【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1について、
図1〜
図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における仮設柱撤去の概要を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における撤去機構の例を説明する図である。
図3は、本発明の実施例1における撤去方法の例を説明する図である。
【0025】
モジュール型プラントにおける仮設柱は、組み立てた後に上部梁から荷重を受けるため、そのままでは簡易に撤去することが困難である。そこで、本発明においては、仮設柱の一部に撤去機構を設けることにより、仮設柱が受ける荷重を開放して、仮設柱の撤去を容易にしている。実施例1においては、作業者が作業しやすい位置である仮設柱の途中に撤去機構を設けている。ここで、本発明において、モジュール型プラントとは、分割されている各モジュールを組立てて完成させるプラントをいう。このとき、分割されたモジュールは柱の数が不足して構造的に弱い部分ができるため、それを補強するために仮設柱を設けており、この仮設柱はプラント組立後撤去される。
【0026】
以下、本発明の実施例1における仮設柱撤去の概要について
図1を参照して説明する。
図1(a)は、組立後のモジュール型プラントにおける仮設柱100を示している。仮設柱100は、上部柱150、下部柱160、および撤去機構10を含んでいる。仮設柱100の上部は上部柱150が上部梁30にボルト等により固定されこの上部梁30から荷重を受けている。仮設柱100の下部は下部柱160が下部梁40にボルト等により固定されている。そして、撤去機構10は上部柱150と下部柱160との間に設けられている。上部柱150の長さおよび下部柱160の長さは任意であるが、作業者が作業しやすい位置に撤去機構10が位置するように上部柱150の長さおよび下部柱160の長さを設定することが望ましい。そして、上部柱150の長さと撤去機構10におけるシムプレート11、12の厚みと下部柱160の長さとの合計が、上部梁30の下端から下部梁40の上端までの長さになるように、上部柱150の長さと撤去機構10におけるシムプレート11、12の厚みと下部柱160の長さとを設定する。
【0027】
撤去機構10はシムプレート11およびシムプレート12に荷重をかける状態で備えており、このシムプレート11およびシムプレート12を除去する(
図1(b))ことで撤去機構10にスペースができる。つまり、上部梁30の下端から下部梁40の上端までの距離の方が、上部柱150の長さと下部柱160の長さとの合計よりも長くなる。このために仮設柱100にかかっていた荷重が開放される(
図1(c))。荷重が開放された仮設柱100は、上部柱150および下部柱160ともに固定されていたボルト等を除去することにより容易に撤去することができる。
【0028】
次に、撤去機構10について
図2を参照して詳しく説明する。
図2(a)は、仮設柱100における撤去機構10を説明する図であり、
図2(b)は、撤去機構10におけるシムプレートを説明するA−A矢視図である。なお、以下の説明において、フランジ21に対向する部材を「対向部材」と称す。撤去機構10は、仮設柱100の上部柱150の最下部に設けたフランジ21と、フランジ21と対向部材との間にシムプレート11およびシムプレート12を挿入してなる荷重受け部141と、フランジ21と対向部材との間に接続ボルト17、18、19、20を螺合してなるシムプレート固定部142と、ジャッキボルト13、14、15、16のねじ部分の先端が対向部材を向くようにフランジ21に備えた雌ねじ部13S、14S、15S、16Sにジャッキボルト13、14、15、16を螺合させてなるジャッキアップ部140と、を備え、ジャッキボルト13、14、15、16のねじ部分の長さはフランジ21の厚みとシムプレート11、12の厚みとの和より長く、ジャッキボルト13、14、15、16のねじ部分の先端により対向部材を押圧可能であるように構成している。ここで、ジャッキボルト13、14、15、16はボルトで構成されている。
【0029】
ここで、実施例1におけるフランジ21に対向する部材(対向部材)とは、下部柱の最上部にある対向部材22を言い、フランジ21と対向する面積を有している。そして、フランジ21、シムプレート11、12、対向部材22が鉛直方向に並んで配置されている。また、接続ボルト17、18、19、20は、ボルトからなり、フランジ21および対向部材22に備えた挿通孔に挿通させた上で、ナット17N、18N、19N、20Nに螺合させている。
【0030】
図2(b)に示すように、シムプレート11は、接続ボルト17、18の挿通位置に対応し、一端を開放した長穴11Aおよび11Bを備えた板材であり、シムプレート12は、接続ボルト19、20の挿通位置に対応し、一端を開放した長穴12Aおよび12Bを備えた板材である。この長穴11A、11B、12A、12Bを備えることにより、シムプレート11およびシムプレート12が、接続ボルト17、18、19、20の締め付け力を充分伝達させる面積を有する形状であるとともに、荷重受け部141に挿入又は除去しやすくなっている。シムプレート11およびシムプレート12の材質は限定するものではなく、鉄、アルミ、ステンレス等の金属や強化プラスチックなどの柱を支えるための強度があり変形の少ない材質を使用することができる。シムプレート11およびシムプレート12は同じ厚さを有している。また、シムプレート11およびシムプレート12の厚さは仮設柱が受ける荷重により適宜選択できる。つまり、シムプレート11およびシムプレート12を除去した場合における上部柱150の撓み量より大きければよく、シムプレート11およびシムプレート12の除去後にフランジ21と対向部材22の間にクリアランスが形成されればよい。
【0031】
なお、実施例1においては、荷重受け部141に挿入するシムプレートをシムプレート11および12の2枚構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、シムプレート11の長穴11Aおよび11Bの長さを接続ボルト19、20の挿通位置に対応する位置まで含むように長くして、シムプレート12を省略しシムプレート11のみの1枚構成としてもよい。また、各シムプレートを一つの接続ボルトの挿通位置に対応するサイズにして4枚構成としてもよい。さらに、長穴を設けることなく四角形等のシムプレートとして細分化された構成としてもよい。
【0032】
また、実施例1においては、接続ボルト17、18、19、20は、フランジ21および対向部材22に備えたそれぞれの挿通孔に挿通させた上で、ナット17N、18N、19N、20Nに螺合させる構成としたが、これに限定されるものではなく、適宜その構成は変更が可能である。例えば、接続ボルト17、18、19、20を螺合させる方向をフランジ21から対向部材22に向ける方向としてもよいし、対向部材22からフランジ21に向ける方向としてもよい。また、フランジを下部柱160の最上部に設けて、上部柱150の最下部における対向部材に向けて下からジャッキアップする構成にしてもよい。
【0033】
また、実施例1における雌ねじ部13S、14S、15S、16Sは、
図2(a)に示すようにフランジ21の下面にナットを溶接して設けている。しかし、これに限定するものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、フランジ21の上面にナットを強度のある溶接をして設けてもよいし、フランジ21の孔に雌ねじを形成してもよい。
【0034】
また、実施例1においては、接続ボルトの数を4本とし、ジャッキボルトの数を4本としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、荷重の大きさや撤去機構の都合により適宜変更できる。例えば、接続ボルトおよびジャッキボルトの数を2本としてもよいし、5本以上としてもよい。
【0035】
次に、実施例1における仮設柱の撤去方法について、
図3を参照して説明する。プラントのモジュールが組み立てられた状態では、上部柱150と下部柱160との間に撤去機構10が設けられ、接続ボルト17、18、19、20がナット17N、18N、19N、20Nに螺嵌されてシムプレート固定部142が形成されている(
図3(a))。そして、上部梁30(
図1参照)からの荷重を受け、シムプレート11、12(
図2(b)参照)が荷重受け部141を形成している。
【0036】
まず、接続ボルト17、18、19、20(
図2(a)、(b)参照)とナット17N、18N、19N、20N(
図2(a)参照、但し、ナット19N、20Nは図示せず)との締め付けを緩めて、
図3(b)に示すクリアランスAのような隙間をつくる。次に、ジャッキボルト13、14、15、16の螺合を締め付けて、そのねじ部分先端を対向部材22に対して押圧する。この押圧により、フランジ21とシムプレート11、12との間にクリアランスBを得る(
図3(b))。これで、フランジ21と対向部材22との間にシムプレート11、12の厚さよりも大きいスペースが形成されて、シムプレート11、12にかかる荷重は開放され、シムプレート11、12は容易に除去可能の状態となる。
【0037】
次に、シムプレート11、12を荷重受け部141から引き抜くことで除去する(
図3(c))。次に、ナット17N、18N、19N、20Nをさらに緩めて、接続ボルト17、18、19、20を除去する。そうすると、上部柱150および下部柱160が容易に除去可能となるので、これらを除去して、仮設柱100の撤去を完了する。
【0038】
なお、実施例1においては、シムプレート11、12を除去してから接続ボルト17、18、19、20を除去するようにしたが、必ずしもこれに限定されず、適宜変更が可能である。例えば、先に接続ボルト17、18、19、20を除去してからシムプレート11、12を除去してもよい。この場合は、シムプレート11、12に長穴11A、11B、12A、12Bがなくても除去でき、シンプルな形状のシムプレートとすることができる。
【0039】
以上のように、本発明の実施例1においては、モジュール型プラントにおける上部梁からの荷重を支えて下部梁との間に設けられてなる仮設柱を撤去するために当該仮設柱に備えた撤去機構であって、
フランジと、
前記フランジと前記フランジに対向する部材である対向部材との間にシムプレートを挿入してなる荷重受け部と、
前記フランジと前記対向部材との間に接続ボルトを螺合してなるシムプレート固定部と、
ジャッキボルトのねじ部分の先端が前記対向部材を向くように前記フランジに備えた雌ねじ部に前記ジャッキボルトを螺合させてなるジャッキアップ部と、を備え、
前記ジャッキボルトのねじ部分の長さは前記フランジの厚みと前記シムプレートの厚みとの和より長く、前記ジャッキボルトのねじ部分の先端により前記対向部材を押圧可能であることを特徴とする撤去機構により、仮設柱の撤去を簡易な作業で行えるようにすることができる。
【0040】
また、モジュール型プラントにおける上部梁からの荷重を支えて下部梁との間に設けられてなる仮設柱であって、
前記仮設柱は、撤去機構を有し、
前記撤去機構は、フランジと、
前記フランジと前記フランジに対向する部材である対向部材との間にシムプレートを挿入してなる荷重受け部と、
前記フランジと前記対向部材との間に接続ボルトを螺合してなるシムプレート固定部と、
ジャッキボルトのねじ部分の先端が前記対向部材を向くように前記フランジに備えた雌ねじ部に前記ジャッキボルトを螺合させてなるジャッキアップ部と、を備え、
前記ジャッキボルトのねじ部分の長さは前記フランジの厚みと前記シムプレートの厚みとの和より長く、前記ジャッキボルトのねじ部分の先端により前記対向部材を押圧可能であることを特徴とする仮設柱により、仮設柱の撤去を簡易な作業で行えるようにすることができる。
【0041】
さらに、モジュール型プラントにおける上部梁からの荷重を受けて下部梁との間に設けられてなる仮設柱を撤去する撤去方法であって、
前記仮設柱は撤去機構を有し、
前記撤去機構は、フランジと、
前記フランジと前記フランジに対向する部材である対向部材との間にシムプレートを挿入してなる荷重受け部と、
前記フランジと前記対向部材との間に接続ボルトを螺合してなるシムプレート固定部と、
ジャッキボルトのねじ部分の先端が前記対向部材を向くように前記フランジに備えた雌ねじ部に前記ジャッキボルトを螺合させてなるジャッキアップ部と、を備え、
前記ジャッキボルトのねじ部分の長さは前記フランジの厚みと前記シムプレートの厚みとの和より長く、前記ジャッキボルトのねじ部分の先端により前記対向部材を押圧可能であり、
前記接続ボルトを緩め、前記ジャッキボルトを螺嵌して前記ジャッキボルトのねじ部分の先端により前記対向部材を押圧して、前記フランジと前記対向部材との間に前記シムプレートの厚さよりも大きいスペースを形成した後、前記シムプレートを除去し、前記仮設柱を撤去することを特徴とする撤去方法により、仮設柱の撤去を簡易な作業で行えるようにすることができる。