(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定部は、さらに、測定結果より算出したS/N比のうちで最も高いものに対応するアンテナ角度の近傍の所定範囲内において、アンテナ角度を、前記所定の回転角度よりも小さい微小回転角度刻みで変更し、前記微小回転角度刻みの各アンテナ角度でRSSIおよびノイズの測定を行い、各アンテナ角度においてRSSIおよびノイズの測定結果よりS/N比を算出し、前記アンテナの方向が、測定結果より算出したS/N比のうちで最も高いものに対応するアンテナ角度になるように調整する、請求項1に記載の無線子機。
前記測定部は、前記アンテナの向きを調整後のアンテナ角度に維持したまま、S/N比が現状値以上になるように送信パワーを調整する、請求項1または2に記載の無線子機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の特徴]
本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。
【0012】
図1は、本発明の概要について説明する図である。
図1に示すように、無線子機1は、アンテナ3と、可動部4と、測定部7と、を備えている。アンテナ3は、向きの変更が可能なように構成され、無線親機21との通信を行う。可動部4は、アンテナ3を回転動作させる。測定部7は、可動部4を制御してアンテナ3の向きを調整するとともに、無線親機21との通信におけるRSSIおよびノイズの測定を行う。
【0013】
測定部7は、アンテナの向きを規定するアンテナ角度を所定の回転角度刻みで変更し、所定の回転角度刻みの各アンテナ角度でRSSI(受信強度:Received Signal Strength Indicator)およびノイズの測定を行う。そして、各アンテナ角度においてRSSIおよびノイズの測定結果よりS/N比(Signal to Noise Ratio)を算出し、アンテナの方向が、測定結果より算出したS/N比のうちで最も高いものに対応するアンテナ角度になるように調整する。
【0014】
これにより、無線親機との通信において、通信速度を実質的に最大化するためにアンテナの向きを良好に最適化することができる。
【0015】
[実施の形態1]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
まず、実施の形態1にかかる無線子機101の概略構成について説明する。
図2は、実施の形態1にかかる無線子機101の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、無線子機101は、無線I/F122を有する無線ルータ(無線親機)121と通信を行う。
【0016】
無線子機101は、無線子機本体102と、アンテナ103と、可動部104と、電力計108と、を備えている。無線子機本体102は、無線I/F105と、可動I/F106と、を備えている。無線I/F105は、アンテナ103を介して送受信される電波の変調・復調を行うためのものである。無線子機101において、無線ルータ121の無線I/F122から送信されてきた信号は、アンテナ103で受信され、無線I/F105で復調される。また、無線I/F105で変調された送信信号はアンテナ103から無線ルータ121の無線I/F122へと送信される。
【0017】
可動部104は、アンテナ103を最大可動範囲内で動作(回転動作)させるための駆動機構である。可動I/F106は、可動部104によるアンテナ103の動作を制御する。測定部107は、無線ルータ121との通信におけるRSSIおよびノイズの測定を行い、S/N比を算出する。ここで、S/N比はRSSIからノイズを引いた値(S/N比=RSSI−ノイズ)である。電力計108は、測定部107からの指令を受けて無線子機101の消費電力を測定するためのもので、無線子機本体102に接続されている。なお、電力計108は外部電源110に接続されていてもよい。記憶媒体109は、測定されたRSSI、ノイズ及び消費電力をアンテナ角度に対応させて記憶させるためのものである。
【0018】
次に、測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲を明らかにする処理の流れについて説明する。
図3は、測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲を明らかにする処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、アンテナ103をマイナス回転方向(反時計回り)に動作させる(ステップS101)。続いて、アンテナ103の回転移動が止まったか否かを判断する(ステップS102)。ステップS102において、アンテナ103の回転移動が止まったと判断した場合には、アンテナ103の位置がマイナス回転方向の限界(マイナス限界)に達したと判断できるので、アンテナ103の動作を停止する(ステップS103)。
【0019】
ステップS103に続き、アンテナ103をプラス回転方向(時計回り)に動作させる(ステップS104)。続いて、アンテナ103の回転移動が止まったか否かを判断する(ステップS105)。ステップS105において、アンテナ103の回転移動が止まったと判断した場合には、アンテナ103の位置がプラス回転方向の限界(プラス限界)に達したと判断できるので、アンテナ103の動作を停止する(ステップS106)。続いて、アンテナ103がマイナス限界からプラス限界に至るまでに回転した角度を最大可動範囲として記憶媒体109に記憶させる(ステップ107)。
【0020】
次に、測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲内において、S/N比が実質的に最大になるアンテナ角度を抽出して、アンテナ103の向きが当該アンテナ角度になるように調整する処理について以下で説明する。なお、以下の説明において、無線子機101の構成については、適宜、
図2を参照する。
【0021】
測定部107は、S/N比が実質的に最大になるアンテナ103の向きを抽出するために、所定の回転角度刻みでアンテナ103を動作させ、RSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行う。S/N比が実質的に最大になるアンテナ103の向きの検出において、まず、比較的粗い所定の回転角度(第1回転角度Δθ1)刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行って、S/N比が相対的に高くなるアンテナの向きの見当を付ける。第1回転角度Δθ1は、例えば30°である。
【0022】
図4は、測定部107における、S/N比が相対的に高くなるアンテナの向きの見当を付ける処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、アンテナ103を最大可動範囲のマイナス限界まで動かす(ステップS201)。そして、アンテナ角度nをゼロ(n=0)に設定する(ステップS202)。続いて、RSSI、ノイズ及び消費電力を測定する(ステップS203)。測定したRSSI、ノイズ及び消費電力の測定結果をアンテナ角度nと対応させて記憶媒体109に記憶させる(ステップS204)。
【0023】
ステップS204に続き、アンテナ角度nが最大可動範囲のプラス限界に等しいか否かを判断する(ステップS205)。ステップS205において、アンテナ角度nが最大可動範囲のプラス限界に等しくないと判断された場合(NOの場合)、アンテナ103をプラス回転方向に第1回転角度Δθ1だけ回転させる(ステップS206)。そして、アンテナ角度nに第1回転角度Δθ1を加算して(n=n+Δθ1)アンテナ角度nを更新した後(ステップS207)、処理をステップS203に戻す。一方、ステップS205において、アンテナ角度nが最大可動範囲のプラス限界に等しいと判断された場合(YESの場合)、測定結果のうち、S/N比が最も高いアンテナ角を仮最適アンテナ角度mとして抽出する(ステップS208)。
【0024】
図5は、
図4の処理フローの後に記憶媒体109に記憶された、アンテナ角度nに対する、RSSI、ノイズ及び消費電力の測定結果の一例を示す表である。ここでは、第1回転角度Δθ1は30°としている。
図5に示すように、アンテナ角度nが0°から330°まで30°刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定結果が格納されている。測定結果のうちで、S/N比が最も高いアンテナ角nを仮最適アンテナ角度mとして抽出する。
【0025】
次に、
図4の処理フローにより抽出した仮最適アンテナ角度mの近傍の所定範囲(近傍範囲)内において、第1回転角度Δθ1よりも小さい微小回転角度(第2回転角度Δθ2)刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行い、S/N比が実質的に最大になるアンテナの向きを見つける。第2回転角度Δθ2は、例えば1°である。また、仮最適アンテナ角度mの近傍の角度範囲は、例えば、m−(Δθ1−Δθ2)≦m≦m+(Δθ1−Δθ2)の範囲である。すなわち、仮最適アンテナ角度mの近傍範囲における、プラス限界がm+(Δθ1−Δθ2)、マイナス限界がm−(Δθ1−Δθ2)である。
【0026】
図6は、測定部107における、アンテナ103の向きを、S/N比が実質的に最大になる向きに調整する処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、アンテナ103を仮最適アンテナ角度mの近傍範囲のプラス限界(m+(Δθ1−Δθ2))まで動かす(ステップS301)。続いて、アンテナ角度nの初期値を仮最適アンテナ角度mの近傍範囲のプラス限界(m+(Δθ1−Δθ2))に設定する(ステップS302)。続いて、RSSI、ノイズ及び消費電力を測定する(ステップS303)。測定したRSSI、ノイズ及び消費電力を現在のアンテナ角度nにおける測定結果として記憶媒体109に記憶させる(ステップS304)。
【0027】
ステップS304に続き、アンテナ角度nが、仮最適アンテナ角度mの近傍範囲のマイナス限界(m−(Δθ1−Δθ2))に等しいか否かを判断する(ステップS305)。ステップS305において、アンテナ角度nが、仮最適アンテナ角度mの近傍範囲のマイナス限界(m−(Δθ1−Δθ2))に等しくないと判断された場合(NOの場合)、アンテナ103をマイナス回転方向に第2回転角度Δθ2だけ回転させる(ステップS306)。そして、アンテナ角度nから第2の角度Δθ2を引いて(n=n−Δθ2)(ステップS307)、処理をステップS303に戻す。一方、ステップS305において、アンテナ角度nが、仮最適アンテナ角度mの近傍範囲のマイナス限界(m−(Δθ1−Δθ2))に等しいと判断された場合(YESの場合)、測定結果のうち、S/N比が最も高いアンテナ角度を最適アンテナ角度Vとして抽出する(ステップS308)。そして、アンテナ103の向きが最適アンテナ角度Vになるように、アンテナ103の向きを調整する(ステップS309)。
【0028】
図7は、
図6の処理フローにより測定され、記憶媒体109に記憶された、アンテナ角度nに対する、RSSI、ノイズ及び消費電力の測定結果を示す表である。ここでは、第2回転角度Δθ2を1°としている。
図7に示すように、アンテナ角度nが{m−(Δθ1−Δθ2)}°から{m+(Δθ1−Δθ2)}°まで1°刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定結果が格納されている。測定結果のうちで、S/N比が最も高いアンテナ角nを最適アンテナ角度Vとして抽出する。
【0029】
図6に示す処理フローにより得られた測定結果において、RSSIが−30dBmより大きい(RSSI>−30dBm)ものが含まれていた場合、
図6のステップS308の処理で、各アンテナ角度に対し、さらにスループットの測定を行い、スループットの測定結果の比較を行うことにより最適アンテナ角度Vを抽出するようにしてもよい。これは、RSSIが−30dBmより大きい場合には、S/N比が通信速度に比例しない可能性があり、S/N比が最大でも通信速度が最大にならない可能性があるからである。
【0030】
図8及び
図9は、測定部107における、
図6の処理フローにより得られた測定結果にRSSI>−30dBmであるものが含まれていた場合に、スループットの比較により最適アンテナ角度Vを決定する処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、
図6に示す処理フローによって得られた測定結果の中で、RSSIが−30dBmよりも大きくなる(RSSI>−30dBm)アンテナ角度を抽出する(ステップS401)。そして、アンテナ103の向きが、ステップS401で抽出したアンテナ角度のうちで最も小さいものになるようにアンテナ103を動かす(ステップS402)。
【0031】
続いて、アンテナ角度nを、現在のアンテナ角度に設定する(ステップS403)。続いて、スループットを測定する(ステップS404)。そして、スループットの測定結果をアンテナ角度nと対応させて記憶媒体109に記憶させる(ステップS405)。続いて、ステップS401で抽出したアンテナ角度の中でアンテナ角度nよりも大きいものがあるか否かを判断する(ステップS406)。
【0032】
ステップS406において、ステップS401で抽出したアンテナ角度の中でアンテナ角度nよりも大きいものがあると判断した場合(YESの場合)、アンテナ103の向きが、アンテナ角度nよりも大きいもののうちでアンテナ角度nに一番近いアンテナ角度になるように、アンテナ103を動かし(ステップS407)、処理をステップS403に戻す。ステップS406において、ステップS401で抽出したアンテナ角度の中でアンテナ角度nよりも大きいものがないと判断した場合(NOの場合)、RSSI>−30dBmとなるアンテナ角度のうちでスループットが最も大きいものを抽出する(ステップS408)。
【0033】
ステップS408に続き、
図9に示すように、
図6に示す処理フローによって得られた測定結果のなかで、RSSIが−30dBm以下(RSSI≦−30dBm)のもののうち最もS/N比が高いアンテナ角度を抽出する(ステップS409)。そして、アンテナ103の向きが、ステップS409で抽出したアンテナ角度になるようにアンテナ103を動かす(ステップS410)。続いて、アンテナ角度nを現在のアンテナ角度に設定する(ステップS411)。
【0034】
ステップS411に続いて、スループットを測定する(ステップS412)。そして、スループットの測定結果をアンテナ角度nと対応させて記憶媒体109に記憶させる(ステップS413)。続いて、ステップS409で抽出したアンテナ角度のスループットの方が、ステップS408で抽出したアンテナ角度のスループットより大きいか否かを判断する(ステップS414)。
【0035】
ステップS414において、ステップS409で抽出したアンテナ角度のスループットの方が、ステップS408で抽出したアンテナ角度のスループットより大きい場合(YESの場合)、ステップS409で抽出したアンテナ角度を最適アンテナ角度とする(ステップS415)。一方、ステップS414において、ステップS409で抽出したアンテナ角度のスループットの方が、ステップS408で抽出したアンテナ角度のスループットより大きくない場合(NOの場合)、ステップS408で抽出したアンテナ角度を最適アンテナ角度とする(ステップS416)。
【0036】
図10は、
図7に示す表中より、S/N比が最も高いもの、および、RSSIが−30dBmよりも大きいもの(RSSI>−30dBm)を抽出した結果の一例を示す表である。例えば、
図7において、アンテナ角度nがm−28°のときにS/N比が最大で、アンテナ角度nがm−25°、m−11°、m+14°、m+22°のときにRSSIが−30dBmよりも大きくなっているとする。この場合、
図10に示すように、アンテナ角度nがm−28°、m−25°、m−11°、m+14°、m+22°の測定結果を
図7より抽出する。
【0037】
図8に示す処理フローにより、アンテナ角度nが、m−25°、m−11°、m+14°、m+22°の場合について、それぞれスループットの測定が行われる。また、
図9に示す処理フローにより、アンテナ角度nがm−28°の場合についてスループットの測定が行われる。上記各アンテナ角度のうちでスループットが最大のものを最適アンテナ角度Vとする。
【0038】
以上より、本実施の形態にかかる無線子機101では、測定部107において、アンテナの向きを最適化するために、まず、第一段階として、
図4に示す処理フローのように、比較的粗い回転角度である第1回転角度Δθ1刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行って、S/N比が相対的に高くなるアンテナの向きの見当を付ける。そして、第二段階として、
図6に示す処理フローのように、S/N比が相対的に高くなるアンテナの向きの近傍範囲において、第1回転角度Δθ1より小さい第2回転角度Δθ2刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行って、S/N比が最も高いアンテナの向き(最適アンテナ角度)を抽出する。このように、S/N比が最も高いアンテナの向きの抽出を、上述したように二段階で行うことにより、検出処理を効率的に行うことができる。そして、アンテナ103の向きが抽出した最適アンテナ角度になるように、アンテナ103の向きを調整する。無線親機との通信において、RSSIが強すぎる場合を除き、通信速度は、概ねS/N比と比例関係にある。つまり、S/N比が高くなればなるほど通信速度は速くなる。よって、アンテナの向きをS/N比が実質的に最大になるように調整することで通信速度を最大化することができる。従って、本実施の形態に拠れば、無線ルータとの通信において、アンテナの向きを最適化し、通信速度を実質的に最大化することができる。
【0039】
また、RSSIが−30dBmより大きいものが含まれていた場合、S/N比が最も高いアンテナ角度におけるスループット、および、RSSIが−30dBmより大きくなるアンテナ角度におけるスループットをそれぞれ測定する。そして、測定したスループットのうち最も大きいものに対応するアンテナ角度を最適アンテナ角度として抽出する。このようにすることで、無線ルータとの通信において、通信速度を実質的に最大化するためにアンテナの向きをより良好に最適化することができる。
【0040】
[実施の形態2]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1と共通の部分については共通の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態2にかかる無線子機の概略構成は、
図2に示す無線子機101の概略構成と同じである。また、無線子機101の測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲を明らかにする処理は、実施の形態1において
図3を用いて説明した処理と同じである。測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲内において、S/N比が実質的に最大になるアンテナ角度を抽出して、アンテナ103の向きが当該アンテナ角度になるように調整する処理は、実施の形態1において
図4、
図6、
図8及び
図9を用いて説明した処理と同じである。本実施の形態では、測定部107において、アンテナ103の向きを最適化した後で、さらに送信パワーの制御を行う。この点が実施の形態1とは異なる。
【0041】
図11及び
図12は、測定部107における、アンテナ103の向きを最適化した後で送信パワーの制御を行う処理の流れを示すフローチャートである。
図11及び
図12に示すように、まず、アンテナ103の向きが、
図9に示す処理フローによって得られた最適アンテナ角度になるように、アンテナ103を動かす(ステップS501)。続いて、RSSIを測定し、測定により得られたRSSIを調整前RSSIbとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS502)。調整前RSSIbが−30dBmより大きいか(RSSIb>−30dBm)否か判断する(ステップS503)。
【0042】
ステップS503において、調整前RSSIbが−30dBmより大きい場合(YESの場合)、スループットを測定し、測定により得られたスループットを調整前スループットTbとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS504)。続いて、消費電力を測定し、測定により得られた消費電力を調整前消費電力Pcbとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS505)。続いて、送信パワーを所定値Wc(例えばWc=8.0dBm)だけ下げる(ステップS506)。続いて、スループットの測定を行い、測定により得られたスループットを調整後スループットTaとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS507)。
【0043】
ステップS507に続き、調整前スループットTbが調整後スループットTa以下であるか否かを判断する(ステップS508)。ステップS508において、調整前スループットTbが調整後スループットTa以下である場合、消費電力を測定し、測定により得られた消費電力を調整後消費電力Pcaとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS509)。ステップS508において、調整前スループットTbが調整後スループットTbより大きい場合、送信パワーを所定値Wdだけ上げ(ステップS510)、処理をステップS507に戻す。ここで、所定値Wdは、所定値Wcよりも小さい値である。例えばWc=8.0dBmのときにWd=0.5dBmである。
【0044】
ステップS503において、調整前RSSIbが−30dBm以下(RSSIb≦−30dBm)である場合(NOの場合)、
図12に示す処理フローに進む。
図12に示す処理フローでは、まず、ノイズの測定を行い、測定により得られたノイズを調整前ノイズNbとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS511)。続いて、消費電力を測定し、測定により得られた消費電力を調整前消費電力Pcbとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS512)。
【0045】
ステップS512に続き、送信パワーを所定値Wc(例えばWc=8.0dBm)だけ下げる(ステップS513)。続いて、RSSIの測定を行い、測定により得られたRSSIを調整後RSSIaとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS514)。続いて、ノイズの測定を行い、測定により得られたノイズを調整後ノイズNaとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS515)。続いて、調整前S/N比(調整前RSSIb−調整前ノイズNb)、及び、調整後S/N比(調整後RSSIa−調整後ノイズNa)を算出し、調整前S/N比が調整後S/N比以下であるか否かを判断する(ステップS516)。ステップS516において、調整前S/N比が調整後S/N比以下である場合(YESの場合)、消費電力を測定し、測定により得られた消費電力を調整後消費電力Pcaとして記憶媒体109に記憶させる(ステップS517)。ステップS516において、調整前S/N比が調整後S/N比より大きい場合、送信パワーを所定値Wdだけ上げ(ステップS518)、処理をステップS514に戻す。
【0046】
以上より、本実施の形態では、アンテナ103の向きを調整後のアンテナ角度に維持したまま、S/N比が現状値以上になるように送信パワーを調整する。また、測定結果において、RSSIが−30dBmより大きい(RSSI>−30dBm)ものが含まれていた場合には、アンテナの向きを調整後のアンテナ角度に維持し、スループットが現状値以上になるように送信パワーを調整する。これにより、通信速度を維持したままで、送信パワーを良好に最適化することができる。また、送信パワーを最適化することで、消費電力を不必要に増加させることなく通信速度を向上させることができる。
【0047】
[実施の形態3]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態3について説明する。なお、実施の形態1と共通の部分については共通の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態3にかかる無線子機の概略構成は、
図2に示す無線子機101の概略構成と同じである。また、無線子機101の測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲を明らかにする処理は、実施の形態1において
図3を用いて説明した処理と同じである。
【0048】
実施の形態1では、測定部107における、アンテナ103の最大可動範囲内において、S/N比が実質的に最大になるアンテナ角度を抽出して、アンテナ103の向きが当該アンテナ角度になるように調整する処理において、S/N比が実質的に最大になるアンテナ103の向きの検出処理を二段階で行う。すなわち、まず、第一段階として、比較的粗い回転角度である所定の回転角度(第1回転角度Δθ1)刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行って、S/N比が相対的に高くなるアンテナの向きの見当を付ける。そして、第二段階として、S/N比が相対的に高くなるアンテナの向きの近傍範囲において、第1回転角度Δθ1より小さい微小回転角度(第2回転角度Δθ2)刻みでRSSI、ノイズ及び消費電力の測定を行って、S/N比が最も高いアンテナの向きを検出する。
【0049】
これに対し、本実施の形態では、S/N比が実質的に最大になるアンテナ103の向きの検出処理は一段階で行う。すなわち、所定の回転角度(第1回転角度Δθ1)を、実施の形態1のように比較的粗い角度に設定するのではなく、実施の形態1における微小回転角度(第2回転角度Δθ2)と同じレベルの細かい回転角度に設定する。
【0050】
図13は、測定部107において、アンテナ103の最大可動範囲内でS/N比が実質的に最大になるアンテナ103の向きを検出する処理を一段階で行う場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、まず、アンテナ103を最大可動範囲のマイナス限界まで動かす(ステップS601)。そして、アンテナ角度nをゼロ(n=0)に設定する(ステップS602)。続いて、RSSI、ノイズ及び消費電力を測定する(ステップS603)。測定したRSSI、ノイズ及び消費電力の測定結果をアンテナ角度nと対応させて記憶媒体109に記憶させる(ステップS604)。
【0051】
ステップS604に続き、アンテナ角度nが最大可動範囲のプラス限界に等しいか否かを判断する(ステップS605)。ステップS605において、アンテナ角度nが最大可動範囲のプラス限界に等しくないと判断された場合(NOの場合)、アンテナ103をプラス回転方向に第1回転角度Δθ1だけ回転させる(ステップS606)。そして、アンテナ角度nに第1回転角度Δθ1を加算して(n=n+Δθ1)アンテナ角度nを更新した後(ステップS607)、処理をステップS603に戻す。一方、ステップS605において、アンテナ角度nが最大可動範囲のプラス限界に等しいと判断された場合(YESの場合)、測定結果のうち、S/N比が最も高いアンテナ角を最適アンテナ角度Vとして抽出する(ステップS608)。そして、アンテナ103の向きが最適アンテナ角度Vになるように、アンテナ103の向きを調整する(ステップS609)。
【0052】
このようにすることで、実施の形態1の
図4及び
図6のように処理を行う場合より処理の効率は悪くなるものの、無線親機との通信において、アンテナの向きを最適化し、通信速度を実質的に最大化することができる。
【0053】
図13に示す処理フローにより得られた測定結果において、RSSIが−30dBmより大きい(RSSI>−30dBm)ものが含まれていた場合、
図13のステップS608の処理で、各アンテナ角度に対し、さらにスループットの測定を行い、スループットの測定結果の比較を行うことにより最適アンテナ角度Vを抽出するようにしてもよい。すなわち、実施の形態1における
図8及び
図9の処理を行ってもよい。また、本実施の形態において、実施の形態2で説明した処理を組み合わせてもよい。
【0054】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、各処理を、CPU(Central Processing Unit)に制御プログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0055】
上述の例において、制御プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態において、ユーザが、無線子機におけるアンテナの向きに対するS/N比を閲覧できるように、アンテナの向きに対するS/N比の測定結果をWebGUI上に掲載するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザが、無線親機との通信状態の良否を容易に確認することができる。