特許第6566785号(P6566785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566785
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】グループチャネルアクセス方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/04 20090101AFI20190819BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20190819BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20190819BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20190819BHJP
【FI】
   H04W74/04
   H04W4/38
   H04W74/08
   H04W64/00 120
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-165828(P2015-165828)
(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公開番号】特開2017-46104(P2017-46104A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年7月24日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】表 昌佑
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−085011(JP,A)
【文献】 特開2012−085010(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/067213(WO,A1)
【文献】 特開2013−172414(JP,A)
【文献】 特表2014−524711(JP,A)
【文献】 秋元浩平、亀田卓、平明徳、末松憲治、高木直、坪内和夫,WLANマルチセル環境における位置情報を活用した干渉制御手法,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115 No.2,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2015年 4月 9日,第115巻,Pages 53-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と複数の端末とにより構成される通信網におけるグループチャネルアクセス方法であって、
前記基地局が、複数の前記端末を複数のグループに分割するグループ作成工程と、
前記基地局が、前記グループを構成する前記端末の中から一つ以上の端末をアーリーレポーターとして選択するアーリーレポーター選択工程と、
イベントが発生した場合、複数の前記アーリーレポーターのうち、前記イベントの影響が及ぶイベントエリアに含まれる前記アーリーレポーターが、前記基地局に前記イベントの発生を示すイベント発生情報を送信するイベント発生情報送信工程と、
前記イベント発生情報を受信した前記基地局が、前記イベント発生情報を送信した前記アーリーレポーターが属する前記グループ毎に、前記グループに含まれる前記端末と前記基地局とが通信可能な時間帯を指定するグループアクセスピリオドを含むグループアクセスフレームを構成するグループアクセスフレーム構成工程と、
前記基地局が、構成した前記グループアクセスフレームを含む情報をブロードキャストするグループアクセスフレーム送信工程と、
前記グループアクセスフレームを含む情報を受信した前記端末は、前記端末が属するグループアクセスピリオドにおいて前記基地局とCSMA(搬送波感知多重アクセス)を用いて通信を行う通信工程と、
を含むことを特徴とするグループチャネルアクセス方法。
【請求項2】
前記グループアクセスフレームには前記グループアクセスピリオドに加えエクストラグループアクセスピリオドが含まれ、
前記グループアクセスピリオドが割り振られていない前記グループに属し、前記イベントの検知を行った前記端末は、前記エクストラグループアクセスピリオドにおいて前記基地局と通信を行うこと
を特徴とする請求項1記載のグループチャネルアクセス方法。
【請求項3】
前記通信工程後に通信環境の変化が生じた場合、前記基地局が、前記グループ及び前記グループアクセスフレームを再構成する再構成工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載のグループチャネルアクセス方法。
【請求項4】
前記アーリーレポーターは、前記グループを構成する前記端末のうち前記基地局との通信状況が最も良好なものから選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のグループチャネルアクセス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループチャネルアクセス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線環境における多重アクセスは、限られた無線チャネルを複数の端末で共有することを可能にする(非特許文献1参照)。
【0003】
例えばWi−Fiシステム等では、複数の端末でチャネルを共有することを可能にする通信方式として、搬送波感知多重アクセス/衝突検出方式(CSMA/CD)や搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式(CSMA/CA)が用いられている。
【0004】
CSMA/CDは、各端末が伝送路上にデータが流れていないか確認し、他端末が送信中でなければ送信を開始するとともに、複数の端末が同時に送信を開始した場合には、衝突回避のため両者は送信を中止し、所定時間待機した後、再送を試みる通信方式である。
【0005】
CSMA/CAは、各端末が、通信路について一定時間以上継続してデータ送信が行われていないことを確認してからデータを送信する通信方式である。実際にデータが正しく送信されたかは受信側からのACK(Acknowledge)信号が到着するかどうかで判定され、ACK信号がなければ通信障害があったとみなされてデータの再送信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】LAN MAN Standards Committee of the IEEE Computer Society, Wireless LAN medium access control (MAC) and physical layer (PHY) specification, IEEE, New York, NY, USA, IEEE Std 802.11-2012 edition, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、CSMAによる通信方式では、端末間で通信が行われる場合には通信衝突を回避することができず、その通信衝突はシステム性能に悪影響をもたらすことになる。またこのシステム性能に対する悪影響は、通信端末が多くなればなるほど大きなものとなる。
こうした通信衝突は、特に地震計や噴火計、火災センサ等、特定の地域における緊急事態の発生を端末が感知し基地局に知らせる通信システムにおいて大きな問題となる。
【0008】
図1は、CSMAによる従来のチャネルアクセスの様子を示す模式図である。図1において、マスターデバイスである基地局(BS)1に対して複数の端末2が接続された状態となっている。こうした基地局1と複数の端末2とが、観測対象地域Aに配置されている。
【0009】
そして、地域Aにおいて地震や噴火等、観測対象となっている特定のイベントが発生した場合には、イベントによる影響が及び端末2による感知が可能な範囲(イベントエリア)Pに設置され、当該イベントの発生を感知した複数の端末2から基地局1へとイベントを感知した旨の情報が送信される。
【0010】
ここで、観測対象となるイベントが地震や噴火等、広範囲に影響が及ぶものである場合には、観測対象地域Aも広範囲となり、この広範囲な観測対象地域Aをカバーすべく、設置される端末2の数も多くなる。
【0011】
そして、イベント発生時にはイベントエリアP内に含まれる端末2の数が多くなり、BS1に対して多数の端末2から同時に情報が送信されることになる。そのため、通信衝突が生じる可能性が高くなる。
【0012】
また、観測対象となるイベントが地震や噴火等である場合に通信衝突が生じ通信が正常に行えない場合には、地域住民の避難や救助活動の遅れを招き、甚大な被害を生じてしまう恐れがある。
【0013】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、通信衝突を最小限化することのできるグループチャネルアクセス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明に係るグループチャネルアクセス方法は、基地局と複数の端末とにより構成される通信網におけるグループチャネルアクセス方法であって、前記基地局が、複数の前記端末を複数のグループに分割するグループ作成工程と、前記基地局が、前記グループを構成する前記端末の中から一つ以上の端末をアーリーレポーターとして選択するアーリーレポーター選択工程と、イベントが発生した場合、複数の前記アーリーレポーターのうち、前記イベントの影響が及ぶイベントエリアに含まれる前記アーリーレポーターが、前記基地局に前記イベントの発生を示すイベント発生情報を送信するイベント発生情報送信工程と、前記イベント発生情報を受信した前記基地局が、前記イベント発生情報を送信した前記アーリーレポーターが属する前記グループ毎に、前記グループに含まれる前記端末と前記基地局とが通信可能な時間帯を指定するグループアクセスピリオドを含むグループアクセスフレームを構成するグループアクセスフレーム構成工程と、前記基地局が、構成した前記グループアクセスフレームを含む情報をブロードキャストするグループアクセスフレーム送信工程と、前記グループアクセスフレームを含む情報を受信した前記端末は、前記端末が属するグループアクセスピリオドにおいて前記基地局とCSMA(搬送波感知多重アクセス)を用いて通信を行う通信工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
第2発明に係るグループチャネルアクセス方法は、第1発明において、前記グループアクセスフレームには前記グループアクセスピリオドに加えエクストラグループアクセスピリオドが含まれ、前記グループアクセスピリオドが割り振られていない前記グループに属し、前記イベントの検知を行った前記端末は、前記エクストラグループアクセスピリオドにおいて前記基地局と通信を行うことを特徴とする。
【0016】
第3発明に係るグループチャネルアクセス方法は、第1発明又は第2発明において、前記通信工程後に通信環境の変化が生じた場合、前記基地局が、前記グループ及び前記グループアクセスフレームを再構成する再構成工程を更に含むことを特徴とする。
【0017】
第4発明に係るグループチャネルアクセス方法は、第1発明乃至第3発明において、前記アーリーレポーターは、前記グループを構成する前記端末のうち前記基地局との通信状況が最も良好なものから選択されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成からなる本発明によれば、ネットワーク内の複数の端末をグループ化し、時分割多重チャネルアクセスを実行することで、一度にBS1と通信する端末2の数を劇的に減らすことで、通信衝突を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来のCSMAによるチャネルアクセスの様子を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るCSMAによるチャネルアクセスの様子を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法において地理情報を用いてグループを作成する例を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法において基地局により作成されるグループアクセスフレームを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法について説明する。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係るCSMAによるチャネルアクセスの様子を示す模式図である。
【0022】
本実施形態に係るチャネルアクセス方法では、観測対象地域Aに1つの基地局(BS)1と、複数の端末2が設置されて構成されている。
【0023】
基地局1はマスターデバイスであり、スレイブデバイスである端末2から情報を収集し、収集した情報を外部へ送信するための装置である。また基地局1は、基地局1と端末2との間の通信の制御を行う。
【0024】
具体的には、基地局1は、端末2を端末2の位置情報に応じて複数のグループに分けるとともに、当該グループ内の所定の端末2をアーリーレポーターERとして設定したり、基地局1と端末2との通信に用いられるアクセスフレームの設定を行ったりする等の機能を有している。端末2のグループ分けの詳細及びアクセスフレームの設定の詳細については後述する。
【0025】
端末2は、観測対象地域Aにおいて、地震や噴火等、観測対象となっている特定のイベントの発生を感知するために観測対象地域Aに設けられた、基地局1と通信する機能を有するセンサである。端末2は、基地局1による制御のもとで基地局1との通信を行う。
【0026】
また、端末2は、基地局1のネットワークに加入する際に自機の位置情報を基地局1に登録する。この位置情報は端末2に内蔵されたGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)により得られる位置情報を用いて得られる。
【0027】
なお、本実施形態においてはGPSにより位置情報を得る態様であるが、本発明においてはこれに限らず、位置情報を取得できる手段であれば好適に用いることができる。
【0028】
また、本実施形態においては、端末2は端末2同士の間で通信する機能を有していないが、本発明においてはこれに限らず、例えば端末2同士でも通信可能である態様としてもよい。この場合でも、基地局1は自機と通信する全ての端末2との通信の制御を行う。
【0029】
こうした端末2は、基地局1により複数のグループに分けられる。本実施形態においては、図2に示すように、複数の端末2は、それぞれ破線で囲われているグループB〜Eの4つのグループに分けられている。
【0030】
そして、本実施形態に係るチャネルアクセス方法では、グループB〜Dに属する端末2として、通常端末SとアーリーレポーターERの2種類の端末が存在している。アーリーレポーターERはグループB〜Eのそれぞれについて1つ以上設定されている。
【0031】
通常端末SとアーリーレポーターERとはともに同一の構成を有する端末であるが、基地局1によりそれぞれが異なる機能を発揮するよう制御されている。
【0032】
すなわち、観測対象地域Aにイベントが発生した場合であって、イベントの影響が及ぶ範囲Pに通常端末SとアーリーレポーターRが存在する場合、いずれの端末2も当該イベントを感知する。しかし、当該イベントの検知後に最初に基地局1と通信することができる端末2は、イベントを検知したアーリーレポーターERのみと設定されている。
【0033】
すなわち、アーリーレポーターERは、イベント検知後、自らが属するグループに含まれる、当該イベントを検知した全ての端末2を代表して最初に基地局1と通信を行う端末2である。
【0034】
次に、本実施形態に係るチャネルアクセス方法の各工程について詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法を示すフローチャートである。
【0035】
まず、基地局1は、基地局1を中心とするネットワークに加入している複数の端末2について、各端末2の位置情報を受信し、当該位置情報に基づき複数の端末2を複数のグループに分ける(ステップS1)。なお、本発明では基地局1が各端末2から位置情報を受信するかわりに基地局1が予め設定した位置に端末を置くことも可能である。また、基地局1に対する各端末2のネットワークへの加入は既存の各種技術を任意に用いて行うことができる。
【0036】
次に、基地局1は、各グループについて、それぞれ当該グループを構成する端末2の中から1つ以上の端末2を、所定の基準に基づきアーリーレポーターERとして選択する(ステップS2)。
【0037】
アーリーレポーターERの選択の基準として、例えばグループ内の端末2のうち基地局1との通信状況が基準とされる。この場合、通信状況が最良である端末2がアーリーレポーターERとして選択される。
【0038】
ただし本発明においてはこれに限らず、基地局1との距離が最も近い端末2をアーリーレポーターERとして選択する等、他の基準に基づきアーリーレポーターERの選択を行う態様であってもよい。
【0039】
こうしてイベント未発生の段階で、各端末2はグループに分けられるとともに、グループ毎に1つ以上の端末2がアーリーレポーターERとして選定することが行われる。
【0040】
こうしたグループ分けとアーリーレポーターERの選定は、例えば図4に示すように行われる。図4は、本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法において地理情報を用いてグループを作成する例を示す模式図である。
【0041】
図4に示す例では、イベントの発生の観測対象となるエリア(モニタリングエリア)について、グループG1〜G9の9つのグループが作成されていて、各グループは複数の通常端末Sと、1つのアーリーレポーターERを備えて構成されている。
【0042】
次に、基地局1は、各端末2に対し、どの端末2がどのグループに属するか、及びどの端末2がアーリーレポーターERとして指定されたかを示す情報をブロードキャストする。
【0043】
ブロードキャストされたグループの情報及びアーリーレポーターERを指定する情報を受信した各端末2は、自機が属するグループと、自機がアーリーレポーターERとして指定されている場合には当該指定情報を保存する。アーリーレポーターERとして指定された端末2は、以後アーリーレポーターERとして機能する。
【0044】
そして、イベントが発生した場合には、イベントの影響が及ぶイベントエリアXに含まれる全ての通常端末SとアーリーレポーターERがイベントの発生を検知する。
【0045】
図4に示す例では、グループG5、G6、G8及びG9に含まれる通常端末S及びアーリーレポーターERがイベントの発生を検知する。ただし、グループG8のER及びグループG9の1機の通常端末Sは当該イベントを検知していない状態である。
【0046】
各グループのアーリーレポーターERがイベントの発生を検知すると、当該アーリーレポーターERが、基地局1にイベントの発生を示すイベント発生情報を送信する。
【0047】
イベント発生情報を受信した基地局1は、イベント発生情報を送信したアーリーレポーターERが属するグループ毎に、グループに含まれる端末2と基地局1とが通信可能な時間帯を指定するグループアクセスピリオドを含むグループアクセスフレームを構成する(ステップS3)。
【0048】
図5は、本発明の実施形態に係るグループチャネルアクセス方法において基地局1により作成されるグループアクセスフレームを示す模式図である。
【0049】
グループアクセスフレームの生成前にはイニシャルランダムマルチプルアクセスが用いられている。イニシャルランダムマルチプルアクセスは、通常のCSMAにより基地局1と各端末2とが通信を行う期間である。そして、上述したグループG5、G6及びG9のアーリーレポーターERは、このイニシャルランダムマルチプルアクセスの期間においてCSMAを用いて基地局1にイベント発生情報を送信する。
【0050】
グループアクセスフレームは、ビーコン(B)と、グループアクセスフレーム(GAF)を備えて構成されている。
【0051】
ビーコンは、基地局1と端末2との同期用の信号の他、グループアクセスフレームを示す情報を各端末2にブロードキャストするために送信される信号である。
【0052】
グループアクセスフレームは、ビジーと、バックオフと、トランスミッションと、SIFSと、ACKを含む複数のグループアクセスピリオド(GAP)を備えて構成されている。グループアクセスフレームは、複数のグループアクセスピリオド(GAP)を備えて構成されている。各グループアクセスピリオドは、各端末が基地局と通信を行う時間区間であり、CSMAにより通信を行う。
【0053】
グループアクセスピリオドは、アーリーレポーターERからのイベント発生情報の送信があった各グループについて構成され割り当てられ、当該グループに含まれる通常端末S及びアーリーレポーターERが通信を行うために設けられる時間帯を示している。
【0054】
本実施形態においては、アーリーレポーターERからのイベント発生情報の送信があったグループG5、G6、G9の3つのグループについて構成され、それぞれのグループに割り当てられる。
【0055】
また、アーリーレポーターERからの送信が無かった、すなわちアーリーレポーターERによるイベントの検知が行われなかったグループに含まれ、イベントの検知を行った通常端末Sについても、基地局1に対してイベントの発生を報知可能であることが観測精度の向上のために好ましい。
【0056】
そのため、本実施形態においては、グループアクセスピリオドとして、アーリーレポーターERからのイベント発生情報の送信がされたグループ以外のグループ(以下「その他のグループ」という。)についてのグループアクセスピリオド(以下「エクストラグループアクセスピリオド」という。)が設けられている。
【0057】
なお、本実施形態においてはエクストラグループアクセスピリオドが設けられているが、本発明においてはこれを設けない態様としてもよい。
【0058】
こうして構成されたグループアクセスフレームを示す情報は、ビーコン信号の一部としてブロードキャストされる。
【0059】
そして、ブロードキャストされたグループアクセスフレームを示す情報は、各端末2により受信される。
【0060】
そして、イベントを検知した各端末2であって、グループアクセスピリオドにおいて自機が属するグループが指定されているものは、当該グループアクセスピリオド期間中に基地局1との通信を行う(ステップS4)。こうした各グループによるグループアクセスピリオドにおける通信を、グループ間多重アクセスという。グループ間多重アクセスは通常のCSMAを用いて行われる。
【0061】
また、イベントを検知している端末2であって、グループアクセスピリオドにおいて自機が属するグループが割り振られていないものは、エクストラグループアクセスピリオドにおいて通常のCSMAにより基地局1との通信を行う。
【0062】
次に、基地局1は、より適切な通信環境を提供するため、ネットワーク内のグループの再構成及びグループアクセスフレームの再構成を行う(ステップS5)。
【0063】
グループの再構成及びグループアクセスフレームの再構成は、上述したステップS1〜S3を繰り返すことで行われる。
【0064】
グループの再構成及びグループアクセスフレームの再構成は、例えばグループアクセスピリオドが終了する度に行われる等、所定のタイミングで行われる。
【0065】
なお、このグループの再構成及びグループアクセスフレームの再構成は本発明においては必須のものではなく、同一のグループ及びアーリーレポーターERを用い続ける態様であってもよい。
【0066】
上述した実施形態に係るグループチャネルアクセス方法によると、アーリーレポーターERがイベントを検出した場合、当該アーリーレポーターERが属するグループについては最初にアーリーレポーターERのみが基地局1と通信を行う。そのため、イベント検知後初期に基地局1と通信を行う端末数を大幅に削減することができ、通信衝突の発生を効果的に防止することが可能となる。
【0067】
また、グループアクセスフレームを用いることにより、グループアクセスピリオド毎に所定のグループに属する端末2のみが通信を行うこととなるため、通信衝突の発生を効果的に防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1 基地局
2 端末
A 観測対象地域
P イベントエリア
S 通常端末
ER アーリーレポーター
図1
図2
図3
図4
図5