特許第6567060号(P6567060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルコニック インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567060
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ファスナ及びファスナ取付具
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/05 20060101AFI20190819BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20190819BHJP
   B21J 15/36 20060101ALI20190819BHJP
   B21J 15/00 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   F16B19/05
   F16B5/04 A
   F16B5/04 C
   B21J15/36 F
   B21J15/00 T
【請求項の数】29
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-538201(P2017-538201)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公表番号】特表2019-500547(P2019-500547A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】US2016054860
(87)【国際公開番号】WO2018063352
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】516343516
【氏名又は名称】アーコニック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ.コーベット
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−503973(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0247841(US,A1)
【文献】 米国特許第06325582(US,B1)
【文献】 米国特許第04995777(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00−19/14
F16B 5/00− 5/12
B21J 15/00−15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン部材を有するファスナであって、前記ピン部材は、ねじ部を有する細長いシャンク部と、前記ねじ部の一端に位置する停止肩部と、前記停止肩部から延びる引張部とを有しており、前記停止肩部は、環状窪みを形成する外側リム及び内側環状壁を含んでいる、ファスナと、
前面を有するプーラーを有するファスナ取付具と、
を備えており、
前記ファスナの環状窪みは、前記プーラーが前記ピン部材の引張部と係合すると、前記ファスナ取付具の前面を受け入れるように構成されている、締結システム。
【請求項2】
前記ファスナ取付具の前記プーラーの前面は、前記プーラーの長手方向軸に対して横方向に計った角度で傾斜している、請求項1に記載の締結システム。
【請求項3】
前記ファスナ取付具の環状窪みは、半円状の断面を有している、請求項2に記載の締結システム。
【請求項4】
前記ファスナ取付具の環状窪みは、四角状の断面を有している、請求項2に記載の締結システム。
【請求項5】
前記ピン部材の引張部は、少なくとも1つの引張溝を含み、前記ファスナ取付具のプーラーは、前記ピン部材の引張部の前記少なくとも1つの引張溝と係合するような大きさ及び形状にされた少なくとも1つの歯を含む、請求項2に記載の締結システム。
【請求項6】
前記ピン部材の引張部は複数の引張溝を含み、前記ファスナ取付具のプーラーは、前記ピン部材の引張部の前記複数の引張溝と係合するような大きさ及び形状にされた複数の歯を含む、請求項5に記載の締結システム。
【請求項7】
前記複数の引張溝は、環状の引張溝である、請求項6に記載の締結システム。
【請求項8】
前記複数の引張溝は、らせん状の引張溝である、請求項6に記載の締結システム。
【請求項9】
前記ファスナ取付具の前記プーラーの前面は、前記ファスナ取付具が前記ファスナと係合すると、前記停止肩部の外側リムと係合するように構成されており、
前記停止肩部の外側リムは、前記ピン部材の環状窪みによる前記プーラーの前面の受入れと、前記プーラーの複数の歯と前記ピン部材の複数の溝とが揃うこととを容易にする、請求項6に記載の締結システム。
【請求項10】
前記ピン部材のねじ部にスエージングされるように構成されたカラーを更に含む、請求項1に記載の締結システム。
【請求項11】
前記ピン部材の引張部は、前記停止肩部と前記ピン部材の引張部との間に位置する破断溝を含み、前記引張部は、十分な軸力が前記ピン部材に加わると、前記破断溝にて前記ピン部材のシャンク部から破断するように構成されている、請求項1に記載の締結システム。
【請求項12】
ピン部材を備えており、
前記ピン部材は、ねじ部を有する細長いシャンク部と、前記ねじ部の一端に位置する停止肩部と、前記停止肩部から延びる引張部とを有し、
前記停止肩部は、環状窪みを形成する外側リム及び内側環状壁を含んでおり、
前記環状窪みは、ファスナ取付具のプーラーが前記ピン部材の引張部と係合すると、前記プーラーの前面を受け入れるように構成されている、ファスナ。
【請求項13】
前記ファスナ取付具の環状窪みは、半円状の断面を有している、請求項12に記載のファスナ。
【請求項14】
前記ファスナ取付具の環状窪みは、四角状の断面を有している、請求項12に記載のファスナ。
【請求項15】
前記ピン部材の引張部は、前記プーラーの少なくとも1つの歯と係合するように構成された少なくとも1つの引張溝を含む、請求項12に記載のファスナ。
【請求項16】
前記ピン部材の引張部は、前記プーラーの複数の歯と係合するように構成された複数の引張溝を含む、請求項15に記載のファスナ。
【請求項17】
前記複数の引張溝は、環状の引張溝である、請求項16に記載のファスナ。
【請求項18】
前記複数の引張溝は、らせん状の引張溝である、請求項16に記載のファスナ。
【請求項19】
前記ファスナ取付具の前記プーラーの前面は、前記ファスナ取付具が前記ファスナと係合すると、前記停止肩部の外側リムと係合するように構成されており、
前記停止肩部の外側リムは、前記ピン部材の環状窪みによる前記プーラーの前面の受入れと、前記プーラーの複数の歯と前記ピン部材の複数の溝とが揃うこととを容易にする、請求項15に記載のファスナ。
【請求項20】
前記ピン部材のねじ部にスエージングされるように構成されたカラーを更に含む、請求項12に記載のファスナ。
【請求項21】
前記ピン部材の引張部は、前記停止肩部と前記ピン部材の引張部との間に位置する破断溝を含み、前記引張部は、十分な軸力が前記ピン部材に加わると、前記破断溝にて前記ピン部材のシャンク部から破断するように構成されている、請求項12に記載のファスナ。
【請求項22】
ピン部材及び止め具を有するファスナであって、前記ピン部材は、ねじ部を有する細長いシャンク部と、前記ねじ部の一端に位置する停止肩部と、前記停止肩部から延びる引張部とを有しており、前記停止肩部は内壁を含んでおり、前記止め具は前記停止肩部の内壁に並置されている、ファスナと、
前面を有するプーラーを有するファスナ取付具と、
を備えており、
前記ファスナの止め具は、前記プーラーが前記ピン部材の引張部と係合すると、前記ファスナ取付具の前面を受け入れるように構成されている、締結システム。
【請求項23】
前記止め具は、エラストマー材料から作られている、請求項22に記載の締結システム。
【請求項24】
前記ピン部材の引張部は、前記プーラーの少なくとも1つの歯と係合するように構成された少なくとも1つの引張溝を含む、請求項23に記載の締結システム。
【請求項25】
前記ピン部材の引張部は、前記プーラーの複数の歯と係合するように構成された複数の引張溝を含む、請求項23に記載の締結システム。
【請求項26】
前記複数の引張溝は、環状の引張溝である、請求項24に記載の締結システム。
【請求項27】
前記複数の引張溝は、らせん状の引張溝である、請求項24に記載の締結システム。
【請求項28】
前記ピン部材のねじ部にスエージングされるように構成されたカラーを更に含む、請求項22に記載の締結システム。
【請求項29】
前記ピン部材の引張部は、前記停止肩部と前記ピン部材の引張部との間に位置する破断溝を含み、前記引張部は、十分な軸力が前記ピン部材に加わると、前記破断溝にて前記ピン部材のシャンク部から破断するように構成されている、請求項22に記載の締結システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、出願人による同時継続中の2015年1月21日出願の米国特許出願第14/601,435号「ファスナ及びファスナ取付具」に関連しており、その利益を主張する。当該米国特許出願は、2014年1月30日出願の米国仮特許出願第61/933,537号「ファスナ及びファスナ取付具」に関連しており、その利益を主張する。当該出願は、引用を以て、本明細書の一部となる。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、締結システムに関しており、より詳細には、スエージ型ロックボルトファスナと、それに関連するファスナ取付具とを含む締結システムに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的にロックボルトと呼ばれるツーピーススエージ型ファスナは、複数のワークピースを一緒に固定するために使われる。典型的には、スエージ型ファスナは、ロック溝を有するピン部材と、ファスナ取付具によってピン部材のロック溝にスエージングされるように構成されたスエージカラーとを含む。ファスナ取付具は、ファスナ取付け中にピン部材の引張部と係合するプーラーを有するノーズアセンブリを含む。
【発明の概要】
【0004】
ある実施形態では、締結システムは、ピン部材を有するファスナであって、前記ピン部材は、ねじ部を有する細長いシャンク部と、前記ねじ部の一端に位置する停止肩部と、前記停止肩部から延びる引張部とを有しており、前記停止肩部は、環状窪みを形成する外側リム及び内側環状壁を含んでいる、ファスナと、前面を有するプーラーを有するファスナ取付具と、を備えており、前記ファスナの環状窪みは、前記プーラーが前記ピン部材の引張部と係合すると、前記ファスナ取付具の前面を受け入れるように構成されている。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の前記プーラーの前面は、前記プーラーの長手方向軸に対して横方向に計った角度で傾斜している。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の受け入れ窪みは、半円状の断面を有している。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の受け入れ窪みは、四角状の断面を有している。ある実施形態では、前記ピン部材の引張部は、少なくとも1つの引張溝を含み、前記ファスナ取付具のプーラーは、前記ピン部材の引張部の前記少なくとも1つの引張溝と係合するような大きさ及び形状にされた少なくとも1つの歯を含む。
【0005】
ある実施形態では、前記ピン部材の引張部は複数の引張溝を含み、前記ファスナ取付具のプーラーは、前記ピン部材の引張部の前記複数の引張溝と係合するような大きさ及び形状にされた複数の歯を含む。ある実施形態では、前記複数の引張溝は、環状の引張溝である。ある実施形態では、前記複数の引張溝は、らせん状の引張溝である。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の前記プーラーの前面は、前記ファスナ取付具が前記ファスナと係合すると、前記停止肩部の外側リムと係合するように構成されており、前記停止肩部の外側リムは、前記ピン部材の環状窪みによる前記プーラーの前面の受入れと、前記プーラーの複数の歯と前記ピン部材の複数の溝とが揃うこととを容易にする。ある実施形態では、前記ファスナ取付具は、前記ピン部材のねじ部にスエージングされるように構成されたカラーを更に含む。ある実施形態では、前記ピン部材の引張部は、前記停止肩部と前記ピン部材の引張部との間に位置する破断溝(breakneck groove)を含み、前記引張部は、十分な軸力が前記ピン部材に加わると、前記破断溝にて前記ピン部材のシャンク部から破断するように構成されている。
【0006】
ある実施形態では、ファスナは、ピン部材を備えており、前記ピン部材は、ねじ部を有する細長いシャンク部と、前記ねじ部の一端に位置する停止肩部と、前記停止肩部から延びる引張部とを有し、前記停止肩部は、環状窪みを形成する外側リム及び内側環状壁を含んでおり、前記環状窪みは、前記プーラーが前記ピン部材の引張部と係合すると、前記ファスナ取付具の前面を受け入れるように構成されている。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の環状窪みは、半円状の断面を有している。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の環状窪みは、四角状の断面を有している。ある実施形態では、前記ピン部材の引張部は、前記プーラーの少なくとも1つの歯と係合するように構成された少なくとも1つの引張溝を含む。ある実施形態では、前記ピン部材の引張部は、前記プーラーの複数の歯と係合するように構成された複数の引張溝を含む。ある実施形態では、前記複数の引張溝は、環状の引張溝である、ある実施形態では、前記複数の引張溝は、らせん状の引張溝である。ある実施形態では、前記ファスナ取付具の前記プーラーの前面は、前記ファスナ取付具が前記ファスナと係合すると、前記停止肩部の外側リムと係合するように構成されており、前記停止肩部の外側リムは、前記ピン部材の環状窪みによる前記プーラーの前面の受入れと、前記プーラーの複数の歯と前記ピン部材の複数の溝とが揃うこととを容易にする。前記ピン部材のねじ部にスエージングされるように構成されたカラーを更に備える。ある実施形態では、前記ピン部材の引張部は、前記停止肩部と前記ピン部材の引張部との間に位置する破断溝を含み、前記引張部は、十分な軸力が前記ピン部材に加わると、前記破断溝にて前記ピン部材のシャンク部から破断するように構成されている。
【0007】
ある実施形態では、締結システムは、ピン部材及び止め具を有するファスナであって、前記ピン部材は、ねじ部を有する細長いシャンク部と、前記ねじ部の一端に位置する停止肩部と、前記停止肩部から延びる引張部とを有しており、前記停止肩部は内壁を含んでおり、前記止め具は前記停止肩部の内壁に並置されている、ファスナと、前面を有するプーラーを有するファスナ取付具と、を備えており、前記ファスナの止め具は、前記プーラーが前記ピン部材の引張部と係合すると、前記ファスナ取付具の前面を受け入れるように構成されている。ある実施形態では、前記止め具は、エラストマー材料から作られている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の参考例(比較例)である実施形態に基づいて構成されたファスナの側面図である。
図2図2は、図1にて表示された円形領域の拡大図である。
図3図3は、図2の断面図である。
図4図4は、ファスナ取付具による図1に図示したファスナの取付けを示す図である。
図5図5は、ファスナ取付具による図1に図示したファスナの取付けを示す図である。
図5A図5Aは、ファスナ取付具による図1に図示したファスナの取付けを示す図である。
図6図6は、ファスナ取付具による図1に図示したファスナの取付けを示す図である
図7図7は、ファスナ取付具による図1に図示したファスナの取付けを示す図である。
図8図8は、本発明の参考例(比較例)である別の実施形態のピン部材の側面図である。
図9図9は、本発明の実施形態のピン部材と、当該ピン部材に係合するファスナ取付工具のコレットの部分断面図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態のピン部材と、当該ピン部材に係合するファスナ取付工具のコレットの部分断面図である。
図11A図11Aは、本発明の別の実施形態のピン部材の一部の斜視図である。
図11B図11Bは、図11Aに示すピン部材と、当該ピン部材に係合するファスナ取付工具のコレットの側断面図である。
図12A図12Aは、別の実施形態のピン部材と、当該ピン部材に係合するファスナ取付工具のコレットの側断面図である。
図12B図12Bは、別の実施形態のピン部材と、当該ピン部材に係合するファスナ取付工具のコレットの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明の参考例である実施形態では、ファスナ10は、ピン部材12と、スエージカラー14とを含んでおり、スエージカラー14は、ピン部材12に嵌まってスエージングされるような大きさ及び形状にされている。実施形態では、ピン部材12は、ロックボルトである。実施形態では、ピン部材12は、ヘッド18の一端にて終端する細長いシャンク部16を含む。実施形態では、シャンク部16は、滑らかな円筒部19と、複数のねじ山22を有しており、ロック溝24を伴ったねじ部20と、複数の引張溝28を有する引張部26とを有する。実施形態では、引張溝28は螺旋状の溝である。実施形態では、引張部26は、少なくとも1つの引張溝28を含む。別の実施形態では、引張部は、1つの引張溝28を含む。実施形態では、引張部26は、ねじ部20と引張部26の間に位置する環状の破断溝30を含む。実施形態では、破断溝30は、ピン部材12の最も弱い所を規定しており、ピン部材12に加えられた軸力、具体的には引張部26に加えられた軸力に応答して破断するように構成されている。
【0010】
図1乃至図3を参照すると、実施形態では、ピン部材12のシャンク部16は、停止肩部32を含んでおり、停止肩部32は、ねじ部20の一方の端部34に位置しており、引張部26の破断溝30に近接している。実施形態では、停止肩部32は、シャンク部16にて環状に形成されている。実施形態では、停止肩部32は、内側環状壁36と、シャンク部16から外側に延びる内面38とを含む。実施形態では、環状壁36と内面38は、それらの間に形成されたアール部(radiused portion)40で繋がれている。実施形態では、内壁36、内面38及びアール部40は、環状受入領域42を構成する。実施形態では、内側環状壁36は、ねじ部20の端部34から長手方向に延びる。実施形態では、停止肩部32の内面38は、ピン部材12の長手方向軸から横方向に計ったねじ山の挟角(included angle)Aで斜めに延びる。実施形態では、ねじ山の角度Aは約120度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約110度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約100度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約130度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約140度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約150度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約160度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは約170度である。別の実施形態では、ねじ山の角度Aは、約110度乃至約170度の範囲にある。実施形態では、アール部40は曲率半径Rを伴っている。実施形態では、停止肩部32は、その他の形状及び大きさで構成されてよく、停止肩部32は、突出したリップやカールで構成されてよい。
【0011】
実施形態では、ピン部材12は、中炭素合金鋼から作られている。実施形態では、ピン部材12は、グレード8の強度レベルのボルトである。他の実施形態では、ピン部材12は、例えばグレード2、グレード5、グレード8、クラス8.8及びクラス10.9といった当該技術分野で周知の任意の等級で特徴付けられてよい。他の実施形態では、ピン部材12は、当該技術分野で周知の他の適切な材料で作られてよい。
【0012】
図1に戻ると、実施形態では、スエージカラー14は、管状のシャンク44を含んでおり、シャンク44は、第1の端部46と、反対側にある第2の端部48と、第1の端部46にて円周方向に沿って広がるフランジ50と、第1の端部46から第2の端部48に延びるボア(図示略)とを有する。実施形態では、シャンク44の形状は、ほぼ一様な円筒である。他の実施形態では、スエージカラー14は、Mercerらによる米国特許7,293,339号において開示及び説明されたカラーの特徴を備えてもよい。当該米国特許の全体は、参照により本明細書の一部となる。
【0013】
実施形態では、スエージカラー14は、当該カラー14の内面から延びる内部フィットアップタブ(fit-up tab)(図示略)を含む。実施形態では、フィットアップタブは、Dixonによる米国特許4,867,625号に示されたような一条ねじを含む。当該米国特許の全体は、参照により本明細書の一部となる。実施形態では、フィットアップタブは、スエージカラー14のシャンク44の第2の端部48に近接配置される。別の実施形態では、フィットアップタブは、スエージカラー14のシャンク44の第1の端部46に近接して配置される。フィットアップタブの目的及び機能については以下で説明する。別の実施形態では、スエージカラー14は、フィットアップタブを含まなくともよい。
【0014】
実施形態では、スエージカラー14は、低炭素鋼で作られる。別の実施形態では、スエージカラー14は、焼きなましされていない低炭素鋼で作られる。別の実施形態では、スエージカラー14は、焼きなましされた低炭素鋼で作られる。別の実施形態では、スエージカラー14は「ヘッディングされたまま(as-headed)」であり、Mercerらによる上記の米国特許7,293,339号に開示及び説明されているように熱処理を必要としない。米国特許の全体は、参照により本明細書の一部となる。本明細書において用いられる用語「ヘッディングされたまま」は、熱処理(例えば、クエンチや焼戻し、応力除去等)を用いて硬度を変えるのではなく、例えば冷間加工でひずみ硬化されたカラーを指す。
【0015】
図4を参照すると、実施形態では、ファスナ10は、複数のワークピース52及び54を一緒に固定するように構成されている。実施形態では、ピン部材12のシャンク部16は、ワークピース52及び54の孔に挿入されており、ヘッド18は、ワークピース54の一方の面56に当接し、シャンク部16はワークピース52の一方の面58の外側に延びている。実施形態では、スエージカラー14がピン部材12のシャンク部16に嵌められて、シャンク部16は、カラー14のボアに挿入される。実施形態では、フィットアップタブは、最初に、カラー14をピン部材12に保持するためにピン部材12のねじ山22と螺合する。実施形態では、スエージカラー14は、当該カラー14のフランジ50がワークピース52の一方の面58に当接するまでピン部材12に嵌めこまれる。
【0016】
図4を参照すると、実施形態では、ファスナ取付具60は、プーラー62及びスエージアンビル64を含む。実施形態では、プーラー62は、複数の内歯68及び複数の引張溝70を有しており、ピン部材12の引張部26の引張溝28を把持するような大きさと形状にされて構成されたチャックジョー(chuck jaws)66を含む。実施形態では、プーラー62の引張溝70は、螺旋溝である。実施形態では、プーラー62は、少なくとも1つの引張溝70を含む。別の実施形態では、プーラー62は1つの引張溝70を含む。別の実施形態では、プーラー62の引張溝70は、タッピング(tapping)により形成される。実施形態では、プーラーのチャックジョー66は、前面72を含む。実施形態では、この前面は、プーラー62の長手方向軸に対して横方向に計った角度Bを有する。実施形態では、角度Bは、ピン部材12の停止肩部32の内面38の角度Aと一致するように又はほぼ同じに選択されている。実施形態では、角度Bは約120度である。別の実施形態では、角度Bは約110度である。別の実施形態では、角度Bは約100度である。別の実施形態では、角度Bは約130度である。別の実施形態では、角度Bは約140度である。別の実施形態では、角度Bは約150度である。別の実施形態では、角度Bは約160度である。別の実施形態では、角度Bは約170度である。別の実施形態では、角度Bは、約110度乃至約170度の範囲にある。
【0017】
実施形態では、ファスナ取付具は、Mercerらによる前述の米国特許7,293,339号において開示及び説明された取付具の特徴を含んでよい。実施形態では、ファスナ取付具のスエージアンビルは、スエージカラー14と係合してスエージカラー14とピン部材12の間に相対的軸力を加えて、スエージカラー14に亘って移動し、ピン部材12のロック溝24にそれをスエージングするように構成されている。
【0018】
図4を参照すると、実施形態では、ファスナ10は、上記のようにワークピース52及びワークピース54に取り付けられている。実施形態では、プーラー62のジョー66は、ピン部材12の引張部26を通過して被さる(slip over)ために、間隔を開けて広がっており、開位置にある。図5及び図5Aを参照すると、実施形態では、プーラー62の歯68及び引張溝70は、ピン部材12の引張部26の引張溝28と係合している。実施形態では、プーラー62のジョー66の前面72は、ピン部材12の停止肩部32の内面38に当たって止まっており、ピン部材12の引張部26とプーラー62が適切に揃えられている。これらの輪郭に沿って、停止肩部32は、ピン部材12の引張部26と係合するとプーラー62を前方に移動させて、ピン部材12の引張部26の引張溝28とプーラー62の歯68と揃えることを可能とする。プーラー62に対するピン部材12の回転方向に応じて、プーラー62の歯68がピン部材12の引張溝28に近づくと、プーラー62は、ピン部材12の停止肩部32の受入領域42へと移動し、或いは、停止肩部32から離れて後方に移動するであろう。プーラー62が前方へ移動する場合では、停止肩部32のねじ山の夾角Aは、プーラー62と停止肩部32の間の干渉を防止する。プーラー62はその後、引張部26との係合時において前方に押し進められると、内面38に向かって下向き及び内向きにスライドする。プーラー62が引張部26と揃えられると、プーラー62のジョーはその後、内向きに移動して閉位置に至り、引張部26を締め付けて、ピン部材12に軸力をもたらして、ワークピース52及びワークピース54の間の隙間を埋める。アンビル64はそして、スエージカラー14と係合してスエージングする。
【0019】
図6を参照すると、カラー14が十分にスエージングされると、プーラー62は、引張部26が破断溝30にて外れるまで、ピン部材12に軸力を与え続ける。それによって、余分な突出部が排除される。図7を参照すると、プーラー62が戻って、アンビル64はスエージカラー14から外れる。引張部26は、取付具60から収集装置へと排出される。取り付けられたファスナ10の破断された引張部26によって、取付具60がファスナ10に適用されたことの視覚的な表示が存在することになる。
【0020】
図8は、本発明の参考例である別の実施形態のピン部材112を示す。ピン部材112は、以下に述べる点を除いて、ピン部材12と同様の構造、特徴及び特性を有している。実施形態では、ピン部材112は、ヘッド118の一端で終端する細長いシャンク部116を含んでいる。実施形態では、シャンク部116は、滑らかな円柱部119と、複数のねじ山122を有しており、ロック溝124を伴ったねじ部120と、複数の引張溝28を有する引張部126とを有する。実施形態では、引張溝128は環状溝である。実施形態では、引張部126は、少なくとも1つの引張溝128を含む。別の実施形態では、引張部126は、1つの引張溝128を含む。実施形態では、引張部126は、ねじ部120と引張部126の間に位置する環状の破断溝130を含む。実施形態では、破断溝130は、ピン部材112の最も弱い所を規定しており、ピン部材112に加えられた軸力、具体的には引張部126に加えられた軸力に応答して破断するように構成されている。実施形態では、ピン部材112のシャンク部116は、停止肩部132を含んでおり、停止肩部132は、ねじ部120の端部134に位置しており、引張部126の破断溝130に近接している。実施形態では、停止肩部132は、先に説明しており、図1乃至図3に示されているピン部材12の停止肩部32と同様の構造、特徴及び特性を含んでいる。
【0021】
図9は、リム付(rimmed)停止肩部232を有している本発明の実施形態のピン部材212を示している。リム付停止肩部232は、ねじ部220の端部234に位置しており、ピン部材212の引張部226の破断溝230に近接している。実施形態では、停止肩部232は、ピン部材212のシャンク部に環状に形成される。実施形態では、停止肩部232は、半円状の断面を有する内壁236と、外側環状リム237とを含んでいる。実施形態では、内壁236及び外側リム237は、半円状の断面形状を有する環状窪み242を形成する。実施形態では、内側環状壁236は、ねじ部220の端部234から長手方向に延びている。実施形態では、内側環状壁236は半径Rを有している。
【0022】
引き続き図9を参照すると、実施形態では、プーラー262は、内歯268及び引張溝270を有しており、ピン部材212の引張部226の引張溝228と嵌合して把持するような大きさと形状にされて構成されたチャックジョー266を含む。実施形態では、プーラー262の引張溝270は、環状溝である。実施形態では、プーラー262は、少なくとも1つの引張溝270を含む。別の実施形態では、プーラー262は、1つの引張溝270を含む。実施形態では、プーラーのチャックジョー266は、先端273で頂部をなす前面272を含む。実施形態では、前面は、プーラー262の長手方向軸に対して横方向に測定された角度で傾斜している。
【0023】
実施形態では、場合によっては、プーラー262の歯268がピン部材212の引張部226の引張溝228に係合すると、歯268及び引張溝228は、図9に示すようにずれていてよい。実施形態では、プーラー262の傾斜した前面272は、ピン部材212の停止肩部232のリム237と係合する。実施形態では、停止肩部232の窪み242は、先端273と、プーラー262の前面272の少なくとも一部とを受け入れるような大きさと形状にされているので、プーラー262がねじ部220に向かう方向に前進して、プーラー262の歯268と、ピン部材212の引張部226の引張溝228とが揃えられる。
【0024】
図10は、本発明の別の実施形態のピン部材312を示す。ピン部材312は、ねじ部320の端部334に位置しており、引張部326の破断溝330に近接しているリム付停止肩部332を有する。実施形態では、停止肩部332は、ピン部材312のシャンク部に環状に形成されている。実施形態では、停止肩部332は、四角い断面を有する内壁336と、外側環状リム337とを含んでいる。実施形態では、内壁336及び外側リム337は、四角い断面を有する環状窪み342を形成する。
【0025】
引き続き図10を参照すると、実施形態では、プーラー362は、内歯368及び引張溝370を有しており、ピン部材312の引張部326の引張溝328と嵌合して把持するような大きさと形状にされて構成されたチャックジョー366を含む。実施形態では、プーラー362の引張溝370は環状溝である。実施形態では、プーラー362は、少なくとも1つの引張溝370を含む。別の実施形態では、プーラー362は、1つの引張溝370を含む。実施形態では、プーラーのチャックジョー366は、先端373で頂部をなす前面372を含む。実施形態では、前面は、プーラー362の長手方向軸に対して横方向に測定された角度で傾斜している。
【0026】
プーラー362の歯368がピン部材312の引張部326の引張溝328に係合すると、歯368及び引張溝328は、図10に示すようにずれている。実施形態では、プーラー362の傾斜した前面372は、ピン部材212の停止肩部332のリム337と係合する。実施形態では、停止肩部332の窪み342は、プーラー362の先端373と前面372の少なくとも一部とを受け入れるような大きさと形状にされているので、プーラー362がねじ部320に向かう方向に前進して、プーラー362の歯368と、ピン部材312の引張部326の引張溝328とが揃えられる。
【0027】
図11A及び図11Bは、本発明の別の実施形態のピン部材412を示している。ピン部材412は、ねじ部420の端部434に配置されており、引張部426の破断溝430に近接している複数のリム付停止肩部432を有する。実施形態では、停止肩部432は、ピン部材412のねじ部420の端部434において、周方向に互いに離間している。実施形態では、停止肩部432の各々は、内壁436を含んでおり、内壁436は、内側湾曲部分433と、傾斜(即ち、斜め)部分435とを有する断面を有しており、外側リム437を形成している。実施形態では、内壁436及び外側リム437は、環状窪み442を形成する。
【0028】
引き続き図11A及び図11Bを参照すると、実施形態では、プーラー462は、内歯468及び引張溝470を有しており、ピン部材412の引張部426の引張溝428と嵌合して把持するような大きさと形状にされて構成されたチャックジョー466を含む。実施形態では、プーラー462の引張溝470は環状溝である。実施形態では、プーラー462は、少なくとも1つの引張溝470を含む。別の実施形態では、プーラー462は、1つの引張溝470を含む。実施形態では、プーラーのチャックジョー466は、先端473で頂部をなす前面472を含む。実施形態では、前面472は、プーラー462の長手方向軸に対して横方向に測定された角度で傾斜している。
【0029】
プーラー462の歯468がピン部材412の引張部426の引張溝428に係合すると、歯468及び引張溝428はずれていてよい。実施形態では、プーラー462の傾斜した前面472は、ピン部材412の停止肩部432のリム437と係合する。実施形態では、停止肩部432の窪み442は、先端473と、プーラー462の前面472とを受け入れるような大きさと形状にされているので、プーラー462がねじ部420に向かう方向に前進して、プーラー462の歯468と、ピン部材412の引張部426の引張溝428とが揃えられる。
【0030】
図12A及び12Bは、本発明の別の実施形態のピン部材512を示している。ピン部材512は、ねじ部520の端部534に位置しており、引張部526の破断溝530に近接している停止肩部532を有している。実施形態では、停止肩部532は、ピン部材512のシャンク部に環状に形成されている。別の実施形態では、ピン部材512は、周方向に互いに離間して配置された複数の停止肩部532を含んでよい。実施形態では、停止肩部532は、ピン部材512の長手方向軸に対して垂直に向いている内壁536を含んでいる。別の実施形態では、内壁536は、ピン部材512の長手方向軸に対して実質的に垂直に向いている。実施形態では、内壁536に並置された止め具(stop)539が設けられている。実施形態では、止め具539は、エラストマー材料から作られる。実施形態では、止め具539はゴムから作られている。別の実施形態では、止め具539は、ポリウレタンから作られる。別の実施形態では、止め具539は、当該技術分野において知られている他の適切な変形可能な材料から作られる。実施形態では、止め具539は、当該技術分野において知られている接着剤又は他の手段によって内壁536に取り付けられる。実施形態では、止め具539はリング形状である。
【0031】
引き続き図12A及び図12Bを参照すると、実施形態では、プーラー562は、内歯568及び引張溝570を有しており、ピン部材512の引張部526の引張溝528と嵌合して把持するような大きさと形状にされて構成されたチャックジョー556を含む。実施形態では、プーラー562の引張溝570は環状溝である。実施形態では、プーラー562は、少なくとも1つの引張溝570を含む。別の実施形態では、プーラー562は、1つの引張溝570を含む。実施形態では、プーラーのチャックジョー566は、先端573で頂部をなす前面572を含む。実施形態では、前面572は、プーラー562の長手方向軸に対して横方向に測定された角度で傾斜している。
【0032】
図12Aを参照すると、プーラー562の歯568がピン部材512の引張部526の引張溝528に係合する場合、歯568及び引張溝528はずれていてよい。実施形態では、プーラー562の傾斜した前面572と先端573は、ピン部材512の止め具539と係合する。図12Bを参照すると、プーラー562が前進して、プーラー562の傾斜した前面572と先端573が、止め具539へと押されており、これにより、歯568と引張溝528とが係合して互いに揃えられると、プーラー562は、変形して、停止肩部532へと進むことができる。
【0033】
本明細書に記載の実施形態は単に例示的なものであること、そして、当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変更及び修正を行い得ること、それは理解されるべきである。全てのそのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B