(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0013】
《ホットスポット付蓋材》
本発明のホットスポット付蓋材は、内層及び外層を含み、ホットスポットを被覆している外層の領域(以下、「ホットスポット被覆部」という)を剥離することで、ホットスポットを表出させることができる。また、本発明のホットスポット付蓋材は、ホットスポット被覆部が存在せず、表出していてもよい。
【0014】
本発明の蓋材の厚さは、例えば50μm以上、70μm以上、又は90μm以上であってもよく、250μm以下、200μm以下、又は150μm以下であってもよい。また、本発明の蓋材の面積は、例えば50cm
2以上、70cm
2以上、100cm
2以上、又は150cm
2以上とすることができ、700cm
2以下、600cm
2以下、500cm
2以下、又は400cm
2以下とすることができる。
【0015】
〈蓋材開封用タブ〉
本発明のホットスポット付蓋材は、容器から剥がしやすくするためのつまみ部分等である蓋材開封用タブを有していてもよい。蓋材開封用タブは、本発明の蓋材の外形の一部又は全部を構成し、蓋材を容器と接着させた後に、容器外側に延在することが好ましい。
【0016】
〈ホットスポット〉
ホットスポットは、外層が存在せず、内層のみで構成されるため、外層と内層とを有する蓋材の他の部分よりも伝熱性が高くなっている。したがって、容器内部に湯を入れた際に、ホットスポット上に後入れ材の包装体を置くと、後入れ材を効果的に加温することができる。また、内層は、少なくともホットスポットの場所で、伝熱性の高い材料、例えばアルミニウム箔を含むことが好ましい。
【0017】
好ましくは、ホットスポットは、容器内部からの伝熱性を高めるための開口部、特に円形、楕円形、多角形の孔、スリット等を有する。このような開口部があることで、内部の湯からの蒸気によって後入れ材を直接的に加温することができる。
【0018】
開口部が孔である場合には、内層側から孔の形状にハーフカットを入れることで、ホットスポット被覆部を剥離する際に、内層のハーフカットによる孔を、ホットスポット被覆部と共に除去することができ、これにより開口部を表出させることができる。開口部がスリットである場合にも、内層に直線状のハーフカットを入れることで形成することができる。ここで、内層にハーフカットを入れるとは、内層側から、内層の深さ及び随意に易剥離性層の深さまで切り込みを入れることをいう。
【0019】
外層上のホットスポット被覆部は、外層側からハーフカットされることによって、他の外層から画定されることが好ましい。これにより、ホットスポット被覆部を決まった形状で剥離することができ、ホットスポットを表出させることができる。
【0020】
外層上のホットスポット被覆部と外層の他の領域との間が、易カット性(特に、直線カット性材料)であることによって、外層を引き裂いてホットスポットを表出させてもよい。この場合には、ホットスポットを切り裂きやすくするために、ホットスポット被覆部と外層の他の領域との間の切り裂き開始位置において、切り裂き案内部を有していることが好ましい。この態様では、外層にハーフカットを入れなくてもよいため、ハーフカットの隙間からの容器内外の流通が存在せず、バリア性を高めることができ好ましい。
【0021】
ホットスポットは、後入れ材を効果的に加温できるように、後入れ材の袋体の1つの面と略同じ面積を有していることが好ましい。ただし、ホットスポット被覆部と外層のそれ以外の領域との間に易カット性材料(特に、直線カット性材料)等を用いて、ホットスポットを表出させる場合等には、ホットスポットは、外層の剥離の仕方によって面積が変化する場合がある。
【0022】
また、ホットスポット被覆部を剥離しやすくするために、ホットスポット被覆部にホットスポット表出用タブを設けてもよい。ホットスポット表出用タブは、蓋材を容器から半分まで剥がす場合に、蓋材が剥がれる領域に存在することが好ましい。ホットスポット表出用タブが、蓋材の剥がれた領域に存在すると、蓋材をタブ部分で折り曲げることで、タブ部分を容易に摘まむことができるようになる。
【0023】
また、ホットスポット表出用タブが、蓋材の外形の一部を構成していてもよい。その場合には、蓋材を容器と接着させた後に、ホットスポット表出用タブは容器外側に延在することが好ましい。さらに、ホットスポット表出用タブは、ホットスポット被覆部のみが剥がれるように、蓋材と容器との接着部分の外側で、内層がハーフカット等によって分離していることが好ましい。このようなハーフカットがなく内層が分離してない場合、ホットスポット表出用タブからホットスポット被覆部を剥がそうとすると、内層までも剥がれてしまう場合がある。
【0024】
この蓋材は、ホットスポットが後入れ材を温めるための場所であると認識できる表示を有していることが好ましい。後入れ材を温めるための場所であると認識できる表示は、文字等による蓋材への記載であってもよく、蓋材上には記号による表示、色彩の差異、凹凸等のみを存在させて、容器、包装フィルム等に追加の説明書き等を記載してもよい。
【0025】
ホットスポットは、例えば20cm
2以上、25cm
2以上、30cm
2以上、又は35cm
2以上とすることができ、100cm
2以下、80cm
2以下、60cm
2以下、又は50cm
2以下とすることができる。
【0026】
〈湯切り孔〉
また、本発明の蓋材が、例えばカップ焼きそば用の容器に用いられる場合には、湯切り孔を有していてもよい。
【0027】
湯切り孔は、内層側からハーフカットを入れることで形成してもよい。剥離部を剥離する際に、内層のハーフカットによる孔を外層と共に除去し、これにより湯切り孔を表出させることができる。
【0028】
湯切り孔は、ホットスポットの開口部であってもよく、この場合には特に、ホットスポットが後入れ材を温めるための場所であると認識できる表示をこの蓋材が有していることが好ましい。
【0029】
湯切り孔を、ホットスポットとは異なる位置に存在させてもよい。その場合には、蓋材に外層と内層とが剥離可能である剥離部を与え、剥離部を剥離することによって、湯切り孔が表出することが好ましい。
【0030】
この剥離部は、この蓋材の外形の一部を構成し、かつ、つまみとなるための剥離タブを有することが好ましい。また、この剥離部は、剥離部のみが剥がれるように、蓋材と容器との接着部分の外側で、内層がハーフカット等によって分離されて、剥離タブが画定されていることが好ましい。内層が分離してない場合、剥離タブから剥離部を剥がそうとすると、内層までも剥がれてしまう場合がある。
【0031】
剥離部は、例えば5cm
2以上、10cm
2以上、又は15cm
2以上とすることができ、50cm
2以下、30cm
2以下、又は20cm
2未満とすることができる。
【0032】
〈層構成−内層〉
本発明の蓋材の内層としては、市販のフィルム、押出し樹脂等を適宜用いることが可能である。例えば、フィルムであれば、熱可塑性樹脂フィルム、例えばPETフィルム、LDPEフィルム、MDPEフィルム、HDPEフィルム、LLDPEフィルム、PPフィルム、Nyフィルム等を、単独で又は組み合わせて使用してよい。押出し樹脂であれば、LDPE、MDPE、HDPE、LLDPE、PP、EVA、EMAA等を、単独で又は組み合わせて使用してよい。また、内層は、上記以外の樹脂層、紙層、接着剤層、アルミニウム箔等の金属箔層、無機物蒸着フィルム層等を含んでもよい。これらのフィルムには、表面を変性し又は表面を清浄化することによって接着性を向上させる目的で、コロナ処理をすることができる。
【0033】
内層は、好ましくは伝熱性及びバリア性を高めるために金属箔、例えばアルミニウム箔を含み、さらに容器本体と接着する側にシーラントを有していてもよい。シーラントによって、本発明の蓋材を、用いる容器本体にヒートシールすることができる。シーラントの材料は、封止すべき容器等の材質によって選択され、例えば、LDPE、LLDPE、PP、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMAA)、エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等の樹脂でよい。これらの樹脂は、例えば、延伸又は無延伸フィルム、押出積層用の溶融樹脂、ホットメルト用の塗料等の形態で与えることができる。
【0034】
特に好ましいシーラントは、組成の異なる樹脂を混合し、海−島構造を付与したシーラントや、シーラント層を複層にして開封時に層間剥離となるシーラントなど、易剥離性を付与したイージーピールシーラントである。
【0035】
内層の厚さは、例えば120μm以下、100μm以下、80μm以下、又は60μm以下とすることができ、また10μm以上、20μm、又は30μm以上とすることができる。
【0036】
〈層構成−外層〉
本発明の蓋材は、外層の一部では、内層と剥離可能でなくてもよいが、好ましくは外層の実質的に全ての領域で内層と剥離可能である。
【0037】
蓋材の外層としては、紙、熱可塑性樹脂フィルム、例えばPETフィルム、LDPEフィルム、MDPEフィルム、HDPEフィルム、LLDPEフィルム、PPフィルム、ナイロンフィルムなどを、単独で又は組み合わせて使用してよい。また、外層は、上記以外の樹脂層、紙層、接着剤層、アルミニウム箔等の金属箔層、無機物蒸着フィルム層等を含んでもよい。さらに印刷層を含んでもよい。
【0038】
また、ホットスポット上の外層を易カット性にする実施態様においては、外層の一部では、易カット性でなくてもよいが、好ましくは外層の実質的に全ての領域が易カット性である。易カット性は、剥離部を剥がす方向に向かって易カット性であればよい。
【0039】
外層は、単層であっても多層であってもよい。ホットスポット上の外層を易カット性にする実施態様においては、外層が多層である場合、多層のうち少なくとも一層は、易カット性でなくてもよい。例えば、多層のうちの少なくとも一層が易カット性でなくても、他の層が易カット性であり、その易カット性の層と易カット性でない層とが接着している場合には、易カット性でない層も、易カット性の多層を構成することができる場合がある。
【0040】
ここで、易カット性とは、少なくとも1つの方向に、手で引裂くことができる性質をいう。例えば、易カット性とは、少なくとも1つの方向において引裂強さが、10.0N/mm以下、8.0N/mm以下、又は5.0N/mm以下である場合をいう。ここで、引裂き強さは、JIS K7128−1に準拠したトラウザー引裂法に基づいて、株式会社東洋精機製作所製のストログラフVES1Dを用いて、115mm×50mmのサンプルサイズかつ長手方向のスリット45mmで、試験速度200mm/min、つかみ具間距離75mm、測定距離150mmとし、3回の測定値の平均値をいう。
【0041】
また、易カット性とは、直線カット性であることが好ましい。フィルムの直線カット性とは、引き裂こうとすると、フィルムの分子配向等に起因して、直線状に容易に引き裂くことができるフィルムの性質をいう。例えば、延伸フィルム、特に一軸延伸フィルムは、直線カット性を有しているため、ホットスポット上の外層を剥離する領域に、少なくとも外層及び内層を含む積層体の一部として用いることが好適である。ホットスポット上の外層を剥がす方向に向かって直線カット性である場合には、ホットスポット上の外層をきれいに切り取ることができ、これによりホットスポットを確実に表出させることができる。
【0042】
易カット性及び/又は直線カット性を有していないフィルムに切り込みを入れて、易カット性及び/又は直線カット性を付与することもできる。例えば、樹脂フィルムがアルミニウム層をサンドイッチした構造体に、レーザーでカッティングすることで、アルミニウム層を傷つけずに樹脂フィルムのみに切れ込みを入れることができる。また、樹脂フィルムの厚みの一部のみにロータリーカッター等で切れ込みを入れることもできる。さらに、フィルムにフィラー等を含有させることによって、易カット性を付与してもよい。
【0043】
外層の厚みとしては、特に限定されないが、20μm以上、30μm以上、又は40μm以上で、120μm以下、100μm以下、又は80μm以下とすることができる。
【0044】
〈層構成−易剥離性層〉
本発明の蓋材の内層にあるホットスポットと、その上の外層とは互いに剥離性とする必要があるため、外層の剥離部と内層との間に、易剥離性層を設けてもよい。また、易剥離性層は、易剥離性樹脂層であってもよく、剥離部と内層とを剥離する部分に剥離ニス等を塗布することで形成した層でもよく、これらを組み合わせた層でもよい。
【0045】
易剥離性層は、ホットスポット上の外層を剥がした後に、ホットスポット上にも残留する場合がある。易剥離性層として易剥離性樹脂層を用いた場合に、表出したホットスポットの表面に易剥離性樹脂が存在すると、易剥離性樹脂(例えば、軟化点が70〜90℃の易剥離性樹脂)が注湯による加温により柔らかくなり、ホットスポット上に置いた樹脂製(特にポリオレフィン系樹脂製)の後入れ材の包装体との間で密着強度が上がり、摩擦抵抗が大きくなることで滑りにくくなるため、より好ましい。
【0046】
易剥離性樹脂層に用いる易剥離性樹脂としては、ポリオレフィンに、環状オレフィンコポリマー(COC)を所定の比率で混合した樹脂であることが好ましい。
【0047】
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
【0048】
ポリオレフィンのMFR(Melt Flow Rate)は、JIS K7210に準拠し、温度190℃/荷重2.16kgの条件の下で測定した場合、0.01g/10分以上、0.1g/10分以上、又は1.0g/10分以上であってよく、また60g/10分以下、20g/10分以下、又は10g/10分以下であってよい。
【0049】
ポリオレフィンの密度は、0.89g/cm
3以上であってよく、また、この密度は、0.94g/cm
3以下であってよい。
【0050】
環状オレフィンコポリマー(COC)とは、α−オレフィンと環状オレフィンとを、へキサン、へプタン、オクタン、シクロへキサン、べンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒中で、いわゆるチーグラー触媒、メタロセン触媒などの触媒を調合することにより得ることができる共重合体をいう。
【0051】
COCのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度190℃/荷重2.16kgの条件の下で測定した場合、0.1g/10分以上、1.0g/10分以上、又は2.0g/10分以上であってよく、また、このMFRは、温度190℃/荷重2.16kgの条件の下で測定した場合、40g/10分以下、20g/10分以下、又は10g/10分以下であってよい。
【0052】
易剥離性樹脂層は、LDPEとCOCとの混合比率を変えることにより、界面剥離強度を調整することができる。易剥離性樹脂中のCOCの含有量は、1質量%以上、又は3質量%以上であってよく、また、この含有量は、24質量%以下又は10質量%以下であってよい。このような範囲であれば、COCの含有量は、内層又は外層(剥離部)と易剥離性樹脂層との界面剥離が容易になり、かつ両者の剥離強度の制御が容易になるため好ましい。
【0053】
易剥離性樹脂層の厚さは、剥離する層との接着性及び剥離性を両立させるために、例えば10μm以上又は15μm以上であってよく、40μm以下又は25μm以下であってよい。
【0054】
また、易剥離性層は、ニトロセルロース樹脂と、ウレタン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリアミド系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂との混合物、水性ニス、油性ニス、紫外線硬化型ニス等であってもよい。
【0055】
剥離ニスは、上記で列挙された樹脂の少なくとも1つとワックスの混合物であることがより好ましい。混合物中のワックスの含有率は、混合物の質量を基準として、約20質量%以上、又は約30質量%以上であってよく、また約85質量%以下、又は約80質量%以下であってよい。
【0056】
ワックスの含有率が、約20質量%以上であると、剥離ニス層と隣接している他の層のピッキングを防ぐことができるので好ましく、一方で、約85質量%以下であると、剥離ニス層の層間剥離を防ぐことができるので好ましい。
【0057】
〈層構成−その他〉
本発明の蓋材は、内層、外層及び易剥離性層の他に、任意の2つの層の間又はその層中に、印刷層、2層間の接着を高めるためのアンカーコート層、プライマー層等をさらに有してもよい。
【0058】
〈具体的態様〉
以下、図面を参照して本発明を例示するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0059】
図1(a)は、カップ焼きそば用の蓋である、本発明の蓋材を例示している。本発明の蓋材(10)は、蓋材を開封するための開封用タブ(10’)を有しており、ここを用いて蓋材を半分程度まで剥がして湯を入れることができ、湯を捨てた後には最終的にここから蓋材を全て剥離することができる。
【0060】
この蓋材(10)は、ホットスポット被覆部(1)を有しており、ホットスポット被覆部(1)は、ホットスポット表出用タブ(1’)を有している。ホットスポット表出用タブ(1’)が、蓋材(10)を半分程度まで剥がす際に剥がれる領域に存在するため、蓋材(10)をホットスポット表出用タブ(1’)で折り曲げることで、タブ(1’)を容易に摘まむことができるようになる。
【0061】
ホットスポット被覆部(1)の剥離は、通常は蓋材(10)を半分程度まで剥がし、湯を入れた後に行うが、蓋材(10)を半分剥がした状態になると、ホットスポット表出用タブ(1’)をつまみやすくなる。ここでは、ホットスポット上の外層がハーフカットされることによって、ホットスポット被覆部(1)が画定されており、ホットスポットには開口部(1a)が内層側からのハーフカットによって設けられている。
【0062】
また、この蓋材(10)は、剥離部(2)を有しており、剥離タブ(2’)からこれを剥離することで、内層側からのハーフカットによって設けられている湯切り孔(2a)を表出させることができる。この剥離タブ(2’)は、蓋材(10)が容器と接着する箇所の外側位置で、内層側からのハーフカット線(2b)によって画定されている。これにより剥離タブ(2’)を用いて剥離部(2)のみを容易に剥離することができる。
【0063】
図1(b)は、乾燥麺を含む容器本体に湯を入れた後に、ホットスポット(1)に後入れ材の包装体(30)を置いて、後入れ材を加温している状態を示している。
【0064】
図1(c)は、湯を入れて数分経過した後に、剥離部(2)を剥離タブ(2’)から剥離して、湯を捨てるための湯切り孔(2a)を表出させている状態を示している。剥離タブ(2’)は、蓋材(10)が容器本体(20)と接着する箇所の外側位置で、内層側からのハーフカット線(2b)によって画定されているため、剥離タブ(2’)を用いて剥離部(2)を容易に剥離することができる。
【0065】
図2(a)〜(f)は、本発明の蓋材の様々な実施態様を示している。
図2(a)〜(c)は、例えばカップ焼きそばの蓋材として用いられる、湯切り孔を有する蓋材を示しており、
図2(d)〜(f)は、例えばカップラーメンの蓋材として用いられる、湯切り孔のない蓋材を示している。
【0066】
図2(a)及び
図2(b)は、
図1(a)の蓋材から、ホットスポットの開口部を、それぞれスリット及び丸孔に変更した実施態様を示している。
図2(c)は、ホットスポットの開口部が、そのまま湯切り孔としても用いられる実施態様を示している。この態様では、ホットスポット被覆部と湯切り孔を被覆する剥離部とが共通になる。
【0067】
図2(d)は、
図1(a)の蓋材を、カップラーメン用に変更した蓋材を示している。
図1(a)と同様に、
図2(d)の蓋材では、ホットスポット表出用タブ(1’)が、蓋材を容器から半分まで剥がす場合に、蓋材が剥がれる領域に存在している。
【0068】
図2(e)は、ホットスポット表出用タブ(1’)が、蓋材の外形の一部を構成している実施態様を例示している。この場合、ホットスポット表出用タブ(1’)は、蓋材が容器本体と接着する箇所の外側位置で、内層側からのハーフカット線(1b)によって画定されているため、ホットスポット表出用タブ(1’)からホットスポットを容易に表出させることができる。
【0069】
図2(f)は、外層にハーフカットを用いずにホットスポットを表出させることができる蓋材の実施態様を例示している。この実施態様では、外層のホットスポット被覆部(1)は、他の外層部分との間で易カット性となっているために、ホットスポット表出用タブ(1’)を図面の矢印方向に引っ張ると、ホットスポット被覆部(1)を容易に引き裂くことができる。とくに、易カット性である部分が直線カット性である場合には、ホットスポット被覆部の切り裂き予定線(1c)が一定程度明確になるため好ましい。
【0070】
この態様では、ホットスポット被覆部(1)を切り裂きやすいように、ホットスポット被覆部の切り裂き開始位置において、外層への切り込みである切り裂き案内部(1’’)が存在している。また、ここでもホットスポット表出用タブ(1’)は、蓋材が容器本体と接着する箇所の外側位置で、内層側からのハーフカット線(1b)によって画定されているため、ホットスポット表出用タブ(1’)からホットスポットを容易に表出させることができる。
【0071】
図3は、本発明の蓋材の表示を例示している。この図のように、本発明の蓋材には、開封、剥離の順序を数字で示したり、記載を追加したりすることで、使用者に使用方法が明確となるようにしてもよい。
【0072】
図4に本発明で用いる蓋材の積層構成の一例を示す。外層(410)は、インクとOPニスからなる印刷層(401)、印刷層の下の紙層(402)、紙とPETを接着する接着剤層(403)、及び外層側PET層(404)を含む。内層(420)は、最外層にシーラント層(409)、アルミニウム層(408)、アルミとPETとを接着する接着剤層(407)、及び内層側PET層(406)を含む。さらに、この原反は、外層と内層との間に、易剥離性層(405)を含む。
【0073】
この場合、原反の外層は、紙層にOPニスとインクとを用いて印刷する工程、その紙とPET層とを接着剤を塗布してドライラミネートする工程を経て製造される。そして、この外層と、PET層とアルミニウム層とをドライラミネートする工程を経た内層の一部とを、易剥離性樹脂をサンドイッチして、押出サンドラミネートする。次に、シーラント樹脂を内層側の最外層に押出バックラミネートにより積層する。
【0074】
《蓋材付容器》
本発明の蓋材付容器は、容器本体、及び上記の蓋材を有する。この蓋材付容器は、内容物を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0075】
〈容器本体〉
容器本体は、蓋材と接着するフランジ部分を有していてもよい。好ましくは、本発明で用いられる容器本体は、蓋材とヒートシールによって密封できる。
【0076】
〈用途〉
本発明の蓋材付容器は、ホットスポットがあることで有用となる内容物であれば、特に内容物は限定されないが、特に後入れ材を用いるカップラーメン、カップ焼きそば等の即席麺用の蓋材付容器、カップスープ用の蓋材付容器等として好適に用いることができる。
【0077】
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、これによって限定されるものではない。
【実施例】
【0078】
《原反の製造例1》
次のような層構成の原反を作製する:
【0079】
〈外層〉
−紙層:塗工紙(坪量:80g/m
2);
−接着剤層:2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−外層側PET層:PETフィルム:(厚さ:12μm);
【0080】
〈易剥離性層〉
−易剥離性樹脂層:95質量%のLDPEと、5質量%のCOCとの混合物(厚さ:20μm);
【0081】
〈内層〉
−内層側PET層:PETフィルム(厚さ:8μm);
−接着剤層:2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−アルミニウム層:軟質アルミ製アルミニウム箔(厚さ:6.5μm)
−シーラント層:イージーピールシーラント(20μm)。
【0082】
ドライラミネート接着剤を上記の塗布量に設定し、紙層と外層側PET層とを、ドライラミネーターを使用して接着して、部材Aを得る。
【0083】
ドライラミネート接着剤を上記の塗布量に設定し、アルミニウム層と内層側PET層とを、ドライラミネーターを使用して接着して、部材Bを得る。
【0084】
押出ラミネーターを使用し、約320℃〜約340℃の温度で、部材AのPET層側と、部材BのPET層との間に易剥離製樹脂を押出し、サンドイッチラミネートを行って、部材Cを得る。
【0085】
押出ラミネーターを使用し、約240℃の温度で、部材Cのアルミニウム層側にシーラント樹脂を押出し、バックラミネートして上記原反を得る。
【0086】
《原反の製造例2》
製造例1において部材Aを得る工程の後、グラビア印刷機を使用し、部材Aの外層側PET層側に、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とし、酢酸エチルを溶剤として含む剥離剤を塗布した。その他の工程は、製造例1と同様にし、次の層構成の原反を得た:
【0087】
〈外層〉
−紙層:塗工紙(坪量:80g/m
2);
−接着剤層:2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−外層側PET層:PETフィルム(厚さ:12μm);
【0088】
〈易剥離性層〉
−剥離剤印刷層:シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とする剥離剤
−易剥離性樹脂層:95質量%のLDPEと、5質量%のCOCとの混合物(厚さ:20μm);
【0089】
〈内層〉
−内層側PET層:PETフィルム(厚さ:8μm);
−接着剤層:2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−アルミニウム層:軟質アルミ製アルミニウム箔(厚さ:6.5μm)
−シーラント層:イージーピールシーラント(20μm)。
【0090】
《原反の製造例3》
製造例1において部材Bを得る工程の前に、内層側PET層のアルミニウム層を接着しない側に、グラビア印刷機を使用し、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とする剥離剤を塗布した。その他の工程は、製造例1と同様にし、次の層構成の原反を得た:
【0091】
〈外層〉
−紙層:塗工紙(坪量:80g/m
2、厚さ:80μm);
−接着剤層:2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−外層側PET層:PETフィルム(厚さ:12μm);
【0092】
〈易剥離性層〉
−易剥離性樹脂層:95質量%のLDPEと、5質量%のCOCとの混合物(厚さ:20μm);
−剥離剤印刷層:シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とする剥離剤
【0093】
〈内層〉
−内層側PET層:PETフィルム(厚さ:8μm);
−接着剤層:2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤塗布量dry2.5g/m
2以上);
−アルミニウム層:軟質アルミ製アルミニウム箔(厚さ:6.5μm)
−シーラント層:イージーピールシーラント(20μm)。
【0094】
《蓋材の製造例》
上記の積層体原反1〜3を用意して、ロータリーダイカッターで積層体の外層側から易剥離性樹脂層に至る深さでホットスポット被覆部用のハーフカットを入れた後、内層側から易剥離性樹脂層に至る深さで、孔形状やスリット形状の裏ハーフカットを入れた。そして蓋外周縁をフルカットし、蓋材を得た。
【0095】
《ホットスポット効果の確認》
上記の積層体原反(製造例1)から作製した蓋材を用いて、ホットスポット効果を確認した。ここでは、ホットスポット被覆部が剥離された、ホットスポットに開口部が存在しない実施例1の蓋材;ホットスポット被覆部が剥離された、ホットスポットに孔形状の開口部が存在する実施例2の蓋材;ホットスポット被覆部が剥離された、ホットスポットにスリット状の開口部が存在する実施例3の蓋材;及びホットスポットが設けられていない比較例1の蓋材を用いた。
【0096】
容器に約100℃の湯を入れ、ホットスポット上又は蓋材上に小袋に充填された初期温度約20℃の約10gの水を入れて、3分後に内部の温度が何度になるかを測定した。これらの評価を各蓋材で3回ずつ行った。その結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
これらの結果から明らかなように、ホットスポットを用いた蓋材では、実質的な加温効果を認めることができる。