(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、少なくとも前記第1スイッチが前記第1光源への前記駆動電流の供給を選択している期間には、前記第1光源用の電流値の駆動電流を出力し、少なくとも前記第2スイッチが前記第2光源への前記駆動電流の供給を選択している期間には、前記第2光源用の電流値の駆動電流を出力するように、前記変換部を制御する
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の点灯回路。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.第1の実施の形態>
以下、実施の形態の点灯回路を含む車両用灯具について図面を参照しながら説明する。実施の形態は、第1光源としてのターンシグナルランプと、第2光源としてのDRLに対する点灯回路を有する車両用灯具とする。
【0015】
図1は実施の形態の点灯回路が発光駆動するランプ10の発光面の例を示している。
図1Aの発光面11は、ターンシグナルランプの発光面であり、かつDRLの発光面とされるもので、発光面が共有される例である。
図1Bは、ターンシグナルランプの発光面11tと、DRLの発光面11dが近接配置されている例である。近接配置とは、本発明実施対象国における法規的な定義として、ターンシグナルランプの点滅期間中にDRLを消灯することが必要となる距離以内で配置されているという意味である。
本実施の形態では、例えばこの
図1A、
図1Bのように、ターンシグナルランプとDRLで発光面が共通又は近接配置される場合を想定する。
【0016】
図2に実施の形態の点灯回路2を含む車両用灯具1の構成例を示す。
車両用灯具1は点灯回路2、ターン光源3、DRL光源4を有する。
この車両用灯具1は、この車両用灯具1が搭載される車両のバッテリ(図示せず)から電源供給を受ける構成とされる。この場合、車両側からはターンシグナルランプ発光のための電源電圧(第1電圧Vtn)と、DRL発光のための電源電圧(第2電圧Vdr)が供給される。
図ではターンスイッチ5,DRLスイッチ6を示しているが、ターンシグナルランプ発光指示の際にはターンスイッチ5が信号S10によりオンとされて第1電圧Vtnが、点灯回路2の端子21に供給される。またDRL発光指示の際にはDRLスイッチ6が信号S11によりオンとされて第2電圧Vdrが点灯回路2の端子22に供給される。
端子23はグランド端子であり、車両側のグランドラインと接続される。
【0017】
なお、ターンシグナルランプ用の第1電圧Vtnとしては、
図3に示すようにターンアクティブ期間Ttonにおいて所定周期でハイレベル期間T1とローレベル期間T2を繰り返す断続的な電圧とされる。例えばT1=T2=350msecである。
ターンアクティブ期間Ttonとは、車両の運転者がウインカー操作により右折・左折のためのターンシグナル発光を指示している(或いはハザード指示している)期間に相当する。つまり第1電圧Vtnはターンシグナルとしての点滅を実行させる電源電圧である。
ハイレベル期間T1の電圧は例えば12Vや24V等のバッテリ正極電圧値、ローレベル期間T2の電圧は例えばグランドレベル(0V)などとされる。従って例えばターンスイッチ5がバッテリ正極電圧ラインに接続されて、ターンアクティブ期間Ttonに信号S10によりオン/オフが繰り返されることで、周期的に断接されるバッテリ電圧が第1電圧Vtnとされればよい。あるいはターンスイッチ5に代わる車両側の所定のコントローラにより、ターンアクティブ期間Tton中に周期的な電圧となる第1電圧Vtnが生成され、これが車両用灯具1に供給される形態でもよい。
【0018】
一方、DRL用の第2電圧Vdrは、DRLを発光させる期間に継続的に所定の電圧値(例えばバッテリ電圧値)とされる。従ってDRLスイッチ6がバッテリ正極電圧ラインに接続され、運転者の操作、或いは車両側のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)によりDRL点灯が指示されると、DRLスイッチ6が信号S11によりオンとされ、バッテリ電圧が第2電圧Vdrとして車両用灯具1に入力されるようにすればよい。もちろんDRLスイッチ6に代えて車両側の所定のコントローラにより、運転者やECUによるDRL点灯指示に応じて第2電圧Vdrが車両用灯具1に供給されるものでもよい。
【0019】
いずれにしても車両用灯具1は、車両側がどのような形態で第1電圧Vtn、第2電圧Vdrを供給してこようとも、第1電圧Vtn、第2電圧Vdrの入力に応じてターン光源3、DRL光源4の発光駆動を行う。
図2の車両用灯具1は、ターンシグナルランプとDRLに関しては、車両側とは端子21,22,23が接続されるのみである。
そして第1電圧Vtnが、ターンシグナル発光駆動用の電源電圧であるとともにターンシグナル発光指示となる。また第2電圧Vdrが、DRL発光駆動用の電源電圧であるとともにDRL発光指示となる。つまり、別途ターンシグナル発光指示やDRL発光指示の信号は供給されない。
本実施の形態の車両用灯具1は、このように第1電圧Vtn、第2電圧Vdrのライン、グランドラインという3つの結線のみという、車両側とのシンプルな接続構成でありながら、以下説明していくようにターン光源3、DRL光源4の適切な発光駆動を実現する。
【0020】
車両用灯具1において、ターン光源3は、複数のLED3Lが直列接続されて構成される。図では3つのLED3Lが直列接続されているが、ターン光源3を構成する発光ダイオード数は1以上の任意数でよい。ターン光源3は直列接続されたLED3Lのアノード側が点灯回路2の端子24に接続され、カソード側がグランドに接続される。
DRL光源4も、複数のLED4Lが直列接続されて構成される。図では3つのLED4Lが直列接続されているが、DRL光源4を構成する発光ダイオード数は1以上の任意数でよい。またLED数はターン光源3と同数でなくてもよい。
DRL光源4は直列接続されたLED4Lのアノード側が点灯回路2の端子25に接続され、カソード側がグランドに接続される。
なお、ターン光源3、DRL光源4は、それぞれ1又は複数の直列接続のLEDが並列接続される構成としてもよい。
【0021】
点灯回路2は、変換部31、制御部32、タイマ回路33、ダイオード34,35、インバータ36、スイッチ37、オアゲート38、ターン側スイッチ39tn、DRL側スイッチ39drを有する。
【0022】
第1電圧Vtnが供給される端子21は、ダイオード34を介して変換部31の入力端子31aに接続されている。
また第2電圧Vdrが供給される端子22は、ダイオード35、スイッチ37を介して変換部31の入力端子31aに接続されている。
【0023】
また端子21にはインバータ36が接続され、インバータ36の出力によりスイッチ37がオン/オフされる。
スイッチ37は、インバータ36の出力がH(High)レベルのときにオンとされ、インバータ36の出力がL(Low)レベルのときにオフとされる。
【0024】
変換部31は、DC/DCコンバータであり、入力端子31aとグランド端子31c間の入力電圧Vinについて電圧変換を行い、出力端子31bとグランド端子31d間の出力電圧Voutを生成する。即ち変換部31は、第1電圧Vtn又はVdrとしての例えばバッテリ電圧を入力電圧Vinとし、これをターン光源3又はDRL光源4のLED駆動電圧となる出力電圧Voutを生成する。
変換部31の具体的構成は多様に考えられる。例えばスイッチングレギュレータでもよいし、シリーズレギュレータでもよい。絶縁型、非絶縁型のいずれでもよい。またバッテリ電圧とターン光源3、DRL光源4の順方向降下電圧の関係や、バッテリ電圧降下時の事情にもよるが、DC/DCコンバータとしては昇圧型、降圧型、昇降圧型のいずれも考えられる。
【0025】
変換部31の出力端子31bに現れる出力電圧Voutに基づく電流は、駆動電流Idとして、ターン側スイッチ39tnを介して端子24からターン光源3に流れる。またこの駆動電流Idは、DRL側スイッチ39drを介して端子25からDRL光源4に流れる。
【0026】
制御部32は変換部31の駆動電流Idの電流値を制御する。例えば制御部32はIC(Integrated Circuit)で構成される。なお制御部32と変換部31が一体的な構成であってもよい。
制御部32はターン光源3やDRL光源4に対してそれぞれ所定の電流値としての駆動電流Idが供給されるように変換部31を制御する。即ち変換部31の出力電流(駆動電流)の検出信号S10に基づいて、制御信号S11を変換部31に出力し、駆動電流Idの電流値制御及び安定化制御を行う。例えば変換部31がスイッチングレギュレータである場合、制御信号S11としてPWMスイッチング制御信号を、電流検出信号S10と所定の基準信号(目標値)に基づいて生成することで、駆動電流Idの所定電流値化及び安定化を行う。
【0027】
制御部32にはイネーブル端子32aが設けられ、イネーブル端子32aの端子電圧に応じて変換部31の動作を制御する。ここでは制御部32は、イネーブル端子32aの端子電圧がHレベルのときに変換部31としてのDC/DCコンバータを駆動させ、イネーブル端子32aの端子電圧がLレベルのときには変換部31としてのDC/DCコンバータの駆動を停止させる例とする。
【0028】
また制御部32には電流値設定端子32bが設けられ、電流値設定端子32bの端子電圧に応じて、変換部31からの駆動電流Idの電流値を制御する。ここでは、電流値設定端子32bがHレベルのときは駆動電流Idの値をターン用電流値Ituとし、電流値設定端子32bがLレベルのときは駆動電流Idの値をDRL用電流値Idrとするものとする。例えば制御部32は、PWMスイッチング制御信号の生成のために電流検出信号S10と比較する目標値を、電流値設定端子32bの端子電圧に応じて、ターン用基準信号とDRL用基準信号のいずれかに切換設定することで、駆動電流Idの電流値をターン用電流値Itu/DRL用電流値Idrに切り替える。なお、例えばItu<Idrとされる。Itu>Idrの場合やItu=Idrの場合もある。
端子32cはグランド端子である。
【0029】
上述のように、第1電圧Vtnはターンシグナル発光の指示信号でもある。端子21に供給される第1電圧Vtnは、信号Stとして、オアゲート38に入力され、また電流値設定端子32bに入力され、さらにターン側スイッチ39tnの制御信号となる。さらに信号St(第1電圧Vtn)は、タイマ回路33のセット/リセット制御信号ともなる。
【0030】
また第2電圧VdrはDRL発光の指示信号でもある。端子22に供給される第2電圧Vdrは、タイマ回路33を介して信号Sdとされる。タイマ回路33は、第2電圧Vdrの波形を所定時間のカウントを行って、後述の遅延時間Tdだけ遅延させ、これを信号Sdとする。但し、タイマ回路33のカウントは、信号St(第1電圧Vtn)がHレベルの期間はリセットされ、信号StがLレベルとなることでセットされる。つまりタイマ回路33は信号StのLレベル期間のみカウントアップが実行される。
タイマ回路33からの信号Sdは、オアゲート38に入力されるとともに、DRL側スイッチ39drの制御信号となる。
【0031】
オアゲート38は、信号St,Sdの論理和出力を制御部32のイネーブル端子32aに与える。
【0032】
ターン側スイッチ39tnは、信号StのHレベル期間にオンとされ、変換部31からの駆動電流Idをターン光源3に供給し、ターン光源3を発光させる。信号StのLレベル期間はターン側スイッチ39tnはオフとなることで、変換部31が駆動されていても、ターン光源3には駆動電流Idは供給されない。
DRL側スイッチ39drは、信号SdのHレベル期間にオンとされ、変換部31からの駆動電流IdをDRL光源4に供給し、DRL光源4を発光させる。信号SdのLレベル期間はDRL側スイッチ39drはオフとなることで、変換部31が駆動されていても、DRL光源4には駆動電流Idは供給されない。
【0033】
この車両用灯具1の動作を説明する。まず、DRL側の第2電圧Vdrがオンレベル(例えばバッテリ正極電圧)として供給され、ターン側の第1電圧Vtnはオフ(例えばグランドレベル)の場合について述べる。
図3の時点t0〜t2の期間の動作である。この場合、各部の動作は次のようになる。
【0034】
第1電圧Vtnはオフであって、インバータ36の出力はHレベルであるのでスイッチ37はオンとされる。従って端子22に供給された第2電圧Vdrは変換部31の入力端子31aに供給される。
信号StはLレベルであるため、ターン側スイッチ39tnはオフとなる。
図3の時点t0で第2電圧Vdrがオンとなる。このとき信号StはLレベルであるため、タイマ回路33はカウントを行い、第2電圧Vdrの波形に遅延時間Tdを与えて信号Sdとする。この信号Sdにより時点t1でイネーブル端子32aはHレベル電圧となる。また信号Sdにより時点t1からDRL側スイッチ39drがオンとなる。
従って、時点t1以降、変換部31が駆動され、駆動電流IdがDRL光源4に供給され、DRL光源4は点灯状態となる。
このとき、電流値設定端子32bはLレベルであるため、制御部32は駆動電流Idの電流値がDRL用電流値Idrとなるように変換部31を制御する。これによりDRL光源4で、DRLとして設定した明るさの発光が行われる。
【0035】
次に、ターンシグナルランプ用の第1電圧Vtnとして断続的な電源電圧が入力された場合を説明する。なお、この場合は、DRL用の第2電圧Vdrの供給があったとしても、DRL光源4は消灯される。
なお、第2電圧Vdrの供給がない期間は、DRL側スイッチ39drはオフとされ、当然DRL光源4は発光されない。
図3では、第2電圧Vdrが継続されているときに、時点t2〜t3までの期間が、ターンアクティブ期間Ttonとされて断続的な第1電圧Vtnが供給された場合を示している。
【0036】
このターンアクティブ期間Ttonにおいては、第1電圧Vtnはハイレベル期間T1、ローレベル期間T2を所定周期で繰り返す。
なお、点灯回路2にとっては、第1電圧Vtnのローレベル期間T2と、供給オフ期間(ターンアクティブ期間Tton以外)は区別できない。車両からの第1電圧Vtn以外の制御信号等の入力はないためである。
【0037】
時点t2でターンアクティブ期間Ttonが開始されると、ハイレベル期間T1の間、タイマ回路33はリセットされるため、信号SdはLレベルとなる。従ってDRL側スイッチ39drはオフになるため、DRL光源4は消灯される。
ハイレベル期間T1では、信号StはHレベルのため、信号SdがLとなってもイネーブル端子32aはHレベルとなり、変換部31は駆動される。またターン側スイッチ39tnはオンとなる。
従って、時点t2以降、ハイレベル期間T1には、変換部31が駆動され、駆動電流Idがターン光源3に供給され、ターン光源3は点灯する。
このとき、電流値設定端子32bはHレベルであるため、制御部32は駆動電流Idの電流値がターン用電流値Ituとなるように変換部31を制御する。これによりターン光源3で、ターンシグナルとして設定した明るさの発光が行われる。
【0038】
第1電圧Vtnのローレベル期間T2では、イネーブル端子32aはLレベルとなり、変換部31は停止される。またターン側スイッチ39tnはオフとなる。従ってターン光源3は消灯する。
従って、ハイレベル期間T1とローレベル期間T2が繰り返されることで、ターン光源3においてターンシグナルとしての点滅が実行される。
なお、ローレベル期間T2ではインバータ36の出力がHレベルとなり、スイッチ37がオンとなるため、第2電圧Vdrが変換部31に供給される状態となる。しかしこの間、変換部31は停止されるため、駆動電流Idは出力されない。ローレベル期間T2において、第2電圧Vdrが供給されていてもイネーブル端子32aがLレベルであるのは、後述するようにローレベル期間T2においては信号SdがLレベルに維持されるようにしているためである。また従ってDRL側スイッチ39drもオフを維持する。
【0039】
次に、時点t3でターンアクティブ期間Ttonが終了した後について説明する。
図3では、時点t3で第1電圧Vtnの供給が終了し、その際に第2電圧Vdrの供給があっても、即座にDRL光源4は点灯しない。
ターンアクティブ期間Ttonとしての最後のハイレベル期間T1が時点t3で終了し、タイマ回路33のリセット状態が解除されることで、遅延時間Tdをもって信号SdはHレベルとなる。従って時点t4でイネーブル端子32aはHレベルとなり、DRL側スイッチ39drがオンとなる。
従って、時点t4以降、変換部31が駆動され、駆動電流IdがDRL光源4に供給され、DRL光源4は点灯状態となる。このとき、電流値設定端子32bはLレベルであるため、制御部32は駆動電流Idの電流値がDRL用電流値Idrとなるように変換部31を制御する。
これによりターンアクティブ期間Ttonの終了後、遅延時間Tdを経過してから、DRL光源4でのDRL用の明るさの発光が再開される。
【0040】
次に、ターンアクティブ期間Ttonにおいて上記のようにターン光源3を優先した発光駆動を行うための動作について、
図4,
図5で詳しく説明する。
本実施の形態ではタイマ回路33による遅延時間Tdの設定(信号Sdの生成)、及びタイマ回路33の信号Stによるセット/リセット制御により、適切な発光駆動を実現している。
【0041】
まず
図4で、ターンアクティブ期間Ttonの途中にDRL用の第2電圧Vdr供給が開始された場合を説明する。
図4では第1電圧Vtn(=信号St)、第2電圧Vdr、ターン光源3の点灯状態、DRL光源4の点灯状態(遅延なしの場合とTd遅延の場合)、信号S1,Sd,S2を示している。
図示のように時点t10以降の断続的な第1電圧Vtnの供給(ハイレベル期間T1、ローレベル期間T2)により、ターン光源3では点滅が実行されている。
いま、時点t11として、ローレベル期間T2にあるときに、第2電圧Vdrの供給が開始されたとする。
【0042】
ここで「(遅延無し)」として示しているのは、タイマ回路33の遅延時間をゼロとした場合のDRL光源4の点灯状態である。但し信号Stによるタイマ回路33のセット/リセットは行われているものとする。
この(遅延無し)の場合、ローレベル期間T2には、第2電圧Vdrの波形(Hレベル)によりDRL側スイッチ39drがオン、イネーブル端子32a=Hとなるため、DRL光源4が点灯してしまう。
このようにターンアクティブ期間Tton中にDRL光源4が点灯してしまうことはターンシグナルの視認性を妨げるため、回避しなければならない。
【0043】
そこで本実施の形態では上述のようにタイマ回路33で遅延時間Tdを与えて信号Sdを生成するとともに、信号Stによりタイマ回路33のセット/リセットが行われるようにしている。
結果として、ターンアクティブ期間Ttonにおいて第2電圧Vdrの供給が開始されても、信号Sdは継続的にLレベルとなり、DRL光源4は、「(Td遅延)」として示すように、消灯状態を継続する。
これは、時点t11で第2電圧Vdrが供給されても、遅延時間Tdを経過するまでには信号SdはHレベルにならないこと、及び遅延時間Tdを経過する前にハイレベル期間T1となり、これによって、タイマ回路33がリセット(矢印RS)されるためである。
タイマ回路33はハイレベル期間T1の間、継続的にリセットされる。また時点t12で次のローレベル期間T2において、タイマ回路33はカウントを開始する(矢印ST)が、遅延時間Tdのカウントに至る前に、時点t13でハイレベル期間T1となってカウントがリセットされる。従って、信号SdはLレベルを継続する。
【0044】
また
図5は、
図4と同様の各波形を示しているが、これは第1電圧Vtn、Vdrが同時に供給されている場合において、遅延時間Tdが不適切な場合と適切な場合を例示している。
DRL光源4の点灯状態について、「(Td<T2)」として示しているのは、タイマ回路33による遅延時間Tdがローレベル期間T2より短い場合、「(Td>T2)」として示しているのは、遅延時間Tdがローレベル期間T2より長い場合である。
【0045】
もし(Td<T2)であると、ローレベル期間T2が終了する前に信号SdはHレベルになる。するとDRL側スイッチ39drがオン、イネーブル端子32a=Hとなるため、DRL光源4が瞬間的に点灯してしまう。
これに対し(Td>T2)と設定しておくことで、信号Sdは図示のように、ローレベル期間T2においてHレベルとはならない。従って、ターンアクティブ期間TtonにおいてDRL光源4が瞬灯することは無くなる。
【0046】
以上の
図4,
図5の例から、タイマ回路33のカウントによる遅延時間Tdは、ローレベル期間T2よりも長いことが適切であることが理解される。
【0047】
ところで本実施の形態の場合、インバータ36の出力によりスイッチ37をオン/オフしているが、これは車両側でのターン光源3の異常判定で誤検出が起こらないようにする機能を有するものである。
近年の車両側システムでは、車両用灯具に流れ込む電流値により、灯具の正常/異常(断線)を判定するものがある。例えば上述のように車両側のコントローラが第1電圧Vtnを車両用灯具1に供給する際に、車両用灯具1側に流れる電流値を検出してターンシグナルランプの断線異常を判断する。
【0048】
ここで、第1電圧Vtn、第2電圧Vdrが共に供給されている場合を考えたときに、スイッチ37が存在しないと仮定する。すると
図6Aに示すように、第1電圧Vtn側と第2電圧Vdr側の両方から電流Iinが流れることになる。この場合、第1電圧Vtnによる電流の検出値が不定になってしまい、ターン光源3が正常点灯しているにもかかわらず車両側のコントローラが断線と判定してしまう可能性が生ずる。
そこで、これを防止するためにスイッチ37を設け、第1電圧Vtnが供給されている間はスイッチ37をオフとし、
図6Bのように第2電圧Vdr側からの電流Iinが流れないようにする。即ちターン光源3の点灯時には第1電圧Vtn側からのみ電流Iinが流れるようにして、車両側で誤検出が生ずることを防止している。
【0049】
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態として、
図7により変換部31の具体的構成の一例を示す。
上述のように変換部31の構成は多様に考えられるが、ここでは変換部31として昇圧チョッパー型コンバータを用いた例を説明する。なお
図7において
図2と同様の構成部位は同一符号を付し説明を省略する。また
図7では、点灯回路2としては変換部31、制御部32、ターン側スイッチ39tn、DRL側スイッチ39drに加え、制御部32の電流値設定端子32bに対する設定信号回路40を示しているが、図示しない他の各部(タイマ回路33、ダイオード34,35、インバータ36、スイッチ37、オアゲート38)は
図2と同様に設けられているものとする。
【0050】
図7の例は、ターン光源3は10個のLED3Lを直列接続し、またDRL光源4は4個のLED4Lを直列接続した構成としている。
【0051】
変換部31は、入力端子31a、グランド端子31c間の入力電圧(第1電圧Vtn,第2電圧Vdr)を変換して出力電圧を生成し、出力電圧に基づいて出力端子31bからターン光源3又はDRL光源4に駆動電流Idを供給する。ターン側スイッチ39tn、DRL側スイッチ39drは
図2の場合と同様に信号St,Sdによってオン/オフ制御される。
【0052】
変換部31としてのDC/DCコンバータは、インダクタL1、スイッチSW、整流ダイオードD1、抵抗R1,R2,R3、及びコンデンサC1,C2を備えており、昇圧・非絶縁型のスイッチングレギュレータとして構成されている。図のようにインダクタLCの一端は入力端子31a(電源電圧正極ライン)に接続され、インダクタLcの他端は整流ダイオードD1のアノードに接続される。
スイッチSWは、インダクタL1と整流ダイオードD1との接続点と抵抗R2の間に接続され、抵抗R2の他端はグランド(グランド端子31c)に接続されている。このスイッチSWは、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのスイッチング素子で構成されている。スイッチSWのゲートには抵抗R3を介して制御部32の端子32dからスイッチング制御信号Spwmが供給される。
また、コンデンサC1は入力端子31aとグランド端子31cの間に接続される。
コンデンサC2は平滑コンデンサとして機能するため、整流ダイオードD1のカソード側とグランド端子31cの間に接続されている。
【0053】
抵抗R1は電流検出用の抵抗とされ、一端が整流ダイオードD1のカソードとコンデンサC2の接続点に接続され、他端が出力端子31bに接続されている。抵抗R1の両端電圧は端子32e,32fから制御部32に入力され、制御部32が両端電圧から駆動電流Idの電流値を検出できるようにされている。
【0054】
制御部32は、例えばLED駆動用のICとして構成される。制御部32は抵抗R1の両端電圧から目標の定電流値に対する誤差信号を生成し、誤差信号に基づいて、駆動電流の電流値が目標値と一致するようにスイッチSWのスイッチング動作を制御する。これにより駆動電流Idの定電流制御を行う。即ち駆動電流Idの電流値が目標値(ターン用電流値Itu又はDRL用電流値Idr)と一致するようにスイッチSWのオン/オフ動作(スイッチング動作)を制御するスイッチング制御信号Spwmを生成する。具体的にはスイッチング制御信号Spwmのオンデューティを制御することで定電流制御を行う。これによりターン光源3又はDRL光源4のLED(3L又は4L)には、変換部31の出力電圧に基づく所定電流値の駆動電流Idが流れ、各LED(3L又は4L)が発光する。
【0055】
この例では、ターン光源3としてLED3Lのカソード端はグランドに接続される。一方、DRL光源4としてのLED4Lのカソード端は端子31eを介して端子31a(電源電圧ライン)に接続される。
これは変換部31を昇圧型DC/DCコンバータとしたことを考慮して、DRL光源4のカソード電位を持ち上げたものである。DRL光源4の各LED4Lの順方向電圧の合計値が変換部31の入力電圧(バッテリ電圧)より低い場合、変換部31はLED4Lを駆動する駆動電流Idを制御することができなくなり、各LED4Lに過剰な電流が流れてしまう。そこでLED4Lに対する駆動電流Idを目的の値に制御できるようにするためにカソード電位を持ち上げている。
【0056】
制御部32では電流値設定端子32bの端子電圧(H/L)により駆動電流Idの目標値が設定される。
図2の例では信号St(第1電圧Vtn)が電流値設定端子32bに入力されるように示したが、
図7では他の例として設定信号回路40によって電流値設定端子32bの端子電圧が設定される例を示している。
なおこの例では制御部32は
図2の場合とは逆に、電流値設定端子32bがHレベルのときはDRL用電流値Idrを目標値とし、電流値設定端子32bがLレベルのときはターン用電流値Ituを目標値とする例としている。
【0057】
設定信号回路40は抵抗R11〜R17、NチャネルのFET41、NPN型のバイポーラトランジスタ42、コンデンサC11を有している。電圧V1は、例えば制御部32が生成する所定電圧である。
電圧V1ラインとグランド間に抵抗R11,R12が接続され、また抵抗R11,R12の分圧点とグランド間に抵抗R13とFET41が直列接続されている。コンデンサC11はノイズ除去のために電流値設定端子32bとグランド間に接続されている。電流値設定端子32bの電圧はFET41のオン/オフに応じて、抵抗R11、R12、R13により設定される。
FET41のゲートは、抵抗R14,R15の接続点及びバイポーラトランジスタ42のコレクタに接続されている。抵抗R14,R15は電圧V1のラインとグランド間に接続されている。バイポーラトランジスタ42のエミッタはグランドに接続され、ベースは抵抗R16を介して端子40aに接続されている。バイポーラトランジスタ42のベース・エミッタ間に抵抗R17が接続される。
【0058】
端子40aには例えば信号Sdが供給される。信号SdがHレベル、即ちDRL側スイッチ39drがオンとなる期間には、バイポーラトランジスタ42がオンとなり、FET41がオフとなるため、電流値設定端子32bの電圧はHレベルとなる。この場合制御部32は駆動電流Idの目標値としてDRL用電流値Idrを設定する。
信号SdがLレベル、即ちDRL側スイッチ39drがオフとなる期間には、ターン側スイッチ39tnがオンとなる期間が含まれるが、この場合はバイポーラトランジスタ42がオフとなり、FET41がオンとなるため、電流値設定端子32bの電圧はLレベルとなる。これに応じて制御部32は駆動電流Idの目標値としてターン用電流値Ituを設定する。
【0059】
<3.まとめ>
以上第1,第2の実施の形態を説明したが、実施の形態の点灯回路2は、第1光源(ターン光源3)と、第1光源とは異なる発光機能を果たす第2光源(DRL光源4)に対する点灯回路である。
そして点灯回路2の変換部31は、第1光源に対する第1電圧(Vtn)と、第2光源に対する第2電圧(Vdr)とを共通の入力端子31aから入力し、第1電圧(Vtn)又は第2電圧(Vdr)の電圧変換を行って出力端子31bより駆動電流Idを出力する。また変換部31の駆動電流Idの電流値を制御する制御部32を備える。また、第1電圧(Vtn)に基づく第1信号(信号St)により、第1光源へ駆動電流Idを供給するか否かを選択する第1スイッチ(ターン側スイッチ39tn)と、第1電圧(Vtn)及び第2電圧(Vdr)を受け第2信号(信号Sd)を生成する信号生成部(タイマ回路33)と、第2信号(信号Sd)により第2光源へ駆動電流Idを供給するか否かを選択する第2スイッチ(DRL側スイッチ39dr)とを備えている。
この構成により、第1光源(ターン光源3)と、第2光源(DRL光源4)の駆動ついて変換部31と制御部32を兼用し、電源電圧供給状態に応じて駆動先を切り替えることができる。特に第1,第2電圧(Vtn、Vdr)が発光のための電源であり、かつ発光指示の信号として供給される場合、つまり車両側から指示信号入力がなく、電源及びグランドラインが接続される点灯回路2として、第1光源と第2光源を適切に切り替えて発光駆動できる。
従って、同時点灯が行われない2つ光源についての点灯回路2の構成を簡易化でき、コストダウンを実現できる。
【0060】
また第1電圧(Vtn)が供給されている期間は、第2電圧(Vdr)による電流が変換部31の入力端子31aに流れることを遮断する第3スイッチ(スイッチ37)を備えている。
これにより、第1電圧(Vtn)による入力電流が、第2電圧(Vdr)による入力電流によって不定となってしまい、車両側システムが第1光源が断線したと誤って検出してしまう誤検出を防止することができる。つまり車両側でのターン光源3の断線検知を適切に行うことができる。
【0061】
また、信号生成部(タイマ回路33)は、所定周期でハイレベル期間T1とローレベル期間T2を繰り返す断続的な電圧としての第1電圧(Vtn)の供給が行われている期間は、継続的な電圧としての第2電圧(Vdr)の供給があっても、第2スイッチ(DRL側スイッチ39dr)がオフを維持するように第2信号(Sd)を生成する。
これにより第1光源に対しての第1電圧(Vtn)と、第2光源に対しての第2電圧(Vdr)が共に供給されているときは、第1光源が優先して発光駆動される。具体的には
図4で説明したように、ターン光源3の発光が優先され、ターンアクティブ期間TtonにはDRL光源4を発光をさせないようにすることができる。これによりターンシグナルランプとDRLの適切な発光動作が実現される。
【0062】
また信号生成部(タイマ回路33)は、第2電圧(Vdr)の波形に、第1電圧(Vtn)のローレベル期間T2よりも長い所定の遅延時間Tdを与えた信号Sdを第2信号とする。つまり第2電圧(Vdr)の供給開始から所定の遅延時間TdをもってDRL側スイッチ39drがオンとされてDRL光源4が発光されるようにする。
遅延時間Tdをローレベル期間T2より長くすることで、
図5で説明したように、ターン光源3の点滅中にDRL光源4で瞬灯が生じることを防止できる。
特に実施の形態の場合は、タイマ回路33のカウント動作が、信号Stによってセット/リセットが行われることで適切に瞬灯が防止される。
【0063】
また信号生成部(タイマ回路33)は、第1電圧(Vtn)と第2電圧(Vdr)が共に供給されている状態で、第1光源(ターン光源3)が点滅発光されている状態から、第1電圧(Vtn)の供給が停止されて第1光源の点滅発光が終了されたときには(
図3の時点t3)、点滅発光の終了タイミングから所定時間経過後(時点t4)に第2スイッチをオンとする第2信号(Sd)を生成するようにしている。
つまりターン光源3の点滅発光が終了した時点に第2電圧(Vdr)が供給されていたとしても、即座にDRL光源4の発光を開始させないことで、ターン点滅発光の終了を明確化できる。特にターンアクティブ期間Ttonの終了後、ローレベル期間T2よりも長い遅延時間Tdを経てからDRL光源4の発光が開始されることで、ターン点滅発光の終了がより明確となる。
【0064】
また実施の形態では、上述のようにターンアクティブ期間Tton内でのDRL瞬灯を防止することと、ターンアクティブ期間Ttonの終了後に所定の遅延時間TdをもってDRL点灯が行われるようにすることを、1つのタイマ回路33による信号Sdによって実現している。これにより簡易な構成で効率的な信号生成を行うものといえ、コストダウンにも寄与する。
【0065】
また制御部32は、少なくともターン側スイッチ39tnがオンとされる期間、つまり第1光源(ターン光源3)への駆動電流Idの供給を選択している期間には、ターン光源3用の電流値Ituの駆動電流Idを出力する。また少なくともDRL側スイッチ39drがオンとされる期間、つまり第2光源(DRL光源4)への駆動電流Idの供給を選択している期間には、DRL光源4用の電流値Idrの駆動電流Idを出力するように変換部31を制御している。
これによりターンシグナルランプ、DRLとしての適した輝度での発光を実現できる。
【0066】
特に実施の形態では、ターンシグナルランプとデイタイムランニングランプとしての2つの光源(3,4)について本発明の構成を適用しているが、これにより簡易な点灯回路構成で、ターンシグナル発光とDRL発光の選択や、ターンシグナルランプの優先点灯を実現でき、ターンシグナルランプとDRLの関係を考慮した発光動作が実現できる。
【0067】
本発明は実施の形態の回路構成や動作に限定されない。
図2や
図7の回路構成は一例であり、他にも具体的構成が各種想定されることはいうまでもない。
また実施の形態では第1,第2光源としてターンシグナルランプとDRLを想定したが、例えばターンシグナルランプとCLL等の他の組み合わせでも本発明は適用できる。
また
図2のような構成の車両用灯具1において、さらにCLL及びその点灯回路を組み込むことなども考えられる。
【0068】
また、実施の形態では、第1光源(ターン光源3)と第2光源(DRL光源4)が変換部31に対して並列接続される例としたが、直列でも良い。
例えば第1光源と第2光源を変換部の出力端子(31b)とグランド間に直列に接続する。そして第1光源と並列にバイパス用の第1スイッチを接続する。また第2光源と並列にバイパス用の第2スイッチを接続する。
この場合、第1スイッチがオフとされることで第1光源に駆動電流が供給され、第2スイッチがオフとされることで第2光源に駆動電流が供給されることになる。
従って第1信号(St)、第2信号(Sd)によってそれぞれ第1スイッチ、第2スイッチをオン/オフすることで、上述の実施の形態で説明した動作が可能となる。なお、この場合、第1、第2スイッチはバイパススイッチであるため、上述の実施の形態の場合とは、第1、第2信号の論理レベルと第1、第2スイッチのオン/オフの関係が逆にされれば良い。