(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566486
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】高圧燃料ポンプ
(51)【国際特許分類】
F02M 59/26 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
F02M59/26 330J
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-550534(P2016-550534)
(86)(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公表番号】特表2017-508913(P2017-508913A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015050444
(87)【国際公開番号】WO2015121010
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2017年12月26日
(31)【優先権主張番号】1402528.2
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514002684
【氏名又は名称】デルフィ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベン・マースデン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・パナイオトゥー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・マーサー
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−229924(JP,A)
【文献】
米国特許第03099217(US,A)
【文献】
特開平09−032690(JP,A)
【文献】
特開平08−177728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃料噴射装置の燃料ポンプ(10)であって、
前記燃料ポンプ(10)が、圧縮チャンバ(16)を規定する軸方向孔(14)が設けられたハウジング(12)を有し、前記燃料ポンプ(10)には、前記軸方向孔(14)内にスライド可能に配置されたシリンダ状ピストン(18)がさらに設けられ、前記シリンダ状ピストン(18)が、高圧末端を規定する、前記軸方向孔(14)の内部の最上末端から、低圧末端を規定する下側末端まで延在し、前記シリンダ状ピストン(18)が、燃料が入口を介して前記圧縮チャンバ(16)に低圧で入る下側位置(PL)と、前記圧縮チャンバ(16)内に存在する燃料が出口を介して放出される前に加圧される最上位置(PT)と、の間で往復スライドすることができ、
前記シリンダ状ピストン(18)には、その高圧末端上に配置された拡張手段(20,22,24)が設けられ、前記拡張手段(20,22,24)が、前記圧縮チャンバ(16)内の燃料が加圧されるときに前記シリンダ状ピストン(18)が径方向に広がることを可能にし、
前記拡張手段が、前記シリンダ状ピストン(18)の最上面上に設けられた凹所(20)であり、前記凹所(20)が、前記シリンダ状ピストン(18)と一体的な周壁(22)によって囲まれており、
前記拡張手段が、加圧燃料が圧力低下して低圧回路に向かって流れることを可能にする圧力低下機構(28,30)をさらに備え、前記圧力低下機構(28,30)の配置が、前記シリンダ状ピストン(18)の前記周壁(22)の一部分が燃料圧力を受けて広がることを制限することを特徴とする燃料ポンプ(10)。
【請求項2】
前記凹所(20)が、シリンダ状容積を規定することを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ(10)。
【請求項3】
前記拡張手段が、前記シリンダ状ピストンの最上面から延在する円形溝(24)であり、前記円形溝(24)が、前記シリンダ状ピストン(18)と一体的な周壁(22)によって囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ(10)。
【請求項4】
前記圧力低下機構(28,30)が、前記周壁(22)のシリンダ状外面上に配置されたリング溝(28)と、前記低圧回路に向かって前記リング溝(28)から延在する燃料経路(30)と、を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料ポンプ(10)。
【請求項5】
前記燃料経路が、前記シリンダ状ピストン(18)の前記シリンダ状外面上に配置された平面を備えていることを特徴とする請求項4に記載の燃料ポンプ(10)。
【請求項6】
前記シリンダ状ピストン(18)の直径が、前記リング溝(28)の下方よりも前記リング溝(28)の上方で大きく、このため、前記シリンダ状ピストン(18)と前記軸方向孔(14)との間の間隙が、前記リング溝(28)の下方で大きく増大して、前記リング溝(28)内の加圧燃料が前記低圧回路に向かって流れる前記燃料経路(30)を作り出すことを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧燃料ポンプに関し、より具体的にポンプのピストンの拡張構成に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で公知の高圧燃料ポンプは、圧縮チャンバを規定する孔が設けられたハウジングと、圧縮チャンバ内の燃料が加圧されるように孔内で往復並進運動するシリンダ状ピストンと、を有している。加圧燃料の大部分が、出口オリフィスを介して出ていく一方で、少量の加圧燃料が、孔とピストンとの間の機能的間隙を通って漏出する。動作中に、燃料が高圧を受けると、間隙が大きくなってより重大な燃料漏出をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、内燃機関の燃料噴射装置の燃料ポンプを提供して、上述した問題を解決することである。ポンプは、圧縮チャンバを規定する軸方向孔が設けられたハウジングと、軸方向孔内にスライド可能に配置されたシリンダ状ピストンと、を有している。シリンダ状ピストンが、高圧末端を規定する、軸方向孔の内部の最上末端から、低圧末端を規定する下側末端まで延在している。シリンダ状ピストンが、燃料が入口を介して圧縮チャンバに低圧で入る下側位置と、圧縮チャンバ内に存在する燃料が出口を介して放出される前に加圧される最上位置と、の間で往復スライドすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
シリンダ状ピストンには、その高圧末端上に配置された拡張手段がさらに設けられ、前記拡張手段が、圧縮チャンバ内の燃料が加圧されるときにシリンダ状ピストンが径方向に広がることを可能にする。この拡張手段は、有利なことに、ピストンと孔との間の間隙を制限する。
【0005】
一実施形態では、拡張手段が、シリンダ状ピストンの最上面上に設けられ且つシリンダ状ピストンと一体的な周壁によって囲まれた凹所である。
【0006】
より具体的に、凹所は、シリンダ状容積を規定している。
【0007】
代替的な一実施形態では、拡張手段が、シリンダ状ピストンの最上面から延在する円形溝であり、円形溝が、シリンダ状ピストンと一体的な周壁によって囲まれている。
【0008】
拡張手段が、加圧燃料が圧力低下して低圧回路に向かって流れることを可能にする圧力低下機構をさらに備えている。前記圧力低下機構の配置が、シリンダ状ピストンの一部分が燃料圧力を受けて広がることを制限する。
【0009】
圧力低下機構が、周壁のシリンダ状外面上に配置されたリング溝と、低圧回路に向かって前記リング溝から延在する燃料経路と、を備えている。燃料経路が、シリンダ状ピストンのシリンダ状外面上に配置された平面を備えており、前記平面が、シリンダ状ピストンの下端部まで軸方向に延在してもよい。
【0010】
別の代替案では、シリンダ状ピストンの直径が、リング溝の下方よりもリング溝の上方で大きく、このため、シリンダ状ピストンと軸方向孔との間の間隙が、円形溝の下方で大きく増大している。この直径の差は、円形溝内の加圧燃料が低圧回路に向かって流れる燃料経路となる環状容積を作り出す。
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して例のためにこれから説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のメインの一実施形態によるポンプの概略的な軸方向断面図である。
【
図2】本発明のポンプの代替的な一実施形態の概略的な軸方向断面図である。
【
図3】本発明のポンプのさらに別の代替的な一実施形態の概略的な軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、同様の要素は、同じ参照符号で指定される。また、説明を容易にするため且つ明確にするために、上下の向きは、図の向きに関して従っている。従って、“最上、上側、下側、上に、下に”のような用語及び表現は、本発明の範囲のいかなる限定も意図することなく使用される。
【0014】
メインの一実施形態が、高圧ポンプ10の軸方向断面図が概略的に表された
図1を参照してこれから説明される。ポンプ10は、内部に孔14が設けられたハウジング12を有しており、孔14は、圧縮チャンバ16を規定する最上端部から、ハウジング12の外部に開く下端部(図示せず)へメイン軸線Aに沿って延在している。孔14の内部には、ピストン18がスライド可能に配置されている。機能的間隙Cが、孔14のシリンダ状内面とピストン18のシリンダ状外面との間に維持されており、ピストン18の移動を可能にする。ポンプ10には、制御された入口及び出口(図示せず)がさらに設けられており、圧縮チャンバ16内へ且つ圧縮チャンバ16から燃料が流れることを可能にする。
【0015】
図1のメインの実施形態では、ピストン18には、圧縮チャンバ16内で上向きに開口したシリンダ状最上凹所20が設けられている。凹所20は、ピストン18と一体的な周壁22によって囲まれており、且つ、この第1実施形態の圧縮チャンバ16の容積は、ピストン18の上方の孔14の容積を含んでおり、孔14のこの容積に凹所20の容積が加えられたものである。
【0016】
動作中に、ピストン18は、
図1の最上位置PTと
図2及び
図3の低位置PLとの間でピストン18を往復移動させる回転カム(図示せず)によって作動させられる。燃料は、ポンプ構成要素の拡張を発生させる数千バールで加圧される。ハウジング12の最上部は、広がり、且つ機能的間隙Cの上端部を広げる傾向を有する。凹所20の内部の加圧燃料は、外側に向けられた径方向力F1を周壁22上で発生させ、この径方向力F1は、周壁22の径方向の広がりを作り出す。この広がりは、孔14の拡張を相殺して機能的間隙Cの開放を回避する。機能的間隙Cに入った加圧燃料は、外向きの力F1の方向の反対方向の内側に向けられた力F2を周壁22上で発生させ、内側に向けられた力F2の強度は、圧縮チャンバ16から離れていくに従って減少する。
【0017】
周壁22の変形は、外側に向けられた力F1と内側に向けられた力F2との結果である。当業者は、
図1に表される周壁22のバレル型の広がりが、非限定的な誇張した図であることを理解するであろう。
【0018】
メインの実施形態の代替案が、
図1のメインの実施形態との差異のために
図2を参照してこれから説明される。前記代替案では、凹所20は、ピストン18の最上部から軸方向に延在し且つ圧縮チャンバ16内に上向きに開口する円形深溝24に限定されている。
図2で見ることができるように、周壁22は、メインの実施形態と同一である。周壁22は、円形深溝24を外部から囲み、且つ内側では、円形溝24は、メインの実施形態の凹所20の容積の大部分を占めるシリンダ状内側コア26によって境界を定められている。従って、この代替案では、圧縮チャンバ16の容積増大は、円形溝24の容積に制限される。
【0019】
動作中に、溝24の内部の圧力は、メインの実施形態と同様の広がりを発生させる同じ外側に向けられた径方向力FRを周壁22上で発生させ、且つまた、内側に向けられた径方向力をシリンダ状内側コア上で発生させ、前記内向きの力は、内側コアのいかなる目立った変形も発生させない。
【0020】
この代替案では、機能的間隙Cの開放は、圧縮チャンバ16の容積の重大な増大なく周壁22の変形によって相殺される。
【0021】
図示しないさらなる代替案では、内側コア26は、ピストン18と一体的ではなく凹所20の内部に固定されてもよい。また、メインの実施形態の凹所20は、シリンダ状容積として説明されているが、円錐状凹所のような他の形状、又は互いの最上部上の2つ以上の隣り合ったシリンダ状容積が、代替案として可能である。
【0022】
図3では、ピストン18には、周壁22の外面上に配置されたリング溝28が設けられている。燃料経路30が、前記リング溝28から下方に延在している。リング溝28及び関連する経路30の目的は、燃料圧力低下を可能にすることであり、リング溝28の配置は、前記圧力低下が生じる場所及び周壁22の広がりを制限する場所を規定する。
【0023】
図3に表される燃料経路30は、ピストン18のシリンダ状外面上に配置された平面であってもよく、これにより環状溝28から逆漏出へ燃料を向ける。この場合、リング溝28は、圧力軽減装置として作用し、これは、機能的間隙Cに入った加圧燃料が、ピストンの最上部から溝28に至るまでのみで、内側に向けられた力F2を発生させるからである。溝28に達すると、燃料圧力は、壁部の変形を発生させない低圧レベルにまで急速に減少する。
【0024】
通路30の代替案が、
図4に表されており、
図4では、燃料を流すことができる平面の代わりに、溝28の下方のピストン18の直径は、溝28の上方での直径よりも小さくなっている。従って、溝28の下方の間隙は、大きくなり、溝28の下方では低圧で燃料が流れることを可能にする。
【符号の説明】
【0025】
10 ポンプ、12 ハウジング、14 孔、16 圧縮チャンバ、18 ピストン、20 凹所、22 周壁、24 円形溝、26 シリンダ状内側コア、28 リング溝、30 燃料通路、A メイン軸線、C 機能的間隙、PT 最上位置、PL 低位置、FR 径方向力