縁辺に耳を有する2層織物にすることによって製作され、
弁葉アセンブリを形成するステップは、1枚の織物の2つの横方向の縁辺を接続して、実質的に管状構造体を製作するステップを含み、内層が弁葉を形成し、外層が支持要素を形成する。
【0099】
上記の実施形態による方法において、人工弁が1つ、2つ、または3つの弁葉を有し、好ましくは、弁は2つまたは3つの弁葉、より好ましくは3つの弁葉を有する。
【0100】
上記の実施形態による方法において、織物中の2層は一方の縦の縁辺の2つの耳と、反対の縁辺の連続する折り返し線と、任意選択により2層の間の別の接続部を有する。
【0101】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物中の2層は、縦の縁辺の両方に2つの耳と、2層の間に、1層の中に弁葉を予め画定する異なる区間を作るための別の接続部を有する。
【0102】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物中の2層は、層内に異なる数のたて糸を使用することにより、異なる横方向の幅を有する。
【0103】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物中の2層は、1層のよこ糸の数を局所的に増やすことによって、縦方向に異なる長さを有するように製作され、好ましくは、層の中の、弁葉を形成する区間が、その層の中の支持要素を形成する、それに対応する区間より大きく製作される。
【0104】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、1枚の織物が連続製織動作により連続織物として製作され、これが所望の長さの小片に切断され、任意選択で切端が安定化される。
【0105】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物は平織り、綾織り、またはバスケット織りのパターンで製作される。
【0106】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物は、織りパターンまたは織り密度を局所的に変えることによって、3D形状を付与するように製作される。
【0107】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物は、1層の厚さが約20〜200μmの複数の層を含み、好ましくは、層の厚さは最大で180、150、140、130、120、110、または100μmで、少なくとも30、40、50、または60μm、または厚さ約50〜100μmである。
【0108】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、たて糸とよこ糸は、1種類のモノフィラメントまたはマルチフィラメントヤーンを少なくとも80または90%含むか、基本的にそれからなる。
【0109】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、たて糸とよこ糸の線密度は120dtex未満、好ましくは100、80、60、50、40、30、20、または15dtex未満で、好ましくは少なくとも5、7、または10dtex、例えば線密度が5〜30dtex、または7〜15dtexである。
【0110】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、織物中のたて糸とよこ糸は、高性能ポリマヤーン、特に、少なくとも1GPaの高い引張強度または靱性を有するマルチフィラメントヤーンを含む。
【0111】
上記の実施形態による方法において、たて糸とよこ糸は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)ヤーンを含む。
【0112】
上記の実施形態による方法において、UHMWPEヤーンは、ヤング係数が少なくとも30〜50GPa、靱性が少なくとも1または2GPa、好ましくは破断伸びが約2〜4%のゲルスパンUHMWPEマルチフィラメントヤーンである。
【0113】
上記の実施形態による方法において、UHMWPEヤーンは、UHMWPEフィラメントを少なくとも80または90質量%含むか、基本的にUHMWPEフィラメントからなる。
【0114】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、弁葉の自由縁は、弁を閉じるのに必要な最低長さに関して、少なくとも7%、好ましくは少なくとも10または15%で、最大で40または30%の過剰長さを有する。
【0115】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、人工弁は、弁に拍動負荷がかかっていなくても、自由縁の長さに沿って0.1mmより高い接合高さを形成できるように製作される弁葉を含み、好ましくは、接合高さは、少なくとも2、3、4、または5mmで、最大で15、13、11、10、9、8、または7mm、例えば3〜10mm、好ましくは5〜7mmである。
【0116】
上記の実施形態の何れか1つによる方法において、弁葉アセンブリをステントの取り付けるステップをさらに含み、好ましくは、ステントは自己拡張型ステントである。
【0117】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁のための弁葉アセンブリの製造方法。
【0118】
上記の実施形態による方法により得ることのできる人工弁のための弁葉アセンブリ。
【0119】
上記の実施形態の何れか1つによる方法により得ることのできる人工弁。
【0120】
弁が開く第一の形態と弁が閉じる第二の形態をとることのできる人工弁(400)において、弁は、支持要素(2)に取り付けられた少なくとも1つの弁葉(3)を有する弁葉アセンブリを含み、弁葉は自由縁(5)を有し、これは、弁が第一の形態をとる第一の位置と弁が第二の形態をとる第二の位置との間で移動でき、
−弁葉アセンブリは、たて糸とよこ糸を織って、積み重ねられ、相互に接続された2層から製作された1枚の2層の織物から製作され、
−弁葉アセンブリは、1枚の織物の横方向の縁辺を接続することによって形成された実質的に管状の構造を有し、内層が弁葉を形成し、外層が支持要素を形成し、耳が弁葉の自由縁を形成する。
【0121】
上記の実施形態による人工弁において、弁は2つの弁葉を含み、第二の弁葉は第一の弁葉のための閉鎖面として機能し、その逆でもあり、好ましくは、弁は3つの弁葉を含み、各弁葉は残り2つの弁葉のための閉鎖面として機能する。
【0122】
上記の実施形態による人工弁において、織物中の2層は一方の縦の縁辺の2つの耳と、反対の縁辺の連続する折り返し線と、任意選択により2層の間の別の接続部を有する。
【0123】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物中の2層は、縦の縁辺の両方に2つの耳と、2層の間に、1層の中に弁葉を予め画定する異なる区間を作るための別の接続部を有する。
【0124】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物中の2層は異なる横方向の幅を有する。
【0125】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物中の2層は縦方向に異なる長さを有し、好ましくは、層の中の、弁葉を形成する区間が、その層の中の支持要素を形成する、それに対応する区間より大きい。
【0126】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、1枚の2層の織物が、連続織物を所望の長さの小片に切断することによって製作され、任意選択で切端が安定化される。
【0127】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物は平織り、綾織り、またはバスケット織りのパターンを有する。
【0128】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物は、局所的に異なる織りパターンまたは織り密度を有する。
【0129】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物は、1層の厚さが約20〜200μmの複数の層を含み、好ましくは、層の厚さは最大で180、150、140、130、120、110、または100μmで、少なくとも30、40、50、例えば40〜150μm、または、厚さ約50〜100μmである。
【0130】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、たて糸とよこ糸は、1種類のモノフィラメントまたはマルチフィラメントヤーンを少なくとも80または90質量%含むか、基本的にそれからなる。
【0131】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、たて糸とよこ糸の線密度は120dtex未満、好ましくは100、80、60、50、40、30、20、または15dtex未満で、好ましくは少なくとも5、7、または10dtex、例えば線密度が5〜30dtex、または7〜15dtexである。
【0132】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、織物中のたて糸とよこ糸は、高性能ポリマヤーン、特に、少なくとも1GPaの高い引張強度または靱性を有するマルチフィラメントヤーンを含むか、それにより製作される。
【0133】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、たて糸とよこ糸は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)ヤーンを含む。
【0134】
上記の実施形態による人工弁において、UHMWPEヤーンは、ヤング係数が少なくとも30〜50GPa、靱性が少なくとも1または2GPa、好ましくは破断伸びが約2〜4%のゲルスパンUHMWPEマルチフィラメントヤーンである。
【0135】
上記の実施形態による方法において、UHMWPEヤーンは、UHMWPEフィラメントを少なくとも80または90質量%含むか、基本的にUHMWPEフィラメントからなる。
【0136】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、弁葉の自由縁は、弁を閉じるのに必要な最低長さに関して、少なくとも7%、好ましくは少なくとも10または15%で、最大40または30%の過剰長さを有する。
【0137】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、人工弁は、弁に拍動負荷がかかっていなくても、自由縁の長さに沿って0.1mmより高い接合高さを形成できる弁葉を含み、好ましくは、接合高さは、少なくとも2、3、4、または5mmで、最大で15、13、11、10、9、8、または7mm、例えば3〜10mm、好ましくは5〜7mmである。
【0138】
上記の実施形態の何れか1つによる人工弁において、弁葉アセンブリは、弁葉を取り付けるステントをさらに含み、好ましくは、ステントは自己拡張型ステントである。