(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、RGBの3色の独立したLED光源を有するプロジェクタにおいて、好適な色バランスの白色光を維持するには、RGB各色の光量をそれぞれ個別に適切な値に制御する必要がある。この点、特許文献1に記載された技術によれば、光源から発光されたRGB各色の光量を個別にセンサにより計測して、各色の光源の出力制御にフィードバックすることができる。
【0007】
しかしながら、センサを光源の色数毎に用意すると、設置スペースに制約が生じたりコストが高くなったりする場合が生じ得る。また、特許文献1に記載された技術では、プリズムの光学面上に反射性コーティングが施された部分と、反射性コーティングが施されていない1つ以上の非反射性開口部とを設け、非反射性開口部に対応した位置に光センサが設置される構成を有している。この非反射性開口部がプリズムの光学面での反射特性に影響を与え、例えば、プリズムの光学面で反射された照明光束により形成される照度分布に斑(ムラ)を生じさせ得る。
【0008】
そこで本発明の目的は、照明光束の照度分布を好適に維持しながら、複数の光源の各光量をより好適に計測する投射型映像表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による投射型映像表示装置は、映像を生成する表示素子に光を照射して前記映像を投影する投射型映像表示装置であって、少なくとも赤、青、および緑を含む複数の色の光をそれぞれ発光する独立した光源と、前記各光源から発光された光を合成した白色光を、所定の透過率特性に基づいて透過させつつ反射するミラーと、前記ミラーの裏面側に設置され、前記ミラーを透過した前記白色光における前記各色の光量を計測する照度センサと、前記照度センサにより計測された光量の情報を取得し、取得した情報に基づいて前記各色の光源の発光量をそれぞれ調整する制御部と、を有する。
【0012】
そして、前記ミラーは、赤色の光源の中心波長および青色の光源の中心波長における光の透過率がそれぞれ緑色の光源の中心波長の光の透過率よりも大きくなるような透過率特性を有するよう形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、照明光束の照度分布を好適に維持しながら、複数の光源の各光量をより好適に計測することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0017】
(実施の形態1)
<装置構成(全体)>
図1は、本発明の実施の形態1である投射型映像表示装置の構成例について概要を示した図である。投射型映像表示装置100は、光学系として投射光学系101および光学ユニット170を有するプロジェクタであり、例えば、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)プロジェクタ等として実装される。投射光学系101は、映像をスクリーン等へ投射する光学系であり、図示しないレンズおよび/またはミラーを含む。光学ユニット170は、投射光学系101に入射する照明光を発生させる照明光学系であり、構成要素として例えば、表示素子102、および独立光源であるB(青)光源150B、G(緑)光源150G、R(赤)光源150R(以下ではこれらを「光源150」と総称する場合がある)を有する。
【0018】
表示素子102は、投射する映像を生成する素子であり、例えば、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、DMD(Digital Micromirror Device)(登録商標、以下同様)パネル等を用いることができる。本実施の形態ではDMDパネルを用いるものとして説明する。表示素子102は、表示素子駆動部103から映像信号に応じた駆動信号を受けて、これに基づいて投射する映像を生成する。光源150は、それぞれ、電源106から電力の供給を受けて対象の色(RGB)の照明光を発光するLED光源により構成される。光源150の発光は、それぞれの色に対応するドライバ(B光源ドライバ151B、G光源ドライバ151G、R光源ドライバ151R(以下ではこれらを「光源ドライバ151」と総称する場合がある))により制御される。
【0019】
光学ユニット170では、3色の光源150から発光された照射光を混合・合成して白色光を生成し、これをミラー171で反射させて表示素子102へ入射する。そして、本実施の形態では、ミラー171の裏面側の所定の位置に設置された照度センサ160により各色(RGB)の光量をそれぞれ計測し、後述する制御部110へフィードバックして、制御部110が光源ドライバ151を介して各光源150の出力(発光量)を個別に調整可能とする。光学ユニット170の詳細については後述する。なお、本実施の形態では、RGBの3色の光源150を用いて白色光を生成する場合を例としているが、2色や4色以上の光源を用いて白色光を生成する構成であっても同様に適用することができる。
【0020】
投射型映像表示装置100は、さらに、電源106、操作信号入力部107、不揮発性メモリ108、メモリ109、制御部110、冷却部115、映像入力部131、通信部132、音声入力部133、および音声出力部140などの各部を有する。
【0021】
電源106は、図示しない外部電源からの電力の供給を受けて、光源150を始めとする各部に対して動作用の電力を供給する。操作信号入力部107は、ユーザが投射型映像表示装置100に対する操作を行うための入力インタフェースであり、例えば、投射型映像表示装置100の本体上に設けられた図示しない操作ボタンや、リモコンの受光部により構成され、ユーザからの操作信号の入力を受け付ける。
【0022】
不揮発性メモリ108は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成され、例えば、投射型映像表示装置100に係る各種設定情報等を保持する。本実施の形態では、各色の光源150の光量等を制御するための各種パラメータ等を保持するようにしてもよい。メモリ109は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリにより構成され、後述する映像入力部131等を介して入力された投射対象の映像データをバッファリングしたり、投射型映像表示装置100に係る各種制御用データを展開して保持したりする。
【0023】
冷却部115は、光源150からの発熱を外部に放出して高温化を抑制するためのファン等からなる。映像入力部131、および音声入力部133は、外部インタフェースを介して接続された図示しない情報処理装置等から、投射対象もしくは出力対象の映像データや音声データを入力する。入力した映像データや音声データはメモリ109にバッファリングしてもよい。通信部132は、情報処理装置などの図示しない外部の装置と通信を行い、各種制御信号等を入出力する機能を有する。インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークインタフェースを有していてもよい。音声出力部140は、図示しないスピーカーや外部出力端子等を備え、表示映像に関連する音声情報を出力したり、投射型映像表示装置100の操作やエラー等に係る通知音や警告音、音声情報などを出力したりする。
【0024】
制御部110は、投射型映像表示装置100の各部の動作を制御する。特に、本実施の形態では、照度センサ160によって計測された各色の光源150の光量の情報を取得し、取得した値に基づいて各色の光源ドライバ151に対して対応する光源150の光量を所望の値に調節するよう駆動信号を出力することで、投影される映像の色バランスを再調整する。
【0025】
制御部110における上記のような各色の光源150の光量の取得と色バランスの再調整(以下では単に「色バランス再調整」と記載する場合がある)は、例えば、ユーザが設定したモード等に応じて所定のタイミングで定期的に行うようにしてもよいし、予め設定された条件や状況を投射型映像表示装置100が検知したタイミングで追加的に行うようにしてもよい。
【0026】
例えば、常時最大頻度(すなわち毎フレーム)で色バランス再調整を行うようにしてもよい。また、投射型映像表示装置100の使用開始から所定時間(例えば20分程度)は高頻度(毎フレーム)で色バランス再調整を行い、その後は低頻度(数回/分など)に切り替えるようにしてもよい。また、投射型映像表示装置100の1回の使用につき1回程度だけ(例えば、光源150の点灯から20分後に1回だけ等)、色バランス再調整を行うようにしてもよい。ことのき、例えば、各色の光源150の発光に係る積分時間が、投射型映像表示装置100の1回の使用時間より十分に長い所定の値を超えた場合に、経時劣化の補正のための色バランス再調整を行うようにしてもよい。
【0027】
投射型映像表示装置100の動作モードに応じて色バランス再調整の頻度を動的に変更するようにしてもよい。例えば、光源150の発光強度を映像信号に連動して可変とする調光モード(映像連動可変調光モード)がONのときはOFFのときよりも頻度を多くするようにしてもよい。
【0028】
また、投射型映像表示装置100においてホワイトバランスの設定を変更した直後に色バランス再調整を行うものとしてもよい。このとき、ホワイトバランスの設定変更から所定時間(例えば20分程度)は高頻度(毎フレーム)で色バランス再調整を行うようにしてもよい。なお、ホワイトバランスの設定変更の際には、表示素子102(DMDパネル)での映像の生成をミュートするようにしてもよい。また、投射型映像表示装置100に搭載した図示しない重力センサが姿勢変更を検知した場合に、その直後に色バランス再調整を行うものとしてもよい。このとき、検知から所定時間(例えば20分程度)は高頻度(毎フレーム)で色バランス再調整を行うようにしてもよい。
【0029】
<装置構成(光学系)>
図2は、本実施の形態における光学ユニット170の構成例について概要を示した図である。光学ユニット170では、異なる位置にそれぞれ配置されたR光源150R、G光源150G、およびB光源150Bの3色の光源150から発光されて拡散する照射光が、対応するリレーレンズ201、202、および203により照明光束とされ、これらが色合成ミラー(ダイクロイックミラー)204、および205により合成されて白色の照明光束が生成される。
図2の例では、G光源150Gからの照射光とB光源150Bからの照射光とが色合成ミラー205により合成され、さらにこれとR光源150Rからの照射光とが色合成ミラー204により合成される。
【0030】
合成された白色の照明光束は、リレーレンズ206を介してロッドインテグレータ207に入射して照度分布が均一化された後にリレーレンズ208を介して取り出される。この照明光束は、ミラー171により反射された後、リレーレンズ209を介してTIR(Total Internal Reflection:内部全反射)プリズム210に入射し、TIRプリズム210の内部で全反射されて、投射する映像が生成された表示素子102(本実施の形態ではDMDパネル)に照射される。そして、表示素子102により反射された光は、TIRプリズム210を透過して投射光学系101に入射し、投射光学系101によって図示しないスクリーン等に映像が投射される。
【0031】
そして、本実施の形態では、上述したように、各色の光源150から発光された照明光の光量を計測するため、ミラー171の反射面(照明光束を反射する面)とは反対側の面(以下では「裏面」と記載する場合がある)側の所定の位置に照度センサ160を1つ設けている。ミラー171に用いられるミラーは、通常、100%の反射率(すなわち0%の透過率)を有するものではなく、1%弱から数%の透過率を有する。そこで、ミラー171の裏面側に配置した照度センサ160により、ミラー171に照射された白色の照明光束のうち、ミラー171で反射せずに透過したものの光量を光源150の色毎に計測する。なお、照度センサ160は、例えば、1KHz等のサイクルでの時分割で複数の色の光量を順次サイクリックに計測できるもの等を用いることで、センサの数を減らしてコストの上昇を抑止するのが望ましい。
【0032】
図示するように、本実施の形態では、光学ユニット170における各色の光源150から表示素子102までの照明光束の光軸(以下では「照明光学系光軸」と記載する場合がある。図中の破線)は、色合成ミラー204および205により各色の照明光束が合成されて白色光となった後は共通であり、この状態で照度センサ160の前方にあるミラー171に向かって照明光束が入射する。そして、照度センサ160は、この各色共通の照明光学系光軸における(ミラー171の裏面側の)延長線上に配置される。
【0033】
ここで、照度センサ160は、照明光束の透過光を適切に計測するために平面センサであるのが望ましく、その受光部をなす面が照明光学系光軸(の延長線)に対して垂直となるように配置されるのが望ましい。また、受光部の面積は、照明光束(の透過光)の照射範囲の面積より小さく、当該照射範囲の中に受光部が含まれるように照度センサ160を配置するのが望ましい。
【0034】
このように、本実施の形態では、照度センサ160をミラー171の裏面側の照明光学系光軸の延長線上に配置することで、ミラー171を透過した照明光束の光量を計測することができる。これにより、例えば、照明光束の光路上にない拡散光などの映像の投射・表示に用いられない(「管理されていない」)光ではなく、実際に映像の投射・表示に用いられる(「管理された」)照明光束に対応した光量を計測することができる。そして、これにより、計測結果に基づく各色の光源150の出力制御をより適切に行うことができる。
【0035】
なお、上記の効果をより確実にするため、例えば、光学ユニット170において照度センサ160が配置されている領域を暗室化するなどにより、装置内の他の箇所で乱反射してきた光などの「管理されていない」光が照度センサ160により計測されることを可能な限り回避するのが望ましい。
【0036】
<RGBの光量の計測>
図3は、一般的なミラーにおける波長毎の光の透過率特性の例を示したグラフである。
図3の例では、RGB各色の光の中心波長付近(図中の点線で示される。例えば、
図3の例では、B:450nm付近、G:560nm付近、R:620nm付近)における透過率は概ね1%前後でフラットである。そして、この透過率特性は、ミラーの面上の位置に関わらず概ね均一である。
【0037】
上述したように、本実施の形態では、ミラー171の裏面側に配置した照度センサ160によって、ミラー171を透過した白色の照明光束に対してRGB各色の光量を計測する。したがって、本実施の形態では、照度センサ160による計測対象である、ミラー171を透過した照明光束の照度分布は、照明光束の有効範囲内で概ね均一となる。すなわち、上記の特許文献1に記載された技術を用いた場合に生じ得る照度分布の斑(ムラ)が生じることを回避することができる。
【0038】
一方で、照度センサ160により計測された結果をそのまま用いることができればよいが、実際には照度センサ160における感度はRGB各色で異なることから、照射される光量に対するセンサ出力(すなわち、センサの感度×光量)の特性はRGBの各色で大きく異なる。
【0039】
図4は、照度センサ160に照射される光量と照度センサの出力との関係の例を示したグラフである。図中の実線で示すように、一般的に、照度センサ160において最も感度が高い(ダイナミックレンジが大きい)のは緑(G)であり、これに対して赤(R)のダイナミックレンジは5分の1程度しかない。青(B)についても赤(R)と同程度である。ここで、照度センサ160からの出力に応じた制御を行うためには、出力を飽和させないようにする必要がある。したがって、照度センサ160の感度が
図4に示すような特性を有する場合、照度センサ160のゲインを緑(G)に合わせて用いると、赤(R)や青(B)についてはセンサの検出能力を十分に使うことができないことになる。特に、光量が少ない場合には測定誤差が大きくなってしまう。
【0040】
ここで、例えば、図中の矢印に示すように、赤(R)や青(B)について、ダイナミックレンジが緑(G)と同程度になるよう、回路処理等により電気的にゲインを補正することが考えられる。例えば、照度センサ160が時分割でRGB各色について順次サイクリックに光量を計測する際、赤(R)と青(B)の計測タイミングのときだけゲインを5倍にすることなどが考えられる。しかしながら、この場合、ゲインは5倍になるもののノイズも同様に5倍されてしまい、計測精度を緑(G)と同様にすることはできない。
【0041】
そこで、本実施の形態では、ゲイン等の補正を行うのではなく、ミラー171として透過率を色毎に調整したミラーを用いることで、赤(R)、青(B)の照射光束について、一般的なミラーを用いる場合よりもミラー171を透過する光量自体を増加させる。これにより、照度センサ160の出力のダイナミックレンジを緑(G)のものと同程度にする。なお、色毎に透過率を調整したミラーは、公知技術を用いて適宜形成することができる。
【0042】
図5は、本実施の形態のミラー171における色毎に調整した透過率特性の例を示したグラフである。図中の調整後透過率特性の曲線は、色毎に調整した透過率特性の例を模式的に示したものであり、必ずしもこのような曲線状になっていることは必要ではない。本実施の形態では、赤(R)および青(B)の透過率が緑(G)の透過率よりも相対的に大きくなるよう調整する(R>G、B>G)。緑(G)の光は、投射型映像表示装置100の明るさに最も寄与するため、極力、ミラー171の反射率を上げて透過率を下げたい。よって、緑(G)の透過率は、G(緑)光源150Gの中心波長付近で1%未満であることが望ましい。これに対し、例えば、赤(R)および青(B)の透過率は、各光源150の中心波長付近で1%より大きくすればよい。さらに望ましくは、赤(R)および青(B)の透過率を、緑(G)の透過率の少なくとも3倍以上(4〜5倍程度)となるようにする。具体的には、例えば、緑(G)の透過率を0.5%程度とする場合、赤(R)および青(B)の透過率を4倍の2.0%程度となるよう調整する。
【0043】
赤(R)と青(B)との間の透過率の大小関係は特に限定されないが、白色光における一般的な特性を考慮して、青(B)の透過率が赤(R)の透過率より大きくなるよう調整してもよい(B>R>G)。一方、使用する照度センサ160の感度の特性上、赤(R)の感度が低い場合には逆に赤(R)の透過率が青(B)の透過率より大きくなるよう調整してもよい(R>B>G)。
【0044】
以上に説明したように、本発明の実施の形態1である投射型映像表示装置100によれば、照度センサ160をミラー171の裏面側の照明光学系光軸の延長線上に配置することで、ミラー171を透過した照明光束の光量を計測する。この場合、上記の特許第4559949号公報(特許文献1)のような、反射性材料のない部分を設ける必要がないため、ミラー171の反射面の照明光束の有効範囲内において反射率を略均一のままにすることができる。これにより、ミラー171を透過した照明光束の照度分布を、照明光束の有効範囲内で概ね均一とすることができ、照度分布の斑(ムラ)が生じることを回避することができる。また、実際に映像の投射・表示に用いられる(「管理された」)照明光束に対応した光量を計測することができ、計測結果に基づく各色の光源150の出力制御をより適切に行うことができる。
【0045】
また、ミラー171として透過率を色毎に調整したミラーを用い、赤(R)、青(B)の照射光束について、一般的なミラーを用いる場合よりもミラー171を透過する光量自体を増加させることで、照度センサ160の出力のダイナミックレンジを緑(G)のものと同程度にする。これにより、各色の光源150の光量を精度よく計測することができ、光源150の出力制御をより適切に行うことが可能となる。
【0046】
以上に説明したとおり、本発明の実施の形態1である投射型映像表示装置100によれば、照明光束の照度分布を好適に維持しながら、複数の光源の各光量をより好適に計測することができる。
【0047】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2である投射型映像表示装置100は、基本的な構成や制御方法等については実施の形態1の投射型映像表示装置100と同様であるが、光学ユニット170におけるミラー171の部分の構成が相違する。以下この相違点を中心に説明する。
【0048】
図6は、本発明の実施の形態2である光学ユニット170の構成例について概要を示した図である。照度センサ160の前に配置されたミラー171の部分以外の構成は、実施の形態1の
図2に示したものと同様であるため、再度の説明は省略する。本実施の形態では、ミラー171の裏面側(反射面とは反対側の照度センサ160が設置された側)において、ミラー171に接する、もしくは近接する位置に遮光マスク301を有している。なお、
図6の例では、遮光マスク301を断面形状により示している。
【0049】
図7は、遮光マスク301を面方向から見た形状の例を示した図である。図示するように、遮光マスク301は、例えば、金属等の遮光素材により構成された板状の部材からなり、中央付近に遮光素材を有さない開口部302(孔)を有することで、この部分に照射された光のみを通過させることができる。本実施の形態では、耐熱性等の観点から、ステンレス鋼材(SUS)等からなる金属板により遮光マスク301を構成するものとするが、遮光機能を有する素材であれば金属以外の他の素材を用いることも当然可能である。
【0050】
また、少なくとも遮光マスク301における光が照射される面については、遮光性能を高めるために黒色のコーティング等を施しておくのが望ましい。また、
図7の例では開口部302の形状を矩形としているが、円形など他の形状であってもよい。また、本実施の形態では、遮光マスク301を金属板等によりミラー171とは別に形成し、
図6に示すようにミラー171の裏面側に設置(もしくはミラー171に接着)するものとしているが、このような構成に限られない。例えば、
図7に示した遮光マスク301の平面形状と同様の形状を、遮光機能を有する塗料等によりミラー171の裏面側に直接塗装したりコーティングしたりすることで、ミラー171の裏面側に直接遮光マスク301を形成してもよい。
【0051】
図6に戻り、本実施の形態では、
図7に示したような遮光マスク301を、その開口部302が照明光学系光軸(図中の破線)の延長線の領域を含む状態となるように、ミラー171の裏面側に設置する。これにより、ミラー171を透過した白色の照明光束のうち、照明光学系光軸の延長線付近を含む一定領域の透過光のみが開口部302を通過するように制限することができる。すなわち、照明光束の外周付近のノイズとなる透過光をカットすることで照度センサ160の計測精度をより向上させることができる。
【0052】
上記の効果をより確実にするため、開口部302の面積(より正確には、照明光学系光軸に垂直な面への投影面積)は、照明光束の照射範囲の面積より小さくし、当該照射範囲の中に開口部302が含まれるように開口部302の形状および配置位置を調整するのが望ましい。さらに、照度センサ160の受光部の面積は、上記の開口部302の面積より小さく、開口部302を通過した透過光の照射範囲の中に受光部が含まれるように照度センサ160を配置するのが望ましい。
【0053】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態2である投射型映像表示装置100によれば、上述した実施の形態1の投射型映像表示装置100の効果を有し、さらに好適に各色の光源の光量を計測することができる。
【0054】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。