特許第6567072号(P6567072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6567072漏れ流調整装置を備えるシュラウド付きタービン翼
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567072
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】漏れ流調整装置を備えるシュラウド付きタービン翼
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/20 20060101AFI20190819BHJP
   F01D 5/22 20060101ALI20190819BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20190819BHJP
   F01D 11/08 20060101ALI20190819BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20190819BHJP
   F16J 15/04 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   F01D5/20
   F01D5/22
   F01D25/00 M
   F01D11/08
   F02C7/28 A
   F16J15/04 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-548873(P2017-548873)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公表番号】特表2018-513297(P2018-513297A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2015020907
(87)【国際公開番号】WO2016148694
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】コク−ムン タム
(72)【発明者】
【氏名】チン−パン リー
(72)【発明者】
【氏名】リー シン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー エス. ローハウス
(72)【発明者】
【氏名】ファーザド タレミ
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−148086(JP,A)
【文献】 米国特許第6491498(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0195766(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1559871(EP,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第1609951(EP,A1)
【文献】 米国特許第7396205(US,B2)
【文献】 特開2001−055902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/20
F01D 5/22
F01D 11/08
F01D 25/00
F02C 7/28
F16J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼(10)であって、
前縁(34)と、後縁(36)と、正圧面(38)と、該正圧面(38)と反対側の負圧面(40)と、第1の端部(44)における先端部(24)と、翼(32)を支持しかつ該翼(32)をディスクに結合するために前記第1の端部(44)と略反対側の第2の端部(48)において前記翼(32)に結合された根元部(46)とを有する、全体として細長い翼(32)と、
前記全体として細長い翼(32)の前記先端部(24)に結合された少なくとも1つの外側シュラウド(22)と、を備え、
前記少なくとも1つの外側シュラウド(22)は、ほぼ前記正圧面(38)から前記負圧面(40)に向かう方向に延びておりかつタービンエンジン内で周方向に延びており、
前記少なくとも1つの外側シュラウド(22)は、少なくとも部分的に、前記全体として細長い翼(32)の前記先端部(24)に結合された外側シュラウドベース(20)と、該外側シュラウドベース(20)から半径方向外方へ延びる外側シュラウドボディ(50)とによって形成されており、
前記外側シュラウドベース(20)は、前記外側シュラウドボディ(50)の上流に延びる上流セクション(52)と、前記外側シュラウドボディ(50)の下流に延びる下流セクション(54)とを有し、
前記外側シュラウドボディ(50)の下流に延びる前記下流セクション(54)に配置された下流漏れ流調整装置(58)を備え、
前記下流漏れ流調整装置(58)の半径方向外面(56)は、前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の半径方向外面(60)よりもさらに半径方向内方に配置されており、
前記下流漏れ流調整装置(58)の前記半径方向外面(56)と前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の前記半径方向外面(60)との間の交差部(68)は、前記全体として細長い翼(32)が配置されるように構成されているタービンエンジンの長手方向軸線(62)に対して非平行かつ非直交であり、
前記下流漏れ流調整装置(58)の前記半径方向外面(56)と前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の前記半径方向外面(60)との間の前記交差部(68)は、半径方向外方へ延びる壁面(30)から形成されており、
前記下流漏れ流調整装置(58)の前記半径方向外面(56)は、遠位エッジ(76)が、前記下流漏れ流調整装置(58)と前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の前記半径方向外面(60)との間の、半径方向外方へ延びる壁面(30)における近位エッジ(78)よりも、半径方向でさらに外方に配置されるように、傾斜している
ことを特徴とする、タービン翼(10)。
【請求項2】
前記下流漏れ流調整装置(58)は、前記外側シュラウドボディ(50)から前記外側シュラウドベース(20)の下流エッジ(84)まで延びていることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(10)。
【請求項3】
前記下流漏れ流調整装置(58)の半径方向外面(56)と前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の前記半径方向外面(60)との間の前記交差部(68)は、前記全体として細長い翼(32)と前記少なくとも1つの外側シュラウド(22)との交差部(70)において前記全体として細長い翼(32)の前記正圧面(38)とほぼ整列していることを特徴とする、請求項1または2記載のタービン翼(10)。
【請求項4】
前記半径方向外方へ延びる壁面(30)は、前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の前記半径方向外面(60)との交差部に斜面(72)を有し、前記下流漏れ流調整装置(58)の前記半径方向外面(56)との交差部(68)に斜面(74)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタービン翼(10)。
【請求項5】
前記下流漏れ流調整装置(58)の前記半径方向外面(56)から半径方向外方へ延びる少なくとも1つの補強レール(80)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のタービン翼(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの補強レール(80)の半径方向外側の遠位端部(82)は、前記外側シュラウドベース(20)の前記下流セクション(54)の前記半径方向外面(60)よりもさらに半径方向内方に配置されていることを特徴とする、請求項記載のタービン翼(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの補強レール(80)の前記半径方向外側の遠位端部(82)は、線形の面であることを特徴とする、請求項記載のタービン翼(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの補強レール(80)は、前記外側シュラウドボディ(50)から前記外側シュラウドベース(20)の下流エッジ(84)まで延びていることを特徴とする、請求項記載のタービン翼(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタービン翼に関し、より詳細には、シュラウド付きタービン翼上の外側シュラウドにおける流れ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ガスタービンエンジンは、空気を圧縮するための圧縮機と、圧縮空気を燃料と混合し、混合物に点火するための燃焼器と、動力を発生するためのタービンブレードアセンブリとを有する。燃焼器はしばしば、華氏2500度を超過し得る高温で作動する。典型的なタービン燃焼器構成は、タービンブレードアセンブリをこのような高温に曝す。その結果、タービンブレードは、このような高温に耐えることができる材料から形成されなければならない。
【0003】
タービンブレードは、一方の端部における根元部と、タービンブレードの反対側の端部において根元部に接続されたプラットフォームから外方へ延びたブレードを形成した細長い部分とから形成されている。ブレードは、通常、根元セクションとは反対側の先端部と、前縁と、後縁とから成る。タービンブレードの先端部は、多くの場合、タービンブレードによって発生するトルクの大きさを減少させる先端流漏れを防止するために、タービンのガス流路内のリングセグメントとブレードとの間の間隙のサイズを減じるための先端部構造を有する。幾つかのタービンブレードは、先端部に取り付けられた、図1に示すような外側シュラウドを有する。図2に示すような先端部漏れ損失は、仕事抽出の機会がほとんど失われ、空力的な二次的損失にも寄与する。先端部通過漏れを低減するために、シュラウド付きブレードは、一般的に、走行する先端部間隙のための周方向ナイフエッジを有する。シュラウド付きタービン段における主な損失メカニズムのうちの1つは、キャビティ損失、特に、図2に示すようにキャビティから主ガス路内への先端部シュラウド漏れ流の再進入による混合損失である。先端部通過漏れ流はロータブレードによって変向されず、ひいては、比較的高いスワール速度を備える、主ガス流との角度ミスマッチにおける、シュラウドキャビティを残す。流れ角度および速度におけるこのミスマッチの結果、空力的な混合損失が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
漏れ流を主高温ガス流と整列するように方向付けるべく構成された漏れ流調整装置を備えるシュラウド付きタービン翼が開示されている。漏れ流調整装置は、翼の先端部における外側シュラウドの外側シュラウドベースの半径方向外面に配置されていてもよい。漏れ流調整装置は、外側シュラウドベースの半径方向外面よりもさらに半径方向内方に配置された半径方向外面を有していてもよく、これにより、漏れ流を方向転換するように機能する、半径方向外方へ延びる壁面を形成している。少なくとも1つの実施の形態では、主高温ガス流と整列するように漏れ流を方向転換することによってタービンエンジンの効率を高めて、主ガス流への再導入時の空力的損失を減じるために、半径方向外方へ延びる壁面は、シュラウド付きタービン翼の正圧面と整列していてもよい。
【0005】
少なくとも1つの実施の形態では、タービン翼は、全体として細長い翼から形成されていてもよく、翼は、前縁と、後縁と、正圧面と、正圧面とは反対側の負圧面と、第1の端部における先端部と、翼を支持しかつ翼をディスクに接続するために第1の端部とは略反対側の第2の端部において翼に接続された根元部と、を有している。タービン翼は、全体として細長い翼の先端部に結合された1つまたは複数の外側シュラウドを有していてもよい。外側シュラウドは、ほぼ正圧面から負圧面に向かう方向へ延びていてもよく、タービンエンジンにおいて周方向に延びている。外側シュラウドは、少なくとも部分的に、全体として細長い翼の先端部に結合された外側シュラウドベースと、外側シュラウドベースから半径方向外方へ延びる外側シュラウドボディとによって形成されていてもよい。外側シュラウドベースは、外側シュラウドボディの上流に延びる上流セクションと、外側シュラウドボディの下流に延びる下流セクションとを有していてもよい。
【0006】
タービン翼は、外側シュラウドボディの下流に延びる下流セクションに配置された下流漏れ流調整装置を有していてもよい。下流漏れ流調整装置の半径方向外面は、外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面よりもさらに半径方向内方に配置されていてもよい。下流漏れ流調整装置の半径方向外面と、外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面との間の交差部は、全体として細長い翼が配置されるように構成されているタービンエンジンの長手方向軸線に対して非平行かつ非直交であってもよい。下流漏れ流調整装置は、外側シュラウドボディから外側シュラウドベースの下流エッジまで延びていてもよい。
【0007】
下流漏れ流調整装置の半径方向外面と、外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面との間の交差部は、全体として細長い翼と外側シュラウドとの交差部において全体として細長い翼の正圧面とほぼ整列していてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、下流漏れ流調整装置の半径方向外面と、外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面との間の交差部は、半径方向外方へ延びる壁面から形成されていてもよい。半径方向外方へ延びる壁面は、外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面との交差部に斜面を有していてもよく、下流漏れ流調整装置の半径方向外面との交差部に斜面を有していてもよい。下流漏れ流調整装置の半径方向外面は、遠位エッジが、下流漏れ流調整装置と外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面との間の半径方向外方へ延びる壁面における近位エッジよりも、半径方向でさらに外方に配置されるように、傾斜していてもよい。
【0008】
タービン翼は、下流漏れ流調整装置の半径方向外面から半径方向外方へ延びる1つまたは複数の補強レールを有していてもよい。少なくとも1つの補強レールの半径方向外側の遠位端部は、外側シュラウドベースの下流セクションの半径方向外面よりもさらに半径方向内方に配置されていてもよい。補強レールの半径方向外側の遠位端部は、線形の面であるかまたは別の構成を有していてもよい。補強レールは、外側シュラウドボディから外側シュラウドベースの下流エッジまで延びていてもよい。
【0009】
タービン翼は、外側シュラウドボディの上流に延びる上流セクションの半径方向外面に配置された上流漏れ流調整装置を有していてもよい。上流漏れ流調整装置は、下流漏れ流調整装置について本明細書で説明された構成のいずれかまたは全てにおいて構成されていてもよい。代替的に、上流漏れ流調整装置は、その他の構成を有していてもよい。
【0010】
漏れ流調整装置の利点は、漏れ流調整装置がシュラウドキャビティ内の仕事抽出を促進するということである。
【0011】
漏れ流調整装置の別の利点は、漏れ流調整装置が、先端部通過漏れ流を、主流と一致するように整合させることである。これにより、仕事が抽出され、漏れ流は、主ガス路内への再導入時に、結果的に空力損失が減じられるように調整される。
【0012】
漏れ流調整装置のさらに別の利点は、漏れ流調整装置が外側シュラウドの重量を減少させ、その結果、翼応力の減少およびシュラウド荷重を支持するために必要とされる翼セクションの減少を生じ、その結果、空力プロフィル損失を減少させ、これにより、翼の空力効率を高める、ということである。翼応力の減少は、ブレードクリープ抵抗をも増大させる。
【0013】
シュラウドボディの質量減少の別の利点は、ナイフエッジシールの接触が高まるということである。
【0014】
漏れ流調整装置のさらに別の利点は、漏れ流調整装置が、漏れ流調整装置によるシュラウドカールリスクの増大を軽減するために、1つまたは複数の補強レールを有していてもよいということである。
【0015】
これらの実施の形態およびその他の実施の形態を、以下でより詳細に説明する。
【0016】
明細書の一部に組み込まれ明細書の一部を形成する添付の図面は、ここに開示された本発明の実施の形態を例示し、詳細な説明と共に本発明の原理を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】外側シュラウドを備える従来のタービン翼の透視図である。
図2】漏れ流および主ガス流とともに示した従来のタービン翼の透視図である。
図3】少なくとも1つの漏れ流調整装置を備えるシュラウド付きタービン翼を有する、ガスタービンエンジンの透視図である。
図4図3のガスタービンエンジン内で使用可能な、下流漏れ流調整装置を有する、シュラウド付きタービン翼の、ほぼ上流方向および半径方向内方を見た透視図である。
図5図4内の切断線5−5に沿った、図4のシュラウド付きタービン翼の断面図である。
図6図3のガスタービンエンジン内で使用可能な、下流漏れ流調整装置を有する、シュラウド付きタービン翼の別の実施の形態の、ほぼ上流方向および半径方向内方を見た透視図である。
図7図6内の切断線7−7に沿った、図6のシュラウド付きタービン翼の断面図である。
図8】少なくとも1つの漏れ流調整装置を備えるシュラウド付き翼の周囲の高温燃焼ガスの流れの概略図である。
図9図3のガスタービンエンジン内で使用可能な、上流漏れ流調整装置を有する、シュラウド付きタービン翼の別の実施の形態の、ほぼ上流方向および半径方向内方を見た透視図である。
図10図9および図11内の切断線10−10に沿った、図9のシュラウド付きタービン翼の断面図である。
図11図3のガスタービンエンジン内で使用可能な、下流漏れ流調整装置および上流漏れ流調整装置を有する、シュラウド付きタービン翼の別の実施の形態の、ほぼ上流方向および半径方向内方を見た透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3図11に示すように、漏れ流14を主高温ガス流16と整列するように方向付けるべく構成された漏れ流調整装置12を備えるシュラウド付きタービン翼10が開示されている。漏れ流調整装置12は、翼10の先端部24における外側シュラウド22の外側シュラウドベース20の半径方向外面18に配置されていてもよい。漏れ流調整装置12は、外側シュラウドベース20の半径方向外面18よりもさらに半径方向内方に配置された半径方向外面28を有していてもよく、これにより、漏れ流14を方向転換するように機能する、半径方向外方へ延びる壁面30を形成している。少なくとも1つの実施の形態では、主高温ガス流16と整列するように漏れ流を方向転換することによってタービンエンジン64の効率を高めて、主ガス流16への再導入時の空力的損失を減じるために、半径方向外方へ延びる壁面30は、シュラウド付きタービン翼10の正圧面32と整列していてもよい。
【0019】
少なくとも1つの実施の形態では、図3に示すように、タービン翼10は、全体として細長い(generally elongated)翼32から形成されていてもよく、翼32は、前縁34と、後縁36と、正圧面(pressure side)38と、正圧面38とは反対側の負圧面(suction side)40と、第1の端部44における先端部24と、翼10を支持しかつ翼10をディスクに接続するために第1の端部44とは略反対側の第2の端部48において翼10に接続された根元部46とを有する。タービン翼10は、全体として細長い翼32の先端部24に結合された1つまたは複数の外側シュラウド22を有していてもよい。外側のシュラウド22は、ほぼ正圧面38から負圧面40に向かう方向へ延びていてもよく、タービンエンジン64内で周方向に延びていてもよい。外側シュラウド22は、少なくとも部分的に、全体として細長い翼32の先端部24に結合された外側シュラウドベース20と、外側シュラウドベース20から半径方向外方へ延びる外側シュラウドボディ50とによって形成されていてもよい。外側シュラウドベース20は、外側シュラウドボディ50の上流に延びる上流セクション52と、外側シュラウドボディ50の下流に延びる下流セクション54とを有していてもよい。
【0020】
図4図7および図11に示すように、タービン翼10は、外側シュラウドボディ50の下流に延びる下流セクション54に配置された下流漏れ流調整装置58を有していてもよい。下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56は、外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60よりもさらに半径方向内方に配置されていてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、下流漏れ流調整装置58は、翼32の正圧面38における外側シュラウド22に配置されてもよい。下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56と外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60との間の交差部68は、全体として細長い翼32が配置されるように構成されているタービンエンジン64の長手方向軸線62に対して非平行かつ非直交であってもよい。下流漏れ流調整装置58は、外側シュラウドボディ50から外側シュラウドベース20の下流エッジ66まで延びていてもよい。下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56と外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60との間の交差部68は、全体として細長い翼32と外側シュラウド22との交差部70において、全体として細長い翼32の側42の半径方向外方に延びる壁面30とほぼ整列していてもよい。特に、下流漏れ流調整装置58は、ブレード後縁流れ角度120と整列していてもよい。下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56と外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60との間の交差部68は、半径方向外方へ延びる壁面30から形成されていてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、半径方向外方へ延びる壁面30は、外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60との交差部に斜面72を有していてもよく、下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56との交差部に斜面74を有している。
【0021】
少なくとも1つの実施の形態では、図5および図7に示すように、下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56は、遠位エッジ76が、下流漏れ流調整装置58と外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60との間の、半径方向外方へ延びる壁面30における近位エッジ78よりも、半径方向でさらに外方に配置されるように、傾斜していてもよい。下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56は、あらゆる適切な角度で配置されてよい。
【0022】
図6図7および図11に示すように、タービン翼10は、下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56から半径方向外方へ延びる1つまたは複数の補強レール80を有していてもよい。補強レール80は、下流漏れ流調整装置58によるシュラウドカールリスクの増大を軽減することができる。少なくとも1つの補強レール80の半径方向外側の遠位端部82は、外側シュラウドベース20の下流セクション54の半径方向外面60よりもさらに半径方向内方に配置されてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、補強レール80の半径方向外側の遠位端部82は、線形の面である。補強レール80は、外側シュラウドボディ50から外側シュラウドベース20の下流エッジ66まで延びていてもよいし、またはより短くてもよい。
【0023】
図9図11に示すように、タービン翼10は、上流漏れ流調整装置90を有していてもよい。上流漏れ流調整装置90は、下流漏れ流調整装置58とともにまたは下流漏れ流調整装置58の代わりに、翼10に設けられていてもよい。上流漏れ流調整装置90は、下流漏れ流調整装置58と同様に構成されていてもよいし、または別の構成を有していてもよい。例えば、タービン翼10は、外側シュラウドボディ50の上流に延びる上流セクション52に配置された上流漏れ流調整装置90を有していてもよい。上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94は、外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92よりもさらに半径方向内方に配置されていてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、上流漏れ流調整装置90は、翼32の正圧面38における外側シュラウド22に配置されてもよい。上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94と外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92との間の交差部96は、全体として細長い翼32が配置されるように構成されているタービンエンジン64の長手方向軸線62に対して非平行かつ非直交であってもよい。上流漏れ流調整装置90は、外側シュラウドボディ50から外側シュラウドベース20の上流エッジ98まで延びていてもよい。
【0024】
上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94と外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92との間の交差部96は、全体として細長い翼32と外側シュラウド20との交差部70において全体として細長い翼32の正圧面42とほぼ整列していてもよい。特に、上流漏れ流調整装置90の半径方向外方へ延びる壁面100は、ブレード後縁流れ角度120と整列していてもよい。上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94と外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92との間の交差部96は、半径方向外方へ延びる壁面100から形成されていてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、半径方向外方へ延びる壁面100は、外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92との交差部に斜面102を有していてもよく、上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94との交差部に斜面104を有していてもよい。
【0025】
少なくとも1つの実施の形態では、図10に示すように、上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94は、遠位エッジ106が、上流漏れ流調整装置90と外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92との間の、半径方向外方へ延びる壁面100における近位エッジ108よりも、半径方向でさらに外方に配置されるように、傾斜していてもよい。上流漏れ流調整装置90の半径方向外面94は、あらゆる適切な角度で配置されてよい。
【0026】
タービン翼10は、上流漏れ流調整装置52の半径方向外面92から半径方向外方へ延びる1つまたは複数の補強レール116を有していてもよい。補強レール116は、上流漏れ流調整装置52によるシュラウドカールリスクの増大を軽減することができる。補強レール116の半径方向外側の遠位端部110は、外側シュラウドベース20の上流セクション52の半径方向外面92よりもさらに半径方向内方に配置されていてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、補強レール116の半径方向外側の遠位端部110は、線形の面であってもよい。補強レール116は、外側シュラウドボディ50から外側シュラウドベース20の上流エッジ98まで延びていてもよいし、またはより短くてもよい。
【0027】
外側シュラウド22は、外側シュラウドボディ50の半径方向外側端部114から半径方向外方へ延びるナイフエッジシール112を有していてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、ナイフエッジシール112は、略周方向で対称的であってもよく、これにより、タービンエンジンに据え付けられたときに有効なシールを形成する。
【0028】
使用中、図8に示すように、主流16内の高温ガスは、外側シュラウド22を通過し、漏れ流14を形成し得る。漏れ流14は、下流漏れ流調整装置58に衝突し、シュラウド付きタービン翼10の下流の主高温ガス流16の方向に流れるように方向転換される。少なくとも1つの実施の形態では、漏れ流14は、下流漏れ流調整装置58の半径方向外方へ延びる壁面30に衝突し、方向転換される。周方向では、下流漏れ流調整装置58の半径方向外面56は斜面として配置されていてもよく、この斜面は、外側シュラウド22において局所的に流れ断面積を増大させ、これにより、流れの速度が低下し、圧力が上昇し、その結果、仕事抽出を促進するための外側シュラウド22上に合成圧力面を生じる。
【0029】
別の実施の形態では、翼先端部24の半径方向外方および外側シュラウドボディ50の上流の主流16の部分は、上流漏れ流調整装置90に衝突し、主流の部分が外側シュラウドボディ50の下流の漏れ流14になる前に、主高温ガス流16の方向へ流れるように方向転換されてもよい。周方向では、上流漏れ流調整装置90の半径方向外面92は斜面として配置されていてもよく、この斜面は、外側シュラウド22において局所的に流れ断面積を増大させ、これにより、流れの速度が低下し、圧力が上昇し、その結果、仕事抽出を促進するための外側シュラウド22上に合成圧力面を生じる。
【0030】
上記説明は、本発明を例示、説明および記述するという目的で提供されている。これらの実施の形態に対する変更および適応は、当業者に明らかになるであろうし、本発明の範囲または思想から逸脱することなく成し得るものである。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11