特許第6566786号(P6566786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566786
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】粉体化粧料の成形装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/08 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   B30B11/08 A
   B30B11/08 C
   B30B11/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-166524(P2015-166524)
(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2017-42784(P2017-42784A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(74)【代理人】
【識別番号】100155206
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 源一
(72)【発明者】
【氏名】朝日 太志
(72)【発明者】
【氏名】島田 松三
【審査官】 飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−040851(JP,A)
【文献】 特開昭63−212100(JP,A)
【文献】 実開平05−046920(JP,U)
【文献】 特開昭63−141913(JP,A)
【文献】 実開昭63−106599(JP,U)
【文献】 特開2008−207214(JP,A)
【文献】 特開2005−015392(JP,A)
【文献】 特開2010−052003(JP,A)
【文献】 実開昭62−118128(JP,U)
【文献】 米国特許第05322655(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動可能なテーブルに開口形成された複数の受皿保持穴に、受け皿を各々配置して、粉体化粧料を充填すると共に、上方及び下方から挟み込むようにして、充填された粉体化粧料及び前記受け皿に押圧力を加えることで、粉体化粧料を固形状に圧縮成形した状態で前記受け皿に収容させる粉体化粧料の成形装置であって、
粉体化粧料を貯留して前記受皿保持穴に供給するホッパー部を備えており、且つ前記受皿保持穴に供給される直前の粉体化粧料の嵩密度を制御する、粉体嵩密度制御機構を有しており、
前記粉体嵩密度制御機構は、前記受け皿が前記受皿保持穴から取り出された後に、重量測定装置によって測定された圧縮成形後の化粧品粉体の重量のデータを、フィードバックすることで取り込んで、取り込まれた重量のデータに応じて、前記受皿保持穴に供給される直前の粉体化粧料の嵩密度を制御するよう構成されている粉体化粧料の成形装置。
【請求項2】
前記粉体嵩密度制御機構は、前記ホッパー部に貯留された粉体化粧料の貯留レベルを検知するレベルセンサと、該レベルセンサによって検知される粉体化粧料の貯留レベルが所定の高さとなるように、前記ホッパー部に補充される粉体化粧料の量を調整する補充量調整装置とを含んで構成されており、貯留レベルを調整して、貯留された粉体化粧料の自重による加圧力を調整することで、前記ホッパー部の下端部から前記受皿保持穴に供給される直前の粉体化粧料の嵩密度を制御する請求項1記載の粉体化粧料の成形装置。
【請求項3】
前記受け皿が配置された前記受皿保持穴に粉溢れ防止用リングを装着する、リング着脱機構を備えており、前記粉溢れ防止用リングは、前記受け皿の上面開口と同様の開口形状を有する貫通開口を有しており、該貫通開口の開口周縁部を前記受け皿の上端縁部に重ねて載置することで、前記貫通開口の内壁面を前記受け皿の内側面と連続させた状態で、前記粉溢れ防止用リングが前記受皿保持穴に着脱可能に装着されるようになっている請求項1又は2記載の粉体化粧料の成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の粉体化粧料の成形装置を用いた粉体化粧料の成形方法であって、
前記受け皿が配置された前記受皿保持穴に、前記ホッパー部から粉体化粧料を供給して充填する際に、前記粉体嵩密度制御機構によって、供給される直前の粉体化粧料の嵩密度が所定の値となるように制御する供給準備工程と、前記受皿保持穴に充填された粉体化粧料に押圧力を加えることで、粉体化粧料を固形状に圧縮成形した状態で前記受け皿に収容させる圧縮成形工程とを含む粉体化粧料の成形方法。
【請求項5】
前記圧縮成形工程に先立って、前記受皿保持穴に充填された粉体化粧料の表面を覆って被覆シートを配設する、シート配設工程を含んでおり、該シート配設工程では、送り出される際の被覆シートの張力を制御した状態で、前記被覆シートを粉体化粧料の表面に配設するようになっている請求項4記載の粉体化粧料の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体化粧料の成形装置及び成形方法に関し、特に、粉体化粧料を固形状に圧縮成形した状態で受け皿に収容させる粉体化粧料の成形装置、及び該成形装置を用いた粉体化粧料の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ等の粉体化粧料は、粉体とバインダー剤とからなる混合物(バルク)を圧縮成形することによって、固形状の粉体化粧料として製品化されている。粉体化粧料を圧縮成形して固形状の粉体化粧料とする方法としては、一般に、例えば回転方向或いは横方向へスライド移動可能なテーブルに形成された複数の受皿保持穴に、受け皿を配置した後に、粉体化粧料(バルク)を供給し、供給された粉体化粧料を、受皿保持穴に対して上下動可能に配置された上杵及び下杵によって挟み込みつつ加圧圧縮して、固形状に成形する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、粉体化粧料は、圧縮成形する際の圧縮荷重や圧縮速度、圧縮時間等の相違によって、ひび割れの起り易さ等の品質に大きな影響を受けるため、例えば特許文献1の圧縮成形装置では、各粉体化粧料の物性に応じた適切な加圧工程で圧縮されるように、管理するようになっている。
【0004】
さらに、固形状の粉体化粧料を成形する方法や装置に関する技術として、受け皿に供給された粉体化粧料が圧縮成形される際の嵩の減少分を考慮して、受け皿の上端縁部に、当該受け皿の上面開口と同様の開口形状の貫通開口を有する、粉溢れ防止用リングを載置するようにしたものや、供給された粉体化粧料の表面を覆って被覆シートを配設した状態で、粉体化粧料を圧縮成形することで、成形された粉体化粧料の表面に凹凸模様が形成されるようにしたものが開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平8−18949号公報
【特許文献2】特開平5−161996号公報
【特許文献3】特開2001−163724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固形状に圧縮成形された状態で受け皿に収容されて製品化された粉体化粧料は、例えば粉取れ量等の品質が保たれるように、所定の体積及び重量で、バラツキなく受け皿に収容されるようにすることが望ましい。所定の体積及び重量で、粉体化粧料がバラツキなく受け皿に収容されるようにするには、成形前の粉体化粧料が充填される、受け皿が配置された受皿保持穴の容積を、所定の容積に保持すると共に、成形前の粉体化粧料が、所定の嵩密度で受皿保持穴に充填されるように管理することが望ましい。
【0007】
受皿保持穴に供給された成形前の粉体化粧料は、例えば受皿保持穴が形成されたテーブルの表面の高さで擦切られた状態で受皿保持穴に充填されて、圧縮成形されることになるため、例えば下杵の高さ位置を調整することによって、粉体化粧料が充填される受皿保持穴の容積を、所定の容積となるように精度良く管理することは容易であるが、受皿保持穴に充填される粉体化粧料の嵩密度を、所定の嵩密度となるように精度良く管理することは困難である。
【0008】
すなわち、成形前の粉体化粧料は、例えば粉体供給用のホッパー部に投入されるのに先立って、その嵩密度が所定の嵩密度となるように調整されている場合でも、ホッパー部に投入される際の空気の混入による影響や、ホッパー部の内部で撹拌される際の空気の抜けによる影響等を受けることによって、例えばホッパー部の下端部に設けられた開口部から粉体化粧料が受皿保持穴に供給される直前においては、嵩密度にバラツキを生じ易くなる。このため、受皿保持穴に充填される粉体化粧料の重量にも、バラツキを生じることになるので、受け皿に収容される圧縮成形後の粉体化粧料の体積及び重量が、所定の体積及び重量に保持されるように、精度良く管理することが困難になる。
【0009】
本発明は、ホッパー部から受皿保持穴に供給される直前の粉体化粧料の嵩密度を制御して、受け皿に収容される圧縮成形後の粉体化粧料の体積及び重量が、所定の体積及び重量となるように精度良く管理することによって、バラツキの少ない品質の良好な固形状の粉体化粧料を、容易に得ることのできる粉体化粧料の成形装置、及び該成形装置を用いた粉体化粧料の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スライド移動可能なテーブルに開口形成された複数の受皿保持穴に、受け皿を各々配置して、粉体化粧料を充填すると共に、上方及び下方から挟み込むようにして、充填された粉体化粧料及び前記受け皿に押圧力を加えることで、粉体化粧料を固形状に圧縮成形した状態で前記受け皿に収容させる粉体化粧料の成形装置であって、粉体化粧料を貯留して前記受皿保持穴に供給するホッパー部を備えており、且つ前記受皿保持穴に供給される直前の粉体化粧料の嵩密度を制御する、粉体嵩密度制御機構を有している粉体化粧料の成形装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
また、本発明は、前記粉体化粧料の成形装置を用いた粉体化粧料の成形方法であって、前記受け皿が配置された前記受皿保持穴に、前記ホッパー部から粉体化粧料を供給して充填する際に、前記粉体嵩密度制御機構によって、供給される直前の粉体化粧料の嵩密度が所定の値となるように制御する供給準備工程と、前記受皿保持穴に充填された粉体化粧料に押圧力を加えることで、粉体化粧料を固形状に圧縮成形した状態で前記受け皿に収容させる圧縮成形工程とを含む粉体化粧料の成形方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粉体化粧料の成形装置又は粉体化粧料の成形方法によれば、ホッパー部から受皿保持穴に供給される直前の粉体化粧料の嵩密度を制御して、受け皿に収容される圧縮成形後の粉体化粧料の体積及び重量が、所定の体積及び重量となるように精度良く管理することによって、バラツキの少ない品質の良好な固形状の粉体化粧料を、容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る粉体化粧料の成形装置の構成を説明する略示斜視図である。
図2】皿供給位置において、受皿保持穴に受け皿が装着された状態を説明する部分斜視図である。
図3】リング供給位置において、受皿保持穴に粉溢れ防止用リングが装着された状態を説明する部分断面図である。
図4】粉溢れ防止用リングの拡大斜視図である。
図5】リング着脱機構によって、受皿保持穴に粉溢れ防止用リングを装着する状況を説明する部分断面図である。
図6】粉体化粧料供給位置において、ホッパー部から受皿保持穴に粉体化粧料を供給する状況を説明する部分断面図である。
図7】粉体化粧料プレス位置において、受皿保持穴に充填された粉体化粧料を圧縮成形する状況を説明する部分断面図である。
図8図7のA部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい一実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る粉体化粧料の成形装置10は、粉体化粧料として例えばファンデーションを、固形状に圧縮成形した状態で受け皿20に収容して、製品化するための装置として用いられる。本実施形態の粉体化粧料の成形装置10は、回転方向にスライド移動可能なインデックステーブル11を備えており、インデックステーブル11には、周方向に間隔をおいて、複数の受皿保持穴12が開口形成されている。これらの複数の受皿保持穴12には、インデックステーブル11の回転に伴って、皿供給位置50Aにおいて、受け皿20が順次装着されるようになっている。受皿保持穴12に各々装着された受け皿20は、皿供給位置50Aから、リング供給位置50B、粉体化粧料供給位置50C、粉体化粧料プレス位置50D、リング取出し位置50E、及び受け皿取出し位置50Fに順次移動し、受け皿取出し位置50Fにおいて、圧縮成形された粉体化粧料30を収容した状態で取り出される。取り出された受け皿20は、例えば外容器と一体化するための、製品化工程に向けて送り出される。
【0015】
本実施形態の粉体化粧料の成形装置10は、粉体化粧料供給位置50Cにおいて、ホッパー部13から、受け皿20が装着された受皿保持穴12に粉体化粧料30が供給される直前の、成形前の粉体化粧料30の嵩密度に、バラツキが生じないように制御して、受け皿20に収容される圧縮成形後の粉体化粧料30の体積及び重量が、略一定の所定の体積及び重量となるように精度良く管理できるようにする機能を備えている。
【0016】
そして、本実施形態の粉体化粧料の成形装置10は、回転方向にスライド移動可能なインデックステーブル11に開口形成された複数の受皿保持穴12に、受け皿20を各々配置して、粉体化粧料30を充填すると共に、上方及び下方から挟み込むようにして、充填された粉体化粧料30及び受け皿20に押圧力を加えることで、粉体化粧料30を固形状に圧縮成形した状態で受け皿20に収容させる装置であって、粉体化粧料20を貯留して受皿保持穴12に供給するホッパー部13を備えており、且つ受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度を制御する、粉体嵩密度制御機構14(図6参照)を有している。
【0017】
また、本実施形態の粉体化粧料の成形装置10では、粉体嵩密度制御機構14は、図6に示すように、好ましくはホッパー部13に貯留された粉体化粧料30の貯留レベルを検知するレベルセンサ14aと、このレベルセンサ14aによって検知される粉体化粧料30の貯留レベルが所定の高さとなるように、ホッパー部13に補充される粉体化粧料30の量を調整する補充量調整装置14bとを含んで構成されており、貯留レベルを調整して、貯留された粉体化粧料30の自重による加圧力を調整することで、ホッパー部13の下端部から受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度を制御するようになっている。
【0018】
さらに、本実施形態の粉体化粧料の成形装置10では、図1及び図5に示すように、リング供給位置50Bにおいて、受け皿20が配置された受皿保持穴12に粉溢れ防止用リング21を装着する、リング着脱機構15を備えており、粉溢れ防止用リング21は、受け皿20の上面開口20aと同様の開口形状を有する貫通開口21aを有している(図4参照)。この貫通開口21aの開口周縁部21bを、受け皿20の上端縁部20bに重ねて載置することで、図3に示すように、貫通開口21aの内壁面21cを受け皿の内側面20cと連続させた状態で、粉溢れ防止用リング21が受皿保持穴12に着脱可能に装着されるようになっている。
【0019】
本実施形態では、粉体化粧料の成形装置10は、上述のように、回転方向にスライド移動可能なインデックステーブル11を備えている。インデックステーブル11には、複数の受皿保持穴12が開口形成されている。複数の受皿保持穴12は、図1に示すように、各々、受け皿20が装着される皿供給位置50A、装着された受け皿20に重ねるようにして、粉溢れ防止用リング21がさらに装着されるリング供給位置50B、装着された粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分に残された当該受皿保持穴12に、粉体化粧料30が供給されて充填される化粧料供給位置50C、充填された粉体化粧料30を圧縮成形して、受け皿20に収容させる化粧料プレス位置50D、粉溢れ防止用リング21が取り出されるリング取出し位置50E、及び圧縮成形された粉体化粧料30と共に受け皿20が取り出される受け皿取出し位置50Fに、順次送り出されて、各々の位置で一旦停止することによって、後述する各工程が行われる。
【0020】
また、インデックステーブル11に開口形成された複数の受皿保持穴12は、受け皿取出し位置50Fと皿供給位置50Aとの間のクリーニング位置50Gにおいて、公知のクリーナ装置28によって、内壁面等に付着した埃や汚れ等が除去された後に、再度皿供給位置50Aに移動して、後述する各工程が繰り返し行われる。
【0021】
さらに、受け皿20に重ねるようにして装着された粉溢れ防止用リング21は、リング取出し位置50Eにおいて、リング着脱機構15によって受皿保持穴12から取り出される。取り出された粉溢れ防止用リング21は、リング着脱機構15によってリング供給位置50Bに搬送されて、別の受皿保持穴12に装着された受け皿20に重ねて装着されることで、繰り返し転用することができる。転用される粉溢れ防止用リング21は、リング取出し位置50Eからリング供給位置50Bに搬送される間に、図示しない回転ブラシ状のクリーナやエアーブロー装置等によって、その周面や、貫通開口21aの内壁面21cに付着した埃や汚れが取り除かれる。
【0022】
本実施形態では、インデックステーブル11に開口形成された複数の受皿保持穴12は、図2及び図3にも示すように、略矩形の平面形状を有する貫通穴部12aと、貫通穴部12aを中央部分に配置して、当該貫通穴部12aの外周部分に形成された、円形の平面形状を有するリング受け入れ凹部12bとからなる、2段構造を備えている。リング受け入れ凹部12bには、略矩形の貫通穴部12aの長辺部分を挟んだ両側に配置されて、一対の位置決め用のガイド孔12cが形成されている。これらのガイド孔12cに、粉溢れ防止用リング21の下端面から下方に突出して設けられた一対のガイド突起21eを各々嵌め込むことによって、後述するように、貫通穴部12aに装着された受け皿20の上面開口20aと、粉溢れ防止用リング21の貫通開口21a(図4参照)とを、ぴったりと重なるようにスムーズに位置決めした状態で、粉溢れ防止用リング21を、リング受け入れ凹部12bに容易に装着できるようになっている(図3参照)。
【0023】
インデックステーブル11に開口形成された複数の受皿保持穴12には、皿供給位置50Aにおける受け皿装着工程によって、受け皿20が装着される。受け皿装着工程では、図1に示すように、2本のガイドロッド16a,16aの間に設けられた図示しない支持板の上に、コンベア16bを介して複数の受け皿20が順次搬送供給される。コンベア16bによって支持板の上に搬送された受け皿20は、支持板の先端部に設けられているストッパ16cにより停止する。受け皿20は、連続して供給されるので、結果として、複数の受け皿20がストッパ16cの後方に列をなして配置される。本実施形態では、受け皿20は略矩形の平面形状を有しており、一対の側辺部が、両側のガイドロッド16a,16aに各々接した状態で供給される。
【0024】
ストッパ16cの後方に列をなして配置された複数の受け皿20のうち、先頭の1個の受け皿20が、図示しないピッカーによって保持される。受け皿20を保持したピッカーは、皿供給位置50Aに停止している受皿保持穴12の直上部に移動した後に、下降して、受皿保持穴12の貫通穴部12aに受け皿20を装着する。貫通穴部12aには、上下方向に移動可能な下杵17(図3参照)が、所定の高さに至るまで下方から挿入されて配置されている。受け皿20は、下杵17の上端面17aに載置され、上端縁部20bを受皿保持穴12のリング受け入れ凹部12bの高さ位置と同じ高さに配設した状態で(図5参照)、受皿保持穴12の貫通穴部12aに装着される。受皿保持穴12に受け皿20を装着した後に、ピッカーは、受け皿20を保持している状態を開放して、待機位置まで上昇する。
【0025】
受皿保持穴12に受け皿20が装着されたら、インデックステーブル11が回転方向に所定量スライドすることで、受皿保持穴12は、続いて、リング供給位置50Bに移動する。リング供給位置50Bでは、リング着脱機構15を用いて、受け皿20が装着された受皿保持穴12に、さらに粉溢れ防止用リング21を装着する、リング設置工程が行われる。
【0026】
粉溢れ防止用リング21は、受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30が圧縮成形される際の、粉体化粧料30の嵩の減少分を考慮して、受け皿20の上方に嵩上げした状態で充填される粉体化粧料30が、受け皿20の直上部分よりも外側に溢れないようにするための、粉溢れ防止用の嵩上げリングとして装着されるものである。本実施形態では、粉溢れ防止用リング21は、図4に示すように、円形の平面形状を有しており、磁性を有する金属製のプレート部材を用いて形成されている。粉溢れ防止用リング21には、これの中央部分に、受け皿20の上面開口20aと同様の大きさの略矩形の開口形状を有する、貫通開口21aが形成されている。また、粉溢れ防止用リング21は、インデックステーブル11に形成された受皿保持穴12のリング受け入れ凹部12bの円形の開口形状と同様の大きさの、円形の平面形状を備えており、且つリング受け入れ凹部12bの深さと同様の厚さを備えている。これらによって、粉溢れ防止用リング21は、上面をインデックステーブル11の表面と面一に配置した状態で、受皿保持穴12のリング受け入れ凹部12bにぴったりと嵌め込むようにして、受け皿20の上方に重ねて装着できるようになっている(図1図3参照)。
【0027】
本実施形態では、リング着脱機構15は、図1及び図5に示すように、電磁石19が設けられたリング着脱部15aを備えており、電磁石19に通電したり、通電を解除したりすることによって、電磁石19に磁力を生じさせたり、磁力を消失させたりできるようになっている。これによって、磁性を有する金属製のプレート部材からなる粉溢れ防止用リング21を、着脱可能に容易に保持できるようになっている。リング着脱機構15は、リング着脱部15aを上下に昇降させる昇降部(図示せず)や、インデックステーブル11の上方に配置された、リング着脱部15aをインデックステーブル11の径方向にスライド移動させる移動レール部(図示せず)等を備えており、上述のように、リング取出し位置50Eからリング供給位置50Bに向けて、取り出された粉溢れ防止用リング21を搬送できるようになっている。
【0028】
なお、粉溢れ防止用リング21は、その全体が磁性を有するように形成されている必要は必ずしも無く、例えば金属製部材が埋め込まれていることで、その一部が磁性を有していて、電磁石19に磁着されるようになっていても良い。また、リング着脱機構は、磁力によって粉溢れ防止用リングを着脱するものである必要は必ずしも無い。例えば、粉溢れ防止用リングの上面につまみ様の突起を設けておき、この突起をロボットのハンドやチャックによって着脱可能に挟み込む機構や、掛け具を用いた機構など、機械式の周知の種々の着脱機構を用いることもできる。
【0029】
また、本実施形態では、粉溢れ防止用リング21における、貫通開口21aの周囲の開口周縁部21bよりも外側部分である外側延設部21dには、略矩形の貫通開口21aの長辺部分を挟んだ両側の領域の下面から下方に突出して、図5に示すように、一対のガイド突起21eが設けられている。ガイド突起21eは、先端に向かって断面形状が縮径するテーパー形状の先端側部分を備える、略円柱形状の突起となっている。ガイド突起21eは、テーパー形状の先端側部分を除いた基端側部分が、受皿保持穴12のリング受け入れ凹部12bに形成された位置決め用のガイド孔12cの内径と、同様の外径を有している。
【0030】
ガイド突起21eは、リング受け入れ凹部12bの位置決め用のガイド孔12cと対応する位置に設けられており、リング着脱機構15によって粉溢れ防止用リング21がリング受け入れ凹部12bに装着される際に、ガイド突起21eが、位置決め用のガイド孔12cにぴったりと嵌め込むようにして挿入される。これによって、粉溢れ防止用リング21は、貫通開口21aの内壁面21cを受け皿の内側面20cと連続させた状態で、貫通開口21aの開口周縁部21bを受け皿20の上端縁部20bに重ねて載置すると共に、受け皿20の上面開口20aと、当該粉溢れ防止用リング21の貫通開口21aとが、ぴったりと重なるようにスムーズに位置決めされた状態で、リング受け入れ凹部12bに容易に装着されるようになっている(図3参照)。
【0031】
ここで、ガイド突起21eは、テーパー形状の先端側部分を備えていることにより、リング着脱機構15によって粉溢れ防止用リング21がリング受け入れ凹部12bに装着される際に、位置決め用のガイド孔12cの中心位置に対してガイド突起21eの中心位置がずれている場合でも、ガイド突起21eが挿入されていくのに従って、これらの位置ずれが修正されることになる。これによって、貫通開口21aが、受け皿20の上面開口20aにぴったりと重ねて位置決めされるように、粉溢れ防止用リング21をスムーズに誘導することが可能になる。
【0032】
なお、粉溢れ防止用リング21やリング受け入れ凹部12bは、円形の平面形状を備えている必要は必ずしも無い。円形以外の非円形の平面形状備えるように形成することで、ガイド孔12cやガイド突起21eを設けておかなくても、非円形の粉溢れ防止用リングを、非円形のリング受け入れ凹部の方向に合致させて嵌め込むことにより、受け皿の上面開口と、粉溢れ防止用リングの貫通開口とが、ぴったりと重なり合って位置決めされるように案内することが可能になる。
【0033】
受皿保持穴12に受け皿20及び粉溢れ防止用リング21が装着されたら、インデックステーブル11が回転方向に所定量、さらにスライドすることで、受皿保持穴12は、続いて、粉体化粧料供給位置50Cに移動する。粉体化粧料供給位置50Cでは、装着された粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に、ホッパー部13から粉体化粧料30を供給して充填する、粉体化粧料充填工程が行われる。
【0034】
本実施形態では、ホッパー部13は、図1及び図6に示すように、倒立した略切頭円錐形状を備える中空のホッパー本体13aを有しており、ホッパー本体13aの内部には、受皿保持穴12に供給される、圧縮成形前のバルク状態の粉体化粧料30が貯留されている。ホッパー本体13aには、粉体補充シュート31aを介して、一次貯留部31bから送られる圧縮成形前の粉体化粧料30が投入されて、補充されるようになっている。
【0035】
また、ホッパー部13は、ホッパー本体13aの下端開口部13bに配置されて、受皿保持穴12に供給された粉体化粧料30の表面をすり切る、下端開口部13bと同様の大きさの開口部を有する公知のシャッター板(図示せず)を備えている。ホッパー本体13aの下端開口部13bを、受皿保持穴12に装着された粉溢れ防止用リング21の貫通開口21aに面するように配置することで、粉体化粧料30の自重によって、ホッパー本体13aに貯留された粉体化粧料30が、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に落下して、供給されるようになっている。シャッター板は、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に充填するのに、十分な量の粉体化粧料30が落下して供給された後に、粉溢れ防止用リング21の表面に沿って擦るようにスライド移動する。これによって、受皿保持穴12に供給された粉体化粧料30の表面が、粉溢れ防止用リング21の表面と同じレベルになるように摺り切りした状態で、圧縮成形前の粉体化粧料30を、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に充填できるようになっている。
【0036】
さらに、本実施形態では、ホッパー部13は、回転モータ13cの駆動により回転する撹拌羽根13dを備えている。撹拌羽根13dは、下端開口部13bから粉体化粧料30が粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に供給されている間、ホッパー本体13aに貯留されている粉体化粧料30の内部で、好ましくは上下動しながら回転する。これによって、粉体化粧料30が、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に向けて落下するのを促進することが可能になると共に、粉体化粧料30に混入した空気が、粉体化粧料30から抜けるのを促進することが可能になる。またこれによって、ホッパー本体13aの下端開口部13bから、受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度に、バラツキが生じるのを、より効果的に抑制することが可能になる。
【0037】
さらにまた、本実施形態では、ホッパー部13は、粉体化粧料供給位置50Cに配置された、ホッパースライド機構13e(図1参照)に取り付けられている。ホッパー部13は、ホッパースライド機構13eによって、インデックステーブル11の径方向の位置を、調整できるようになっている。
【0038】
そして、本実施形態では、上述のように、粉体化粧料供給位置50Cにおいて、ホッパー部13から粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に供給される直前の、粉体化粧料30の嵩密度を制御する、粉体嵩密度制御機構14を備えている。また、粉体化粧料充填工程において、粉体化粧料30をホッパー部13から供給して受皿保持穴12に充填する際に、粉体嵩密度制御機構14によって、供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度が所定の値となるように制御する、供給準備工程が行われるようになっている。
【0039】
粉体嵩密度制御機構14は、上述のように、好ましくはホッパー部13に貯留された圧縮成形前の粉体化粧料30の貯留レベルを検知するレベルセンサ14aと、このレベルセンサ14aによって検知される粉体化粧料30の貯留レベルが所定の高さとなるように、ホッパー部13に補充される粉体化粧料30の量を調整する補充量調整装置14bとを含んで構成されており(図6参照)、貯留レベルを調整して、貯留された粉体化粧料30の自重による加圧力を調整することで、ホッパー部13の下端部から受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度を、制御するようになっている。
【0040】
本実施形態では、圧縮成形された粉体化粧料30を収容した受け皿20が、受け皿取出し位置50Fにおいて取り出された後に、例えば外容器と一体化するための製品化工程の直前に、図示しない重量測定装置によって、受け皿20に収容された圧縮成形後の化粧品粉体30の重量が、各々測定されるようになっている。粉体嵩密度制御機構14は、受け皿取出し位置50Fにおいて取り出された後に重量測定装置によって測定された圧縮成形後の化粧品粉体30の重量のデータを、フィードバックすることで、補充量調整装置14bに取り込むことができるようになっている。粉体嵩密度制御機構14は、補充量調整装置14bに取り込まれた重量のデータに応じて、後述するように、レベルセンサ14aにより検知される、ホッパー本体13aの内部に貯留される圧縮成形前の粉体化粧料30の貯留レベルが、目的とする所定の高さとなるように、一時貯留部31bから補充される、粉体化粧料30の補充量を制御できるように構成されている。粉体化粧料30は、一時貯留部31bから、粉体補充シュート31aを介してホッパー本体13aに投入されることで補充されて、ホッパー本体13aに貯留された圧縮成形前の粉体化粧料30の貯留レベルを、調整できるようになっている。
【0041】
これによって、粉体嵩密度制御機構14は、レベルセンサ14aにより検知される、ホッパー本体13aの内部に貯留された圧縮成形前の粉体化粧料30の貯留レベルが、一定の範囲の所定の高さに保持されるように調整できるようになっている。またこれによって、粉体嵩密度制御機構14は、レベルセンサ14aにより検知される圧縮成形前の粉体化粧料30の貯留レベルを一定の範囲に保持することで、貯留された粉体化粧料30の自重による加圧力を略一定にして、受皿保持穴12に供給される直前の、ホッパー部13の下端部における粉体化粧料30の嵩密度にバラツキが無いようにしたり、貯留レベルを上下に変化させることで、貯留された粉体化粧料30の自重による加圧力を調整して、受皿保持穴12に供給される直前の、ホッパー部13の下端部における粉体化粧料30の嵩密度を、微調整することができるようになっている。
【0042】
すなわち、本実施形態では、粉体嵩密度制御機構14は、供給準備工程として、例えば図示しない重量測定装置によって測定された、圧縮成形後の粉体化粧料30の重量が、目標の重量より軽くなっている場合には、ホッパー本体13aの内部に貯留された粉体化粧料30の貯留レベルが高くなるように、一時貯留部31bから補充される、粉体化粧料30の補充量を補充量調整装置14bによって制御することで、粉体化粧料30の自重による加圧力を高めて、ホッパー本体13aの下端部における、受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度を、増加させることができるようになっている。また、例えば図示しない重量測定装置によって測定された、圧縮成形後の粉体化粧料30の重量が、目標の重量より重くなっている場合には、ホッパー本体13aの内部に貯留された粉体化粧料30の貯留レベルが低くなるように、一時貯留部31bから補充される、粉体化粧料30の補充量を補充量調整装置14bによって制御することで、粉体化粧料30の自重による加圧力を低下させて、ホッパー本体13aの下端部における、受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度を、減少させることができるようになっている。
【0043】
このように、本実施形態では、供給準備工程として、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に、ホッパー部13から粉体化粧料30が供給されるのに先立って、ホッパー本体13aに貯留された圧縮成形前の粉体化粧料30の貯留レベルを粉体嵩密度制御機構14によって制御することで、受皿保持穴12の供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度が、所定の嵩密度となるように容易に微調整することが可能になる。またこれによって、粉体化粧料充填工程において、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の、下杵17の高さ調整により所定の容量となっている受皿保持穴12に、バラツキの少ない所望の嵩密度で、圧縮成形前の粉体化粧料30を充填することが可能になる。
【0044】
粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に、圧縮成形前の粉体化粧料30が充填されたら、インデックステーブル11が回転方向に所定量、さらにスライドすることで、受皿保持穴12は、続いて、図1に示すように、化粧料プレス位置50Dに移動する。化粧料プレス位置50Dでは、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30に押圧力を加えることで、粉体化粧料30を固形状に圧縮成形した状態で受け皿20に収容させる、圧縮成形工程が行われる。
【0045】
本実施形態では、化粧料プレス位置50Dには、プレス装置23と、シート供給装置24とが設けられており、プレス装置23による圧縮成形工程に先立って、シート供給装置24を用いて、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30の表面を覆って被覆シート25を配設する、シート配設工程が行われるようになっている。
【0046】
プレス装置23は、粉溢れ防止用リング21の貫通開口21aの略矩形の開口形状と同様の形状の下端押圧面18aを備える上杵18と、上端押圧面17aを備える下杵17とを上下に昇降移動させると共に、上杵18及び下杵17に押圧力を付加するプレス機構23aを含んで構成される。プレス装置23は、図7及び図8にも示すように、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30が圧縮されるように、上杵18を下降させたり、及び/又は下杵17を上昇させたりすることができるようになっている。これによって、プレス装置23は、充填された粉体化粧料30の表面との間に被覆シート25を介在させた状態で、受け皿20が載置された下杵17と上杵18との間に、受け皿20及び充填された粉体化粧料30を挟み込むようにして、粉体化粧料30に押圧力を加えることによって、粉体化粧料30を固形状に圧縮成形した状態で、受け皿20に収容させることができるようになっている。
【0047】
シート供給装置24は、図7に示すように、プレス装置23を挟んだ両側に配置された供給ロール24a及び収納ロール24bと、プレス装置23と供給ロール24a及び収納ロール24bとの間に各々配置された一対の展伸ロール24cと、収納ロール24bと展伸ロール24cとの間に配置された巻取りローラー24dとを含んで構成されている。巻取りローラー24d及び収納ロール24bの軸部には、図示しないモーターが設けられている。被覆シート25は、これらのモーターの駆動によって、油圧プレス機構23aにより各々の受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30が圧縮成形される毎に、供給ロール24aから所定の長さづつ送り出されて、収納ロール24bに巻き取られるようになっている。また、被覆シート25は、プレス装置23を挟んだ両側の展伸ロール24cを通過することで、インデックステーブル11の表面と平行な方向に延設して、両側の展伸ロール24cの間に張り渡された状態から、油圧プレス機構23aによる上杵18の下降に伴って上杵18の下端押圧面18aに接する範囲が下方に移動曲折する。これにより、被覆シート25は、上杵18の下端押圧面18aによって、受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30の表面に押し付けられる。被覆シート25の一対の展伸ロール24cの間の送り量及び張力は、モーターの回転やトルクを調整することで制御される。被覆シート25は、さらに、粉溢れ防止用リング21の貫通開口21aを挟んだ両側で、押付けプレート片26によって外側延設部21dに押し付けられて、位置ずれが防止された状態で、受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30の表面を覆って配置される。
【0048】
ここで、受皿保持穴12に装着された粉溢れ防止用リング21の開口周縁部21bの内側上端角部21fは、90°に尖ったエッジをなしている。被覆シート25は、押付けプレート片26によって、粉溢れ防止用リング21の外側延設部21dに押し付けられているのと相まって、開口周縁部21bの内側上端角部21fで固定された状態で、上杵18の下方への移動に伴って、伸ばされながら受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30の表面に接触することになる。この際に、被覆シート25に加える張力を制御することで、被覆シート25は、表面の凹凸の差が大きいかあるいは小さい状態で粉体化粧料30の表面に接触することになる結果、プレス装置23によって固形状に圧縮成形された後の粉体化粧料30の表面は、このような被覆シート25の表面の形状が転写されて、凹凸の大きなあるいは小さなものとなる。これに応じて、圧縮成形後の粉体化粧料30は、光源を当てた時に表面に発生する影の量が多くなるかあるいは少なくなって、より暗くあるいは明るく見えることとなる。
【0049】
本実施形態では、圧縮成形工程において、例えばプレス装置23の上杵18が下方へ移動して、両側の展伸ロール24cの間に張り渡された被覆シート25と接触する前に、例えば巻取りローラー24dを制御して、被覆シート25の張力を一定程度緩めてから、上杵18を下降させて、粉溢れ防止用リング21及び受け皿20の内側部分の受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30を押圧するようになっている。すなわち、本実施形態では、シート配設工程において、送り出される際の張力を緩めた状態で、被覆シート25を粉体化粧料30の表面に配設するようになっている。
【0050】
このように、本実施形態では、プレス装置23の上杵18によるプレス時において、被覆シート25の張力を弱めることによって、粉体化粧料30の表面との間に介在する被覆シート25が、表面の凸凹の差が大きい状態で、粉体化粧料30の表面をプレス(押圧)することが可能になる。これによって、凸凹の差が大きい状態で、被覆シート25の表面の形状を粉末化粧料の表面に転写させることが可能になって、圧縮成形後の粉体化粧料30の表面に発生する影の量を増やすことができ、その結果、圧縮成形後の粉体化粧料30の表面を暗く見せることが可能になる。また、例えば巻取りローラー24dによる被覆シート25の巻取り量を制御することで、プレス時における被覆シート25の張力を変化させることによって、圧縮成形後の粉体化粧料30の表面の明るさ感が、一定の狭い範囲に収まるように制御することが可能になる。
【0051】
本実施形態と異なり、プレス時に被覆シート25を強く伸ばすと、被覆シート25は、表面の凹凸の差が小さい状態で粉体化粧料30の表面に接触することになる。その結果、プレス装置23によって固形状に圧縮成形された後の粉体化粧料30の表面は、このような被覆シート25の表面の形状が転写されて凹凸の小さいフラットなものとなる。これによって、圧縮成形後の粉体化粧料30は、光源を当てた時に表面に発生する影の量が少なくなって、より明るく見えることになる。
【0052】
粉体化粧料30を固形状に圧縮成形した状態で受け皿20に収容したら、インデックステーブル11が回転方向に所定量、さらにスライドすることで、受皿保持穴12は、続いて、図1に示すように、リング取出し位置50Eに移動する。リング取出し位置50Eでは、受皿保持穴12から粉溢れ防止用リング21が取り出される、リング取出し工程が行われる。
【0053】
すなわち、リング取出し位置50Eでは、上述のリング着脱機構15を使用して、電磁石19に通電することにより、磁性を有する金属製のプレート部材からなる粉溢れ防止用リング21を磁着させ、粉溢れ防止用リング21を持ち上げることで、受皿保持穴12から取り出すことができるようになっている。受皿保持穴12から取り出された粉溢れ防止用リング21は、上述のように、リング着脱機構15の昇降部(図示せず)や移動レール部(図示せず)等を介して、リング取出し位置50Eからリング供給位置50Bに向けて搬送され、別の受皿保持穴12に装着して、再使用できるようになっている。また取り出された粉溢れ防止用リング21は、上述のように、搬送途中において、その周面や、貫通開口21aの内壁面21cに付着した埃や汚れが取り除かれるようになっている。
【0054】
受皿保持穴12から粉溢れ防止用リング21が取り出されたら、インデックステーブル11が回転方向に所定量、さらにスライドすることで、受皿保持穴12は、続いて、図1に示すように、受け皿取出し位置50Fに移動する。受け皿取出し位置50Fでは、圧縮成形された粉体化粧料30と共に、受皿保持穴12から受け皿20が取り出される、受け皿取出し工程が行われる。
【0055】
すなわち、受け皿取出し位置50Fでは、圧縮成形された粉体化粧料30を収容した受け皿20を押し上げるようにしながら、下杵17が上昇することで、受け皿20は、受皿保持穴12の貫通穴部12aから抜き出されて、インデックステーブル11の上方まで取り出される。取り出された受け皿20は、例えば図示しないピッカーによって保持されて、送り出しコンベア27の上に載置され、例えば外容器と一体化するための製品化工程に向けて送り出される。
【0056】
そして、上述の構成を備える本実施形態の粉体化粧料の成形装置10又は成形方法によれば、ホッパー部13から受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度を制御して、受け皿12に収容される圧縮成形後の粉体化粧料30の体積及び重量が、所定の体積及び重量となるように精度良く管理することによって、バラツキの少ない品質の良好な固形状の粉体化粧料30を、容易に得ることが可能になる。
【0057】
すなわち、本実施形態によれば、粉体化粧料の成形装置10は、粉体化粧料30を貯留して受皿保持穴12に供給するホッパー部13を備えており、且つ受皿保持穴12に供給される直前の粉体化粧料13の嵩密度を制御する、好ましくはレベルセンサ14aと、レベルセンサによって検知された粉体化粧料30の貯留レベルが所定の高さとなるように、ホッパー部13に補充される粉体化粧料30の量を調整する補充量調整装置14bとを含む、粉体嵩密度制御機構14を有している。 また、粉体化粧料の成形方法は、受け皿20が配置された受皿保持穴12に、ホッパー部13から粉体化粧料30を供給して充填する際に、粉体嵩密度制御機構14によって、供給される直前の粉体化粧料30の嵩密度が所定の値となるように制御する供給準備工程と、受皿保持穴12に充填された粉体化粧料30に押圧力を加えることで、粉体化粧料30を固形状に圧縮成形した状態で受け皿20に収容させる圧縮成形工程とを含んでいる。
【0058】
これらによって、本実施形態によれば、ホッパー部13から受皿保持穴12に供給される直前の、ホッパー部13のホッパー本体13aの下端部における粉体化粧料30の嵩密度が、一定又は略一定となるように、粉体化粧料30の自重によって容易に調整することが可能になるので、このような一定又は略一定の嵩密度の粉体化粧料30を、好ましくは下杵17の位置の調整によって一定の容積となっている受皿保持穴12に充填することによって、一定又は略一定の所定の体積及び重量となっている、バラツキの少ない品質の良好な圧縮成形後の固形状の粉体化粧料30を、容易に得ることが可能になる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、受け皿や、受け皿が装着される貫通穴部や、粉溢れ防止用リングの貫通開口は、略矩形の平面形状を備えている必要は必ずしも無く、円形や長円形等、その他の種々の形状を有していても良い。受皿保持穴は、貫通穴部とリング受け入れ凹部とからなる2段構造を備えている必要は必ずしも無い。また、受け皿が、粉溢れを生じさせることなく粉体化粧料を充填するのに十分な深さを備えている場合には、粉溢れ防止用リングを用いる必要は必ずしも無い。この場合、粉体化粧料が圧縮成形された後に、粉末化粧料の上方の受け皿の上部には、空間が残置されることとなるが、この空間は、パフなどの塗布具を収容する収容部として用いることができる。また、予め受け皿に加工を施しておくことにより、粉体化粧料を圧縮成形した後に、粉末化粧料の上方の受け皿の上部を取り除くことができるようにしても良い。
【符号の説明】
【0060】
10 粉体化粧料の成形装置
11 インデックステーブル
12 受皿保持穴
12a 貫通穴部
12b リング受け入れ凹部
12c ガイド孔
13 ホッパー部
13a ホッパー本体
13d 撹拌羽根
14 粉体嵩密度制御機構
14a レベルセンサ
14b 補充量調整装置
15 リング着脱機構
17 下杵
18 上杵
19 電磁石
20 受け皿
20a 上面開口
20b 上端縁部
20c 内側面
21 粉溢れ防止用リング
21a 貫通開口
21b 開口周縁部
21c 内壁面
21d 外側延設部
21e ガイド突起
21f 開口周縁部の内側上端角部
23 プレス装置
24 シート供給装置
24c 展伸ロール
25 被覆シート
26 押付けプレート片
30 粉体化粧料
31a 粉体補充シュート
50A 皿供給位置
50B リング供給位置
50C 粉体化粧料供給位置
50D 粉体化粧料プレス位置
50E リング取出し位置
50F 受け皿取出し位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8