(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動四輪車などの車両には、右折・左折をしたり車線を変更したりする際に、その方向を周囲に示すためのターンランプ(通称ウインカー)が備わっている。ターンランプは、車両の前部右側、前部左側、後部右側、後部左側などに設けられ、該当箇所のターンランプが点滅することによって、対向車や後続車に方向を報知する。ターンランプは、LEDなどの発光素子を備えており、この発光素子への通電・非通電を制御することで、点滅動作を行う。
【0003】
このようなターンランプの表示形態としては、ランプ全体が点滅をする単純な表示形態のほか、車幅方向に配列された複数の発光素子が順次点灯してゆくことで、点灯部が流れるように移動する表示形態がある。特許文献1〜3には、車両用ランプに後者の表示を行わせるための点灯制御装置が記載されている。
【0004】
上記のような、点灯部が流れるように移動する表示形態は、「シーケンシャル点灯」(または「連鎖式点灯」)と呼ばれている。以前は、このようなシーケンシャル点灯が認められていなかったが、車両保安基準の一部改正により2014年10月9日から、シーケンシャル点灯が認められるようになった(国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」)。
【0005】
ところで、シーケンシャル点灯を行うためには、各箇所に設けられるターンランプごとに、複数の発光素子が必要となる。そして、それぞれの発光素子と、当該発光素子の点灯・消灯を制御する制御部との間を、電線で接続する必要がある。この場合、1個の発光素子につき1本の電線を設けたのでは、発光素子の数に応じて電線の本数が増え、重量が増加するとともにコストも高くなる。
【0006】
この対策として、各ターンランプごとに、複数の発光素子を制御するCPUを設け、このCPUと制御部との間を電線で接続することが考えられる。これによると、個々の発光素子と制御部との間を電線で接続する必要がなくなり、電線の本数を減らすことができる。しかしながら、その反面、CPUの数が増加するため、コストが高くなるという問題が生じる。
【0007】
特許文献4には、車両用の複数の照明とそれらを独立して制御する制御ユニットとを接続する、ワイヤハーネス構造体が示されている。この構造体は、制御ユニットに接続される第1ワイヤハーネスと、各照明に接続される第2ワイヤハーネスと、両ワイヤハーネスを中継する中継コネクタとを備えている。中継コネクタには、制御ユニットからの制御信号に応じて各照明への電源供給を制御するチップが内蔵されている。特許文献4では、第1ワイヤハーネスの電線は、電源線、グランド線、および信号線の3本で済む一方、第2ワイヤハーネスの電線は、各照明に対応して設けられるため本数が多くなる。また、チップが内蔵された特殊な中継コネクタが必要となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る車両用ターンランプの点灯制御装置(以下、単に「点灯制御装置」という。)の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。図面において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0019】
最初に、ターンランプとシーケンシャル点灯について簡単に説明する。
図8に示すように、車両50にはたとえば4つのターンランプTL1〜TL4が設けられている。ターンランプTL1は車両前部の右側に設けられ、ターンランプTL2は車両前部の左側に設けられ、ターンランプTL3は車両後部の右側に設けられ、ターンランプTL4は車両後部の左側に設けられている。
【0020】
図9は、ターンランプ(ここではTL3)のシーケンシャル点灯の例を模式的に示している。ターンランプTL3は、3つの表示領域Z1〜Z3を有しており、各領域は後述するLED(発光ダイオード)の発光により点灯状態となる。
図9(a)の全領域無点灯の状態から、(b)のようにまず領域Z1が点灯状態となり、続いて(c)のように領域Z2の点灯状態が加わり、さらに(d)のように領域Z3の点灯状態が加わって全領域点灯状態となり、その後(e)の全領域無点灯の状態に戻る。
図9(b)〜(e)がシーケンシャル点灯の1サイクルであり、以降このサイクルが繰り返されることで、点灯部が流れるように見える表示が行われる。他のターンランプTL1、TL2、TL4についても同様である。
【0021】
図1は、ターンランプTL1〜TL4(以下「TL」と表記)の点灯を制御する点灯制御装置100を示している。点灯制御装置100は、各ターンランプごとに設けられており、制御部1と表示部2とから構成される。制御部1と表示部2とは、電源線3および信号線4で接続されている。電源線3は、制御部1から表示部2へ電源を供給するための電線であり、信号線4は、制御部1から表示部2へ後述の制御信号を伝送するための電線である。
【0022】
制御部1は、CPU10、ハイサイドドライバ11、信号電圧可変回路12、電源出力端子13、および信号出力端子14を備えている。表示部2は、ターンランプTLを構成するLED1〜LED3、比較器K1〜K3、抵抗R10、抵抗R11〜R13、抵抗R21〜R23、抵抗R31〜R33、電源入力端子23、信号入力端子24、およびグランド端子25を備えている。LED1〜LED3は、それぞれ
図9の表示領域Z1〜Z3に対応して設けられている。LED1〜LED3は、本発明における「発光素子」の一例である。なお、
図1において、各抵抗を示す符号(R1ほか)は、各抵抗の抵抗値でもある。
【0023】
図1の制御部1において、CPU10は、所定の信号を出力するポートP0〜P3を有している。CPU10には他にもポートが存在するが、本発明とは直接関係がないため、それらの図示を省略してある。ポートP0は、ハイサイドドライバ11を駆動するための駆動信号(
図6(a))を出力する。ハイサイドドライバ11は、内部に設けられているスイッチング素子(図示省略)が上記の駆動信号によりオン状態となることで、電源Vdと電源出力端子13とを接続する。
【0024】
信号電圧可変回路12は、スイッチング素子Q1〜Q3および抵抗R1〜R3から構成される。この信号電圧可変回路12は、CPU10のポートP1〜P3から出力される駆動信号(
図6(b)〜(d))に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q3をオン・オフさせることで、信号出力端子14から信号線4へ出力される制御信号の電圧(以下、「信号電圧」という。)Vsを変化させる回路である。この制御信号は、表示部2のLED1〜LED3を所定のシーケンスに従って点灯させるための信号であり、後述するように、電源線3の電圧Vpを、抵抗R1〜R3と表示部2の抵抗R10とで構成される分圧回路によって分圧した電圧である。
【0025】
スイッチング素子Q1〜Q3は、たとえばFET(電界効果トランジスタ)からなり、それぞれ抵抗R1〜R3と直列に接続されている。スイッチング素子Q1〜Q3と抵抗R1〜R3との直列回路は、電源線3と信号線4との間に並列に接続されている。電源出力端子13には電源線3が接続されており、信号出力端子14には信号線4が接続されている。抵抗R1〜R3は、本発明における「第1抵抗」に相当する。
【0026】
表示部2において、電源入力端子23には電源線3が接続されており、信号入力端子24には信号線4が接続されている。グランド端子25は、グランドGNDに接地されている。信号入力端子24とグランド端子25との間には、抵抗R10が接続されている。電源入力端子23とグランド端子25との間には、抵抗R11と抵抗R12との直列回路、抵抗R21と抵抗R22との直列回路、および抵抗R31と抵抗R32との直列回路が接続されている。抵抗R10は、本発明における「第2抵抗」に相当する。
【0027】
比較器K1〜K3は、それぞれLED1〜3に対応して設けられている。比較器K1の一方の入力端子は、信号入力端子24に接続されている。抵抗R11と抵抗R12との接続点は、比較器K1の他方の入力端子に接続されている。この接続点の電圧Vth1は、電源線3の電圧Vpを抵抗R11、R12で分圧した電圧であり、比較器K1における閾値(基準電圧)となっている。
【0028】
比較器K2の一方の入力端子は、信号入力端子24に接続されている。抵抗R21と抵抗R22との接続点は、比較器K2の他方の入力端子に接続されている。この接続点の電圧Vth2は、電源線3の電圧Vpを抵抗R21、R22で分圧した電圧であり、比較器K2における閾値(基準電圧)となっている。
【0029】
比較器K3の一方の入力端子は、信号入力端子24に接続されている。抵抗R31と抵抗R32との接続点は、比較器K3の他方の入力端子に接続されている。この接続点の電圧Vth3は、電源線3の電圧Vpを抵抗R31、R32で分圧した電圧であり、比較器K3における閾値(基準電圧)となっている。
【0030】
比較器K1の出力端子と電源入力端子23との間には、抵抗R13とLED1との直列回路が接続されている。比較器K2の出力端子と電源入力端子23との間には、抵抗R23とLED2との直列回路が接続されている。比較器K3の出力端子と電源入力端子23との間には、抵抗R33とLED3との直列回路が接続されている。
【0031】
次に、
図1の回路の動作を、
図2〜
図6を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図2は、LED1のみが点灯した1灯点灯状態を示している。制御部1のCPU10に、運転者の操作に基づいて方向指示信号が入力されると、CPU10のポートP0から前述した駆動信号が出力される(
図6(a))。この駆動信号によりハイサイドドライバ11のスイッチング素子がオン状態となり、電源Vdと電源出力端子13とが接続される。このため、電源Vdから電源線3に電圧が供給され、電源線3の電圧Vpが立ち上がる(
図6(h))。このときのVpの値は、電源Vdの電圧とほぼ等しい値となる。続いて、CPU10のポートP1からHighレベルの信号(以下「H信号」と表記)、ポートP2、P3からLowレベルの信号(以下「L信号」と表記)がそれぞれ出力される(
図6(b)〜(d))。
【0033】
信号電圧可変回路12のスイッチング素子Q1は、ポートP1から出力されるH信号によりオンする(
図6(e))。スイッチング素子Q2、Q3は、それぞれポートP2、P3から出力されるL信号によりオフとなっている(
図6(f),(g))。したがって、抵抗R1〜R3のうち、抵抗R1のみがスイッチング素子Q1のオンによって有効な抵抗として機能し、信号電圧可変回路12の合成抵抗値Rxは、Rx=R1となる。この抵抗R1は、表示部2の抵抗R10と直列に接続されており、この直列回路は、電源線3とグランドGNDとの間に接続されている。したがって、抵抗R1、R10の直列回路は、電源線3の電圧Vpを分圧する分圧回路を構成している。その結果、信号線4には、この分圧回路で分圧された信号電圧(前述した制御信号の電圧)Vs1が現われる。信号電圧Vs1の値は、次式のようになる。
【数1】
【0034】
この信号電圧Vs1は、比較器K1〜K3に入力され、各比較器において閾値Vth1〜Vth3と比較される。ここで、比較器K1の閾値Vth1は、信号電圧Vs1以下の値に設定されており、比較器K2、K3の閾値Vth2、Vth3は、信号電圧Vs1より大きな値に設定されている(Vth1≦Vs1<Vth2<Vth3)。このため、比較器K1では信号電圧Vs1が閾値Vth1以上となり、比較器K1が動作してオン状態となる。その結果、比較器K1の出力端子はLレベルとなり、電源線3から抵抗R13を介してLED1が通電されるので、LED1が点灯する(
図6(j))。一方、比較器K2、K3では、信号電圧Vs1が閾値Vth2、Vth3を超えないため、比較器K2、K3は動作しない。その結果、比較器K2、K3の出力端子はHレベルとなっており、電源線3から抵抗R23、R33を介してLED2およびLED3に通電が行われないので、これらのLEDは共に消灯している。
【0035】
以上のように、LED2およびLED3が消灯し、LED1が点灯することで、ターンランプTLは、
図9の(b)に示すように、表示領域Z1のみが点灯した状態となる。
【0036】
LED1が点灯してから一定時間が経過すると、回路は
図3に示すような、LED1に加えてLED2が点灯する2灯点灯状態へ移行する。
図3において、CPU10のポートP1からは引き続きH信号が出力されており、ポートP2からはL信号に替わってH信号が出力される(
図6(c))。ポートP3の出力はLのままである。
【0037】
信号電圧可変回路12のスイッチング素子Q1は、ポートP1から出力されるH信号によりオン状態を継続する。スイッチング素子Q2は、ポートP2から出力されるH信号によりオンする(
図6(f))。スイッチング素子Q3は、ポートP3から出力されるL信号によりオフ状態を継続する。したがって、抵抗R1〜R3のうち、抵抗R1、R2がスイッチング素子Q1、Q2のオンによって有効な抵抗として機能し、信号電圧可変回路12の合成抵抗値Rxは、
Rx=(R1・R2)/(R1+R2)
となる。これらの抵抗R1、R2の並列回路は、表示部2の抵抗R10と直列に接続されており、この直列回路は、電源線3とグランドGNDとの間に接続されている。したがって、抵抗R1、R2と抵抗R10との直列回路は、電源線3の電圧Vpを分圧する分圧回路を構成している。その結果、信号線4には、この分圧回路で分圧された信号電圧Vs2が現われる。この場合、信号電圧可変回路12の合成抵抗値Rxが、
図2の場合と比べて小さくなるので、信号電圧Vs2は、
図2の信号電圧Vs1よりも大きな値となる。信号電圧Vs2の値は、次式のようになる。
【数2】
【0038】
この信号電圧Vs2は、比較器K1〜K3に入力され、各比較器において閾値Vth1〜Vth3と比較される。ここで、比較器K1の閾値Vth1は、信号電圧Vs2より小さい値に設定されており、比較器K2の閾値Vth2は、信号電圧Vs2以下の値に設定されており、閾値Vth3は信号電圧Vs2より大きな値に設定されている(Vth1<Vth2≦Vs2<Vth3)。このため、比較器K1では信号電圧Vs2が閾値Vth1を超えるので、比較器K1はオン状態のままであり、LED1は点灯を継続する。また、比較器K2では信号電圧Vs2が閾値Vth2以上となり、比較器K2が動作してオン状態となる。その結果、比較器K2の出力端子はLレベルとなり、電源線3から抵抗R23を介してLED2が通電されるので、LED2が点灯する(
図6(k))。一方、比較器K3では、信号電圧Vs2が閾値Vth3を超えないため、比較器K3は動作しない。その結果、比較器K3の出力端子はHレベルとなっており、電源線3から抵抗R33を介してLED3に通電が行われないので、LED3は消灯している。
【0039】
以上のように、LED3が消灯し、LED1およびLED2が点灯することで、ターンランプTLは、
図9の(c)に示すように、表示領域Z1に加えて表示領域Z2が点灯した状態となる。
【0040】
LED2が点灯してから一定時間が経過すると、回路は
図4に示すような、LED1〜LED3が全て点灯する全灯点灯状態へ移行する。
図4において、CPU10のポートP1、P2からは引き続きH信号が出力されており、ポートP3からはL信号に替わってH信号が出力される(
図6(d))。
【0041】
信号電圧可変回路12のスイッチング素子Q1は、ポートP1から出力されるH信号によりオン状態を継続する。スイッチング素子Q2も、ポートP2から出力されるH信号によりオン状態を継続する。スイッチング素子Q3は、ポートP3から出力されるH信号によりオンする(
図6(g))。したがって、全てのスイッチング素子Q1〜Q3のオンによって、全ての抵抗R1〜R3が有効な抵抗として機能し、信号電圧可変回路12の合成抵抗値Rxは、
Rx=(R1・R2・R3)/(R1・R2+R2・R3+R3・R1)
となる。これらの抵抗R1〜R3の並列回路は、表示部2の抵抗R10と直列に接続されており、この直列回路は、電源線3とグランドGNDとの間に接続されている。したがって、抵抗R1〜R3と抵抗R10との直列回路は、電源線3の電圧Vpを分圧する分圧回路を構成している。その結果、信号線4には、この分圧回路で分圧された信号電圧Vs3が現われる。この場合、信号電圧可変回路12の合成抵抗値Rxが、
図3の場合と比べて小さくなるので、信号電圧Vs3は、
図3の信号電圧Vs2よりも大きな値となる。信号電圧Vs3の値は、次式のようになる。
【数3】
【0042】
この信号電圧Vs3は、比較器K1〜K3に入力され、各比較器において閾値Vth1〜Vth3と比較される。ここで、比較器K1の閾値Vth1と、比較器K2の閾値Vth2は、いずれも信号電圧Vs3より小さい値に設定されており、比較器K3の閾値Vth3は、信号電圧Vs3以下の値に設定されている(Vth1<Vth2<Vth3≦Vs3)。このため、比較器K1、K2では信号電圧Vs3が閾値Vth1、Vth2を超えるので、比較器K1、K2はオン状態のままであり、LED1およびLED2は点灯を継続する。また、比較器K3では信号電圧Vs3が閾値Vth3以上となり、比較器K3が動作してオン状態となる。その結果、比較器K3の出力端子はLレベルとなり、電源線3から抵抗R33を介してLED3が通電されるので、LED3が点灯する(
図6(L))。
【0043】
以上のように、LED1〜LED3の全てが点灯することで、ターンランプTLは、
図9の(d)に示すように、全表示領域Z1〜Z3が点灯した状態となる。
【0044】
LED3が点灯してから一定時間が経過すると、回路は
図5に示すような、LED1〜LED3が全て消灯した全灯消灯状態へ移行する。
図5において、CPU10のポートP1〜P3の出力は、いずれもL信号に切り替わり、信号電圧可変回路12の全てのスイッチング素子Q1〜Q3がオフになる。このため、全ての抵抗R1〜R3は電源Vdから切り離され、信号線4には信号電圧が現われなくなる。すなわち、信号電圧VsはVs=0となる。したがって、比較器K1〜K3は、全てオフ状態となって出力端子がHレベルとなるので、電源線3から抵抗R13、R23、R33を介してLED1〜LED3に通電が行われなくなり、全てのLED1〜LED3が消灯する(
図6(j)〜(L))。
【0045】
以上のように、LED1〜LED3が全て消灯することで、ターンランプTLは、
図9の(e)に示すように、全表示領域Z1〜Z3が消灯した状態となる。そして、全消灯状態になってから一定時間が経過すると、回路は再び
図2の状態に移行し、CPU10のポートP1からH信号が出力されて、LED1が点灯する。その後は、
図3〜
図5の状態へ順次移行する。そして、
図2〜
図5が反復されることで、ターンランプTLにおいて、
図9に示したような、点灯部が流れるように移動するシーケンシャル点灯が行われる。
図2〜
図5(
図9(b)〜(e))が、シーケンシャル点灯の1サイクルとなる。
【0046】
図6は、以上説明した点灯制御装置100の動作を表したタイムチャートである。
図6において、(b)〜(d)に示すように、CPU10が異なるタイミングで駆動信号を出力し、(e)〜(g)に示すように、スイッチング素子Q1〜Q3が時間的にずれて順次オンすることで、(i)に示すように、信号電圧Vsが段階的に変化(増加)し、この信号電圧Vsの段階的な変化に基づいて、(j)〜(L)に示すように、LED1〜LED3が順次点灯することがわかる。Tは、シーケンシャル点灯の1サイクルの周期を表している。
【0047】
図7は、信号電圧Vs(Vs1〜Vs3)および比較器の閾値Vth1〜Vth3と、LED1〜LED3の点灯/消灯との関係を示した図である。スイッチング素子Q1〜Q3の順次オンによる信号電圧Vsの段階的な変化(Vs1→Vs2→Vs3)によって、信号電圧Vsが順次閾値Vth1〜Vth3を超えてゆき、これに応じてLED1〜LED3が順次点灯してゆくことがわかる。
【0048】
上述した実施形態によれば、制御部1に設けた信号電圧可変回路12により、信号線4に出力される信号電圧Vsを可変するとともに、各比較器K1〜K3で信号電圧Vsと閾値Vth1〜Vth3とを比較することにより、LED1〜LED3を所定のシーケンスに従って点灯させることができる。
【0049】
このため、制御部1と表示部2との間には、電源供給用の電源線3と信号伝送用の信号線4の2本の電線を設けるだけでよく、制御部1と表示部2とを接続する電線の本数を大幅に削減することができる。また、ターンランプごとに、複数のLEDを制御するCPUを設ける必要がなく、比較器を設けるだけでよいので、構成が簡単になるとともに、コストも抑制することができる。
【0050】
また、
図1の回路では、比較器K1〜K3の閾値Vth1〜Vth3を決める抵抗(R11とR12など)の接続点が、それぞれ共通のグランド端子25に接続されている。このため、グランド端子25を車両の車体に接続しておくことにより、上記接続点のグランドに対する電位が安定し、比較器間の閾値の差に変動が生じるのを抑制することができる。
【0051】
図10は、本発明の他の実施形態を示している。
図1の実施形態では、抵抗R1〜R3に対して、スイッチング素子Q1〜Q3が直列に接続されていたが、
図10の実施形態では、抵抗R1’〜R3’に対して、スイッチング素子Q1’〜Q3’が並列に接続されている。そして、スイッチング素子Q1’〜Q3’と抵抗抵抗R1’〜R3’との並列回路は、電源線3と信号線4との間に直列に接続されている。抵抗R1’〜R3’は、本発明における「第2抵抗」に相当する。その他の構成については、
図1と同じであるので、重複部分の説明は省略する。
【0052】
図10において、スイッチング素子Q1’〜Q3’が順次オンすることで、抵抗R1’〜R3’のそれぞれの両端が順次短絡され、信号電圧可変回路12’の合成抵抗値が順次小さくなって、信号線4の信号電圧Vsが段階的に増加する。したがって、比較器K1〜K3で信号電圧Vsと閾値Vth1〜Vth3とを比較することで、
図1と同様にLED1〜LED3を順次点灯させることができる。
【0053】
図11は、本発明の他の実施形態を示している。
図1や
図10の実施形態では、比較器K1〜K3の出力端子が、それぞれLED1〜LED3に接続されていたが、
図11の実施形態では、比較器K1〜K3の出力端子が、それぞれスイッチング素子Q4〜Q6のゲートに接続されている。そして、これらのスイッチング素子Q4〜Q6と直列に、LED1と抵抗R13、LED2と抵抗R23、およびLED3と抵抗R33が接続されている。スイッチング素子Q4〜Q6は、FETからなり、比較器K1〜K3の出力信号に基づいて順次オンする。これに応じて、LED1〜LED3に電源線3から順次通電が行われる。
【0054】
図11の構成によれば、比較器K1〜K3だけではLED1〜LED3の駆動電流が不足する場合でも、たとえばスイッチング素子Q4がオンすると、LED1と抵抗R13が、比較器K1を介さずに電源線3とグランドGNDとの間に接続される。このため、LED1には十分な駆動電流が流れ、LED1の発光輝度が低下することはない。スイッチング素子Q5、Q6がオンした場合の他のLEDについても同様である。
【0055】
本発明では、以上述べた以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0056】
前記実施形態では、
図9に示したような表示形態のシーケンシャル点灯を例に挙げたが、これ以外の表示形態を採用してもよい。たとえば、表示領域Z1が点灯した後、表示領域Z1が消灯して表示領域Z2が点灯し、その後表示領域Z2が消灯して表示領域Z3が点灯するようなシーケンシャル点灯であってもよい。また、表示領域は3つに限らず、それ以上設けてもよい。さらに、各表示領域に複数のLEDを設けてもよい。
【0057】
前記実施形態では、発光素子として、LEDを用いた例を挙げたが、LEDの替わりにランプを用いてもよい。
【0058】
前記実施形態では、スイッチング素子Q1〜Q3として、FETを用いた例を挙げたが、FETの替わりにトランジスタやリレーを用いてもよい。
図10のスイッチング素子Q1’〜Q3’ や、
図11のスイッチング素子Q4〜Q6についても同様である。