特許第6566871号(P6566871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566871
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】タービン、過給システム及び制御器
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/00 20060101AFI20190819BHJP
   F02C 6/12 20060101ALI20190819BHJP
   F02B 41/10 20060101ALI20190819BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20190819BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20190819BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   F01D17/00 N
   F01D17/00 M
   F02C6/12
   F02B41/10 Z
   F02B37/00 302C
   F02C6/00 B
   H02P9/04 F
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-562294(P2015-562294)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-512295(P2016-512295A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】GB2014050631
(87)【国際公開番号】WO2014140529
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】1304763.4
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515254655
【氏名又は名称】エアリステック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ、 ブリン ジェフリー ロディック
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−170190(JP,A)
【文献】 特開2002−021547(JP,A)
【文献】 特開2008−045410(JP,A)
【文献】 特開2003−269183(JP,A)
【文献】 特開2004−215345(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02444603(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/00
F02C 6/00,6/12
F02B 33/00−41/10
H02P 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流からエネルギーを取り出すタービンであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に結合され、回転出力を与えるべく流体流によって回転可能なタービンホイールと、
前記回転出力に負荷を適用する可変負荷と、
制御器と
を含み、
前記制御器は、
前記タービンの動作条件に関する情報を受信し、
前記動作条件に基づいて前記回転出力の最適動作速度を計算し、
前記タービンホイールが補正済み動作速度で回転して前記タービンの設計速度を達成するように、前記動作条件に応答して前記回転出力に適用される負荷を変える信号を前記可変負荷へと供給するべく構成され
前記タービンの動作条件に関する情報は、前記タービンの現行膨張比を含むタービン。
【請求項2】
前記可変負荷は前記回転出力を加速するべく作用する請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記可変負荷は前記回転出力にブレーキをかけるべく作用する請求項1に記載のタービン。
【請求項4】
前記可変負荷は、電気機械によって前記回転出力に適用される請求項1から3のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項5】
前記制御器は、前記タービンの動作条件に基づいて前記回転出力の最適動作速度の計算をするべくルックアップテーブルを使用する請求項1から3のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項6】
前記制御器は、前記補正済み動作速度と前記最適動作速度とを比較して前記補正済み動作速度が前記最適動作速度に等しくなければ補正信号を適用するべくPID制御器を使用する請求項1から5のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項7】
前記タービンの現行膨張比は、前記流体流内の圧力センサによって測定される請求項1から6のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項8】
前記タービンの動作条件に関する情報は、前記回転出力の現行速度及び/又は前記回転出力の現行トルクを含む請求項1からのいずれか一項に記載のタービン。
【請求項9】
前記電気機械は発電機である請求項4に記載のタービン。
【請求項10】
前記可変負荷は、前記回転出力の所望の負荷トルクに対応する発電機電流である請求項に記載のタービン。
【請求項11】
前記発電機は同期発電機である請求項又は10に記載のタービン。
【請求項12】
流体流からエネルギーを取り出すタービンであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に結合され、回転出力を与えるべく流体流によって回転可能なタービンホイールと、
前記回転出力に負荷を適用する可変負荷と、
制御器と
を含み、
前記制御器は、
前記タービンの動作条件に関する情報を受信し、
前記動作条件に基づいて前記回転出力の最適動作速度を計算し、
前記タービンホイールが補正済み動作速度で回転して前記タービンの設計速度を達成するように、前記動作条件に応答して前記回転出力に適用される負荷を変える信号を前記可変負荷へと供給するべく構成され、
前記可変負荷は、電気機械によって前記回転出力に適用され、
前記電気機械は発電機であり、
前記可変負荷は、前記回転出力の所望の負荷トルクに対応する発電機電流であり、
前記制御器は、前記発電機電流の値の情報を受信して前記発電機電流の値から前記回転出力の実トルクの計算をする副次的PID制御器を含むタービン。
【請求項13】
前記制御器は、
前記計算された実トルクを受信し、
前記回転出力が前記補正済み動作速度で回転するべく前記最適動作速度と前記可変負荷を目的として要求される値との計算をするためのトルクルックアップテーブルを含む請求項12に記載のタービン。
【請求項14】
前記タービンはタービンシャフトを含み、
前記回転出力は前記タービンシャフトの回転速度である請求項1から13のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項15】
エンジンのための過給システムであって、
前記エンジンに入るガスの圧力を増加させる圧縮器と、
請求項1から14のいずれか一項に記載のタービンと、
前記圧縮器を駆動するべく構成された電気モータと
を含む過給システム。
【請求項16】
前記圧縮器及びタービンは機械的に分離される請求項15に記載の過給システム。
【請求項17】
タービンの速度を調整する制御器であって、
前記タービンの現行動作条件に関する情報を受信する入力部と、
前記入力部が受信した前記情報に基づいて前記タービンの最適回転速度を決定する分析器と、
前記タービンに補正信号を供給するべく構成された出力部と
を含み、
前記タービンの現行動作条件に関する情報は、前記タービンの膨張比であり、
前記補正信号は、前記タービンの回転速度を前記最適回転速度に整合するように増加又は低下させて前記タービンの設計速度を達成するべく前記タービンに適用される負荷を改変する制御器。
【請求項18】
前記タービンに適用される負荷は発電機によって適用される請求項17に記載の制御器。
【請求項19】
タービンの速度を調整する制御器であって、
前記タービンの現行動作条件に関する情報を受信する入力部と、
前記入力部が受信した前記情報に基づいて前記タービンの最適回転速度を決定する分析器と、
前記タービンに補正信号を供給するべく構成された出力部と
を含み、
前記補正信号は、前記タービンの回転速度を前記最適回転速度に整合するように増加又は低下させて前記タービンの設計速度を達成するべく前記タービンに適用される負荷を改変し、
前記タービンに適用される負荷は発電機によって適用され、
前記タービンの現行動作条件に関する情報は、前記発電機の電流の値である制御器。
【請求項20】
前記制御器は、前記入力部が受信した前記情報に基づいて前記補正信号を計算するべくルックアップテーブルを使用する請求項17から19のいずれか一項に記載の制御器。
【請求項21】
前記制御器は、前記補正信号をモニタするべくPID制御器を使用する請求項17から20のいずれか一項に記載の制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン、かかるタービンを組み入れた過給システム、及びその制御器に関する。本発明は、特に、ただし排他的ではなく、タービンの負荷の適切な制御を与える制御器を有するタービン、及び当該制御を与えるべくタービンの速度を調整する制御器に関する。かかるタービンは、理想的には、過給システムのようなターボコンパウンドでの使用に適する。
【背景技術】
【0002】
ターボコンパウンドの概念は、十分に文書化されており、多くの構成が知られている。ターボコンパウンドは、その様々な形態において、エンジンからの排気ガス流を制限してパワーを取り出し、その後このパワーを所定の有用目的へと送るターボ機械(タービン)を含む。典型的に、パワーは、機械的、液圧的又は電気結線によってエンジンのクランクシャフトへと送られる。特許文献1は、機械的システムの好例を与え、特許文献2は電気的システムの好例を与える。電気的システムの場合、パワーは、クランクシャフトよりもむしろ、電池又は補助的電気負荷へと送られることが多い。典型的なアプリケーションは、合理的な定常デューティーサイクル要件を備えた静的又は動的ピストンエンジンである。ただし、その概念は、ガスタービンのような他のエンジンにも当てはまる。
【0003】
いくつかの場合、ターボコンパウンドは、排熱エネルギーを有用な仕事へと変換する別個のエンジン(付加的な熱力学サイクル)を言及し得る。複数の例が、特許文献3及び4に記載されている。かかるシステムは典型的に、エンジンの排気マニホルドに熱交換器を配置し、他の作動流体へと排熱を伝達し、その後、当該作動流体にタービンを通過させる。
【0004】
通常、制御された可変の負荷がない場合、タービンは、利用可能な入力パワーの任意の所与量に対して一つの特定速度で動作することが知られている。タービンがこの様に挙動するのは、タービンは圧縮器による負荷を受けるのが通常であり、タービンのパワーが圧縮器負荷とバランスする動作速度をタービンが当然に見つけるからである。したがって、タービン製造者は、このバランスを具体的な特定の圧縮器とともに達成する動作「ライン」を引き合いに出すのが典型的である。例えば、タービンは、任意の所与U/C(無次元化された入口ガス速度(タービンブレード接線速度(U)及び理想速度(C)))の膨張比又は任意の所与質量流量に対する特定の圧力降下に対して特定の効率を与えるとして引き合いに出される。実際、これらの動作「ライン」は人工的である。すなわち、制御された可変の負荷によってタービンは、付加的な自由度で動作することができる。これは、制御ストラテジが効率及びU/C間の又は圧力降下及び質量流間の関係を支配かつ調整し得る潜在的な動作状態の「マップ」をもたらす。繰り返しになるが、タービンの動作マップは一般に、専門家によって知られかつ理解されるにもかかわらず、ターボチャージャーアプリケーションにおいては、タービンを制御することに欠けるので、関連性が限られる。その代わり、タービンの負荷の特徴が反映された動作ラインは、関連性の高い構成概念である。
【0005】
ここで、タービン速度が独立変数である場合のタービン効率を考える。エンジン設計者、アフターマーケット整備者、及び他のターボチャージャーの直接使用者は、タービンの効率はU/Cに対してプロットした場合に逆放物線形状に従うと考える。しかしながら、設計者にとって、タービンの理論的挙動は、図2に示されるように、各曲線が特定のタービン速度を表す放物線のファミリーとなることがわかる。
【0006】
ターボチャージャーの標準的な負荷は、容積型デバイスではないターボ機械型の圧縮器として画定されるターボ圧縮器である。ターボ圧縮器の特徴は、その回転速度の2乗に比例する速度でパワーを消費することにある。外部制御がなければ、圧縮器負荷に損失をプラスしたものが、利用可能なタービンパワーのすべてを消費する必要がある。または代替的に、タービンパワーは、タービン圧縮器シャフトの回転運動エネルギーを変えることによって消費又は復元される任意の付加エネルギーを負荷にプラスしたものに正確に整合する必要がある。すなわち、システムが動作速度に対して「浮遊」することによって圧縮器入力パワーとタービンパワー(マイナス損失)とが整合する。この速度は、ほとんど常に、利用可能な入力パワーに対する最適タービン効率点とはならない。
【0007】
これらの問題を緩和する一つの試みが、可変翼形状(典型的にはVGT(可変容量タービン)システムと称する)である。このシステムにより、排気ガスがタービンに衝突する入射角度を調整することができる。タービンの最適動作速度はこの場合、翼位置の関数となる。VGTシステムは、ある程度の付加的損失を伴うが、全体的な効果は、広い範囲の最適(正確には近最適)タービン速度となる。
【0008】
VGTには限界がある。実用上、VGTシステムが連続体として動作することはめったにない。その代わり、当該システムは、2以上の形状の選択を許容するので、2以上の近最適タービン速度が可能となる。これは、低膨張比においてはターボチャージャー効率を改善するが、タービン負荷の調整可能な制御ができる程ではない。加えて、VGTハードウェア自体が、ガスの流れをブロックするので、タービンは非効率的となる。さらに、VGTが、その全開位置から動くと、ガスの流れは、なおもさらにブロックされる。当該流れが有効に向き変更されても、向き変更されたガスの流れ経路は通常、全開の流れ経路と比べ、はるかに円滑性及び直線性に欠ける。これがさらに効率を低下させるので、VGTは、極狭帯域内の動きで使用されるに過ぎない。結局、VGTシステムは、過酷な環境で動作する必要がある場合が多いので通常は、連続的な制御を与えることは不可能である。その代わり、VGTシステムは、全開又は非全開のいずれかで動作し、その双方間ではほとんど又は全く制御されない場合が多い。可変翼形状は、以下に記載する解決策にとって好ましく、さらには部分的な代替案となる。
【0009】
上記議論は、タービンが、その設計速度での動作が許容される場合に最も効率的であるが、そのことは、実用上狭い動作制限内でのみ生じることを示す。すなわち、タービンは、特に過渡的なアプリケーションにおいて使用される場合、最適効率で動作することがほとんどない。許容可能な動作範囲を拡張する方法が存在する一方、基本的な問題は、タービン負荷の制御が欠けることにより、望ましくない態様で速度とパワーとを接続させてしまうことにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2011/023282(A1)号
【特許文献2】米国特許第7174714(B2)号明細書
【特許文献3】米国特許第7866157(B2)号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/058832(A1)号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、タービン負荷を制御するのに適切な制御器を有するタービンを与えることによって上記問題を緩和することを目的とする。さらに、かかるタービンと、タービンの効率を最適化又は選択するべくタービン負荷及び速度を調整する制御器とを使用する過給システム又はターボコンパウンドシステムが与えられる。
【0012】
本発明の第1側面によれば、流体流からエネルギーを取り出すタービンであって、ハウジングと、当該ハウジング内に回転可能に結合され、回転出力を与えるべく流体流によって回転可能なタービンホイールと、当該回転出力に負荷を適用する可変負荷と、当該タービンの動作条件に関する情報を受信し、当該動作条件に基づいて当該回転出力の最適動作速度を計算し、及び当該回転出力が補正済み動作速度で回転するように当該動作条件に応答して当該回転出力に適用される負荷を変える信号を当該可変負荷へと供給するべく構成された制御器とを含むタービンが与えられる。
【0013】
制御器の目的は、タービンの最適動作効率に影響を与え、多くの場合はその動作効率を増加させ、時々は減少させることである。タービンの動作効率は、ターボチャージャーの良好な性能(付加的な圧縮空気をエンジンに供給し及び/又はターボラグを迅速に克服すること)をもたらし得る。代替的に又は付加的に、増加したタービン効率により、ターボコンパウンドを目的としてタービンから取り出すべき余剰パワーをもたらすことができる。低下した動作効率の場合、これは、望ましくない過剰量のパワーが利用可能である場合に、部分負荷エンジン動作状態を達成するべく、又は電池若しくは他の貯蔵デバイスを過剰充電するのを防止するべく使用することができる。かかるシナリオは、例えば、エンジンが暖まっていない(エンジンオイルが冷たい)場合に望ましい。
【0014】
この構成の利点は、検出された現行動作条件においてタービン効率を最大化させるべく、タービン動作速度を最適化できることにある。タービンの暖機中のような低膨張比において、タービン速度は、回転出力に適用される負荷の低下によって低下させることができる。
【0015】
一般に、タービンホイールの回転出力は、当該タービンホイールが接続されたタービンシャフトに与えられる。
【0016】
特定の実施形態において、タービンの可変負荷は、回転出力を加速させるべく作用する。これは、負荷に対して負電流を、当該負荷がモータに作用するように適用することによって達成することができる。これは、暖機中に回転出力を急速に最適速度に至らせるのに役立つので、タービンは急速に、その効率が高い動作レジームに入ることができる。
【0017】
代替的に、複数の実施形態により、可変負荷は、回転出力に対するブレーキとして作用することができる。これにより、タービン回転速度が、効率が最大となるタービン最適設計速度を超えないことを確実にすることができる。これにより、タービンは過速度による損傷から保護される。タービン設計者にとって、意図された動作範囲にタービン速度を制限できるデバイスとともにタービンが使用可能であるとの知識は、付加的な設計柔軟性を与えてくれる。例えば、設計者は、意図された最大動作速度で又はその付近でタービンに作用する効率制限デバイスを組み入れなければならない必要性から解放される。効率制限デバイスの例は、安全マージンによって過速度を防止するべく、タービンが最大速度に到達する前にわずかに開いて余剰パワーを廃棄するべく設計されるのが一般的な廃棄ゲートを含む。他の例は、最高速度の効率を低下させるブレード設計補正を含む。当該効率が最高となるべき動作領域に対し、最高速度においてはタービンが定常状態となり、依然として加速していた場合に低速度において要求されていたパワーよりも低いパワーを要求するという事実が反映される。タービンを最適動作速度に置くことができる制御器を利用することにより、かかる効率制限デバイスの必要性を除去できるので、設計者は自由に、すべての速度、特に最高速度における最大可能効率を目的としてタービン設計を改善かつ最適化することができる。
【0018】
複数の実施形態において、可変負荷は、電気機械によって回転出力に適用される。
【0019】
一般に、制御器は、タービンの動作条件に基づいて回転出力の最適動作速度の計算をするための理論又は実験から導出された補間又は数学的関係を有する分析器、例えばルックアップテーブルを使用する。一般に、制御器は、補正済み動作速度を最適動作速度と比較して当該補正済み動作速度が当該最適動作速度に等しくなければ補正信号を適用するべく、PID制御器又はスライディングモード、状態空間、若しくは他のアーキテクチャを使用することができる。これにより、タービンは確実に、その動作寿命の可能な限り最高の比率の間に最適動作速度のままとなる。
【0020】
好ましい実施形態において、タービンの動作条件に関する情報は、タービンの現行膨張比を含む。タービンの現行膨張比は、流体流の中の圧力センサによって測定することができる。
【0021】
本発明の複数の実施形態は、タービンの動作条件に関する情報が、回転出力の現行速度及び/又は回転出力の現行トルクを含むことを要求する。
【0022】
回転出力に適用される可変負荷が電気機械である場合、電気機械は一般に発電機である。かかる実施形態において、可変負荷は、回転出力の所望の負荷トルクに対応する発電機電流とすることができる。発電機は、同期発電機とすることができる。加えて、制御器は、発電機電流の値の情報を受信して当該発電機電流の値から回転出力の実トルクの計算をする副次的制御器(すなわち内蔵ループ)を含み得る。さらに、制御器は、計算済み実タービントルクを受信し、回転出力が補正済み回転速度で回転するべく最適回転速度と可変負荷トルク負荷を目的として要求される値との計算をするためのトルクルックアップテーブル又は他の計算を利用することができる。
【0023】
この副次的又は内蔵制御器により、精密な速度標的化と、(例えば過速度を防止するための)内部制限の導入とが可能となり得る。外部/主要制御器が、標的動作状態又は効率レベルに基づいて所望の標的速度の計算をすることができる。副次的/内蔵制御器は、主要制御器の出力を入力として使用することにより、所望の標的負荷を計算してタービンに、特定の標的速度を達成するべく適用することができる。2つの制御器間では、供用間隔を予測するべく設計されたソフトウェアモジュールのような独立したシステムによって、制限速度のような非線形性が適用され及び/又は制御器状態がモニタされる。
【0024】
本発明の第2側面によれば、エンジン用の過給システムであって、当該エンジン内へのガスの圧力を増加させる圧縮器と、上述のタービンと、当該圧縮器を駆動するべく構成された電気モータとを含むシステムが与えられる。
【0025】
有利なことに、圧縮器及びタービンは機械的に分離することができる。これにより、タービンは、回転出力に適用される可変負荷の値を変えることによって完全に制御可能となる。
【0026】
本発明の第3側面によれば、タービンの速度を調整する制御器であって、タービンの現行動作条件に関する情報を受信する入力と、当該入力が受信した情報に基づいて当該タービンの最適回転速度の計算をする分析器と、当該タービンに補正信号を供給するべく構成された出力とを含み、当該補正信号は、当該タービンの回転速度を当該最適回転速度に整合するように増加又は低下させるべく当該タービンに適用される負荷を改変する制御器が与えられる。
【0027】
複数の実施形態において、タービンに適用される負荷は、発電機によって適用される。
【0028】
さらなる実施形態において、タービンの現行動作条件に関する情報は、タービンの膨張比とされる。
【0029】
タービンに適用される負荷が発電機によって適用される場合、当該タービンの現行動作条件に関する情報は、発電機を流れるアンペア数の値及び当該発電機の両端間の電圧とすることができる。
【0030】
好ましくは、制御器は、入力が受信した情報に基づいて補正信号の計算をするべくルックアップテーブルを使用する。制御器は、補正信号をモニタするべくPID、スライディングモード、状態空間、又は他の制御器を使用することができる。分析器はまた、タービンの最適回転速度の計算をするべくルックアップテーブルを使用することもできる。
【0031】
方法論は、定常負荷に関連があり、かつ、異常な場合には非定常負荷にも関連する。本発明の最大の利益は、非定常動作にさらされるエンジンにターボコンパウンドが装備される状況において見られる。これは、不定速度にさらされるエンジン(車両エンジンを含む)、不定環境条件にさらされるエンジン(変動する高度にさらされる航空機エンジンを含む)、及び/又は不定トルクにさらされるエンジン(負荷平準化エンジン又はバックアップパワーエンジンを含む)を含む。本文書は特に、電気的ターボコンパウンドに当てはまる。ただし、当業者であれば、その原理のいくつかを、液圧システム及びクラッチ/ギアシステムに適用することができる。
【0032】
タービン速度制御の上述された利益を考慮すると、本発明が提案するのは、改善された制御器を有するタービン、かかるタービンを利用する過給システム、及び当該タービンの速度を調整してタービン効率を改善することができる制御器である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の複数の特定実施形態が、添付図面において例示される。
【0034】
図1】本発明に係るタービン、及び本発明の制御器とともに使用されるのに適切なタービンの模式図である。ここで、タービンは、内部コンポーネントが識別可能となる断面図で示される。
図2】仮想的な既知のタービン設計における効率対U/Cのグラフである。
図3】仮想的な既知のタービン設計における効率対膨張比のグラフを示す。
図4】空力負荷(例えば圧縮器)を受けるタービンの、典型的な既知の速度及びトルク応答である。
図5】本発明に係る制御ダイアグラムである。
図6】本発明に係るタービン負荷を受けるタービンの代表的な速度及びトルクである。標準よりも高い効率が許容される。
図7】本発明の代替実施形態に係る副次的内蔵PID制御器の使用を示す制御ブロックダイアグラムである。
図8】本発明のさらなる代替実施例に係る制御器を示す制御ブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、流体流からエネルギーを取り出し、そのエネルギーを有用な仕事に変換するタービン10を示す。かかるタービン10は典型的に、ターボチャージャーのような過給システムにおいて使用される。タービン10は、タービンシャフト14に接続されたタービンホイール12を含む。タービン10はまた、ガス入口16も有する。ガス入口16にはエンジン20の排気18が、ダクト22等を介して従来型の態様で接続される。その結果、エンジンのシリンダから出る燃焼ガス流がタービン10を駆動する。
【0036】
ハウジング30がタービンシャフト14を取り囲む。タービンシャフト14まわりに構成され及びタービンシャフト14に結合されるのは、一連の永久磁石32である。図示の例において、磁石32は、タービンシャフト14まわりに連続環を形成する。しかしながら、当該環は、要求されるタービンアプリケーションに応じて不連続ともなり得ることがわかる。磁石32は典型的に、4極NdFeB永久磁石である。
【0037】
磁石32を取り囲むのは複数の電気巻線34である。電気巻線34は典型的に、タービンシャフト14及び永久磁石32を取り囲むスロット内に配置される。磁石及びロータに関する電気巻線34の代表的な構成は、出願人の同時係属特許出願である国際公開第2011161408号明細書に見出すことができる。タービンシャフト14を取り囲む電気巻線34及び磁石は、タービンシャフト14の回転速度からのエネルギーを利用する同期発電機36(代替的にオルタネータ又はマグネトとも称する)として作用する。実際のところ、タービンシャフト14が発電機36のロータとして作用する一方、電気巻線34がステータとして作用する。代替的に、電気巻線34を例えば正電流によって相補的に励起することにより、磁石32及び巻線34が、タービンシャフト14に作用するモータとして作用する。磁石の精密な配向及び構成は、本発明にとっては重要ではない。
【0038】
巻線34を通って流れる電流が存在しない場合、磁石32は、(レンツの法則を介して)タービンシャフト14の回転に抵抗する負荷として作用する。これは、同期発電機36の固有負荷となる。この負荷は、タービン10の回転速度の関数であり、正確には、タービンシャフト14により発生するトルクの関数である。
【0039】
発電機36の固有負荷はまた、磁石32及び巻線34の磁場強度にも依存する。
【0040】
制御器40は、電気結線42を介してタービン10に電気的に接続される。制御器40は、図5を参照して以下に詳述される。
【0041】
従来より、タービン10への負荷は、(圧縮器からの入力空気のような)空力負荷である。しかしながら、圧縮器及びタービン10間に直接的なつながりが存在しない場合(例えば完全に電気的なターボチャージャー)、この制約はもはや存在しない。したがって、タービン10の要求される動作速度及び/又はトルクに合わせて画定された負荷を適用することができる。
【0042】
図2は、様々な動作速度におけるタービン効率(y軸160)を、タービンの先端速度比(U/C)(x軸170)の関数として表す一連の曲線110〜150を示すグラフ100である。先端速度比は、ブレードを経由して流れるガスの速度に比較されるタービンの回転速度である。大まかにいえば、図2は、タービン速度の増加に伴いタービンの効率が増加することを示す。
【0043】
通常、タービンの速度は、独立変数ではなく(タービンの出力シャフトトルクの関数である)、すなわちU/Cの関数である。したがって、図1に示される逆放物線は、変動するパワー(一緒に変化するU/C及び速度)に伴うタービンの挙動をトレースする単一の放物線に併合される。図2においてのように、独立変数としてのタービン速度に伴うタービン効率をプロットすることは従来より、理論的な行為とみなされている。データは、タービン速度制御の欠如ゆえに、実験的に取得するのが難しく、エンジン設計との関連性が限られる。
【0044】
図2からは、タービンの効率が、高い速度においては良好であることがわかる。実際のところ、タービンの性能は、設計速度(図2では155000RPMであるが一般には任意の速度)において最適となる。タービンの設計速度を超えると、効率が降下してゆく。設計速度における性能及び効率が最善であるという公理は、非常に低い膨張比(排気ガスがタービンに入るときの入射又は入口圧力と、当該排気ガスがタービンから出るときの出力又は出口圧力との比)の場合を除いて真である。これは図3により例示される。
【0045】
図3は、異なるタービン動作速度210〜250におけるタービン効率260の応答を、膨張比270の関数として示すグラフ200である。1.6のタービン膨張比272を上回るとタービンの最適回転動作速度は155000RPM(ライン250)となる。タービン膨張比が低下すると、しきい値(この場合は点272に示される1.6の比)は、最適効率が設計速度を下回る(かつ膨張比がしきい値を超えてさらに下降するように漸次的に低くなる)速度において達成される箇所まで到達する。例えば、図3において1.5の膨張比(点274)のとき、タービンの最適効率は、135000RPMの速度(ライン240)において達成されるが、155000RPMの設計速度(ライン250)においては達成されない。
【0046】
図4は、特定のターボ圧縮器負荷によるタービン動作の速度310対パワー320、及びトルク330対パワー320の形態を例示するグラフ300である。上述のように、タービン効率を最も良好に最適化する特徴は、広い範囲の入力パワーレベルにわたって(又は等価的には広い範囲の膨張比にわたって)タービンの設計速度で動作させることにある。わかることだが、タービンの速度310とタービンのトルク330との関係は、大まかにいえば、パワー入力320の増加に対して放物線となる。しかしながら、放物線である図4における方程式の形態により、タービンは、決して一つだけではない入力パワーレベルにおいて設計速度に到達することができない。したがって、タービン効率は、可能な限り高くなることがめったにない。加えて、図3及び4からわかるのは、タービンシャフトにおけるトルク負荷が可変の(独立して制御される)場合、速度及びU/C間の従来のつながりが壊れるということである。
【0047】
図5を参照すると、タービン10用の制御器40を含むブロック模式図が示される。制御器40は、タービン10に供給される負荷量を、タービン40が設計速度で又はその付近で動作する膨張比範囲を拡張するように制御するべく動作する。
【0048】
これを達成するべく制御器40は、ルックアップテーブル406のような分析器を使用して膨張比404又は利用可能な入力パワーに基づき速度標的402の計算をする。ルックアップテーブル406は、シミュレーション又は試験データに基づいており、包含する情報は図3に類似する。この速度標的402がひとたびわかれば、制御器40は、実タービン速度408の、標的タービン速度402との調停を試みる。所望のタービン又はトルク負荷410は、制御器40の出力である。これは、その後、可変の負荷/発電機36に適用されてタービン10へと送られる。
【0049】
制御器40は、要求されるトルク負荷を発電機36がタービンシャフト14に与えるのに必要なロータの磁場強度を決定する。発電機36の負荷が変化すると(例えば増加すると)、アーマチャ応答の変化ゆえにタービンシャフト14へのトルク負荷もまた変化(増加)する。これは、タービンシャフト14の回転速度を低下させる。多くのパワーが、発電機36によってタービンシャフト14から引き出されるからである。
【0050】
しかしながら、図3に戻ると、タービンの回転速度低下が有利となる場合には、(膨張比に依存する)シナリオが存在することがわかる。したがって、制御器は、膨張比404を知ることにより及びルックアップテーブル406の使用により、タービン10の最大効率を与える標的速度402の計算をする。これは、タービンシャフト14の特定のトルク負荷410に対応する。
【0051】
プラント(プロセス(入力を出力へと変換するタスク)及びアクチュエータ(この場合は可変の負荷/モータ巻線/発電機)の組み合わせ)412は双方が、制御器40からの入力要求トルク負荷410信号を出力信号へと変換し、この信号をモータ巻線34に供給する。プラント412の出力から、タービンの真速度408を決定することができる。フィードバック入力416を介する真速度408及び設定標的速度402間の誤差値の計算をするべく比例積分微分(PID)制御器414も使用される。これにより、一つの条件から他の条件へと円滑に遷移することが確実となる。
【0052】
一般的な機械用語では、制御器40の出力は、タービンシャフト14に適用されるトルク負荷410である。かかる負荷の一例が、図1の発電機36である。この実施形態において、出力は、所望の負荷トルク(電流のトルクに対する伝達関数であって発電機の特性、特にモータ定数kである)に対応する発電機電流値である。発電機36は可逆(正負双方のトルク/正負の電流が可能)なので、制御器40は同じ態様で機能し、さらには、遅延なく標的速度に到達することさえ可能となる。例えば、発電機を負電流によって励起することにより、発電機は、タービンシャフト14にトルクを適用し、タービンシャフト14に抵抗するのではなくタービンシャフト14を加速することができる。
【0053】
この制御器40の効果は、タービン10へのトルク負荷410を低膨張比(及び低量の利用可能入力パワー)まで低下させることである。これにより、タービンは(設計速度に近い)高速度で動作し、効率が改善される。これは、図4及び図6間の比較によって例示される。
【0054】
図6は、制御器40により制御される可変ターボ圧縮器負荷を受けたタービン動作の速度510対パワー520、及びトルク530対パワー520の形態を例示するグラフ500である。圧縮器が、典型的には一定の負荷をタービンシャフト14に適用する図4とは対照的に、図6においては、タービンシャフトへの負荷は可変である。これにより、図4に示される一定負荷を受ける応答よりも、トルク及びパワー間の応答が線形的となり、及びパワー需要に応答する速度の応答が対数的になる。
【0055】
図4の速度応答をもたらす一定負荷に同期する必要がある単一の動作速度に制約されることよりもむしろ、タービン10の低動作速度においては、当該タービンを急速に最適設計速度(図4及び6の場合、190kRPM)まで到達可能とするべく、発電機のトルク要求が低減され又は負に切り替えられる。ひとたびタービンシャフト14がこの設計速度に到達すると、発電機36の動作速度は、タービンシャフト14の設計速度に同期することができる。この場合、発電機36に適用されるトルクのさらなる増加により、発生パワーがほぼ線形に増加する。この挙動は、一定の動作範囲にわたって高効率及びU/C曲線の浅いスロープをもたらす。
【0056】
電気機械(モータ/発電機)36が、タービンシャフト14に適用されるトルク負荷410を調節可能であるとすれば、タービン10は、流入ガスの任意の所与状態に対する最善の効率条件で動作するべく駆動される。最適電気機械トルクは、直接的に計算され、又は上述の最適速度標的を介して計算することができる。
【0057】
加えて、タービン10及び発電機又は電気機械36はまた、共通シャフト又は他の直接カップリングを介して圧縮器(図示せず)に接続することもできる。この場合、圧縮器が消費するパワーは、速度及び(圧縮器圧力比、空気密度等のような)他の因子の関数となる。すなわち、システムは最適タービン効率に合わせるチューニングが可能だが、良好なアプローチは、タービン性能(効率)と圧縮器性能(効率)とのバランスをとる妥協的な条件によってシステム全体を動作させることである。最適な妥協は、ここでは詳細に述べないが、エンジンが要求する取り入れ空気圧力に大きく依存する。
【0058】
一実施形態において、制御器40は、タービンシャフト14に結合された発電機36が生成する電圧信号に基づいてタービン真速度を測定する。タービン10の膨張比もまた、タービン10の上流及び下流における排気ガスの流れ経路に配置されたよどみ点圧力センサ44(図1参照)によって測定される。制御器40は、制御器40のメモリ内に記憶されたルックアップテーブル406を使用することにより、タービン10の最適動作速度を決定する。この値により、制御器40は、発電機ステータに流すべき電流を、真速度408と最適速度402との差に比例する成分、当該差の時間積分に比例する成分、及び当該差の時間微分に比例する成分として計算する(図5に示す)。
【0059】
計算済み標的電流はその後、ダイオード型受動整流器回路の使用により発電機出力を整流して電流を送ることと、その後、固定されたオン・オフサイクル周波数で動作するIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)又はMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)型スイッチのデューティーサイクル(開条件に費やされる時間のパーセンテージ)を調整することとによって発電機36に流される。スイッチが開に費やす時間のパーセンテージが、その固定されたオン・オフサイクル内で増加すればするほど、多くの電流が発電機36から(電池又は車両電気バスのような)低電圧負荷へと流れる。スイッチングデバイスのサイクル周波数にチューニングされたインダクタ・キャパシタ調和回路によって、電流を経時的に比較的定常(スイッチのオン・オフ動作にもかかわらず)とすることと、ダイオード又は低側IGBTにより電流を、スイッチがオフの場合の低電圧接触から引き出し可能とすることとが確実となる。この型の調節回路は、PWM(パルス幅変調)分圧器として知られている。その電流センサ及びフィードバック制御器との組み合わせは、(この状態では、発電機の可変動作状態に対応する)可変電圧入力によって一定電流を生成し、具体的には、極高速度の電気機械における安定制御と達成するが、出願人の同時係属出願である国際公開第2011161408号明細書の一つの主題である。
【0060】
回路及び機械の特徴に依存して、制御器40を流れる電流は、一定のスイッチングデューティーサイクルであっても、大きな変動を受けるかもしれない。かかる大きな変動が存在する場合、この回路が生成する電流を検出するべくセンサが設けられる。この真電流は、上記制御器40が決定する標的電流と比較することができる。この実施形態において、同等の特徴が図5に示される参照番号と同じである図7に示されるように、自身のPIDアーキテクチャを有する副次的内蔵フィードバック制御器420が、標的電流が達成されるまでデューティーサイクル422を調整するべく動作する。代替的に、電流が所与のデューティーサイクルとともに変動するが発電機速度の関数として漸次的かつ予測可能である場合、ルックアップテーブルは、所与の標的電流及び真速度の組み合わせに対する正しいデューティーサイクルを決定するのに十分となり得る。
【0061】
制御器40の他実施形態において、図8に示されるように、タービン10の圧力比は直接的に検知されない。その代わり、タービンパワーが、タービンの真速度450及び実トルク452の積として計算される。このトルク452は、副次的内蔵PID制御器が測定する発電機電流と、発電機の固有な特徴(一般に、発電機トルクが発電機電流に直接的に比例することを伴い、モータ定数kによって表現される)とから計算される。この実施形態において、圧力センサは排除され、潜在的にシステムコストが低減される。計算済みタービントルク452は、上述したものとは異なるルックアップテーブル454を使用することにより、タービン10の標的トルク負荷456及び最適速度を、プラント458を介して選択するべく直接的に使用することができる。代替的に、膨張比は、既知のタービン速度、タービンパワー、及びタービンの効率マップデータ(試験されて別個にルックアップテーブルに与えられる)から計算することができる。
【0062】
制御器の電流調節部分の他の実装は、動的整流器とされる。かかる整流器は、AC入力からDC出力を達成しさらには可変電圧降下を達成する二重の機能を有するものとして知られている。整流器を電流センサと組み合わせることにより、一定電流を達成することができる。これにより、発電機を流れる電流が(例えば、大きな範囲の動作速度を有する低インピーダンス電気機械により)不安定な状況においてもその使用が可能となる。
【0063】
タービンと上述の制御システムとの、一つのそのような使用は、ターボチャージャーのような過給システムにある。特に、タービンは、出願人の先の英国特許第2444603号明細書に記載されるような、機械的に分離されたターボチャージャーでの使用に適する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8