(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は触覚情報を表現して使用者が触覚を通じて表現された情報を認識できる電子装置を提供することにある。
【0006】
また、映像データが有する形状情報、色相情報、及び階調情報に対応する触覚情報を表現する電子装置の情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による電子装置は圧力提供部、流体、及び触覚提供層を含む。
前記圧力提供部は、電気信号にしたがって初期圧力を発生させることができる。前記流体は、区画されたアクティブ領域に前記初期圧力によって流体圧力を発生させることができる。前記触覚提供層は前記流体圧力によって突出されることができる。
【0008】
前記圧力提供部は、前記アクティブ領域の内部に形成され、前記電気信号にしたがって機械的変形が発生する圧電素子を含むことができる。
【0009】
前記電子装置は、第1電極及び第2電極をさらに含むことができる。前記第1電極は、前記圧電素子の各々の一端に連結されることができる。前記第2電極は、前記圧電素子の各々の他端に連結されることができる。
【0010】
前記電子装置は、印加された圧力によって水素を吸収及び放出する水素格納合金をさらに含むことができる。
【0011】
前記電子装置は、基板上に形成され、内部に前記アクティブ領域を定義する隔壁をさらに含むことができる。前記隔壁は、第1隔壁及び第2隔壁を含むことができる。前記第1隔壁は、前記基板と前記水素格納合金との間に配置されて内部に密閉された第1空間を形成することができる。前記第2隔壁は、前記水素格納合金と前記触覚提供層との間に配置されて内部に密閉された第2空間を形成することができる。
【0012】
前記流体は、非活性気体及び水素を含むことができる。前記非活性気体は、前記第1空間に満たされることができる。前記水素は、前記第2空間に満たされるか、或いは前記水素格納合金に格納されることができる。
【0013】
本発明の他の実施形態による電子装置で、前記流体は、液体であってもよい。
【0014】
前記隔壁は、上部から下部に行くほど、幅が小さくなる領域を含むことができる。平面上で前記隔壁上端によって露出された領域は、前記隔壁下端によって露出された領域より小さい。
【0015】
前記電子装置は、前記流体の表面と前記触覚提供層との間に配置され、前記流体圧力によって移動して前記触覚提供層を突出させる突起をさらに含むことができる。
【0016】
前記電子装置は、映像データを受信し、前記映像データを触覚データに変換し、前記触覚データを表現部に出力する駆動部をさらに含むことができる。
【0017】
前記表現部は、前記触覚データに対応する触覚情報を表現し、前記圧力提供部、前記流体、及び前記触覚提供層を含むことができる。
【0018】
前記駆動部は、モード選択部、高さ算出部、質感算出部、及び触覚データ生成部を含むことができる。
【0019】
前記モード選択部は、前記映像データが有する形状情報、色相情報、及び階調情報の中で表現する情報を選択することができる。
【0020】
前記高さ算出部は、前記アクティブ領域の各々に対応する前記触覚提供層の単位領域の高さを決定することができる。
【0021】
前記質感算出部は、既設定された数からなされた単位領域グループの中で突出された単位領域の数を決定して前記触覚提供層の質感を決定することができる。
前記触覚データ生成部は、前記触覚提供層の高さ及び前記触覚提供層の質感に基づいて前記触覚データを生成することができる。
【0022】
電子装置の情報提供方法は、映像データが有する情報の中で表現する情報を選択する段階と、前記選択された情報に対応する触覚情報を電子装置の外表面の突出を通じて表現する触覚情報表現段階と、を含むことができる。
【0023】
前記映像データが有する情報は、形状情報、色相情報、及び階調情報を含むことができる。
【0024】
前記触覚情報表現段階は、前記単位領域の高さ及び既設定された数からなされた単位領域グループの中で突出された単位領域の数を通じて前記触覚情報を表現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態による電子装置によれば、電子装置は触覚情報を表現し、使用者は触覚を通じて表現された情報を認識することができる。
【0026】
本発明の一実施形態による電子装置の情報提供方法によれば、映像データが有する形状情報、色相情報、及び階調情報に対応する触覚情報を表現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定実施形態を図面に例示し、本文で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定な開示形態に対して限定しようとすることでなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むこととして理解しなければならない。
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の一実施形態による電子装置1000のブロック図である。
【0031】
図1を参照すれば、電子装置1000は駆動部100及び表現部200を含む。
【0032】
駆動部100は表現部200を駆動する。具体的に、駆動部100は映像データM_DATAを受信し、映像データM_DATAを触覚データT_DATAに変換する。駆動部100に対する詳細な内容は後述される。
【0033】
表現部200は触覚データT_DATAを受信し、触覚データT_DATAに対応する触覚情報を表現する。使用者は表現部200で表現された触覚情報を通じて形状、色相、及び階調を認識することができる。
【0034】
図2は
図1に図示された表現部200を示した分解斜視図である。
【0035】
図2を参照すれば、表現部200は基板SB、隔壁WL、圧力提供部、流体FD、及び触覚提供層TSを含む。
【0036】
基板SBは平坦な絶縁基板である。基板SBはガラス、プラスチック、及びセラミック等からなされてもよい。
【0037】
隔壁WLは基板SB上に形成される。隔壁WLは内部にアクティブ領域ARを定義する。アクティブ領域ARは隔壁WLによって空間的に分離される。アクティブ領域ARはマトリックス状に区画される。
【0038】
圧力提供部は電気信号にしたがって初期圧力を発生させる。圧力提供部は複数の圧電素子PZを含む。
【0039】
圧電素子PZは基板SB上に形成される。圧電素子PZはアクティブ領域ARの各々の内部に配置されてもよい。圧電素子PZは印加された電圧によって機械的に変形される。具体的に、圧電素子PZは電圧を受信して基板SBの延長面(板状面)に対して概ね垂直となる第1方向DR1に体積を膨脹することができる。初期圧力は圧電素子PZの体積膨脹によって第1方向DR1に発生する。
【0040】
圧電素子PZは、アルミニウムオルトホスフェート(AlPO
4)、石英、ロッシェル塩、トパーズ、ガリウムオルトホスフェート(GaPO
4)、ランタンガリウムシリケート(La
3Ga
5SiO
14)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、チタン酸ビスマス(Bi
4Ti
3O
12)、チタン酸鉛(PbTiO
3)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコニウム鉛(PZT)(Pb[Zr
XTi
1−X]O
3、0<x<1)、チタン酸ランタンビスマス(BLT)([Bi
4−XLa
X]Ti
3O
12、0<x<1)、酸化スズ(SnO
2)、ニオブ酸カリウム(KNbO
3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)、タンタル酸リチウム(LiTaO
3)、タングステン酸ナトリウム(Na
2WO
3)、ニオブ酸ナトリウムバリウム(Ba
2NaNb
5O
5)、ニオブ酸カリウム鉛(Pb
2KNb
5O
15)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNaNb
5O
5)、及びビスマスフェライト(BiFeO
3)等から形成されてもよい。
【0041】
流体FDは圧電素子PZ上に配置され、流体FDはアクティブ領域ARの各々の内部に配置されてもよい。流体FDは初期圧力によって流体圧力を発生させる。具体的に、流体FDは、圧電素子PZの機械的変形によって第1方向DR1に、触覚提供層TSに流体圧力を発生させる。
【0042】
触覚提供層TSは隔壁WL上に配置される。触覚提供層TSは流体FDの流体圧力によって突出される。触覚提供層TSはアクティブ領域ARに対応する複数の単位領域URを含む。各単位領域URの突出の可否はアクティブ領域ARの各々に配置された流体FDによって独立的に制御される。
【0043】
触覚提供層TSはフレキシブルな物質からなされる。触覚提供層TSはプラスチック樹脂や高分子フィルムであってもよい。
使用者は触覚提供層TSを通じて触覚情報を認識することができる。例えば、使用者は、触覚提供層TSに触れて触覚提供層TSの突出を感じることで、触覚情報を認識することができる。
【0044】
図3乃至
図5は本発明の様々な実施形態による表現部200の一部を示した斜視図である。
【0045】
図2及び
図3を参照すれば、表現部200は第1電極EL1及び第2電極EL2をさらに含む。
【0046】
第1電極EL1及び第2電極EL2は基板SB上に配置される。第1電極EL1及び第2電極EL2はアクティブ領域ARの各々の内部に配置される。
第1電極EL1は圧電素子PZの各々の一端に連結される。第2電極EL2は圧電素子PZの各々の他端に連結される。
【0047】
第1電極EL1は圧電素子PZの各々の上部に配置されてもよい。第2電極EL2は圧電素子PZの各々を介して第1電極EL1と対向するように配置されてもよい。第2電極EL2は圧電素子PZの各々の下部に配置されてもよい。
【0048】
第1電極EL1には第1電圧が印加され、第2電極EL2には第2電圧が印加される。第1電圧と第2電圧との電圧差によって圧電素子PZは第1方向DR1に体積を膨張するか、或いは第1方向DR1と反対方向に収縮することができる。
【0049】
図2及び
図4を参照すれば、表現部200は第1電極EL1及び第2電極EL2をさらに含む。
【0050】
第1電極EL1及び第2電極EL2は基板SB上に配置される。第1電極EL1及び第2電極EL2はアクティブ領域ARの各々の内部に配置される。
【0051】
第1電極EL1は圧電素子PZの各々の一端に連結される。第2電極EL2は圧電素子PZの各々の他端に連結される。
【0052】
第1電極EL1は圧電素子PZ各々の側面の一側に配置されてもよい。第2電極EL2は圧電素子PZの各々を介して第1電極EL1と対向するように配置されてもよい。第2電極EL2は圧電素子PZの各々の側面の他側に配置されてもよい。
【0053】
第1電極EL1には第1電圧が印加され、第2電極EL2には第2電圧が印加される。
【0054】
第1電圧と第2電圧との電圧差によって圧電素子PZは第1方向DR1に体積を膨張するか、或いは第1方向DR1と反対方向に収縮することができる。
【0055】
図2及び
図5を参照すれば、表現部200は第1電極EL1及び第2電極EL2をさらに含む。
【0056】
第1電極EL1及び第2電極EL2は基板SB上に配置される。第1電極EL1と第2電極EL2とは基板SBと平行な平面に対して互いに異なる方向に延長される。
【0057】
第1電極EL1は列方向に隣接する圧電素子に連結され、第2電極EL2は行方向に隣接する圧電素子に連結される。隔壁WLは第1電極EL1及び第2電極EL2上に形成される。
【0058】
第1電極EL1は圧電素子PZの各々の一端に連結される。第2電極EL2は圧電素子PZの各々の他端に連結される。
【0059】
第1電極EL1は圧電素子PZの各々の上部に配置されてもよい。第2電極EL2は圧電素子PZの各々を介して第1電極EL1と対向するように配置されてもよい。第2電極EL2は圧電素子PZの各々の下部に配置されてもよい。
【0060】
第1電極EL1には第1電圧が印加され、第2電極EL2には第2電圧が印加される。
【0061】
第1電圧と第2電圧との電圧差によって圧電素子PZは第1方向DR1に体積を膨張するか、或いは第1方向DR1と反対方向に収縮することができる。
【0062】
一方、これに制限されることではなく、第1電極EL1及び第2電極EL2は圧電素子PZの一端と他端とに各々連結されれるのであれば、
図3乃至
図5に図示された形態の以外の多様な形態に提供されることができる。以下、第1電極EL1及び第2電極EL2は
図3の構造を有することを一例として説明する。
【0063】
図6は本発明の一実施形態による
図1の表現部200を示した断面図である。
【0064】
図6には第1アクティブ領域AR1と第2アクティブ領域AR2とを含む2つのアクティブ領域を一例として図示した。第1アクティブ領域AR1は触覚提供層TSに圧力を加える領域であり、第2アクティブ領域AR2は触覚提供層TSに圧力を加えない領域である。
【0065】
図2及び
図6を参照すれば、表現部200は水素格納合金HTをさらに含む。水素格納合金HTは印加された圧力によって水素を吸収及び放出することができる。具体的に、水素格納合金HTは圧力が印加されれば、水素を放出し、圧力が印加されなければ、水素を再び格納することができる。水素格納合金HTの水素放出及び吸収は可逆反応である。
水素格納合金HTから放出された水素は触覚提供層TSに圧力を加え、触覚提供層TSを突出させる役割を果たす。
【0066】
水素格納合金HTは同種又は異種であってもよく、Mg
2Cu、Mg
2Ni等のMg系水素格納合金、LaNi
5、MmNi
5で代表される希土類金属系水素格納合金、TiFe、TiCo、TiMn、TiCr
2のTi系水素格納合金、及びZrMn
2のZr系水素格納合金等から適切に選択されることができる。
【0067】
水素格納合金HTは100X100X10μm
3の単位体積を有する時、1.4X10
6μm
3の最大水素放出量を有する。人間の触覚分解能が約40μmであることを鑑みる時、単位体積を有する水素格納合金HTとしても人間に認識可能な範囲の触覚情報を提供することができる。
【0068】
水素格納合金HTはアクティブ領域ARの各々に対応し、互いに離隔されて複数個で提供される。水素格納合金HTは第1アクティブ領域AR1に対応する第1水素格納合金HT1及び第2アクティブ領域AR2に対応する第2水素格納合金HT2を含む。
隔壁WLは第1隔壁WL1及び第2隔壁WL2を含む。
【0069】
第1隔壁WL1は基板SBと水素格納合金HTとの間に配置されて内部に密閉された第1空間SP1を形成する。
【0070】
第2隔壁WL2は水素格納合金HTと触覚提供層TSとの間に配置されて内部に密閉された第2空間SP2を形成する。
【0071】
流体FDは気体であってもよい。流体FDは非活性気体及び水素を含む。非活性気体は第1空間SP1に満たされる。非活性気体は18族元素で、反応性が非常に低いので、容易に化合物を作らない。水素は第2空間SP2に満たされるか、或いは水素格納合金HTに格納される。
【0072】
以下、第1アクティブ領域AR1と第2アクティブ領域AR2との駆動メカニズムに対して説明する。
【0073】
第1アクティブ領域AR1の第1電極EL1と第2電極EL2とには互いに異なる電圧が印加され、第1電極EL1と第2電極EL2とに印加された電圧の電圧差によって圧電素子PZ1は第1方向DR1に沿って体積が膨張されることができる。圧電素子PZ1の体積が膨張されれば、第1空間SP1に満たされた非活性気体は第1水素格納合金HT1に圧力を加えることになる。第1水素格納合金HT1は非活性気体が加える圧力によって水素を第2空間SP2に放出し、水素は触覚提供層TSの対応される単位領域UR1に圧力を加えることになる。単位領域UR1は水素が加える圧力によって第1方向DR1に突出される。使用者は突出された単位領域UR1が表現する情報を触覚を通じて認識することができる。
【0074】
第2アクティブ領域AR2の第1電極EL1と第2電極EL2には互いに同一の電圧が印加されてもよい。第1電極EL1と第2電極EL2とに印加された電圧間に電圧差が発生しないので、圧電素子PZ2は体積が膨張されない。第1空間SP1に満たされた非活性気体は第2水素格納合金HT2に圧力を加えなく、第2水素格納合金HT2は第2空間SP2に満たされた水素を再び格納する。触覚提供層TSの単位領域UR2は圧力が加えなく、単位領域UR2は突出されない。使用者は突出されない単位領域UR2が表現する情報を触覚を通じて認識することができる。
【0075】
図7は本発明の他の実施形態による
図1の表現部200を示した断面図である。
【0076】
図7には第1アクティブ領域AR1と第2アクティブ領域AR2とを含む2つのアクティブ領域を一例として図示した。第1アクティブ領域AR1は触覚提供層TSに圧力を加える領域であり、第2アクティブ領域AR2は触覚提供層TSに圧力を加えない領域である。
【0077】
図7を参照すれば、隔壁WLは上部隔壁WLUと下部隔壁WLLとを含む。下部隔壁WLLは基板SB上に配置される。上部隔壁WLUは下部隔壁WLLと触覚提供層TSとの間に配置される。上部隔壁WLU及び下部隔壁WLLは一体に形成される。一方、これに制限されることではなく、隔壁WLは上部隔壁WLUのみからなされてもよい。
上部隔壁WLUは、その断面において、上部から下部に行くほど、幅が小さくなる。したがって、平面上で上部隔壁WLUの上端によって露出された領域は下部隔壁WLL下端によって露出された領域より小さい。例えば、下部隔壁WLLは所定の厚みを有する板状部材が行方向及び列方向に配置されてなる。また、例えば、上部隔壁WLUは、円柱の延びる方向に沿って概ね半分に円柱を切断した部材が行方向及び列方向に配置されてなる。
流体FDは液体であってもよい。具体的に、流体FDはオイルである。流体FDの表面の高さは圧電素子PZの体積膨張によって調節される。流体FDの最大表面の高さは上部隔壁WLUの上端を越えない。
【0078】
表現部200は突起PDをさらに含む。突起PDは流体FDの表面と触覚提供層TSとの間に配置される。突起PDは流体FDの流体圧力(流体FDの表面の高さの移動)によって移動して触覚提供層TSを突出させる。望ましくは、突起PDは相対的に浮力が大きい物質からなされる。
【0079】
以下、第2アクティブ領域AR1と第2アクティブ領域AR2との駆動メカニズムに対して説明する。
【0080】
第1アクティブ領域AR1の第1電極EL1と第2電極EL2とには互に異なる電圧が印加され、第1電極EL1と第2電極EL2とに印加された電圧の電圧差によって圧電素子PZ1は第1方向DR1に沿って体積が膨張されることができる。圧電素子PZ1の体積が膨張されれば、流体FDの表面の高さは上がることになり、突起PDは触覚提供層TSの対応される単位領域UR1に圧力を加えることになる。単位領域UR1は流体FD及び突起PDが加える圧力によって第1方向DR1に突出される。使用者は突出された単位領域UR1が表現する情報を触覚を通じて認識することができる。
【0081】
第2アクティブ領域AR2の第1電極EL1と第2電極EL2とには互いに同一の電圧が印加されることができる。第1電極EL1と第2電極EL2とに印加された電圧間に電圧差が発生しないので、圧電素子PZ2は体積が膨張されない。流体FDの表面の高さは維持されるか、或いは下降(圧電素子PZ2の体積が膨張された状態から収縮された場合)するようになり、突起PDは上部隔壁WLUの上端の下に位置する。触覚提供層TSの単位領域UR2は圧力を受けず、単位領域UR2は突出されない。使用者は突出されない単位領域UR2が表現する情報を触覚を通じて認識することができる。
【0082】
図8は
図1に図示された駆動部100を示したブロック図である。
【0083】
図8を参照すれば、駆動部100はモード選択部110、高さ算出部120、質感算出部130、及び触覚データ生成部140を含む。
【0084】
モード選択部110は、外部から映像データM_DATAを受信する。モード選択部110は映像データM_DATAが有する形状情報、色相情報、及び階調情報の中で表現する情報を選択する。
【0085】
映像データM_DATAが有する形状情報は、例えば、表示しようとしている物体の輪郭を示す情報、物体の厚みを示す情報等の物体の形状を人が認識可能な情報であり得る。例えば、輪郭を示す情報は、輪郭部分に対応する各画素を所定の第1ビット群で表し、輪郭部分以外に対応する各画素を第1ビット群とは異なる第2ビット群で表す。また、例えば、物体の厚みは、物体の輪郭に対応する各画素の第1ビット群を厚みに応じた所定のビットで表す。例えば、輪郭部分の画素は“0”,“1”,“2”,“3”等の第1ビット群で表し、輪郭部分以外の画素を“4”等の第2ビット群で表す。そして、例えば輪郭部分の厚みが小さい方から大きい方にかけて、順に“0”,“1”,“2”,“3”それぞれに対応させて表す。
【0086】
映像データM_DATAが有する色相情報は、色味の違いをビットの値の違いで表した情報である。例えば、赤、黄色、緑色、青色といった色の違いをそれぞれ異なるビットの値で表した情報である。
【0087】
映像データM_DATAが有する階調情報は、例えば、各色ごとについての濃淡を所定の段階数で表したビットによって表される。
【0088】
前述の形状情報、色相情報及び階調情報は一例であり、各情報が適切に表現されるのであればこれに限定されない。
【0089】
表現部200は使用者に触覚情報を提供するので、映像データM_DATAが有する情報と同一の情報を使用者に提供するわけではない。例えば、表現部200は、使用者の手等の触覚により情報を提供するのであって、通常の映像を画面に表示することにより情報を使用者に提供するわけではない。もし、モード選択部110で映像データM_DATAの形状情報を選択した場合、触覚データ生成部140は形状情報に関する触覚データT_DATAを生成して表現部200に出力し、使用者は触覚データT_DATAに対応する触覚情報を認識することができる。この時、表現部200は触覚提供層TSの高さ又は質感で触覚情報を表現することができる。
【0090】
例えば、使用者がモード選択部110を介して映像データM_DATAの形状情報を選択した場合、触覚データ生成部140は、映像データM_DATAが有する形状情報に基づいて、各単位領域の第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧を印加し、各圧電素子PZの体積が膨張される。なお、映像データM_DATAが有する形状情報と、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係とは、予め規定されている。よって、例えば、触覚データ生成部140は、映像データM_DATAが有する形状情報に基づいて、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加すべき電圧を決定し、これを触覚データT_DATAとする。この触覚データT_DATAに基づいて、第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加され、各圧電素子PZが機械的に変動して触覚提供層TSの高さ又は質感を変化させる。
【0091】
使用者がモード選択部110を介して映像データM_DATAの色相情報を選択した場合、触覚データ生成部140は、映像データM_DATAが有する色相情報に基づいて、各単位領域の第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧を印加し、圧電素子PZの体積が膨張される。なお、映像データM_DATAが有する色相情報と、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係とは、予め規定されている。よって、例えば、触覚データ生成部140は、映像データM_DATAが有する色相情報に基づいて、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加すべき電圧を決定し、これを触覚データT_DATAとする。この触覚データT_DATAに基づいて、第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加され、各圧電素子PZが機械的に変動して触覚提供層TSの高さ又は質感を変化させる。
【0092】
使用者がモード選択部110を介して映像データM_DATAの階調情報を選択した場合、触覚データ生成部140は、映像データM_DATAが有する階調情報に基づいて、各単位領域の第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧を印加し、圧電素子PZの体積が膨張される。なお、映像データM_DATAが有する階調情報と、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係とは、予め規定されている。よって、例えば、触覚データ生成部140は、映像データM_DATAが有する階調情報に基づいて、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加すべき電圧を決定し、これを触覚データT_DATAとする。この触覚データT_DATAに基づいて、第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加され、各圧電素子PZが機械的に変動して触覚提供層TSの高さ又は質感を変化させる。
【0093】
図9は人間の顔形状が表現された電子装置1000を示した図面である。
【0094】
図8及び
図9を参照すれば、映像データM_DATAが人間の顔に対する映像情報を有し、モード選択部110で映像データM_DATAの形状情報を選択した場合、表現部200は立体感ある人間の顔形状を表現することができる。使用者は表現部200で表現された目、鼻、口等の形状と皮膚との粗さを触覚で認知して表現部200で人間の顔が表現されたことを認知することができる。
【0095】
一方、再び
図8を参照すれば、モード選択部110で映像データM_DATAの色相情報又は階調情報を表現する情報として選択した場合、表現部200は色相情報又は階調情報を表現し、使用者はこれを認知することができる。この時、表現部200は触覚提供層TSの高さ又は質感を通じて色相情報又は階調情報を表現することができる。
図10は触覚提供層の高さを通じた色相と階調表現とを説明するための表現部の断面図である。
【0096】
図10には表現部200の構成の中で触覚提供層TSを除外した残りの構成を表現基板500に単純化して図示した。
【0097】
図8及び
図10を参照すれば、触覚提供層TSの最大高さを有する単位領域UR−Aがレッド色相を表現することとして定義し、触覚提供層TSの最小高さを有する単位領域(UR−G、突出されない単位領域)がブルー色相を表現することとして定義する。また、最小高さと最大高さとの間の高さを有する単位領域UR−B〜UR−Fは色座標上でレッドとブルーとの間の色相を表現することとして定義する。各色相に応じた触覚提供層TSの高さは、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加された電圧によって膨張する圧電素子PZの体積によって決まる。よって、予め、各色相に応じた触覚提供層TSの高さと、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係は規定されている。使用者は触覚提供層TSの高さを触覚で認知して色相を認知することができる。
図10の場合、使用者は図面の左側から右側に行くほど、レッドからブルーに色相が変わって行くことを認知することができる。
【0098】
同様に、触覚提供層TSの最大高さを有する単位領域UR−Aがホワイト階調を表現することとして定義し、触覚提供層TSの最小高さを有する単位領域(UR−G、突出されない単位領域)がブラック階調を表現することとして定義することができる。また、最小高さと最大高さとの間の高さを有する単位領域UR−B〜UR−Fはホワイトとブラックとの間の階調を表現することとして定義することができる。各諧調に応じた触覚提供層TSの高さは、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加された電圧によって膨張する圧電素子PZの体積によって決まる。よって、予め、各諧調に応じた触覚提供層TSの高さと、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係は規定されている。使用者は触覚提供層TSの高さを触覚で認知して階調を認知することができる。
図10の場合、使用者は図面の左側から右側に行くほど、ホワイトからブラックに階調が変わって行くことを認知することができる。
【0099】
図11A乃至
図11Cは触覚提供層の質感を通じた色相と階調表現とを説明するための表現部の断面図である。
【0100】
図11C乃至
図11Cには3X3形態に配列された触覚提供層TSの単位領域UR−A〜UR−Iを一例として示し、丸(circle)表示された単位領域は突出され、丸表示されない単位領域は突出されないこととして定義する。丸表示された単位領域は全て同一の高さに突出されたことを仮定する。例えば、丸で表示された単位領域に対応する圧電素子PZには、第1電極EL1及び第2電極EL2に所定の電圧が印加され体積が膨張される。これにより、触覚提供層TSの丸で表示された単位領域が突出する。
【0101】
図11Aの場合、突出された単位領域の密度が高いので、使用者は触覚的に粗い質感を認知し、
図11Cの場合、突出された単位領域の密度が低いので、使用者は触覚的に平坦な質感を認知し、
図11Bの場合、使用者は
図11Aと
図11Cとの間の粗さを有する質感を認知することができる。
【0102】
図8及び
図11A乃至
図11Cを参照すれば、突出された単位領域の密度が最大に高い場合をレッド色相を表現することとして定義し、突出された単位領域の密度が最小に低い場合をブルー色相を表現することとして定義することができる。また、突出された単位領域の密度が最小と最大との間である場合、レッドとブルーとの間の色相を表現することとして定義することができる。使用者は触覚提供層TSの粗さを触覚で認知して色相を認知することができる。
図11Aから
図11Cに行くほど、使用者はレッドからブルーに色相が変わって行くことを認知することができる。
【0103】
同様に、突出された単位領域の密度が最大に高い場合をホワイト階調を表現することとして定義し、突出された単位領域の密度が最小に低い場合をブラック階調を表現することとして定義することができる。また、突出された単位領域の密度が最小と最大との間である場合、ホワイトとブラックとの間の階調を表現することとして定義することができる。使用者は触覚提供層TSの粗さを触覚で認知して階調を認知することができる。
図11Aから
図11Cに行くほど、使用者はホワイトからブラックに階調が変わって行くことを認知することができる。
【0104】
図2及び
図8を参照すれば、高さ算出部120はモード選択部110から選択された表現する情報M1を受信する。高さ算出部120は表現する情報M1に基づいてアクティブ領域URの各々に対応する触覚提供層TSの単位領域URの高さを決定する。高さ算出部120は決定された単位領域URの高さを第1信号H1として出力する。
質感算出部130はモード選択部110から選択された表現する情報M1を受信する。質感算出部130は表現する情報M1に基づいて触覚提供層の質感を決定する。質感算出部130は予め設定された数値から構成された単位領域グループの中で突出された単位領域の数を決定する。質感算出部130は予め設定された数値から設定された単位領域グループの中で突出された単位領域の数を第2信号R1として出力する。
【0105】
触覚データ生成部140は第1信号H1及び第2信号R1を受信する。触覚データ生成部140は触覚提供層の高さ及び触覚提供層の質感を基づいて触覚データT_DATAを生成する。触覚データ生成部140は触覚データT_DATAを
図1の表現部200に出力する。
【0106】
なお、情報M1には、前述の映像データM_DATAが有する形状情報、色相情報、及び階調情報等が含まれる。情報M1に含まれる形状情報、色相情報、及び階調情報等によって、前述の単位領域URの高さ、突出された単位領域の数等が決定される。形状情報、色相情報、及び階調情報等と、単位領域URの高さ及び突出された単位領域との関係とは予め規定されている。例えば、選択された情報M1が形状情報である場合、高さ算出部120は、情報M1が有する形状情報に基づいて、各単位領域URの高さを決定し、第1信号H1を出力する。第1信号H1に基づいて第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加され、圧電素子PZの体積が膨張される。なお、情報M1が有する形状情報と、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係とは、予め規定されている。
【0107】
また、例えば、選択された情報M1が形状情報である場合、質感算出部130は、形状情報に基づいて単位領域グループの中で突出される単位領域の場所を決定し、第2信号R1を出力する。第2信号R1に基づいて第1電極EL1及び第2電極EL2に電圧が印加され、圧電素子PZの体積が膨張される。なお、情報M1が有する形状情報と、第1電極EL1及び第2電極EL2に印加される電圧との関係とは、予め規定されている。
情報M1が色相情報、及び階調情報等である場合も同様である。
【0108】
図12は本発明の一実施形態による電子装置の情報提供方法を示したフローチャートである。
【0109】
図2及び
図12を参照すれば、電子装置の情報提供方法は、映像データが有する情報の中で表現する情報を選択する段階(S1)及び選択された情報に対応する触覚情報を電子装置の外表面の突出を通じて表現する触覚情報表現段階(S2)を含む。
映像データが有する情報は形状情報、色相情報、及び階調情報を含むことができる。
図2に図示された電子装置200の触覚提供層TSは複数の単位領域URを含み、単位領域URは圧電素子PZと流体FDとによって突出される。
触覚情報表現段階(S2)は単位領域URの高さ及び既設定された数からなされた単位領域グループの中で突出された単位領域の数を通じて触覚情報を表現することができる。
電子装置200が形状情報、色相情報、及び階調情報を表現し、使用者がこれを認識するメカニズムに対しては
図8乃至
図11Cを参照して説明したので、具体的な説明は省略する。
【0110】
上記では、各アクティブ領域ARにそれぞれ圧電素子PZが設けられている。しかし、各アクティブ領域ARに対応して複数の圧電素子PZが配置されてもよい。各圧電素子PZは、それぞれに対応する電気信号を受けて機械的に、それぞれ第1方向DR1に変形する。各アクティブ領域ARに複数の圧電素子PZが配置されることで、1つのアクティブ領域AR内においても第1方向DR1方向の変形量を圧電素子PZ毎に異ならせることができる。よって、より細やかな触覚を使用者に提供することができる。
【0111】
上記では、圧電素子PZが第1方向DR1に体積を膨脹することで、触覚提供層TSが流体圧力を受けて突出する。しかし、圧電素子PZが第1方向DR1と反対方向に体積を縮小することで、触覚提供層TSが初期位置よりも凹んでもよい。この場合、圧電素子PZは、初期位置において、体積を膨張する方向と縮小する方向との中間の体積に設計される。そして、初期位置の圧電素子PZが流体FDを介して触覚提供層TSと接触することで、触覚提供層TSが初期位置(初期高さ)となっている。この状態で、圧電素子PZが電気信号を受けて、第1方向DR1と反対方向に体積を縮小する。このとき、流体FDは第1方向DR1と反対方向に引き寄せられる。これに伴い、触覚提供層TSもまた第1方向DR1と反対方向に引き込まれる。このように各圧電素子PZが第1方向DR1と、第1方向DR1の反対方向とに膨張又は縮小することで、触覚提供層TSが初期位置よりも突出又は凹むため、使用者によりきめ細やかな立体感のある触覚を提供することができる。例えば、一例であるが、圧電素子PZは、通常時は所定の高さ位置T1に位置しており、プラスの電気信号の印加を受けて第1方向DR1に膨張し、逆にマイナスの電気信号の印加を受けて第1方向DR1と反対方向に縮小し得る。
【0112】
一方、本発明は記載された実施形態に限定されることでなく、本発明の思想及び範囲を逸脱しなく、多様に修正及び変形ができることはこの技術分野で通常の知識を有する者には明確である。したがって、そのような変形例又は修正例らは本発明の特許請求の範囲に属することである。