【課題を解決するための手段】
【0008】
一般に、本発明は画期的な疾患検出装置の類に関し、微視的レベルで、in vivoまたはin vitroで、単一の細胞、単一の生体分子(たとえば、DNA、RNAまたはタンパク質)、単一の生体被験体(たとえば、単一のウイルス)、または他の十分小さい単体もしくは基本となる生物学的組成で診断を行うために集積した新規のマイクロデバイス(または機能)を利用する。これらの装置は、集積回路製造技術などの技術水準のマイクロデバイス製造技術と新規のプロセスフローとを使用することによって作製することができる。本願明細書に使用するように、「疾患検出装置」という用語は、マイクロデバイスを集積した疾患検出デバイスもしくは疾患検出装置のような用語または同じ意味の他のあらゆる類似語に置き換えることができる。複数のマイクロデバイスを含む本発明の装置は、分析される生体試料の複数のパラメータを検出することができる。これらの疾患検出装置は、初期疾患を検出でき、感度、特異性、速度、利便性(たとえば、装置の大きさを減らす)または手軽さ(たとえば、コストを減らす)が高い。
【0009】
検出装置の1つの主な構成要素は、新規のマイクロデバイスおよび本発明の製造方法の類であり、これらの新規のマイクロデバイスは、検出感度、特異性および速度が大幅に改善されたことにより、従来の疾患検出装置または疾患検出技術よりはるかに高いレベルで動作することが可能となる。本願明細書に記載するマイクロデバイスを作製するために使用できる製造技術の例は、機械技術、化学技術、物理化学技術、化学機械技術、生物物理技術、生物物理機械技術、電子機械技術、生物電子機械技術、マイクロ電子機械技術、電子化学機械技術、電子生化学機械技術、ナノ製造技術、集積回路および半導体の製造技術および製造プロセスを含むが、これらに限定されない。適用可能な製造技術のいくつかの概説に関しては、たとえば、R.Zaoukら「Introduction to Microfabrication Techniques,in Microfluidic Techniques(S.Minteer編)」、2006、Humana Press(非特許文献2)、「Microsystem Engineering of Lab−on−a−chip Devices、第1版(Geschke、KlankおよびTelleman編)」、John Wiley & Sons.、2004(非特許文献3)を参照されたい。マイクロデバイスの機能は、疾患診断のために感知、検出、測定、診断、監視、分析を行うことを少なくとも含む。複数のマイクロデバイスは、同じパラメータまたはさまざまなパラメータセットを測定する能力を備え、測定感度、特異性、速度および機能をさらに高めるために装置が高度かつ精巧となるように、検出装置の一部に集積することができる。
【0010】
本装置の任意の構成要素は、各プローブからの情報のアドレス指定、制御、送信、受信、増幅、格納を行う機能を少なくとも実施するための手段を含む。そのような手段は、たとえば、制御回路、アドレス指定装置、増幅回路、論理処理回路、メモリ装置、アプリケーション固有のチップ、信号送信器、信号受信器またはセンサを含む中央制御装置でありうる。
【0011】
具体的には、本発明の一態様は、疾患を検出するための装置を提供し、それぞれが、第1のマイクロデバイスと第1のマイクロデバイスを支持する第1の基板とを含み、第1のマイクロデバイスは、分析される生体被験体と接触し、生体物質の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。この装置は、特性を測定することからデータを読み込むためのデバイスを任意にさらに含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、検査した生体物質と疾患のない生体被験体からの生体試料との特性の測定差は、初期疾患の発症の可能性を示す。
【0013】
他のいくつかの実施形態では、電気特性は、表面電荷、表面電位、電気信号振幅(たとえば、イオン振幅、振動電場、振動表面電荷、振動電圧)、電場、電場分布、電荷分布またはインピーダンスであり、熱特性は、温度であり、化学特性は、pH価、イオン強度、結合力であり、物理特性は密度であり、機械特性は、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、弾性または密度である。
【0014】
他のいくつかの実施形態では、各装置は、少なくとも1または複数の追加のマイクロデバイスをさらに含む。これらの実施形態では、装置に含まれる各マイクロデバイスは、導電性材料、電気絶縁材料または半導体材料を含み、各マイクロデバイスは、同じまたは異なる材料を含むことができ、同じまたは異なる時間に同じまたは異なる特性を測定することができる。これらの複数のマイクロデバイスは、一定の間隔、たとえば、基板上に少なくとも10オングストロームの距離間隔で配置することができる。疾患検出装置に集積した複数のマイクロデバイスは、巨視的レベルおよび/または微視的レベルで検出される生体被験体からさまざまなパラメータを連続的および/または同時に測定することができる。時として、複数のマイクロデバイスを有する装置では、一部のマイクロデバイスは、生体被験体を撹乱させて生体被験体から反応を誘発するプロービングデバイスとして機能でき、装置内のその他のマイクロデバイスは、生体被験体によって誘発された反応を測定する検出デバイスとして機能することができる。
【0015】
他のいくつかの実施形態では、各マイクロデバイスは、大きさが約1オングストローム(Å)〜約5ミリメートル(たとえば、5Å〜1ミリメートル)である。
【0016】
他のいくつかの実施形態では、本装置は、マイクロデバイスが配置される1または複数の追加の基板を含む。各基板は、同じまたは異なる材料(たとえば、導電体または絶縁体)を含むことができ、同じまたは異なる形状(たとえば、スラブまたは管)であってよく、各基板は、2次元または3次元の物体であってよい。基板は、測定感度、特異性、速度、試料サイズをさらに改善し、コストおよび大きさの減らすために、シリンダ、スラブ、または他のあらゆる所望の形状および構成を取ることができる。
【0017】
マイクロデバイスを集積する検出装置に関しては、1つの新規の検出装置の設計において、測定感度を増大させるために、狭い間隔で分離された2つのスラブに装着され、2つのスラブの間に測定される試料があるマイクロデバイスは、試料中の細胞、DNAおよび所望の項目を同時に測定することによって速度を改善させて疾患を検出するために使用することができる。スラブの表面積は、スラブに最大数のマイクロデバイスを配置させ、測定効率および速度を高めるために最大にすることができる。任意にスラブの表面に集積した複数のマイクロデバイスは密集させることができ、その間隔は、測定される細胞、DNAおよび項目の表面に適合する。
【0018】
別の新規の構成では、マイクロデバイスが集積した検出装置はシリンダの形状で形成され、複数のマイクロデバイスは、シリンダの表面間で検出プローブが集積/装着され、測定される試料(血液など)はシリンダを流れる。
【0019】
さらに別の新規の構成では、マイクロデバイスが集積した検出装置は矩形管の形状で形成され、複数のマイクロデバイスは矩形管の表面間で検出プローブが集積/装着され、測定される試料(血液など)は矩形管を流れる。
【0020】
別の態様では、本発明は、生体被験体の疾患を検出するための別の装置一式を提供し、検出される生体被験体を送達すためのシステムと、生体被験体をプロービングして検出するためのプロービング検出デバイスとを含む。
【0021】
検出された生体物質と標準生体試料との特性の測定差は、疾患発症の可能性を示す。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロービング検出デバイスは、第1のマイクロデバイスと第1のマイクロデバイスを支持する第1の基板とを含み、第1のマイクロデバイスは、検出される生体被験体と接触し、生体被験体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生化学物理特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。たとえば、電気特性は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性またはインピーダンスであってよく、熱特性は、生体項目または生体分子の温度または振動周波数であってよく、光学特性は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度または蛍光発光であってよく、化学特性は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動または結合力であってよく、物理特性は、密度または幾何学的大きさであってよく、音響特性は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収または音響共振であってよく、機械特性は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性または圧縮性であってよい。
【0023】
本装置のいくつかの実施形態では、プロービング検出デバイスは、生体被験体に約1mV〜約10Vまたは約1mV〜約1.0Vの電圧を印加する。
【0024】
本装置のいくつかの実施形態では、第1のマイクロデバイスは導電性材料、電気絶縁材料、生体物質または半導体材料を含む。
【0025】
本装置のいくつかの実施形態では、第1のマイクロデバイスは、大きさが約1オングストローム〜約5ミリメートルである。
【0026】
本装置のいくつかの実施形態では、プロービング検出デバイスは、1または複数の追加のマイクロデバイスをさらに含み、各マイクロデバイスは、生物学的実体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。電気特性は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性またはインピーダンスであってよく、熱特性は、生体項目または生体分子の温度または振動周波数であってよく、光学特性は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度または蛍光発光であってよく、化学特性は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動または結合力であってよく、物理特性は、密度または幾何学的大きさであってよく、音響特性は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収または音響共振であってよく、機械特性は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性または圧縮性であってよい。
【0027】
本装置のいくつかの実施形態では、各追加のマイクロデバイスは導電性材料、電気絶縁材料、生体物質または半導体材料を含む。さらに、各追加のマイクロデバイスは、第1のマイクロデバイスの材料と同じまたは異なる材料を含み、第1のマイクロデバイスのように生体被験体の同じまたは異なる特性を測定することができる。
【0028】
本装置のいくつかの実施形態では、第1のマイクロデバイスおよび各追加のマイクロデバイスは、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性、インピーダンス、温度、振動周波数、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度、蛍光発光、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動、結合力、密度、幾何学的大きさ、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収、音響共振、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性または圧縮性を測定することができる。追加のマイクロデバイスは、同じまたは異なる時間に同じまたは異なる特性を測定することができる。
【0029】
本装置のいくつかの実施形態では、プロービングデバイスおよびマイクロデバイスは、互いに所望の距離を空けて配置される。
【0030】
本装置のいくつかの実施形態では、各追加のマイクロデバイスは、大きさが約1オングストローム〜約5ミリメートルである。
【0031】
本装置のいくつかの実施形態では、マイクロデバイスは少なくとも10オングストローム(たとえば、約5ミクロン〜約100ミクロン)の距離を空けて基板に配置される。
【0032】
本装置のいくつかの実施形態では、基板はスラブ、管または管列の形状にあるか、あるいは、3次元物体である。
【0033】
本装置のいくつかの実施形態では、プロービング検出デバイスは、第1の基板と同じまたは異なる材料の第2の基板をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本装置は、プロービング検出デバイスによる特性の測定からのデータを読み込むためのデバイスをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本装置は、それぞれ、流体を送達するためのシステムをさらに含み、システムは、圧力発生器、圧力調整器、絞り弁、圧力計および分配キットを含む。圧力発生器は、モーターピストンシステムと圧縮ガスを含有するビンとを含むことができ、圧力調整器は、圧力を目標値に下方制御または上方制御でき、圧力計は絞り弁に測定値を返し、絞り弁は圧力を調整して目標値に到達させる。
【0036】
本装置で送達される流体は液体または気体でありうる。液体の例は、血液、尿、唾液、涙液、生理食塩水および汗を含み、気体の例は、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンまたはラドンを含む。
【0037】
本装置のいくつかの実施形態では、プロービング検出デバイスはシステムコントローラをさらに含み、システムコントローラは、プリアンプ、ロックインアンプ、電気計器、熱計器、スイッチマトリクス、システムバス、不揮発性記憶装置、ランダムアクセスメモリ、プロセッサまたはユーザーインターフェイスを含む。インターフェイスは、たとえば、熱センサ、流量計またはピエゾメータでありうるセンサを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、本装置は生体界面と、システムコントローラと、医療廃棄物の再生または処理のための少なくとも1つのシステムとをさらに含んでもよい。医療廃棄物の再生または処理は、同じシステムまたは2つの異なるシステムによって実行される。
【0039】
いくつかの実施形態では、本装置は、検査試料送達システム、検査試料分配システム、分配流路、前処理装置、検出デバイス、全地球側位システム、モーションデバイス、信号送信器、信号受信器、センサ、メモリ記憶装置、論理処理装置、アプリケーション固有のチップ、検査試料の再利用および再生デバイス、超小型電子機械デバイス、多機能デバイスまたは外科機能、洗浄機能もしくは医療機能を実施する微細器具をさらに含む。このような追加の構成要素はそれぞれ、たとえば、国際出願第PCT/US2011/024672号明細書(特許文献3)、米国特許出願第12/416,280号明細書(特許文献4)および国際出願第PCT/US2010/041001号明細書(特許文献5)に記載されるような当該技術分野で知られている方法によって製造してもよく、これら文献すべては、参照によりその全体が本願の一部をなす。
【0040】
本装置のいくつかの実施形態では、生体被験体を送達するためのシステムは少なくとも1つの流路を含み、検出される生体被験体は、流路内を特定の方向に移動し、プロービング検出デバイスは、少なくとも1つのプロービングマイクロデバイスと少なくとも1つの検出マイクロデバイスとを含み、少なくとも1つのプロービングマイクロデバイスは、生体被験体が移動する方向に対して少なくとも1つの検出マイクロデバイスの前に配置され、プロービングマイクロデバイスおよび検出マイクロデバイスは、流路の内壁または外壁に取り付けることができる。
【0041】
本装置のいくつかの実施形態では、流路のさまざまな区域の形状および大きさは同じでも異なってもよく、流路の幅は約1nm〜約1mmであり、流路は、直線状、曲線状または角度があってもよく、流路の内壁は、円形、楕円形または多角形の空間を形成し、流路の内壁は、円形または矩形の空間を形成し、流路は環状カーボンナノチューブである。
【0042】
本装置のいくつかの実施形態では、カーボンナノチューブは、直径が約0.5nm〜約100nmであり、長さが約5.0nm〜約10mmである。
【0043】
本装置のいくつかの実施形態では、流路の内壁は、少なくとも1つの凹溝を有し、プロービングマイクロデバイスまたは検出マイクロデバイスと同じ断面にあってよい。凹溝は、立方体空間または角のある空間を有することができ、深さは約10nm〜約1mmでありうる。
【0044】
本装置のいくつかの実施形態では、分散流体は、生体被験体がプロービングマイクロデバイスを通過する前または後に流路に注入され、流路内での生体被験体の移動または分離を支援する。分散流体は、流路の壁の開口に接続された分散流体流路から流路に注入することができる。
【0045】
本装置は、1つ以上の生体被験体の疾患を検出するためのものであってよく、流路は、生体被験体の同じ特性のさまざまなレベルに基づいて生体被験体を分離または分割するために流路に配置されるデバイスを含む。分離または分割するデバイスは、たとえばスリットであってよく、表面電荷などの特性に基づいて生体被験体を分離または分割することができる。
【0046】
本装置は、検出される生体被験体から無関係の物体を除去するためのろ過デバイスをさらに含むことができる。
【0047】
生体被験体は、DNA、DNAのテロメア、RNA、染色体、細胞、細胞の下部構造、タンパク質またはウイルスでありうる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本装置は、生体被験体を送達するための装置、流路、検出装置、データ記憶装置、データ分析装置、中央制御装置、生体試料再循環装置、廃棄物処理装置、前処理装置、信号処理装置または廃棄物処理装置をさらに含んでもよい。全ての追加の構成要素は、送達システム、プロービング検出プローブを備える単一のデバイスまたは基板に集積することができる。前処理装置は、試料ろ過装置、所望のイオン、生物学成分または生化学成分を送達するための送達装置、補給装置、定加圧装置およびプロービング前試料撹乱装置を含んでもよい。試料ろ過装置は、入口流路、撹乱流路、加速チャンバおよびスリットを含んでもよい。信号処理装置は、増幅器、ロックインアンプ、A/D(アナログからデジタルまたは交流から直流)変換器、マイクロコンピュータ、マニピュレータ、ディスプレイおよびネットワーク接続を含んでもよい。信号処理装置は1つ以上の信号を収集してもよく、信号は、ノイズを除去するか、あるいは、信号対ノイズ比を増大させるために統合することができる。
【0049】
本装置のいくつかの実施形態では、生物学的に適合した流体は、生体被験体を分離するために撹乱流路に注入されるか、あるいは、撹乱流路の入口から注入され入口流路の壁の開口に送達される。生物学的に適合した流体は、生理食塩水、水、酸素を豊富に含む液体または血漿を含む。
【0050】
本装置のいくつかの実施形態では、入口流路と撹乱流路との角度は、約0°〜約180°、約30°〜約150°、約60°〜約120°もしくは約75°〜約105°または約90°であり、各流路の幅は、約1nm〜約1mmであり、流路の少なくとも1つは流路の側壁に取り付けられた1つのプロービングデバイスを含み、プロービングデバイスは、生体被験体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。試料ろ過装置は、入口流路、生物学的に適合したマイクロフィルタ、あるいは、出口流路を含むことができる。
【0051】
本装置のいくつかの実施形態では、生物学的に適合したマイクロフィルタは、物理的大きさ、硬度、弾性、剪断強度、重量、表面特徴、光学特性、音響特性、熱特性、化学特性、機械特性、生物学特性、生化学特性、電気特性、電子化学特性、磁気特性、電磁特性、電子機械特性、電子化学機械特性および電子化学生物学特性から選択される少なくとも1つの特性に基づいて、生体被験体をろ過することができる。
【0052】
本装置のいくつかの実施形態では、補給装置は栄養または呼吸ガスを生体被験体に補給する。栄養は、生物学的に適合した強電解質もしくは弱電解質、アミノ酸、ミネラル、イオン、酸素、酸素を豊富に含む液体、点滴、ブドウ糖またはタンパク質を含むことができ、呼吸ガスは酸素を含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、検査される生体被験体は、血液、尿、唾液、涙液、生理食塩水または汗を含む。
【0054】
さらに別の態様では、本発明は、生体被験体の疾患を検出するための代替装置を提供する。この装置はそれぞれ、所望の速度および方向でプローブ体を放出する放出チャンバ、検出装置、プローブ体、検出要素、検査される生体被験体およびプローブ体を輸送するための流路を含む。
【0055】
これらの装置のいくつかの実施形態では、放出チャンバは、プローブ体を放出するためのピストンと、プローブ体を誘導するための流路とを含む。
【0056】
本発明によって提供されるような生体被験体の疾患を検出するためのさらにまた別の装置一式は、基板を設け、第1の材料および第2の材料を2つの層として前記基板に連続蒸着させて材料のスタックを形成し、第2の材料をパターニングして第1の所望の特徴を形成し、第3の材料を材料のスタックに蒸着させて第2の材料を覆い、任意に第1の材料および第3の材料をパターニングして第2の所望の特徴を形成し、任意に第4の材料を材料のスタックに蒸着することを含み、検出デバイスは、生体被験体に相互作用して反応信号を発生させることができる方法によって製造されるものである。
【0057】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第2の材料は、マイクロエレクトロニクス処理によってパターニングすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第1の材料および第3の材料は同じまたは異なりうる。
【0059】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第1の材料および第3の材料は、第2の材料に選別的なリソグラフィ処理およびエッチング処理によってパターニングされ、第3の材料および第1の材料の層に少なくとも1つの種類のトレンチ特徴を形成する。
【0060】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、この製造方法は、材料のスタック上部をキャッピングして閉じたトレンチを形成することをさらに含んでもよい。閉じたトレンチは、たとえば、生体被験体の特徴および挙動を観察して記録するために使用することができる。キャッピングは、たとえば、材料のスタック上部に第2のデバイスを配置することを含むことができ、第2のデバイスは、キャッピングされている検出デバイスと同一のデバイス、ガラス片もしくは水晶片または撮像デバイス、光センサ、記憶装置、信号送信器、論理処理要素、データ格納、信号送信および信号処理のための回路から成る群から選択される機能デバイスでありうる。
【0061】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第1の特徴または第2の特徴は分割されたチャンバ、流路に接続されたチャンバ、流路、プローブ発生器(プローブ)、検出プローブ、電気接続可能な相互接続線、光伝送線および圧電線から成る群から選択される。たとえば、分割されたチャンバは、初期スクリーニングのために生体被験体を前処理し、追加の検査のために疾患のある生体被験体の濃度を増大させるためのものであってよく、流路に接続されたチャンバは、前処理および検出のためのものであり、流路は生体被験体が流れるためのものであってよく、プローブ発生器(プローブ)は、反応信号を発生させるために生体被験体に送信するプローブ信号および撹乱信号を発生させるためのものであってよく、検出プローブは生体被験体および反応信号の特性を測定するためのものであってよく、電気接続可能な相互接続線は、信号を送信するためのものであってよく、光伝送線は、信号を送信するためのものであってよく、圧電線は、圧電効果を使用して生体被験体をプロービングするためのものであってよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第2の材料は、第1の材料に選別的なリソグラフィ処理およびエッチング処理を使用してパターニングされ、検出プローブなどの所望の構成要素を形成する。
【0063】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第1の材料および第3の材料は、第2の材料に選別的なリソグラフィ処理およびエッチング処理を使用してパターニングされ、第3の材料および第1の材料の層に少なくとも1つの種類のトレンチ特徴を形成し、第2の材料は、トレンチの壁に合理的に配置される。
【0064】
いくつかの実施形態において、本装置を製造するために使用される本方法では、第4の材料の厚さは第3の材料より薄い。
【0065】
いくつかの実施形態では、第2の材料および第4の材料は検出プローブを形成する。
【0066】
いくつかの実施形態では、第2の材料および第4の材料はプローブおよび検出器をそれぞれ形成する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本装置は生体被験体の特性および挙動を観察および記録するための撮像デバイスをさらに含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、本装置は、追加の検査のために疾患のある生体被験体をプレスクリーニングして増大させるためのチャンバを備えた前処理装置と、流体試料を流すための流路と、反応信号を発生させるために検査されている生体被験体をプロービングして擾乱するためのプローブと、生体被験体の特性および反応信号を測定するための検出プローブと、生体被験体の特性および挙動を観察および記録するための撮像デバイス、カメラ、ビューイングステーション、音響検出器、熱検出器、イオン放出検出器または熱記録器とをさらに含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、本装置は、記憶装置、信号送信器、論理処理要素またはデータ格納、信号送信もしくは信号処理のための回路をさらに含んでもよい。これらの追加のデバイスは、マイクロエレクトロニクス処理によって第1の材料が蒸着される基板に製造することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、本装置は、正方形の流路の場合は断面積が約2ミクロン×2ミクロン〜約100ミクロン×100ミクロン、円形の流路の場合は断面の半径が約1〜約20ミクロンの典型的な流路の大きさであってよく、正方形のプローブの場合は断面積が約0.5ミクロン×0.5ミクロン〜約20ミクロン×20ミクロンの典型的なプローブの大きさであってよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、本装置は、正方形の流路の場合は断面積が約6ミクロン×6ミクロン〜約14ミクロン×14ミクロン、円形の流路の場合は断面の半径が約3ミクロン〜約8ミクロンの典型的な流路の大きさであってよく、正方形のプローブの場合は断面積が約0.5ミクロン×0.5ミクロン〜約10ミクロン×10ミクロンの典型的なプローブの大きさであってよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1の材料および第4の材料はそれぞれ、非ドープ酸化物(SiO
2)、窒化シリコン、ドープ酸化物、ポリマー材料、ガラスまたは電気絶縁材料を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、第2の材料および第3の材料はそれぞれ、導電性材料、アルミニウム、アルミ合金、銅、銅合金、タングステン、タングステン合金、金、金合金、銀、銀合金または圧電材料を含む。圧電材料の例は、石英、ベルリナイト、ガリウム、オルトリン酸塩、GaPO
4、トルマリン、セラミック、バリウム、チタン酸塩、BatiO
3、チタン酸ジルコン酸鉛PZT、酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよびポリフッ化ビニリデンを含むが、これらに限定されない。
【0074】
さらに他のいくつか実施形態では、第2の材料および第4の材料はそれぞれ導電性材料または圧電材料を含む。導電性材料の例は、アルミニウム、アルミ合金、銅、銅合金、タングステン、タングステン合金、金、金合金、銀、銀合金を含むが、これに限定されず、圧電材料の例は、石英、ベルリナイト、ガリウム、オルトリン酸塩、GaPO
4、トルマリン、セラミック、バリウム、チタン酸塩、BatiO
3、チタン酸ジルコン酸鉛PZT、酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよびポリフッ化ビニリデンを含むが、これらに限定されない。
【0075】
本装置のいくつかの実施形態では、検出デバイスは、少なくとも1つのプローブ、少なくとも1つの検出器または少なくとも1組のプローブと検出器を含み、プローブは、反応信号を発生させる生体被験体にプロービング信号または撹乱信号を与え、検出器は、このように発生した反応信号を測定する。
【0076】
本装置のいくつかの実施形態では、第2の材料は、第1の所望の特徴を形成するためにマイクロエレクトロニクス処理によってパターニングされ、第1の材料および第3の材料は、第2の所望の特徴を形成するためにマイクロエレクトロニクス処理によって任意にパターニングされ、第1の材料および第3の材料は、同じまたは異なりうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本装置を製造するための方法は、材料のスタック上部をキャッピングして閉じたトレンチを形成することをさらに含み、そのようなトレンチは、検査試料の輸送または検出位置に使用される。
【0078】
本願の主な新規の態様の1つは、マイクロデバイスの設計および製造プロセスフローと、生体被験体(たとえば、DNAまたはRNAなどの単一の細胞または生体分子)の特性を接触測定するためのマイクロデバイスを微視的レベルかつ3次元空間で使用する方法である。マイクロデバイスは、3次元の状態で配置されたマイクロプローブを有し、その特徴の大きさは細胞、DNAおよびRNAと同じであり、生体被験体を捕捉、選別、プロービング、測定または修飾することができる。
【0079】
本発明の別の態様は、マイクロデバイスを製造するための方法に関する。この方法は、基板にさまざまな材料を蒸着し、2つの材料を付着する毎にマイクロエレクトロニクス技術および関連処理によって材料をパターニングすることを含み、マイクロデバイスは、マイクロデバイスが接触することになる生体被験体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、物理特性、物理化学特性、生化学特性、生物物理特性、機械特性、生化学機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学機械特性、電子化学機械特性、超小型電子機械特性を微視的レベルで測定することができる。
【0080】
本発明のさらに別の態様は、マイクロデバイスを製造するための方法に関し、基板に第1の材料を蒸着し、マイクロエレクトロニクス処理によって第1の材料をパターニングして少なくとも1つのパターニングされた残留物を得て、基板表面の一部を第1の材料で覆わないようにし、処理した第1の材料および基板の上に第2の非導電性材料を蒸着し、第2の材料に開口を作製して第1の材料のパターニングされた残留物の一部を露出させ、第2の材料の開口に第3の材料を充填することを含む。いくつかの実施形態では、マイクロエレクトロニクス処理は、薄膜蒸着、フォトリソグラフィ、エッチング、洗浄または化学機械研磨を含む。
【0081】
さらにまた別の態様では、本発明はマイクロデバイスを製造するための方法を提供し、基板に第1の材料を蒸着させる第1のステップと、第1の材料に第2の材料を蒸着し、次に、マイクロエレクトロニクス技術またはマイクロエレクトロニクス処理によって第2の材料をパターニングする第2のステップと、第1の材料または第2の材料と同じまたは異なりうる材料で第2のステップを少なくとも1回繰り返すことを含む。繰り返されたステップで使用される材料は、第1の材料または第2の材料と同じまたは異なりうる。いくつかの実施形態では、マイクロデバイスを製造する際に使用される材料の少なくとも1つは、圧電材料または導電性材料である。
【0082】
いくつかの実施形態では、複数の製造されたマイクロデバイスは、物理的方法または電気的方法によって連結、接合および接続して、さらに高度なデバイスを構成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、単一のデバイスに集積(たとえば、半導体処理技術を使用することによって)するか、あるいは、基板にアセンブリする(たとえば、コンピュータパッケージング技術を使用することによって)ことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、マイクロエレクトロニクス処理(たとえば、絶縁体または導体として基板のさまざまな材料を蒸着する化学蒸着、物理蒸着もしくは原子層蒸着、設計から構造にパターンを転写するリソグラフィもしくはエッチング、結晶欠陥、拡散性を減らす化学機械プラナリゼーション、粒子除去のための化学洗浄、熱スパイクアニールまたは特定の層へのドーピング元素のイオン注入)によって材料のパターニングをする。いくつかの実施形態では、パターニングは、化学研磨、機械研磨または化学機械研磨によるプラナリゼーションである。
【0085】
他のいくつかの実施形態では、本方法は、ウェットエッチング、プラズマエッチングまたは気相エッチングによる複数の層の材料のスタックの除去をさらに含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスはあらゆる方向に移動することができる。たとえば、2つのマイクロデバイスは、反対の方向に移動することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、こうして製造されたマイクロデバイスは、確実にパターニングされるため、生体被験体を補足、選別、プロービング、測定または修飾でき、あるいは、細胞膜によって修復することができる。
【0088】
本発明のさらに別の態様は、生体被験体の疾患を検出するためのデバイスまたは装置を製造するための方法に関し、基板を設け、第1の材料および第2の材料を2つの異なる層として基板に連続蒸着させて材料のスタックを形成し、マイクロエレクトロニクス処理によって第2の材料をパターニングして第1の所望の特徴を形成し、第3の材料を材料のスタックに蒸着し、任意にマイクロエレクトロニクス処理によって第1の材料および第3の材料をパターニングして第2の所望の特徴を形成し、任意に第4の材料を材料のスタックに蒸着することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の材料および第2の材料を層として基板に連続蒸着する前に、基板に追加の構成要素を製造(蒸着、パターニング、ポリシング、洗浄を含むこれらに限定されない処理を利用する)するステップをさらに含み、追加の構成要素は、データ格納要素、信号処理要素、記憶装置要素、信号送信要素、論理処理要素またはRF(高周波)要素を含む。
【0090】
他のいくつかの実施形態では、本方法は、第1の材料および第2の材料を層として基板に連続蒸着する前に、基板に少なくとも回路を製造するステップをさらに含み、回路は、データ格納回路、信号処理回路、記憶装置回路、信号送信回路または論理処理回路を含む。
【0091】
さらに他のいくつかの実施形態では、本発明の方法は、第3の材料を材料のスタックに蒸着するステップの後、かつ、第1の材料および第3の材料をパターニングするステップの前に化学機械研磨処理またはエッチバック処理を使用して第3の材料をプラナリゼーションするステップをさらに含む。
【0092】
好適なマイクロエレクトロニクス処理の例は、マイクロエレクトロニクスに通常使用されるような薄膜蒸着、リソグラフィ、エッチング、ポリシング、洗浄、イオン注入、拡散およびパッケージングを含むが、これらに限定されない。
【0093】
第1の材料および第3の材料は、同じまたは異なりうる。これらの材料は、たとえば、酸化物、ドープ酸化物、窒化シリコンまたはポリマーなどの電気絶縁材料でありうる。
【0094】
第2の材料は、導電性材料、圧電材料、半導体材料、熱感知材料、光学材料、圧力感知材料、イオン放出感知材料またはそのあらゆる組み合せでありうる。たとえば、第2の材料は、銅、アルミニウム、タングステン、金、銀、ガラス、アルミ合金、銅合金、タングステン合金、金合金、銀合金、石英、ベルリナイト、ガリウム、オルトリン酸塩、GaPO
4、トルマリン、セラミック、バリウム、チタン酸塩、BatiO
3、チタン酸ジルコン酸鉛PZT、酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよびポリフッ化ビニリデンでありうる。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の所望の特徴はプローブであってよく、第2の所望の特徴は、第1の材料および第3の材料の層の陥凹形態またはトレンチ形態であってよい。
【0096】
さらに他のいくつかの実施形態では、本発明の方法は、第4の材料を材料のスタックに蒸着し、次に、第4の材料をパターニングして選択した位置にホールなどの陥凹部を形成することをさらに含む。
【0097】
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、ウェットエッチングまたは気相エッチングによって材料のスタックから第3の材料を除去して第4の材料と基板との間で検出チャンバを形成するステップをさらに含む。さらに、本発明の方法は、ウェットエッチングまたは気相エッチングによって材料のスタックから第1の材料を除去して流路を形成するステップをさらに含んでもよい。流路は形成した検出チャンバを追加のチャンバに接続することができる。
【0098】
さらにまた別の実施形態では、本発明の方法は材料のスタックの上部をシールまたはキャピングして閉じたトレンチを形成するステップをさらに含む。このステップの一例では、材料のスタック上部は、材料のスタック上の追加のデバイスでシールまたはキャッピングされる。このような追加のデバイスの例は、撮像デバイスおよび検出プローブを含むが、これらに限定されない。材料のスタック上部の上記のデバイスは、光デバイス、撮像デバイス、カメラ、ビューイングステーション、音響検出器、熱検出器、イオン放出検出器および熱記録器から成る。
【0099】
さらに別の態様では、本発明は生体被験体の疾患を検出するデバイスを製造するための方法を提供し、基板を設け、第1の材料および第2の材料を層として基板に連続蒸着して材料のスタックを形成し、リソグラフィおよびエッチング処理によって第2の材料をパターニングして第2の材料の層に陥凹部を形成し、第3の材料を材料のスタックに蒸着し、エッチバック処理またはポリシング処理によって第2の材料上方の第3の材料の一部を除去し、リソグラフィおよびエッチングによって第3の材料をパターニングして第3の材料の層に陥凹部の少なくとも一部を形成し、第4の材料を材料のスタックに蒸着し、エッチバックまたはポリシング処理によって第3の材料上方の第4の材料の一部を除去して同じ層の第2の材料および第4の材料の少なくとも一部を維持することを含む。
【0100】
本発明の方法に使用される第1の材料および第3の材料は同じまたは異なりうる。いくつかの実施形態ではこれらの材料は同じである。これらの材料は、たとえば電気絶縁材料でありうる。第1の材料および第3の材料の例は、酸化物、ドープ酸化物、窒化シリコンまたはポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、第3の材料または第4の材料の蒸着および処理の後に、少なくとももう1つの材料を蒸着して処理し、下部に形成される検出チャンバまたは流路を備える最上層を形成する。
【0102】
第2の材料の例は、導電性材料、圧電材料、半導体材料、熱感知材料、圧力感知材料、イオン放出感知材料、光学材料またはそのあらゆる組み合せを含むが、これらに限定されない。
【0103】
いくつかの実施形態では、検査試料の輸送のための検出チャンバおよび/または流路を含む新規の検出装置は、第1の材料を蒸着するステップと、第1の材料(「材料A」)をパターニングして少なくとも陥凹部を形成するステップと、第2の材料(「材料B」)を蒸着するステップと、ポリシング処理および/またはエッチバック処理を使用することによって、第1の材料(「材料A」)上方の領域から第2の材料(「材料B」)を除去するステップと、第1の材料の層の陥凹部に第2の材料(「材料B」)を残すステップと、第3の材料(「材料C」)を蒸着して第1の材料(「材料A」)および第2の材料(「材料B」)を覆うステップと、第3の材料(「材料C」)をパターニングして第3の材料の層に、さらにはその上方に、陥凹部より小さい少なくとも1つのホールを形成するステップと、気相エッチングまたはウェットエッチングを使用することによって、第2の材料(「材料B」)を任意に除去するステップと、第1の材料の層に閉じたキャビティを形成するステップとを含む方法によって形成される。
【0104】
さらに他のいくつかの実施形態では、新規の検出装置は、少なくとも1つのマイクロインジェクタおよび少なくとも1つの検出器と集積され、マイクロインジェクタは検査される生体被験体に所望の物体を注入して生体被験体による反応を発生させることができ、検出器は生体被験体によってこのように発生した反応を検出する。
【0105】
本発明は、信号に対する生体被験体の動的反応を検出するための方法をさらに提供する。この方法は、2つのマイクロデバイスを含む装置を提供することを含み、そのうち一方は、プロービングマイクロデバイスであり、もう一方は、検出マイクロデバイスであり、プロービングマイクロデバイスから距離を空けて配置され、プロービングマイクロデバイスに生体被験体を接触させ、これにより、プロービングマイクロデバイスは、生体被験体の特性を微視的レベルで測定するか、あるいは、刺激信号を生体被験体に送信し、検出マイクロデバイスは生体被験体の特性を微視的レベルで測定することによって生体被験体の反応を測定する。任意に検出マイクロデバイスは測定時に生体被験体に接触する。
【0106】
いくつかの実施形態では、信号は、電気信号、磁気信号、電磁気信号、熱信号、光学信号、音響信号、生物学信号、化学信号、電子機械信号、電子化学信号、電子化学機械信号、生化学信号、生物機械信号、生物電子機械信号、生物電子化学信号、生物電子化学機械信号、物理信号または機械信号である。
【0107】
他のいくつかの実施形態では、微視的レベルの特性は、電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物化学物理特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性である。
【0108】
電気特性の例は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲および/または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメア(付着末端またはDNA末端とも呼ばれる)での電気特性、またはインピーダンスを含むが、これらに限定されない。熱特性の例は、生体項目および生体分子の温度および振動周波数を含む。光学特性の例は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度および蛍光発光を含む。化学特性の例は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動および結合力を含む。物理特性の例は、密度および幾何学的大きさを含む。音響特性の例は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収および音響共振を含む。機械特性の例は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性および圧縮性を含む。1または複数の特性の微視的レベルでの測定からのデータは、初期の段階で疾患、たとえば癌を検出するために、あるいは、生体被験体の保因者の余命を予測するために使用することができる。
【0109】
他のいくつかの実施形態では、本装置は、プロービングマイクロデバイスおよび検出マイクロデバイスとは異なる第3のマイクロデバイスをさらに含み、第3のマイクロデバイスは、プロービングマイクロデバイスおよび検出マイクロデバイスと同じように生体被験体の同じまたは異なる特性を測定する
【0110】
さらに他のいくつかの実施形態では、本装置は、プロービングマイクロデバイスおよび検出マイクロデバイスとは異なるクロックマイクロデバイスをさらに含み、その種類のクロックマイクロデバイスは、プロービングマイクロデバイスおよび検出マイクロデバイスの前に固定距離の間隔で配置され、生体被験体が特有の信号を渡すと、クロックデバイスとして機能する。
【0111】
さらにまたいくつかの実施形態では、検出マイクロデバイスによって記録されたデータは、位相ロックイン技術によってフィルタリングされ、クロック信号に非同期のノイズを除去して、信号対ノイズ比を増大し、測定感度を改善する。
【0112】
本発明の別の態様は、生体被験体の疾患を検出するための方法に関し、流路、検出プローブ、撮像デバイス、記憶装置要素、信号送信要素または論理処理要素を含む装置を提供し、濃度を増大する生体被験体の前処理を実施し、生体被験体の特性を測定し、任意に流路中に及ぶ検出プローブに生体被験体を接触させて反応信号を発生させ、検出プローブを使用して生体被験体からの反応信号を検出し、任意に反応信号に基づいて健康な生体被験体から疾患のある生体被験体を分離し、任意に他の検査のために分離され、疾患の疑いがある生体被験体を送達し、反応信号を分析し、診断結果を得ることを含む。生体被験体は、DNA、細胞の下部構造、細胞またはタンパク質でありうる。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、少なくとも2つの生体被験体の間、あるいは、少なくとも1つの生体被験体と少なくとも1つの非生体被験体との間に発生した相互作用または事象の反応信号および挙動の検出をさらに含む。少なくとも2つの生体被験体は、組成の種類が異なるまたは同じでありうる。少なくとも2つの生体被験体の間に発生した相互作用または事象の例は、DNAが別のDNAに衝突、細胞が別の細胞に衝突、DNAが細胞に衝突、タンパク質が別のタンパク質に衝突、DNAがタンパク質に衝突することを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの生体被験体と少なくとも1つの非生体被験体との間に発生した相互作用または事象の例は、無機粒子が生体被験体と衝突、有機粒子が生体被験体と衝突または複合粒子が生体被験体と衝突することを含むが、これらに限定されない。
【0114】
反応信号の例は、電気信号、磁気信号、電磁気信号、熱信号、光学信号、音響信号、生物学信号、化学信号、電子機械信号、電子化学信号、電子化学機械信号、生化学信号、生物化学物理信号、生物機械信号、生物電子機械信号、生物電子化学信号、生物電子化学機械信号、物理信号または機械信号を含むが、これらに限定されない。
【0115】
本発明の別の態様は、生体被験体の疾患を検出するための方法に関する。この方法は、前処理装置、少なくとも1つの検出デバイス、これらに接続する流路を備える分割されたチャンバおよび注入デバイス(たとえば、検査される生体被験体にプローブの材料を注入する)を含む装置を提供し、生体被験体からの反応信号を測定することを含み、プローブの材料は、有機粒子、無機粒子、生体被験体または複合物体を含む。
【0116】
本発明のさらに別の態様は、生体被験体の疾患をプローブ体と相互作用させることによって検出するための方法に関し、放出チャンバ、検出装置および流路を含む装置を提供し、生体被験体にプローブ体を放出し、プローブ体と生体被験体との間で衝突を引き起こして反応信号を発生させ、衝突時および後に反応信号を記録して検出することを含む。プローブ体は、有機粒子、無機粒子、生体被験体または複合物体を含んでもよい。
【0117】
本発明のさらに別の態様は、生体被験体において初期疾患を検出するための方法に関する。この方法は、疾患を保有する生体被験体の組織または器官の第1の試料(細胞または生体分子を含む)を収集し、疾患のない第2の被験体から同じ組織または器官の第2の試料を収集し、本発明の疾患検出装置に第1の試料および第2の試料を別々に接触させ、第1の試料および第2の試料の測定からのデータを比較するステップを含む。上に示すように、本発明の疾患検出装置は、マイクロデバイスとマイクロデバイスを支援する基板とを含み、マイクロデバイスは、生体試料の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。
【0118】
本発明のさらに他の態様は細胞通信の方法に関する。マイクロデバイスは、細胞内の生物通信をシミュレートする人工微視的なカルシウム(または他の元素)発振を発生させることができる。この人工信号をコードして、細胞タンパク質、核と相互作用し、結果的に細胞決定および細胞運命を調節することができる。
【0119】
本発明のさらにまた他の態様は、信号に対する細胞反応または分子反応を決定するための方法に関する。この方法は、細胞または生体分子を本発明の疾患検出装置に接触させるステップを含み、疾患検出装置は、第1のマイクロデバイスと、第2のマイクロデバイスと、第1のマイクロデバイスおよび第2のマイクロデバイスを支持する第1の基板とを含む。本装置の第1のマイクロデバイスは、細胞の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定でき、第2のマイクロデバイスは、細胞または生体分子に接触して信号によってこれらを刺激する。
【0120】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、第3のマイクロデバイスをさらに含み、第3のマイクロデバイスは、第1のマイクロデバイスのように、細胞または生体分子の同じ電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。
【0121】
他のいくつかの実施形態では、細胞は、第1のマイクロデバイス、第2のマイクロデバイスおよび第3のマイクロデバイスの順に接触する。
【0122】
さらにいくつかの実施形態では、信号は、電気信号、磁気信号、電磁気信号、熱信号、光学信号、音響信号、生物学信号、化学信号、電子機械信号、電子化学信号、電子化学機械信号、生化学信号、生物機械信号、生物電子機械信号、生物電子化学信号、生物電子化学機械信号、物理信号または機械信号である。
【0123】
本発明の装置のいくつかの実施形態では、生体被験体を送達するためのシステムは少なくとも1つの流路を含み、検出される生体被験体は、流路内を特定の方向に移動し、プロービング検出デバイスは、少なくとも1つのプロービングマイクロデバイスと少なくとも1つの検出マイクロデバイスとを含み、少なくとも1つのプロービングマイクロデバイスは、生体被験体が移動する方向に対して少なくとも1つの検出マイクロデバイスの前に配置され、プロービングマイクロデバイスおよび検出マイクロデバイスは、流路の内壁または外壁に取り付けることができる。他のいくつかの実施形態では、さまざまな形状を有する複数の流路が利用される。
【0124】
これらの実施形態のいくつかの例では、プロービング検出デバイスは、生体被験体の同じまたは異なる特性をミクロレベルで測定できる少なくとも2つの検出マイクロデバイスを含む。電気特性の例は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲および/または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性またはインピーダンスを含み、熱特性の例は、生体項目および生体分子の温度または振動周波数を含み、光学特性の例は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度および蛍光発光を含み、化学特性の例は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動および結合力を含み、物理特性の例は、密度および幾何学的大きさを含み、音響特性の例は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収および音響共振を含み、機械特性の例は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性および圧縮性を含むが、これらに限定されない。たとえば、検出マイクロデバイスは、生体被験体の表面電荷、電位、輝度、蛍光発光、幾何学的大きさ、形状、周波数、内圧または温度を微視的レベルで測定することができる。
【0125】
他のいくつかの実施形態では、流路のさまざまな断面の形状および大きさは、同じまたは異なってもよく、流路の幅は、約1nm〜1mm(たとえば、1〜750nm、1〜600nm、100〜800nm、200〜750nmまたは400〜650nm)であってよく、流路は、直線状、曲線状または角度があってもよく、流路の内壁は、円形、楕円系または多角形(たとえば矩形)の空間を形成する。
【0126】
好適な流路の例は環状カーボンナノチューブであり、直径は、たとえば約0.5〜100nmであり、長さは、たとえば約5.0nm〜10mmでありうる。
【0127】
いくつかの実施形態では、流路の内壁は、少なくとも1つの凹溝を有し、プロービングマイクロデバイスまたは検出マイクロデバイスと同じ断面にあってよい。凹溝は、たとえば、立方体の空間または角のある空間でありうる。凹溝は、深さがたとえば約10nm〜1mmでありうる。
【0128】
他のいくつかの実施形態では、分散流体は、生体被験体がプロービングマイクロデバイスを通過する前または後に流路に注入され、流路内での生体被験体の移動または分離を支援することができる。好適な分散流体は、生物学的に適合した液体または溶液、たとえば、水または生理食塩水である。分散流体は、流路の壁の開口に接続された分散流体流路から流路に注入することができる。そのような分散流体を利用することによって、特に、流路(生体被験体が移動する)の表面の調製、流路の洗浄、本装置の消毒および本装置の測定感度の増大が可能となる。
【0129】
さらに他のいくつかの実施形態では、本発明の装置は、1つ以上の生体被験体の疾患を検出するためのものであってよく、流路は、生体被験体の同じ特性のさまざまなレベルに基づいて生体被験体を分離または分割するために流路に配置されるデバイスを含む。このような分離または分割するデバイスの例は、たとえば、その表面電荷、密度、大きさ、あるいは、電気特性、熱特性、光学特性、化学特性、物理特性、磁気特性、電磁特性および機械特性などの他の特性に基づいて生体被験体を分離または分割することができるスリットである。電気特性の例は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲および/または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性またはインピーダンスを含み、熱特性の例は、生体項目および生体分子の温度または振動周波数を含み、光学特性の例は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度および蛍光発光を含み、化学特性の例は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動および結合力を含み、物理特性の例は、密度および幾何学的大きさを含み、音響特性の例は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収および音響共振を含み、機械特性の例は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性および圧縮性を含むが、これらに限定されない。
【0130】
さらにまた他の実施形態では、本発明の装置は、検出される生体被験体から無関係の物体を除去するためのろ過デバイスをさらに含むことができる。
【0131】
別の態様では、本発明は、生体物質の動的情報を得るための方法を提供し、それぞれが、第1のマイクロデバイスと、第2のマイクロデバイスと、第1のマイクロデバイスおよび第2のマイクロデバイスを支持する第1の基板とを含む装置に生体被験体(たとえば、細胞、細胞膜、DNA、RNA、タンパク質またはウイルスなどの細胞の下部構造を含むが、これらに限定されない)を接触させることを含み、第1のマイクロデバイスは、生体被験体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定でき、第2のマイクロデバイスは、生体被験体に接触して信号によって生体被験体を刺激する。
【0132】
さらに別の実施形態では、検出装置のマイクロデバイスは、細胞、DNA、RNA、ウイルスまたはタンパク質などの生体被験体と通信することができる。さらに、マイクロデバイスは、細胞、DNA、RNA、血液細胞、タンパク質またはウイルスなどの生体被験体を捕捉、選別、分析、処理および修飾することができる。具体的には、所望の方法で配置されたマイクロデバイスアレイは、DNA構造を捕捉、選別、検出および修飾することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、本方法は、第3のマイクロデバイスをさらに含み、第3のマイクロデバイスは、第1のマイクロデバイスのように、細胞の同じ電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、生化学特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。他のいくつかの実施形態では、細胞は、第1のマイクロデバイス、第2のマイクロデバイスおよび第3のマイクロデバイスの順に接触する。さらに他のいくつかの実施形態では、信号は、電気信号、磁気信号、電磁信号、熱信号、光信号、音響信号、生体信号、化学信号、物理信号または機械電気信号である。
【0134】
別の態様では、本発明は、生体被験体の動的情報を検出するための代替方法を提供する。この方法はそれぞれ、クロックマイクロデバイス、プロービングマイクロデバイスおよび第1の検出マイクロデバイスを含む装置を提供し、プロービングマイクロデバイスは、クロックマイクロデバイスと検出マイクロデバイスとの間で配置され、生体被験体をクロックマイクロデバイスと接触させ、これにより、クロックマイクロデバイスは生体被験体の到着を登録し、任意に生体被験体の特性を微視的レベルで測定し、周期的なプローブ信号を生体被験体に配信したプロービングマイクロデバイスに生体被験体を接触させ、検出マイクロデバイスを使用して生体被験体からの反応信号を検出し、位相ロックイン技術を使用して検出マイクロデバイスによって検出された信号を処理してプローブ信号の周波数と非同期の信号成分をフィルタフィングし、プローブ信号と同期する信号を増幅することを含む。
【0135】
本方法のいくつかの実施形態では、クロックマイクロデバイスと第1の検出マイクロデバイスとの間には、少なくとも10オングストロームの距離がある。
【0136】
他のいくつかの実施形態では、反応信号は、電気信号、磁気信号、電磁気信号、熱信号、光学信号、音響信号、生物学信号、化学信号、電子機械信号、電子化学信号、電子化学機械信号、生化学信号、生物機械信号、生物電子機械信号、生物電子化学信号、生物電子化学機械信号、物理信号または機械信号である。
【0137】
他のいくつかの実施形態では、第1のプロービングマイクロデバイスは、第1の検出マイクロデバイスのように、任意に生体被験体の同じ特性を微視的レベルで測定する。
【0138】
さらに他のいくつかの実施形態では、本方法に使用される装置は、第1のプロービングマイクロデバイスによって送信された信号と異なる刺激信号を生体被験体に送信できる第2のプロービングマイクロデバイスをさらに含む。
【0139】
さらに他のいくつかの実施形態では、本方法に使用される装置は、第1の検出マイクロデバイスのように、生体被験体の同じ特性を微視的レベルで測定できる第2の検出マイクロデバイスをさらに含む。
【0140】
さらにまた他の実施形態では、電気特性は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性またはインピーダンスであり、熱特性は、生体項目または生体分子の温度または振動周波数であり、光学特性は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度または蛍光発光であり、化学特性は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動または結合力であり、物理特性は、密度または幾何学的大きさであり、音響特性は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収または音響共振であり、機械特性は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性または圧縮性である。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1の検出マイクロデバイスによって記録されたデータは、位相ロックイン技術によってフィルタリングされ、第1のプロービングマイクロデバイスまたはクロックマイクロデバイスによって記録されたデータに非同期のノイズを除去する。フィルタリングされたデータは、より高い信号対ノイズデータ比を有してもよい。
【0142】
本発明の別の革新的な態様は、マイクロ電圧比較器と、四点プローブと、正常細胞と癌細胞との区別のために細胞表面または静止電位および表面電荷を含むバルク電気特性を測定する他の回路設計とを使用するなど、細胞構造レベルで実時間データおよび情報を得るためのマイクロデバイスの使用である。細胞表面の電荷差は、細胞の健康状態または非健康状態、これにより、適切な治療を決めるうえで重要な要因でありうる。
【0143】
たとえば、飛行時間手法を行って生体被験体(たとえば、細胞、細胞の下部構造、DNA分子もしくはRNA分子またはウイルス)に関する動的情報を得る際に、第1のマイクロデバイスは、信号を送信して診断される生体被験体を撹乱するために最初に使用され、次いで、第2のマイクロデバイスは、生体被験体から反応を正確に測定するために使用される。一構成では、第1のマイクロデバイスおよび第2のデバイスは所望の距離Lを空けて配置され、測定される生体被験体が第1のマイクロデバイスから第2のマイクロデバイスに向かって流れる。生体被験体の試料が第1のマイクロデバイスを通過すると、マイクロデバイスは通過する生体試料に信号を送信し、次いで、第2のマイクロデバイスは生物学的実体での撹乱信号の反応または維持を検出する。2つのマイクロデバイスの距離と、時間間隔と、第1のマイクロデバイスによる撹乱の種類と、飛行時間の間の生体被験体の測定変化とから、生体被験体の微視的特性および動的特性は測定され、データを得ることができる。別の構成では、第1のマイクロデバイスは、信号(電荷など)を最初に印加することによって生体被験体をプロービングし、次いで、第2のマイクロデバイスによる生体被験体からの反応を経時的に検出するために使用される。
【0144】
本願の別の新規の領域は、生体被験体のさまざまな物理特性(機械特性など)を測定するためのマイクロインデンテーションプローブとマイクロプローブの発明である。そのような物理特性の例は、硬度、剪断強度、伸張強度および破壊応力、さらには細胞膜が疾患診断で重要な構成要素になりうる場合には細胞膜に関連する特性を含むが、これらに限定されない。
【0145】
本発明のさらにまた別の態様は、疾患検出装置のさまざまな構成要素の設計、製造および集積である。これらの構成要素は、たとえば、試料格納送達装置と、試料送達路アレイと、複数の検出プローブならびに論理処理装置、記憶装置、センサ、信号送信器、信号受信器およびアプリケーション固有のチップを含む中央制御装置を含む中央疾患検出装置と、使用済み試料を処理、再生、再利用処理または処分できる廃棄試料処理装置とを含む。
【0146】
本出願の別の主な新規の態様は、微弱信号による複雑な環境とノイズが比較的高いバックグラウンドとの下で、疾患検出のための生物システムの微弱信号で感度がきわめて高く、高度な測定ができるマイクロデバイスの設計、集積、製造プロセスフローである。疾患検出のための本発明で開示するマイクロデバイスの類を使用するこれらの新規の能力は、たとえば、動的測定と、実時間測定(飛行時間測定とプローブ信号の使用と反応信号の検出との組み合わせなど)と、バックグラウンドノイズを減らす位相ロックイン技術と、微弱信号を測定する4点プローブ技術と、単一の細胞、生体被験体(たとえばウイルス)または分子(たとえば、DNAまたはRNA)レベルで生体試料のさまざまな電子特性、電磁特性および磁気特性を測定する独特かつ新規のプローブとを実施することを含む。
【0147】
最終的に、本発明のさらに別の態様は、生体被験体の疾患を検出するための装置に関する。この装置は、基板を設け、第1の材料および第2の材料を2つの層として基板に連続蒸着させて材料のスタックを形成し、マイクロエレクトロニクス処理によって第2の材料をパターニングして第1の所望の特徴を形成し、第3の材料を材料のスタックに蒸着させて第2の材料を覆い、任意にマイクロエレクトロニクス処理によって第1の材料および第3の材料をパターニングして第2の所望の特徴を形成し、任意に第4の材料を材料のスタックに蒸着することを含む方法によって製造される検出デバイスを含む。第1の材料および第3の材料は同じまたは異なりうる。検出デバイスは、検出される生体被験体をプロービングし、反応信号を発生させることができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、この製造方法は、材料のスタック上部をキャッピングして閉じたトレンチを形成することをさらに含む。
【0149】
他のいくつかの実施形態では、キャッピングは、撮像デバイスで材料のスタックの上部をシールまたはキャッピングすることを含む。
【0150】
さらに他のいくつかの実施形態では、本装置は、追加の検査のために疾患のある生体被験体をプレスクリーニングして増大させるための前処理装置(チャンバ)、流体試料を流すための流路、反応信号を発生させるために検査されている生体被験体をプロービングして擾乱するためのプローブ、生体被験体の特性および反応信号を測定するための検出プローブ、あるいは、生体被験体の特性および挙動を観察および記録するための撮像デバイスをさらに含む。
【0151】
さらに他のいくつかの実施形態では、検出デバイスは、正方形の流路の場合は断面積が約2ミクロン×2ミクロン〜約100ミクロン×100ミクロン、円形の流路の場合は断面の半径が約1ミクロン〜約20ミクロンの典型的な流路の大きさであってよく、正方形のプローブの場合は断面積が約0.5ミクロン×0.5ミクロン〜約20ミクロン×20ミクロンの典型的なプローブの大きさである。あるいは、検出デバイスは、正方形の流路の場合は断面積が約6ミクロン×6ミクロン〜約14ミクロン×14ミクロン、円形の流路の場合は断面の半径が約3ミクロン〜約8ミクロンの典型的な流路の大きさであってよく、正方形のプローブの場合は断面積が約0.5ミクロン×0.5ミクロン〜約10ミクロン×10ミクロンの典型的なプローブの大きさである。
【0152】
さらにまたいくつかの実施形態では、第1の材料および第4の材料はそれぞれ、非ドープ酸化物(SiO
2)、ドープ酸化物、窒化シリコン、ポリマー材料、ガラスまたは電気絶縁材料を含み、第2の材料および第3の材料はそれぞれ、導電性材料、アルミニウム、アルミ合金、銅、銅合金、タングステン、タングステン合金、金、金合金、銀、銀合金、光学材料、熱感知材料、磁性材料、圧力感知材料、機械応力感知材料、イオン放出感知材料および圧電材料を含む。
【0153】
さらにまた他のいくつかの実施形態では、第2の材料および第4の材料が、検出器またはプローブおよび検出器と同じレベルで製造できる場合、第1の材料および第3の材料はそれぞれ、非ドープ酸化物(SiO
2)、ドープ酸化物、窒化シリコン、ポリマー材料、ガラスまたは電気絶縁材料を含み、第2の材料および第4の材料はそれぞれ、導電性材料(たとえば、アルミニウム、アルミ合金、銅、銅合金、タングステン、タングステン合金、金、金合金、銀、銀合金)、光学材料(たとえば、異方性光学材料、ガラス、ガラスセラミック、レーザ利得媒体、非線形光学材料、蛍光体およびシンチレータ、透明材料)、熱感知材料、磁性材料、圧力感知材料、機械応力感知材料、イオン放出感知材料および圧電材料(たとえば、石英、ベルリナイト、ガリウム、オルトリン酸塩、GaPO
4、トルマリン、セラミック、バリウム、チタン酸塩、BatiO
3、チタン酸ジルコン酸鉛PZT、酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよびポリフッ化ビニリデン)を含む。
【0154】
他の実施形態では、検出デバイスは、少なくとも1つのプローブ、少なくとも1つの検出器または少なくとも1組のプローブと検出器を含み、プローブは、反応信号を発生させる生体被験体にプロービング信号または撹乱信号を与え、検出器は、このように発生した反応信号を測定する。
【0155】
本願明細書に使用するように、「または」という語は「および」および「または」を含むことを意味する。「または」は「および/または」に置き換えてもよい。
【0156】
本願明細書に使用するように、単数名詞はその複数を含むことを意味する。たとえば、マイクロデバイスは、単一のマイクロデバイスまたは複数のマイクロデバイスを意味することができる。
【0157】
本願明細書に使用するように、「パターニング」という用語は、平面を含む(この場合、「パターニング」は「プラナリゼーション」も意味する)特定の物理的形状またはパターンに材料を成型することを意味する。
【0158】
本願明細書に使用するように、分析、検査または診断のための「生体被験体」または「生体試料」という用語は、疾患検出装置によって分析される被験体に言及する。被験体は、単一の細胞、単一の生体分子(たとえば、DNA、RNAまたはタンパク質)、単一の生体被験体(たとえば、単一の細胞またはウイルス)他のあらゆる十分小さい単体または基本となる生物学的組成または疾患もしくは障害があると考えられる被験体の器官または組織の試料でありうる。
【0159】
本願明細書に使用するように、「疾患」という用語は、「障害」という用語に置き換え可能であり、一般に、生体被験体(たとえば、哺乳動物または生物学的種)のあらゆる異常な微視的特性または状態(たとえば物理状態)に言及する。
【0160】
本願明細書に使用するように、「被験体」という用語は一般に哺乳動物、たとえばヒトに言及する。
【0161】
本願明細書に使用するように、「微視的レベル」という用語は、本発明の疾患検出装置によって分析される被験体が微視的性質のものであり、単一の細胞、単一の生体分子(たとえば、DNA、RNAまたはタンパク質)、単一の生体被験体(たとえば、単一の細胞またはウイルス)、他のあらゆる十分小さい単体もしくは基本となる生物学的組成でありうる。
【0162】
本願明細書に使用するように、「マイクロデバイス」は、さまざまな材料、特性、形状ならびに複雑性および集積性の度合いでありうる。この用語には、単一の材料から複数の材料を含み、複数の下位装置および複数の機能を備えたきわめて複雑なデバイスへの適用という広い意味がある。本発明で想定される複雑性は、所望の特性一式を有するきわめて小さい単一の粒子からさまざまな機能単位を含むかなり複雑な集積装置に及ぶ。たとえば、単純なマイクロデバイスは、直径が100オングストロームの単一の球形の物であってよく、所望の硬度、所望の表面電荷または表面に吸収される所望の有機化学剤を有する。さらに複雑なマイクロデバイスは、センサ、単純な計算機、記憶装置、論理演算装置およびカッターがすべて集積された1ミリメートルのデバイスでありうる。前者の場合、粒子は、煙霧処理またはコロイド沈殿処理によって形成でき、さまざまな構成要素が集積されるデバイスは、さまざまな集積回路製造プロセスを使用して製造することができる。
【0163】
本発明に用いられるマイクロデバイスは、大きさ(たとえば直径)が約1オングストローム〜約5ミリメートル単位でありうる。たとえば、大きさが約10オングストローム〜100ミクロン単位のマイクロデバイスは、細胞構造、DNAおよび細菌などの小さい生体分子、実体または組成物を標的にするために本発明で使用することができる。あるいは、大きさが約1ミクロン〜約5ミリメートル単位のマイクロデバイスは、ヒト臓器の一部などの比較的大きい生体物質を標的にするために本発明で使用することができる。一例として、本願で定義する単純なマイクロデバイスは、直径が100オングストローム未満の単一の粒子であってよく、標的となる種類の細胞に優先吸収または優先吸着するために所望の表面特性(たとえば、表面電荷または化学コーティング)を有する。
【0164】
本発明は、生体被験体の疾患を検出するための装置をさらに提供し、前処理装置、プロービング検出装置、信号処理装置および廃棄物処理装置を含む。
【0165】
この装置のいくつかの実施形態では、前処理装置は試料ろ過装置、補給装置、定加圧装置およびプロービング前試料撹乱装置を含む。これにより、対象(癌細胞など)となる特定の物質の収縮比が増大することから、この装置は、標的となる生体被験体(癌細胞など)を検出するのにさらに効果的かつ効率的となる。
【0166】
いくつかの実施形態では、ろ過装置は、物理的ろ過(たとえば、物質の電子電荷または大きさに基づいて)、あるいは、化学反応(これにより、望ましくない物質を完全に除去する)、生化学反応、電子機械反応、電子化学反応または生体反応による分離によって望ましくない物質をろ過することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、試料ろ過装置は、入口流路、撹乱流路、加速チャンバおよびスリットを含むことができる。入口流路のスリットおよび内壁は、2つの流路(たとえば、上部流路および下部流路)を形成し、特性(たとえば、電気特性または物理特性)差によって生体被験体を分離することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、生物学的に適合した流体は、生体被験体を分離するために撹乱流路に注入することができる。たとえば、生物学的に適合した流体は、撹乱流路の入口から注入され、入口流路の壁の開口に送達することができる。生物学的に適合した流体は、液体または半液体であってよく、生理食塩水、水、血漿、酸素を豊富に含む液体またはそのあらゆる組み合わせを含むことができる。
【0169】
他のいくつかの実施形態では、入口流路と撹乱流路との間の角度は約0°〜約180°(たとえば、約30°〜約150°、約60°〜約120°もしくは約75°〜約105°または約90°)である。
【0170】
他のいくつかの実施形態では、各流路の幅は約1nm〜約1mm(たとえば、約2nm〜約0.6mmまたは約10nm〜約0.2mm)でありうる。
【0171】
他のいくつかの実施形態では、流路の少なくとも1つは流路の側壁に取り付けられた1つのプロービングデバイスを含み、プロービングデバイスは、生体被験体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。電気特性の例は、表面電荷、表面電位、静止電位、電流、電場分布、電気双極子、電気四重極子、3次元の電気雲または電荷雲の分布、DNAおよび染色体のテロメアでの電気特性およびインピーダンスを含む。熱特性の例は、温度および振動周波数を含む。光学特性の例は、光吸収、光伝送、光反射、光電気特性、輝度および蛍光発光を含む。化学特性の例は、pH価、化学反応、生化学反応、生物電子化学反応、反応速度、反応エネルギー、酸素濃度、酸素消費速度、イオン強度、触媒挙動および結合力を含む。物理特性の例は、密度および幾何学的大きさを含む。音響特性の例は、周波数、音波速度、音響周波数、強度スペクトル分布、音響インテンシティ、音響吸収および音響共振を含む。機械特性の例は、内圧、硬度、剪断強度、伸張強度、破壊応力、付着力、機械的共振周波数、弾性、塑性および圧縮性を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、流路の少なくとも1つは流路の側壁に取り付けられた少なくとも2つのプロービングデバイスを含み、プロービングデバイスは、生体被験体の電気特性、磁気特性、電磁特性、熱特性、光学特性、音響特性、生物学特性、化学特性、電子機械特性、電子化学特性、電子化学機械特性、生化学特性、生物機械特性、生物電子機械特性、生物電子化学特性、生物電子化学機械特性、物理特性または機械特性を微視的レベルで測定することができる。プロービングデバイスは、同じまたは異なる時間に同じまたは異なる特性を測定する。
【0173】
2つ以上のプロービングデバイスは、互いに所望の距離(少なくとも10オングストローム)を空けて配置することができる。所望の距離の例は、約10nm〜約100mm、約100nm〜約10mm、約1mm〜約10mmを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、試料ろ過装置は入口流路、生物学的に適合しているフィルタ、出口流路またはそのあらゆる組み合わせを含むことができる。生体被験体が出口流路に向かって入口流路を通ると、フィルタ穴より大きい生体被験体は、出口流路に対して遮断されることなり、その結果、小さい生体被験体が出口流路から流れ出る。生物学的に適合している流体は、フィルタ周囲に蓄積した生体被験体を押し流して流路から流し出すために出口から注入される。大きい生体被験体は、本装置の検出要素および検出装置でさらに分析および検出されるためにろ過される。
【0175】
いくつかの実施形態では、プロービング前試料撹乱装置は、流路を備える1つのマイクロデバイスと、流路の内側に配置されるスリットと、任意に流路の外側にある2つのプレートとを含むことができる。この2つのプレートは、信号、たとえば流路を移動する生体被験体に電子電圧を印加でき、生体被験体に帯電する電子電荷に基づいて生体被験体を分離する。流路のスリットおよび内部流路は、2つの流路を形成し、これらの流路は、分離した生体被験体が流入し、任意にその特性が微視的レベルで検出される。
【0176】
いくつかの実施形態では、プロービング前試料撹乱装置は、電気信号、磁気信号、電磁信号、熱信号、光学信号、音響信号、生物学信号、化学信号、電子機械信号、電子化学信号、電子化学機械信号、生化学信号、生物機械信号、生物電子機械信号、生物電子化学信号、生物電子化学機械信号、物理信号または機械信号を生体被験体に印加する。信号は、たとえば、上に記載する2つのプレートまたは他の手段で(信号の性質に応じて)印加することができる。印加される信号は、パルスまたは一定である。
【0177】
いくつかの実施形態では、補給装置は栄養または呼吸ガス(酸素など)を生体被験体に補給する。あるいは、補給装置は、生体被験体の代謝産物を除去することもできる。そのような補給装置によって、試料の生体被験体の生命の安定性は持続し、その使用は延長され、これにより、さらに正確かつ信頼できる検出結果を得る。栄養の例は、生物学的に適合した強電解質もしくは弱電解質、アミノ酸、ミネラル、イオン、酸素、酸素を豊富に含む液体、点滴、ブドウ糖およびタンパク質を含む。栄養の別の例は、特定の生体被験体(たとえば、細胞またはウイルス)によって選択的に吸収できるナノ粒子を含む溶液である。
【0178】
補給システムは、本装置の他の構成要素からと外側とに分離することができる。あるいは、補給システムは、他の構成要素、たとえば、プロービング検出装置または廃棄物処理装置の1つに設置することもできる。
【0179】
他のいくつかの実施形態では、信号処理装置は、増幅器(たとえばロックインアンプ)、A/D(交流/直流またはアナログからデジタル)変換器、マイクロコンピュータ、マニピュレータ、ディスプレイおよびネットワーク接続を含む。
【0180】
いくつかの例では、信号処理装置は1つ以上の信号(つまり複数の信号)を収集し、複数の信号は、ノイズを除去するか、あるいは、信号対ノイズ比を増大させるために統合することができる。複数の信号は、複数の位置または複数の回数からの信号でありうる。
【0181】
本装置によって検出できる生体被験体は、たとえば、血液、尿、唾液、涙液、汗を含む。検出結果は、生体被験体の疾患(たとえば、初期疾患)の発症または存在の可能性を示すことができる。
【0182】
本願明細書に使用するように、「吸収」という用語は通常、表面と表面に付着した(この場合は吸収された)材料との間の物理結合を意味する。一方では、「吸収」という用語は一般に、その2つの間のさらに強力な化学結合を意味する。これらの特性は、微視的レベルで測定するための所望のマイクロデバイスによって標的となる付着に対して効果的に使用できるため、本発明にとってきわめて重要である。
【0183】
本願明細書に使用するように、「接触」という用語(「第1のマイクロデバイスは生物学的実体に接触する」などの場合)は、「直接的」(または物理的)に接触することと、「非直接的」(または間接的もしくは非物理的)に接触することを含むことを意味する。2つの被験体が「直接的」に接触する場合は、一般に、これらの2つの被験体の接点の間には測定可能な空間も距離もないのに対して、「間接的」に接触する場合、これらの2つの被験体の接点の間には、測定可能な空間または距離がある。
【0184】
本願明細書に使用するように、「プローブ」または「プロービング」という単語は、一般定義に加えて、被験体に信号(たとえば、電気信号、音響信号、磁気信号または熱信号)を印加し、これにより、被験体を刺激し、ある種固有の反応を引き起こすという意味となりうる。
【0185】
本願明細書に使用するように、「電気特性」という用語は、分析される生体被験体の表面電荷、表面電位、電場、電荷分布、電場分布、静止電位、活動電位またはインピーダンスに言及する。
【0186】
本願明細書に使用するように、「磁性特性」という用語は、反磁性、常磁性または強磁性に言及する。
【0187】
本願明細書に使用するように、「電磁特性」という用語は、電気的特徴および磁気的特徴を有する特性に言及する。
【0188】
本願明細書に使用するように、「熱特性」という用語は、温度、凝固点、融点、蒸発温度、ガラス遷移温度または熱伝導率に言及する。
【0189】
本願明細書に使用するように、「光学特性」という用語は、反射、光吸収、光学散乱、波長依存特性、発色、光沢、輝度、シンチレーションまたは分散に言及する。
【0190】
本願明細書に使用するように、「音響特性」という用語は、聴覚との関連性において音の品質を定量する構造にみられる特徴に言及する。音響特性は一般に、吸音係数によって測定することができる。たとえば、米国特許第3,915,016号明細書「methods for determining an acoustical property of a material」(特許文献6)、T.J.Coxら、「Acoustic Absorbers and Diffusers」、2004、Spon Press(非特許文献4)を参照のこと。
【0191】
本願明細書に使用するように、「生物学特性」という用語は一般に、生体被験体の化学特性および物理特性を含むことを意味する。
【0192】
本願明細書に使用するように、「化学特性」という用語は、生体試料のpH価、イオン強度または結合力に言及する。
【0193】
本願明細書に使用するように、「物理特性」という用語は、あらゆる測定可能な特性を示し、その値は、時間内のいかなる瞬間の物理システムの状態を示す。生体試料の物理特性は、吸収性、アルベド性、面積、脆性、沸点、キャパシタンス、発色、濃度、密度、誘電性、電荷性、導電率、電気インピーダンス、電界、電位、放射量、流量、流動度、周波数、インダクタンス、固有インピーダンス、強度、放射照度、輝度、光沢性、可鍛性、磁場、磁束、質量、融点、運動量、通過性、誘電率、圧力、放射輝度、溶解度、比熱、強度、温度、張力、熱伝導率、速度、粘度、体積および波動インピーダンスを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0194】
本願明細書に使用するように、「機械特性」という用語は、生体試料の強度、硬度、靭性、弾性、塑性、脆性、延性、剪断強度、伸張強度、破壊応力または付着力に言及する。
【0195】
本願明細書に使用するように、「導電性材料」という用語(または、「導電体」の相当用語)は、移動可能な電荷を含む材料である。導電性材料は、金属(たとえば、銅、銀または金)または非金属(たとえば、グラファイト、塩溶液、血漿または導電性ポリマー)でありうる。銅またはアルミニウムなどの金属導体では、移動可能な荷電粒子は電子である(電気伝導に関して確認のこと)。また、正電荷は、格子内で電子を失っている(ホールとして知られている)の原子の形態、あるいは、バッテリーの電解質などのイオンの形態で移動可能であってよい。
【0196】
本願明細書に使用するように、「電気絶縁材料」(「絶縁体」または「誘電体」としても知られる)という用語は電流を流さない材料に言及する。電気絶縁材料は、価電子が強力に結合した原子を有する。電気絶縁材料の例は、ガラスまたは有機ポリマー(たとえば、ゴム、プラスチックまたはテフロン(登録商標))を含む。
【0197】
本願明細書に使用するように、「半導体」(「半導体材料」としても知られる)という用語は、電気伝導性を有する材料に言及し、電子流(イオン伝導度とは対照的)は導電体と絶縁体との間の中間の大きさである。無機半導体の例は、シリコン、シリコン材料およびゲルマニウムを含む。有機半導体の例は、多環式芳香族化合物、ペンタセン、アントラセンおよびルブレンのような芳香族炭水化物と、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアセチレンおよびその誘導体などの高分子有機半導体とを含む。半導体材料は、結晶性固体(たとえばシリコン)、非晶体(たとえば、水素化非晶質シリコンと、さまざまな比率のヒ素、セレンおよびテルリウムの混合物)または液体でありうる。
【0198】
本願明細書に使用するように、「生体物質」という用語は、当業者によって理解されるように「生体材料」の同義である。その意味を限定せず、生物物質または生体材料は一般に、有機化合物(たとえば、有機小分子またはポリマー)または無機化合物(たとえば、金属成分またはセラミック)を利用するさまざまな化学的方法を使用して自然界で生成したり、実験室で合成したりすることができる。これらは一般に、医療用途に使用したり、適合させたりすることができることから、生体構造の全体または一部、あるいは、自然な機能を実行、増強または置換する生物医学デバイスの全体または一部を含む。このような機能は、心臓弁に使用されるような無害であってよく、あるいは、水酸化アパタイトがコーティングされる最新のインプラントなどのさらに相互作用的な機能性を伴う生物活性であってよい。また、生体材料は、歯科用途、手術および薬剤送達で毎日使用することができる。たとえば、医薬品が含浸した構成要素を身体に配置でき、長期間にわたる薬剤の持続放出を可能にする。また、生体材料は、移植材料として使用できる自家移植片、同種移植片または異種移植片であってよい。他の医学分野または生物医学分野での適用に見られるこのようなすべての材料も本発明に使用することができる。
【0199】
本願明細書に使用するように、「マイクロエレクトロニクス技術またはマイクロエレクトロニク処理」という用語は一般に、マイクロエレクトロニクス要素および光電子要素を製造するために使用される技術または処理を含意する。たとえば、リソグラフィ、エッチング(たとえば、ウェットエッチング、ドライエッチングまたは気相エッチング)、酸化、拡散、注入、アニーリング、膜蒸着、洗浄、直接描画、ポリシング、プラナリゼーション(たとえば、化学機械研磨による)、エピタキシアル成長、メタライゼーション、プロセス集積化、シミュレーションまたはあらゆる組み合わせを含む。マイクロエレクトロニクス技術またはマイクロエレクトロニクス処理に関する追加説明は、たとえば、Jaeger、「Introduction to Microelectronic Fabrication」、第2版、Prentice Hall、2002(非特許文献5)、Ralph E.Williams、「Modern GaAs Processing Methods」、第2版、Artech House、1990(非特許文献6)、Robert F.Pierret、「Advanced Semiconductor Fundamentals」、第2版、Prentice Hall、2002(非特許文献7)、S.Campbell、「The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication」、第2版、Oxford University Press、2001(非特許文献8)に記載され、これらすべての内容は、参照によりその全体が本願の一部をなす。
【0200】
本願明細書に使用するように、たとえば、「材料Aに選別的なマイクロエレクトロニクス処理を使用して材料Bをパターニングする」に含まれる「選別的」という用語は、マイクロエレクトロニクス処理が、材料Aではなく材料Bに対して効果があるか、あるいは、材料Aより材料Bに対して実質的に効果がある(たとえば、除去率が材料Aより材料Bのほうがはるかに高くなるため、材料Aよりはるかに多くの材料Bを除去する)。
【0201】
本願明細書に使用するように、「カーボンナノチューブ」という用語は一般に、円筒形のナノ構造を有する炭素の同素体に言及する。カーボンナノチューブに関するさらに詳しい情報は、たとえば、「Carbon Nanotube Science」、P.J.F.Harris、Cambridge University Press、2009(非特許文献9)を参照のこと。
【0202】
単一のマイクロデバイスまたは疾患検出装置に集積したマイクロデバイスの組み合わせの使用によって、侵襲性および副作用を減らしつつ、感度、特異性、速度、コスト、装置の大きさ、機能性および使いやすさの観点から疾患検出能力をかなり改善することができる。疾患検出のために生体試料のさまざまな微視的特性を測定できる多くのマイクロデバイスの種類は、本願明細書に開示する微細加工技術および新規のプロセスフローを使用して、単一の検出装置に集積して製造することができる。明示および説明の目的のために、マイクロエレクトロニクス技術またはナノ製造技術および関連プロセスフローをどのように利用して、高感度、多機能であり、小型化された検出デバイスを製造できるかに関して、いくつかの新規の詳細例を本願明細書に示すが、高性能検出装置の設計および製造にマイクロエレクトロニクス技術またはナノ製造技術を採用する原理および一般方法を想定して教示し、製造プロセスのさまざまな組み合わせに展開でき、かつ、展開する必要があり、製造プロセスは、薄膜蒸着、パターニング(リソグラフィおよびエッチング)、プラナリゼーション(化学機械研磨を含む)、イオン注入、拡散、洗浄、さまざまな材料およびさまざまな処理順序、フローならびにその組み合わせを含むが、これらに限定されない。