特許第6567013号(P6567013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567013
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   C01B 25/08 20060101AFI20190819BHJP
   C01B 19/04 20060101ALI20190819BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20190819BHJP
【FI】
   C01B25/08 A
   C01B19/04 C
   B82Y20/00
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-193397(P2017-193397)
(22)【出願日】2017年10月3日
(62)【分割の表示】特願2015-209457(P2015-209457)の分割
【原出願日】2008年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-65738(P2018-65738A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】0719073.9
(32)【優先日】2007年9月28日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】0719075.4
(32)【優先日】2007年9月28日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】60/980,946
(32)【優先日】2007年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509295262
【氏名又は名称】ナノコ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナイジャル・ピケット
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・マシュー・ダニエルス
(72)【発明者】
【氏名】イムラナ・ムシュタク
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/106082(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/049052(WO,A2)
【文献】 特開2007−130755(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/066934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 25/08
B82Y 20/00
C01B 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子クラスター化合物と、
分子クラスター化合物に配置されるコアであって、InPからなり、コア量子収量を有するコアと、
コア上にあって、実質的にInからなる緩衝層と、
ZnSを含んでおり、コアの外側に配置される少なくとも1つの第1のシェル層と、
配位化合物を含む有機キャッピング層と、
を備えているナノ粒子。
【請求項2】
有機キャッピング層は、最外層であって、コア又は少なくとも1つのシェル層の表面原子との配位化合物の配位を介して形成される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
ノ粒子の量子収量がコアの量子収量よりも大き、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項4】
分子クラスター化合物が、[HNEt[Zn10(SPh)16を含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項5】
少なくとも1つの第1のシェル層の外側に位置しており、ZnOを含む少なくとも1つの第2のシェル層を更に含んでいる、請求項1に記載のナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合「量子ドット」又はナノ結晶と呼ばれる、例えば2〜50nmの範囲の寸法の粒子を具える化合物半導体の調製及び特徴づけに対して多くの関心が持たれてきた。これらの研究は、これらの物質のサイズ調整可能な電子的特性により主になされ、それは、光学的及び電子的装置などの多くの商業的応用において、また、他の応用において利用され得る。その範囲は、多くの新たな新進の応用があるが、現在は生物学的ラベリング、太陽電池、触媒作用、生物学的イメージング、発光ダイオード、一般的な空間照明及びエレクトロルミネセンス・ディスプレイ、フォトルミネセンス・ディスプレイのように広範に亘る。
【0003】
半導体材料のうち最も多く研究されてきたものは、カルコゲニドII−VI(例えば第12族〜第16族)材料、例えばZnS、ZnSe、CdS、CdSe、CdTeである。最も顕著には、そのスペクトルの可視域上の光学調整能力のため、CdSeが非常に研究されている。いくつかの以前の例が文献において見られるが、より最近になって、再現可能な方法が、「ボトムアップ」技術によって開発され、それによって、粒子は原子毎に、「湿式」化学法を用いて調製される。
【0004】
共に個々の半導体ナノ粒子のサイズに関係する2つの根本的要因が、これらの粒子の独特の特性に関与している。1つめは、大きい表面積対体積比である。粒子がより小さくなるにつれて、内部の原子に対する表面原子の数の比率が増加する。このため、材料全体の特性において表面特性が重要な役割を果たすことになる。2つめの要因は、半導体ナノ粒子は、サイズと共に材料の電子的特性が変化すること、更に、粒子のサイズが減少するにつれて、量子閉じ込め効果のためバンドギャップが徐々により大きくなることである。この効果は、「箱の中の電子」の閉じ込めによって、対応するバルク半導体材料における連続バンドではなく、原子及び分子において観察されるのと類似の離散的エネルギー準位が生じている結果である。したがって、半導体ナノ粒子においては、第1励起子遷移より大きなエネルギーを有する電磁放射(光子)の吸収によって生じた「電子及び正孔」は、物理パラメータのため、対応する巨視的結晶質材料において互いにより接近しているので、クーロンの相互作用は無視できない。これは狭バンド幅放出につながり、それは粒子サイズ及び組成に依存する。このように、量子ドットは対応する巨視的結晶質材料より高い運動エネルギーを有するので、第1の励起子遷移(バンドギャップ)はエネルギーにおいて粒径の減少と共に増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単一半導体材料と共に外側の有機不動態化層からなる単一コア半導体ナノ粒子は、欠陥で起こっている電子正孔再結合、及び非放射電子正孔再結合の原因になるナノ粒子表面上のダングリングボンドのため、量子効率が比較的低くなる可能性がある。
【0006】
欠陥及びダングリングボンドを除去する1つの方法は、バンドギャップがより広く、コア材料との格子不整合が小さい第2の無機材料をコア粒子の表面にエピタキシャルに成長させ、「コアシェル」粒子を作製することである。コアシェル粒子は、コアに閉じ込められたあらゆるキャリアを、非放射再結合の中心として働くおそれのある表面状態から分離する。1つの例としては、ZnSをCdSeコアの表面に成長させてCdSe/ZnS コア/シェルナノ粒子を作成する。
【0007】
もう一つの方法は、量子ドット−量子井戸構造のような、「電子正孔」一対が単一のシェル層に完全に閉じ込められるコア/マルチシェル構造を調製することである。ここで、コアはバンドギャップの広い材料でできており、バンドギャップがより狭い材料の薄いシェルが続き、そして更なる広いバンドギャップ層によって覆われる。例えばいくつかのHgSの単層を蒸着させるためにコアナノ結晶の表面上でCdの代替にHgを使用して成長するCdS/HgS/CdSである。結果として生じる構造は、HgS層への光励起キャリアの閉じ込めを明らかに示した。
【0008】
如何なるコア、コアシェル又はコアマルチシェルナノ粒子においても、最終無機表面原子の周りの配位は、反応性の高い完全に配位されていない原子「ダングリングボンド」が粒子の表面上にあって不完全であり、これは粒子の凝集につながることがある。この問題は、保護用有機基で「裸の」表面原子を不動態化(キャッピング)することによって解決される。
【0009】
有機材料又はシース材料の最外側層(キャッピング剤)は、粒子凝集を抑制するのに役立ち、更にナノ粒子を、周囲の化学環境から保護すると共に、他の無機、有機、又は生物学的材料との化学結合の手段を提供する。多くの場合、キャッピング剤は、中でナノ粒子の作成が行われる溶媒であり、ルイス塩基化合物又は、不活性溶媒(例えば炭化水素)において薄められたルイス塩基化合物から成り、それによってナノ粒子の表面に対して供与型配位が可能である孤立電子対がある。
【0010】
高品質な半導体ナノ粒子の合成に関わる重要な問題は、粒子の均一性、サイズ分布、量子効率及び商業的応用におけるそれらの長期の化学的及び光安定性の使用である。初期の方法は従来のコロイド水性化学を利用したが、より最近の方法は、有機金属化合物を用いたナノ結晶子の動力学的に制御された沈殿を含んでいる。より最近の方法のほとんどは、Murray、Norris及びBawendiによって説明された当初の「核生成及び成長」方法(非特許文献1)に基づくが、当初用いられた有機金属前駆体以外のもの、例えば、酸化物(例えばCdO)、炭酸塩(例えばMCO)、アセテート(例えばM(CHCO))及びアセチルアセトネート(例えばM[CHCOOCH=C(C−)CH)(例えばM=Cd又はZn)を用いている。
【0011】
Murrayら(非特許文献1)は当初、金属アルキル(RM)ただしM=Cd、Zn、Te、R=Me、Etの有機金属溶液、及びトリ−n−オクチルホスフィン(TOP)に溶解させたトリ−n−オクチルホスフィンスルフィド/セレニド(TOPS/Se)を用いた。これらの前駆体溶液を、調製されている材料に応じて温度範囲120〜400℃の熱いトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)に注入する。これによって、II−VI材料のTOPOコート/キャップ半導体ナノ粒子が製造される。粒子のサイズは、温度、キャッピング剤、用いられる前駆体の濃度及び合成が行なわれる延べ時間によって制御され、より高い温度、より高い前駆体濃度及び長期にわたる反応時間でより大きい粒子が得られる。この有機金属の方法は、よりよい単分散度及び高い粒子結晶化度等の、他の合成方法に勝る効果がある。上述の如く、この方法の多くのバリエーションが現在文献に見られ、単分散度及び量子収量の両方について高品質なコア及びコアシェルナノ粒子を日常的に生じさせる。
【0012】
単一源前駆体は、他の化合物半導体ナノ粒子と同様に、II−VIの半導体ナノ粒子材料の合成においても役立つということが分かった。ビス(ジアルキルジチオ−/ジセレノ−カルバメート)カドミウム(II)/亜鉛(II)化合物、M(ECNR)(ただしM=Zn又はCd、E=S又はSe及びR=アルキル)は同様の「ワンポット」合成法において用いられてきて、それは、前駆体をトリ−n−オクチルホスフィン(TOP)に溶解させてから200℃を超える熱いトリ−n−オクチルホスフィンオキシド/トリ−n−オクチルホスフィン(TOPO/TOP)へ急速に注入することを含んでいた。
【0013】
根本的に、上記の製法はすべて、高温での粒子の核生成に続いてより低温での粒子成長という原理に依存している。更に言えば、2〜10nmの範囲のナノ粒子の単分散集合を有するため、ナノ粒子の核生成は、ナノ粒子の成長から適切に分離しなければならない。これは、一方又は両方の前駆体のより低温の溶液を、粒子の核生成を起こす、より高温の配位性溶媒(別の方法で存在しない場合、他方の前駆体を含有する)へ急速に注入することによって達成される。注入時に突然それより冷たい溶液を添加することで、その後反応温度が低下し(添加する溶液の容量は通常全溶液の約1/3である)、更なる核生成が抑制される。粒子成長は、(用いる前駆体によって面触媒過程であるか又はオストワルド熟成を経て)その低下した温度で続き、このように核生成と成長が分離され、狭いナノ粒子のサイズ分布が得られる。この方法は、反応の全体に亘って合理的に均一な温度を保ちながら1つの溶液を急速に他のものに添加することができる小規模合成でよく機能する。しかしながら、商業的応用において必要とされる、大容積の溶液同士を互いに急速に注入する必要があるより大きな調製規模のとき、反応混合物中に著しい温度差が生じることがあり、これがその後、容認できない程の大きな粒子サイズ分布につながることがある。
【0014】
Cooney及び共同研究者ら(非特許文献2)は、II−VI分子クラスター[SCd10(SPh)16][MeNH]を用いて、CdSのII−VIナノ粒子を製造した。ここでヨウ素による表面キャッピングSPh配位子の酸化も含まれた。この調製方法では、II−VIクラスターの大部分がイオンへ細分化され、これらが残りのII−VI([SCd10(SPh)16]4−)クラスターによって消費され、これらが後にCdSのII−VIナノ粒子へと成長する。
【0015】
Strouse及び共同研究者ら(非特許文献3)は、II−VIクラスターを用いた同様の合成手法を用いて、II−VIナノ粒子を成長させたが、化学剤ではなく熱分解(分散熱温度上昇)を採用して粒子成長を起こした。更に言えば、単一源前駆体[M10Se(SPh)16][X]ただしX=Li又は(CH)NH、M=Cd又はZnを熱分解し、それによって幾つかのクラスターの細分化を起こし、続いて、M及びSe自由イオンのスカベンジングから粒子成長させるか、又は、単に、クラスターが凝集して、最初は、より大きいクラスター、そして後に小さいナノ粒子、そして最終的に、より大きい粒子を調製した。
【0016】
Cooney(非特許文献2)の方法もStrouse(非特許文献3)の方法も、分子クラスターを用いてナノ粒子を成長させたが、クラスターからのイオンを用いて、クラスターの細分化又はクラスター凝集によって、より大きなナノ粒子を成長させた。いずれの場合においても、最初の分子クラスター上により大きなナノ粒子を成長させるために必要とされるイオンを提供するために、別のナノ粒子前駆体組成物を用いなかった。更に、Cooney(非特許文献2)の方法もStrouse(非特許文献3)の方法も、最終的なナノ粒子において、最初の個々の分子クラスターの構造的整合性を保たなかった。更にまた、これらの方法の両方とも、II―VIクラスターを用いてII―VIナノ粒子を形成することに制限されることが分かり、それは、これらの方法がより大きなナノ粒子を造るために分子クラスターの材料を用いることに制限されるという事実の必然的な結果である。したがって、Cooney(非特許文献2)及びStrouse(非特許文献3)の作業は、それらの方法論を用いて生成可能な材料の範囲に関して制限される。
【0017】
出願人の公開国際特許出願PCT/GB2005/001611号及びPCT/GB2006/004003号は、大量の高品質単分散の量子ドットを製造する方法を説明しており、それは以前の小規模の方法に関連する問題の多数を克服する。化学前駆体は、分子クラスター化合物の存在下で、また、分子クラスターの整合性が維持され、化学前駆体と反応する核生成中心を提供する明確に定義された既成のシード又はテンプレートの働きをするという条件下で提供され、産業的な応用に十分に大きな規模で高品質ナノ粒子を作製する。
【0018】
PCT/GB2005/001611及びPCT/GB2006/004003に説明される方法の重要な際立った特徴は、前駆体組成物のナノ粒子への転化がナノ粒子成長の全体に亘ってその構造的整合性を保つ分子クラスター化合物の存在下で遂行されるということである。クラスター化合物の同一の分子は、ナノ粒子成長が開始されるシード又は核生成点の働きをする。このようにして、適当な明確に定義された核生成サイトが分子クラスターによるシステムですでに提供されるので、高温核形成工程はナノ粒子成長を開始するために必要でない。クラスター化合物の分子は、ナノ粒子成長を導くテンプレートの働きをする。「分子クラスター」は、関連技術分野で広く理解されている用語であるが、明確にするため、ここでは、クラスター化合物のすべての分子が同じ相対分子式を所有するように十分に明確に定義された化学構造の3つ以上の金属原子及びそれらに関連した配位子のクラスターに関するものであると理解されるべきである。このように、1つのHO分子が他のHO分子と同一であるのと同様に、分子クラスターは互いに同一である。以前の方法で使用される核生成サイトより非常に明確に定義されている核生成サイトを提供することにより、分子クラスター化合物を用いることで、本質的に単分散であるナノ粒子の集合が提供できる。この方法の更なる有意な利点は、より容易に規模を拡大することができるということである。適当な分子クラスター化合物を作製する方法は当該技術内で知られていて、その例はケンブリッジ結晶学データセンター(www.ccdc.ca.ac.uk)で見ることができる。
【0019】
二官能性及び多官能性ナノスケール材料に大きな関心が持たれている。例えば異なる組成物のナノ粒子が共に溶解して連結したナノ粒子のヘテロ構造を形成する(図1を参照)というような、このような材料のいくつかの例が知られているが、このような材料の製作及び開発が成功した報告はなお比較的少数である。
【0020】
本発明の目的は、更に多い官能性を示すナノ粒子材料を提供することである。本発明の更なる目的は、より強く、及び/又は高い光学特性を示すナノ粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の態様は、第1の材料からなるコア及び第2の材料からなる層を具えるナノ粒子であって、前記第1及び第2の材料のうち一方は、周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料であり、前記第1及び第2の材料のうち他方は、周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから選択される金属イオンを組み込んでいる金属酸化物材料であるナノ粒子を提供する。
【0022】
本発明の第2の態様は、第1の材料からなるコア及び第2の材料からなる層を具え、前記第1及び第2の材料のうち一方は、周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料であり、前記第1及び第2の材料のうち他方は、周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから選択される金属イオンを組み込んでいる金属酸化物材料であるナノ粒子の製造方法であって、前記第1の材料からなる前記コアを形成することと、前記第2の材料からなる層を形成することとを含む方法を提供する。
【0023】
本発明の第1及び第2の態様は、半導体/金属酸化物コア/シェル量子ドット及び関連する材料、及びその製造方法を提供する。本発明は、半導体―金属酸化物ナノ粒子材料を提供し、2〜100nmのサイズ範囲内の、量子ドット又はナノ結晶とも呼ばれる化合物半導体粒子を含む。本発明の第1の態様に係るナノ粒子材料は、周囲の化学環境に対して、金属酸化物を含まないナノ粒子より強くてもよく、一部の例では、多くの商業的応用(例えば常磁性)において必要とされる更なる特性を有する。
【0024】
III―V半導体材料及び金属酸化物材料は任意の望ましい配置において提供されてもよく、例えば、ナノ粒子コア材料は金属酸化物材料を含んでよく、また、コア上に成長する材料の1つ以上のシェル又は層はIII―V半導体材料を含んでもよい。或いは、ナノ粒子コアはIII―V半導体材料を含んでもよく、外側のシェル又は外側のシェルのうちの少なくとも1つ(複数提供される場合)は金属酸化物材料を含んでもよい。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、第1の材料はIIl―V半導体材料であり、第2の材料は周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つからの金属の酸化物である。好ましい実施形態において、金属酸化物材料は、IIl―V半導体材料からなる内側無機コアと最も外側の有機キャッピング層との間の層として提供される。
【0026】
多くの金属及び金属酸化物前駆体は、金属酸化物材料を含むシェルを形成するために用いられてもよく、ここで金属は周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用され、半導体ナノ粒子コア又はコア/シェル上に成長して、その結果、量子ドット/金属酸化物コア/シェルナノ粒子、外側の金属酸化物層を具える量子ドット無機コア及びシェル、又は外側の金属酸化物シェルを具えるコア/マルチシェル量子ドットになる。外側の金属酸化物層は、ナノ粒子の光及び化学安定性を高めてもよく、したがって、そのためにナノ粒子が蛍光消光及び/又はその周囲の化学環境に対して耐性を有してもよい。外層として酸化物を用いることにより、ナノ粒子が酸素を含む環境にあっても、それ以上の酸化はほとんど又は全く生じない。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、金属が周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用される、量子ドットコア及び金属酸化物シェルを具えるコア/シェル及びコア/マルチシェルナノ粒子、又は、金属が周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用される、外側の金属酸化物シェルを有する量子ドットコア/シェル構造が提供される。コアの発光の組み合わせ及び金属酸化物シェルは、生物製剤、ディスプレイ、照明、太陽電池及びコントラスト・イメージングといった応用において用いられるのに理想的である。金属が周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用される金属酸化物の外層を有するコア/シェル半導体ナノ粒子の調製は、半導体コア材料の発光の特性を高めて、周囲の化学環境に対してそれらをより安定させる、すなわち、材料の表面又は接合面での光酸化を減少させる。これにより、安定性が高まり、それは多くの商業的応用において重要である。場合によっては、粒子が二官能性であることが更に望ましい。すなわち、発光及び常磁性特性の両方を有することである。
【0028】
本発明の第2の態様を形成している方法に関して、好ましくは、前記コアの形成は、ナノ粒子コア前駆体組成物の、ナノ粒子コアの材料への転化を生じさせることを含む。好ましくは、前記ナノ粒子コア前駆体組成物は、成長するナノ粒子コアに組み込まれるイオンを含む第1及び第2のコア前駆体種を具える。
【0029】
前記第1及び第2のコア前駆体種が前記コア前駆体組成物に含まれる別の実体であり、前記転化は、ナノ粒子コアのシーディング及び成長を可能にする条件の下で、分子クラスター化合物の存在下で生じることが好ましい。
【0030】
更なる好ましい実施形態において、前記第1及び第2のコア前駆体種は、前記コア前駆体組成物に含まれる単体において組み合わせられる。
【0031】
好ましくは、第2の材料からなる層の形成は、第2の材料の前駆体組成物の、前記第2の材料への転化を生じさせることを含む。第2の材料の前駆体組成物は、第2の材料からなる層に組み込まれる第3及び第4イオンを含んでもよい。第3及び第4イオンは、第2の材料の前駆体組成物に含まれる別の実体でもよく、又は第2の材料の前駆体組成物に含まれる単体において組み合わせられてもよい。
【0032】
第1の材料が周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料であり、第2の材料が、金属が周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用される金属酸化物であることが、特に好ましい。好ましくは、第2の材料の前駆体組成物は、金属酸化物からなる層に組み込まれる金属イオン及び酸化物イオンを具える。第2の材料の前駆体組成物は金属酸化物材料からなる層に組み込まれる金属イオンを具えている金属カルボキシレート化合物を含んでもよく、前記転化は前記金属カルボキシレート化合物をアルコール化合物と反応させることを含んでもよい。金属は、周期表の第8族(VIII)から選択されてもよく、例えば鉄でもよい。好ましくは、金属は、周期表の第12族(IIB)から選択され、最も好ましくは亜鉛である。
【0033】
本発明の第3の態様は、第1の材料からなるコア及び第2の材料からなる層を具え、前記第1及び第2の材料のうち一方は周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料であり、前記第1及び第2の材料のうち他方は金属酸化物材料であるナノ粒子の製造方法であって、前記第1の材料からなる前記コアを形成することと、前記第2の材料からなる層を形成することとを含み、前記コアの形成は、ナノ粒子コア前駆体組成物の、前記ナノ粒子コアの材料への転化を生じさせることを含み、前記コア前駆体組成物は、成長するナノ粒子コアに組み込まれるイオンを含む別の第1及び第2のコア前駆体種を具えており、そして前記転化は、前記ナノ粒子コアのシーディング及び成長を可能にする条件の下で、分子クラスター化合物の存在下で生じる方法を提供する。
【0034】
本発明の第3の態様に関して、好ましくは、第2の材料からなる層の形成は、第2の材料の前駆体組成物の、前記第2の材料への転化を生じさせることを含む。第2の材料の前駆体組成物が、第2の材料からなる層に組み込まれる第3及び第4イオンを具えることが好ましい。第3及び第4イオンは第2の材料の前駆体組成物に含まれる別の実体でもよく、又は、第3及び第4イオンは第2の材料の前駆体組成物に含まれる単体において組み合わせられてもよい。
【0035】
好ましくは、第1の材料は、周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料であり、第2の材料は金属酸化物である。第2の材料の前駆体組成物は、金属酸化物からなる層に組み込まれる金属イオンと酸化物イオンとを具えるのが好ましい。最も好ましくは、第2の材料の前駆体組成物は金属酸化物材料からなる層に組み込まれる金属イオンを含む金属カルボキシレート化合物を含み、前記転化は前記金属カルボキシレート化合物をアルコール化合物と反応させることを含む。
【0036】
本発明の第4の態様は、周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料からなるコア及び金属酸化物材料からなる層を具えているナノ粒子の製造方法であって、該方法は、前記コアを形成することと、それから金属酸化物前駆体組成物の前記金属酸化物材料への転化を生じさせることによって前記層を形成することとを含み、前記金属酸化物前駆体組成物は、前記金属酸化物からなる層に組み込まれる金属イオンを具えている金属カルボキシレート化合物を含み、前記転化は前記金属カルボキシレート化合物をアルコール化合物と反応させることを含む方法を提供する。
【0037】
金属酸化物前駆体組成物は、金属酸化物からなる層に組み込まれる酸化物イオンを含んでいる。前記酸化物イオンは、金属カルボキシレート化合物に、或いは前記金属カルボキシレート化合物以外の供給源に由来していてもよい。
【0038】
本発明の第4の態様に関して、前記コアの形成が、ナノ粒子コア前駆体組成物のナノ粒子コアの材料への転化を生じさせることを含むことが好ましい。前記ナノ粒子コア前駆体組成物は、成長するナノ粒子コアに組み込まれる第13族イオン及び第15族イオンを含む第1及び第2のコア前駆体種を具えることが好ましい。第1及び第2のコア前駆体種が前記コア前駆体組成物に含まれる別の実体であり、前記転化は、ナノ粒子コアのシーディング及び成長を可能にする条件の下で、分子クラスター化合物の存在下で生じることが好ましい。或いは、前記第1及び第2のコア前駆体種は前記コア前駆体組成物に含まれる単体において組み合わせられてもよい。
【0039】
本発明の第2、第3及び第4の態様に関して、金属カルボキシレート化合物のカルボン酸塩部分は、好ましくは2〜6個の炭素原子を具え、それは最も好ましくは金属アセテート化合物である。アルコールはC―C24直鎖又は分岐アルコール化合物でもよく、より好ましくは直鎖飽和C12―C20アルコールであり、最も好ましくは、1―ヘプタデカノール、1―オクタデカノール及び1―ノナデカノールからなる群から選択したアルコールである。金属カルボキシレート化合物とアルコールとの反応によって前記ナノ粒子層に含まれる前記金属酸化物材料が生じることが好ましい。
【0040】
本発明の第2、第3及び第4の態様に関して、金属は周期表の第8族から選択されてもよく、その場合金属は最も好ましくは鉄であり、又は、金属は周期表の第12族から選択されてもよく、その場合金属は亜鉛であることが好ましい。
【0041】
本発明の最初の4つの態様は、III―V半導体材料を組み込んでいるナノ粒子の材料(すなわち周期表の第13族及び第15族からのイオンを組み込んでいる半導体材料)及び特定の金属酸化物材料の調製を目的としており、2〜100nmのサイズ範囲内の、量子ドット又はナノ結晶とも呼ばれる化合物半導体粒子を含む。
【0042】
III―V半導体材料は、ナノ粒子のコアにおいて、又はナノ粒子コア上に形成される材料の1つ以上の外側のシェル又は層に含まれてもよい。III―V材料がナノ粒子コアに含まれることが特に好ましい。
【0043】
III―V半導体材料は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群から選択される第13族のイオン、及び/又はリン化物、ヒ化物及び窒化物からなる群から選択される第15族イオンを組み込んでもよい。
【0044】
ナノ粒子材料も金属酸化物である材料を組み込むという条件において、同じ又は異なる半導体材料によって、ナノ粒子コアの周囲に1つ以上のシェル層を形成してもよい。
【0045】
本発明の第1の態様のナノ粒子は、非III―V半導体材料を更に含んでもよい。非III―V半導体材料は、周期表の第2族〜第16族のうち少なくとも1つから選択されるイオンを組み込んでもよい。非III―V半導体材料は、好ましくはナノ粒子コア上に成長する1つ以上のシェル又は層において用いられ、ほとんどの場合、非III―V材料がその上に成長している、すぐ内側の層の材料と類似の格子の種類を有するだろう。すなわち、非III―V材料がエピタキシャルに成長することができるようにすぐ内側の材料と近い格子整合を有するが、この適合性を有する材料に必ずしも限定されるというわけではない。
【0046】
非III―V半導体材料は周期表の第2族(IIA)からのイオンを組み込んでもよく、それはマグネシウム、カルシウム及びストロンチウムからなる群から選択されてもよい。非III―V半導体材料は、周期表の第12族(IIB)からのイオンを組み込んでもよく、それは例えば亜鉛、カドミウム及び水銀からなる群から選択されるイオンである。非III―V半導体材料は第14族(IVB)からのイオンを組み込んでもよく、例えば鉛又はスズイオンである。非III―V半導体材料は周期表の第16族(VIB)からのイオンを組み込んでもよい。例えば硫黄、セレン及びテルルからなる群から選択されるイオンである。非III―V半導体材料は、周期表の第14族からのイオンを組み込んでもよく、例としては炭化物イオンである。非III―V半導体材料は周期表の遷移金属族からのイオン又は周期表のd―ブロックからのイオンからなる群から選択されるイオンを組み込んでもよい。非III―Vが第13族及び第15族の何れからもイオンを組み込まないという条件の下で、非III―V半導体材料は第13族(IIIB)からのイオンを組み込んでもよく、それは例えばホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群から選択されるイオンであり、又は周期表の第15族(VB)からのイオンを組み込んでもよく、それは例えばリン化物、ヒ化物及び窒化物からなる群から選択されるイオンである。
【0047】
例えば、2つの材料(コア及びシェル)に互換性がないか、又は第1の材料からなるコア上に第2の材料からなる層が許容可能に成長するのを容易にするのに十分な互換性を持たない場合、コアとシェルとの間に、第3の材料からなる緩衝層をコアの外側に成長させてもよい。第3の材料は好ましくは周期表の第2族〜第16族のうち少なくとも1つから選択されるイオンを組み込んでいる半導体材料である。第3の材料は、非III―V半導体イオンに関して上で説明されるイオンの何れかを組み込んでもよく、任意の望ましい組み合わせの周期表の第13族及び第15族からのイオンを含んでもよい。
【0048】
非III―V半導体材料及び/又は半導体材料の緩衝層は、以下を具えてもよい。
周期表の第2族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIA−VIB(2−16)材料。ナノ粒子半導体材料はMgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第12族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIB−VIB(12−16)材料。ナノ粒子半導体材料はZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第12族からの第1元素と、周期表の第15族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むII−V材料。ナノ粒子半導体材料はZn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第14族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−IV材料。ナノ粒子半導体材料はBC、Al、GaCを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料を含むIII−VI材料。ナノ粒子半導体材料はAl、AlSe、AlTe、Ga、GaSe;In、InSe、GaTe、InTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第14族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIV−VI材料。ナノ粒子半導体材料はPbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、SnTeを含むがこれに限定されない。
周期表の遷移金属における任意の族からの第1元素と、周期表のd−ブロック元素の任意の族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むナノ粒子材料。ナノ粒子半導体材料はNiS、CrS、CuInSを含むがこれに限定されない。
【0049】
上記の材料に加えて、緩衝層は以下を具えてもよい。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第15族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−V材料。ナノ粒子半導体材料はBP、AlP、AlAs、AlSb;GaN、GaP、GaAs、GaSb;InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNを含むがこれに限定されない。
【0050】
本発明の第1の態様に関して、ナノ粒子コア及び/又は任意の数のシェル層に含まれる金属酸化物材料は周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族から採用される任意の金属の酸化物である。
【0051】
金属は、好ましくは周期表の第1族から選択されて、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択されてもよい。好ましくは、金属は周期表の第2族から選択されて、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択されてもよい。金属は好ましくは周期表の第3族から選択され、スカンジウム及びイットリウムからなる群から選択されてもよい。金属は好ましくは周期表の第4族から選択され、チタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群から選択されてもよい。
【0052】
金属が周期表の第5族から選択されて、バナジウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択されてもよいことが好ましい。好ましくは、金属は周期表の第6族から選択され、クロミウム、モリブデン及びタングステンからなる群から選択されてもよい。好ましくは、金属は周期表の第7族から選択され、マンガン及びレニウムからなる群から選択されてもよい。
【0053】
金属が周期表の第8族から選択されることが特に好ましく、第8族金属が鉄、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選択されることが好ましい。第8族金属は、最も好ましくは鉄である。酸化鉄はFeO、Fe及びFeからなる群から選択される化学式を有してもよく、最も好ましくはγ―Feである。
【0054】
金属は、好ましくは周期表の第9族から選択され、コバルト、ロジウム及びイリジウムからなる群から選択されてもよい。好ましくは、金属は周期表の第10族から選択され、ニッケル、パラジウム及びプラチナからなる群から選択されてもよい。金属は、好ましくは周期表の第11族から選択され、銅、銀及び金からなる群から選択されてもよい。
【0055】
好ましい実施形態において、金属は周期表の第12族から選択され、亜鉛、カドミウム及び水銀からなる群から選択されてもよい。特に好ましくは、金属は亜鉛である。
【0056】
金属はランタニドでもよい。
【0057】
好ましくは、金属は周期表の第14族から選択され、シリコン、ゲルマニウム、スズ及び鉛からなる群から選択されてもよい。金属は好ましくは周期表の第15族から選択され、ヒ素、アンチモン及びビスマスからなる群から選択されてもよい。
【0058】
本発明の第3及び第4の態様が、コア及び層のうち一方はIII―V半導体材料であり、他方は金属が周期表の任意の適切な族から採用される金属酸化物材料である、コア及び層を具えているナノ粒子を製造するのに適当であることが理解されるだろう。したがって、本発明の第2及び第3の態様に従って形成されるナノ粒子に関して、本発明の第1及び第2の態様に関して上で述べたように、金属酸化物の金属は第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用されてもよいが更に、金属は周期表の第13族から選択されてもよく、したがって、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びタリウムからなる群から選択されてもよい。
【0059】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、ナノ粒子は、リン化インジウムのコア及び前記コア上に成長する酸化亜鉛のシェルを具える。好ましくは、ナノ粒子は、硫化亜鉛等のII―VI半導体クラスター上にリン化インジウムのコアを成長させ、そして、亜鉛を含むカルボン酸溶液の熱分解によって酸化亜鉛のシェルを蒸着させることによって形成される。
【0060】
本発明の第1の態様の他の好ましい実施形態において、ナノ粒子は、リン化インジウムのコア及び前記コア上に成長する酸化鉄(好ましくはγ―Fe)のシェルを具える。好ましくは、ナノ粒子は、硫化亜鉛等のII―VI半導体クラスター上にリン化インジウムのコアを成長させ、そして、鉄のクペロン(好ましくはFe(cup))に由来する酸化鉄のシェルを蒸着させることによって形成される。
【0061】
本発明の第1の態様の範囲の、また、本発明の第2、第3及び第4の態様に係る方法を用いて形成されたナノ粒子は、2種類のイオンを組み込んでいる二元相材料だけでなく、それぞれ3又は4種類のイオンを組み込んでいる三元及び四元相ナノ粒子も含む。三元相ナノ粒子が3つの成分の材料から成り、四元相ナノ粒子が4つの成分の材料からなることはいうまでもない。
【0062】
ドープされたナノ粒子とは、1つ以上の主族又は希土類元素、多くの場合遷移金属又は希土類元素(例えばMn又はCu2+であるがこれに限らない)からなるドーパントを更に組み込む上記の種類のナノ粒子を指す。
【0063】
本発明の第5の態様は、第1の材料からなるコア及び第2の材料からなる層を具えているナノ粒子であって、前記第1及び第2の材料のうち一方は半導体材料であり、前記第1及び第2の材料のうち他方は周期表の第3族〜第10族のうち何れか1つから選択される金属の酸化物であるナノ粒子を提供する。
【0064】
本発明の第6の態様は、第1の材料からなるコア及び第2の材料からなる層を具え、前記第1及び第2の材料のうち一方は半導体材料であり、前記第1及び第2の材料のうち他方は周期表の第3族〜第10族のうち何れか1つから選択される金属の酸化物であるナノ粒子の製造方法であって、前記第1の材料からなる前記コアを形成することと、前記第2の材料からなる層を形成することとを含む、ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0065】
本発明の第5及び第6の態様は、半導体/金属酸化物コア/シェル量子ドット及び関連材料、及びその製造方法を提供する。本発明は、半導体―金属酸化物ナノ粒子材料を提供し、2〜100nmのサイズ範囲内の、量子ドット又はナノ結晶とも呼ばれる化合物半導体粒子を含む。本発明の第5の態様に係るナノ粒子材料は、周囲の化学環境に対して、金属酸化物を含まないナノ粒子より強くてもよく、一部の例では、多くの商業的応用(例えば常磁性)において必要とされる更なる特性を有する。
【0066】
本発明の第5及び第6の態様に係る半導体材料及び金属酸化物材料は任意の望ましい配置において提供されてもよく、例えば、ナノ粒子コア材料は金属酸化物材料を含んでよく、また、コア上に成長する材料のシェル又は層、又はそのそれぞれは半導体材料を含んでもよい。或いはナノ粒子コアは半導体材料を含んでもよく、外側のシェル又は外側のシェルのうちの少なくとも1つは金属酸化物材料を含んでもよい。
【0067】
本発明の第5及び第6の態様の好ましい実施形態において、第1の材料は半導体材料であり、第2の材料は周期表の第3族〜第10族のうち何れか1つからの金属の酸化物である。好ましい実施形態において、金属酸化物材料は、内側無機コア又は層と最も外側の有機キャッピング層との間の層として提供される。
【0068】
多くの金属及び金属酸化物前駆体は、金属酸化物材料を含むシェルを形成するために用いられてもよく、ここで金属が周期表の第3族〜第10族のうち何れか1つから採用され、半導体ナノ粒子コア又はコア/シェル上に成長して、その結果、量子ドット/金属酸化物コア/シェルナノ粒子、外側の金属酸化物層を具える量子ドット無機コア及びシェル、又は外側の金属酸化物シェルを具えるコア/マルチシェル量子ドットになる。外側の金属酸化物層は、ナノ粒子の光及び化学安定性を高めてもよく、したがって、そのためにナノ粒子が蛍光消光及び/又はその周囲の化学環境に対して耐性を有してもよい。外層として酸化物を用いることにより、ナノ粒子が酸素を含む環境にあっても、それ以上の酸化はほとんど又は全く生じない。
【0069】
本発明の第5及び第6の態様の好ましい実施形態において、量子ドットコア及び金属酸化物シェルを具えるコア/シェル及びコア/マルチシェルナノ粒子、又は、外側の金属酸化物シェルを有する量子ドットコア/(マルチ)シェル構造が提供される。コアの発光の組み合わせ及び金属酸化物シェルは、生物製剤、ディスプレイ、照明、太陽電池及びコントラスト・イメージングといった応用で用いられるのに理想的である。金属酸化物の外層を有するコア/シェル半導体ナノ粒子の調製は、半導体コア材料の発光の特性を高めて、周囲の化学環境に対してそれらをより安定させる、すなわち材料の表面又は接合面での光酸化を減少させる。これにより安定性が高まり、それは多くの商業的応用において重要である。場合によっては粒子が二官能性であることが更に望ましい。すなわち発光及び常磁性特性の両方を有することである。
【0070】
本発明の第6の態様を形成している方法に関して、好ましくは、前記コアの形成は、ナノ粒子コア前駆体組成物のナノ粒子コアの材料への転化を生じさせることを含む。好ましくは、前記ナノ粒子コア前駆体組成物は、成長するナノ粒子コアに組み込まれるイオンを含む第1及び第2のコア前駆体種を具える。
【0071】
前記第1及び第2のコア前駆体種が前記コア前駆体組成物に含まれる別の実体であり、前記転化は、ナノ粒子コアのシーディング及び成長を可能にする条件の下で、分子クラスター化合物の存在下で生じることが好ましい。
【0072】
本発明の第6の態様の更なる好ましい実施形態において、前記第1及び第2のコア前駆体種は、前記コア前駆体組成物に含まれる単体において組み合わせられる。
【0073】
本発明の第5及び第6の態様において、半導体材料は周期表の第2族〜第16族のうち少なくとも1つから選択されるイオンを組み込んでもよい。
【0074】
本発明の第6の態様において、好ましくは、第2の材料からなる層の形成は、第2の材料の前駆体組成物の前記第2の材料への転化を生じさせることを含む。第2の材料の前駆体組成物は、第2の材料からなる層に組み込まれる第3及び第4イオンを含んでもよい。第3及び第4イオンは、第2の材料の前駆体組成物に含まれる別の実体でもよく、又は第2の材料の前駆体組成物に含まれる単体において組み合わせられてもよい。
【0075】
第1の材料が半導体材料であり、第2の材料が金属酸化物であることが特に好ましい。好ましくは、第2の材料の前駆体組成物は、金属酸化物からなる層に組み込まれる金属イオン及び酸化物イオンを具える。第2の材料の前駆体組成物は金属陽イオン及びN―ニトロソフェニルヒドロキシルアミン陰イオンを具える分子複合体を含んでもよい。好ましくは、金属は周期表の第8族(VIII)から選択され、最も好ましくは鉄である。
【0076】
本発明の、上記で規定したすべての態様(すなわち第1、第2、第3、第4、第5及び第6の態様)に係るナノ粒子の製造の好ましい方法において、シーディングII―VI分子クラスターをナノ粒子前駆体の存在下で溶媒(配位性又は非配位性)に入れ、粒子成長を開始させる。シーディング分子クラスターは、反応溶液中に存在する他の前駆体から粒子成長を開始させるためのテンプレートとして用いられる。シーディング剤として用いられる分子クラスターは、先に作成することができ、又はシーディング剤としての働きをする前にその場で製造することもできる。いくつかの前駆体は、分子クラスターとともに反応プロセスの初めに存在しても存在しなくてもよいが、反応が進行して温度が上昇するにつれて、更なる量の前駆体を、溶液として滴状で又は固体として周期的に反応に加えることができる。
【0077】
方法は、ナノ粒子前駆体組成物の所望のナノ粒子への転化に関係する。好適な前駆体には、成長しているナノ粒子に組み込まれる2つ以上のイオンを含む単一供給源前駆体、又は、成長しているナノ粒子に含まれる少なくとも1つのイオンをそれぞれ含む、2つ以上の別の前駆体を含むマルチ供給源前駆体が含まれる。ナノ粒子の最終的な所望の収率を形成するために必要な前駆体組成物の全量をナノ粒子の成長が始まる前に加えることができ、或いは前駆体組成物を反応の全体に亘って段階的に加えることができる。
【0078】
前駆体のナノ粒子材料への転化は、任意の適当な溶媒において実行することができる。クラスター化合物の分子の整合性を維持することが重要であることが理解されるだろう。それゆえに、クラスター化合物及びナノ粒子前駆体が溶媒に導入されるときに、溶媒の温度は前記クラスター化合物の満足な溶解及び混合を確実にするために十分に高くなければならない(存在する化合物が完全に溶解することは、必要ではないが望ましい)が、クラスター化合物分子の整合性を崩壊させるほど高くてはならない。一旦クラスター化合物及び前駆体組成物が溶媒において十分によく溶解すると、このように形成される溶液の温度をある温度又は温度範囲まで上昇させ、該温度又は温度範囲は、ナノ粒子の成長が始まるのに十分に高いが、クラスター化合物分子の整合性に損傷を与えるほど高くない。温度を上昇させるにつれて、前駆体の更なる分量を反応物に、液滴の方法で、又は固体として加える。そして溶液の温度を、この温度又はこの温度範囲内で、所望の特性を具えたナノ粒子を形成するために必要な時間維持することができる。
【0079】
多様な適当な溶媒が利用できる。使用する特定の溶媒は通常、反応種、すなわちナノ粒子前駆体及び/又はクラスター化合物の性質、及び/又は形成されるナノ粒子のタイプに、少なくとも部分的に依存する。通常の媒体としては、ホスフィン(例えばTOP)、ホスフィンオキシド(例えばTOPO)、アミン(例えばHDA)、チオール(例えばオクタンチオール)のようなルイス塩基型配位性溶媒、又は、アルカン及びアルケンのような非配位性有機溶媒が挙げられる。非配位性溶媒が用いられる場合、以下の理由により、それは、キャッピング剤としての役割を果たす更なる配位剤の存在下で通常使用される。
【0080】
形成されているナノ粒子が量子ドットとして機能することを目的とする場合、完全には配位結合されなかった「ダングリングボンド」である表面原子をキャッピングして、非放射電子正孔再結合を最小にすると共に、量子効率を低下させる又はナノ粒子の凝集を形成する虞のある粒子集合を抑制することが重要である。キャッピング剤又は不動態化剤としての役割を果たすこともできる多くの異なる配位性溶媒が知られており、例えばTOP、TOPO、had又はミリスチン酸(テトラデカン酸)、長鎖アミン(図2にて図示するように)、官能化されたPEG(ポリエチレングリコール)鎖のような長鎖有機酸であるが、これらのキャッピング剤に限定されない。
【0081】
キャッピング剤としての役割を果たすことができない溶媒が選択される場合、ナノ粒子が成長する間、任意の望ましいキャッピング剤を反応混合物に加えることができる。上記のキャッピング剤は一般的にルイス塩基であり、ホスフィン型単歯状、多歯状配位子(トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、t−ブチルホスフィン)、ホスフィンオキシド(トリオクチルホスフィンオキシド)、アルキルホスホン酸、アルキルアミン(例えばヘキサデシルアミン、オクチルアミン(図2参照))、アリルアミン、ピリジン、オクタンチオール、長鎖脂肪酸、及びチオフェンが挙げられるが、ナノ粒子の周囲に保護シースを形成するオレイン酸及び有機ポリマーのような広範囲の他の試剤が利用できる。より高いアルキル基を含む第3アミンを表している図2に関して、アミン頭部基はナノクリスタルに対する強い親和性を有するべきであり、炭化水素鎖は溶媒のナノクリスタルを溶けやすくして分散させるのに役立つ。
【0082】
量子ドットの最外側層(キャッピング剤)は、他の無機、有機又は生物学的材料に対する化学結合として用いることができる追加の官能基を処理する配位リガンドからなることもでき、それによって、官能基は量子ドット表面から離間する方に向き、その他利用可能な分子と結合/反応することができる。その分子は、1級、2級アミン、アルコール、カルボン酸、アジド、ヒドロキシル基等であるが、これに限定されない。量子ドットの最外側層(キャッピング剤)は、重合可能であると共に粒子の周囲にポリマーを形成するために用いることができる官能基を処理する配位リガンドからなることもできる。
【0083】
最外側層(キャッピング剤)は、最も外側の無機層に直接結合される有機単位からなることもでき、また、粒子の表面に結合されずに、粒子の周囲にポリマーを形成するために、又は、更なる反応のために用いることができる官能基を処理することもできる。
【0084】
本発明の第1の態様は、金属が周期表の第1族〜第12族、第14族及び第15族のうち何れか1つから採用される、III―V半導体材料及び金属酸化物材料を組み込んでいる半導体ナノ粒子に関する。本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係るナノ粒子材料の製造を目的としているが、本発明の第3及び第4の態様を表している方法がIII―V半導体材料及び任意の種類の金属酸化物材料を組み込んでいるナノ粒子を形成することを目的としていることが理解されるだろう。
【0085】
本発明の第5及び第6の態様は、半導体材料及び金属が周期表の第3族〜第10族から選択される金属酸化物材料を組み込んでいる半導体ナノ粒子に関する。
【0086】
本発明の、上記で規定した6つの態様の何れかに係るナノ粒子の製造する好ましい方法において、分子クラスター、例えばII―VI分子クラスターが用いられ、小さなナノ粒子の集合と比較して、クラスターは明確に定義された同一の分子実体であり、それは本質的に分子クラスターの特徴のない性質を欠いている。通常III―Vクラスターがそうであるように、多数のII―VI分子クラスターが簡単な手順によって作成でき、空気及び水分に影響を受けないため、II―VI又は非II―VI半導体材料(例えばInPのようなIII―V材料)を含むコアを成長させるためにII―VI分子クラスターを用いてもよい。
【0087】
更に、例えばInP及びGaP量子ドット及びそれらの合金のようなIII―Vナノ粒子材料の成長をシーディングするのに、[HNEt[Zn10(SPh)16]のようなII―VI分子クラスターを用いることが可能である。II―VI分子クラスターの添加又はその場形成がなされた後、粒子成長を容易にするためにIII及びVイオンの分子供給源、すなわち「分子フィードストック」が消費される。これらの分子供給源は、オストワルトの熟成が生じることを抑制してナノ粒子サイズ範囲が分散することから抑制するために自由イオンの濃度を維持しながら、自由イオンの濃度を最低限に保つように、反応溶液に周期的に加えてもよい。
【0088】
ナノ粒子成長は、加熱(熱分解)によって、又はソルボサーマル法によって開始されてもよい。ソルボサーマルという用語は、ここでは、粒子成長を生じさせて維持するように行う反応溶液における加熱を指すように用いており、また、thermolsolvol、溶液熱分解及びリオサーマルとも呼ばれる方法も包含することを意図している。粒子の調製は、反応条件を変化させることによって化学反応を誘導することによっても達成されることもでき、例えば塩基又は酸の添加、圧力の上昇(すなわち気圧より大きな圧力の使用)、マイクロ波放射等の電磁放射を加えること、又は当業者に知られている多くの他の方法の何れかによって達成される。
【0089】
所望のナノ粒子コアが形成されると、少なくとも1つのシェル層がそれぞれのコアの表面に成長し、本発明の第1の態様のナノ粒子を提供する。その、又はそれぞれのシェル層を提供するために任意の適切な方法を用いてよい。
【0090】
本発明の第5及び第6の態様は、半導体材料及び金属が周期表の第3族〜第10族から採用される金属酸化物材料を組み込んでいるナノ粒子材料の調製を目的としており、2〜100nmのサイズ範囲内の、量子ドット又はナノ結晶とも呼ばれる化合物半導体粒子を含む。
【0091】
半導体材料は本発明の第5の態様に係るナノ粒子のコア材料を形成してもよい。ナノ粒子材料も周期表の第3族〜第10族から選択される金属の酸化物である材料を組み込むという条件において、同じ又は異なる半導体材料によって、ナノ粒子コアの周囲に1つ以上のシェル層を形成してもよい。
【0092】
本発明の第5の態様に係るナノ粒子コア及び/又はナノ粒子コア上に提供された1つ以上のシェルに含まれてもよい半導体材料は、周期表の第2族〜第16族のうち少なくとも1つから選択されるイオンを含んでもよい。
【0093】
半導体材料は周期表の第2族(IIA)からのイオンを組み込んでもよく、それはマグネシウム、カルシウム及びストロンチウムからなる群から選択されてもよい。
【0094】
半導体材料は周期表の第12族(IIB)からのイオンを組み込んでもよく、例えば亜鉛、カドミウム及び水銀からなる群から選択されるイオンである。
【0095】
半導体材料は第13族(IIIB)からのイオンを組み込んでもよく、例えばホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群から選択されるイオンである。
【0096】
半導体材料は第14族(IV)からのイオンを組み込んでもよく、例えば鉛又はスズイオンである。更なる例としては、第14族イオンは炭化物イオンでもよい。
【0097】
半導体材料は周期表の第16族(VIB)からのイオンを組み込んでもよく、例えば硫黄、セレン及びテルルからなる群から選択されるイオンである。
【0098】
半導体材料には周期表の第15族(VB)からのイオンが組み込まれてもよく、例えばリン化物、ヒ化物及び窒化物からなる群から選択されるイオンである。
【0099】
半導体材料は周期表の遷移金属基からのイオン又は周期表のd―ブロックからのイオンからなる群から選択されるイオンを組み込んでもよい。
【0100】
本発明の第5及び第6の態様の好ましい実施形態において用いられる半導体材料ナノ粒子コアは、以下を含んでもよい。
周期表の第2族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIA−VIB(2−16)材料。ナノ粒子半導体材料はMgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第12族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIB−VIB(12−16)材料。ナノ粒子半導体材料は、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第12族からの第1元素と、周期表の第15族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むII−V材料。ナノ粒子半導体材料はZn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第15族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−V材料。ナノ粒子半導体材料はBP、AlP、AlAs、AlSb;GaN、GaP、GaAs、GaSb;InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第14族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−IV材料。ナノ粒子半導体材料はBC、Al、GaCを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料を含むIII−VI材料。ナノ粒子半導体材料はAl、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、GeTe;In、InSe、GaTe、InTe、InTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第14族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIV−VI材料。ナノ粒子半導体材料はPbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、SnTeを含むがこれに限定されない。
周期表の遷移金属における任意の族からの第1元素と、周期表のd−ブロック元素の任意の族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むナノ粒子半導体材料。ナノ粒子半導体材料はNiS、CrS、CuInSを含むがこれに限定されない。
【0101】
任意のシェル又はそれに続く複数のシェルに用いられる材料はほとんどの場合、次の層がその上に成長している、すぐ内側の層の材料と類似の格子形材料だろう。すなわち、エピタキシャルに成長することができるように、すぐ内側の材料に近い格子整合を有するが、この適合性を有する材料に、必ずしも限定されるというわけではない。例えば、2つの材料(コア及びシェル)に互換性がないか、又は第1の材料からなるコア上に第2の材料からなる層が許容可能に成長するのを容易にするのに十分な互換性を持たない場合、コアとシェルとの間に、第3の材料からなる緩衝層をコアの外側に成長させてもよい。第3の材料は好ましくは周期表の第2族〜第16族のうち少なくとも1つからのイオンを組み込んでいる半導体材料である。
【0102】
ナノ粒子シェル又は緩衝層半導体材料は、以下を含んでもよい。
周期表の第2族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIA−VIB(2−16)材料。ナノ粒子半導体材料は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第12族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIB−VIB(12−16)材料。ナノ粒子半導体材料はZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第12族からの第1元素と、周期表の第15族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むII−V材料。ナノ粒子半導体材料はZn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第15族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−V材料。ナノ粒子半導体材料はBP、AlP、AlAs、AlSb;GaN、GaP、GaAs、GaSb;InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第14族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−IV材料。ナノ粒子半導体材料は、BC、Al、GaCを含むがこれに限定されない。
周期表の第13族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料を含むIII−VI材料。ナノ粒子半導体材料はAl、AlSe、AlTe、Ga、GaSe;In、InSe、GaTe、InTeを含むがこれに限定されない。
周期表の第14族からの第1元素と、周期表の第16族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIV−VI材料。ナノ粒子半導体材料はPbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、SnTeを含むがこれに限定されない。
周期表の遷移金属における任意の族からの第1元素と、周期表のd−ブロック元素の任意の族からの第2元素を組み込み、また、三元及び四元材料とドープ材料とを含むナノ粒子材料。ナノ粒子半導体材料はNiS、CrS、CuInSを含むがこれに限定されない。
【0103】
ナノ粒子コア及び/又は任意の数のシェル層に含まれる金属酸化物材料は、周期表の第3族〜第10族から採用される任意の金属の酸化物である。
【0104】
金属は周期表の第5族〜第10族のうち何れか1つから選択されてもよい。より好ましくは、金属は周期表の第6族〜第9族のうち何れか1つから選択され、さらに好ましくは、金属は周期表の第7族〜第9族のうち何れか1つから選択される。金属が周期表の第8族から選択されることが特に好ましい。第8族金属は、鉄、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選択され、最も好ましくは鉄である。酸化鉄は、FeO、Fe及びFeからなる群から選択される化学式を有してもよく、最も好ましくは磁赤鉄鉱又はγ―Feである。
【0105】
金属酸化物は次の遷移金属の酸化物を含むことができるが、これに限定されない。スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロミウム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)及びプラチナ(Pt)
【0106】
本発明の第5の態様の好ましい実施形態において、ナノ粒子は、リン化インジウムのコア及び前記コア上に成長する酸化鉄(好ましくはγ―Fe)のシェルを具える。好ましくは、ナノ粒子は硫化亜鉛等のII―VI半導体クラスター上にリン化インジウムのコアを成長させ、そして鉄のクペロン(好ましくはFe(cup))に由来する酸化鉄のシェルを蒸着することによって形成される。
【0107】
本発明の第5の態様の範囲のナノ粒子は、2種類のイオンを組み込んでいる二元相材料だけでなく、それぞれ3又は4種類のイオンを組み込んでいる三元及び四元相ナノ粒子も含む。三元相ナノ粒子が3つの成分の材料から成り、四元相ナノ粒子が4つの成分の材料からなることはいうまでもない。
【0108】
ドープされたナノ粒子とは1つ以上の主族又は希土類元素、多くの場合遷移金属又は希土類元素(例えばMn又はCu2+であるがこれに限らない)からなるドーパントを更に組み込む上記の種類のナノ粒子を指す。
【0109】
本発明の上記で規定した第1及び第5の態様に係るナノ粒子、及び本発明の第2、第3及び第6の態様に係る方法を用いて製造されるナノ粒子は、以下から選択される金属酸化物材料のうち1つ以上の層を組み込んでもよい。
+1酸化状態
酸化銀(I)、AgO;
+2酸化状態
一酸化アルミニウム、AlO;酸化バリウム、BaO;酸化ベリリウム、BeO;酸化カドミウム、CdO;酸化カルシウム、CaO;酸化コバルト(II)、CoO;酸化銅(II)、CuO;酸化鉄(II)、FeO;酸化鉛(II)、PbO;酸化マグネシウム(II)、MgO;酸化水銀(II)、HgO;酸化ニッケル(II)、NiO;酸化パラジウム(II)、PdO;酸化銀(II)、AgO;酸化ストロンチウム、SrO;酸化スズ、SnO;酸化チタン(II)、TiO;酸化バナジウム(II)、VO;酸化亜鉛、ZnO
+3酸化状態
酸化アルミニウム、Al;三酸化アンチモン、Sb;三酸化ヒ素、As;三酸化ビスマス、Bi;酸化ホウ素、B;酸化クロム(III)、Cr;酸化エルビウム(III)、Er;酸化ガドリニウム(III)、Gd2O3;酸化ガリウム(III)、Ga;酸化ホルミウム(III)、Ho;酸化インジウム(III)、In;酸化鉄(III)、Fe;酸化ランタン(III)、La;酸化ルテチウム(III)、Lu;酸化ニッケル(III)、Ni;酸化ロジウム(III)、Rh;酸化サマリウム(III)、Sm;酸化スカンジウム、Sc;酸化テルビウム(III)、Tb;酸化タリウム(III)、Tl;酸化ツリウム(III)、Tm;酸化チタン(III)、Ti;酸化タングステン(III)、W;酸化バナジウム(III)、V;酸化イッテルビウム(III)、Yb;酸化イットリウム、Y
+4酸化状態
酸化セリウム(IV)、CeO;酸化クロミウム(IV)、CrO;酸化ハフニウム(IV)、HfO;酸化鉛(IV)、PbO;酸化マンガン(IV)、MnO;酸化プルトニウム(IV)、PuO;酸化ルテニウム(IV)、RuO;シリコン酸化物(IV)、SiO;二酸化トリウム、ThO;二酸化スズ、SnO;二酸化チタン、TiO;酸化タングステン(IV)、WO;二酸化ウラン、UO;酸化バナジウム(IV)、VO;二酸化ジルコニウム、ZrO
+5酸化状態
五酸化アンチモン、Sb;五酸化ヒ素、As;五酸化ニオブ、Nb;五酸化タンタル、Ta;酸化バナジウム(V)、V
+6酸化状態
三酸化クロミウム、CrO;酸化モリブデン(VI)、MoO;三酸化レニウム、ReO;三酸化テルル、TeO;三酸化タングステン、WO;三酸化ウラン、UO
+7酸化状態
酸化マンガン(VII)、Mn7;酸化レニウム(VII)、Re7
混合酸化物
インジウムスズ酸化物及びインジウム亜鉛酸化物
【0110】
ナノ粒子形状
ナノ粒子の形状は、球体に限定されず、任意の望ましい形状をとることができ、例えば桿体、球体、円板、四脚又は星形である。ナノ粒子の形状の制御は、反応粒子成長過程において、成長している粒子の特定の格子面と優先して結合し、その後特定の方向の粒子成長を阻害又は遅延させる化合物を加えることによって達成することができる。加えることができる化合物の例は、ホスホン酸(n−テトラデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、1−デカンスルホン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、n−オクタデシルホスホン酸)を含むがこれに限定されない。
【0111】
フィードストック
これらの分子フィードストックは、ナノ粒子の成長のために必要なすべての元素が単一化合物前駆体の中に存在する単一源前駆体の形、又は成長したナノ粒子となるために必要な1又は複数の元素/イオンをそれぞれが含む前駆体の組み合わせであることができる。これらのフィードストックを反応の初めに加えるか、又は粒子成長の反応の全体に亘って周期的に加えてもよい。このフィードストックは、液体、溶液、固体、スラリー又は気体の形であることができる。
【0112】
ナノ粒子コア及び/又は任意の外側のシェル層又は以降のシェル層を形成してもよい半導体材料に用いられる前駆体は、別の供給源から、又は単一の供給源から提供されてもよい。
【0113】
Mイオン供給源
化学式(ME)(ただし、M=第1元素、E=第2元素、L=配位子(例えば配位有機層/キャッピング剤)、そしてn及びmが構成要素E及びLの適切な化学量論量を表す)を有している化合物半導体ナノ粒子材料のために、元素Mのための供給源(すなわち前駆体)は、反応と加えられ、そして成長している粒子にMイオンの供給源を提供する能力を有する任意のM含有種でもよい。前駆体は有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素を含んでもよいがこれに限定されない。
【0114】
元素Mに関して、II―VI、III―V、III―VI及びIV―V半導体材料の例は以下を含むがこれに限定されない。
MR、ただしM=Mg、R=アルキル又はアリール基(MgBu);MR、ただしM=Zn、Cd、Te;R=アルキル又はアリール基(MeZn、EtZn、MeCd、EtCd);MR、ただしM=Ga、In、Al、B;R=アルキル又はアリール基[AlR、GaR、InR(R=Me、Et、Pr)]に限定されないがこのような有機金属化合物。
MCO M=Ca、Sr、Ba、[水酸化炭酸マグネシウム[(MgCO)Mg(OH)];M(CO) M=Zn、Cd、;MCO M=Pb:アセテート:M(CHCO) M=Mg、Ca、Sr、Ba;Zn、Cd、Hg;M(CHC) M=B、Al、Ga、In:アセチルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)のようなβ−ジケトネート又はその誘導体、[CHCOOCH=C(O−)CH] M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg;[CHCOOCH=C(O−)CH] M=B、Al、Ga、In。オキザラートSrC、CaC、BaC、SnCに限定されないがこのような炭酸塩のような配位化合物。
酸化物(例えばSrO、ZnO、CdO、In、Ga、SnO、PbO)又は硝酸塩(例えばMg(NO)、Ca(NO)、Sr(NO)、Ba(NO)、Cd(NO)、Zn(NO)、Hg(NO)、Al(NO)、In(NO)、Ga(NO)、Sn(NO)、Pb(NO))に限定されないがこのような無機塩。
Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Sn、Pbに限定されないがこのような元素供給源。
【0115】
Eイオン供給源
化学式(ME)(ただし、M=第1元素、E=第2元素、L=配位子(例えば配位有機層/キャッピング剤)、そしてn及びmが構成要素E及びLの適切な化学量論量を表す)を有している化合物半導体ナノ粒子材料のために、元素Eのための供給源(すなわち前駆体)は、反応と加えられ、そして成長している粒子にEイオンの供給源を提供する能力を有する任意のE含有種であってもよい。前駆体は有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素を含んでもよいがこれに限定されない。
【0116】
元素Eに関して、II―VI、III―V、III―VI又はIV―V半導体材料の例は以下を含むがこれに限定されない。
NR、PR、AsR、SbR(R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);NHR、PHR、AsHR、SbHR(R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);NHR、PHR、AsHR、SbH(R=Me、Et,Bu、Bu、Pr、Ph等);PH、AsH;M(NMe) M=P、Sb、As;ジメチルドラジン(MeNNH);エチルアジド(Et−NNN);ヒドラジン(HNNH);MeSiNに限定されないがこのような有機金属化合物。
MR(M=S、Se、Te;R=Me、Et、Bu、Bu等);HMR(M=S、Se、Te;R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);チオ尿素S=C(NH);Se=C(NH)
Sn(CH)、Sn(C)、Sn(CH)(OOCH)
炭酸塩、MCO M=P、次炭酸ビスマス(BiO)CO;M(CO);アセテートM(CHCO) M=S、Se、Te:M(CHC) M=Sn、Pb:アセチルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)のようなβ−ジケトネート又はその誘導体、[CHCOOCH=C(O−)CH]M M=Bi;[CHCOOCH=C(O−)CH]M M=S、Se、Te:[CHCOOCH=C(O−)CH]M、M=Sn、Pb:チオ尿素、セレノ尿素(HNC(=Se)NHに限定されないがこのような配位化合物。
酸化物P、As、Sb、Sb、Sb、Bi、SO、SeO、TeO、SnO、PbO、PbO;硝酸塩Bi(NO)、Sn(NO)、Pb(NO)に限定されないがこのような無機塩。
Sn、Ge、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Sn、Pbに限定されないがこのような元素供給源。
【0117】
複合MEイオン供給源−ME単一源前駆体
元素M及びEを含む化合物半導体ナノ粒子では、元素M及びEのための供給源は単一源前駆体の形であることが可能であり、用いられる前駆体は単一分子内にM及びEの両方を含む。
【0118】
この前駆体は有機金属化合物、無機塩又は配位化合物、(M)Lであることが可能である。ここで、M及びEはナノ粒子内で必要とされる元素であり、Lはキャッピング配位子であり、a、b及びcは、M、E及びLの適切な化学量論を表している数である。
【0119】
M=II族元素、E=VI族元素であるII―VI半導体の例は以下であるがこれに限定されない。ビス(ジアルキルジチオ―カルバメート)M、(II)複合体又は、式M(SCNRの同族Se及びTe化合物 ただしM=Zn、Cd、Hg;S=S、Se、O、Te及びR=アルキル基又はアリール基、CdS Cd[SSiMe、Cd(SCNHNHCl、Cd(SOCR)・py、CdSe[Cd(SePh)
【0120】
III−V半導体には、前駆体は以下であることができるがこれに限定されない。
GaNには[(Me)GaN(H)Bu][HGaNH
Gapには、[PhGaP(SiMeGa(Ph)Cl][EtGaP(SiMe、[EtGaPEt]、[BuGaPH][MeGaP(Pr)BuGaPAr´]、[BuGaP(H)C]
GaAsには、Ga(AsBu[EtGaAs(SiMe]、[BuGaAs(SiMe]
GaSbには、[EtGaSb(SiMe]
InPには、[(MeSiCHInP(SiMe][RInP(SiMe]、[MeInPBu]
InSbには、[MeInSbBu][EtInSb(SiMe]、[MeInNEt]、[EtAlAsBu]
AlSbには、[BuAlSb(SiMe]
GaAsには、[BuGaAsBu][MeGaAsBu][EtGaAsBu]
【0121】
II―V半導体には、前駆体は以下であることができるが、これに限定されない。
Cdには、[MeCdPBu]Cd[P(SiPh]、ZnZn[P(SiPh]
【0122】
IV―VI半導体には、前駆体は以下であることができるがこれに限定されない。
PbSには、鉛(II)ジチオカルバメート、
PbSeには、鉛(II)セレノカルバメート
【0123】
金属酸化物外層
本発明の最初の4つの態様に係る金属酸化物コア及び/又はシェル層の成長のために、金属元素の供給源が反応に加えられ、そしてそれは成長している粒子に適切な金属イオンの供給源を提供する能力を有する任意の金属含有種を含んでいてもよい。酸素原子が前駆体の範囲内で存在する、又は酸素源が酸素を含む別の酸素含有前駆体からなることができる場合、前駆体は酸素原子の供給源であることもできる。前駆体は有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素自体を含むことができるがこれに限定されない。
【0124】
金属酸化物前駆体は以下であってよいがこれに限定されない。
第1族(IA)の酸化物
リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)
第2族(IIA)の酸化物
ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)バリウム(Ba)
遷移元素の酸化物、第3族〜第12族(IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB)
スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロミウム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)及び水銀(Hg)
ランタニド元素の酸化物
ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウムTM、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)
第13族(IIIA)の酸化物―本発明の第3及び第4の態様に用いられる
ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)
第14族(IVA)の酸化物
シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)
第15族(VA)の酸化物
ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)
【0125】
本発明の第5及び第6の態様に係る金属酸化物コア及び/又はシェル層の成長のために、金属元素の供給源が反応に加えられ、そしてそれは成長している粒子に適切な金属イオンの供給源を提供する能力を有する任意の金属含有種を含んでいてもよい。酸素原子が前駆体の範囲内で存在する、又は酸素源が酸素を含む別の酸素含有前駆体からなることができる場合、前駆体は酸素原子の供給源であることもできる。前駆体は有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素自体を含むことができるがこれに限定されない。
【0126】
金属酸化物前駆体は以下の遷移金属の酸化物であってよいがこれに限定されない。スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロミウム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及びプラチナ(Pt)
【0127】
金属酸化物のシェル層を提供する好ましい方法において、金属酸化物層に組み込まれる金属イオンと酸化物イオンとの両方を含む分子複合体を用いてもよい。該複合体は、ナノ粒子コア(例えばInP又はCdSe)に単一の分量で又は金属イオン及び酸化物イオンの必要とされる量を提供するのに十分な複数の分量(例えば2、3、4又は5)で加えてもよい。
【0128】
適当な金属陽イオンと共に用いられてもよい陰イオン複合体を含む好ましい酸化物イオンは、N―ニトロソフェニルヒドロキシルアミン(クペロン)である。この陰イオン複合体は第2鉄イオンとの利用に特に適している。したがって、半導体コアナノ粒子上に酸化鉄シェルを提供するために用いられる特に好ましい複合体は鉄のクペロンである。
【0129】
分子複合体の追加の前にナノ粒子コアを含んでいる溶液を加熱することは、有益かもしれない。適当な温度は、約150℃〜約300℃の範囲であってもよく、より好ましくは約180℃〜約270℃であり、さらに好ましくは約200℃〜約250℃であり、最も好ましくは約220℃〜約230℃である。
【0130】
分子複合体の追加(単一の分量が用いられる場合)又は分子複合体の最終的な分量の追加(2つ以上の分量が用いられる場合)の後、より低い温度にナノ粒子溶液を冷却することが望ましくてもよく、多少、分子複合体の追加前及び追加中のナノ粒子溶液の温度によって、例えば約160℃〜約200℃、より好ましくは約180℃である。
【0131】
冷却の後、ナノ粒子溶液をしばらくの間より低い温度に維持し、ナノ粒子をアニール化させてもよい。好ましいアニーリング期間は約1時間〜約72時間の範囲であり、より好ましくは約12時間〜約48時間、そして最も好ましくは約20〜約30時間である。
【0132】
アニーリングの後、更なるナノ粒子成長を制限し、最終的な金属酸化物にコーティングされるナノ粒子の分離を容易にするためにより低い温度(例えば、約30℃〜約100℃、より好ましくは約50℃〜約80℃、より好ましくは約70℃)にナノ粒子溶液を更に冷却することは適切でもよい。
【0133】
金属酸化物のシェル層を提供する更に好ましい方法は、長鎖(例えばC16―C20)アルコールの存在下で金属カルボン酸塩を分解して、ナノ粒子コア上に蒸着されてもよい金属酸化物及び副生成物としてエステルを産生することを含む。この方法では、好ましくは、ナノ粒子コアを含んでいる溶液に金属カルボン酸塩を加える。そして、それは所定の量の長鎖アルコールを含んでいる溶液を追加する前に第1の高い温度に加熱する。それから混合物は、好ましくは第1の温度に所定の期間維持される。それから混合物の温度を第2の温度に更に上昇させてもよく、更なる期間のその上昇させた温度に維持し、その後、およそ室温に金属を冷却してもよく、この温度で酸化物コーティングのナノ粒子が分離される。
【0134】
第1の高い温度は、好ましくは約150℃〜約250℃の範囲であり、より好ましくは約160℃〜約220℃、そして最も好ましくは約180℃である。第2の温度が第1の温度より高いという条件において、第2の温度は、好ましくは約180℃〜約300℃の範囲であり、より好ましくは約200℃〜約250℃、そして最も好ましくは約230℃である。
【0135】
好ましくは、アルコール溶液はカルボン酸塩溶液にゆっくり加え、例えば、アルコール溶液は、5〜10分又はさらに長時間、でなければ少なくとも2〜3分の期間に亘って加えてもよい。
【0136】
反応混合物の温度は、少なくとも約5〜10分間第1の温度で維持してもよく、より好ましくは更に長く、例えば少なくとも約20〜30分かさらに長く維持してもよい。反応混合物の温度を第2の温度に上昇させた後、好ましくは混合物を少なくとも約1〜2分間この上昇された温度で維持し、より好ましくは更に長く、例えば少なくとも約4〜5分又は更に長く維持する。
【0137】
本発明を次の非限定的な実施例で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
図1図1は、複数のCdSナノ粒子に結合している従来技術の酸化鉄コアナノ粒子の概略図である。
図2図2は、オクチルアミン・キャッピング剤でコーティングされたナノ粒子の概略図である。
図3図3は、a)半導体コアだけからなる粒子、b)半導体コア及び本発明の第1の態様の好ましい実施形態に係る金属酸化物シェルからなる粒子、及びc)半導体コア、異なる半導体材料の緩衝層及び本発明の第1の態様の更なる好ましい実施形態に係る外側の金属酸化物シェルからなる粒子、の概略図である。
図4図4は、本発明の第1の態様の好ましい実施形態に係る半導体/金属酸化物(InP/Fe)コア/シェルナノ粒子の概略図であり、以下に記載するように実施例3において調製される。
図5図5は、実施例4に従って製造されるInP及びInP/Inナノ粒子の発光スペクトルを示す。
図6図6は、実施例5において以下に記載するように、調製したFeシェルの厚みが増加している、本発明の第5の態様の好ましい実施形態に係るCdSe/γ―Feナノ粒子の発光スペクトルを示す。
図7図7は、実施例5に従って調製されるCdSe/γ―Feコア/シェルナノ粒子(上の線)及びCdSeナノ粒子(下の線)のX線回折図形を示す。
図8図8は、CdSeナノ粒子の透過電子顕微鏡観察画像である。
図9図9は、実施例5に従って調製されるCdSe/γ―Feコア/シェルナノ粒子の透過電子顕微鏡観察画像である。
【0139】
実施例
すべての合成及び操作は、異なる記載がない限り、乾燥無酸素アルゴン又は窒素雰囲気下で、標準的なシュレンク又はグローブボックス技術を用いて実行した。すべての溶媒は使用前に適当な乾燥剤から精製される(THF、EtO、トルエン、ヘキサン、ペンタンにはNa/K−ベンゾフェノン)。
【0140】
UV−Vis吸収スペクトルは、Heλiosβサーモスペクトロニック上で測定した。光ルミネセンス(PL)スペクトルは、フルオロログ3(FL3-22)光分光器によって測定し、Ocean Optics計測器を用いて測定した。粉末X線回折(PXRD)測定は、モノクロマトのCu−Kα放射線を使用してブルカーAXS D8回折計で行った。
【0141】
実施例1
InP/ZnO コア/シェルナノ粒子(赤)の調製
InPコア粒子を次のように作成した。200mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステル及び10gのミリスチン酸を60℃で三つ口丸底フラスコに入れ、Nでパージし、その後0.94gのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]を加えた。反応を、それから30分間100℃に加熱し、その後、セバシン酸ジ―n―ブチルエステルに溶解している0.25Mの[In(Ac)(MA)]を12ml、電子シリンジポンプを用いて15分間に亘って48ml/hrの速度で加えた。その後、同じ添加速度で12ml、0.25Mの(TMS)Pを加えた。
【0142】
添加が完了すると、反応の温度を180℃に上昇させた。粒子を必要なサイズまで成長させ、したがって必要な赤い発光となるように、更に[In(Ac)(MA)]及び(TMS)Pの溶液を次のように加えた。16mlの[In(Ac)(MA)]と、続いて16mlの(TMS)Pを加え、その後200℃まで温度を上昇させ、それから更に10mlの[In(Ac)(MA)]を加えて、それから1時間、温度を200℃で置き、そして160℃に下げ、それから、反応を3日間アニールする。それからアセトニトリルを用いて粒子を分離し、遠心分離して収集した。InP量子ドットは550nmで発光ピークを有した。
【0143】
ZnOシェルの形成は適切な金属カルボン酸の分解生成物を主成分とし、長鎖アルコールは副産物としてエステルを生じている。上記のように調製したInPコアドット165.8mgを10mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステルに溶解した。それから、酢酸亜鉛及びミリスチン酸が入っている三つ口丸底フラスコにこれを加え、それからフラスコを脱気してNで数回パージした。別のフラスコにおいて、1―オクタデカノール(2.575g、9.522mmol)及びセバシン酸ジ―n―ブチルエステルのエステル5mlの溶液を80℃で作成した。
【0144】
ドットを含んでいる反応溶液をそれから180℃に加熱し、その温度でアルコール溶液を5〜10分に亘ってゆっくり加えた。それから反応の温度を30分間維持し、それから温度を230℃に上昇させ、5分間この温度に維持してから室温に冷却した。
【0145】
試料を過剰アセトニトリルの追加によって分離させ、遠心分離の結果として生じる濡れた固体の沈殿物をアセトニトリルによって更に洗浄し、2回目の遠心分離を行った。結果として生じる沈殿物をクロロホルムによって溶解し、濾過して残りの不溶性物質をすべて除去した。
【0146】
実施例2
InP/ZnS/ZnO コア/シェル/シェルナノ粒子の調製
InPコア粒子を次のように作成した。200mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステル及び10gのミリスチン酸を60℃で三つ口丸底フラスコに入れ、Nでパージし、その後0.94gのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]を加えた。それから反応を30分間100℃に加熱し、その後、セバシン酸ジ―n―ブチルエステルに溶解している0.25Mの[In(Ac)(MA)]を12ml、電子シリンジポンプを用いて15分間に亘って48ml/hrの速度で加えた。その後、同じ添加速度で12ml、0.25Mの(TMS)Pを加えた。
【0147】
添加が完了すると、反応の温度を180℃に上昇させた。粒子を必要なサイズまで成長させ、したがって必要な赤い発光となるように、更に[In(Ac)(MA)]及び(TMS)Pの溶液を次のように加えた。16mlの[In(Ac)(MA)]と、続いて16mlの(TMS)Pを加え、その後200℃まで温度を上昇させ、それから更に10mlの[In(Ac)(MA)]を加えて、それから1時間、温度を200℃で置き、そして160℃に下げ、それから反応を3日間アニールする。それからアセトニトリルを用いて粒子を分離し、遠心分離して収集した。InP量子ドットは550nmで発光ピークを有した。
【0148】
異なるS供給源(方法1では(TMS)S、方法2ではオクタンチオール)を用いる2つの方法を用いて、ZnO外殻の添加の前にInPコアナノ粒子上にZnSの緩衝層を形成した。
【0149】
方法1
3.13g(13.7mmol)のミリスチン酸及び6.75mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステルを脱気した。300mgのHFエッチングしたInPドット及び1.68g(9.15mmol)の無水酢酸亜鉛を室温で加えた。溶液を180℃にゆっくり加熱した。9.2ml(2.3mmol)の0.25Mの(TMS)Sを滴加し、その完了後、混合物を30分間撹拌した。
【0150】
方法2
3.13gのミリスチン酸及び6.75mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステルを脱気した。300mgのHFエッチングしたInPドット及び1.68gの無水酢酸亜鉛を室温で加えた。溶液を120℃にゆっくり加熱した。0.4ml(2.3mmol)のオクタンチオールを1つの分量で加え、温度を180℃に上昇させ、その温度で30分間維持した。
【0151】
ZnOシェルの形成は適切な金属カルボン酸の分解生成物を主成分とし、長鎖アルコールは副産物としてエステルを生じている。上記のように調製したInPコアドット165.8mgを10mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステルに溶解した。それから、酢酸亜鉛及びミリスチン酸が入っている三つ口丸底フラスコにこれを加え、それからフラスコを脱気してNで数回パージした。別のフラスコにおいて、1―オクタデカノール(2.575g、9.522mmol)及びセバシン酸ジ―n―ブチルエステルのエステル5mlの溶液を80℃で作成した。
【0152】
ドットを含んでいる反応溶液をそれから180℃に加熱し、その温度でアルコール溶液を5〜10分に亘ってゆっくり加えた。それから反応の温度を30分間維持し、それから温度を230℃に上昇させ、5分間この温度に維持してから室温に冷却した。
【0153】
試料を過剰アセトニトリルの追加によって分離させ、遠心分離の結果として生じる濡れた固体の沈殿物をアセトニトリルによって更に洗浄し、2回目の遠心分離を行った。結果として生じる沈殿物をクロロホルムによって溶解し、濾過して残りの不溶性物質をすべて除去した。
【0154】
実施例3
InP/Fe コア/シェルナノ粒子の調製及び特性
InPコア粒子を次のように作成した。200mlのセバシン酸ジ―n―ブチルエステル及び10gのミリスチン酸を60℃で三つ口丸底フラスコに入れ、Nでパージし、その後0.94gのZnSクラスター[HNEt[Zn10(SPh)16]を加えた。反応を、それから30分間100℃に加熱し、その後、セバシン酸ジ―n―ブチルエステルに溶解している0.25Mの[In(Ac)(MA)]を12ml、電子シリンジポンプを用いて15分間に亘って48ml/hrの速度で加えた。その後、12ml、0.25Mのセバシン酸ジ―n―ブチルエステルに溶解している(TMS)P溶液を同じ添加速度で加えた。
【0155】
添加が完了すると、反応の温度を180℃に上昇させた。粒子を必要なサイズまで成長させ、したがって必要な赤い発光となるように、更に[In(Ac)(MA)]及び(TMS)Pを次のように加えた。16mlの[In(Ac)(MA)]と、続いて16mlの(TMS)Pを加え、その後200℃まで温度を上昇させ、それから更に10mlの[In(Ac)(MA)]を加えて、それから1時間、温度を200℃で置き、そして160℃に下げ、それから反応を3日間アニールする。それからアセトニトリルを用いて粒子を分離し、遠心分離して収集した。InP量子ドットは550nmで発光ピークを有した。
【0156】
InPナノ粒子をメタノールによって沈殿させ、遠心分離による沈殿物として分離した。上清液を廃棄し、あらかじめ乾燥させて120℃の真空下で脱気した50gのヘキサデシルアミンが入っている125mL丸底フラスコに1.0gのInP沈殿物を入れた。
【0157】
溶液温度を230℃まで上昇させ、オクチルアミン中の3.30mLの0.0286Mの第2鉄のクペロン溶液を10分間に亘って滴加した。溶液を更に20分間撹拌し、その後一定分量を採取し、第2鉄のクペロン溶液の3.30mLの2番目の分量を10分間に亘って滴加した。溶液を20分間撹拌し、そして一定分量を採取した。第2鉄のクペロン溶液の3番目であり最終の3.30mLの分量を10分間に亘って滴加した。
【0158】
最終の添加の後、反応を更に20分間撹拌し、180℃まで冷却して、180℃で24時間撹拌し、その後70℃まで冷却した。メタノールを加えて粒子を沈殿させた。沈殿を遠心分離による沈殿物として分離して、上清液は廃棄した。
【0159】
コア/シェル粒子のそれのPL発光強度は、Fe層の添加以前のコア粒子のそれより約200倍の強度だった。InP/Feコア/シェルナノ粒子の概略図を図3に示す。
【0160】
実施例4
赤発光のInPナノ粒子コアを実施例1にて説明したように製造した。
【0161】
それから、実施例1に説明しているのと同様の方法を用いて、InPコア上にInの層を蒸着させた。30mlのInP反応溶液を除去し、それからAr下で180℃に加熱した。3mlのオクタノールをゆっくりと加え、30分間してから室温に冷却した。出願人は、何らかの特定の理論によって制約されたくないが、InPコア反応溶液中の過剰In(MA)がオクタノールと反応してInPコア上にInシェルを蒸着させたと思われる。
【0162】
Inコア/シェルナノ粒子の量子収量が、シェルのないInPコアの量子収量より6倍大きいことが観察された(図5を参照)。
【0163】
Inのシェルが、InPコアと上記の実施例2に従って製造されるナノ粒子のZnS及びZnOの外層との間の緩衝層として作用してもよいと仮定される。InPコアがInでコーティングされるときに観察される量子収量の向上に基づいて、更なるInの緩衝層を添加(ZnSの緩衝層に加えて)することによって、InP/In/ZnS/ZnOナノ粒子材料の最終量子収量及び/又は安定性の両方が、実施例2において製造されるInP/ZnS/ZnOと比較して改善されてもよい。
【0164】
実施例5
CdSe/Fe(緑色発光を有する)の合成
代表的な合成において、100gのHDA(ヘキサデシルアミン)を120℃で1時間脱気した。それからフラスコを窒素でパージし、1.25gの[EtNH][Cd10Se(SPh)16]を100℃で固形物として1つの分量で加えた。溶液を260℃までゆっくり加熱して、約1時間この温度に保った。溶液を150℃に冷却して、更なる0.25gの[EtNH][Cd10Se(SPh)16]を加えた。溶液を260℃に更に1時間、又は最大発光ピークが550nmに到達するまで再加熱した。反応溶液を冷却し、過剰メタノールで沈殿させ、遠心分離及び窒素フローで乾燥させることによってCdSeナノ粒子を収集した。
【0165】
オクチルアミン中のFeCupの希釈液を作成し、30mlのオクチルアミン、0.248gのFeCupを溶解させて0.018Mの溶液を生じさせた。別のフラスコにおいて、75gのHDAを120℃で脱気し、それから100℃まで冷却し、550nm のCdSe粒子を0.3g加えた。反応の温度を230℃に上昇させ、FeCup/オクチルアミン溶液を、全体で10mlの添加溶液である、1ml、1ml、1ml、2ml及び5mlの5つの別々の分量を滴加した。各分量の合間に反応を5分間撹拌した。
【0166】
FeCupの添加の完了後、反応を180℃に冷却し、最長3時間アニールし、それから室温に冷却して、メタノールによって沈殿させて分離させ、それから遠心分離して、窒素フローで乾燥させた。
【0167】
元素分析は、C=24.42、H=3.93、N=1.32、Cd=42.46、Fe=2.61を示した。
【0168】
実施例6
CdSe/Fe コア/シェルナノ粒子(赤発光を有する)の調製
25gの分量のヘキサデシルアミン(HDA)を三つ口丸底フラスコに入れて、動的真空下で>1時間、120℃まで加熱することによって乾燥させて脱気した。溶液を60℃に冷却し、反応フラスコに窒素を充填し、標準的な空気のない技術を用いて及び次の試剤をフラスコに入れた。0.10gの[HNEt[Cd10Se(SPh)16]、2mlの予め混合された前駆体溶液(トリオクチルホスフィン中に溶解している0.25MのMeCd及び0.25Mのセレン元素の溶液)。温度を120℃に上昇させ、2時間撹拌した。この時点で、120℃から210℃への、〜0.2℃/minの速度でのプログラムされた温度勾配を始めた。同時に、更に4mLの予め混合された前駆体溶液を〜0.05ml/minの速度で滴加した。
【0169】
PL発光最大が、必要な発光(λ最大=585nm)に到達したときに、60℃に冷却し、続いて過剰の乾燥メタノールを添加して溶液から粒子を沈殿させることによって粒子成長を止めた。沈殿を遠心分離によって分離させ、沈殿物は保持して上清液は廃棄した。
【0170】
CdSe沈殿物の125mgの分量を、予め乾燥させて120℃の真空下で脱気した25gのオクタデシルアミンが入っている125mL丸底フラスコに入れた。溶液温度を220℃まで上昇させ、オクチルアミン中の2.5mLの0.0286Mの第2鉄のクペロン溶液を10分間に亘って滴加した。溶液を更に20分間撹拌し、その後、第2鉄のクペロン溶液の2番目の2.5mLの分量を10分間に亘って滴加した。溶液を20分間撹拌した。第2鉄のクペロン溶液の3番目であり最終の2.5mLの分量を10分間に亘って滴加した。
【0171】
最終の添加の後、反応を更に20分間撹拌し、反応を180℃まで冷却した。溶液を180℃で4時間撹拌し、その後70℃まで冷却し、15mLの反応混合物を取って遠心分離管に入れた。45mLの分量のメタノールを加えて粒子を沈殿させた。沈殿を遠心分離による沈殿物として分離し、上清液を廃棄した。沈殿物のいくらかの分量をトルエンに再分散させた。
【0172】
FeCup層の形成によってPL最大及び第1の吸収ピーク(図4を参照)の両方において〜3.5nmのわずかな赤方偏移が生じ、それはCdS又はZnSが粒子上でエピタキシャルに成長するときの偏移よりもかなり少ない。
【0173】
図5はCdSe/γ―Feナノ結晶のXRDパターンが純粋なCdSeコアのそれに非常に類似した形状を有していることを示す。しかしながら、CdSe/γ―Feの3つの主要なピークの先鋭化が見られる。バルクγ―Feに起因している顕著なピークは、回折パターンにおいて明らかでない。
【0174】
図6は、3.7nmの平均直径を有するCdSeナノ粒子のTEM画像を示す。図7は、Feによってシェルが作成されるときに粒子サイズが4.2nmに増大することを示す。Feによってシェルが作成された後にナノ粒子のわずかな凝集があるようであるが、それでも粒子は有機溶媒に容易に溶解する。
【0175】
実施例7
ZnSe/Fe コア/シェルナノ粒子の調製
125mL丸底フラスコに25gのオクタデシルアミン及び回転棒を入れ、フラスコをシュレンクラインに取り付け、空にした。溶媒を乾燥させ、120℃の真空下で1時間脱気した。フラスコに窒素を充填し、温度を2時間に亘って120℃から340℃まで上昇させた。ここで、予め混合した前駆体溶液4mL(TOPに溶解している0.25Mのジエチル亜鉛及び0.25Mのセレン元素)をフラスコに注入した。前駆体溶液の注入に伴って反応温度はすぐに300℃に急落し、300℃で維持した。
【0176】
予め混合した前駆体溶液の更なる16mLの分量を4時間に亘って滴加した。温度を250℃まで下げ、溶液を終夜撹拌した。ZnSeナノ粒子を熱い(70℃)n―ブタノールで沈殿させ、遠心分離による沈殿物として分離させた。
【0177】
上清液を廃棄し、125mgのZnSe沈殿物を、予め乾燥させて120℃の真空下で脱気した25gのオクタデシルアミンが入っている125mL丸底フラスコに入れた。溶液温度を220℃まで上昇させ、2.5mLの、オクチルアミン中の0.0286Mの第2鉄クペロン溶液を10分間に亘って滴加した。溶液を更に20分間撹拌し、その後一定分量を採取し、第2鉄のクペロン溶液の2番目の2.5mLの分量を10分間に亘って滴加した。溶液を20分撹拌し、第二鉄のクペロン溶液の3番目であり最終の2.5mLの分量を10分間に亘って滴加した。
【0178】
最終の添加の後、反応を更に20分間撹拌し、反応を180℃まで冷却させた。溶液を180℃で4時間撹拌し、その後70℃まで冷却した。反応混合物の15mLの分量を取って遠心分離管に入れた。45mLの分量のメタノールを加えて粒子を沈殿させた。沈殿を遠心分離による沈殿物として分離させ、上清液を廃棄した。沈殿物のいくらかの分量をトルエンにおいて再分散させた。
【0179】
実施例8
CdTe/Fe コア/シェルナノ粒子の調製及び特性
125mL丸底フラスコに25gのヘキサデシルアミン及び回転棒を入れた。フラスコをシュレンクラインに取り付け、空にした。溶媒を乾燥させ、120℃の真空下で1時間脱気した。フラスコに窒素を充填し、温度を2時間に亘って120℃から260℃まで上昇させた。ここで、予め混合した前駆体溶液4mL(TOPに溶解している0.25Mのジメチルカドミウム及び0.25Mのテルリウム元素)を添加した。前駆体溶液の注入に伴って反応温度はすぐに240℃に急落し、5分間240℃で維持した。フラスコをマントルから取り除き、冷気の流れにさらすことによって温度を50℃に下げた。CdTeナノ粒子をメタノールで沈殿させ、遠心分離による沈殿物として分離させた。
【0180】
上清液を廃棄し、125mgのCdTe沈殿物を、予め乾燥させて120℃の真空下で脱気した25gのヘキサデシルアミンが入っている125mL丸底フラスコに入れた。溶液温度を220℃まで上昇させ、2.5mLの、オクチルアミン中の0.0286Mの第2鉄クペロン溶液を10分間に亘って滴加した。溶液を更に20分間撹拌し、第2鉄のクペロン溶液の2番目の2.5mLの分量を10分間に亘って滴加した。溶液を20分撹拌し、第二鉄のクペロン溶液の3番目であり最終の2.5mLの分量を10分間に亘って滴加した。
【0181】
最終の添加の後、反応を更に20分間撹拌し、180℃まで冷却した。溶液を180℃で4時間撹拌し、その後70℃まで冷却した。反応混合物の15mLの分量を取って遠心分離管に入れた。45mLの分量のメタノールを加えて粒子を沈殿させた。沈殿を遠心分離による沈殿物として分離させ、上清液を廃棄した。沈殿物のいくらかの分量をトルエンにおいて再分散させた。
【0182】
実施例9
InP/In/ZnS/ZnO コア/シェルナノ粒子の調製及び特性
InP/Inコアの合成
コンデンサ、温度計及び磁気撹拌棒を装備する三つ口丸底フラスコにエステルを加え、それから100℃の真空下で2時間脱気した。温度は70℃まで下がり、窒素雰囲気下に置いた。
【0183】
クラスターを1つの分量で加え、30分間撹拌した。温度は100℃まで上昇し、15mlのIn(MA)を滴加した。添加完了後、反応を5分間撹拌し、それから15mlの(TMS)Pを滴加した。温度は160℃に上昇し、それから20mlのIm(MA)を滴加した。添加完了後、反応を5分間撹拌し、それから8mlの(TMS)Pを滴加した。温度は190℃に上昇し、それから5mlのIn(MA)を滴加した。添加完了後、反応を5分間撹拌し、それから3mlの(TMS)Pを滴加した。温度は200℃に上昇し、その温度で1時間撹拌した。温度は160℃に下がり、量子ドットを3日間アニールした。温度は180℃に上昇し、それからオクタノールを1つの分量で加えた。反応を30分間撹拌し、それから室温に冷却した。粒子が凝集するまで無水アセトニトリルを加え、それから沈殿を遠心分離した。濡れた粉末を最小量のクロロホルムに再溶解させ、それからメタノールで再沈殿させた。濡れた粉末を再度、最小量のクロロホルムに再溶解させ、それからメタノールで再沈殿させた。それからドットをクロロホルムに溶解させ、最大ルミネセンス強度が得られるまで空気中でHFの希釈液を用いて3日間エッチングした。
【0184】
InP/InコアのZnS/ZnOシェルでのシェル作製
上記のように作製されるエステル及びコア、そしてウンデシレン酸を共に、コンデンサ、温度計及び磁気撹拌棒を装備する三つ口丸底フラスコに入れ、それから100℃の真空下で2時間脱気した。温度を70℃まで下げ、それから強い窒素フロー下でフラスコの1つの口に小さな分量で酢酸亜鉛を加えた。温度は100℃まで上昇し、それから反応を減少した圧力下で20分間空にし、それから窒素でパージした。そして更に2回空にして/パージした。温度は120℃に上昇し、それからオクタンチオールを1つの分量で加えた。温度は230℃まで上昇し、90分間保持した。温度は180℃に下がり、それからオクタンチオールを1つの分量で加え、180℃で30分間保持した。それから溶液を室温に冷却した。粒子が凝集するまで無水アセトニトリルを加え、それから沈殿をセリット充填した焼結漏斗で濾過した。沈殿を最初に熱いアセトニトリルで洗浄し(洗浄液を廃棄する)、それから熱い酢酸エチル(それはドットを溶解させる)で洗浄した。ドットを酢酸エチルに溶解させ、アセトニトリルを加えることによって再沈殿させた。最後に、沈澱させたドットを最小量のトルエンに溶解させ、不活性雰囲気に格納した。506nmで発光し、55nmの半値全幅(FWHM)で50%の量子収量(QY)を有する、InP/In/ZnS/ZnOコア/シェルナノ粒子を作製した。
【0185】
【非特許文献1】Murray, C. B.; Norris, D. J.; Bawendi, M. G. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 8706
【非特許文献2】LOver, T.; Bowmaker, G. A.; Seakins, J. M.; Cooney, R. P.; Henderson, W. J. Mater. Chem., 1997, 7(4), 647
【非特許文献3】Cumberland, S. L.; Hanif, K. M.; Javier, A.; Khitov, K. A.; Strouse, G. F.; Woessner, S. M.; Yun, C. S. Chem. Mater. 2002, 14, 1576
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9