【課題を解決するための手段】
【0021】
少なくとも1つの車両側エネルギー貯蔵要素の充電特性に応じて、エネルギー伝送プロセスを準備する、もしくは開始する、又は制御するために、誘導電力伝送システムの1次巻線構造体と2次巻線構造体との間のギャップサイズを調整することが本発明の基本的な考えである。
【0022】
電力を、例えば1次側システムから2次側システム、具体的には車両、に伝送する誘導電力伝送システムを動作させる方法が提案される。
【0023】
本発明は、あらゆる陸上車両、例えば、鉄道車両(例えば、トラム)のような軌道に拘束される車両への、特に、個人(私用の)乗用車又は公共輸送車両(例えばバス)のような道路自動車へのエネルギー伝送の分野に特に適用されることができる。車両が停止している、すなわち移動していない場合(静的充電)又は車両が動いている場合(動的充電)にエネルギーの伝送を行うことができる。
【0024】
誘導電力伝送システムは、交番電磁界を生成する1次巻線構造体と交番電磁界を受け取る2次巻線構造体とを備える。更に、2次巻線構造体は、1次巻線構造体によって生成される交番電磁界を受け取ると交流出力電圧を生成する。また、2次巻線構造体は、交番電磁界を受け取ると交番出力電流を生成する。1次巻線構造体によって提供される交番電磁界又は1次巻線構造体によって生成される電磁界と1次巻線構造体によって生成される電磁界を受け取っている間に2次巻線構造体によって生成される電磁界との重ね合わせから生じる交番電磁界は、電力伝送電磁界と呼ぶことができる。
【0025】
1次巻線構造体は、路側又は経路側1次巻線構造体とすることができ、2次巻線構造体は車両側巻線構造体とすることができる。
【0026】
2次巻線構造体の交流出力電圧は、例えば整流器によって整流される。整流出力電圧は、エネルギー貯蔵モジュールともまた呼ぶことができる少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素に供給される。整流出力電圧は整流器によって供給される出力電圧を意味し、整流器は車両側要素である。更に、2次巻線構造体の交番出力電流もまた整流され、エネルギー貯蔵要素に供給されることもできる。2次巻線構造体の設計に応じて、2次巻線構造体は電圧源又は電流源を提供することができる。
【0027】
エネルギー貯蔵要素は、車両の電気回路網の電気的要素、具体的には容量性要素とすることができる。特に、エネルギー貯蔵要素は車両側電気回路網の直流部分の要素とすることができる。
【0028】
エネルギー貯蔵要素は、例えば、車両のバッテリ又はアキュムレータ、具体的には牽引バッテリとすることができる。代替的に又は追加的に、エネルギー貯蔵要素は、車両側の電気回路網、例えば中間回路の容量性要素、具体的には中間回路キャパシタとすることができる。中間回路は車両側牽引回路網の一部とすることができる。整流された電圧又は中間回路電圧は、例えば車両側コンバータに供給されることができ、車両側コンバータは、車両側電気機械及び/又は任意の他の車両側装置を動作させる交流電圧を生成する。従って、整流出力電圧は、前記バッテリを充電するために、車両側の電気回路網、例えば車両のバッテリ、具体的には牽引バッテリに電力を伝送するために使用されることができる。代替的に又は追加的に、整流出力電圧は、電気機械を動作させるために中間回路キャパシタを介して電気機械に電力を伝送するために使用されることができる。これは、動的エネルギー伝送と呼ぶことができる。
【0029】
牽引バッテリが中間回路キャパシタに電気的に接続されることは、もちろん可能である。
【0030】
2次巻線構造体の整流出力電圧は、伝送電圧、整流電圧、又は直流リンク電圧と呼ぶこともできる。2次巻線構造体の整流出力電流は、伝送電流又は整流電流と呼ぶこともできる。
【0031】
整流出力電圧及び/又は整流出力電流は、1次巻線構造体と2次巻線構造体との間のギャップのギャップサイズを変えることによって調整される。これは、伝送電圧又は伝送電流の何れか又は両方がギャップサイズを変えることによって所望の値に調整されることができることを意味する。ギャップは、前記1次巻線構造体を備える1次ユニットと、前記2次巻線構造体を備える2次ユニット、すなわち受け取りデバイスとの間のエアギャップを含む。エアギャップは、例えば、1次ユニットの表面、例えば上面、例えば1次ユニットのハウジングの上面と、受け取りデバイスの表面、例えば底面、例えば受け取りデバイスのハウジングの底面との間のギャップとすることができる。受け取りデバイスは、車両に、例えば車両の底面に取り付けられることができる。しかしながら、受け取りデバイスを車両の他の部分、例えば車両の屋根部に取り付けることも可能である。
【0032】
本発明によれば、ギャップサイズは、エネルギー伝送プロセス、具体的には1次側から2次側電気回路網へのエネルギー伝送プロセスを準備するために調整される。伝送プロセスを準備することは、伝送プロセスの開始前にギャップサイズを調整することを意味する。伝送プロセスは、前述の車両側電気回路網、例えば牽引バッテリ等のバッテリ、及び/又は前述の容量性要素、例えば中間回路キャパシタ、にエネルギーを伝送するプロセスを意味することができる。伝送プロセスがエネルギー貯蔵要素の充電に使用される場合、それは充電プロセスと呼ぶこともできる。この場合、伝送電圧は充電電圧とも呼ばれ、伝送電流は充電電流とも呼ばれる。
【0033】
エネルギー伝送プロセスを準備することはまた、所望の整流出力電圧及び/又は整流出力電流が供給されるようにギャップサイズが調整され、ここで、1次側から2次側へのエネルギー伝送がまだ行われていない、ことを意味することができる。具体的には、ギャップサイズは、所望の整流出力電圧がエネルギー貯蔵要素の実際の出力電圧以下となるように調整することができる。この場合、伝送電流はエネルギー貯蔵要素に供給されることはない。
【0034】
代替的に又は追加的に、ギャップサイズはエネルギー伝送プロセスを開始するために調整されることができる。この場合、ギャップサイズは、所望の整流出力電圧がエネルギー貯蔵要素の実際の出力電圧よりも高くなるように調整されることができる。この場合、伝送電流はエネルギー貯蔵要素に供給される。伝送電流はエネルギー貯蔵要素に流れる電流を意味することができる。
【0035】
代替的に又は追加的に、ギャップサイズはエネルギー伝送プロセスを制御するために調整される。この場合、ギャップサイズはエネルギー伝送プロセス中に調整されることができる。具体的には、ギャップサイズは、少なくとも1つの所望の伝送パラメータ、例えば、2次巻線構造体の所望の出力電力、出力電圧、及び/又は出力電流が供給されるように調整されることができる。例えば、所望の出力電力、出力電流、及び/又は出力電圧が維持される、又は伝送パラメータの所望の経時変化に対応するように、ギャップサイズを調整することが可能である。
【0036】
ギャップサイズは少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の充電特性に応じて調整される。具体的には、ギャップサイズはエネルギー貯蔵要素の充電状態(SOC:state of charge)に応じて調整されることができる。SOCに応じて、エネルギー貯蔵要素の実際の全貯蔵要素電圧、例えば開回路電圧、を決定することができ、所望の整流出力電圧を、エネルギー伝送プロセスを準備もしくは開始又は制御するために決定することができ、ギャップサイズを、所望の整流出力電圧が供給されるように調整することができる。
【0037】
ギャップサイズを調整することは高周波変圧器の電圧比を変化させる。従って、整流出力電圧は、1次巻線構造体及び2次巻線構造体によって提供される高周波変圧器の電圧比を変えることによって調整される。従って、可変ギャップサイズは、所望の整流出力電圧を供給するために第1の操作変数を提供する
【0038】
要約すると、エネルギー伝送プロセスを準備するために又はエネルギー伝送プロセスを少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の充電特性に応じて開始もしくは制御するためにギャップサイズを調整することは、有利にも、1次巻線構造体に交流入力電圧を供給する路側電力コンバータ(WPC)に供給される入力電圧のより小さい電圧調整範囲を使用することを可能にする。
【0039】
これは、有利にも、結果として、1つの入力電圧生成要素のみ、例えば昇圧コンバータのみ又は降圧コンバータのみ、を使用することを可能にし、最先端技術による2段入力電圧生成手段が1段入力電圧生成手段に低減される。これは、有利にも、誘導電力伝送システムの間の電力損失を低減させ、誘導電力伝送システムの複雑さ、コスト及び構築スペース要件を低減する。
【0040】
好ましい実施形態では、整流出力電圧及び/又は整流出力電流は、電力伝送電磁界の少なくとも1つの電磁界特性を調整することによって更に調整される。具体的には、少なくとも1つの電磁界特性は、例えば電磁界の強さとすることができる。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの電磁界特性は、1次側回路要素の少なくとも1つの動作パラメータ、具体的にはWPC及び/又は入力電圧生成要素の少なくとも1つの動作パラメータ、を調整することによって調整されることができる。WPCの少なくとも1つの動作パラメータは、例えば、WPCのデューティサイクル、WPCの動作周波数、及び/又はWPCによって生成される電圧間の位相シフトとすることができる。
【0042】
これは、整流出力電圧及び/又は整流出力電流(伝送電圧、伝送電流)が少なくとも2つの操作変数によって制御され、ここで、第1の操作変数は可変ギャップサイズであり、第2の操作変数は電力伝送電磁界の少なくとも1つの電磁界特性である、ことを意味する。
【0043】
好ましい実施形態では、整流出力電圧は路側電力コンバータの入力電圧を調整することによって更に調整される。この場合、誘導電力伝送システムはWPCを備えることができ、WPCの入力電圧は前述の入力電圧生成手段の出力電圧によって供給され、WPCの出力電圧は1次巻線構造体に供給される。
【0044】
これは、整流出力電圧及び/又は整流出力電流(伝送電圧、伝送電流)が少なくとも2つの操作変数によって制御され、ここで、第1の操作変数は可変ギャップサイズであり、第2の操作変数は、例えば入力電圧生成手段によって変えられることができるWPCの入力電圧である、ことを意味する。
【0045】
例えば、特にWPC入力電圧を一定にして、ギャップサイズを変えることによって、整流出力電圧の粗調整を提供することが可能である。粗調整は、例えば、整流出力電圧が、所望の整流出力電圧からの相違が所定の第1の閾値以内になるように整流出力電圧を調整することによって実行されることができる。前記粗調整の後、例えば入力電圧生成手段の出力電圧を調整することによりWPCの入力電圧を調整することによって、微調整が提供されることができる。微調整は、例えば、整流出力電圧が、所望の整流出力電圧からの相違が第2の閾値以内になり、ここで、第2の閾値は第1の閾値よりも小さい、ことを意味することができる。
【0046】
具体的には、ギャップサイズを変えることによる粗調整は、整流出力電圧が所望の整流出力電圧を中心に第1の電圧区間内に入るように、提供されることができ、ここで、WPCの入力電圧を調整することによる微調整は、整流出力電圧が所望の整流出力電圧を中心に第2の電圧区間内に入るように、提供され、第2の電圧区間は第1の電圧区間よりも小さい。
【0047】
これは、有利にも、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の充電特性に従って整流出力電圧の精密な調整を可能にし、先に説明したように、入力電圧生成手段の出力電圧調整範囲に比例することが可能なWPC入力電圧の電圧調整範囲を小さくすることができる。
【0048】
WPCの入力電圧は、所定の最小入力電圧及び所定の最大入力電圧を有する所定の電圧区間内での電圧に制限されることができる。前記電圧区間は、例えば、選択された入力電圧生成手段の特性に依存する可能性がある。
【0049】
別の実施形態では、ギャップサイズは、具体的には、WPCの入力電圧、例えば一定の入力電圧を仮定して、所望の整流出力電圧及び/又は整流出力電流が供給されるように調整される。ギャップサイズが調整された後、所望の(可変の)整流出力電圧がWPCの入力電圧を調整することによって供給可能である限り、ギャップサイズは一定に保たれ、ここで、WPCの入力電圧は所与の電圧上限と下限との間でのみ調整可能である。
【0050】
例えば、ギャップサイズを調整して、エネルギー伝送プロセスを準備することが可能である。この場合、所与の、特に一定の、WPC入力電圧に対して、整流出力電圧が、エネルギー貯蔵要素の実際の全貯蔵要素電圧に等しい、又はエネルギー貯蔵要素の実際の出力電圧よりも小さいが、特に所定量より小さくないように、ギャップサイズが調整される。この場合、先に説明したように、充電は行われない。エネルギー貯蔵要素の全貯蔵要素電圧は、貯蔵要素によって提供される電圧、具体的には貯蔵要素の開回路電圧を意味することができる。
【0051】
代替的に、ギャップサイズを調整して、エネルギー伝送プロセスを開始することができる。この場合、整流出力電圧がエネルギー貯蔵要素の実際の全貯蔵要素電圧よりも高いが、特に所定量よりも高くないように、ギャップサイズが調整される。
【0052】
ギャップサイズの調整後、ギャップサイズは一定に保たれるが、一方、WPCの入力電圧は変えられる、例えば、充電特性に従ってエネルギー貯蔵要素の充電を行うために高くされる。
【0053】
ギャップサイズは、例えばWPCの入力電圧の最大の電圧上限に達するまで一定に保たれることができる。
【0054】
従って、エネルギー伝送プロセスは、1つ又は複数のフェーズを備えることができる。WPC入力電圧の調整範囲、例えば所与の電圧上限と下限との間の範囲が、所望の充電プロセスを提供するために必要な電圧範囲、例えば所望の充電状態、例えば最大充電の状態に達するのに必要な電圧範囲を提供する場合、例えばエネルギー伝送プロセスを準備するために又はエネルギー伝送プロセスを開始するために、ギャップサイズは一度のみ調整されることができる。この場合、エネルギー伝送プロセスは1つのフェーズのみを備える。
【0055】
WPC入力電圧の電圧調整範囲が所望の充電プロセスを実行するために必要な電圧範囲を提供しない場合、特にWPC入力電圧が最大電圧上限に達する場合、ギャップサイズはエネルギー伝送プロセス中に更に調整されることができる。この場合、エネルギー伝送プロセスは少なくとも2つのフェーズから成り、ギャップサイズは各フェーズの間は一定に保たれるが、フェーズ間で、例えば1つのフェーズから別のフェーズへの遷移時に、変えられることができる。
【0056】
これは、有利にも、エネルギー貯蔵要素の所与の充電特性に従って整流出力電圧を簡単に制御することを可能にする。
【0057】
しかしながら、ギャップサイズを連続的に調整することも可能である。
【0058】
好ましい実施形態では、ギャップサイズは、WPCの最小入力電圧が所望の整流出力電圧に変換されるように、又は、所望の整流出力電圧とWPCの最小入力電圧による整流出力電圧との差が所定の閾値よりも小さくなるように、調整される。
【0059】
ギャップサイズは、先に説明したように、エネルギー伝送プロセスを開始するために又はエネルギー伝送プロセスを準備するために調整されることができる。これは、全電圧調整範囲が、エネルギー伝送プロセスの開始時又は多フェーズ充電プロセスの1つのフェーズの開始時に、提供されることを意味する。これは、結果としてギャップサイズを調整する必要性を低減させる。
【0060】
別の実施形態では、ギャップサイズは、WPCの入力電圧が最大電圧上限に達する場合に調整される、具体的には再調整される。最大電圧上限は、WPCの入力電圧の電圧調整範囲の電圧上限に対応することができる。最大電圧上限は前記電圧上限より小さくすることもできる。
【0061】
WPCの入力電圧が最大電圧上限に達する場合、整流出力電圧が、WPCの実際の入力電圧を仮定して、エネルギー貯蔵要素の実際の全貯蔵要素電圧に等しくなるように、又は、前記出力電圧からの相違が所定量を超えないように、ギャップサイズを調整することが可能である。WPCの入力電圧を最小電圧まで同時に又は逐次的に変える、例えば低下させる、ことが可能であり、ギャップサイズは、WPCの前記最小入力電圧を仮定して、整流出力電圧が、エネルギー貯蔵要素の実際の全貯蔵要素電圧に等しい、又は、前記全貯蔵要素電圧からの相違が所定量を超えないように調整される。具体的には、ギャップサイズは、エネルギー伝送プロセスの次のフェーズを準備又は開始するために調整されることができる。
【0062】
もちろん、代替的に、WPC入力電圧を一定に保ち又はWPC入力電圧を所定の値に調整し、且つ、実際のWPC入力電圧を仮定して、所望の充電プロセスを、特に充電プロセスの1つのフェーズ内で、行うことができるように、ギャップサイズを調整することが可能である。
【0063】
好ましい実施形態では、特にある、例えば一定の、WPC入力電圧を仮定して、整流出力電圧が少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の実際の全貯蔵要素電圧に等しくなるように、ギャップサイズが調整される。全貯蔵要素電圧は、例えば貯蔵要素の開回路電圧とすることができる。このような調整は、例えばエネルギー伝送プロセスの前に又はエネルギー伝送プロセスの後続のフェーズの前に、特に後続のフェーズのエネルギー伝送プロセスを準備するために、提供されることができる。この場合、ギャップサイズは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素に伝送電流が供給されないように調整される。
【0064】
ギャップサイズを調整することによって整流出力電圧を調整することは、粗調整のみをもたらし、従って、所望の充電プロセスの要件が破られる可能性があるので、エネルギー伝送プロセスは、ギャップサイズを調整することによって有利に準備されることができ、一方、その後、実際の充電プロセスはWPC入力電圧の微調整によって制御される。これは、有利にも、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の信頼できる充電を可能にする。
【0065】
別の実施形態では、ギャップサイズは連続的に又は段階的に変えられる。ギャップサイズが連続的に変えられる場合、ギャップサイズは所定のサイズ区間の中の各サイズに調整されることができる。ギャップサイズが段階的に変えられる場合、ギャップサイズはサイズ区間の中の可能な全てのサイズのサブセット、例えば2つの所定のギャップサイズ、に調整されることができる。
【0066】
ギャップサイズを段階的に変えることは、有利にも、後に説明する対応する位置決め手段の設計を単純化する。ギャップサイズを連続的に変えることは、有利にも、より大きい範囲の所望の整流出力電圧を提供することを可能にする。
【0067】
別の実施形態では、WPCの入力電圧は昇圧コンバータによって供給される。昇圧コンバータは、WPCと電圧供給手段との間の電気的接続において単一の電圧変換要素を提供することができる。この場合、昇圧コンバータのみが路側電源手段とWPCとの間に電気的に配置されることができる。具体的には、WPCの入力電圧は昇圧コンバータによってのみ調整されることができる。
【0068】
代替的に、路側電力コンバータの入力電圧は降圧コンバータによって供給される。降圧コンバータは、WPCと電圧供給手段との間の電気的接続において単一の電圧変換要素を提供することができる。昇圧コンバータを参照して説明されたように、降圧コンバータのみが電圧供給手段とWPCとの間に電気的に配置されることができる。具体的には、WPCの入力電圧は降圧コンバータによってのみ調整されることができる。
【0069】
更に、路側電力コンバータの入力電圧は、昇圧コンバータと降圧コンバータとの結合、例えば両方のコンバータの直列接続、によって提供されることができる。
【0070】
要約すると、1段の入力電力生成手段をWPC用に設けることができる。これは、有利にも、誘導電力伝送中の電力損失を使用する。
【0071】
別の実施形態では、ギャップサイズは2次側位置決め手段によって変えられる。2次側位置決め手段は、例えば2次巻線構造体又は2次巻線構造体を備える受け取りデバイス(又はその一部)の位置決めを可能にすることができる。代替的に又は追加的に、ギャップサイズは1次側位置決め手段によって変えられる。1次側位置決め手段は、例えば1次巻線構造体又は1次巻線構造体を備える1次ユニット(又はその一部)の位置決めを可能にすることができる。
【0072】
2次側位置決め手段及び/又は1次側位置決め手段は、例えば2次巻線構造体及び/又は1次巻線構造体の位置を第1の方向に変えることができるように提供されることができ、第1の方向は、電力伝送中に1次側巻線構造体によって生成される交番電磁界の伝播の主方向に対応することができる。第1の方向は、例えば垂直方向とすることができ、垂直方向は、例えば経路の平面に直交に向けられることができる。垂直方向は、例えば車両のヨー軸に平行に向けられることができる。
【0073】
更に、1次側位置決め手段は、1次巻線構造体を第2の方向及び/又は第3の方向に位置決めすることを可能にすることができる。第2の方向は、例えば1次巻線構造体の延在方向に平行とすることができる。第2の方向は、例えば縦方向とすることができる。第3の方向は、第1及び/又は第2の方向に直交して向けられることができる。第3の方向は、例えば横方向とすることができる。更に、1次側位置決め手段は対応する巻線構造体の回転も可能にすることができる。例えば、1次側位置決め手段が、前述の第1の方向及び/又は第2の方向及び/又は第3の方向の周りの1次側巻線構造体の回転を可能にできることが可能である。
【0074】
同様に、2次側位置決め手段は、2次巻線構造体を第2の方向及び/又は第3の方向に位置決めすることを可能にすることができる。第2の方向は、例えば2次巻線構造体の延在方向に平行とすることができる。第2の方向は、例えば、特に2次巻線構造体を載せている車両の縦方向とすることができる。縦方向は、例えば車両のロール軸に平行とすることができる。第3の方向は、第1及び/又は第2の方向に直交して向けられることができる。第3の方向は、例えば、特に2次巻線構造体を載せている車両の横方向とすることができる。横方向は車両のピッチ軸に平行とすることができる。更に、2次側位置決め手段はまた、対応する巻線構造体の回転を可能にすることもできる。例えば、一次側位置決め手段が、前述の第1の方向及び/又は第2の方向及び/又は第3の方向の周りの一次側巻線構造体の回転を可能にできることが可能である。
【0075】
1次巻線構造体と2次巻線構造体とが位置合わせされた状態では、1次側及び2次側のそれぞれの方向を平行に向けることができる。
【0076】
従って、1次側位置決め手段及び/又は2次側位置決め手段は、対応する巻線構造体の垂直方向の位置決め及び/又は縦方向の位置決め及び/又は横方向の位置決め、並びに、該当する場合、対応する軸回りの回転を可能にすることができる。
【0077】
要約すると、所望のギャップサイズ及び結果としての所望の整流出力電圧が提供されるように、位置決め手段を制御することができる。
【0078】
1次側位置決め手段は、例えば特許文献5に記載されており、特許文献5は参照により本開示に組み込まれる。具体的には、誘導電力伝送パッドは固定部分と可動部分とを備えることができ、可動部分は1次巻線構造体を備え、可動部分は収縮状態と伸長状態との間で移動可能である。更に、電力伝送パッドは、可動部分が1組の所定の位置から1つの位置にのみ移動できるように設計されることができ、及び/又は制御可能とすることができ、1組の所定の位置は、収縮状態と伸長状態との間の全ての位置の組のサブセットである。更に、可動部分は、収縮状態又は伸長状態の方へのみ移動可能である。しかしながら、可動部分を収縮状態と伸長状態との間の各位置に動かすことも可能である。
【0079】
2次側位置決め手段は、例えば特許文献6に記載されており、特許文献6は参照により本開示に組み込まれる。具体的には、電気車両に搭載される誘導ピックアップ装置であって、電気車両は磁気誘導により該装置で生成される電気エネルギーで動作する、誘導ピックアップ装置は、磁界を受け取り、電気エネルギーを生成する少なくとも1つの電気インダクタンス、例えば2次巻線構造体、を備えるピックアップ部を備えることができる。更に、装置は、車両に搭載される搭載部及び、搭載部に対してピックアップ部の移動を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ又は1組の少なくとも2つのアクチュエータを備えることができ、搭載部及びピックアップ部は、少なくとも1つの接続部によって互いに移動可能に接続される。アクチュエータ又は1組のアクチュエータを、ピックアップ部が垂直方向に移動されるように作動させることができる。代替的に又は追加的に、ピックアップ部が、代替的に又は追加的に、縦方向及び/又は横方向に移動されるように、アクチュエータ又は1組のアクチュエータを作動させることができる。
【0080】
更に、第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータを動作させることによって延長及び短縮されることができる延長可能部を備えることができ、延長可能部は、第1の移動方向に延長又は短縮される。又、装置は第2のアクチュエータを備えることができ、第2のアクチュエータは、第2のアクチュエータを動作させることによって延長及び短縮されることができる延長可能部を備え、延長可能部は第2の移動方向に延長又は短縮され、第1及び第2の移動方向の少なくとも1つは横方向を含む。
【0081】
ピックアップ部が、ピックアップ部に搭載される電気インダクタンス、例えば2次巻線構造体、の出力電圧、例えば2次巻線構造体の出力電圧、具体的には整流出力電圧に応じて、垂直方向及び/又は横方向及び/又は縦方向に移動されるように、アクチュエータ又は1組のアクチュエータを作動させることができる。移動は、所望の出力電圧が供給されるように提供されることができる。
【0082】
従って、3つの構成が可能である。第1の構成では、ギャップサイズは2次側位置決め手段によってのみ変えられることができる。第2の構成では、ギャップサイズは1次側位置決め手段によってのみ変えられることができる。第3の構成では、ギャップサイズは2次側位置決め手段及び1次側位置決め手段の両方によって変えられることができる。
【0083】
別の実施形態では、WPCの入力電圧は、所望の伝送電流と実際の伝送電流との間の偏差に応じて制御される。
【0084】
実際の伝送電流は、例えば、2次側で電流検出手段、例えば電流センサ、を介して測定されることができる。実際の伝送電流に関する情報は、例えば少なくとも1つの通信手段を介して1次側に、例えば2次側制御ユニットから1次側制御ユニットに送信されることができる。例えば、所望の伝送電流がバッテリ又は車両管理システムによって決定されることが可能である。車両側電流制御ユニット又は路側制御ユニットは、実際の入力電流と所望の入力電流との偏差、例えば差、を決定することができる。前記偏差に応じて、WPC入力電圧生成手段の路側制御ユニットに対して設定点を決定することができる。
【0085】
設定点は車両側から1次側に送信されることができる。この場合、充電制御ユニットは車両側に配置される。送信された設定点に応じて、WPC入力電圧制御ユニットは、入力電圧生成手段、例えば入力電圧生成手段の出力電圧、を制御することができる。
【0086】
しかしながら、これは一例に過ぎない。前述したように、例えば、伝送電圧を調整するためにWPCの動作パラメータ、例えばWPCのデューティサイクル、WPCの動作周波数、及び/又はWPCによって生成される電圧間の位相シフトの設定点を決定することも可能である。
【0087】
一般に、設定点は、2次巻線構造体内に誘起される電圧を制御するためのパラメータを表すことができる。設定点は、例えば電圧値、電流値、又は電力値として提供されることができる。
【0088】
設定点又は所望の伝送電流と実際の伝送電流との間の偏差に関する情報は、一方向通信で車両側から1次側に送信されることができる。
【0089】
別の好ましい実施形態では、WPCの所望の入力電力とWPCの実際の入力電力との間の偏差が決定される。WPCの所望の入力電力は、エネルギー貯蔵要素の所望の入力電力とエネルギー貯蔵要素の実際の入力電力との間の偏差に応じて決定される。エネルギー貯蔵要素の所望の入力電力と実際の入力電力との間の前記偏差は、路側で、例えば路側評価もしくは制御ユニットによって、又は車両側で決定されることができる。
【0090】
WPCの所望の入力電流は、WPCの所望の入力電力と実際の入力電力との間の偏差に応じて決定される。前記所望の入力電流はまた路側又は車両側で決定されることができる。WPCの入力電圧はWPCの所望の入力電流に応じて制御される。入力電圧の制御はまた、路側で、例えば前述の又は他の路側制御ユニットによって実行されることができる。
【0091】
従って、誘導電力伝送システムは路側に3つの制御ユニットを備えることができる。第1の制御ユニットは、エネルギー貯蔵要素の所望の入力電力と実際の入力電力との間の偏差に基づいて、WPCの所望の入力電力を決定する。内部制御ユニットとも呼ばれることができる第2の制御ユニットは、WPCの所望の入力電力と実際の入力電力との間の偏差に基づいて、WPCの所望の入力電流を決定する。次に、第3の制御ユニットは、WPCの所望の入力電流に応じて、入力電圧生成手段、例えば昇圧コンバータ、の動作、例えば出力電圧、を制御する。
【0092】
外部制御ユニットとも呼ばれ得る第1の制御ユニットは、エネルギー貯蔵要素の所望の入力電力と実際の入力電力との間の偏差を低減する電力コントローラを提示する。第1の制御ユニットによって決定される偏差は、誘導電力伝送システムにおける損失に比例する。第2の内部制御ユニットは、例えば、路側から車両側への動力伝達経路が変化する場合に、具体的には高周波変圧器の前述の電圧比が変化する場合に、入力電圧生成手段の出力電力を一定に保つために、入力電圧生成手段の出力電圧を急速に又は迅速に変化させることができる電力制限手段を提供する。第2の内部制御ユニットは入力電圧生成手段の制御ユニットに対して設定点を提供する。入力電圧生成手段の制御ユニットは第3の制御ユニットと呼ぶこともできる。
【0093】
実際の入力電力及び所望の入力電力又はそれらに関する情報を、車両側から路側、例えば第1の制御ユニット、に送信することが可能である。前記電力は、例えば検知手段を用いて又は車両のエネルギー管理システムによって決定されることができる。例えば、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の実際の入力電流及び実際の入力電圧を検出し、これらの値を車両側から路側に送信することが可能である。また、所望の電流値及び電圧値を車両側から路側に送信することもできる。路側で、例えば第1の制御ユニットによって、対応する所望の入力電力及び実際の入力電力及び対応する偏差を決定することができる。この偏差に基づいて、入力電圧生成手段の所望の出力電力を決定することができる。
【0094】
入力電圧生成手段の実際の出力電流は、例えば電流センサによって、検出され、第2及び第3の制御ユニットにフィードバックされることができる。また、WPCの入力電圧に対応する入力電圧生成手段の出力電圧は、例えば電圧センサによって検知され、第2及び/又は第3の制御ユニットにフィードバックされることができる。入力電圧生成手段の実際の出力電流及び実際の出力電圧は、入力電圧生成手段の実際の出力電力を決定することを可能にする。
【0095】
外部及び内部制御ユニットに基づいて、電力が路側で制限又は制御されるので、エネルギー貯蔵要素の入力電力及び入力電流が超過することはないことが有利にも保証される。
【0096】
これは、有利にも、路側コントローラが前述の制限を提供するので、路側と車両側との間の双方向通信を実装することを回避する。
【0097】
好ましい実施形態では、実際の伝送電流、所望の伝送電流、及び実際の伝送電圧が、一方向通信で2次側から1次側に送信される。これは、有利にも、非常に高速な通信を提供し、結果として安全性要件を満たすことを保証する。更に、通信が、特に短時間の間、中断される場合、1次側安全対策を開始することができる。例えば、1次側要素に電力制限を設けることができる。この場合、システムが自己制御式であるので、通信中断でさえ、エネルギー伝送を止める必要はない。伝送電流及び伝送電圧は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素又はエネルギー貯蔵要素を備える車両側電気回路網の前述の入力電流及び入力電圧に対応することができる。
【0098】
エネルギーを車両に伝送する誘導電力伝送システムが更に提案され、誘導電力伝送システムは、交番電磁界を生成する1次巻線構造体と、交番電磁界を受け取り、交流出力電圧を生成する2次巻線構造体とを備える。更に、交流出力電圧は、例えば誘導電力伝送システムの整流器によって、整流可能であり、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素に供給可能である。
【0099】
更に、誘導電力伝送システムは、1次巻線構造体と2次巻線構造体との間のギャップのギャップサイズを調整する少なくとも1つの手段を備え、整流出力電圧はギャップサイズを変えることによって調整可能である。
【0100】
本発明によれば、ギャップサイズは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の充電特性に応じて、エネルギー伝送プロセスを準備及び/又は開始及び/又は制御するために事前に調整可能である。
【0101】
提案された誘導電力伝送システムは、特に、ギャップサイズ、WPCの入力電圧、及び他の前述の操作変数を制御するための1つ又は複数の制御ユニットを備えることができる。
【0102】
提案された誘導電力伝送システムは、有利にも、先に説明した実施形態の1つによる誘導電力伝送システムを動作させる提案された方法を実行することを可能にする。
【0103】
別の実施形態では、誘導電力伝送システムは、WPCの調整可能な入力電圧を提供する少なくとも1つの入力電圧生成手段を備え、WPCは、入力電圧を調整する少なくとも1つの手段を介して電圧供給手段に接続される。電圧供給手段は、例えば、直流電圧供給手段又は交流供給手段、例えば外部電力回路網又はバッテリ、によって提供されることができる。
【0104】
これは、有利にも、WPCの入力電圧を調整することによって、追加的に少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の入力電圧を調整することを可能にする。
【0105】
別の実施形態では、少なくとも1つの入力電圧生成手段は、昇圧コンバータもしくは降圧コンバータ又はそれらの結合によって提供される。これは、有利にも、入力電圧供給手段の簡単な設計を可能にする。
【0106】
別の実施形態では、1次巻線構造体と2次巻線構造体との間のギャップのギャップサイズを調整する少なくとも1つの手段は、2次側位置決め手段及び/又は1次側位置決め手段によって提供される。この場合、誘導電力伝送システムは一方又は両方の位置決め手段を備えることができる。先に説明したように、位置決め手段を、1次巻線構造体及び/又は2次巻線構造体を平行移動及び/又は回転させるために動作させることができる。
【0107】
先に説明したように、2次側位置決め手段は持上デバイスによって提供されることができ、且つ/又は1次側位置決め手段は作動手段によって提供されることができる。
【0108】
別の実施形態では、誘導電力伝送システムは、2次側と1次側との間の一方向通信のための少なくとも1つの手段を備える。前記一方向通信で、実際の伝送電流及び所望の伝送電流並びに/又は実際の伝送電圧及び所望の伝送電圧を車両から路側に送信することができる。