(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567052
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒドを捕捉するためのポリマー材料
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20190819BHJP
C08F 12/34 20060101ALI20190819BHJP
C08F 8/28 20060101ALI20190819BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
B01J20/26 A
C08F12/34
C08F8/28
B01J20/28 Z
【請求項の数】2
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-526555(P2017-526555)
(86)(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公表番号】特表2018-501086(P2018-501086A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】US2015059909
(87)【国際公開番号】WO2016081226
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年7月31日
(31)【優先権主張番号】62/080,817
(32)【優先日】2014年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ウェンドランド, マイケル エス.
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第00800639(GB,A)
【文献】
国際公開第2014/052021(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/051918(WO,A1)
【文献】
特開平11−146907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00− 20/28
B01J 20/30− 20/34
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
C08F 301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)吸着剤ポリマー材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの式−SO
2R
5の基を有し、前記吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤ポリマー材料、を提供することと、
b)前記吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることと、
を含み、
前記吸着剤ポリマー材料を提供することは、前駆体ポリマー材料をスルホニル含有化合物と反応させることを含み、
前記前駆体ポリマー材料は、式(I)
【化1】
(I)
のモノマーを含有する重合性組成物、の重合生成物を含み、
各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルであり、少なくとも1つのR
1が水素であり、
各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しており、
各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成しており、
各R
4は、独立して、水素であるか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に、炭素−炭素結合を形成しており、
各R
5は、独立して、−NH
2又は−NR
6−Q−NR
6R
7であり、
各R
6は、独立して、水素又はアルキルであり、
各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2であり、
Qは、単結合、アルキレン、又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、
各Q
1はアルキレンであり、
各Q
2は、アルキレンであり、
xは、1〜4の範囲の整数である、ホルムアルデヒドの捕捉方法。
【請求項2】
a)吸着剤ポリマー材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの
式−SO
2R
5の基を有し、前記吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤ポリマー材料と、
b)ホルムアルデヒドと、
を含有する混合物、の反応生成物を含み、
前記吸着剤ポリマー材料は、前駆体ポリマー材料とスルホニル含有化合物との反応生成物を含み、
前記前駆体ポリマー材料は、式(I)
【化2】
(I)
のモノマーを含有する重合性組成物、の重合生成物、を含み、
各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルであり、少なくとも1つのR
1が水素であり、
各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しており、
各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成しており、
各R
4は、独立して、水素であるか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に、炭素−炭素結合を形成しており、
各R
5は、独立して、−NH
2又は−NR
6−Q−NR
6R
7であり、
各R
6は、独立して、水素又はアルキルであり、
各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2であり、
Qは、単結合、アルキレン、又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、
各Q
1はアルキレンであり、
各Q
2は、アルキレンであり、
xは、1〜4の範囲の整数である、ポリマー材料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年11月17日出願の米国特許仮出願第62/080817号の利益を主張するものであり、その開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
(技術分野)
ホルムアルデヒドを捕捉するのに好適な吸着剤ポリマー材料、吸着剤ポリマー材料によるホルムアルデヒドの捕捉から生じたポリマー材料、及びホルムアルデヒドの捕捉方法が記載される。
【0003】
(背景)
ホルムアルデヒドは、既知の発癌性物質であり、アレルゲンである。このため、米国労働安全衛生庁(OSHA)は、ホルムアルデヒド蒸気に関して、8時間の曝露制限を0.75ppm(parts per million)、15分の曝露制限を2ppmに設定している。その毒性にもかかわらず、ホルムアルデヒドは、大量生産されている工業的化合物である。例えば、発泡断熱材、パーティクルボード、カーペット、塗料及びワニスを含む、種々の建築材料における広範な使用が認められる多数のポリマー材料を調製するために使用される。これらの建築材料からの残留ホルムアルデヒドのアウトガスにより、ホルムアルデヒドは、最も主要な室内空気汚染物質の1つになっている。ホルムアルデヒドはまた、有機材料の燃焼の副生成物でもある。そのため、ホルムアルデヒドは、自動車排ガス、メタン燃焼、森林火災及びタバコの煙から生じる一般的な外気汚染物質でもある。
【0004】
北米では、ホルムアルデヒドの厳しいアウトガス制限が建築材料に課されているが、世界の全て地域でそうであるわけではない。例えば、アジアの一部の国々では、建築材料に対する制限はほとんどない。家庭用暖房及び自動車走行へのバイオ燃料の使用増加と重なり、危険レベルのホルムアルデヒド蒸気が室内空気と外気の両方で発生する可能性がある。このため、室内空気と外気の両方の汚染物質であるホルムアルデヒド蒸気に対するヒト曝露を減じるための解決策が直ちに必要である。
【0005】
ホルムアルデヒドは揮発性が高い(室温で気体である。)ため、物理吸着の機構のみで捕捉することは極めて難しい。しかしながら、ホルムアルデヒドは反応性であることから、化学吸着によって、より容易に捕捉することができる。化学吸着の場合、ホルムアルデヒド蒸気は、吸着剤自体又は吸着剤に含浸させた化学物質との化学的反応により捕捉される。したがって、ホルムアルデヒド用高容量吸着剤を作製するのに重要な点は、ホルムアルデヒドに対する反応部位を多く有する吸着剤を提供することである。
【0006】
ホルムアルデヒドの捕捉に使用されている典型的な吸着材料の1つは、活性炭スキャフォールド(scaffold)によるものである。しかし、活性炭のスキャフォールドは、比較的不活性であり、この不活性により、活性炭スキャフォールド自体に高密度の反応性基を組み込むことは難しい。このため、ホルムアルデヒド用吸着剤の製造に対する努力のほとんどは、ホルムアルデヒドと反応できる含浸化学物質を見出すことに焦点が当てられてきた。そのため、活性炭スキャフォールドには、典型的には、ホルムアルデヒドと反応する種々の化学物質が含浸されている。ホルムアルデヒドの捕捉に使用される最も一般的な2つの含浸化学物質は、スルファミン酸のナトリウム塩及びリン酸と共含浸させたエチレン尿素である。
【0007】
含浸は、一般に、吸着剤の作製にいくつかの欠点を有する。まず、含浸化学物質は、移動する場合があり、これは、特に、他の吸着剤が同じ製品中に使用されている場合、問題となる。含浸の別の欠点は、揮発性有機化合物(VOC)を吸着する活性炭の能力が排除されてしまうことである。含浸化学物質が活性炭の孔を占有するため、物理吸着によってのみ捕捉される非反応性蒸気の捕捉に利用できる表面積が減少する。
【0008】
(概要)
ホルムアルデヒドを捕捉するのに好適な吸着剤ポリマー材料、吸着剤ポリマー材料によるホルムアルデヒドの捕捉から生じたポリマー材料、及びホルムアルデヒドの捕捉方法が提供される。
【0009】
より詳細には、ホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドと反応可能な基を有するポリマー材料によって捕捉される。この反応性基は、式−SO
2R
5のものであり、式中、各R
5は、独立して、
−NH
2又は−NR
6−Q−NR
6R
7である。各R
6は、水素又はアルキルである。各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2である。各Qは、単結合、アルキレン又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1はアルキレンであり、各Q
2はアルキレンであり、xは1〜4の範囲の整数である。
【0010】
式−SO
2R
5の基を有するポリマー材料は、本明細書にて、互換的に、「吸着剤」又は「吸着剤ポリマー」又は「吸着剤ポリマー材料」という。吸着剤ポリマー材料は、通常、多孔性であり、細孔径は、吸着剤ポリマー材料を生成するために使用される個々のモノマー及び反応条件に応じて、ミクロ細孔性領域、メソ細孔性領域、マクロ細孔性領域又はこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0011】
吸着剤ポリマー材料は、複数の芳香環を有し、最初に、フリーラジカル重合性スピロビスインダンモノマーを含有する重合性組成物から前駆体ポリマー材料を調製することにより生成することができる。続いて、この前駆体ポリマー材料をスルホニル含有化合物で処理して、式−SO
2R
5の基を生成する。
【0012】
第1の態様において、ホルムアルデヒドの捕捉方法が提供される。この方法は、(a)吸着剤ポリマー材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの式−SO
2R
5の基を有し、吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤ポリマー材料を提供することと、(b)吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることと、を含む。吸着剤ポリマー材料を提供することは、前駆体ポリマー材料を生成することと、次いで、この前駆体ポリマー材料をスルホニル含有化合物と反応させることと、を含む。前駆体ポリマー材料は、式(I)
【化1】
(I)
のモノマーを含有する重合性組成物の重合生成物を含む。
式(I)中、各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルであり、少なくとも1つのR
1は水素である。各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成している。各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
4は、独立して、水素であるか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
5は、独立して、−NH
2又は
−NR
6−Q−NR
6R
7である。各R
6は、水素又はアルキルである。各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2である。各Qは、単結合、アルキレン又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1はアルキレンであり、各Q
2はアルキレンであり、xは1〜4の範囲の整数である。
【0013】
第2の態様において、(a)吸着剤ポリマー材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの式−SO
2R
5の基を有し、吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤ポリマー材料と、(b)ホルムアルデヒドと、を含有する混合物、の反応生成物を含む、ポリマー材料が提供される。吸着剤ポリマー材料は、上述のものと同じである。
【0014】
(詳細な説明)
吸着剤ポリマー材料上にホルムアルデヒドを捕捉する方法が提供される。吸着剤ポリマー材料は、ホルムアルデヒドと反応可能な式−SO
2R
5の基を有する。吸着剤ポリマー材料は、(a)フリーラジカル重合性スピロビスインダンモノマーを含有する重合性組成物から前駆体ポリマー材料を調製することと、(b)この前駆体ポリマー材料をスルホニル含有化合物で処理して、式−SO
2R
5の基を生成することとによって生成することができる。各R
5は、独立して、−NH
2又は−NR
6−Q−NR
6R
7である。各R
6は、水素又はアルキルである。各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2である。各Qは、単結合、アルキレン又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1はアルキレンであり、各Q
2はアルキレンであり、xは1〜4の範囲の整数である。
【0015】
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と互換的に使用され、記載される要素のうちの1つ以上を意味する。
【0016】
用語「ハロ」は、ハロゲン原子のラジカルである一価の基を指す。ハロは、フッ素、塩素、臭素、又はヨードであってもよい。
【0017】
用語「アルキル」は、アルカンの基である一価の基を指す。アルキル基は20個までの炭素原子を有することができ、かつ直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってよい。アルキルが直鎖状である場合、このアルキルは1〜20個の炭素原子を有することができる。アルキルが分枝状又は環状である場合、このアルキルは3〜20個の炭素原子を有することができる。
【0018】
用語「アルキレン」は、アルカンの基である二価の基を指す。アルキレン基は20個までの炭素原子を有することができ、かつ直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってよい。アルキレンが直鎖状である場合、このアルキレンは1〜20個の炭素原子を有することができる。アルキレンが分枝状又は環状である場合、このアルキレンは3〜20個の炭素原子を有することができる。
【0019】
用語「アリール」とは、芳香族炭素環式化合物の基である一価の基を指す。アリール基は、少なくとも1個の芳香族炭素環を有し、その芳香族炭素環に結合又は縮合している1〜5個の任意の環を有し得る。これらの更なる環は、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであり得る。アリール基は、通常、5〜20個の炭素原子又は6〜10個の炭素原子を有する。
【0020】
用語「アルカリール」は、少なくとも1個のアルキル基で置換されたアリール基を指す。アルカリール基は、6〜40個の炭素原子を有する。アルカリール基は、多くの場合、5〜20個の炭素原子を有するアリール基及び1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を含有する。
【0021】
用語「アラルキル」は、少なくとも1個のアリール基で置換されたアルキル基を指す。アラルキル基は、6〜40個の炭素原子を含有する。アラルキル基は、多くの場合、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基及び5〜20個の炭素原子を有するアリール基を含有する。
【0022】
用語「炭素環式基」は、脂肪族又は芳香族炭素環構造を指す。炭素環式基は、飽和、部分不飽和、又は不飽和であり得る。炭素環式基は、多くの場合、5〜20個の炭素原子を含有する。
【0023】
用語「スルホニル」は、基−SO
2−を指す。用語「スルホニル含有化合物」は、−SO
2−基を有する化合物を指す。スルホニル含有化合物は、前駆体ポリマーへ直接的に基−SO
2R
5を導入してもしなくてもよい。いくつかの実施形態において、中間体スルホニル含有基は、前駆体とスルホニル含有化合物との反応により導入される。続いて、この中間体を反応させて、吸着剤ポリマー材料に式−SO
2R
5の基を与える。
【0024】
用語「ポリマー」は、ホモポリマー等の1つのモノマーから調製されたポリマー材料、又はコポリマー、ターポリマー等の2つ以上のモノマーから調製された材料の両方を指す。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等であり得るポリマー材料の作製プロセスを指す。
【0025】
用語「ミクロ細孔」は、2ナノメートル未満の直径を有する孔を指す。
【0026】
用語「メソ細孔」は、2〜50ナノメートルの範囲の直径を有する孔を指す。
【0027】
用語「マクロ細孔」は、50ナノメートルを超える直径を有する孔を指す。
【0028】
第1の態様において、ホルムアルデヒドの捕捉方法が提供される。この方法は、複数の芳香環を有し、式−SO
2R
5の基を有する、吸着剤ポリマー材料の使用に基づく。
【0029】
ホルムアルデヒドは、−SO
2R
5基と化学的に反応でき、この反応により、吸着剤ポリマー材料によるホルムアルデヒドの捕捉がなされる。吸着剤ポリマー材料は、典型的には、式−SO
2R
5の基を有していない前駆体ポリマー材料から生成する。前駆体ポリマー材料は、式(I)
【化2】
(I)
のモノマーを含有する重合性組成物の重合生成物を含む。
式(I)中、各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルであり、少なくとも1つのR
1は水素である。各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成している。各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
4は、独立して、水素であるか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に炭素−炭素結合を形成している。
【0030】
式(I)中、各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルである。R
1に好適なハロ基としては、塩素及び臭素が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアルキル基は、多くの場合、最大20個の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有する。例えばこのアルキル基は、1〜10個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有し得る。好適なアリール基は、多くの場合、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する。多くの実施形態において、アリール基はフェニルである。好適なアルカリール基及びアラルキル基は、多くの場合、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有するアリール基を有し、最大10個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有するアルキル基を有する。アルカリール基の例は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基で置換されたフェニルである。アラルキル基の例は、フェニルで置換された1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0031】
式(I)で表されるモノマー中、少なくとも1つのR
1は水素である。いくつかの実施形態では、式(I)に示す各芳香環上の少なくとも1つのR
1は水素に相当する。すなわち、式(I)で表されるモノマーにおいて、少なくとも2つのR
1基は水素に相当する。これは、多くの場合、吸着剤ポリマー材料の生成中に、スルホニル含有化合物と反応して、前駆体ポリマー材料に式−SO
2R
5の基を導入する部分である。すなわち、最終的な吸着剤ポリマー材料において、式(I)のモノマーから調製された前駆体ポリマー材料中の水素に相当するR
1基のうちの1つが式−SO
2R
5のスルホニル含有基により置き換えられる。
【0032】
式(I)中、各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成している。好適なアルキル基は、多くの場合、最大20個の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有する。例えばこのアルキル基は、1〜10個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有し得る。好適なアリール基は、多くの場合、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する。多くの実施形態において、アリール基はフェニルである。好適なアルカリール基及びアラルキル基は、多くの場合、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有するアリール基を有し、最大10個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有するアルキル基を有する。アルカリール基の例は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基で置換されたフェニルである。アラルキル基の例は、フェニルで置換された1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0033】
R
2及びR
3の組み合わせにより形成される好適な環状アルキル基は、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有することができる。多くの実施形態において、環状アルキル基は、3〜8個の炭素原子又は3〜6個の炭素原子を有する。環状アルキル基は、任意に、1つ以上の炭素環に縮合していてもよい。各炭素環は、典型的には、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有し、芳香族(すなわち、不飽和)、部分不飽和、又は飽和であってもよい。縮合炭素環は、多くの場合、ベンゼン環である。縮合炭素環を1つ以上有する環状アルキルの例は、フルオレニル(すなわち、フルオレンの一価の基)である。
【0034】
各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成している。好適なアルキル基は、多くの場合、最大20個の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有する。例えばこのアルキル基は、1〜10個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有し得る。好適なアリール基は、多くの場合、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する。多くの実施形態において、アリール基はフェニルである。好適なアルカリール基及びアラルキル基は、多くの場合、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有するアリール基を有し、最大10個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有するアルキル基を有する。アルカリール基の例は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基で置換されたフェニルである。アラルキル基の例は、フェニルで置換された1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。R
2及びR
3の組み合わせにより形成される好適な環状アルキル基は、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有することができる。多くの実施形態において、環状アルキル基は、3〜8個の炭素原子又は3〜6個の炭素原子を有する。環状アルキル基は、任意に、1つ以上の炭素環に縮合していてもよい。各炭素環は、典型的には、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有し、芳香族(すなわち、不飽和)、部分不飽和、又は飽和であってもよい。縮合炭素環は、多くの場合、ベンゼン環である。縮合炭素環を1つ以上有する環状アルキルの例は、フルオレニル(すなわち、フルオレンの一価の基)である。
【0035】
各R
4は、独立して、水素であり、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に炭素−炭素結合を形成する。
【0036】
式(I)のモノマーのいくつかの具体的な実施形態では、R
1は水素又はハロであり、R
2は1〜10個の炭素原子(例えば、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、又は1個の炭素原子)を有するアルキルであり、R
3は1〜10個の炭素原子(例えば、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、又は1個の炭素原子)を有するアルキルであり、R
4は水素である。式(I)のモノマーの他のより具体的な実施形態では、各R
1は水素であり、R
2は1〜6個の炭素原子(例えば、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、又は1個の炭素原子)を有するアルキルであり、R
3は1〜6個の炭素原子(例えば、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、又は1個の炭素原子)を有するアルキルであり、R
4は水素である。式(I)のモノマーの更により具体的な実施形態では、各R
1は水素であり、R
2はメチルであり、R
3はメチルであり、R
4は水素である。このモノマーは3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−6,6’−ジビニルである。
【0037】
式(I)のモノマーは、何らかの既知の方法を使用して調製することができる。例えば、モノマーは、反応スキームAに示す通りに調製することができ、スキーム中、R
1基及びR
4基の全ては水素であり、R
2基及びR
3基の全てはアルキル又は水素である。
【0038】
反応スキームA
【化3】
【化4】
式(II)のビスフェノール化合物を、メタンスルホン酸(MSA)と反応させて、式(III)のスピロビスインダン−6,6’−ジオール化合物を生成する。ピリジン及び塩化メチレンなどの溶媒の存在下で、スピロビスインダン−6,6’−ジオールをトリフルオロメタンスルホン酸無水物(TFMSA)と反応させて、式(IV)のスピロビスインダン−6,6’−ビストリフレート化合物を生成することができる。このスピロビスインダン−6,6’−ビストリフレート化合物を、続いてスティルカップリング反応に供して、式(V)のスピロビスインダン−6,6’−ジビニル化合物を生成することができる。すなわち、式(IV)の化合物を塩化リチウム、パラジウム触媒、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒の存在下でトリブチルビニルスズと反応させて、重合性基を導入する。この合成アプローチについての詳細は、実施例の節の、「式(II)の化合物としてビスフェノールAから出発するモノマー3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−6,6’−ジビニルの調製」において更に記載する。
【0039】
式(I)のモノマーは、反応スキームBに示す通りに調製することができ、スキーム中、R
3及びR
4は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し、R
2はアルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルである。
【0040】
反応スキームB
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
ジオン(化合物(VII))の形成に関与する化学はOrg.Lett.,2008,10,2641に記載されている。より具体的には、ジエチル−1,3−アセトンジカルボキシレート及びメトキシベンゼンを、スルホン酸の存在下で反応させて、化合物(VI)を生成する。この反応後、加水分解、次にポリリン酸(PPA)及び三塩化アルミニウム(AlCl
3)により介在されるフリーデルクラフツアシル化により、化合物(VII)を生成する。グリニャール反応を使用して、ジオン(化合物(VII))から様々な式(I)のモノマーを調製することができる。この種の反応は、グリニャール試薬としてR
2MgBrを使用する反応スキームBにおいて例示される。硫酸水溶液による処理後に無水スピロビスインダン(化合物(VIII))が生成する。化合物(VIII)を三臭化ホウ素(BBr
3)と反応させて、メチル基をヒドロキシル基に変換する。次に、ヒドロキシル基を、ピリジン及び塩化メチレンなどの溶媒の存在下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(TFMSA)と反応させて、トリフレート基を有する化合物(IX)を生成する。このトリフレート基を、塩化リチウム、パラジウム触媒、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒の存在下でトリブチルビニルスズと反応させる。多くの場合、スティルカップリング反応と呼ばれるこの反応により、化合物(X)に示す通りの重合性基が導入される。
【0041】
前駆体ポリマー材料の調製に使用する重合性組成物は、少なくとも式(I)のモノマーを含有する。いくつかの実施形態では、重合性組成物中の唯一のモノマーが式(I)のモノマーであり、前駆体ポリマー材料はホモポリマーである。他の実施形態では、重合性組成物は、式(I)のモノマーと、式(I)のものではない少なくとも1つのコモノマーとを含有する。このような前駆体ポリマー材料はコポリマーである。
【0042】
コモノマーは、多くの場合、多孔性の前駆体ポリマー材料を調製するために選択される。いくつかの実施形態では、コモノマーは、1つ以上のポリビニル芳香族モノマーを含有する。用語「ポリビニル芳香族モノマー」は、式(I)のものではなく、かつそれぞれ芳香族炭素環式基に結合しているビニル基を複数(例えば、2又は3個)有するモノマーを指す。芳香族炭素環式基は、少なくとも1個の芳香族炭素環を有し、その芳香族炭素環に結合又は縮合している1〜5個の任意の環を有し得る。これらの更なる環は、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであり得る。これらの環のうちのいずれかは、任意に、1つ以上のアルキル基で置換され得る。芳香族炭素環式基は、通常、5〜20個の炭素原子、6〜20個の炭素原子、又は6〜10個の炭素原子を有する。ポリビニル芳香族モノマーは、多くの場合、ジビニル芳香族モノマー(例えば、ジビニルベンゼン又は1つ以上のアルキル基で置換されたジビニルベンゼン)又はトリビニル芳香族モノマー(例えば、トリビニルベンゼン又は1つ以上のアルキル基で置換されたトリビニルベンゼン)である。
【0043】
重合性組成物は、多くの場合、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%の式(I)のモノマーを含有する。ミクロ細孔を有するポリマー材料の調製のために、重合性組成物は、多くの場合、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の式(I)のモノマーを含有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、重合性組成物は、1〜99重量%の式(I)のモノマー及び1〜99重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有し得る。例えば、重合性組成物は、10〜90重量%の式(I)のモノマー及び10〜90重量%のポリビニル芳香族モノマー、20〜80重量%の式(I)のモノマー及び20〜80重量%のポリビニル芳香族モノマー、30〜70重量%の式(I)のモノマー及び30〜70重量%のポリビニル芳香族モノマー、又は40〜60重量%の式(I)のモノマー及び40〜60重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有し得る。この重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている。
【0045】
他の実施形態では、重合性組成物は、50〜99重量%の式(I)のモノマー及び1〜50重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有し得る。例えば、重合性組成物は、60〜99重量%の式(I)のモノマー及び1〜40重量%のポリビニル芳香族モノマー、70〜99重量%の式(I)のモノマー及び1〜30重量%のポリビニル芳香族モノマー、80〜99重量%の式(I)のモノマー及び1〜20重量%のポリビニル芳香族モノマー、又は90〜99重量%の式(I)のモノマー及び1〜10重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有し得る。この重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている。
【0046】
いくつかのポリビニル芳香族モノマーは、不純物として1つ以上のモノビニル芳香族モノマーを含有し得る。本明細書で使用するとき、用語「モノビニル芳香族モノマー」は、芳香族炭素環式基に結合した単一のビニル基を有するモノマーを指す。芳香族炭素環式基は、少なくとも1個の芳香族炭素環を有し、その芳香族炭素環に結合又は縮合している1〜5個の任意の環を有し得る。これらの更なる環は、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであり得る。これらの環のうちのいずれかは、任意に、1つ以上のアルキル基で置換され得る。芳香族炭素環式基は、通常、5〜20個の炭素原子、6〜20個の炭素原子、又は6〜10個の炭素原子を有する。モノビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、エチルスチレン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリビニル芳香族モノマーは、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%のモノビニル芳香族モノマーを含有する。例えば、テクニカルグレードのジビニルベンゼンは、典型的には約20重量%のエチルスチレンを含有する。この重量%は、モノビニル芳香族モノマー及びポリビニル芳香族モノマーの総重量に基づいている。
【0048】
ポリビニル芳香族モノマー中に存在し得る不純物を考慮すると、重合性組成物は、多くの場合、1〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜25重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜99重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。別の例では、重合性組成物は、1〜98重量%の式(I)のモノマー、1〜20重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜98重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。更に別の例では、重合性組成物は、5〜90重量%の式(I)のモノマー、5〜19重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び5〜90重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。多孔性のポリマー材料が望ましい場合、モノビニル芳香族モノマーの量は、典型的には、15重量%未満、10重量%未満、又は5重量%未満になるように選択され、かつ多くの場合、少なくとも50重量%の式(I)のモノマーを更に含有する。この重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている。
【0049】
いくつかの実施形態において、ミクロ細孔性である前駆体ポリマー材料が望ましい。ミクロ細孔性前駆体ポリマー材料を調製するために、重合性組成物は、多くの場合、40〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜15重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜60重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。例えば、重合性組成物は、50〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜10重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜50重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。別の例では、重合性組成物は、60〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜10重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜40重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。更に別の例では、重合性組成物は、70〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜10重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜30重量%のポリビニル芳香族モノマーを含有する。この重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている。
【0050】
様々なモノマーに加えて、重合性組成物は、典型的には、フリーラジカル重合反応の開始剤を含有する。任意の好適なフリーラジカル開始剤を使用できる。いくつかの実施形態では、フリーラジカル開始剤は、熱開始剤であり、通常、室温を超える温度で活性化される。他の実施形態では、フリーラジカル開始剤はレドックス開始剤である。好適なフリーラジカル開始剤は、典型的には、重合性組成物中に含まれるモノマーと混和性であるように選択される。フリーラジカル開始剤は、典型的には、0.05〜10重量%の範囲、0.05〜5重量%の範囲、0.05〜2重量%の範囲、0.05〜1重量%の範囲、0.1〜5重量%の範囲、0.2〜5重量%の範囲、0.5〜5重量%の範囲、0.1〜2重量%の範囲、又は0.1〜1重量%の範囲の量で存在する。この重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている。開始剤の種類及び量の両方が重合速度に影響を与え、ひいては前駆体ポリマー材料の生成に影響を与え得る。
【0051】
好適な熱開始剤としては、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。アゾ化合物の例としては、E.I.du Pont de Nemours Co.(Wilmington,DE)から商標表記VAZOで市販されているもの、例えば、VAZO 64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリルニトリル))(多くの場合、AIBNと称される。)及びVAZO 52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル))が挙げられるが、これらに限定されない。その他のアゾ化合物は、Wako Chemicals USA,Inc.(Richmond,VA)から市販されており、例えば、V−601(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート))、V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、及びV−59(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))などである。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド(BPO)などのビス(1−オキソアリール)ペルオキシド、例えば、ラウロイルペルオキシドなどのビス(1−オキソアルキル)ペルオキシド、及び例えば、ジクミルペルオキシド又はジ−tert−ブチルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。熱開始剤を活性化させるのに必要とされる温度は、多くの場合、25℃〜160℃、30℃〜160℃、又は40℃〜160℃の範囲である。
【0052】
好適なレドックス開始剤としては、アリールスルフィネート塩又はトリアリールスルホニウム塩と、酸化状態、過酸化物、又は過硫酸塩の金属との組み合わせが挙げられる。具体的なアリールスルフィネート塩としては、テトラアルキルアンモニウムアリールスルフィネート、例えば、テトラブチルアンモニウム4−エトキシカルボニルベンゼンスルフィネート、テトラブチルアンモニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネート、及びテトラブチルアンモニウム3−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネートなどが挙げられる。具体的なトリアリールスルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムカチオンを有するもの、及びPF
6−、AsF
6−、及びSbF
6−から選択されるアニオンを有するものが挙げられる。好適な金属イオンとしては、例えば、第3族の金属イオン、遷移金属、及びランタニド金属が挙げられる。具体的な金属イオンとしては、Fe(III)、Co(III)、Ag(I)、Ag(II)、Cu(II)、Ce(III)、Al(III)、Mo(VI)、及びZn(II)が挙げられるがこれらに限定されない。好適な過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等が挙げられる。好適な過硫酸としては、例えば、過硫酸アンモニウム、テトラアルキル過硫酸アンモニウム(例えば、テトラブチル過硫酸アンモニウム)等が挙げられる。
【0053】
重合性組成物は、典型的には溶媒も含有する。任意の好適な溶媒又は溶媒混合物を選択できる。1つ以上の溶媒は、典型的には、重合性組成物中に含まれるモノマーと混和性であるように選択される。つまり、重合性組成物中のモノマーは、典型的には1つ以上の溶媒中に溶解される。更に、1つ以上の溶媒の選択により、重合性組成物から形成された前駆体ポリマー材料の空隙率が変更され得る。空隙率は、多くの場合、重合プロセス中に成長するポリマー鎖の相分離の開始を遅らせることにより増加する。すなわち、モノマー及び成長するポリマー材料の両方に対して良好な溶解性を有する溶媒の使用は、空隙率を増加させる傾向がある。溶解パラメーターの計算を使用して、ポリマー材料に近い溶媒又は溶媒混合物を選択することができる。空隙率を増加させる傾向のある溶媒としては、酢酸エチル、酢酸アミル(すなわち、酢酸n−ペンチル)、及びメチルエチルケトンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0054】
成長するポリマー鎖の相分離の開始は、重合速度の低下によっても遅らせることができる。重合速度は、低重合温度を用い、かつ低温で活性化される開始剤を選択することにより低下させることができる。重合性組成物に添加される開始剤の量も、反応速度に影響し得る。すなわち、反応速度は、典型的には、開始剤を多量に添加するほど増加する。
【0055】
更に、重合性組成物の固体%も重合速度に影響し得る。典型的には、より低い固体%が空隙率には好ましい傾向がある。固形分(%)は、多くの場合、重合性組成物の合計重量に基づき、0.5〜50重量%、1〜40重量%、1〜30重量%、1〜20重量%、1〜15重量%、1〜10重量%、1〜6重量%、又は2〜6重量%の範囲である。
【0056】
必要に応じて、他の種類の重合法、例えば、乳化重合方法及び懸濁重合方法などを使用することもできる。多孔性前駆体ポリマー材料が望ましい場合、重合性組成物及び反応条件は、上記の原理を使用し選択できる。
【0057】
前駆体ポリマー材料である重合生成物は、残存モノマーを洗い流すために容易に粉砕することができるモノリスであってよい。洗浄された生成物を乾燥させて、粉末を形成することができる。あるいは、懸濁重合方法又は乳化重合方法が使用される場合、重合生成物は、ビーズ又は粒子の形態であってもよい。
【0058】
前駆体ポリマー材料は多孔性であってもよい。空隙率は、低温条件下で吸着質として窒素又はアルゴンを使用して、様々な分圧(例えば、10
−6〜0.98)で得られる吸着等温線から特性評価することができる。全空隙率は、0.95近傍以上の相対圧力下で吸着した合計窒素量に基づき、計算することができる。全空隙率は、多くの場合、少なくとも0.10cm
3/g、少なくとも0.20cm
3/g、少なくとも0.30cm
3/g、又は少なくとも0.4cm
3/gである。全空隙率は、例えば、1.2cm
3/g以上、最大1.1cm
3/g、最大1.0cm
3/g、最大0.95cm
3/g、又は最大0.90cm
3/gであってもよい。
【0059】
前駆体ポリマー材料の全空隙率及び細孔径分布は、重合性組成物におけるモノマーの選択、並びに反応条件、例えば、溶媒選択、重合性組成物の固体%、及び重合速度により変更できる。多くの実施形態では、多孔性前駆体ポリマー材料は、ミクロ細孔性、メソ細孔性、又はこれらの両方である。式(I)のモノマーを含有する重合性組成物から調製されたホモポリマーはミクロ細孔性である傾向がある。特定の反応条件に応じて、孔は主にミクロ細孔性であってもよい。ミクロ細孔及びメソ細孔の両方を有する前駆体ポリマー材料を調製するため、式(I)のものではない様々なポリビニル芳香族モノマーを重合性組成物に添加することができる。式(I)のモノマーに対してポリビニル芳香族モノマーの量を増加させると、ミクロ細孔に起因する全空隙率の割合は低下する傾向にある。
【0060】
全表面積は、0.35未満、0.30未満、0.25未満、又は0.20未満の相対圧下での等温データのBET(ブルナウアー、エメット及びテラー)解析をもとに計算できる。全表面積は、多くの場合、少なくとも100m
2/g、少なくとも200m
2/g、少なくとも400m
2/g、又は少なくとも600m
2/gである。前駆体ポリマー材料の全表面積は、例えば、最大1000m
2/g以上、最大900m
2/g、最大850m
2/g、又は最大800m
2/gであってもよい。
【0061】
前駆体ポリマー材料は、続いてスルホニル含有化合物により処理される。この反応により、式−SO
2R
5のスルホニル含有基が前駆体ポリマー材料に付与され、吸着剤ポリマー材料が生成する。スルホニル含有基は、典型的には、前駆体ポリマー材料の芳香環の一部分である炭素原子に結合している水素原子を置き換える。例えば、スルホニル含有基は、多くの場合、前駆体ポリマー材料中の水素に相当するR
1を置き換える。あるいは、又は更に、スルホニル含有基は、前駆体ポリマー材料中の、いずれかのアリール基中、いずれかのアラルキル基のアリール部分中、又はいずれかのアルカリール基のアリール部分中の、炭素原子に結合している水素原子を置き換え得る。更に、スルホニル含有基は、R
3基及びR
4基が一緒になって炭素−炭素二重結合を形成する前駆体ポリマー材料中の二重結合に結合させることができる。吸着剤ポリマー材料中の少なくとも1つの芳香環は、スルホニル含有基を含有する。典型的には、吸着剤ポリマー材料は、最大数のスルホニル含有基を有し、これは芳香環の合計数と等しい。通常、スルホニル含有基は、吸着剤ポリマー材料中の各芳香環当たり1個を超えない。
【0062】
スルホニル含有基は、式−SO
2R
5のものであり、式中、R
5基は、−NH
2又は
−NR
6−Q−NR
6R
7である。これらのR
5のいずれかは、pH条件に応じ塩形態であってよい。塩に好適なアニオンとしては、ハロゲン、サルフェート、フォスフェート、ナイトレート、及びカルボキシレート(例えば、アセテート)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
他の実施形態では、スルホニル含有基は、式−SO
2NH
2のものであるか、又は共役酸(カチオンは−SO
2NH
3+1である。)の塩である。更に他の実施形態では、スルホニル含有基は、式−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7のものであるか、又は共役酸の塩である。各R
6基は水素又はアルキルであり、各R
7基は水素又は−C(=NH)NH
2である。好適なR
6アルキル基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。多くの例では、R
6アルキル基はメチル又はエチルである。Q基は、単結合、アルキレン、又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1及びQ
2は、独立して、アルキレンであり、式中、xは1〜4の範囲の整数である。Q、Q
1、及びQ
2に好適なアルキレン基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。Qが単結合であり、かつR
6及びR
7の両方が水素である場合、スルホニル基は、ヒドラジニル基(すなわち、−NH−NH
2)を有する。式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の変数xは、通常、1〜4、1〜3、又は1〜2の範囲の整数である。
【0064】
任意の既知の方法を使用して、スルホニル含有基を前駆体ポリマー材料に導入することができる。すなわち、前駆体を何らかの既知のスルホニル含有化合物と反応させることができる。具体的な−SO
2R
5基の生成法は、多くの場合、前駆体ポリマー材料をスルホン酸ハロゲン化物などのスルホニル含有化合物と反応させることと、次にこの中間体ポリマー材料をアンモニア、水酸化アンモニウム、ポリアミン又はヒドラジンなどの別の化合物と更に反応させることとを含む。用語「ポリアミン」は、式
NHR
6−Q−NR
6R
7の化合物を指し、式中、R
6は水素又はアルキルであり、R
7は水素又は−C(=NH)−NH
2である。
【0065】
いくつかの実施形態において、前駆体ポリマー材料は、2段階プロセスで反応させて、式−SO
2R
5の基を生成する。第1段階では、前駆体ポリマー材料を、スルホニル含有化合物であるスルホン酸ハロゲン化物(例えば、クロロスルホン酸)と反応させる。前駆体ポリマー材料は、適切な有機溶媒中に溶解されたスルホン酸ハロゲン化物溶液と混合される。好適な有機溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、及びクロロホルムなどの様々なハロゲン化溶媒が挙げられる。スルホン酸ハロゲン化物溶液は、多くの場合、室温未満の温度、例えば、約0℃などで、前駆体ポリマー材料に添加される。初期反応は非常に発熱的であるため、適切な対処が取られない場合、添加中に溶媒が沸騰してしまう恐れがある。反応物を組み合わせた後、温度は、多くの場合、室温から、還流条件に関連する温度までなどの、任意の所望の温度に上昇する。反応時間は、数分〜24時間の範囲であり得る。反応時間及び反応温度を変更することで、異なる量のスルホニル含有基を含有するポリマー材料を生成することができる。この反応後、ポリマー材料には、−SO
2X基が付加され、式中、Xは塩素などのハロである。これは、中間体ポリマー材料であり、これを更に反応させる。より具体的には、第2段階で、−SO
2X基を更に反応させて式−SO
2R
5の基を得て、吸着剤ポリマー材料を生成する。
【0066】
典型的には、可能な限り多くのスルホニル含有基を前駆体ポリマー材料に導入することが望ましい。過剰量のスルホニル含有化合物が使用される。すなわち、スルホニル含有化合物のモル数は、前駆体ポリマー材料中の芳香環のモル数の最大10倍であってもよい。より少量のスルホニル含有基を有することが望まれる場合、スルホニル含有化合物のモル数を減らすことができるか、反応時間を短縮させることができるか、又は反応温度を下げることができる。例えば、いくつかの実施形態では、各芳香環上にはスルホニル基は存在せず、スルホニル含有化合物の芳香環に対するモル比は1未満である。
【0067】
−SO
2NH
2基を作製するため、
−SO
2X基を含有するスルホニル含有中間体ポリマー材料(上記のスルホン酸ハロゲン化物を使用して調製)をアンモニアガス又は水酸化アンモニウムにより処理することができる。−SO
2X基の−SO
2NH
2基への変換を最大化するため、アンモニア又は水酸化アンモニウムのモル数は、多くの場合、−SO
2X基の10倍程度である。この反応は、典型的には、多くの場合、室温で30分以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、8時間以内、12時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、60時間以内、又は72時間以内に発生し得る。反応温度は、多くの場合、室温から還流条件に関連する温度の範囲内のものである。
【0068】
−SO
2NH−NH
2基を作製するため、−SO
2X基を有するスルホニル含有中間体ポリマー材料(上記のスルホン酸ハロゲン化物を使用して調製)をヒドラジンで処理できる。ヒドラジン一水和物又は無水ヒドラジンのいずれかを有機溶媒に溶解させることができる。−SO
2X基の−SO
2NH−NH
2基への変換を最大化するため、ヒドラジンのモル数は、多くの場合、−SO
2X基の10倍程度である。この反応は、典型的には、多くの場合、室温で30分以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、8時間以内、12時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、60時間以内、又は72時間以内に発生し得る。反応温度は、多くの場合、室温から還流条件に関連する温度の範囲内のものである。多くの場合、−SO
2OH基の作製を最小限に抑えるため、水の代わりとして無水条件又は有機溶媒が、選択される。
【0069】
R
7が水素であり、Qが単結合でない−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7基(すなわち、式−SO
2NR
6−Q−NR
6Hのものである基)を調製するために、
−SO
2X基を有するスルホニル含有中間体ポリマー材料(上記のスルホン酸ハロゲン化物を使用して調製)を、例えば、R
6HN−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−NR
6R
7(すなわち、より具体的にはR
6HN−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−NR
6H)等の、式R
6HN−Q−NR
6R
7のアミノ含有化合物(すなわち、式R
6HN−Q−NR
6Hのものであるアミノ含有化合物)
で処理することができる。これらの化合物の好適な例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。−SO
2X基の−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、−SO
2NR
6−Q−NR
6H)基への変換を最大化するために、反応性アミノ含有基のモル数は、多くの場合、−SO
2X基のモル数の10倍程度である。この反応は、典型的には、多くの場合、室温で30分以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、8時間以内、12時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、60時間以内、又は72時間以内に発生し得る。反応温度は、多くの場合、室温から還流条件に関連する温度の範囲内のものである。多くの場合、−SO
2OH基の作製を最小限に抑えるため、水の代わりとして無水条件又は有機溶媒が、選択される。
【0070】
R
7が−C(=NH)−NH
2であり、Qが単結合でない−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7基(すなわち、式−SO
2NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2のものである基)を調製するために、−SO
2X基を有するスルホニル含有中間体ポリマー材料(上記のスルホン酸ハロゲン化物を使用して調製)を、式R
6HN−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2又はその塩のアミノ含有化合物で処理することができる。好適な例には、アグマチン又はその塩が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、−SO
2X基を、式R
6HN−Q−NHR
6の化合物と最初に反応させて、式−SO
2−NR
6−Q−NHR
6の基を作製してもよい。式R
6HN−Q−NHR
6の化合物の好適な例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。この式−SO
2−NR
6−Q−NHR
6の基をカルバミン酸メチル(MeO−C(=NH)−NH
2)と更に反応させることで、−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2基を生成することができる。
【0071】
吸着剤ポリマー材料は、典型的には、1g当たり少なくとも0.2ミリ当量の
−SO
2R
5を含有する。いくつかの実施形態において、−SO
2R
5の量は、吸着剤ポリマー材料1g当たり0.2〜7ミリ当量の範囲、1g当たり0.2〜6ミリ当量の範囲、1g当たり0.2〜5ミリ当量の範囲、1g当たり0.2〜4.5ミリ当量の範囲、1g当たり0.5〜4ミリ当量の範囲、1g当たり1〜4ミリ当量の範囲、1g当たり2〜4ミリ当量の範囲、又は1g当たり3〜4ミリ当量の範囲である。任意の好適な方法を使用して、1g当たりのミリ当量を決定することができる。1つの好ましい方法では、吸着剤ポリマー材料の総硫黄含量は、元素分析により測定される。
【0072】
吸着剤ポリマー材料上の−SO
2R
5基は、ホルムアルデヒドと反応することができ、ホルムアルデヒドの捕捉をもたらす。この捕捉は、乾燥状態の吸着剤ポリマー材料と、吸着剤ポリマー材料に接触して空気中に存在するホルムアルデヒドとにより生じ得る。この捕捉は、周囲温度にて生じ得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、吸着剤ポリマー材料は、−SO
2NH
2基を有する。吸着剤ポリマー材料をホルムアルデヒドに曝す際、−SO
2NH
2基のうちの少なくともいくつかを、−SO
2−N=CH
2基、−SO
2−NH−CH
2OH基、又は−SO
2−N(CH
2OH)
2基に変換し得る。
【0074】
他の実施形態において、吸着剤ポリマー材料は、−SO
2NH−NH
2基を有する。吸着剤ポリマー材料をホルムアルデヒドに曝す際、−SO
2NH−NH
2基のうちの少なくともいくつかを、−SO
2−NH−N=CH
2基、−SO
2−NH−NH−CH
2OH基、又は−SO
2−NH−N(CH
2OH)
2基に変換し得る。
【0075】
更に他の実施形態において、吸着剤ポリマー材料は、−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7基を有し、式中、R
7は水素であり、Qは単結合でない(すなわち、吸着剤は、式
−SO
2−NR
6−Q−NR
6Hの基を有する。)。吸着剤ポリマー材料をホルムアルデヒドに曝す際、−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7基(すなわち、−SO
2−NR
6−Q−NR
6H基)のうちの少なくとも1つを、
−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基に変換する。各R
8は、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
9は、水素、アルキル、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
10基と一緒に=CH
2を形成している。各R
10は、水素、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
9基と一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。
【0076】
また更なる実施形態において、吸着剤ポリマー材料は、−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7基を有し、式中、R
7は−C(=NH)−NH
2である。すなわち、吸着剤ポリマー材料は、式
−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2の基を有する。吸着剤ポリマー材料をホルムアルデヒドに曝す際、−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2基のうちの少なくともいくつかを、
−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基に変換する。各R
8は、独立して、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
11は、独立して、水素、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合している2つのR
11基は、一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。
【0077】
別の態様において、(a)吸着剤ポリマー材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの式−SO
2R
5の基を有し、吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤ポリマー材料と、(b)ホルムアルデヒドと、を含有する混合物、の反応生成物を含む、ポリマー材料が提供される。吸着剤ポリマー材料は、上述のものと同じである。各R
5は、独立して、−NH
2又は−NR
6−Q−NR
6R
7である。各R
6は、水素又はアルキルである。各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2である。各Qは、単結合、アルキレン、又は式
−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1はアルキレンであり、各Q
2はアルキレンであり、xは1〜4の範囲の整数である。
【0078】
吸着剤ポリマー材料が−SO
2NH
2基(R
5が−NH
2である。)を1つ以上有する場合、吸着剤ポリマー材料とホルムアルデヒドの反応生成物であるポリマー材料は、
−SO
2−N=CH
2基、−SO
2−NH−CH
2OH基、又は−SO
2−N(CH
2OH)
2基を少なくとも1つ有する。
【0079】
吸着剤ポリマー材料が−SO
2NH−NH
2基(R
5が式
−NR
6−Q−NR
6R
7のものであり、式中、R
6は水素であり、R
7は水素であり、Qは単結合である。)を1つ以上有する場合、吸着剤ポリマー材料とホルムアルデヒドの反応生成物であるポリマー材料は、
−SO
2−NH−N=CH
2基、−SO
2−NH−NH−CH
2OH基、又は−SO
2−NH−N(CH
2OH)
2基を少なくとも1つ有する。
【0080】
吸着剤ポリマー材料が−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7基(R
5が式−NR
6−Q−NR
6R
7であるもの)を1つ以上有し、式中、R
7が水素であり、R
6が水素又はアルキルである(吸着剤が式−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、−SO
2NR
6−Q−NR
6H)の基を1つ以上有する。)場合、吸着剤ポリマー材料とホルムアルデヒドの反応生成物であるポリマー材料は、
−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、−SO
2NR
6−NR
6H)とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基を少なくとも1つ有する。各R
8は、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
9は、水素、アルキル、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
10基と一緒に=CH
2を形成している。各R
10は、水素、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
9基と一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、
式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。Q基は、典型的には、単結合ではない。
【0081】
吸着剤ポリマー材料が−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7基(R
5が
−NR
6−Q−NR
6R
7であるもの)を1つ以上有し、式中、R
7が−C(=NH)−NH
2であり、R
6が水素又はアルキルである(すなわち、吸着剤が式−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2のものである式−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7の基を1つ以上有する。)場合、吸着剤ポリマー材料とホルムアルデヒドの反応生成物であるポリマー材料は、−SO
2NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、
−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2)とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基を少なくとも1つ有する。各R
8は、独立して、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
11は、水素、
−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合している2つのR
11基は、一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。
Q基は、典型的には、単結合ではない。
【0082】
式−SO
2R
5の基との反応に加えて、ホルムアルデヒドは、吸着剤ポリマー材料によって他の様式で捕捉され得る。例えば、ホルムアルデヒドは、多孔性吸着剤ポリマー材料の孔に物理的に捕捉され得、又はホルムアルデヒドは、吸着剤ポリマー材料中に存在する−SO
2R
5基との水素結合を生じ得る。
【0083】
吸着剤ポリマー材料上にホルムアルデヒドを捕捉する方法又は吸着剤ポリマー材料上へのホルムアルデヒドの捕捉から生じたポリマー材料についての種々の実施形態が提供される。
【0084】
実施形態1は、ホルムアルデヒドの捕捉方法である。この方法は、(a)吸着剤ポリマー材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの式
−SO
2R
5の基を有し、吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤ポリマー材料、を提供することと、(b)吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることと、を含む。吸着剤ポリマー材料を提供することは、前駆体ポリマー材料を生成することと、次いで、この前駆体ポリマー材料をスルホニル含有化合物と反応させることと、を含む。前駆体ポリマー材料は、式(I)
【化10】
(I)
のモノマーを含有する重合性組成物の重合生成物を含む。式(I)中、各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルであり、少なくとも1つのR
1は水素である。各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成している。各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
4は、独立して、水素であるか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
5は、独立して、−NH
2又は
−NR
6−Q−NR
6R
7である。各R
6は、水素又はアルキルである。各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2である。各Qは、単結合、アルキレン又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1はアルキレンであり、各Q
2はアルキレンであり、xは1〜4の範囲の整数である。
【0085】
実施形態2は、式−SO
2R
5の基が、
−SO
2NH
2基であり、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることにより、少なくとも1つの−SO
2NH
2基を、−SO
2−N=CH
2基、−SO
2−NH−CH
2OH基、又は−SO
2−N(CH
2OH)
2基に変換する、実施形態1の方法である。
【0086】
実施形態3は、式−SO
2R
5の基が、
−SO
2NH−NH
2基であり、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることにより、少なくとも1つの−SO
2NH−NH
2基を、式−SO
2−NH−N=CH
2、−SO
2−NH−NH−CH
2OH、又は
−SO
2−NH−N(CH
2OH)
2の基に変換する、実施形態1の方法である。
【0087】
実施形態4は、式−SO
2R
5の基が、式−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7のものであり、式中、R
7は水素であり、R
6は水素又はアルキルであり(すなわち、吸着剤ポリマー材料は、式−SO
2NR
6−Q−NR
6Hの基を有する。)、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることにより、少なくとも1つの式−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、
−SO
2NR
6−NR
6H)の基を、式
−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、−SO
2NR
6−NR
6H)の基とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基に変換する、実施形態1の方法である。各R
8は、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
9は、水素、アルキル、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
10基と一緒に=CH
2を形成している。各R
10は、水素、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
9基と一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。
Q基は、典型的には、単結合ではない。
【0088】
実施形態5は、式−SO
2R
5の基が、式−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7のものであり、式中、R
7は−C(=NH)−NH
2であり、R
6は水素又はアルキルであり(すなわち、吸着剤ポリマー材料は、式−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2の基を有する。)、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることにより、少なくとも1つの式
−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2)が、
−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、
−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2)とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基に変換される、実施形態1の方法である。各R
8は、独立して、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
11は、水素、
−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合している2つのR
11基は、一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つある。Q基は、典型的には、単結合ではない。
【0089】
実施形態6は、式(I)の化合物が、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−6,6’−ジビニルである、実施形態1〜5のいずれか1つの方法である。
【0090】
実施形態7は、重合性組成物が、ポリビニル芳香族モノマー又は1つ以上のアルキル基で置換されたポリビニル芳香族モノマーを更に含む、実施形態1〜6のいずれか1つの方法である。
【0091】
実施形態8は、ポリビニル芳香族モノマーが、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、1つ以上のアルキル基で置換されたジビニルベンゼン、又は1つ以上のアルキル基で置換されたトリビニルベンゼンである、実施形態7の方法である。
【0092】
実施形態9は、重合性組成物が、任意に、最大25重量%のモノビニル芳香族モノマー又は1つ以上のアルキル基で置換されたモノビニル芳香族モノマーを更に含み、重量%が、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている、実施形態1〜8のいずれか1つの方法である。
【0093】
実施形態10は、重合性組成物が、1〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜25重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜99重量%のポリビニル芳香族モノマーを含み、重量%が、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている、実施形態1〜9のいずれか1つの方法である。
【0094】
実施形態11は、各R
1が水素又はハロである、実施形態1〜10のいずれか1つの方法である。
【0095】
実施形態12は、各R
2及び各R
3がアルキルである、実施形態1〜11のいずれか1つの方法である。
【0096】
実施形態13は、R
4が水素である、実施形態1〜12のいずれか1つの方法である。
【0097】
実施形態14は、吸着剤ポリマー材料が多孔性である、実施形態1〜13のいずれか1つの方法である。
【0098】
実施形態15は、吸着剤ポリマー材料がミクロ細孔性、メソ細孔性、又はこれらの両方である、実施形態14の方法である。
【0099】
実施形態16は、吸着剤ポリマー材料が少なくとも100m
2/gと同等であるBET表面積を有する、実施形態1〜15のいずれか1つの方法である。
【0100】
実施形態17は、吸着剤ポリマー材料がビーズ又は粒子の形態である、実施形態1〜16のいずれか1つの方法である。
【0101】
実施形態18は、a)吸着剤材料であって、複数の芳香環を有し、少なくとも1つの式−SO
2R
5の基を有し、吸着剤ポリマー材料中の各芳香環について最大1つの式−SO
2R
5の基を有する吸着剤材料と、b)ホルムアルデヒドと、を含む混合物、の反応生成物を含む、ポリマー材料である。吸着剤ポリマー材料は、前駆体ポリマー材料とスルホニル含有化合物の反応生成物を含む。前駆体ポリマー材料は、式(I)
【化11】
(I)
のモノマーを含む重合性組成物の重合生成物を含む。
式(I)中、各R
1は、水素、ハロ、アルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルであり、少なくとも1つのR
1は水素である。各R
2は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に環状アルキルを形成しているか、又は同じ炭素原子に結合しているR
3と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成している。各R
3は、独立して、水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキルであるか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に環状アルキルを形成しているか、同じ炭素原子に結合しているR
2と一緒に1つ以上の炭素環と縮合している環状アルキルを形成しているか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
4と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
4は、独立して、水素であるか、又は隣接する炭素原子に結合しているR
3と一緒に炭素−炭素結合を形成している。各R
5は、独立して、−NH
2又は
−NR
6−Q−NR
6R
7である。各R
6は、水素又はアルキルである。各R
7は、水素又は−C(=NH)−NH
2である。各Qは、単結合、アルキレン又は式−(Q
1−NR
6)
x−Q
2−の基であり、式中、各Q
1はアルキレンであり、各Q
2はアルキレンであり、xは1〜4の範囲の整数である。
【0102】
実施形態19は、式−SO
2R
5の基が、−SO
2NH
2基であり、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることは、少なくとも1つの−SO
2NH
2基を、−SO
2−N=CH
2基、−SO
2−NH−CH
2OH基、又は−SO
2−N(CH
2OH)
2基に変換する、実施形態18のポリマー材料である。
【0103】
実施形態20は、式
−SO
2R
5の基が、−SO
2NH−NH
2基であり、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることは、少なくとも1つの−SO
2NH−NH
2基を、式−SO
2−NH−N=CH
2、
−SO
2−NH−NH−CH
2OH、又は−SO
2−NH−N(CH
2OH)
2の基に変換する、実施形態18のポリマー材料である。
【0104】
実施形態21は、式
−SO
2R
5の基が、式−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7のものであり、式中、R
7は水素であり、R
6は水素又はアルキルであり(すなわち、吸着剤ポリマー材料は、式−SO
2NR
6−Q−NR
6Hの基を有する。)、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることは、少なくとも1つの式−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7(すなわち、
−SO
2NR
6−NR
6H)の基を、−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基に変換する、実施形態18のポリマー材料である。各R
8は、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
9は、水素、アルキル、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
10基と一緒に=CH
2を形成している。各R
10は、水素、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合しているR
9基と一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、
式−SO
2−NR
8−Q−NR
9R
10の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。Q基は、典型的には、単結合ではない。
【0105】
実施形態22は、式
−SO
2R
5の基が、式−SO
2−NR
6−Q−NR
6R
7のものであり、式中、R
7は−C(=NH)−NH
2であり、R
6は水素又はアルキルであり(すなわち、吸着剤ポリマー材料は、式−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2の基を有する。)、吸着剤ポリマー材料にホルムアルデヒドを吸着させることは、少なくとも1つの式
−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2の基を、−SO
2−NR
6−Q−NR
6−C(=NH)−NH
2とは異なる式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基に変換する、実施形態18のポリマー材料である。各R
8は、独立して、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)、又は−CH
2OHである。各R
11は、独立して、水素、−CH
2OHであるか、又は同じ窒素原子に結合している2つのR
11基は、一緒に=CH
2を形成している。ホルムアルデヒドに曝された後、式−SO
2−NR
8−Q−NR
8−C(=NR
8)−N(R
11)
2の基中には、窒素原子に結合した−CH
2OH基が少なくとも1つあるか、窒素原子に結合した=CH
2基が少なくとも1つあるか、又はその両方である。
Q基は、典型的には、単結合ではない。
【0106】
実施形態23は、式(I)の化合物が、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−6,6’−ジビニルである、実施形態18〜22のいずれか1つのポリマー材料である。
【0107】
実施形態24は、重合性組成物が、ポリビニル芳香族モノマー又は1つ以上のアルキル基で置換されたポリビニル芳香族モノマーを更に含む、実施形態18〜23のいずれか1つのポリマー材料である。
【0108】
実施形態25は、ポリビニル芳香族モノマーが、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、1つ以上のアルキル基で置換されたジビニルベンゼン、又は1つ以上のアルキル基で置換されたトリビニルベンゼンである、実施形態24のポリマー材料である。
【0109】
実施形態26は、重合性組成物が、任意に、最大25重量%のモノビニル芳香族モノマー又は1つ以上のアルキル基で置換されたモノビニル芳香族モノマーを更に含み、重量%が、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている、実施形態18〜25のいずれか1つのポリマー材料である。
【0110】
実施形態27は、重合性組成物が、1〜99重量%の式(I)のモノマー、0〜25重量%のモノビニル芳香族モノマー、及び1〜99重量%のポリビニル芳香族モノマーを含み、重量%が、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいている、実施形態18〜26のいずれか1つのポリマー材料である。
【0111】
実施形態28は、各R
1が水素又はハロである、実施形態18〜27のいずれか1つのポリマー材料である。
【0112】
実施形態29は、各R
2及び各R
3がアルキルである、実施形態18〜28のいずれか1つのポリマー材料である。
【0113】
実施形態30は、R
4が水素である、実施形態18〜29のいずれか1つのポリマー材料である。
【0114】
実施形態31は、吸着剤ポリマー材料が多孔性である、実施形態18〜30のいずれか1つのポリマー材料である。
【0115】
実施形態32は、吸着剤ポリマー材料がミクロ細孔性、メソ細孔性、又はこれらの両方である、実施形態18〜31のいずれか1つのポリマー材料である。
【0116】
実施形態33は、吸着剤ポリマー材料が少なくとも100m
2/gと同等であるBET表面積を有する、実施形態18〜32のいずれか1つのポリマー材料である。
【0117】
実施形態34は、吸着剤ポリマー材料がビーズ又は粒子の形態である、実施形態18〜33のいずれか1つのポリマー材料である。
【実施例】
【0118】
【表1】
【0119】
ホルムアルデヒド容量試験
単純な特注の貫流送達系を使用して、既知の濃度のホルムアルデヒドを測定用試料に送達した。送達系全体にプラスチック管を使用したが、ホルムアルデヒドが生成する箇所より下流部分にはフルオロポリマー管を使用した。ホルムアルデヒドは、2.5mLのHamiltonガスタイトシリンジを使用して、6.33重量%パラホルムアルデヒド水溶液を送達することによって生成させた。このシリンジは、KD Scientificシリンジポンプによって一定速度で操作した。溶液中のパラホルムアルデヒド濃度及びシリンジの断面積がわかっていることにより、正確な速度でパラホルムアルデヒド溶液を送達できた。この溶液を、パラホルムアルデヒドを分解し、生じたホルムアルデヒドを蒸発させるためのフラスコ中の一片の熱した金箔上に送達した。このフラスコに、Aalborgアナログ流量コントローラにより制御して、250mL/分の窒素ガスを通した。このコントローラは、Gilibrator石鹸泡流量計をコントローラの出口に置くことによって較正した。このGilibrator流量計を使用して、各流量コントローラからの流れの範囲を測定し、これを用いて較正曲線を生成した。ホルムアルデヒドの蒸発により、窒素中に250ppmの濃度のホルムアルデヒドが生成した。水もまた窒素中に蒸発させ、これにより、気流を約50%相対湿度まで加湿した。この設定により、パラホルムアルデヒド溶液の濃度、溶液送達及び窒素流の速度を変えることによって、より高い及びより低いホルムアルデヒド濃度、並びにより高い又はより低い相対湿度値をもたらすことが可能である。
【0120】
ホルムアルデヒド除去性能について試験する試料を、詰めた後で試験管内の床深さが1.0cmになるまで風袋計量済み試験管(内径1.0cm)に加えた。次に、試験管内の試料を計量することによって、試料の質量を決定した。次いで、試験管をシステムと直列に連結して、250ppmのホルムアルデヒドガス流が試料を通じて流れるようにした。試験管の下流側に、ガスクロマトグラフ計器(SRI 8610C)につながる管を接続した。ホルムアルデヒドガス流が試験試料を通過したときに試験が開始されたものとみなし、タイマーをスタートさせた。更に、ガスクロマトグラフソフトウェアにより、全てのデータポイントのタイムスタンプを記録した。次いで、SRIガスクロマトグラフにより一定間隔でガス流をサンプリングし、試料をRestek Rt−U−Bondカラム(長さ30メートル)に通した。
【0121】
次いで、このカラムからの流出物をメタナイザ、続いて、水素炎イオン化検出器(FID)に通した。メタナイザは、ホルムアルデヒドをメタンに変換する機能を有するものであり、次いで、メタンがイオン化され、FIDにより検出された。その後、このシグナルは、装置付属のデータ収集ソフトウェアに報告され、記録された。ガスクロマトグラフがガス流を6秒間サンプリングし、試料をカラムに144秒かけて通過させ、その後、ガスクロマトグラフが次の分析試料を引き込む前に、60秒かけて試料を流し出すと、ホルムアルデヒド蒸気が良好に検出されることが観察された。
【0122】
ガスクロマトグラフは、ホルムアルデヒドを異なる速度で気流に送達することによって較正した。このようにして、シグナル−濃度曲線を作成することができ、ガスクロマトグラフ上の任意の強度のシグナルについてホルムアルデヒド濃度との相関をとることができた。
【0123】
完全な破過曲線を作成するために、材料の出口側濃度が材料の入口側濃度(250ppm)にほぼ等しくなるまで試験を行った。次いで、時間に対する通過ホルムアルデヒドのプロットを積分すると、破過曲線のあらゆるポイントにおける、試料によって除去されたホルムアルデヒドの総量を得ることができる。この数値を試料の初期質量と比較することにより、1ppmの破過又は完全破過における1g当たりの材料のホルムアルデヒド除去能力を計算することができた。
【0124】
ガス吸着分析:
超高純度の吸着体を使用して、Micromeritics Instrument社(Norcross,GA)の加速式比表面積測定装置(accelerated surface area and porosimetry)(ASAP)2020システムを用い、空隙率及びガス吸着試験を実施した。例示の材料の空隙率を特性評価するために使用される典型的な方法を以下に示す。ASAP2020の分析ポートにおいて、50〜300mgの材料を、Micromeritics 1/2インチ直径サンプルチューブで、超真空下(3〜7μmHg)にて3時間加熱して、残留溶媒及び他の吸着体を除去した。予備調製例1及び2を150℃で加熱し、実施例1〜3を80℃で加熱した。p/p°<0.1で低圧添加を用い(5cm
3/g)、かつp/p°=0.1〜0.98の間で等間隔で設けられた圧力点の圧力テーブルを使用して、77Kでの材料の窒素吸着等温線を得た。この方法には、以下の平衡化時間間隔を用いた。p/p°<10
−5で90秒、p/p°=10
−5〜0.1で40秒、及びp/p°>0.1で20秒。窒素吸着分析後、周囲温度及び77Kにてヘリウムを使用して、フリースペースを測定した。
【0125】
Brunauer−Emmett−Teller(BET)多点法分析により、窒素吸着データから、BET比表面積(SA
BET)を計算した。標準的な窒素DFTモデルを使用して、密度汎関数理論(DFT)解析による窒素吸着データから見かけのミクロ細孔分布を計算した。約0.95に等しい相対圧力(p/p°)において吸着した窒素の総量から全細孔容積を計算した。0.1未満の相対圧力(p/p°)の低圧添加を用い(5cm
3/g)、かつ0.1〜0.98の範囲のp/p°の間で等間隔で設けられた圧力点の圧力テーブルを使用して、77Kでのアルゴン吸着等温線を得た。この方法には、以下の平衡化時間間隔を用いた。10
−5未満のp/p°で90秒、10
−5〜0.1の範囲のp/p°で40秒、及び0.1を超えるp/p°で20秒。アルゴン吸着分析後、周囲温度及び77Kにてヘリウムを使用して、フリースペースを決定した。複数点BET分析により、アルゴン吸着データから、SA
BETを計算した。非線形密度汎関数理論(NLDFT)モデルにより、スリット状細孔カーボンに対し77Kのアルゴンを使用したDFT分析によるアルゴン吸着データから、見かけのミクロ細孔分布を計算した。約0.95に等しいp/p°において吸着したアルゴンの総量から全細孔容積を計算した。BET、DFT及び全細孔容積分析は、Micromeritics MicroActive Version 1.01ソフトウェアを使用して実施した。
【0126】
元素分析:
LECO TruSpec Micro CHNS元素分析器(LECO Corp,St.Joseph,MI)を使用し、燃焼によりサンプルの炭素、水素、窒素、及び硫黄の重量%について分析した。試料をn=3以上で実行した。結果を繰り返し測定の平均として報告する。分析から大気中の水分を排除する目的で、各試料のアリコートを窒素下のスチームプレートで2時間乾燥させ、次に、窒素パージした乾燥ボックスで30分間冷却した後、計量した。試料を銀のカプセルに入れ、クランプし、周囲条件下のオートサンプラーに入れた。
【0127】
LECO TruSpec Micro CHNS装置は、CHNS検出器が安定するまでの間、大気によりまずベースラインを測定して、校正した。次に、3〜4個の空のるつぼを測定し、装置のブランクとして設定した。最後に、標準としてスルファメタジンを用い較正曲線を作成した。この手順によると、各元素の標準偏差は、炭素が+/−0.5重量%未満、水素が+/−0.3重量%未満、窒素が+/−0.3重量%未満、及び硫黄が+/−0.3重量%未満であった。
【0128】
3,3,3′,3′−テトラメチル−1,1′−スピロビスインダン−6,6′−ジオール(SBI−ジオール)の合成:
5.0Lの丸底フラスコ中で、1000.69g(4.38モル)の4,4′−イソプロピリデンジフェノール(BPA)を融解させた。BPAがすべて融解したら、50.51g(0.526モル)のメタンスルホン酸を徐々に加えた。反応混合物の温度を135〜150℃に維持しながら、窒素雰囲気下で反応混合物を3時間撹拌した。3時間後、熱い状態のまま、溶解反応混合物を2.0Lの脱イオン水に注ぎ入れた。茶色の沈殿物が生じた。得られた沈殿物を減圧濾過によって分離し、1.5Lの脱イオン水で洗浄した。次に、単離した固体を5.0L丸底フラスコに戻し入れ、1.5Lの塩化メチレン(CH
2Cl
2)を添加した。この固体を、CH
2Cl
2中で、還流下で1時間撹拌した。次にフラスコを室温に放冷し、このフラスコを冷蔵庫(約0℃)に一晩放置した。その後、この固形物を減圧濾過によって分離し、最小量(約500mL)の冷却したCH
2Cl
2で洗浄した。次に、この固体を4.0Lのエルレンマイヤーフラスコに入れ、900mLのメタノール(MeOH)中に溶解させた。この溶液に190mLのCH
2Cl
2を添加した。この溶液は透明のままであった。この溶液を撹拌し、1.1Lの脱イオン水を少量ずつに分けて添加した。白色の沈殿物が生じ、この混合物を冷蔵庫(約0℃)で一晩放置した。その後、この固形物を減圧濾過によって分離し、最小量(約300mL)の冷却したCH
2Cl
2で洗浄した。MeOH/CH
2Cl
2/H
2O沈殿を1回以上繰り返した。2回目の沈殿からの固体を85℃の真空オーブン内で一晩乾燥させ、214.77g(48%)のSBI−ジオールを得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d
6)δ 7.85(s,2H),7.02(d,J=8.1Hz,2H),6.68(dd,J=8.1,2.4Hz,2H),6.19(d,J=2.4Hz,2H),2.32(d,J=13.0Hz,2H),2.19(d,J=13.0Hz,2H),1.35(s,6H),1.29(s,6H)。
【0129】
ペルフルオロメタン−1−スルホン酸6′−(ペルフルオロメタン−1−スルホニルオキシ)−3,3,3′,3′−テトラメチル−1,1′−スピロビスインダン−6−イルエステル(SBI−ビストリフレート)の合成:
250mLの丸底フラスコで、5.0025g(16.2ミリモル)のSBI−ジオールと4.755mL(47.1ミリモル)のピリジンとを150mLのCH
2Cl
2中に溶解させた。このフラスコを氷/水浴に入れた。この溶液に7.930mL(58.8ミリモル)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物(TFMSA)を滴加した。添加の完了後、フラスコを氷/水浴から取り除いた。反応混合物を、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。10mLのHCl水溶液(10重量%)を添加して反応を停止させた。得られる混合物を、CH
2Cl
2及び重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)の飽和水溶液に分画した。有機層を単離し、無水硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、室温、高真空下で3時間乾燥させて、残留ピリジンを全て除去した。得られた褐色固体(SBI−ビストリフレート)の重量は8.51gであった(92%)。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.17(d,J=8.3Hz,2H),7.08(dd,J=8.3,2.3Hz,2H),6.55(d,J=2.3Hz,2H),2.26(ABq,J=13.2Hz,4H),1.34(s,6H),1.29(s,6H)。
19F NMR(470.5MHz,CDCl
3)δ−73.0。
【0130】
3,3,3′,3′−テトラメチル−1,1′−スピロビスインダン−6,6′−ジビニル(SBI−DV)の合成:
250mLの丸底フラスコで、5.0025g(8.74ミリモル)のSBI−ビストリフレートを、75mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解させた。この溶液に、6.125mL(21.0ミリモル)のトリブチルビニルスズ及び22.2225g(52.4ミリモル)の塩化リチウム(LiCl)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で5分間、室温で撹拌した後、0.6140g(875マイクロモル)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドを添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。室温で24時間反応させた後、反応混合物に150mLの脱イオン水を注ぎ入れ、この反応を停止させた。沈殿物が生じた。水相及び沈殿物をジエチルエーテル(Et
2O)で抽出した(3x200mL)。有機層を混ぜあわせた。次に、有機層を、等量のフッ化カリウム(KF)水溶液(10g/100mL)と一緒に室温で1時間激しく撹拌した。灰白色の沈殿が形成された。混合物を真空ろ過した。次に濾液を分液漏斗に戻し、有機層を単離した。次に、有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して白色固体を精製した。この固体をシリカゲルクロマトグラフィーにより更に精製した。材料をシリカゲルカラムに充填し(8×25cm)、カラムを5%酢酸エチル(EtOAc)/95%石油エーテル(PE)(体積/体積)で溶出した。純粋なSBI−DVを含有している画分を合わせて、減圧下で濃縮し、室温で、高真空下で乾燥させて、白色固体として2.3822gのSBI−DVを得た(83%)。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.34(dd,J=7.9,1.6Hz,2H),7.17(d,J=7.9Hz,2H),6.85(d,J=1.6Hz,2H),6.64(dd,J=17.6,10.9Hz,2H),5.62(dd,J=17.6,1.0Hz,2H),5.12(dd,J=10.9,1.0Hz,2H),2.32(ABq,J=13.1Hz,4H),1.42(s,6H),1.36(s,6H)。
【0131】
予備調製例1:
17.3mgのAIBNを19.2mLのEtOAc中に溶解させて、0.9mg/mLのAIBN溶液を調製した。20mLのバイアル瓶で、0.3002g(914マイクロモル)のSBI−DVを6.0mLのEtOAc中に溶解させた。この溶液に、2.0mLのAIBN/EtOAc溶液を添加した。したがって、重合混合物は、固形分4.0重量%のSBI−DV及び0.6重量%のAIBN(SBI−DVの量に基づく)のEtOAc溶液からなった。重合混合物を窒素で10分間バブリングした。バイアル瓶に蓋をし、90℃の砂浴に入れた。この温度で16時間加熱し重合した。白色の沈殿物が生じ、これを真空濾過により単離し、EtOAcで洗浄した。固体を20mLバイアル瓶に入れ、このバイアル瓶に10mLのEtOAcを添加した。このバイアル瓶を、リストアクション式の振とう器で、室温で1時間振とうさせた。真空濾過により固体を再度単離し、EtOAcで洗浄した。固体を20mLバイアル瓶に入れ、このバイアル瓶に10mLのEtOAcを添加した。固体をリストアクション式の振とう器で一晩振とうさせた。真空濾過により固体を再度単離し、EtOAcで洗浄した。次に固体を90℃の高真空下で一晩乾燥させた。窒素吸着により測定されるこの材料のSA
BET(BET法を使用して算出される表面積)は853.8m
2/gであり、全細孔容積は0.582cm
3/g(p/p°=0.950)であった。
【0132】
予備調製例2:
40mLのバイアル瓶で、0.3011g(917マイクロモル)のSBI−DVと395μL(2.72ミリモル)のDVB(80%、テクニカルグレード)とを17.6mLのEtOAc中に溶解させた。この溶液に13.0mgのBPOを加えた。したがって、重合混合物は、固形分3.6重量%のSBI−DV/DVBのEtOAc溶液(モル比1:3)及び2重量%のBPO(SBI−DV及びDVBの量に基づく)からなった。重合混合物を窒素で10分間バブリングした。バイアル瓶に蓋をし、80℃の砂浴に入れた。この温度で17時間加熱し重合した。白色の沈殿物が生じ、これを真空濾過により単離し、EtOAcで洗浄した。固体を20mLバイアル瓶に入れ、このバイアル瓶に10mLのEtOAcを添加した。このバイアル瓶を、リストアクション式の振とう器で、室温で1時間振とうさせた。真空濾過により固体を再度単離し、EtOAcで洗浄した。固体を20mLバイアル瓶に入れ、このバイアル瓶に10mLのEtOAcを添加した。固体をリストアクション式の振とう器で一晩振とうさせた。真空濾過により固体を再度単離し、EtOAcで洗浄した。次に固体を110℃の高真空下で一晩乾燥させた。窒素吸着により測定されるこの材料のSA
BETは890.2m
2/gであり、全細孔容積は0.868cm
3/g(p/p°=0.951)であった。アルゴン吸着により測定されるこの材料のSA
BETは854.1m
2/gであり、全細孔容積は0.657cm
3/g(p/p°=0.951)であった。
【0133】
実施例1:
3.0mLのクロロスルホン酸を、氷/水浴中で0℃に冷却した15.8mLのDCEに添加することにより、クロロスルホン酸/1,2−ジクロロエタン(DCE)溶液を調製した。この溶液を、予備調製例1で生成した材料(SBI−DVホモポリマー)を0.250g含有する20mLのバイアル瓶に添加し、このバイアル瓶を氷/水浴中に浸した。0℃で5分後、蓋をしたバイアル瓶を氷浴から取り除き、90℃の砂浴に入れた。この高温で18時間後、固体ポリマー材料を真空濾過により単離することで反応を停止させた。この固体を20mLのCH
2Cl
2で2回洗浄した。
【0134】
次に、得られた固体を、水酸化アンモニウム水溶液を入れた20mLのバイアル瓶に入れた。水酸化アンモニウム水溶液は、2.0mLの濃水酸化アンモニウムを6mLの脱イオン水に加えることにより調製した。このバイアル瓶に蓋をし、リストアクション式振とう器で室温で一晩振とうした。真空ろ過により固体ポリマー材料を単離することにより反応を停止させた。ろ液のpHが約8になるまで固体を脱イオン水で洗浄した。次に固体を70℃の高真空下で一晩乾燥させた。アルゴン吸着により測定されるこの材料のSA
BETは483.6m
2/gであり、全細孔容積は0.221cm
3/g(p/p°=0.954)であった。
【0135】
実施例2:
2.3mLのクロロスルホン酸を、氷/水浴中で0℃に冷却した12mLのDCEに加えてクロロスルホン酸/DCE溶液を調製した。この溶液を、予備調製例2で生成した材料(モル比1:3のSBI−DV/DVBコポリマー)を0.190g含有する20mLのバイアル瓶に添加し、このバイアル瓶を氷/水浴中に浸した。0℃で5分後、蓋をしたバイアル瓶を氷浴から取り除き、90℃の砂浴に入れた。この高温で18時間後、固体ポリマー材料を真空濾過により単離することで反応を停止させた。この固体を20mLのCH
2Cl
2で2回洗浄した。
【0136】
次に、得られた固体を、水酸化アンモニウム水溶液を入れた20mLのバイアル瓶に入れた。水酸化アンモニウム水溶液は、1.7mLの濃水酸化アンモニウムを5mLの脱イオン水に加えることにより調製した。このバイアル瓶に蓋をし、リストアクション式振とう器で室温で一晩振とうした。真空ろ過により固体ポリマー材料を単離することにより反応を停止させた。ろ液のpHが約8になるまで固体を脱イオン水で洗浄した。次に固体を70℃の高真空下で一晩乾燥させた。
【0137】
元素分析によりこの材料の官能基等量を測定したところ、硫黄の重量%に基づくと3.56ミリモル/gであり、窒素の重量%に基づくと3.56ミリモル/gであった。アルゴン吸着により測定されるこの材料のSA
BETは462.0m
2/gであり、全細孔容積は0.365cm
3/g(p/p°=0.951)であった。この材料のホルムアルデヒド性能を上記のホルムアルデヒド性能試験によって測定すると、1ppmの破過で1.46ミリモル/gであった。
【0138】
実施例3:
2.3mLのクロロスルホン酸を、氷/水浴中で0℃に冷却した12mLのDCEに加えてクロロスルホン酸/DCE溶液を調製した。この溶液を、予備調製例2で生成した材料(モル比1:3のSBI−DV/DVBコポリマー)を0.210g含有する20mLのバイアル瓶に添加し、このバイアル瓶を氷/水浴中に浸した。0℃で5分後、蓋をしたバイアル瓶を氷浴から取り除き、90℃の砂浴に入れた。この高温で18時間後、固体ポリマー材料を真空濾過により単離することで反応を停止させた。この固体を20mLのCH
2Cl
2で2回洗浄した。
【0139】
次に、得られた固体を、ヒドラジン/テトラヒドロフラン(THF)溶液を入れた20mLのバイアル瓶に入れた。ヒドラジン/テトラヒドロフラン(THF)溶液は、1.2mLのヒドラジン一水和物を5mLのTHFに加えることにより調製した。このバイアル瓶に蓋をし、リストアクション式振とう器で室温で一晩振とうした。真空ろ過により固体ポリマー材料を単離することにより反応を停止させた。この固体を50mLのTHFで洗浄した。次に、この固体物を、10mLの脱イオン水を入れた20mLのバイアル瓶に入れた。この固体を室温で1時間水中に放置した。次に、固体を真空ろ過により単離し、ろ液のpHが約8になるまで脱イオン水で洗浄した。次に固体を70℃の高真空下で一晩乾燥させた。
【0140】
元素分析によりこの材料の官能基等量を測定したところ、硫黄の重量%に基づくと3.32ミリモル/gであり、窒素の重量%に基づくと2.53ミリモル/gであった。アルゴン吸着により測定されるこの材料のSA
BETは323.0m
2/gであり、全細孔容積は0.277cm
3/g
(p/p°=0.950)であった。