(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ダイヤルリンク(25)に連結された用量ノブ(28)であって、ダイヤルリンク(25)および数字スリーブ(24)の第1の軸方向配置において、ハウジング(4)に対するダイヤルリンク(25)および数字スリーブ(24)の螺着運動により薬剤の所定の用量を設定するために設けられ、ダイヤルリンク(25)および数字スリーブ(24)の第2の軸方向配置において、ハウジング(4)に対する数字スリーブ(24)の螺着運動により薬剤の設定用量を送達するために設けられた用量ノブを含み、
該用量ノブ(28)は、ダイヤルリンク(25)を数字スリーブ(24)に対して軸方向に動かして、ダイヤルリンク(25)および数字スリーブ(24)を第1および第2の軸方向配置間で切り替えるために設けられる、請求項1に記載の駆動アセンブリ。
複数の可撓性アセンブリフィンガ(73)は、数字スリーブ(24)の外側近位セクションのカットアウト貫通孔(71)に係合し、数字スリーブ(24)の外側近位セクションから複数の可撓性アセンブリフィンガ(73)に接近することを防止する手段は、数字スリーブ(24)の外側近位セクションのカットアウト貫通孔(71)を覆う用量ノブ(28)の壁セグメントにより形成されて、可撓性アセンブリフィンガ(73)への接近を阻止する、請求項2に記載の駆動アセンブリ。
一端部に可動ピストン(10)および他端部に出口を有するカートリッジ(8)をさらに含み、カートリッジ出口(17)から流体を投薬するように親ねじ(22)が遠位に動くときに前記出口に向かって前進する親ねじ支承部フット(21)がピストンに係合可能である、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
数字スリーブ(24)にねじ係合され、ハウジング(4)に対して軸方向に可動であり回転方向に固定され、駆動ナット(23)が内側スリーブ(29)に軸方向に固定された、内側スリーブ(29)をさらに含み、
ここで、ハウジング(4)に対する数字スリーブ(24)のホーム位置へ戻る螺着運動によって、遠位方向に回転することなく内側スリーブ(29)を前進させて、駆動ナット(23)、したがって親ねじ(22)および可動ピストン(10)を軸方向に前進させることにより、カートリッジ出口(17)から流体を投薬する、請求項5または6に記載の薬物送達デバイス。
ハウジング(4)に対する数字スリーブのねじ付部(52)は第1のリードであり、数字スリーブ(24)に対する内側スリーブ(29)のねじ付部は第2のリードであり、親ねじ(22)のねじ付軸のねじ付部は第3のリードであり、第1のリード、第2のリード、および第3のリードは互いに異なる、請求項7に記載の薬物送達デバイス。
ハウジング(4)内で軸方向に固定された中心体(20)をさらに含み、該中心体(20)は、親ねじ(22)のキー溝(32)に摺動可能に嵌合して、ハウジング(4)内での親ねじ(22)の回転を防止するタブ(31)を含み、内側スリーブ(29)は、該内側スリーブ(29)に形成された少なくとも1つのスロット(77)に摺動可能に嵌合する中心体の少なくとも1つのラグ(78)により、中心体(20)に対して軸方向に可動であり回転方向に固定される、請求項7または8に記載の薬物送達デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すべてとは言えないにしてもほとんどの場合において、ペン注射型デバイスは、1つまたはそれ以上の病状を患っている患者が、予め設定された用量の薬剤を自己投与できるように設計される。介護者により設定された治療計画に応じて、患者は1日に数回注射を行わなければならない。この理由で、幼いユーザおよび高齢のユーザを含むあらゆるタイプのユーザ(デバイスの使用目的、またはデバイスの対象となる病気を抱えている特定のユ
ーザ群に応じて)に向けてペン型デバイスを設計しなければならず、このようなユーザは、視覚もしくは聴覚に障害があるか、または手先が器用でない場合がある。注射を自己投与する患者のほとんどは、資格を持つ介護者ほど精通して(sophisticated)いないため、このようなユーザは、偽造注射デバイスの販売に携わることをいとわない人に利用されやすい。そのため、新しく設計された注射デバイスを入念に分析することにより、普通なら封止されている使い捨てペン型注射デバイスを偽造者が分解して、用量投入機構をリセットし、偽の薬剤のカートリッジを挿入して、疑いを持たないユーザに不正に再分配することが可能な設計上の欠陥があるかどうかを判定することが不可欠である。
【0010】
WO2005/018721に全体が記載された市販のペン注射デバイスまたは同様の原理に基づくペン注射デバイスの物理的試験から、それぞれの設計が、いわゆる数字スリーブと、数字スリーブを少なくとも別の部材、すなわちそれ自体少なくとも一時的にデバイスの他の駆動手段と共に作用可能なダイヤルリンクと連結するクラッチ部材とを提供することがわかる。クラッチ部材は、デバイスの第1の動作状態でダイヤルリンクを数字スリーブに係合させ、デバイスの第2の動作状態でダイヤルリンクを数字スリーブから係合解除するように作用することができる。
【0011】
数字スリーブとクラッチとの連結のそのような設計では、スナップアームおよびそれぞれの可撓性アセンブリフィンガを受けてこれら2つの部材を共に保持するいくつかの孔、例えば、カットアウト貫通孔を使用することが多い。この設計は、ユーザがこのような穴に容易に接近でき、小さいねじ回しまたは他のそのような道具を用いてこの穴を操作し、スナップアームとそれぞれの可撓性アセンブリフィンガとを係合解除して、用量ノブおよび/またはクラッチをデバイスの近位端から取り外すことができるという不都合を有する。最悪の場合、その後、デバイスが破損して、それ以上使用できなくなる。さらに、その後、用量設定機構を、初期の使用前位置にリセットされたハウジングおよび親ねじから取り外すことができる。その後、偽の薬剤のカートリッジを用いて使用済みカートリッジに置き換え、ペンデバイスを再び組み立てて、疑いを持たないユーザが再利用できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような問題を解決するために、本発明は、一般に、請求項1〜8に記載の駆動アセンブリ、および請求項10に記載のそのような駆動アセンブリを有する薬物送達デバイスを提供し、これにより前述した欠点を克服する。
【0013】
開示された駆動アセンブリおよびそのような駆動アセンブリを有する薬物送達デバイスは、クラッチ部材が、デバイスの分解および起こり得る破損のおそれなしに、数字スリーブのそれぞれの機能を簡単に備えることができるという利点を有する。
【0014】
請求項1に記載の駆動アセンブリは、二重防止を実現するための手段を提供する。一方で、数字スリーブの外側近位セクションから複数の可撓性アセンブリフィンガへの接近が防止される。これは、ユーザが、道具、例えばねじ回しを用いて、デバイス、特に数字スリーブのクラッチ部材を、数字スリーブの外側近位セクションから、すなわち外側から操作できないことを意味する。他方、請求項1に記載の複数の可撓性アセンブリフィンガは、内方へ屈曲して数字スリーブの内側近位セクションとの連結から係合解除されることが防止される。外側近位セクションから可撓性アセンブリフィンガへの接近を全般的に防止するのに加えて、第2の防止機能により、クラッチ部材と数字スリーブとの安定した連結が確保される。可撓性アセンブリフィンガは、数字スリーブの内側近位セクションに連結されると、それ以上操作できないからである。
【0015】
請求項1の駆動アセンブリによれば、クラッチ部材および数字スリーブを別個の部材と
して作製した後に、その役割を果たすように共に組み立てることができる。しかしながら、防止手段により、別個の部材間の連結、すなわち両方の可撓性アセンブリフィンガまたは数字スリーブの内側近位セクションへの操作が防止されるため、駆動アセンブリの安定した機能が保証される。
【0016】
請求項8に記載の駆動アセンブリは、数字スリーブおよびクラッチ部材を提供し、クラッチ部材は数字スリーブの内側近位セクションの一体部材である。そのような実施形態によれば、数字スリーブは、数字スリーブのダイヤルリンクとの係合およびダイヤルリンクからの係合解除のそれぞれを実現するためのそれぞれのクラッチ部材を形成する一体部材として作製される。数字スリーブのそのような一体作製は、可撓性アセンブリフィンガもそれぞれの逆戻り止め手段(counter detent means)も不要であるという利点を有する。
【0017】
さらに本明細書では、薬物送達デバイスを設けるための方法およびシステムが提供される。デバイスは、薬物送達デバイスハウジングと、薬物送達デバイスハウジングに含まれる薬剤とを含み、偽造防止の解決法は、アセンブリフィンガが内方へ屈曲して数字スリーブから係合解除されることを防止する部材を含む。クラッチを数字スリーブと一体化することによりアセンブリフィンガをなくすこと、およびカットアウト貫通孔の代わりに戻り止めポケットを使用することも示される。
【0018】
さらに、WO2005/018721公報に記載の注射デバイスの当初の設計を修正して、特にデバイスの分解を防止するいくつかの代替案を提供する一部の実施形態が示される。問題の1つの解決法は、クラッチ部材のアセンブリフィンガを捕捉するために数字スリーブの近位端のカットアウトまたは窓を使用しないことを含む。代わりに、窪みまたは戻り止めを数字スリーブの内側近位外周で使用して、アセンブリフィンガを受ける。第2の代替案によれば、数字スリーブの近位端の内側にリングを使用して、クラッチのアセンブリフィンガまたはスナップアームが内方へ屈曲してカットアウトから係合解除されることを阻止または防止する。あるいは、リングを数字スリーブの外側に位置させて、カットアウトを覆う、またはカットアウトへの接近を阻止することができる。このリングは、別個の独立部材であってよく、または用量ノブの新設計に組み込まれてもよい。問題のさらに別の解決法は、別個の数字スリーブおよび別個のクラッチを不要にし、両方の部材を組み合わせて単一部材にする必要性をなくし、したがって、現在の商業設計のようにクラッチアセンブリフィンガを数字スリーブから掛止解除する可能性をなくすことを含む。
【0019】
前述した設計改良を含むペン型薬物送達デバイスは、ハウジングを含み、ねじ付軸を有する親ねじは、用量設定中および注射中に
回転方向に固定され、用量投与中にハウジングに対して軸方向に遠位方向のみへ動き、近位に動くことは常に防止される。デバイスは、流体容器またはカートリッジを有し、この流体容器またはカートリッジは、一端部に可動ピストンおよび他端部に出口を有する、薬が充填されたリザーバを画成し、ピストンには、親ねじの遠位端に連結された支承部が係合する。用量投与中に親ねじが遠位に動くときに、カートリッジの出口または遠位端に向けてピストンを前進させる。
【0020】
駆動ナットは、親ねじのねじ山にねじ係合され、用量設定中に親ねじおよびハウジングに対して回転し、近位に動くことができる。数字スリーブはハウジングにねじ係合され、用量設定中にハウジングに対して近位方向に外向きに螺着される。ダイヤルリンクは駆動ナットに摺動可能に回転係合され、駆動ナットに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定される。ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向配置にあるときに、ダイヤルリンクは、クラッチを通して数字スリーブに
回転方向に固定され、第2の軸方向配置にあるときに、クラッチ、したがって数字スリーブはダイヤルリンクから係合解除され、ダイヤルリンクは数字スリーブに対して回転可能になる。内側スリーブは数字スリーブにね
じ係合され、内側スリーブはハウジングに対して軸方向に可動であるが
回転方向に固定される。用量設定中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向配置にあり、ダイヤルリンクに連結された用量ノブおよび数字スリーブの、ハウジングに対する螺着運動によって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブをホーム位置から第1の軸方向距離のところに螺着すると、数字スリーブがデバイスのハウジングまたは本体から近位方向に外向きに延びる。ダイヤルリンクの螺着運動によって、第1の軸方向距離とは異なる第2の軸方向距離のところに、親ねじのねじ付軸に沿って駆動ナットを螺着する。
【0021】
用量投薬中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブ要素が第2の軸方向配置にあり、ハウジングに対する数字スリーブの、ホーム位置に向けた戻りまたは内向きの螺着運動により、遠位方向に回転することなく内側スリーブを前進させて、駆動ナット、したがって親ねじおよび流体容器ピストンを軸方向に前進させ、出口から薬を投薬する。本明細書で開示されたペン注射器は、ユーザが医薬品の投薬中に用量ノブを容易に押せるようにする機械的利益を備えることができ、その機械的利益は非常に高く、装置設計中に製造者により好都合に選択される。この機械的利益により、数字スリーブは、数字スリーブが前進させる親ねじよりも大きい軸方向距離を移動することができるため、小さい用量を送達することができる。
【0022】
以下に、本明細書で示すデバイスの有利な態様および実施形態を列挙する。
【0023】
1.薬物送達デバイスであって、ハウジングと、遠位端および近位端を有し、用量設定中および用量送達中に
回転方向に固定され、ハウジングに対して軸方向に遠位方向へ可動な親ねじであって、ねじ付軸、および遠位端に連結された支承部フットを含む親ねじと、一端部に可動ピストンおよび他端部に出口を有するカートリッジであって、親ねじが遠位に動くときに前記出口に向かって前進する親ねじ支承部フットがピストンに係合可能なカートリッジと、親ねじのねじ付軸に沿ってねじ係合し、螺着可能な駆動ナットと、ハウジングにねじ係合し、ハウジングに対して螺着可能であり、内側および外側近位セクションを有する数字スリーブと、駆動ナットに連結され、駆動ナットに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定されたダイヤルリンクであって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向配置にあるときに、ダイヤルリンクは数字スリーブに
回転方向に固定され、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第2の軸方向配置にあるときに、数字スリーブはダイヤルリンクに対して回転可能であるダイヤルリンクと、用量設定中にダイヤルリンクに係合するように構成され、複数の可撓性アセンブリフィンガを通して数字スリーブの内側近位セクションに連結されたクラッチ部材であって、数字スリーブの外側近位セクションからアセンブリフィンガに接近できないクラッチ部材と、ハウジングに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定された、数字スリーブにねじ係合された内側スリーブと、ハウジング内で軸方向に固定された中心体であって、親ねじのキー溝に摺動可能に嵌合して、ハウジング内での親ねじの回転を防止するタブを含み、内側スリーブは、内側スリーブに形成された少なくとも1つのスロットに摺動可能に嵌合する中心体の少なくとも1つのラグにより、中心体に対して軸方向に可動であり
回転方向に固定される中心体とを含み、ハウジングに対する数字スリーブのねじ付部は第1のリードであり、数字スリーブに対する内側スリーブのねじ付部は第2のリードであり、親ねじのねじ付軸のねじ付部は第3のリードであり、第1のリード、第2のリード、および第3のリードは等しくなく、用量設定中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向配置にあり、ハウジングに対するダイヤルリンクおよび数字スリーブの螺着運動によって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブをホーム位置から第1の軸方向距離のところに螺着し、このダイヤルリンクの螺着運動によって、駆動ナットを親ねじのねじ付軸に沿って第1の軸方向距離とは異なる第2の軸方向距離のところに螺着し、用量送達中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは前記第2の軸方向配置にあり、ハウジングに対する数字スリーブのホーム位置へ戻る螺着運動によって、遠位方向に回転することなく内側スリーブを前進させて、内側スリーブに軸方
向に固定された駆動ナット、したがって親ねじおよび可動ピストンを軸方向に前進させることにより、カートリッジ出口から流体を投薬する薬物送達デバイス。
【0024】
2.アセンブリフィンガは、数字スリーブの内側近位セクションの戻り止めポケットにスナップ嵌め係合する、番号1で説明した薬物送達デバイス。
【0025】
3.薬物送達デバイスであって、ハウジングと、遠位端および近位端を有し、用量設定中および用量送達中に
回転方向に固定され、ハウジングに対して軸方向に遠位方向へ可動な親ねじであって、ねじ付軸、および遠位端に連結された支承部フットを含む親ねじと、一端部に可動ピストンおよび他端部に出口を有するカートリッジであって、親ねじが遠位に動くときに前記出口に向かって前進する親ねじ支承部フットがピストンに係合可能なカートリッジと、親ねじのねじ付軸に沿ってねじ係合し、螺着可能な駆動ナットと、ハウジングにねじ係合し、ハウジングに対して螺着可能であり、内側および外側近位セクションを有する数字スリーブであって、外側近位セクションがカットアウト貫通孔を含まない数字スリーブと、駆動ナットに連結され、駆動ナットに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定されたダイヤルリンクであって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向配置にあるときに、ダイヤルリンクは数字スリーブに
回転方向に固定され、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第2の軸方向配置にあるときに、数字スリーブはダイヤルリンクに対して回転可能であるダイヤルリンクと、用量設定中にダイヤルリンクに係合するように構成され、数字スリーブの内側近位セクションの一体部材であり、複数の可撓性アセンブリフィンガを持たないクラッチ部材と、ハウジングに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定された、数字スリーブにねじ係合された内側スリーブと、ハウジング内で軸方向に固定された中心体であって、親ねじのキー溝に摺動可能に嵌合して、ハウジング内での親ねじの回転を防止するタブを含み、内側スリーブは、内側スリーブに形成された少なくとも1つのスロットに摺動可能に嵌合する中心体の少なくとも1つのラグにより、中心体に対して軸方向に可動であり
回転方向に固定される中心体とを含み、ハウジングに対する数字スリーブのねじ付部は第1のリードであり、数字スリーブに対する内側スリーブのねじ付部は第2のリードであり、親ねじのねじ付軸のねじ付部は第3のリードであり、第1のリード、第2のリード、および第3のリードは等しくなく、用量設定中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向配置にあり、ハウジングに対するダイヤルリンクおよび数字スリーブの螺着運動によって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブをホーム位置から第1の軸方向距離のところに螺着し、このダイヤルリンクの螺着運動によって、前記駆動ナットを親ねじのねじ付軸に沿って第1の軸方向距離とは異なる第2の軸方向距離のところに螺着し、用量送達中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは前記第2の軸方向配置にあり、ハウジングに対する数字スリーブのホーム位置へ戻る螺着運動によって、遠位方向に回転することなく内側スリーブを前進させて、内側スリーブに軸方向に固定された駆動ナット、したがって親ねじおよび可動ピストンを軸方向に前進させることにより、カートリッジ出口から流体を投薬する薬物送達デバイス。
【0026】
4.薬物送達デバイスであって、ハウジングと、遠位端および近位端を有し、用量設定中および用量送達中に
回転方向に固定され、ハウジングに対して軸方向に遠位方向へ可動な親ねじであって、ねじ付軸、および遠位端に連結された支承部フットを含む親ねじと、一端部に可動ピストンおよび他端部に出口を有するカートリッジであって、親ねじが遠位に動くときに前記出口に向かって前進する親ねじ支承部フットがピストンに係合可能なカートリッジと、親ねじのねじ付軸に沿ってねじ係合し、螺着可能な駆動ナットと、ハウジングにねじ係合し、ハウジングに対して螺着可能であり、内側および外側近位セクションを有する数字スリーブと、駆動ナットに連結され、駆動ナットに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定されたダイヤルリンクであって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向配置にあるときに、ダイヤルリンクは数字スリーブに
回転方向に固定され、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第2の軸方向配置にあるときに、数字スリーブはダ
イヤルリンクに対して回転可能であるダイヤルリンクと、用量設定中にダイヤルリンクに係合するように構成され、数字スリーブの外側近位セクションのカットアウト貫通孔に係合する複数の可撓性アセンブリフィンガを通して数字スリーブの内側近位セクションに連結されたクラッチ部材であって、リングがダイヤルリンクとアセンブリフィンガとの間の環状空間に位置して、リングにより、アセンブリフィンガが内方へ屈曲してカットアウト貫通孔から係合解除されることを防止するクラッチ部材と、ハウジングに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定された、数字スリーブにねじ係合された内側スリーブと、ハウジング内で軸方向に固定された中心体であって、親ねじのキー溝に摺動可能に嵌合して、ハウジング内での親ねじの回転を防止するタブを含み、内側スリーブは、内側スリーブに形成された少なくとも1つのスロットに摺動可能に嵌合する中心体の少なくとも1つのラグにより、中心体に対して軸方向に可動であり
回転方向に固定される中心体とを含み、ハウジングに対する数字スリーブのねじ付部は第1のリードであり、数字スリーブに対する内側スリーブのねじ付部は第2のリードであり、親ねじのねじ付軸のねじ付部は第3のリードであり、第1のリード、第2のリード、および第3のリードは等しくなく、用量設定中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向配置にあり、ハウジングに対するダイヤルリンクおよび数字スリーブの螺着運動によって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブをホーム位置から第1の軸方向距離のところに螺着し、このダイヤルリンクの螺着運動によって、前記駆動ナットを親ねじのねじ付軸に沿って第1の軸方向距離とは異なる第2の軸方向距離のところに螺着し、用量送達中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは前記第2の軸方向配置にあり、ハウジングに対する数字スリーブのホーム位置へ戻る螺着運動によって、遠位方向に回転することなく内側スリーブを前進させて、内側スリーブに軸方向に固定された駆動ナット、したがって親ねじおよび可動ピストンを軸方向に前進させることにより、カートリッジ出口から流体を投薬する薬物送達デバイス。
【0027】
5.リングは、ダイヤルリンクに連結された用量ノブの一体部材である、番号4で説明した薬物送達デバイス。
【0028】
6.薬物送達デバイスであって、ハウジングと、遠位端および近位端を有し、用量設定中および用量送達中に
回転方向に固定され、ハウジングに対して軸方向に遠位方向へ可動な親ねじであって、ねじ付軸、および遠位端に連結された支承部フットを含む親ねじと、一端部に可動ピストンおよび他端部に出口を有するカートリッジであって、親ねじが遠位に動くときに前記出口に向かって前進する親ねじ支承部フットがピストンに係合可能なカートリッジと、親ねじのねじ付軸に沿ってねじ係合し、螺着可能な駆動ナットと、ハウジングにねじ係合し、ハウジングに対して螺着可能であり、内側および外側近位セクションを有する数字スリーブと、駆動ナットに連結され、駆動ナットに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定されたダイヤルリンクであって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向配置にあるときに、ダイヤルリンクは数字スリーブに
回転方向に固定され、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第2の軸方向配置にあるときに、数字スリーブはダイヤルリンクに対して回転可能であるダイヤルリンクと、用量設定中にダイヤルリンクに係合するように構成され、数字スリーブの外側近位セクションのカットアウト貫通孔に係合する複数の可撓性アセンブリフィンガを通して数字スリーブの内側近位セクションに連結されたクラッチ部材であって、リングが数字スリーブの外側近位セクションの周りに位置してアセンブリフィンガへの接近を阻止するクラッチ部材と、ハウジングに対して軸方向に可動であり
回転方向に固定された、数字スリーブにねじ係合された内側スリーブと、ハウジング内で軸方向に固定された中心体であって、親ねじのキー溝に摺動可能に嵌合して、ハウジング内での親ねじの回転を防止するタブを含み、内側スリーブは、内側スリーブに形成された少なくとも1つのスロットに摺動可能に嵌合する中心体の少なくとも1つのラグにより、中心体に対して軸方向に可動であり
回転方向に固定される中心体とを含み、ハウジングに対する数字スリーブのねじ付部は第1のリードであり、数字スリーブに対する内側スリーブのねじ付部は第2のリードであり、親ねじのねじ付軸のねじ付部は第3
のリードであり、第1のリード、第2のリード、および第3のリードは等しくなく、用量設定中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向配置にあり、ハウジングに対するダイヤルリンクおよび数字スリーブの螺着運動によって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブをホーム位置から第1の軸方向距離のところに螺着し、このダイヤルリンクの螺着運動によって、前記駆動ナットを親ねじのねじ付軸に沿って第1の軸方向距離とは異なる第2の軸方向距離のところに螺着し、用量送達中に、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは前記第2の軸方向配置にあり、ハウジングに対する数字スリーブのホーム位置へ戻る螺着運動によって、遠位方向に回転することなく内側スリーブを前進させて、内側スリーブに軸方向に固定された駆動ナット、したがって親ねじおよび可動ピストンを軸方向に前進させることにより、カートリッジ出口から流体を投薬する薬物送達デバイス。
【0029】
改良された薬物送達デバイスの様々な態様のこれらおよびその他の利点ならびにそれを達成する方法が、添付図面を適切に参照しながら以下の詳細な説明を読めば、当業者に明らかになろう。
【0030】
図面を参照しながら、例示的な実施形態について本明細書で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
いくつかの図面を通じて、対応する参照符号は対応する部材を示す。図面は本発明の実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明をより適切に図示し説明するために、図面のいくつかにおいて、ある特徴を強調または省略する場合がある。
【0033】
最初に
図1〜
図3を参照すると、注射器ペンとしての薬物送達デバイス1が示される。このペンは、細長い略筆記具状であるが、他の形状も本発明の範囲に含まれる。言い換えると、薬物送達デバイス1はペン型デバイスであってよい。薬物送達デバイス1は、カートリッジホルダ2、主(外部)本体またはハウジング4を有するハウジングを含む。
【0034】
薬物送達デバイス1およびハウジングは、遠位端および近位端を有する。「遠位端」という用語は、薬物送達デバイス1の投薬端の最も近くに配置されるかもしくは配置予定の薬物送達デバイス1またはその部材の端部を指す。「近位端」という用語は、デバイス1の投薬端から最も離れて配置されるかもしくは配置予定のデバイス1またはその部材の端部を指す。遠位端および近位端は、軸方向に互いに離間している。軸はデバイス1の長手方向軸または回転軸であってよい。
【0035】
カートリッジホルダ2の近位端と主ハウジング4の遠位端とは、ペン注射器が再利用可能なデバイスとして設計されるか、使い捨てデバイスとして設計されるかに応じて、適切な保持機能により共に固定される。後者の場合には、保持機能は、以下で説明する連結手段を用いる恒久的なものである。デバイスが再利用可能である場合には、保持手段は、ユーザがデバイスを容易に分解して空のカートリッジを新しい未使用のカートリッジに交換することのできるねじ式連結、ルアーロック、スナップ嵌め、バヨネットなどのタイプ、または取付具の組合せである。この図示した配置では、カートリッジホルダ2が本体4の近位端内に固定される。
【0036】
医薬製品のいくつかの用量を投薬可能なカートリッジ8が、カートリッジホルダ2内に設けられる。好ましくは、カートリッジ8は、1日に1回または複数回など頻繁に投与しなければならないタイプの薬剤を含む。1つのそのような薬剤はインスリンである。
図2に示すピストン10は、最初はカートリッジ8の近位端に保持され、各注射が終了すると、次第に空のカートリッジ位置へ遠位に動く。着脱可能なキャップ14が、カートリッジホルダ2を覆う本体4に解放可能に保持連結される。
【0037】
図1〜
図3に示す薬物送達デバイスの用量設定機構を、使い捨てまたは再利用可能な薬物送達デバイスのいずれかについて使用することができる。薬物送達デバイス1が使い捨て薬物送達デバイスを含む場合、デバイス1を破壊せずにカートリッジ8をデバイス1から取り外すことができない。使い捨てデバイスでは、注射器ペンを製造者が組み立てるときに、カートリッジホルダ2の近位端を、接着剤、超音波溶接、または別の適切な方法で用量設定機構のハウジングにしっかりと取り付ける、または固定することができる。あるいは、薬物送達デバイス1が再利用可能な薬物送達デバイスを含む場合、カートリッジ8は着脱可能であり、デバイス1を破壊せずにデバイス1から取り外すことができる。
図1〜
図3に示す薬物送達デバイス1では、デバイス1が使い捨て薬物送達デバイスとして示される。しかしながら、用量設定機構を再利用可能な薬物送達デバイスで使用してもよく、再利用可能なペンの場合、カートリッジホルダ2が再利用可能であり、例えばねじ付連結、バヨネット連結、またはスナップ嵌め連結により、リセット可能な親ねじを有する再利用可能な用量設定機構に近位端を着脱可能に取り付ける、または固定することができることを当業者は理解するであろう。
【0038】
前述した着脱可能または交換可能なキャップ14を使用して、主ハウジング4から延びるカートリッジホルダ2を覆う。好ましくは、交換可能なキャップ14の外寸は、交換可能なキャップ14がカートリッジホルダ2を覆う位置にあるとき単一の全体部材であるという印象を与えるように、主ハウジング4の外寸と同様または同一である。使用時に、着脱可能なキャップ14を取り外し、ハブに取り付けられた両頭針を含むペンニードルアセンブリ16を、カートリッジホルダ2の遠位端に螺着し、または押し付けることができ、あるいは、この遠位端にカチッと留めることができる。
【0039】
カートリッジ8は従来の設計であり、軸方向に摺動可能および封止可能にカートリッジの内壁に係合するピストン10により近位端で閉じられた薬充填リザーバを画成して、流体医薬品をリザーバ内に保持する。カートリッジリザーバの遠位出口端は、カートリッジ8の段下がり(stepped−down)径の首部15に固定されたキャップ13によ
り保持されたセプタム11によって封止される。ペンニードルアセンブリ16がカートリッジホルダ2の遠位端に取り付けられると、注射針の近位先端がカートリッジホルダ2の遠位端の中心開口部、キャップ13の開口部を通過し、カートリッジセプタム11に貫入して、流体流出口をもたらし、これにより、注射器ペン1の動作中に、カートリッジリザーバ内の薬を遠位針の先端部から投薬することができる。上で図示し説明した流体薬カートリッジ8は例示的なものであり、本発明の範囲内で他の構成を使用してもよいため、限定するものではない。
【0040】
注射器ペン1の本体4は、軸方向に前進可能な親ねじ22、駆動ナット23、内側スリーブ29、ダイヤルリンク25、数字スリーブ24、クラッチ26、および圧縮ばね27を収容する。用量ノブ28はダイヤルリンク25に連結され、用量ノブ28を用いて用量を設定した後に設定用量を注射する。ハウジングまたは本体4は、射出成形されたプラスチックなどの軽量な材料から形成される。頑丈にするために、ハウジング4を単一の管状部品として成形してもよい。近位端近くのハウジング4の窓51に、ハウジング4にスナップ嵌合する拡大レンズを埋めて、使用中に数字スリーブ24上の用量標示マーキング(図示せず)が容易に見えるようにすることができる。
【0041】
ハウジング4の内部遠位端近くに、中心開口部が形成された中心体20が取り付けられ、この中心体20は、正反対にある対の要素またはタブ31から形成された内向きの回転防止機構を有し、タブ31は、親ねじ22の長手方向キー溝32に各々摺動可能に嵌合する内端部が四角くなっている。代替実施形態では、タブおよびキー溝以外の機能、例えば、相補的に形成されたカラーの孔に嵌合する平坦部を有する親ねじを用いて、回転を防止してもよい。タブ31により、ペンの使用中に親ねじ22がハウジング4内で回転することは防止されるが、親ねじ22をカートリッジ8に向けて遠位方向など長手方向に移動させることは可能になる。中心体20を管状ハウジング4にスナップ嵌めまたは音波溶接連結することにより、ハウジング4に対する中心体20の軸方向および相対回転運動を防止することができる。
【0042】
親ねじ22は、用量投入中および注射中に軸方向に並進運動可能であり
回転方向に固定されたねじの形状である。「
回転方向に固定」という用語は、この文脈で、用量投入中および注射中に親ねじ22の回転が防止されることを意味する。親ねじ22は、その長さに沿って螺旋ねじ付部33を有する軸を含み、このねじ付部33は、長手方向に延びるキー溝または溝32によって中断される。ねじ付部33の近位端に示されるねじ山止め具34が設けられ、これを使用して、ユーザがカートリッジ8内に残る用量よりも多い薬の用量を送達するようにペンを設定できないようにする。本発明の範囲内で、ねじ運動を止める他の形態に置き換えてもよく、例えば、ねじ近位端のねじ付部は、カムイン(cam−in)できない場合に近位端近くで止まることができ、そのようなねじ山止め具を有する中実ねじによって、用量設定中に、ナット23がより確実にねじからトルクで外れることがなくなる。親ねじ22の遠位端は、広がったディスク状のフットまたは支承部21を含んで、支承部21が接触するカートリッジピストン10への負荷を分散させることにより、ピストン10の前進中に直接係合する。相対回転を可能にすることのできるスナップ嵌め20などにより、別個の支承部フット21を親ねじ22に取り付けてもよい。親ねじ22は一体のプラスチック射出成形品として示されるが、代わりの構成材料および複数の部品が可能である。
【0043】
駆動ナット23は、可撓性フィンガ36およびクリッカ歯35を有する円筒形のチューブ状本体を含む。駆動ナット23の遠位領域には、親ねじ22のねじ付部33に摩擦ロッキングしてねじ係合する内側ねじ付部37が形成される。ねじ付部33、37は2条ねじ付部として示されるが、1条ねじ付部または別の複数条ねじ付部のように、異なって形成されるが依然として適切な摩擦ロッキング能力をもたらすものであってもよい。駆動ナッ
ト23は内側スリーブ29内に位置し、内側スリーブ29に軸方向に固定されるが回転方向に固定されない。用量設定中に駆動ナット23が内側スリーブ29に対して回転すると、内側スリーブ29内で半径方向に突出する可撓性アーム38に、クリッカ歯35がラチェット式に係合する。駆動ナット23が回転すると、可撓性アーム38は歯35を載り越えて、可聴クリックノイズを生み出す。歯35は、各クリックが1つの用量の設定に等しくなるように構成される。可撓性クリッカアーム38は1つしか設けられないが、4つの等角度で離間したアーム38を使用すると、内側スリーブ29内で駆動ナット23を中心に位置させる助けになる。ねじ付部37の近位に位置する駆動ナット本体23の空洞内部により、親ねじ22の近位端が自由に通過することができる。駆動ナット23の外面は、ダイヤルリンク25に協働係合して、ダイヤルリンク25が軸方向に自由であり、駆動ナット23に対して
回転方向に固定されるように設計される。したがって、使用中、ダイヤルリンク25は、ねじ付駆動ナット23に対して軸方向に可動であるが、
回転方向にロックされる。駆動ナット23の近位に延びるフィンガ36とダイヤルリンク25の遠位に延びるフィンガ43との協働によって、この連結が可能である。ダイヤルリンク25に固定された用量ノブ28を回すことによってダイヤルリンク25が回転する用量設定中に、これら2組のフィンガ36、43は互いに対して軸方向に動くが、互いに回転係合する。駆動ナット23は、一体のプラスチック射出成形品として示されるが、他の構成が本発明の範囲に含まれる。
【0044】
図示した実施形態では、ダイヤルリンク25が、本体4に嵌合する、射出成形プラスチックの一体部材に形成される。ダイヤルリンク本体の中心領域を取り囲むフランジ40は、フランジ40の遠位面から延びるスプラインまたは歯39、およびフランジ40の近位面から延びる歯41を含む。ダイヤルリンク25の近位端の段下がり部分が、軸方向に近位に延びるステム42を形成する。ダイヤルリンク本体の遠位端は、駆動ナット23のフィンガ36に嵌合する対のフィンガ43を含んで、ダイヤルリンク25に対する駆動ナット23の軸方向運動を可能にするが、回転運動を可能にせず、これにより、部品を共に同一の環状空間内で回転方向にロッキングする。フィンガ36、43は十分に軸方向に延びて、注射のための最大ペン用量の設定中に確実に係合解除されないようになっている。
【0045】
近位面を有し、かつ遠位に面した、中心に位置する支承部カラーおよび位置合わせ柱を有する射出成形プラスチックの用量ノブ28が設けられる。ダイヤルリンク25のステム42は、用量ノブの位置合わせ柱を受け、製造組立中に支承部カラー内に超音波溶接されて、用量ノブ28とダイヤルリンク25とを軸方向に
回転方向に共に固定するようにする。「
回転方向に固定」という用語は、この文脈で、用量ノブ28とダイヤルリンク25との間のいかなる相対回転運動も防止されることを意味する。用量ノブスカート50が、用量ノブの遠位面の半径方向周囲から遠位に延びて、用量設定中にユーザの把持部として機能する。ダイヤルリンク25の周りには、数字スリーブ24が同軸に取り付けられる。数字スリーブ24は、螺旋溝として形成されたねじ付部52を有する円筒形外面30を有し、ねじ付部52は、本体4の内面に形成された対応するねじ付部62に係合して、数字スリーブ24をペンハウジングにねじ係合する。ねじ付部52、62は、1条ねじ付部として示されるが、異なるように形成することもできる。カートリッジ8が最大ペン用量に対して十分に満たされていると仮定すると、ねじ付部62は最大ペン用量で数字スリーブ24のねじ付部52の端部63に当接する。数字スリーブ24の外面の遠位端の止め面64は、ゼロ用量位置で突出する止め具とわずかに離間関係に位置し、ユーザがゼロ用量位置より下でねじ要素を手動で螺着しようとする場合には、別の止め面に止め具が当接する。数字スリーブ24の空洞内部65は、螺旋ねじ付部67を備えた円筒形内面により画成される。フランジの内面に形成されたクラッチ26の軸方向に延びる歯54の輪が、ダイヤルリンク25上で近位を向くダイヤルリンク歯41と協働する。数字スリーブ24は、その外面30周りに、本体4の開口部51を通して見える治療用量サイズの適切な印(図示せず)を含む。
【0046】
数字スリーブ24の外径は、用量ノブ28内に嵌合できるように選択される。
図4に示すように、数字スリーブ24の近位端領域80は、内側セクション85および外側セクション86を含む。近位端領域80は、外周に沿って交互に離間したいくつかの切欠き70および対応する窓またはカットアウト貫通孔71も含む。一実施形態では、別個のクラッチ26が数字スリーブ24の開口近位端に嵌合する。
図4および
図5に示すように、製造組立中に、カットアウト貫通孔71へのスナップロックにより、クラッチ26の耳72が切欠き70および可撓性アセンブリフィンガ73に嵌合して、数字スリーブ24およびクラッチ26を共に軸方向に
回転方向にロックする。位置合わせ柱55を用いて用量ノブ28をステム42上に位置させ、その後、超音波溶接87によりダイヤルリンクステム42に連結する。
図4および
図5に示すように、組み立て後、小さい尖った道具を用いてアセンブリフィンガ73をカットアウト貫通孔71から係合解除し、アセンブリフィンガ73を内方へ屈曲させて、カットアウト貫通孔71に係合しなくなるようにすることができる。アセンブリフィンガ73が内方へ屈曲すると、用量ノブ28と取り付けられたダイヤルリンク25およびクラッチ26とを、数字スリーブ24の内側近位セクション85から取り外すことができる。これが行われると、デバイスをさらに分解して、偽造により用量設定機構をリセットし、使用済みの空のカートリッジ8を偽の薬剤のカートリッジに置き換えることが可能になる。
【0047】
図6は、アセンブリフィンガ73が数字スリーブ24から係合解除されることを防止する1つの設計を示す。本実施形態では、カットアウト貫通孔71を、数字スリーブ24の内側近位セクション85のみに位置する戻り止めポケット81に置き換える。数字スリーブ24の外側近位セクション86から戻り止めポケット81に接近できないため、アセンブリフィンガ73を内方に屈曲させて、戻り止めポケット81から係合解除することができない。
【0048】
図7は、分解を防止する第2の解決法を示す。ここでは、クラッチ26および数字スリーブ24が、一体部材として形成または製造される。言い換えると、クラッチ26は数字スリーブ24の近位部分と一体である。この設計により、数字スリーブ24のアセンブリフィンガ73およびカットアウト貫通孔71の存在または必要性がなくなる。
【0049】
図8は、ダイヤルリンクステム42と内側近位セクション85との間の環状空間88に位置する内側リング82を用いる第3の可能な解決法を示す。カットアウト貫通孔71に係合するアセンブリフィンガ73を通してクラッチ26を定位置にカチッと留めた後、組立中にこの内側リング82を環状空間88に配置することができる。リング82は、定位置に配置されると、アセンブリフィンガ73の内側に位置し、アセンブリフィンガ73が内方へ屈曲してカットアウト貫通孔71から係合解除されることを防止する。1つの部品により形成されたリング82の代わりに、少なくとも1つのリングセグメントを設けてもよい。
【0050】
この第3の解決法の変形例が
図9に示され、ここでは、内側リング82の代わりに、外側リング83を用いて、数字スリーブ24と用量ノブ28の内側スカート表面89との間に配置する。外側リング83は、カットアウト貫通孔71を覆う、またはカットアウト貫通孔71への接近を阻止することにより、アセンブリフィンガ73の内方への屈曲を防止する。
【0051】
デバイスを分解して最終的に偽造することを防止するさらに別の解決法が
図10に示され、ここでは、用量ノブ28が、用量ノブ28の内面から遠位に延びる内側リング84を含む。デバイスの組立中に、用量ノブ28がダイヤルリンクステム42に連結されると、リング84がアセンブリフィンガ73の内側に位置する。内側リング82またはリングセ
グメントに付いて前述した方法と同様の方法で、用量ノブリング84は、カットアウト貫通孔71に道具が配置された場合にアセンブリフィンガ73が内方へ屈曲することも防止する。アセンブリフィンガ73の内方への屈曲が防止されると、アセンブリフィンガ73はカットアウト貫通孔71に係合したままとなり、クラッチ26は数字スリーブ24に連結されたままとなって、デバイスが偽造者により分解されることを防止する。1つの部品により形成された用量ノブリング84の代わりに、少なくとも1つのリングセグメントを用量ノブ28上に形成してもよい。
【0052】
クラッチ26と用量ノブ28の内側部分との間には、クラッチ26を付勢してダイヤルリンク25の歯41に係合する圧縮または付勢ばね27が配置される。注射中に、ユーザが用量ノブ28の近位面に押込み力を手動で加えると、ばね27が弾性圧縮されて、クラッチ26と数字スリーブ24とをダイヤルリンク25から係合解除する。ばね27がクラッチ26を付勢して数字スリーブ24を用量ノブ28およびダイヤルリンク25に取り付けると、ダイヤルリンク25のフランジ歯41とクラッチ歯54とが噛み合う。注射中にばね27が十分に圧縮されているときには、用量ノブ28およびダイヤルリンク25は、クラッチ26および数字スリーブ24とは噛み合わない。螺旋状に巻かれた金属ワイヤばねが示されるが、他の形の一般的に公知の付勢要素に置き換えてもよい。
【0053】
内側スリーブ29は、プラスチックから射出成形され、数字スリーブ24の空洞65に嵌入する管状本体を含む。内側スリーブ29は、その外面に螺旋ねじ付部75を有し、この螺旋ねじ付部75は、数字スリーブ24の内面の内側ねじ付部67に係合する。ねじ付部67、75は1条ねじ付部として示されるが、異なるように形成することもできる。ねじ付部に対応する部分螺旋形状である内側スリーブ24の端部の最も近位の部分を切り欠いて、軸方向に突出する歯76の部分的な輪を形成し、この歯76は、ダイヤルリンクの遠位向きの歯39と噛み合うと、ダイヤルリンク25と内側スリーブ29とを共に
回転方向にロックするように機能する。内側スリーブ29は、ペン本体4に軸方向に回転方向に固定される中間中心体20を通って本体4にキー止めされる。内側スリーブ29の遠位端は、内側スリーブ29の周囲に対の隆起状スロット77を有し、このスロット77は、中心体20から半径方向内方に突出するラグ78を軸方向に摺動可能に受ける。内側スリーブ29に成形された開口部は、半径方向内方に突出する歯を有する4つの弾性フィンガ38を画成し、これらの歯は、軸方向に向き、半径方向に突出する歯または隆起35を有する駆動ナット23の遠位端の凹部内に突出するように形成されて、用量設定中に、内方に突出する歯がいずれかの回転方向で歯35にカチッと嵌まるようにする。歯を有するフィンガ38は駆動ナット23の凹部と協働して、駆動ナット23が、製造中に内側スリーブ29に組み付けられた後に内側スリーブ29から外れないようにする。
【0054】
用量送達中の戻り駆動を容易にするために、数字スリーブ24と本体4、ならびに数字スリーブ24と内側スリーブ29とのねじ付連結は、結合ではなく、対応して設計された凹部溝内で摺動する、突出する60°面角度のねじ山によりもたらされる。このようなねじ付部により、機械的利益が3.4以上であり、駆動部材または駆動ナット23のねじリードが0.108インチであることが好ましい。
【0055】
以下で、上記実施形態の動作について説明する。カートリッジ8内に閉じ込められた空気を除去し、支承部21がカートリッジストッパまたはピストン10の近位端に確実に接触するように、針16を取り付けたペン1を最初にプライミングすべきである。特に、ユーザは、一般的にペン本体4を片手でつかみながら、用量ノブスカート50を手で把持して、ノブ28を本体4に対して回し始める。ゼロ用量配置では、ノブ28が不適切に押し込まれない限り、数字スリーブ24がさらに遠位に動くことができないため、ノブ28は用量増加方向にしか回転することができない。窓51を通して見えるマーキングにより示される、1ユニットまたは2ユニットなどの小さい送達量に関連する数字スリーブ24の
短い工程後に、ユーザは回転を止める。その後、キャップ14および存在する他のニードルキャップを取り外し、かつ針先端部を上方に向けた後に、ユーザは押込み力を用量ノブ28に加えて、数字スリーブ24がゼロ用量位置に戻るまで用量ノブ28を遠位に駆動する。このゼロ用量位置では、数字スリーブのねじ付部52が本体ねじ付部62の遠位端に到達しており、押込み動作中に、ピストン10はカートリッジ8内で前方に移動する。ピストン運動により液体が針の遠位先端部に到達したことをユーザが確認したら、プライミングプロセスが終了する。液体が針先端部に見えない場合、プライミング工程を必要に応じて繰り返す。プライミング後、ペン1は実際の注射に使用される準備が整う。
【0056】
最初に、ユーザは、ノブ28を回すことにより、窓51に見えるように所望の用量を設定することによってペンを準備する。ユーザが大きすぎる用量にダイヤル設定し、薬が排出されない場合、ユーザは、ノブ28を反対方向に、希望に応じてゼロまで戻るように回すことにより、ダイヤルを小さくなるように回転させる(rotate down)ことができる。用量を設定するために、ノブ28を時計方向に回す。用量ノブ28とダイヤルリンク25とが回転方向に固定されるため、ダイヤルリンク25が回転して、遠位向きフィンガ43が駆動ナット23の近位向きフィンガ36に係合することにより、駆動ナット23を同一の方向に回す。駆動ナット23の回転により、固定された親ねじ22に対して駆動ナット23が回転し、これにより、駆動ナット23が近位方向に親ねじ22の上方へ動く、または親ねじ22を上る。駆動ナット23は内側スリーブ29に対して回転し、内側スリーブ29は、中心体20とのスプライン連結により本体4に対して回転方向に固定して保持される。駆動ナット23と内側スリーブ29とが軸方向に固定されるため、駆動ナット23の近位への軸方向運動により、内側スリーブ29が中心体20に対して近位に摺動する。クラッチ26がダイヤルリンク25に回転方向に固定されるため、クラッチ26が回転すると、数字スリーブ24が回転して本体4から近位にスピンアウト(spin
out)する。数字スリーブ24のねじ山のピッチが内側スリーブ29のねじ山のピッチより大きいため、数字スリーブ24およびダイヤルリンク25は、内側スリーブおよび駆動ナットと比べて大きい軸方向距離を並進運動する。
【0057】
用量を注射するために、例えばユーザの皮膚に注射針の遠位先端部が適切に貫入するようにペン1を操作した後に、ハウジング4を把持する手の親指または人差し指などで、軸方向遠位への押込み力をノブ面53に加えて、ダイヤルリンク25を本体4に向けて軸方向に遠位方向へ押しやる。最初に、注射中に、ダイヤルリンク25が軸方向に移動し、この移動運動により付勢ばね27を圧縮して、ノブ面と数字スリーブ24の近位端との間の間隙を閉じる。付勢ばね27は、数字スリーブ24が本体4に対して動く前に圧縮されるように設計される。ダイヤルリンク25が数字スリーブ24に対して駆動ナット23の軸方向配置へ移動すると、クラッチ歯54とダイヤルリンク歯42とが係合解除されて、ダイヤルリンク25に対する数字スリーブ24の戻り駆動回転が可能になる。ダイヤルリンク25の軸方向運動中、駆動ナット23は軸方向にまたは回転方向に動かない。数字スリーブ24とクラッチ26とが回転可能にダイヤルリンク25から連結解除されると、ユーザがノブ28を押し込むことにより回転なしでダイヤルリンク25が引き続き軸方向に押し込まれるため、数字スリーブ24はノブ28に対してスピンするときに本体4に螺着し、まだ残っている注射予定の量を示す数字スリーブ24の用量マーキングが窓51を通して見える。
【0058】
数字スリーブ24のねじを緩めると、内側スリーブ29が数字スリーブ24よりも小さい距離だけ遠位に前進するため、数字スリーブ24によって内側スリーブ29が数字スリーブのねじ付部内の内ねじ山を基本的に締め付ける。駆動ナット23の遠位端との当接または直接係合により内側スリーブ29が前進すると、回転なしで駆動ナット23が前進する。これにより、駆動ナット23が親ねじ22とねじ付連結するため、回転なしで親ねじ22が軸方向に前進し、親ねじの前進によりカートリッジピストン10が移動して、医薬
品をカートリッジリザーバから排出する。数字スリーブのねじ付部52が本体4の遠位端に到達すると注射が終了し、そのときに、ペン1は準備完了状態またはゼロ用量位置に再び配置される。
【0059】
カートリッジ8内に残る薬が適切な用量投入に不十分となるまで、ペン1を継続して使用して所望の用量を送達することができる。この不足は、駆動ナットのねじ付部37が親ねじ22のねじ山止め具34に当接しているために、所望の用量を完全に設定することができないことによりユーザに示され、そのときに、駆動ナット23およびダイヤルリンク25は近位にそれ以上回転することができない。残っている薬が不十分であるときには、ペン1を廃棄し、同様であるが完全に新しいペンに交換する。
【0060】
本明細書で使用する用語「薬剤」または「医薬製品」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0061】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0062】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0063】
エキセンジン−4は、例えば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0064】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0065】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−N
H2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0066】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0067】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0068】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0069】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(例えば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0070】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0071】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領
域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0072】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0073】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0074】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0075】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、例えば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類、例えば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0076】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0077】
本発明を様々な設計を有するものとして図示し説明したが、本発明を本開示の精神および範囲内で修正してもよい。例えば、一定用量を送達するために、ペン1を修正して、ダイヤルのねじを緩めて注射用にペン1を準備する最大限がその一定用量に対応するようにすることが好ましい。そのような一定用量のペンは、数字の用量標示マーキングを省くことができ、代わりに、例えば、指示およびグラフィカルな用量インジケータの形の合図を
ユーザに与えることができる。したがって、本開示は、その一般的な原理を用いる変形形態、使用、または適用を包含するものである。さらに、本開示は、本発明が属する技術の公知のまたは慣例の実施に含まれる本開示からの逸脱を包含するものである。