(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、各種の物品を収納して携行するための収納袋であって、地震や津波等の災害発生時等においては、救命や救助等その他の用途に利用可能に構成されたものが知られている。例えば、特許文献1には、通常時は、袋体に物を入れるバッグとして使用され、津波等の災害時には、ライフジャケットとして装着可能な防災用バッグが、特許文献2には、救命胴衣部を備えるリュックサックが開示されている。また、特許文献3には、必要備品を収容する鞄であって、展開状態では担架にもなり得る担架転換型鞄が開示されている。
【0003】
また、一般に、地震、水害、土砂災害、山岳や海等での遭難事故等の緊急時には、人命救助等のために救助用ロープ等が用いられる。これら救助用ロープ等は、通常時には、ロープバッグ等に収納され保管されている。例えば、特許文献4には、救助用ロープ等を収納して保管するための収納具が開示されている。
【0004】
また、一般に、自動車等の車両等には、衝突時に乗員を傷害から防護し、または傷害を軽減するために、シートベルトが装備されている。これらシートベルトに用いられるウェビングは、例えば、特許文献5に開示されているように、合成樹脂製の繊維材料から織製されて略帯状に形成されており、柔軟であると共に、衝突時の衝撃に耐え得る所定の強度と耐久性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災害発生時等には、水や食料等の物資を運ぶための収納袋が必要になると共に、人命救助や物の固定、牽引等のために緊急用のロープ等が必要
になることもある。前述のとおり、従来、緊急時に他の用途に転用可能な各種の収納袋が提案されているが、緊急時にロープ等として利用できる収納袋は存在しなかった。
【0007】
また、前述のとおり、従来、緊急用のロープ等は、ロープバッグや収納具等に保管されており、災害発生時等には、これらロープバッグ等が持ち出されることになる。ロープ等以外の物品を持ち出すための収納袋は、ロープ等を収納するロープバッグ等とは別途準備しておく必要があった。
【0008】
また、前述のとおり、シートベルトのウェビングは、柔軟で優れた強度及び耐久性を有する。しかしながら、従来、廃車を解体した後に取り外されたウェビングは、有効に再利用されることなく、焼却処分されていた。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種の物品を収納可能であり、緊急時には紐状に展開してロープ等の代わりとして利用することができる収納袋を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、廃車から取り外された使用済みシートベルトのウェビングを有効に再利用して、物品の保管や運搬に好適で緊急時にはロープ等の代わりに利用可能な収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の収納袋は、帯状体から形成された収納袋であって、前記帯状体は、螺旋状に巻かれて対向する側縁部が互いに縫合されており、前記帯状体によって形成された筒状体の一方の開口が縫合されて閉じた底部が形成されていると共に前記筒状体の他方の開口が収納物を出し入れする開口部となっており、
前記帯状体の長手方向の両端部には、前記帯状体が折り返されて縫合された環状部が形成されており、前記帯状体の前記底部側の端部の前記環状部は、前記収納袋の内部に設けられており、前記開口部を形成する前記帯状体には、その端部側が前記開口部の外部に向かうようL字状に折り返されて縫合された曲折部が形成されており、前記帯状体の前記開口部側の端部近傍は、前記収納袋の外部に設けられて使用者が前記収納袋を持ち上げるための支持部となり、前記環状部を形成する縫合には、前記側縁部、前記底部及び前記曲折部の縫合よりも太い糸が使用されており、前記側縁部
、前記底部
及び前記曲折部の縫合を解くことにより
両端部に前記環状部を有する前記帯状体に展開して利用可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の収納袋は、帯状体を用いて袋状に形成されている。具体的には、帯状体は、螺旋状に巻かれて対向する側縁部が互いに縫合されており、帯状体によって形成された筒状体の一方の開口が縫合されて閉じた底部が形成されていると共に筒状体の他方の開口が収納物を出し入れする開口部となっている。これにより、収納袋の内部に各種の物品を収納することができる。
【0013】
そして、本発明によれば、収納袋の底部の縫合を解き、帯状体の側縁部の縫合を解くことにより、収納袋を帯状体に展開して利用することができる。これにより、緊急時等には、展開された帯状体をロープ等の代わりとして用いることができる。
【0014】
また、本発明の収納袋によれば、帯状体の長手方向の端部には、帯状体が折り返されて縫合された環状部が形成されていても良い。これにより、収納袋を展開して帯状体をロープ等の代わりとして利用する際に、帯状体の取り扱いが容易になる。例えば、帯状体を引っ張る際には帯状体を掴み易くなる。また、環状部を利用すれば、帯状体を物や人等に固定し易く、各種の連結具等の接続も容易になり、帯状体同士の連結も容易になる。
【0015】
また、本発明の収納袋によれば、帯状体の底部側の端部は、収納袋の内部に設けられており、帯状体の開口部側の端部近傍は、収納袋の外部に設けられ、使用者が収納袋を持ち上げるための支持部となっても良い。これにより、収納袋は持ち易く携行が容易になり、収納袋を用いた物資の運搬等が容易になる。
【0016】
また、本発明の収納袋によれば、帯状体は、車両用シートベルトのウェビングから形成されても良い。これにより、廃車から取り外された使用済みシートベルトのウェビングを有効に再利用して、物品の保管や運搬に好適で緊急時にはロープ等の代わりに利用できる収納袋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る収納袋を図面に基づき詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係る収納袋1の概略を示す透視図である。
図1は、収納袋1の開口部3を開いた状態、
図2(A)及び(B)は、開口部3を閉じた状態を示している。
【0019】
収納袋1は、各種の物品を収納して、保管、運搬等するために用いられるものであり、
図1及び
図2に示すように、例えば、ショルダーバッグ状に構成されている。具体的には、収納袋1は、収納物が収納される略袋状の本体2と、収納袋1を持ち上げて支持するための支持部である肩掛け部5と、を有する。本体2の上部には、収納物を出し入れ自在に開口する開口部3が形成されている。
【0020】
収納袋1は、帯状体10から形成されている。詳しくは、収納袋1の本体2は、帯状体10を螺旋状に巻いて縫合することにより形成されており、肩掛け部5は、本体2の上部から連続する帯状体10の端部近傍によって形成されている。なお、帯状体10の詳細については、後述する。
【0021】
肩掛け部5を構成する帯状体10は、本体2の上部に形成されたスリット9に摺動自在に挿通されており、帯状体10の端部は、縫合部27において本体2の底部4近傍に縫合されている。これにより、
図2(A)及び(B)に示すように、肩掛け部5を引き締めて開口部3を閉じることができ、収納物の落下を防止することができる。また、肩掛け部5を引き締めることにより、収納物が好適に押さえられるので、収納袋1の持ち運びが容易になる。なお、スリット9は、螺旋状に巻かれた帯状体10の側縁部同士を一部分縫合しないことにより形成されている。
【0022】
また、上述の如く帯状体10の端部が本体2の底部4近傍に直接的に縫合される構成に代えて、接続金具等を介して帯状体10の端部と本体2の底部4近傍が接続される構成でも良い。また、帯状体10の接続金具等に固定される位置を変更自在として、肩掛け部5の長さを調整できるように構成されても良い。
【0023】
図3は、本発明の他の実施形態に係る収納袋101の概略を示す透視図である。
図3に示すように、収納袋101は、手提げバッグ状に形成された例であり、開口部3の縁部に、収納袋101を持ち上げるための支持部である一対の把手部105、106を有する。
【0024】
一方の把手部105は、本体2を構成する螺旋状に巻かれた帯状体10の端部近傍によって形成されている。即ち、把手部105は、本体2を形成する帯状体10から連続している。他方の把手部106は、本体2を構成する帯状体10とは別の部材から形成されて、本体2の上部に縫合等によって取り付けられている。
【0025】
なお、他方の把手部106についても、一方の把手部105と同様に、本体2を構成する帯状体10の端部近傍によって形成されても良い。即ち、帯状体10の一方の端部近傍が一方の把手部105となり、他方の端部近傍が他方の把手部106となる構成を採用することも可能である。
【0026】
図4(A)は、帯状体10を示す図である。
図4(A)に示すように、帯状体10は、略帯状の形態を成す1本の長尺の部材である。前述のとおり、帯状体10によって収納袋1、101(
図1ないし
図3参照)が形成されており、収納袋1、101を展開することにより、1本の紐状の帯状体10に戻して、帯状体10をロープ等の代わりに用いることができる。
【0027】
帯状体10としては、ポリエステルやポリアミド等の合成樹脂繊維等から成る織物その他帯状の形態を成す種々の素材を用いることができる。例えば、帯状体10は、車両用シートベルトのウェビングから形成されても良い。車両用シートベルトのウェビングは、柔軟で取り扱いが容易で、優れた強度及び耐久性を有するので、帯状体10の素材として好適である。
【0028】
具体的には、自動車用シートベルトのウェビングを用いた帯状体10は、JIS D 4604の規格に適合する引張強さ、伸び率、エネルギー吸収率を有すると共に、同規格に適合する耐摩耗性、耐寒性、耐水性等の優れた耐劣化性能を有するものとなる。なお、帯状体10に用いられる車両用シートベルトのウェビングは、前記の自動車用シートベルトのウェビングに限定されず、鉄道車両用や船舶用または航空機用のシートベルト等のウェビングであっても良い。
【0029】
また、帯状体10は、廃車から取り外された使用済みシートベルトのウェビングから形成されても良い。これにより、従来は廃棄処分されていた使用済みシートベルトのウェビングを有効に再利用して、物品の保管や運搬に好適で緊急時にはロープ等の代わりに利用できる収納袋1、101を形成することができる。
【0030】
帯状体10は、連続する1本の帯状素材から形成されても良いし、所定長さの帯状素材10aを長手方向に複数本連結することにより形成されても良い。例えば、長さ約2mの帯状素材10aを10本連結することにより、長さ約20mの帯状体10が形成されても良い。このように複数本の帯状素材10aを連結することにより形成される帯状体10の構成は、使用済みシートベルトのウェビングを再利用する場合に特に好適である。
【0031】
帯状素材10aの長さは、特に限定されるものではないが、例えば、1.8mから2.2mが好適であり、帯状素材10aは、それぞれ略同じ長さであることが望ましい。略同一長さの帯状素材10aを使用することにより、収納袋1、101の寸法及び意匠を容易に揃えることができる。
【0032】
帯状素材10aの接続方法は、例えば、縫合による方法が良い。具体的には、連結される帯状素材10aは、端部近傍が互いに重ね合わされ、縫合部21において縫合されることにより連結されている。
【0033】
帯状体10の長手方向の両端部には、帯状体10が折り返されて縫合された環状部11、12が形成されていても良い。具体的には、帯状体10の一方の端部近傍が折り返され、重なり部分の縫合部22において縫合されて環状部11が形成され、帯状体10の他方の端部近傍が折り返され、重なり部分の縫合部23において縫合されて環状部12が形成されている。
【0034】
帯状体10の端部に環状部11、12が形成されることにより、収納袋1、101を展開して帯状体10をロープ等の代わりとして利用する際に、帯状体10の取り扱いが容易になる。例えば、帯状体10を引っ張る際には帯状体10を掴み易くなる。また、環状部11、12を利用すれば、帯状体10を物や人等に固定し易く、各種の連結具等の接続も容易になり、帯状体10同士の連結も容易になる。
【0035】
また、
図3に示す収納袋101のように、環状部11及び環状部12の少なくとも何れか一方は、収納袋101を持ち上げるための把手部105若しくは把手部106として利用されても良い。
【0036】
図4(B)は、帯状体10の端部近傍を示す図であり、詳しくは、
図1に示す収納袋1の支持部である肩掛け部5または
図3に示す収納袋101の支持部である把手部105になる端部近傍を示す図である。
【0037】
図4(B)に示すように、帯状体10の一方の端部近傍は、略直角に折り曲げられて、縫合部26において縫合されている。これにより、収納袋1、101が形成された際に、折り曲げられた端部近傍は、肩掛け部5または把手部105等、収納袋1、102を持ち上げるための支持部になる。
【0038】
図5は、収納袋1または収納袋101を裏返した状態を示す図である。
図5に示すように、帯状体10は、螺旋状に巻かれている。帯状体10の対向する側縁部は、重ね合わされ、縫合部24において互いに縫合されている。これにより、収納袋1、101の本体2になる筒状体が形成されている。
【0039】
そして、上記のように帯状体10から形成された筒状体は、一方の開口が閉じられて、縫合部25において縫合されて、閉じた底部4が形成される。これにより、略袋状の本体2が形成され、収納袋1、101の内部に各種の物品を収納することができる。なお、筒状体の他方の開口は、縫合されずに収納物を出し入れする開口部3となる。
【0040】
なお、収納袋1、101を製造する工程においては、
図5に示すように、収納袋1または収納袋101は内面が外側になるように裏返された状態で帯状体10の側縁部の縫合部24や、収納袋1、101の底部4を形成する縫合部25の縫製作業が行われる。これにより、縫製作業が容易になる。そして、縫合部24、25の縫製作業が終了した後に、収納袋101は、裏返されて、通常の使用状態に形成される。
【0041】
通常の使用状態において、収納袋1、101の底部4側になる帯状体10の端部は、収納袋1、101の内部に設けられている。他方、収納袋1、101の開口部3側になる帯状体10の端部近傍は、収納袋1、101の外部に設けられ、前述のとおり、使用者が収納袋1、101を持ち上げるための肩掛け部5または把手部105となる。これにより、収納袋1、101は持ち易く携行が容易になり、収納袋1、101を用いた物資の運搬等が容易になる。
【0042】
そして、上記のように構成された収納袋1、101は、側縁部の縫合部24、底部4の縫合部25及び折り曲げ部の縫合部26を解くことにより、
図4(A)に示す帯状体10に展開して利用可能である。これにより、緊急時等には、展開された帯状体10をロープ等の代わりとして用いることができる。
【0043】
なお、側縁部の縫合部24、底部4の縫合部25及び折り曲げ部の縫合部26は、連結部の縫合部21(
図4(A)参照)、環状部11の縫合部22及び環状部12の縫合部23と比べて、弱い糸を用いて縫合されている。例えば、縫合部24、縫合部25及び縫合部26における縫製では、上糸または下糸の何れか一方に、縫合部21、縫合部22及び縫合部23に用いられる糸よりも細い木綿糸が使用されている。これにより、縫合部24、縫合部25及び縫合部26を形成している糸の切断が容易になり、縫合を解き易く、収納袋1、101を帯状体10に展開する作業が容易になる。
【0044】
換言すれば、連結部の縫合部21及び環状部11、12の縫合部22、23には、側縁部の縫合部24、底部4の縫合部25及び折り曲げ部の縫合部26よりも太くて強い糸が使用されている。これにより、帯状体10をロープ等の代わりとして用いる際の十分な強度が確保される。
【0045】
帯状体10の縫合部21、22、23に用いられる糸として、具体的には、ナイロン、ポリエチレン、フロロカーボン等の釣糸が好適である。釣糸は、強度が高いことに加えて、優れた耐水性を有するので、帯状体10が緊急用のロープとして河川や海等で使用される場合にも十分な強度を発揮する。
【0046】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。帯状体10の長さ、収納袋1、101の大きさや形状、肩掛け部5や把手部105、106の形態等については、種々の変更実施が可能である。また、収納袋1、101には、本体2の外部を覆うカバー等が設けられても良いし、本体2の内部に内袋等が設けられても良い。また、本体2の内部や外部に各種の収納ポケット等が設けられても良い。その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。