(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ユーザとは異なるユーザである他のユーザの遺伝子情報と当該他のユーザの運転態様との関係性と、前記ユーザの遺伝子情報とに基づき、当該ユーザの運転態様を予測する予測部をさらに有し、
前記制御部は、前記ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質と、当該ユーザについて前記予測部により予測された運転態様とに基づく前記指標に基づいて、前記所定の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の運転制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願にかかる運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本願にかかる運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.運転制御処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態にかかる運転制御処理の一例について説明する。
図1は、実施形態にかかる運転制御処理の一例を示す図である。実施形態にかかる運転制御処理は、
図1に示す運転制御装置100によって行われる。
【0012】
また、実施形態にかかる運転制御システム1は、
図1に示すように、自動車10と、運転制御装置100とを含む。自動車10、運転制御装置100は、ネットワークを介して有線または無線により通信可能に接続される。なお、
図1に示す運転制御システム1には、複数台の自動車10や、複数台の運転制御装置100が含まれてもよい。また、後述するが、運転制御システム1には、検査機関サーバ30や管理サーバ60も含まれる。
【0013】
自動車10は、人間が運転操作を行わなくとも自動走行が可能な自動車(自動運転車とも呼ばれる)である。自動車10には、レーダー、GPS(Global Positioning System)、カメラ等が搭載されている。例えば、自動車10は、レーダー、GPS、カメラ等で周囲の環境を認識することにより、ドライバーによる運転操作を補助するかたちで、指定された行き先へと自律的に走行することが可能である。また、自動車10は、GPSを利用したカーナビゲーションシステム(以下、略して「カーナビ」と表記する)により、ドライバーに対して運転ガイドを行う。例えば、自動車10は、カーナビにより取得された目的地への最短ルートや渋滞状況を車内の表示画面に表示するとともに、音声を用いて目的地へとドライバーを誘導する、といった運転ガイドを行う。なお、このようなことから、自動車10は、ユーザによって利用される端末装置ともいえる。また、実施形態にかかる自動車10の車両種類(普通自動車、軽自動車、大型自動車等)は限定されない。
【0014】
なお、自動運転車である自動車10には、自動化のレベルが定められている。具体的には、自動化のレベルに応じてレベル0〜4が定められている。レベル値が大きくなるほど、より自動化が進んでいることを示す。例えば、最も低いレベル0は、運転に関する全ての操作(加速・操舵・制動)がドライバーに委ねられていることを示す。一方、レベル4は、完全自動運転(ドライバーが運転に関与しない)を示す。ところで、実施形態にかかる自動車10は、レベル3に対応し、加速・操舵・制動の全てをシステム側が行うが、緊急時等、必要に応じてドライバーの対応が求められる。
【0015】
次に、本実施形態の前提について説明する。ユーザ(ドライバー)の体質(性格)と、事故につながるような危険な運転(以下、単に「危険運転」と表記する場合がある)とは関係性がある場合がある。簡単な例を挙げると、視力が低いユーザは、前方車両との車間距離を見誤り、衝突事故を起こしてしまう場合がある。
【0016】
ここで、視力低下は、ユーザの生活習慣や年齢が原因となる場合が多いため(例えば、日々の長時間パソコン作業によって徐々に視力が低下してゆく)、視力低下は所謂後天性と考えることができる。これに対して、遺伝子タイプに応じて、生まれながらにしてある程度形成されてしまう、所謂先天性の体質も存在する。
【0017】
一例を示すと、これまでの遺伝子研究により、空間認識能力を示す体質は、特定の遺伝子のタイプに応じて決まることが判明している。例えば、かかる遺伝子を説明の便宜上、概念記号を用いて「GINE1」とする。遺伝子「GINE1」は人によって、複数のタイプが存在する。例えば、遺伝子「GINE1」のうち、「α型」の遺伝子「GINE1」を有する人は、空間認識能力が予め定められた基準値よりも高く、「β型」の遺伝子「GINE1」を有する人は、空間認識能力が予め定められた基準値よりも低い、といったように、遺伝子タイプに応じて形成される先天的な体質(遺伝子の寄与率が高い体質)が存在する。
【0018】
例えば、空間認識能力が低い、といった体質の人は、物体が三次元空間に占めている状態や関係をすばやく認識することができない傾向にあるといえる。このような人が、例えば、車を運転した場合、車を運転することに意識が集中することも要因となり、周りの環境、例えば、前方車両との車間距離を見誤り、結果的に交通事故を起こしてしまうことが考えられる。
【0019】
実施形態にかかる運転制御装置100は、上記のように、遺伝子によって先天的に決まる体質が存在することを利用して、ユーザの自動車10を運転することに関する所定の制御を行う。具体的には、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザの遺伝子情報を取得する。そして、運転制御装置100は、ユーザが運転する際の安全性であって、当該ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質に基づく安全性を示す指標に基づいて、当該ユーザの運転に関する所定の制御を行う。以下では、実施形態にかかる運転制御処理について、一例を用いて説明する。
【0020】
まず、運転制御装置100は、各ユーザが自動車10を運転したことによる運転履歴と、各ユーザの遺伝子情報とを取得する(ステップS1)。遺伝子情報とは、遺伝子検査によって得られた検査結果であり、例えば、ユーザが有する遺伝子の一覧である。また、遺伝子情報とは、特定の体質(性格)の形成や、特定の病気の発症と関わりのある遺伝子が、どのようなタイプ(遺伝子型)であるか、といったことを示す情報である。上記例を用いると、「GINE1」のタイプが「β」型である人は、空間認識能力が低いことが知られているとすると、ユーザは、遺伝子検査により、このことを知ることができる。また、人は、将来どのような病気を発症する可能性があるかを知ることができる。
【0021】
運転制御装置100は、このような遺伝子情報を、遺伝子検査を行った検査機関から取得する。例えば、運転制御装置100は、かかる検査機関に属するサーバ装置(検査機関サーバ30)にアクセスすることで、遺伝子情報を取得する。なお、運転制御装置100を管理する事業主(以下、「事業主T」とする)と、かかる検査機関との間で所定の契約が交わされ、さらに遺伝子検査を受診したユーザに承諾が得られている場合に、このような遺伝子情報の取得は可能となる。ただし、運転制御装置100は、遺伝子検査を受診したユーザから直接、遺伝子情報の提供を受けてもよい。つまり、運転制御装置100がどの様な形で遺伝子情報を取得するかは限定されない。
【0022】
また、運転制御装置100は、取得した遺伝子情報を自装置内の記憶部である遺伝子情報記憶部122に格納する。遺伝子情報記憶部122は、遺伝子検査によって得られた遺伝子情報を記憶する記憶部であり、
図1に示すように、遺伝子検査を受けた各ユーザを識別する識別情報(ユーザID)と、そのユーザの遺伝子情報とを対応付けて記憶する。
【0023】
つまり、遺伝子情報記憶部122は、遺伝子情報として、各ユーザがどのようなタイプの遺伝子を有するかを記憶する。例えば、遺伝子情報記憶部122は、遺伝子情報として、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)を有することにより複数のタイプを有する遺伝子のうち、各ユーザがどのようなタイプの遺伝子を有するかを記憶する。
【0024】
例えば、
図1に示す遺伝子情報記憶部122では、ユーザU1の遺伝子情報は、ユーザU1が、遺伝子「G1a」、「G2c」、「G3a」、「G4a」・・・を有することを示す。ここで、本実施形態において遺伝子標記に付与する小文字のアルファベットは、遺伝子のタイプを示すものとする。例えば、遺伝子「G1a」であれば、「a」型の遺伝子「G1」を示す。つまり、ユーザU1が、SNPにより複数のタイプが存在する遺伝子「G1」において、「a」型の遺伝子「G1」を有することを示す。
【0025】
次に、運転履歴とは、各ユーザがどのような運転を行ったかを示す運転態様が蓄積されることによる履歴情報である。ここで、例えば、自動車10は、レーダー、GPS、カメラ等から得られた運転状況(例えば、車間距離、運転時間、走行ルート)に基づき、ドライバーであるユーザの運転態様を判定し、判定した運転態様を運転された日毎に管理サーバ60(不図示)に送信する。これにより、管理サーバ60は、自動車10から受信した運転態様を蓄積してゆく。したがって、運転制御装置100は、例えば、運転履歴を管理サーバ60から取得し、取得した運転履歴を運転履歴記憶部123に格納する。
【0026】
図1の例では、運転履歴記憶部123は、各ユーザの運転状況から判定された運転態様であって運転された日毎の運転態様を示す運転履歴を記憶する。
図1の例では、ユーザU1が、「2017年5月31日」には、平均車間距離3mで自動車10を運転した例を示す。また、ユーザU1が、「2017年5月31日」において連続運転した平均時間が「10分」であった例を示す。また、ユーザU1が、「2017年5月31日」における運転中に危険ルートを選択した回数は「0回」であった例を示す。
【0027】
次に、運転制御装置100は、各ユーザの体質を特定(予測)する(ステップS2)。
図1の例では、運転制御装置100は、ユーザU1、U2、U3(ユーザU1〜U3)の体質を特定するものとする。例えば、運転制御装置100は、どの遺伝子のどのタイプが、どのような性格形成に寄与しているかが遺伝子タイプごとに蓄積されるデータベース(後述する体質情報記憶部121)内の情報と、ユーザU1〜U3それぞれの遺伝子情報とを照らし合わせて、ユーザU1〜U3それぞれがどのような体質であるかといった体質特徴を特定する。
【0028】
なお、本実施形態で対象とする体質は、
図1の例の通り、空間認識能力、空間的知性、睡眠深度であるものとする。なぜなら、これら3つの体質は、これまでの遺伝子研究により、特定のタイプの遺伝子が寄与する先天的な体質であることが判明しているため、体質が不明であってもユーザから遺伝子情報さえ得られれば、その遺伝子情報から予測されることができるためである。また、これら3つの体質は、ユーザがどのような運転をするかといった運転態様のうち、特定の運転態様(例えば、車間距離、運転時間、危険ルート選択状況)に影響を及ぼす可能性が高いと考えられるためである。
【0029】
なお、空間認識能力は、物体が三次元空間に占めている状態や関係(物体の位置、方向、姿勢、大きさ、形状、間隔等)を、すばやく正確に認識する能力を示す。空間的知性は、映像や空間のイメージの用いる能力を示す。具体的には、空間的知性は、物体がどのような位置に、どのような速度や関係で存在しているのかを知覚し記憶する能力を示す。また、空間的知性は、物事の判断能力とも関わりがある。睡眠深度は、眠りの深さを示す指標である。
【0030】
図1の例では、運転制御装置100が、ユーザU1は遺伝子「G2c」(c型遺伝子G2)を有することにより、体質「空間認識能力」が「低い」といった体質特徴である、ことを特定した例を示す。より簡単に言うと、運転制御装置100が、ユーザU1は遺伝子「G2c」(c型遺伝子G2)を有することにより、「空間認識能力」が「低い」体質であると特定した例を示す。また、運転制御装置100が、ユーザU2は遺伝子「G3c」(c型遺伝子G3)を有することにより、体質「空間的知性」が「低い」といった体質特徴である、ことを特定した例を示す。また、運転制御装置100が、ユーザU3は遺伝子「G4c」(c型遺伝子G4)を有することにより、体質「睡眠深度」が「浅い」といった体質特徴である、ことを特定した例を示す。
【0031】
また、運転制御装置100は、運転履歴記憶部123に記憶される各ユーザの運転態様に基づいて、各ユーザの運転態様の傾向、すなわち、各ユーザがどのような運転をする傾向にあるかといった運転傾向を特定する(ステップS3)。なお、上記の通り、運転傾向は、運転態様の傾向であることから、「運転傾向を特定する」は、「運転態様を取得する」と言い換えることができる。
【0032】
例えば、運転制御装置100は、複数の日付に渡って、平均車間距離が所定距離以下のユーザは、運転傾向「短車間距離」(車間距離が短い傾向にある)と特定する。また、例えば、運転制御装置100は、複数の日付に渡って、平均連続運転時間が所定時間以上のユーザは、運転傾向「長時間連続運転」(長時間連続運転する傾向にある)と特定する。一例を示すと、毎日1時間以上(この間休憩なし)かけて車通勤しているような人は、運転傾向「長時間連続運転」と特定される場合がある。また、例えば、運転制御装置100は、複数の日付に渡って、危険ルートを運転した回数の合計が所定回数以上のユーザは、運転傾向「危険ルート選択」(危険ルートを運転する傾向にある)と特定する。なお、危険ルートとは、例えば、狭い道路が多いエリア、急カーブが多いエリア、急勾配な道路が続くエリアである。また、上記運転傾向の特定手法は、一例に過ぎず、どのような手法で運転傾向を特定するかは限定されるものではない。
【0033】
図1の例では、運転制御装置100が、ユーザU1の運転履歴に含まれる運転態様から、ユーザU1の運転傾向として「短車間距離」を特定した例を示す。また、運転制御装置100が、ユーザU2の運転履歴に含まれる運転態様から、ユーザU2の運転傾向として「長時間連続運転」を特定した例を示す。また、運転制御装置100が、ユーザU3の運転履歴に含まれる運転態様から、ユーザU3の運転傾向として「危険ルート選択」を特定した例を示す。
【0034】
このような状態において、運転制御装置100は、ステップS2で特定した体質特徴と、ステップS3で特定した運転傾向とに基づいて、ユーザU1〜U3それそれが自動車10を運転する際どれだけ安全運転をするかといった運転の安全性を評価する(ステップS4)。例えば、運転制御装置100は、体質特徴と運転傾向とに基づいて、運転の安全性を示す指標として、安全評価値を算出する。そして、運転制御装置100は、安全評価値に基づいて、ユーザU1〜U3それぞれの運転の安全性を評価する。安全評価値が高いほど安全運転であることを示す。
【0035】
安全評価値をどのように算出するかは限定されない。ユーザU1の例を用いて一例を示す。例えば、運転制御装置100は、ユーザU1の体質特徴「空間認識能力:低」を示す指標値(後述する体質指標値)と、ユーザU1の平均車間距離に応じた指標値とを乗算することにより、スコアを算出する。つまり、運転制御装置100は、体質特徴の指標と、運転傾向の指標とを乗算することにより、スコアを算出する。なお、ここで平均車間距離に着目しているのは、ユーザU1が運転傾向「短車間距離」であるためである。
【0036】
また、同様にして、運転制御装置100は、ユーザU2およびU3についてもスコアを算出する。ここで、安全評価値は、0〜5までの数値で表されるものであるとすると、運転制御装置100は、各スコアに所定の補正をかけることで0〜5までの数値に落とし込むことにより、安全評価値を算出する。安全評価値が高いほど安全性が高いことを示す。
【0037】
例えば、運転制御装置100は、体質特徴を示す指標値が低く、かつ、より危険な運転をする傾向にあるほど、事故につながるような危険運転をする可能性が高くなる、といったことを示すように安全評価値を算出する。例えば、運転制御装置100は、空間認識能力が低く、かつ、平均車間距離が短いほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。値が0に近付くほど安全性が低く、運転をするうえで危険性が高いことを示す。また、運転制御装置100は、空間的知性が低く、かつ、平均連続運転時間が長いほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。また、運転制御装置100は、睡眠深度が浅く、かつ、危険ルートを選択する回数が多いほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。
【0038】
より詳細には、運転制御装置100は、1のユーザについて、複数の体質特徴を示す指標値がいずれも低く、かつ、より危険な運転をする傾向を複数有するほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。
【0039】
図1の例では、運転制御装置100が、ユーザU1に対して安全評価値「2.5」、ユーザU2に対して安全評価値「2.0」、ユーザU3に対して安全評価値「2.0」を算出した例を示す。例えば、安全評価値が所定値(例えば、「3.0」)より低いユーザは、危険運転する(運転の安全性が低い)と判断するよう予め決められているとすると、運転制御装置100は、ユーザU1〜U3は危険運転する可能性が高いとの評価を下す。つまり、運転制御装置100は、ユーザU1〜U3に対して危険運転を察知する(ステップS5)。なお、かかる例では、運転制御装置100は、ユーザU1〜U3全てについて危険運転を察知しているが、これは、運転制御装置100が、数あるユーザの中から、ユーザU1〜U3について危険運転を察知したことを示す。したがって、安全評価値が高く、危険運転が察知されなかったユーザが存在する場合もある。
【0040】
次に、運転制御装置100は、危険運転を察知したユーザU1〜U3に対して、ユーザU1〜U3の運転に関する所定の制御を行う(ステップS6)。上記例では、運転制御装置100は、ユーザU1が「空間認識能力が低い」ことと、「車間距離が短い傾向にある」ことに基づいて、他の車両に衝突し得る危険運転を察知した。これは、ユーザU1は、「空間認識能力が低い」ことにより、車間距離を見誤り易くなっていることに起因する危険察知である。このため、運転制御装置100は、例えば、ユーザU1に対して、車間距離を所定値以上開けて運転するよう提案する。例えば、運転制御装置100は、ユーザU1が自動車10を運転している場合に、自動車10を制御して、車内の表示画面に車間距離を所定値以上開けて運転するよう提案する提案情報を表示させる。
【0041】
また、上記例では、運転制御装置100は、ユーザU2が「空間的知性が低い」ことと、「連続運転を長時間行う傾向にある」ことに基づいて、事故発生率が高くなる危険運転を察知した。これは、ユーザU2は、「空間的知性が低い」ために判断能力が低下していることにより、長時間運転し易くなっている、したがって、運転疲労が蓄積していることに起因する危険察知である。このため、運転制御装置100は、例えば、ユーザU2に対して、連続運転を避けるよう提案する。例えば、運転制御装置100は、ユーザU2が自動車10を運転している場合に、自動車10を制御して、車内の表示画面に連続運転を避けるよう提案する提案情報を表示させる。
【0042】
また、上記例では、運転制御装置100は、ユーザU3が「睡眠深度が浅い」ことと、「危険ルートを選択する傾向ある」ことに基づいて、事故の発生率が高くなる危険運転を察知した。これは、ユーザU3は、「睡眠深度が浅い」ために判断能力が低下していることにより、安全ルートへの配慮を怠り危険ルートを選択し易くなっていることに起因する危険察知である。このため、運転制御装置100は、例えば、ユーザU3に対して、より安全な道へと迂回するよう迂回ルートを提案する。例えば、運転制御装置100は、ユーザU3が自動車10を運転している場合に、自動車10を制御して、車内の表示画面に迂回ルートを提案する提案情報を表示させる。
【0043】
さて、これまで説明してきたように、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザの遺伝子情報を取得する。そして、運転制御装置100は、ユーザが運転する際の安全性であって、当該ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質に基づく安全性を示す指標に基づいて、当該ユーザの運転に関する所定の制御を行う。
【0044】
このように、運転制御装置100は、遺伝子情報から予測されるユーザの体質に、さらに当該ユーザの運転態様(運転傾向)を組み合わせることで、当該ユーザが事故につながるような危険運転をし易いといったことを精度よく判断することができる。例えば、
図1で説明したように、特定の体質にあるユーザが、事故につながるような運転をする傾向にあれば、それは、かかるユーザの体質が要因となっており、今後も事故につながる運転をする可能性が高いことを精度よく判断することができる。このため、運転制御装置100は、事故防止のための提案等を効果的に行うことができるため、ユーザにとってより安全性の高い運転制御を実現することができる。
【0045】
〔2.運転制御システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態にかかる運転制御システムの構成について説明する。
図2は、実施形態にかかる運転制御システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、運転制御システム1は、自動車10と、検査機関サーバ30と、管理サーバ60と、運転制御装置100とを含む。自動車10と、検査機関サーバ30と、管理サーバ60と、運転制御装置100とは、ネットワークNを介して有線または無線により通信可能に接続される。
【0046】
図1では省略したが、実施形態にかかる運転制御システム1は、
図2に示すように、さらに検査機関サーバ30および管理サーバ60を含む。検査機関サーバ30は、遺伝子検査を行う所定の検査機関に属するサーバ装置であり、検査結果である遺伝子情報を蓄積している。例えば、検査機関サーバ30は、運転制御装置100からの要求に応じて、運転制御装置100に遺伝子情報を送信する。
【0047】
管理サーバ60は、各ユーザの自動車10から送信された運転に関する情報(例えば、各ユーザが、どのような運転をしたかを、どれだけの時間運転したか等を示す運転態様)を蓄積し、運転履歴として管理する。また、管理サーバ60は、運転制御装置100がアクセスしてきた場合に、かかる運転履歴を運転制御装置100に提供する。
【0048】
なお、管理サーバ60と、運転制御装置100は、1つのサーバ装置として構成されてもよい。例えば、運転制御装置100は、管理サーバ60の機能を有してもよい。かかる場合、運転制御装置100は、自動車10から運転態様を取得し、例えば、運転履歴記憶部123に取得した運転態様を記憶する。
【0049】
〔3.運転制御装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態にかかる運転制御装置100について説明する。
図3は、実施形態にかかる運転制御装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、運転制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0050】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば、自動車10、検査機関サーバ30、管理サーバ60との間で情報の送受信を行う。
【0051】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、体質情報記憶部121と、遺伝子情報記憶部122と、運転履歴記憶部123と、ユーザ体質記憶部124と、運転傾向記憶部125とを有する。
【0052】
(体質情報記憶部121について)
体質情報記憶部121は、遺伝子のうちどのタイプの遺伝子がどのような体質に寄与しているかといった遺伝子情報と、体質特徴との関係性を示す情報を記憶する記憶部である。なお、どのタイプの遺伝子がどの体質に寄与しているかはこれまでの遺伝子研究によって明らかにされたものである。ここで、
図4に実施形態にかかる体質情報記憶部121の一例を示す。
図4の例では、体質情報記憶部121は、「遺伝子情報」、「体質」、「体質特徴」、「体質指標値」といった項目を有する。
【0053】
「遺伝子情報」は、SNPを有することにより複数のタイプを有する遺伝子であって、対応する「体質」が人によってどのような特徴を先天的に発現するかに寄与する遺伝子を示す情報である。「体質」は、対応する「遺伝子情報」が要因となっている先天的な体質を示す。また、「体質」は、事故の発生につながるような運転態様をしてしまう要因となり得る体質を示す。「体質特徴」は、「体質」が対応する「遺伝子情報」が要因となり、実際に、どのような特徴を形成されるかを示す。「体質指標値」は、「体質特徴」が数値化された情報であるとともに、体質特徴を指標する指標値である。また、「体質指標値」は、安全評価値を算出するために用いられる。
【0054】
すなわち、
図4の例では、体質「空間認識能力」が「高い」(例えば、所定の基準値より高い)といった体質特徴が先天的に形成されることには、遺伝子「G2a」(c型遺伝子G2)が寄与している、例を示す。同様に、体質「空間認識能力」が「低い」(例えば、所定の基準値より低い)といった体質特徴が先天的に形成されることには、遺伝子「G2c」(c型遺伝子G2)が寄与している、例を示す。
【0055】
また、
図4の例では、体質特徴「空間認識能力が高い」には、このことを数値化した体質指標値「3」が対応付けられる例を示す。また、体質特徴「空間認識能力が低い」には、このことを数値化した体質指標値「1」が対応付けられる例を示す。
【0056】
(遺伝子情報記憶部122について)
遺伝子情報記憶部122は、遺伝子検査によって得られた遺伝子情報を記憶する記憶部である。また、遺伝子情報記憶部122に記憶される遺伝子情報は、取得部131により取得されたものである。ここで、
図5に実施形態にかかる遺伝子情報記憶部122の一例を示す。
図5の例では、遺伝子情報記憶部122は、「ユーザID」、「遺伝子情報」、「氏名」、「住所」、「生年月日」といった項目を有する。
【0057】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。
図1でも説明したが、「遺伝子情報」は、遺伝子検査によりユーザの遺伝子を解析して得られた解析結果に基づく遺伝子情報を示す。遺伝子情報とは、具体的には、SNPを有することにより複数のタイプを有する遺伝子のうち、各ユーザがどのようなタイプの遺伝子を有するか、といった情報である。
【0058】
「氏名」は、ユーザの氏名を示す。「住所」は、ユーザの住所を示す。「生年月日」は、ユーザの生年月日を示す。「氏名」、「住所」、「生年月日」は、例えば、遺伝子検査の申込みの際にユーザによって入力されたものである。
【0059】
すなわち、
図5の例では、ユーザU1が、SNPにより複数のタイプが存在する遺伝子「G1」のうち、「a」型の遺伝子「G1」である遺伝子「G1a」を有することを示す。同様に、
図5の例では、ユーザU2は、複数のタイプが存在する遺伝子「G1」のうち、「b」型の遺伝子「G1」である遺伝子「G1b」を有することを示す。
【0060】
(運転履歴記憶部123について)
運転履歴記憶部123は、各ユーザが自動車10を運転した際の運転に関する情報として、例えば、運転態様の履歴情報を記憶する記憶部である。例えば、自動車10は、レーダー、GPS、カメラ等で、ユーザによる運転状況を監視し、ユーザによる日毎の運転態様を判定する。そして、自動車10は、判定した運転態様を管理サーバ60へと送信する。例えば、自動車10は、運転状況に基づいて、ユーザが運転した日の平均速度、平均車間距離、平均連続運転時間、走行ルートの選択状況といった運転態様がどうであったかを判定(算出)する。ユーザが運転を行っていない日には、判定を行わない。なお、これらの運転態様は、事故の発生につながる可能性のある運転態様である。
【0061】
管理サーバ60は、受信した運転態様を自装置内の記憶部に運転履歴として格納する。運転制御装置100は、管理サーバ60から運転履歴を取得し、運転履歴記憶部123に格納する。なお、管理サーバ60が、自動車10により監視されている運転状況に基づいて、運転態様を判定してもよい。
【0062】
ここで、
図6に実施形態にかかる運転履歴記憶部123の一例を示す。
図6の例では、運転履歴記憶部123は、「ユーザID」、「日付」、「車間距離」、「連続運転時間」、「危険ルート選択回数」といった項目を有する。なお、これらの項目は、一例であり、例えば、事故の発生に関与すると考えられる運転態様であれば、どのような運転態様が採用されてもよい。
【0063】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。かかる「ユーザID」は、遺伝子情報記憶部122に用いられるものと同一である。「日付」は、ユーザによって自動車10が運転された日時を示す。「車間距離」は、対応する「日付」において自動車10が運転された際の車間距離の平均である平均車間距離を示す。「連続運転時間」は、対応する「日付」において自動車10が運転された際の連続運転時間の平均である平均連続運転時間を示す。「危険ルート選択回数」は、対応する「日付」において自動車10が運転された際に危険ルートが選択(危険ルートが通過)された回数を示す。
【0064】
すなわち、
図6の例では、ユーザU1が、「2017年5月31日」には、平均車間距離3mで自動車10を運転した例を示す。また、ユーザU1が、「2017年5月31日」において連続運転した平均時間が「10分」であった例を示す。また、ユーザU1が、「2017年5月31日」における運転中に危険ルートを選択した回数は「0回」であった例を示す。
【0065】
(ユーザ体質記憶部124について)
ユーザ体質記憶部124は、後述する特定部132により特定(予測)された各ユーザの体質に関する情報を記憶する。また、ユーザ体質記憶部124は、各ユーザの体質指標値や安全評価値も記憶する。ここで、
図7に実施形態にかかるユーザ体質記憶部124の一例を示す。
図7の例では、ユーザ体質記憶部124は、「ユーザID」、「体質」、「体質特徴」、「体質指標値」、「安全評価値」といった項目を有する。
【0066】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。かかる「ユーザID」は、遺伝子情報記憶部122および運転履歴記憶部123に用いられるものと同一である。「体質特徴」は、対応するユーザに対して予測された「体質」の特徴を示す。「体質指標値」は、対応する「体質特徴」を示す指標値である。「安全評価値」は、対応するユーザが運転する際の安全性を評価する指標値である。
【0067】
すなわち、
図7の例では、ユーザU1が体質「空間認識能力」が「低い」といった体質特徴であること、すなわちユーザU1は「空間認識能力」が「低い」体質であることが予測された例を示す。
【0068】
(運転傾向記憶部125について)
運転傾向記憶部125は、運転履歴記憶部123に記憶される各ユーザの運転態様に基づき、各ユーザに対して取得された運転態様の傾向(運転傾向)を記憶する記憶部である。ここで、
図8に実施形態にかかる運転傾向記憶部125の一例を示す。
図8の例では、運転傾向記憶部125は、「ユーザID」、「運転傾向」といった項目を有する。
【0069】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。かかる「ユーザID」は、遺伝子情報記憶部122、運転履歴記憶部123およびユーザ体質記憶部124に用いられるものと同一である。「運転傾向」は、各ユーザの運転態様に基づき、各ユーザに対して取得された運転態様の傾向を示す。
【0070】
すなわち、
図8の例では、ユーザU1に対して、運転傾向「短車間距離」が取得された例を示す。言い換えれば、ユーザU1が「短い車間距離で運転する傾向にある」ことが特定された例を示す。
【0071】
(制御部130について)
図3に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、運転制御装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0072】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、特定部132と、評価部133と、運転制御部134と、予測部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0073】
(取得部131について)
取得部131は、ユーザの遺伝子情報を取得する。例えば、取得部131は、遺伝子検査を行った検査機関から遺伝子情報を取得する。例えば、取得部131は、かかる検査機関に属するサーバ装置である検査機関サーバ30にアクセスすることで、遺伝子情報を取得する。例えば、取得部131は、検査機関サーバ30に定期的にアクセスし、遺伝子情報を取得する。また、取得部131は、取得した遺伝子情報を遺伝子情報記憶部122に格納する。
【0074】
また、取得部131は、ユーザの運転態様をさらに取得する。具体的には、取得部131は、各ユーザが自動車10を運転した際の運転態様を含む運転履歴を取得する。例えば、取得部131は、管理サーバ60にアクセスすることで、運転履歴を取得する。例えば、取得部131は、管理サーバ60に定期的にアクセスし、運転履歴を取得する。また、取得部131は、取得した運転履歴を、
図6に示すように、運転履歴記憶部123に格納する。
【0075】
(特定部132について)
まず、体質を特定する処理について説明する。特定部132は、ユーザの体質を特定(予測)する。具体的には、特定部132は、取得部131により遺伝子情報が取得されたユーザ毎に、当該ユーザの遺伝子情報に基づいて、当該ユーザの体質を特定する。例えば、特定部132は、体質として、空間認識能力、空間的知性、または、睡眠深度がどのような特徴(度合い)であるかをユーザ毎に特定する。
【0076】
例えば、取得部131により、ユーザU1、U2、U3の遺伝子情報が取得されたとする。かかる場合、特定部132は、体質情報記憶部121内の情報と、遺伝子情報記憶部122に記憶されるユーザU1〜U3それぞれの遺伝子情報とを照らし合わせて、ユーザU1〜U3それぞれがどのような体質であるかといった体質特徴を特定する。また、特定部132は、特定した体質特徴について、その指標値である体質指標値を取得する。
【0077】
図4の例では、体質「空間認識能力」に関与する遺伝子は遺伝子「G2」である。そして、ユーザU1は、
図5の例では、「c型」の遺伝子「G2」、すなわち遺伝子「G2c」を有する。したがって、特定部132は、ユーザU1は「空間認識能力」が「低い」体質(体質特徴)であると予測するとともに、
図4に戻り、体質指標値「1」を取得する。
【0078】
また、
図4の例では、体質「空間的知性」に関与する遺伝子は遺伝子「G3」である。そして、ユーザU2は、
図5の例では、「c型」の遺伝子「G3」、すなわち遺伝子「G3c」を有する。したがって、特定部132は、ユーザU2は「空間的知性」が「低い」体質(体質特徴)であると予測するとともに、
図4に戻り、体質指標値「1」を取得する。
【0079】
また、
図4の例では、体質「睡眠深度」に関与する遺伝子は遺伝子「G4」である。そして、ユーザU3は、
図5の例では、「c型」の遺伝子「G4」、すなわち遺伝子「G4c」を有する。したがって、特定部132は、ユーザU3は「睡眠深度」が「浅い」体質(体質特徴)であると予測するとともに、
図4に戻り、体質指標値「1」を取得する。そして、特定部132は、各ユーザについて特定した体質特徴と体質指標値とを対応付けて、ユーザ体質記憶部124に格納する。
【0080】
次に、運転傾向を特定する処理について説明する。特定部132は、ユーザの運転態様の傾向である運転傾向を特定する。例えば、特定部132は、運転履歴記憶部123に記憶される各ユーザの運転態様に基づいて、各ユーザの運転傾向を特定する。上記例の場合、特定部132は、遺伝子情報が取得されたユーザU1〜U3それぞれの運転態様に基づいて、ユーザU1〜U3の運転傾向を特定する。
【0081】
例えば、特定部132は、複数の日付に渡って、平均車間距離が所定距離以下のユーザは、運転傾向「短車間距離」(車間距離が短い傾向にある)と特定する。また、例えば、特定部132は、複数の日付に渡って、平均連続運転時間が所定時間以上のユーザは、運転傾向「長時間連続運転」(長時間連続運転する傾向にある)と特定する。また、例えば、特定部132は、複数の日付に渡って、危険ルートを運転した回数の合計が所定回数以上のユーザは、運転傾向「危険ルート選択」(危険ルートを運転する傾向にある)と特定する。なお、特定部132は、上記例に限らず、任意の手法を用いて運転傾向を特定してよい。
【0082】
図6に示す運転履歴記憶部123に記憶される運転態様の例では、ユーザU1は、いずれの運転日時においても、非常に短い車間距離(3、4m)で走行している。このため、特定部132は、例えば、ユーザU1の運転傾向として「短車間距離」を特定する。また、ユーザU2は、いずれの運転日時においても、長時間(60分)の連続運転を行っている。このため、特定部132は、ユーザU2の運転傾向として「長時間連続運転」を特定する。また、ユーザU3は、いずれの運転日時においても、危険ルートを多く選択している。このため、特定部132は、例えば、ユーザU3の運転傾向として「危険ルート選択」を特定する。そして、特定部132は、各ユーザについて特定した運転傾向を運転傾向記憶部125に格納する。
【0083】
(評価部133について)
評価部133は、特定部132により特定された体質特徴と運転傾向とに基づいて、ユーザが自動車10を運転する際どれだけ安全運転をするかといった運転の安全性を評価する。例えば、評価部133は、体質特徴と運転傾向とに基づいて、運転の安全性を示す指標として、安全評価値を算出する。そして、評価部133は、安全評価値に基づいて、各ユーザの運転の安全性を評価する。評価部133は、任意の手法を用いて安全評価値を算出してよい。以下では、この一例について説明する。
【0084】
例えば、評価部133は、体質指標値と、運転傾向の指標値とを乗算することにより、スコアを算出する。ユーザU1の場合について説明すると、ユーザU1は体質特徴「空間認識能力が低い」であることから、体質評価値「1」を特定されており、また、運転傾向「短車間距離」であると特定されている。このため、評価部133は、体質評価値「1」と、運転傾向「短車間距離」に応じた指標値とを乗算することにより、スコアを算出する。運転傾向「短車間距離」に応じた指標値とは、例えば、ユーザU1の各運転日における平均車間距離をさらに平均した平均値に応じた値である。
【0085】
ユーザU2の場合について説明すると、ユーザU2は体質特徴「空間的知性が低い」であることから、体質評価値「1」を特定されており、また、運転傾向「長時間連続運転」であると特定されている。このため、評価部133は、体質評価値「1」と、運転傾向「長時間連続運転」に応じた指標値とを乗算することにより、スコアを算出する。運転傾向「長時間連続運転」に応じた指標値とは、例えば、ユーザU2の各運転日における平均連続運転時間をさらに平均した平均値に応じた値である。
【0086】
ユーザU3の場合について説明すると、ユーザU3は体質特徴「睡眠深度が浅い」であることから、体質評価値「1」を特定されており、また、運転傾向「危険ルート選択」であると特定されている。このため、評価部133は、体質評価値「1」と、運転傾向「危険ルート選択」に応じた指標値とを乗算することにより、スコアを算出する。運転傾向「危険ルート選択」に応じた指標値とは、例えば、ユーザU3の各運転日における危険ルート選択回数を平均した平均値に応じた値である。
【0087】
そして、評価部133は、上記のように算出したスコアに基づいて、安全評価値を算出する。また、評価部133は、スコアそのものを安全評価値としてもよい。また、安全評価値は、0〜5までの数値で表されるものであるとすると、評価値133は、スコアに所定の補正をかけることで0〜5までの数値に落とし込むことにより、安全評価値を算出する。
【0088】
例えば、評価部133は、体質特徴を示す指標値が低く、かつ、より危険な運転をする傾向にあるほど、事故につながるような危険運転をする可能性が高くなる、といったことを示すように安全評価値を算出する。例えば、運転制御装置100は、空間認識能力が低く、かつ、車間距離が短いほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。値が0に近付くほど安全性が低く、運転をするうえで危険性が高いことを示す。また、運転制御装置100は、空間的知性が低く、かつ、連続運転時間が長いほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。また、運転制御装置100は、睡眠深度が浅く、かつ、危険ルートを選択する回数が多いほど、値が0に近付くように安全評価値を算出する。
【0089】
また、評価部133は、各ユーザ算出した安全評価値をユーザ体質記憶部124に格納する。
図7の例では、評価部133が、ユーザU1に対して安全評価値「2.5」、ユーザU2に対して安全評価値「2.0」、ユーザU3に対して安全評価値「2.0」を算出した例を示す。例えば、安全評価値が「3.0」より低いユーザは、危険運転する(運転の安全性が低い)と判断するよう予め決められているとする。かかる場合、評価部133は、ユーザU1〜U3は危険運転する可能性が高いとの評価を下す。つまり、評価部133は、ユーザU1〜U3に対して危険運転を察知する。
【0090】
例えば、評価部133は、ユーザU1であれば、「空間認識能力が低い」ことにより、車間距離を見誤り易くなっていることに起因する交通事故を今後起こす可能性が高いことを察知する。また、評価部133は、ユーザU2であれば、「空間的知性が低い」ために判断能力が低下していることにより、長時間運転し易くなっている、したがって、運転疲労が蓄積していることに起因する交通事故を今後起こす可能性が高いことを察知する。また、評価部133は、ユーザU3であれば、「睡眠深度が浅い」ために判断能力が低下していることにより、安全ルートへの配慮を怠り危険ルートを選択し易くなっていることに起因する交通事故を今後起こす可能性が高いことを察知する。
【0091】
ここで、不図示であるが、ユーザU4は、「空間認識能力が低い」、かつ、「空間的知性が低い」。さらに、ユーザU4は、「短車間距離」と「長時間連続運転」の傾向にあるものとする。かかる場合、評価部133は、ユーザU1〜U3よりもさらに値が低くなるよう安全評価値を算出する。すなわち、評価部133は、危険運転につながる体質をより多く示し、事故の原因となり得る運転傾向をより多く示すほど、値が低くなるよう安全評価値を算出する。
【0092】
(運転制御部134について)
運転制御部134は、ユーザが運転する際の安全性であって、当該ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質に基づく安全性を示す指標に基づいて、当該ユーザの運転に関する所定の制御を行う。具体的には、運転制御部134は、ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質と、当該ユーザの運転態様とに基づく指標に基づいて、所定の制御を行う。例えば、運転制御部134は、ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質に対応する体質指標値と、当該ユーザの運転態様の傾向(運転傾向)に対応する指標値とに基づき算出された安全指標値に基づいて、所定の制御を行う。例えば、運転制御部134は、安全指標値に基づきユーザが危険運転をする可能性があると判断された場合に、所定の制御を行う。
【0093】
また、運転制御部134は、ユーザの運転状況と、ユーザの運転態様とに基づくタイミングで、所定の制御を行う。例えば、運転制御部134は、ユーザの運転状況と、ユーザの運転態様とに基づいて、ユーザがかかる運転態様で運転することにならないタイミングで、所定の制御を行う。
【0094】
また、運転制御部134は、所定の制御として、ユーザの運転態様に基づく提案をユーザに対して行う。例えば、運転制御部134は、ユーザの運転傾向が示す運転態様で運転しないよう提案する、あるいは、この運転態様に代わる安全な運転態様を提案する。また、例えば、運転制御部134は、所定の制御として、ユーザの運転傾向が示す運転態様に基づいて、ルート案内を行う。以上の、運転制御について、ユーザU1〜U3の例を用いて説明する。
【0095】
上記の通り、評価部133は、ユーザU1が「空間認識能力が低い」ことと、「車間距離が短い傾向にある」ことに基づいて、他の車両に衝突し得る危険運転を察知した。これは、ユーザU1は、「空間認識能力が低い」ことにより、車間距離を見誤り易くなっていることに起因する危険察知である。このため、運転制御部134は、例えば、ユーザU1に対して、車間距離を所定値以上開けて運転するよう提案する。例えば、運転制御部134は、ユーザU1が自動車10を運転している場合に、自動車10を制御して、車内の表示画面に車間距離を所定値以上開けて運転するよう提案する提案情報を表示させる。
【0096】
ここで、ユーザU1が、所定速度以上で走行中に、車間距離を所定距離(例えば、事故に直結するような短い距離)より短くしてしまってから提案が行われても、ユーザは急には対応できない場合がある。したがって、事故を防ぐためには、このような運転状況になる前に提案を行うことがより効果的である。したがって、運転制御部134は、例えば、自動車10を制御して、ユーザU1が所定速度以上で走行している場合、車間距離を所定距離(例えば、事故に直結するような短い距離)より短くする前に、車間距離に関する上記提案情報を表示させる。
【0097】
また、他の一例としては、運転制御部134は、自動車10を制御して、ユーザU1が自動車10のエンジンをかけた際に、車間距離に関する上記提案情報を表示させてもよい。運転制御部134は、自動車10を制御して、かかる提案情報を音声出力させてもよい。
【0098】
このように、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザの運転態様に基づいて、かかる運転態様になる前に提案を行う。これにより、運転制御装置100は、ユーザに意識付けを行うことができるため、事故の発生を防止することができる。
【0099】
また、上記の通り、評価部133は、ユーザU2が「空間的知性が低い」ことと、「連続運転を長時間行う傾向にある」ことに基づいて、事故発生率が高くなる危険運転を察知した。これは、ユーザU2は、「空間的知性が低い」ために判断能力が低下していることにより、長時間運転し易くなっている、したがって、運転疲労が蓄積していることに起因する危険察知である。このため、運転制御部134は、例えば、ユーザU2に対して、連続運転を避けるよう提案する。例えば、運転制御装置100は、ユーザU2が自動車10を運転している場合に、自動車10を制御して、車内の表示画面に連続運転を避けるよう提案する提案情報を表示させる。
【0100】
ここで、ユーザU2が、長時間の連続運転をしてしまってから提案が行われても、提案の効果は薄い。したがって、事故を防ぐためには、このような運転状況になる前に提案を行うことがより効果的である。したがって、運転制御部134は、例えば、自動車10を制御して、ユーザU2が長時間の連続運転になる前に、連続運転に関する上記提案情報を表示させる。運転制御部134は、例えば、自動車10を制御して、連続運転により疲労が蓄積し始めると考えられる時間(例えば、1時間の連続運転)が経過する直前に、上記提案情報を表示させる。
【0101】
また、他の一例としては、運転制御部134は、自動車10を制御して、ユーザU2が自動車10のエンジンをかけた際に、連続運転に関する上記提案情報を表示させてもよい。運転制御部134は、自動車10を制御して、かかる提案情報を音声出力させてもよい。
【0102】
このように、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザの運転態様に基づいて、かかる運転態様になる前に提案を行う。これにより、運転制御装置100は、ユーザに意識付けを行うことができるため、事故の発生を防止することができる。
【0103】
また、上記の通り、評価部133は、ユーザU3が「睡眠深度が浅い」ことと、「危険ルートを選択する傾向ある」ことに基づいて、事故の発生率が高くなる危険運転を察知した。これは、ユーザU3は、「睡眠深度が浅い」ために判断能力が低下していることにより、安全ルートへの配慮を怠り危険ルートを選択し易くなっていることに起因する危険察知である。このため、運転制御部134は、例えば、ユーザU3に対して、より安全な道へと迂回するよう迂回ルートを提案する。例えば、運転制御部134は、ユーザU3が自動車10を運転している場合に、自動車10を制御して、車内の表示画面に迂回ルートを提案する提案情報を表示する。
【0104】
ここで、ユーザU3が、実際に、危険ルートを走行中に提案が行われても、提案の効果は薄い。したがって、危険ルート走行による事故を防ぐためには、このような運転状況になる前に提案を行うことがより効果的である。したがって、運転制御部134は、例えば、自動車10を制御して、ユーザU3が危険ルートに進入することが判明した場合に、危険ルートに関する上記提案情報を表示させる。例えば、運転制御部134は、自動車10を制御して、ユーザU3の自動車10と危険ルートが存在するエリアとの距離が所定距離以下になった場合に、上記提案情報を表示させる。
【0105】
また、他の一例としては、運転制御部134は、自動車10を制御して、ユーザU3が自動車10のエンジンをかけた際に、危険ルートに関する上記提案情報を表示させてもよい。運転制御部134は、自動車10を制御して、かかる提案情報を音声出力させてもよい。
【0106】
このように、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザの運転態様に基づいて、かかる運転態様になる前に提案を行う。これにより、運転制御装置100は、ユーザに意識付けを行うことができるため、事故の発生を防止することができる。
【0107】
(予測部135について)
さて、ここまで、運転制御装置100が、ユーザの遺伝子情報と運転傾向とを取得し、取得した遺伝子情報と運転傾向とに基づいて、危険運転を察知した場合に、運転制御を行い例を示した。しかし、運転制御装置100は、ユーザの運転履歴が取得できないことにより、ユーザの運転傾向を取得できない場合がある。例えば、取得部131は、自動車10を購入したばかりで、ほとんど運転したことが無いユーザからは、運転履歴を取得することができない。また、取得部131は、自動車10を有するものの、ペーパードライバーであるユーザからは、運転履歴を取得することができない。そして、このように運転履歴が取得できないユーザについては、特定部132は、運転態様を取得することができない。
【0108】
したがって、運転制御装置100は、運転態様を取得することができないユーザについて、運転態様を予測する処理を行ってよい。例えば、予測部135は、運転態様を取得することができないユーザ(「未知ユーザ」とする)について、運転態様を予測する。具体的には、予測部135は、未知ユーザとは異なるユーザである他のユーザ(「他ユーザ」とする)の遺伝子情報と、当該他のユーザの運転態様との関係性と、未知ユーザの遺伝子情報とに基づき、未知ユーザの運転態様を予測する。例えば、予測部135は、未知ユーザの運転傾向を予測する。例えば、予測部135は、機械学習によりモデルを生成し、生成したモデルを用いて、未知ユーザの運転傾向を予測することができる。
【0109】
ここで、未知ユーザは、遺伝子情報は取得されているものの、運転履歴が取得できないことにより運転傾向が未知のユーザである。一方、他のユーザは、遺伝子情報が取得され、また、運転履歴も取得されたことにより、運転傾向が特定されているユーザである。
【0110】
このような状態において、予測部135は、他ユーザの運転傾向と遺伝子情報との関係性を分析する。具体的には、予測部135は、運転傾向と遺伝子情報との間に所定の関係性が成立するか否かを分析する。例えば、予測部135は、所定の関係性として、運転傾向と遺伝子情報との傾向に基づく関係性が成立するか否かを分析する。より具体的には、予測部135は、複数の他ユーザの運転傾向と、当該複数の他ユーザの遺伝子情報との相関性を分析する。
【0111】
例えば、予測部135は、GWAS(Genome-Wide Association Study)を用いた学習器や、ディープラーニング、SVM(Support Vector Machine)等、任意の機械学習の技術を用いて、運転傾向と遺伝子情報と相関性を学習するといった分析手法を用いることができる。ここで、機械学習の一例について説明する。
【0112】
例えば、予測部135は、運転傾向記憶部125に記憶される運転傾向毎にモデルを生成する。例えば、予測部135は、複数の他ユーザの遺伝子情報と、複数の他ユーザの運転傾向との関係性を学習することにより、各遺伝子情報を有する他ユーザはどのような運転傾向にあるかといった、各遺伝子情報と運転傾向との相関性を示すモデルを生成する。例えば、予測部135は、遺伝子情報と運転傾向とに基づいて生成されるモデルであって、未知ユーザの遺伝子情報が入力された場合に、未知ユーザは特定の運転傾向にあるかを予測可能な指標値を出力するモデルを生成する。
【0113】
すなわち、予測部135は、所定の運転傾向にあるか否かを示す結果情報を、機械学習における目的変数とする。そして、予測部135は、当該所定の運転傾向にある他ユーザが有する遺伝子情報(素性情報)を、機械学習における説明変数とする。そして、予測部135は、目的変数と説明変数とを用いて、所定の運転傾向に関するモデルを生成する。
【0114】
例えば、予測部135は、未知ユーザが所定の運転傾向にあるか否かと、この所定の運転傾向にある他のユーザの遺伝子情報との関係を示す式を生成する。さらに、予測部135は、各遺伝子情報が、未知ユーザが所定の運転傾向にあるという事象に対して、どのような重みを有するかを算出する。これにより、予測部135は、未知ユーザが所定の運転傾向にあるという事象に対して、各遺伝子情報がどのくらい寄与するのかといった情報を得ることができる。例えば、予測部135は、
図8に記憶される運転傾向のうち、運転傾向「短車間距離」を示すモデルの生成にあたり、下記式(1)を作成する。なお、説明の便宜上、「短車間距離」運転を「D1」とする。
【0115】
下記式(1)に示されるよう、予測部135により生成されるモデルは、未知ユーザの遺伝子情報が入力される入力層と、出力層と、入力層から前記出力層までのいずれかの層であって出力層以外の層に属する第1要素と、第1要素と第1要素の重みとに基づいて値が算出される第2要素と、を含み、入力層に入力された遺伝子情報に応じて、対象者の運転態様を定量化した値を出力層から出力するようコンピュータを機能させるためのモデルである。
【0116】
y
(D1) = ω
1・x
1 + ω
2・x
2 + ω
3・x
3 ・・・+ ω
N・x
N ・・・(1)(Nは任意の数)
【0117】
上記式(1)において、「y
(D1)」は、「未知ユーザが「短車間距離」の傾向にあるか否か」という事象を示す。また、「y
(D1)」は、第2要素に対応する。
【0118】
また、上記式(1)において、「x」は、他ユーザの各説明変数に対応するとともに、第1要素に対応する。また、上記式(1)における「x
1、x
2、x
3、・・・、x
N」という説明変数は、
図5に示す遺伝子情報記憶部122に記憶される遺伝子のうち、「短車間距離」の傾向にあると判定された他ユーザの遺伝子情報を説明変数としたものである。例えば、「x
1」は、遺伝子「G1a」に対応する変数を示す。
【0119】
また、上記式(1)において、「ω」は、「x」の重み係数であり、第1要素の重みに対応する。具体的には、「ω
1」は、「x
1」の重み係数であり、「ω
2」は、「x
2」の重み係数であり、「ω
3」は、「x
3」の重み係数である。このように、上記式(1)は、「短車間距離」の傾向にあると他ユーザの遺伝子情報それぞれに対応する説明変数「x」と、重み係数「ω」とを含む変数(例えば、「ω
1・x
1」)を組合せることにより作成される。
【0120】
上記式(1)について、より具体的に説明する。上記式(1)において、仮に、「x
1」が遺伝子「G1a」に対応し、「x
2」が遺伝子「G1b」に対応し、「x
3」が遺伝子「G2a」に対応する説明変数であるとする。この場合、
図8の例において、「短車間距離」の傾向にあるユーザU1に対応する上記式(1)は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0121】
y
(D1)(= 1) = ω
1・(G1a) + ω
2・(G1b= 0) + ω
3・(G2a= 0) + ω
N・x
N ・・・(2)
【0122】
図8の例に基づくと、ユーザU1は、遺伝子「G1b」や遺伝子「G2a」を有しないため、上記式(2)の通り、これらには「0」が当て嵌められる。
【0123】
同様の考えに基づきに、運転傾向「短車間距離」と判定されている他ユーザそれぞれについては、式を作成することができる。
【0124】
予測部135は、上記式(2)のように、他ユーザ毎に式を生成し、生成した式を機械学習のサンプルとする。そして、予測部135は、サンプルとなる式の演算処理を行うことにより、重み係数「ω」に対応する値を導出する。すなわち、予測部135は、上記式(2)を満たすような重み係数「ω」を決定する。言い換えれば、予測部135は、所定の説明変数が目的変数「y」に与える影響を示す重み係数「ω」を決定することができる。例えば、運転傾向「短車間距離」にあるユーザの特徴を示す情報として、遺伝子「G2c」が他の変数と比較して大きく寄与しているのであれば、遺伝子「G2c」に対応する重み係数の値は、他の変数と比較して大きな値が算出される。
【0125】
上記のようにして、予測部135は、急ブレーキ運転の傾向にあるという事象と、急ブレーキ運転の傾向にあるユーザから取得された遺伝子情報とを関連付けるモデルを生成する。なお、上記式(1)を用いた算出処理では、左辺を「1」や「0」そのものとするのではなく、所定の誤差を想定し、かかる誤差との差異を2乗した値が最小値となるよう近似する最小二乗法などの手法を用いて、「ω」の最適解を算出してもよい。
【0126】
なお、予測部135は、上記の様にして生成した各モデルを所定の記憶部に記憶する。不図示であるが、例えば、予測部135は、専用の記憶部である学習モデル記憶部に各モデルを記憶する。
【0127】
このようにして、予測部135は、予めモデルを生成しておく。ここで、予測部135は、取得部131からユーザUxの運転履歴を取得できない旨の情報を受信したとする。かかる場合、予測部135は、モデルに対して、ユーザUxの遺伝子情報を入力することにより、モデルから出力される結果に基づいて、ユーザUxの運転傾向を予測する。例えば、予測部135は、モデルに、遺伝子情報記憶部122に記憶されるユーザUxの遺伝子情報を入力することにより、ユーザUxのスコアを出力する。そして、予測部135は、モデルのうち、出力したスコアが所定値以上のモデルが存在する場合、かかるモデルについて目的変数とされる運転傾向をユーザUxの運転傾向として予測する。
【0128】
運転制御部134は、ユーザUxの遺伝子情報から予測されるユーザUxの体質と、ユーザUxについて予測された運転傾向とに基づく指標に基づいて、これまで説明してきた所定の制御を行う。
【0129】
〔4.処理手順〕
次に、
図9を用いて、実施形態にかかる運転制御装置100が実行する運転制御処理の手順について説明する。
図9は、実施形態にかかる運転制御装置100による運転制御処理手順を示すフローチャートである。
【0130】
まず、運転制御装置100は、ユーザの運転履歴と、当該ユーザの遺伝子情報とを取得する(ステップS101)。例えば、運転制御装置100は、自動車10から送信される運転に関する情報を管理する管理サーバ60から運転履歴を取得する。かかる運転履歴には、各ユーザにより自動車10が運転された際の運転態様が含まれる。また、例えば、運転制御装置100は、検査機関サーバ30から各ユーザの遺伝子情報を取得する。
【0131】
次に、運転制御装置100は、遺伝子情報が取得されたユーザ毎に、当該ユーザの遺伝子情報に基づいて、当該ユーザの体質の特徴である体質特徴を特定する(ステップS102)。例えば、運転制御装置100は、空間認識能力、空間的知性、または、睡眠深度がどのような度合いであるかを示す体質特徴を特定する。また、運転制御装置100は、ユーザの運転態様に基づいて、ユーザの運転傾向を特定する(ステップS103)。なお、ステップS102の処理と、ステップS103の処理が行われる順序は、逆であってもよいし、ステップS102の処理、および、ステップS103の処理は、同時に行われてもよい。
【0132】
次に、運転制御装置100は、体質特徴と運転傾向とに基づいて、ユーザが自動車10を運転する際の安全性を指標する安全評価値を算出する(ステップS104)。そして、運転制御装置100は、安全評価値に基づく評価結果に応じて、運転に関する所定の制御を行う(ステップS105)。例えば、運転制御装置100は、安全評価値が所定の基準値を下回る場合、対象のユーザは、自身の運転傾向を要因とする事故発生につながる危険運転をする可能性があることを察知する。このため、運転制御装置100は、運転に関する所定の制御として、かかる運転傾向に基づく制御を行う。例えば、運転制御装置100は、対象のユーザが、かかる運転傾向が示す運転態様で運転するよりも前のタイミングに、安全ガイドを行うよう自動車10を制御する。
【0133】
〔5.変形例〕
上記実施形態にかかる運転制御装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、運転制御装置100の他の実施形態について説明する。
【0134】
〔5−1.ルート案内〕
上記実施例では、運転制御部134が、危険運転を察知した場合に、ユーザの運転態様に基づく提案を行う例を示した。しかしこの例に限らず、運転制御部134は、危険運転を察知した場合に、ユーザの運転態様に基づいて、ルート案内を行ってもよい。上記例の様に、ユーザU1は「空間認識能力が低い」ために「短車間距離」の傾向にある場合、運転制御部134は、車間距離を気にせず比較的安全に走行可能なルート(例えば、交通量が少ないルート、信号が少ないルート、整備され直線が多いルート)を提案するよう自動車10を制御する。例えば、運転制御部134は、自動車10に対して、ユーザU1がカーナビを利用して目的地への案内設定を行った場合に、目的地への候補ルートの1つとして、上記のような安全走行ルートを提案するよう制御する。
【0135】
また、上記例の様に、ユーザU2は「空間的知性が低い」ために「長時間連続運転」の傾向にある場合、運転制御部134は、例えば、「道の駅」が存在するルートを提案するよう自動車10を制御する。例えば、運転制御部134は、自動車10に対して、ユーザU1がカーナビを利用して目的地への案内設定を行った場合に、目的地への候補ルートの1つとして、上記のような安全走行ルートを提案するよう制御する。
【0136】
また、上記例の様に、ユーザU3は「睡眠深度が浅い」ために「危険ルート選択」の傾向にある場合、運転制御部134は、車間距離を気にせず比較的安全に走行可能なルートを提案するよう自動車10を制御する。例えば、運転制御部134は、自動車10に対して、ユーザU1がカーナビを利用して目的地への案内設定を行った場合に、目的地への候補ルートの1つとして、上記のような安全走行ルートを提案するよう制御する。
【0137】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザによる危険運転を回避することができるため、事故を防止することができる。
【0138】
〔5−2.自動運転制御〕
上記実施例では、運転制御部134が、危険運転を察知した場合に、ユーザの運転態様に基づく提案を行う例を示した。しかしこの例に限らず、運転制御部134は、ユーザの運転態様に基づいて、ユーザに運転される移動体である自動車10に対して運転制御を行ってもよい。これまで説明してきた通り、自動車10は、自動走行可能な自動運転車である。したがって、ここでの運転制御とは、ユーザによる運転操作(例えば、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作)に拘わらず、自動で走行を調整するよう自動車10を制御することを示す。
【0139】
上記例の様に、ユーザU1は「空間認識能力が低い」ために「短車間距離」の傾向にある場合、運転制御部134は、自動車10に対して、所定速度以上で走行中に前方車両との車間距離が所定距離より短くなると予測される場合、ユーザU1の運転操作に拘わらずブレーキをかけて車間距離をあけるよう制御する。
【0140】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザによる危険運転を回避することができるため、事故を防止することができる。
【0141】
なお、運転制御部134は、自動車10に対して、歩行者やバイクを発見した場合に、歩行者やバイクと自動車10との距離関係に基づいて、ブレーキをかけて速度を調整するよう制御してもよい。
【0142】
〔5−3.事故歴をさらに考慮〕
また、運転制御部134は、ユーザの体質とユーザの事故歴とに基づき、ユーザの体質が事故の発生に関与していると判定された場合には、これまで説明してきた運転に関する制御を行ってもよい。かかる場合、例えば、取得部131は、遺伝子情報を取得したユーザの事故歴も取得する。一般に、事故歴を有するのは保険会社である。したがって、取得部131は、例えば、事業主Tと所定の契約を結んでいる保険会社から、遺伝子情報を取得したユーザの事故歴を示す事故歴データを取得する。次に、特定部132は、これまでの説明の通り、ユーザの遺伝子情報に基づいて、ユーザの体質特徴を予測する。また、特定部132は、体質特徴を予測したユーザの事故歴データを参照し、当該体質特徴が事故の発生に関与しているか否かを判定する。
【0143】
例えば、特定部132は、体質特徴「空間認識能力が低い」と予測した各ユーザの事故歴データを参照し、体質特徴「空間認識能力が低い」と予測したユーザは事故を起こしやすいか否かを判定する。例えば、特定部132は、体質特徴「空間認識能力が低い」と予測したユーザが事故を起こす確率(事故率)を算出し、事故率が予め定められた所定値以上である場合には、体質特徴「空間認識能力が低い」と予測したユーザは事故を起こしやすいと判定する。また、このように判定したことにより、特定部132は、体質特徴「空間認識能力が低い」は、事故の発生に関与していると判定する。なお、ここでは、体質特徴「空間認識能力が低い」を例に説明したが、特定部132は、その他の体質特徴についても、同様にして、事故の発生に関与しているか否かを判定する。
【0144】
次に、評価部133は、特定部132により事故の発生に関与していると判定された体質特徴を有するユーザについて、安全評価値を算出することにより安全性を評価する。また、運転制御部134は、評価部133により危険運転が察知された場合には、運転に関する制御を行う。
【0145】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、事故の発生に関与する体質のユーザを精度よく特定することができるため、このようなユーザに対して提案や運転制御を行うことで、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0146】
〔5−4.体質のみを利用〕
上記実施例では、運転制御部134が、ユーザの体質と運転態様とに基づいて、運転に関する制御を行う例を示した。しかし、運転制御部134が、ユーザの体質のみを用いて、運転に関する制御を行ってもよい。かかる場合、取得部131は、ユーザの遺伝子情報のみを取得し、運転履歴を取得せずともよい。そして、評価部133は、特定部132によりユーザの遺伝子情報からユーザの体質特徴が特定されると、この体質特徴だけで安全性を評価する。例えば、評価部133は、ユーザU1の体質特徴が「空間的知性が低い」である場合には、ユーザU1が運転する際の安全性は低い(危険運転の可能性が高い)と評価する。また、運転制御部134は、ユーザU1についてこれまで説明したような制御を行う。
【0147】
このように、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザの運転履歴を用いずとも、危険運転を察知して、それを回避するような制御を行うことができるため、例えば、自動運転車ではなく、カーナビしか搭載していないような一般の乗用車を利用するユーザに対しても、体質に基づく情報提案を行うことができる。
【0148】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態にかかる運転制御装置100は、例えば
図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図10は、運転制御装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0149】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0150】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
【0151】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0152】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0153】
例えば、コンピュータ1000が実施形態にかかる運転制御装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0154】
〔7.その他〕
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0155】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0156】
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0157】
〔8.効果〕
実施形態にかかる運転制御装置100は、取得部131と、運転制御部134とを有する。取得部131は、ユーザの遺伝子情報を取得する。運転制御部134は、ユーザが運転する際の安全性であって、当該ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質に基づく安全性を示す指標に基づいて、当該ユーザの運転に関する所定の制御を行う。
【0158】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、危険運転をし易いユーザにとってより安全性の高い運転制御を実現することができる。
【0159】
また、取得部131は、ユーザの運転態様をさらに取得し、運転制御部134は、ユーザの遺伝子情報から予測される当該ユーザの体質と、当該ユーザの運転態様とに基づく指標に基づいて、所定の制御を行う。
【0160】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザが事故につながるような危険運転をし易いか否かを精度よく判断することができるため、危険運転をし易いユーザにとってより安全性の高い運転制御を実現することができる。
【0161】
実施形態にかかる運転制御装置100は、予測部135をさらに有する。予測部135は、ユーザとは異なるユーザである他のユーザの遺伝子情報と、当該他のユーザの運転態様との関係性と、ユーザの遺伝子情報とに基づき、当該ユーザの運転態様を予測する。
【0162】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、運転態様を取得できないユーザがどのような運転傾向にあるかを高精度に予測することができるため、運転態様を取得できないユーザについても予測した運転傾向に基づく制御を行うことができる。
【0163】
また、運転制御部134は、ユーザの遺伝子情報から予測される体質として、空間認識能力、空間的知性、または、睡眠深度の度合いに基づく前記指標に基づいて、前記所定の制御を行う。
【0164】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、例えば、空間認識能力が低い、空間的知性が低い、睡眠深度が浅い等のユーザが、実際に事故につながるような運転をする傾向にあれば、このユーザに対して安全ガイド等を行うことができるため、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0165】
また、運転制御部134は、指標に基づきユーザが危険運転をする可能性があると判定された場合に、所定の制御を行う。
【0166】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザが事故につながるような危険運転をし易いか否かを精度よく判断することができるため、危険運転をし易いユーザにとってより安全性の高い運転制御を実現することができる。
【0167】
また、運転制御部134は、ユーザの体質とユーザの事故歴とに基づき、ユーザの体質が事故の発生に関与していると判定された場合には、所定の制御を行う。
【0168】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、事故の発生に関与する体質のユーザを精度よく特定することができるため、このようなユーザに対して提案や運転制御を行うことで、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0169】
また、運転制御部134は、ユーザの運転状況と、ユーザの運転態様とに基づくタイミングで、所定の制御を行う。
【0170】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0171】
また、運転制御部134は、ユーザの運転状況と、ユーザの運転態様とに基づいて、ユーザが運転態様で運転することにならないタイミングで、所定の制御を行う。
【0172】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザが事故につながる運転をする前に制御を行うことができるため、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0173】
また、運転制御部134は、ユーザが運転態様で運転することになるよりも前に、所定の制御を行う。
【0174】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザが事故につながる運転をする前に制御を行うことができるため、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0175】
また、運転制御部134は、所定の制御として、ユーザの運転態様に基づく提案をユーザに対して行う。
【0176】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザに対して危険運転していることを認識させることができる。
【0177】
また、運転制御部134は、運転態様で運転しないよう提案する、あるいは、運転態様に代わる安全な運転態様を提案する。
【0178】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0179】
また、運転制御部134は、所定の制御として、ユーザの運転態様に基づいて、ルート案内を行う。
【0180】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、危険運転にならないような走行し易いルートを提案することができるため、事故の発生を効果的に防止することができる。
【0181】
また、運転制御部134は、所定の制御として、ユーザの運転態様に基づいて、ユーザに運転される移動体に対して運転制御を行う。
【0182】
これにより、実施形態にかかる運転制御装置100は、ユーザによる危険運転を回避することができるため、事故を防止することができる。
【0183】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0184】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。