特許第6566469号(P6566469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6566469-二輪車搭載用索道搬器 図000002
  • 特許6566469-二輪車搭載用索道搬器 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566469
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】二輪車搭載用索道搬器
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/02 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   B61B12/02 D
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-108448(P2015-108448)
(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公開番号】特開2016-222038(P2016-222038A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】天谷 広郎
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−159186(JP,A)
【文献】 特開2006−281910(JP,A)
【文献】 実開平05−044743(JP,U)
【文献】 実開平03−047271(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0057034(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/121817(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01466819(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01849655(EP,A1)
【文献】 中国実用新案第202225868(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第102717803(CN,A)
【文献】 特開平09−207766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 11/00−12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
索条を握索する握索機と、該握索機に前後方向へ揺動自在に吊下したサスペンダーと、該サスペンダーに吊下され、二輪車を搭載するラックレールを有する二輪車搭載フレームと、を備え、該二輪車搭載フレームは、上部において索道搬器進行方向に対して前後方向へ延びる上部水平部と、該上部水平部の前端から下方へ垂下する垂直部と、該垂部の下端から後方へ延びる下部水平部とを有し、前記二輪車搭載フレームに前後方向の重量バランスを整えるウエイト材を備えたことを特徴とする二輪車搭載用索道搬器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキー場等の索道において、複数の二輪車を搭載して輸送することのできる索道搬器に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、シーズンオフ時のスキー場のゲレンデや林間コースを利用して、マウンテンバイク等の二輪車を用いてスポーツやレジャーを行うようにしたスキー場が増えてきている。これらのスキー場には、スキーシーズン中にスキーヤーやスノーボーダーを輸送する索道設備を備えており、一部のスキー場においてはこの索道設備により二輪車を輸送するようにしているところもある。
【0003】
一般的に、ゴンドラリフトのように大型の設備は、規模の大きなスキー場にしか設備されていないが、チェアリフトであればほぼ全てのスキー場に備え利用されている。したがって、チェアリフトを二輪車の輸送に利用できれば、より多くのスキー場で二輪車の輸送が可能になる。このようなことから、従来、チェアリフトに二輪車を搭載する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載のマウンテンバイク運搬装置は、キャリヤ(搬器)の後部にT字形状の運搬用部材を取り付け、この運搬用部材から後方に突出して設けたフックにマウンテンバイクの水平フレームを掛止するようにしている。また、特許文献2に記載の二輪車搬送機能付きリフト搬器は、搬器のフレーム後部において、側方の高い位置に設けられた第1車輪保持部と、他方の側方の低い位置に設けられた第2車輪保持部とに、二輪車の車輪を掛止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−47271号公報
【特許文献2】特開2006−281910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来例においては、チェアリフト搬器の後部に二輪車を搭載するようにしており、一台の搬器に付一台の二輪車しか輸送できないという難点があった。一方、近時ゴンドラリフトを運行する索道設備においても複数の二輪車を輸送したいという要望があり、この場合には容易に二輪車を積み込むことができるとともに、二輪車の姿勢を安定した状態に保持できることが要求される。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数の二輪車を容易に積み込むことができるとともに、二輪車の姿勢を安定した状態に保持できる二輪車搭載用索道搬器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、索条を握索する握索機と、該握索機に前後方向へ揺動自在に吊下したサスペンダーと、該サスペンダーに吊下され、二輪車を搭載するラックレールを有する二輪車搭載フレームと、を備え、該二輪車搭載フレームは、上部において索道搬器進行方向に対して前後方向へ延びる上部水平部と、該上部水平部の前端から下方へ垂下する垂直部と、該垂部の下端から後方へ延びる下部水平部とを有し、前記二輪車搭載フレームに前後方向の重量バランスを整えるウエイト材を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ラックレールを支持する二輪車搭載フレームにウエイト材を備えたことにより、索道搬器は前後方向のバランスを保って垂直な姿勢で停留場内を回送されるので、二輪車を搭載するのが容易になる。また、二輪車搭載フレームの形状を後方が開口するコ字状に形成したことにより、吊下する部材が前方に位置しているため、取扱者はこれに邪魔されることなく二輪車をラックレールに沿って 前方へ押し進めて載せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】索道搬器の側面図
図2】索道搬器の正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、二輪車30を搭載する索道搬器10の側面図及び正面図である。索道搬器10は、ゴンドラリフトの設備を利用するものであり、各図中においては、ゴンドラ客車の外形を2点鎖線で示している。本実施の形態は、ゴンドラ客車に替えて、後記する二輪車搭載フレーム14を用いるものである。
【0012】
索道搬器10は、索条11を握索する握索機12と、この握索機12に前後方向へ揺動自在に吊下したサスペンダー13と、このサスペンダー13に吊下した二輪車搭載フレーム14とからなっており、索条11の移動にともなって線路中を移動する。図に示した索道搬器10は、自動循環式索道に用いられる索道搬器10であって、握索機12は索条11を握放索自在に構成されており、停留場においては索条11を放索した後、減速して低速度で停留場内を回送され、また、その間に停留場内で停止することができる。その後、索道搬器10は加速され、索条11を握索して線路中へ出発する。
【0013】
二輪搭載フレーム14は、以下のように構成されている。まず上部には、前部及び後部の位置で横方向に延びる横部材15、16を備えている。横部材15、16の両端部には、吊りプレート18が上部へ突出する形状で固着されており、この部分がサスペンダー13に連結されて吊下されている。横部材15、16の横方向中央位置には、枠フレーム17を固着している。側面視(図1)において枠フレーム17は、横部材15、16に固着されて前後方向へ延びる上部水平部17aと、この上部水平部17aの前端部から垂下する垂直部17bと、この垂直部17bの下端部から後方へ延びる下部水平部17cとにより略コ字状に形成されている。
【0014】
上部水平部17aは、横部材16の位置から後方へ向けて延出しており、この部分にウエイト材29を備えている。ウエイト材29は所定の質量を有しており、これによって前後方向の重量バランスが整えられる。下部水平部17cの後端部には、左右に延びる横梁21を備えており、この両端部にガイド部材22を備えている。このガイド部材22は、停留場内に敷設された搬器ガイド23(図2参照)に当接し、索道搬器10が横方向へ振れるのを防止する。
【0015】
横梁21の両端部付近には、鋼板を溶着して支持部19を形成し、これにラックレール24を固着している。ラックレール24は、鋼板を断面V字状に折り曲げ形成したものであって、図1に示すように、索道搬器10の進行方向に対して後端部の位置から前方へ向けて緩やかに上昇して傾斜する後部傾斜部24aと、索道搬器10の中心位置を過ぎた位置で斜め前方下方へ屈折する中間傾斜部24bと、この中間傾斜部24bの下端部から前方へ水平に突出する水平部24cと、この水平部24cの前端から斜め前方上方へ屈折する前部傾斜部24dとからなっている。
【0016】
前部傾斜部24dと中間傾斜部24bとの中段位置には、これらの両側部に渡して前輪ガイド27を形成し、また、水平部24cの上部には斜め上方へ向けて延びる前輪保持部材25を備えている。前輪保持部材25は、丸鋼管や丸棒鋼等を逆U字形状に形成したものであって、二輪車30の前輪をこれに挿入して左右から前輪を保持するようになっている。また、ラックレール24の後端部には、二輪車30の車輪幅よりもやや広く平行して後輪保持部材26を設け、後輪がラックレール24から左右方向へ外れないようにしている。
【0017】
以上の構成により、索道搬器10が停留場内を回送されているとき、または停止しているときに、次ぎのようにして二輪車30を搭載する。まず、二輪車30の前輪を後方からラックレール24の後部傾斜部24aに持ち上げて載せ、その状態で二輪車30を前方へ押し進める。このとき、ラックレール24の形状がV字状であるので、前輪がこれに誘導されて直進することができる。二輪車30の前輪が前側の中間傾斜部24bの位置にくると、これに沿って二輪車30は自重により前方へ移動するので、後輪を持ち上げて後部傾斜部24aに載せる。前輪がラックレール24の水平部24cまで落下すると搭載が完了する。この一連の動作において、ラックレール24を支持する二輪搭載フレーム14の枠フレーム17は、後方を開口するコ字状に形成されていることにより吊下する部材、すなわち垂直部材17bが前方に位置しているため、取扱者はこれに邪魔されることなく二輪車30を前方へ押し進めることができる。
【0018】
ラックレール24は、二輪車30が搭載されたときに後輪の位置が前輪の位置より高くなるように形状が構成されており、したがって、搭載された二輪車30は前輪側へ荷重が作用し、前輪がラックレール24の中間傾斜部24bと前部傾斜部24dとの間に押圧されることにより、二輪車30は安定して保持される。またこのときに前輪の前部は、前輪保持部材25挿入されて保持されるので、二輪車30が左右に転倒することもない。
【符号の説明】
【0019】
10 索道搬器
11 索条
12 握索機
13 サスペンダー
14 二輪車搭載フレーム
15 横部材
16 横部材
17 枠フレーム
17a 上部水平部
17b 垂直部
17c 下部水平部
18 吊りプレート
19 支持部
21 横梁
22 ガイド部材
23 搬器ガイド
24 ラックレール
24a 後部傾斜部
24b 中間傾斜部
24c 水平部
24d 前部傾斜部
25 前輪保持部材
26 後輪保持部材
27 前輪ガイド
29 ウエイト材
30 二輪車
図1
図2