特許第6567083号(P6567083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6567083抗DKK−1−抗RANKL二重特異性抗体化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6567083
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】抗DKK−1−抗RANKL二重特異性抗体化合物
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20190819BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20190819BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20190819BHJP
   C12N 15/28 20060101ALI20190819BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20190819BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20190819BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20190819BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20190819BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20190819BHJP
【FI】
   C07K16/46ZNA
   C12N5/10
   C12N15/13
   C12N15/28
   C12N15/62 Z
   A61P19/10
   A61K39/395 N
   A61P19/08
   A61K47/68
   !C07K16/28
【請求項の数】16
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-559048(P2017-559048)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公表番号】特表2018-516896(P2018-516896A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016032108
(87)【国際公開番号】WO2016186957
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】62/163,044
(32)【優先日】2015年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コリトコ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オブング,ヴィクター エイチ
【審査官】 鈴木 優志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−523417(JP,A)
【文献】 特表2002−509430(JP,A)
【文献】 特開2011−213654(JP,A)
【文献】 特表2012−526542(JP,A)
【文献】 特表2011−523853(JP,A)
【文献】 浅野ら,生化学,2014年,Vol.86, No.4,p.469-473
【文献】 中村ら,骨粗鬆症治療,2015年 4月10日,Vo.14, No.1,p.77-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00〜15/90
C07K 1/00〜19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/DWPI/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの第1のポリペプチド鎖と、2つの第2のポリペプチド鎖とを含む二重特異性抗体化合物であって、それぞれ
a.)前記第1のポリペプチド鎖は、一本鎖可変フラグメント(scFv)及びmAb IgG重鎖(HC)を含み、前記HCは重鎖CDR(HCDR)1〜3を含む重鎖可変領域(HCVR1)を有し、HCDR1のアミノ酸配列は配列番号9であり、HCDR2のアミノ酸配列は配列番号10であり、HCDR3のアミノ酸配列は配列番号11であり、前記scFvは重鎖可変領域(HCVR2)及び軽鎖可変領域(LCVR2)を有し、HCVR2はHCDR4〜6を含み、LCVR2はLCDR4〜6を含み、HCDR4のアミノ酸配列は配列番号12であり、HCDR5のアミノ酸配列は配列番号13であり、HCDR6のアミノ酸配列は配列番号14であり、LCDR4のアミノ酸配列は配列番号18であり、LCDR5のアミノ酸配列は配列番号19であり、LCDR6のアミノ酸配列は配列番号20であり、
b.)前記第2のポリペプチドは、軽鎖CDR(LCDR)1〜3を含むmAb軽鎖(LC)を含み、LCDR1のアミノ酸配列は配列番号15であり、LCDR2のアミノ酸配列は配列番号16であり、LCDR3のアミノ酸配列は配列番号17であり、
各scFvは、独立して、HCの末端及びCVR2の末端に共有結合しているポリペプチドリンカー(L1)を介して前記HCに連結され、LCVR2は、LCVR2の末端及びHCVR2の末端に共有結合している第2のポリペプチドリンカー(L2)を介して同じscFvのHCVR2に連結される、二重特異性抗体化合物。
【請求項2】
HCVR1のアミノ酸配列が配列番号5であり、LCVR1のアミノ酸配列が配列番号7であり、HCVR2のアミノ酸配列が配列番号6であり、LCVR2のアミノ酸配列が配列番号8である、請求項1に記載の二重特異性抗体化合物。
【請求項3】
L1のアミノ酸配列が配列番号21であり、L2のアミノ酸配列が配列番号22である、請求項1及び2のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
【請求項4】
2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体化合物であって、前記第1のポリペプチドの各々のアミノ酸配列が配列番号1であり、前記第2のポリペプチドの各々のアミノ酸配列が配列番号2である、二重特異性抗体化合物。
【請求項5】
配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子及び配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を含む哺乳動物細胞であって、前記細胞は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖を発現することができる、哺乳動物細胞。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含み、かつ配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を含む哺乳動物細胞であって、前記細胞は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖を発現することができる、哺乳動物細胞。
【請求項7】
骨障害を治療するための薬学的組成物であって、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項8】
脊椎固定の患者を治療するための薬学的組成物であって、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項9】
骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、または骨形成不全症のうちの少なくとも1つを治療するための薬学的組成物であって、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項10】
治療に使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
【請求項11】
脊椎固定療法に対する補助剤として使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
【請求項12】
骨治癒において、または骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、もしくは骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療において使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物及び1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項14】
脊椎固定の患者の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物の使用。
【請求項15】
骨障害の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物の使用。
【請求項16】
骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、または骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学の分野にある。より具体的には、本発明は、Dickkopf関連タンパク質1(Dkk−1)及び核因子κBリガンド活性化受容体(RANKL)に対して指向される二重特異性抗体化合物に関する。本発明の二重特異性抗体化合物は、骨治癒において、例えば、脊椎固定術に対する補助剤として、及び/または骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、骨形成不全症、もしくは骨量減少障害の治療において、有用であることが予想される。
【0002】
骨障害は、何百万人もの個体を侵しており、苦痛を伴い、衰弱させる症状をしばしば引き起こす。骨粗鬆症、骨減少症、及び/または骨形成不全症等のいくつかの障害は、骨吸収を低減するかつ/または骨形成を増加させる薬剤等の治療的介入を必要とし得る。腰椎変性すべり症及び変性椎間板疾患等の他の障害は、脊椎固定術等の治療的介入を必要とし得る。脊椎固定は、椎骨が融合するように、移植物質(例えば、骨移植片)を隣接する椎骨間に挿入して、それにより、融合された椎骨間の関節空間における可動域を限定または排除する、外科的処置である。上記の骨障害に加えて、脊椎固定は、変性椎間板疾患(DDD)、脊椎症、及び脊椎すべり症等の変性病態、後弯症及び側弯症を含む先天性変形、ならびにいくつかの椎骨骨折に関連する、疼痛及び病的状態に対処するために行われる。
【0003】
特定の種類の脊椎固定手技としては、腰椎後側方固定術(PLF)及び椎体間固定術(例えば、脊椎の位置及び脊椎への接近角度によって様々である、腰椎前方椎体間固定術(ALIF)、腰椎後方椎体間固定術(PLIF)、及び腰椎経椎間椎体間固定術(TLIF))が含まれる。PLFは、脊椎の後方において隣接する腰椎椎骨の横突起間に移植物質を配置し、次いで、椎骨の両側に位置付けられた金属ロッドに椎骨を固定することを伴う。椎体間固定術は、椎間板を除去し、隣接する椎骨間の椎間腔の中に移植物質を配置することを伴い、それによって、移植片と隣接する椎骨の終板との間に融合が生じる。PLFの場合、椎体間固定手技は、椎骨を金属ロッド、プレート、スクリュー、またはワイヤーで固定することによって安定化され得る。
【0004】
新たな骨成長及び移植片と椎骨との間の融合を刺激するために、脊椎固定手技中、骨移植片代用材(BGS)がまた、移植片に、及び移植片と隣接する椎骨との間の接合部において適用され得る。BGSはしばしば、成形性ゲル、パテ、ペースト、またはスポンジの形態をとり、骨形成(forming)タンパク質(例えば、骨形成(morpohogenic)タンパク質)及び他の成長因子(例えば、TGF−ベータ、PDGF、FGF)等の物質を含む。BGSは、新たな骨形成及び融合に必要な必要タンパク質を供給するための手段を提供するが、BGSの採取は課題を提示しており、BGSは、脊椎固定手技中にしか適用することができない。
【0005】
脊椎固定手技は、20世紀初期から行われてきたが、かかる手技は著しい危険性を提示し続けている。一般的な危険性としては、椎骨融合の失敗(偽関節)及び再置換手術の必要性の危険性、術後の疼痛及び病的状態、ならびに感染の危険性が含まれ、これらは全て、潜在的に長期の回復時間及び患者にとっての増加する費用につながり得る。故に、患者にとってよりよい転帰をもたらし得る代替療法が依然として必要である。特に、脊椎固定手技に対する補助剤として使用され得る、全身投与される医薬品が依然として必要である。好ましくは、かかる全身投与される医薬品は、脊椎固定手技の前、最中及び/または後に投与することが可能である。それに加えて、かかる代替療法は、脊椎固定手技に関連する危険性及び/もしくは合併症を低減すること、ならびに/または骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、もしくは骨形成不全症の治療において、有効性を実証することが可能であるのが好ましい。Dkk−1及びRANKLに指向される、本発明の二重特異性抗体化合物は、上記の必要性のうちの少なくとも1つを満たすことが予想される代替療法を提供する。
【0006】
Dkk−1は、低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5/6(LRP5/6)に結合し、LRP5/6の、Wntファミリータンパク質複合体との会合を妨害する、タンパク質Dickkopfファミリーのメンバーである。研究によると、LRP5/6の、Wntファミリータンパク質への結合を妨害することによって、Dkk−1がWntシグナル伝達経路を阻害し、それによって、骨芽細胞形成及び骨代謝が損なわれることが示されている。Wntシグナル伝達経路の拮抗においてDkk−1が果たす役割は、Dkk−1を骨形成及び修復療法のための有力な標的とする。
【0007】
RANKLは、タンパク質TNFスーパーファミリーのメンバーであり、骨リモデリングにおいて必要不可欠な役割を果たす。RANKLは、骨芽細胞によって発現され、破骨細胞及び破骨細胞の前駆体細胞の表面上にあるその同源の受容体RANKに結合する。RANKLのRANKへの結合は、成熟破骨細胞の形成、活性化、及び存続、ならびに細胞内シグナル伝達カスケードの刺激を誘導して、増加した骨吸収をもたらす。骨吸収におけるその役割を理由に、RANKLの阻害は、患者における骨塩量を改善するための機構として認識される。
【0008】
Dkk−1及びRANKLに対する中和抗体が、当該技術分野で知られている。例えば、米国特許第8,148,498号は、骨治癒及び癌の治療に使用するためのDkk−1抗体を開示している。同様に、米国特許第6,740,522号は、閉経後の女性及び骨折の危険性が高い男性における骨粗鬆症の治療に認可されているDenosumab等の、RANKLに指向される抗体を開示している。それに加えて、米国特許第8,338,576号は、骨量障害の治療のための、Dkk−1抗体と、RANKL阻害剤をはじめとする種々の骨形成促進剤または骨吸収抑制剤のうちの1つとを含む、可能性のある併用療法について考察している。しかしながら、Dkk−1及びRANKLの両方の活性を阻害するための認可された併用療法は何もない。故に、Dkk−1阻害剤の骨形成特性をRANKL阻害剤の骨吸収抑制特性と組み合わせ、脊椎固定の患者等の患者における骨治癒転帰を改善する、代替療法が依然として必要である。
【0009】
かかる代替療法に対する1つのアプローチは、2つの異なるバイオ製品(例えば、抗体)の同時投与を含み得る。同時投与には、2つの別個の製品の注射または2つの異なる抗体の合剤(co−formulation)の単回注射のいずれかが必要である。2回の注射は、投与量及びタイミングの柔軟性を許容するが、患者にとっては服薬順守及び疼痛の点から不都合である。さらに、合剤が投与量のいくらかの柔軟性を提供し得る一方で、2つの抗体の異なる分子特性に起因して、溶液中で(比較的高い濃度で)許容される粘度を有し、かつ、両方の抗体の化学的及び物理的安定性を許容する製剤条件を見出すことは、しばしばかなり難しいか、または不可能である。それに加えて、同時投与及び合剤は、2つの異なる薬物療法による付加的費用を伴い、これは患者及び/または支払者の費用を増加させ得る。したがって、骨障害の治療のための代替療法が依然として必要であり、好ましくは、かかる代替療法は二重特異性抗体を含む。しかしながら、上述の抗Dkk−1及び抗RANKL抗体の開示にもかかわらず、Dkk−1及びRANKLの両方に結合する単一の二重特異性中和抗体は、先行技術において開示されていなかった。
【0010】
本発明は、骨固定手技のための代替療法に対する必要性に取り組む。より具体的には、本発明は、Dkk−1及びRANKLの両方の活性を阻害することが可能な二重特異性抗体化合物を提供する。本発明の二重特異性抗体化合物は、全身投与に好適で、かつ、脊椎固定手技の前、最中及び/または後に投与することが可能である、医薬品を提供する。さらに、本発明の二重特異性抗体化合物は、骨治癒のための薬剤として、例えば、脊椎固定手技に対する補助剤として、あるいは骨喪失もしくは変性に関連する病態の治療における薬剤として、有用である。
【0011】
本発明は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を有する二重特異性抗体化合物を提供し、各第1のポリペプチド鎖は、ポリペプチドリンカー(L1)を介してmAb IgG重鎖(HC)のC末端で独立して連結された一本鎖可変フラグメント(scFv)を含み、各第2のポリペプチド鎖はmAb軽鎖(LC)を含む。本発明の二重特異性抗体化合物によれば、各HCは、重鎖相補性決定領域(HCDR)1〜3を有する重鎖可変領域(HCVR1)を含み、各LCは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1〜3を有する軽鎖可変領域(LCVR1)を含む。それに加えて、本発明の二重特異性抗体化合物によれば、各scFvは、LCDR4〜6を有する軽鎖可変領域(LCVR2)及びHCDR4〜6を有する重鎖可変領域(HCVR2)を含む。また、本発明の二重特異性抗体化合物によれば、HCVR2は、そのN末端でL1に連結され、そのC末端で、LCVR2のN末端に連結されたポリペプチドリンカー(L2)に連結される。本発明の二重特異性抗体化合物の特定の実施形態によれば、HCDR1のアミノ酸配列は配列番号9で与えられ、HCDR2のアミノ酸配列は配列番号10で与えられ、HCDR3のアミノ酸配列は配列番号11で与えられ、LCDR1のアミノ酸配列は配列番号15で与えられ、LCDR2のアミノ酸配列は配列番号16で与えられ、LCDR3のアミノ酸配列は配列番号17で与えられ、HCDR4のアミノ酸配列は配列番号12で与えられ、HCDR5のアミノ酸配列は配列番号13で与えられ、HCDR6のアミノ酸配列は配列番号14で与えられ、LCDR4のアミノ酸配列は配列番号18で与えられ、LCDR5のアミノ酸配列は配列番号19で与えられ、及びLCDR6のアミノ酸配列は配列番号20で与えられる。いくつかのより具体的な実施形態では、HCは、mAb IgG4アイソタイプを含み、各LCは、mAb κ軽鎖を含む。
【0012】
いくつかの特定の実施形態では、本発明は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を有する二重特異性抗体化合物を提供し、各第1のポリペプチド鎖は、L1を介してHCのC末端で独立して連結されたscFvを含み、第2のポリペプチド鎖の各々はLCを含む。かかる実施形態によれば、各HCは、配列番号5で与えられるアミノ酸配列を有するHCVR1を含み、各LCは、配列番号7で与えられるアミノ酸配列を有するLCVR1を含む。それに加えて、各scFvは、配列番号6で与えられるアミノ酸配列を有するHCVR2、及び配列番号8で与えられるアミノ酸配列を有するLCVR2を含む。また、本発明の二重特異性抗体化合物によれば、HCVR2は、そのN末端でL1に連結され、そのC末端で、LCVR2のN末端に連結されたL2に連結される。いくつかのさらにより具体的な実施形態では、L1のアミノ酸配列は配列番号21で与えられ、L2のアミノ酸配列は配列番号22で与えられる。
【0013】
さらに具体的な実施形態によれば、本発明は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を有する二重特異性抗体化合物を提供し、各第1のポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号1で与えられ、各第2のポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、配列番号2で与えられる。
【0014】
本発明はまた、本発明の二重特異性抗体化合物をコードする核酸分子及び発現ベクターに関する。ある実施形態では、本発明は、第1のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を提供し、第1のポリペプチド鎖のアミノ酸配列は配列番号1である。ある実施形態では、本発明はまた、第2のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を提供し、第2のポリペプチド鎖のアミノ酸配列は配列番号2である。さらなる実施形態では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含み、かつ配列番号2のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含む、DNA分子を提供する。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号3で与えられ、配列番号2のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号4で与えられる。
【0015】
本発明はまた、DNA分子で形質転換された哺乳動物細胞を提供し、その細胞は、本発明の第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体化合物を発現することが可能である。また、本発明は、本発明の二重特異性抗体化合物が発現されるような条件下で哺乳動物細胞を培養することを含む、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体化合物を産生するためのプロセスを提供する。本発明はまた、該プロセスによって産生される二重特異性抗体化合物を提供する。
【0016】
本発明はまた、本発明の二重特異性抗体化合物及び1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、脊椎固定の患者の治療に使用することができ、かかる治療は、脊椎固定の患者に、本発明の薬学的組成物を脊椎固定術の前、最中及び/または後に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、骨障害の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、及び/または骨形成不全症のうちの少なくとも1つに治療に使用することができ、かかる治療は、それを必要とする患者に本発明の薬学的組成物を投与することを含む。
【0017】
本発明はまた、脊椎固定の患者に治療有効量の本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を投与することを含む、脊椎固定の患者を治療する方法を提供し、該二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物は、該脊椎固定の患者に、脊椎固定術の前、最中、及び/または後に投与される。それに加えて、本発明は、骨障害の治療を必要とする患者に、治療有効量の本発明の二重特異性抗体化合物を投与することを含む、骨障害を治療する方法を提供する。本発明のさらなる実施形態は、骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、及び/または骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療を必要とする患者に、治療有効量の本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を投与することを含む、骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、及び/または骨形成不全症のうちの少なくとも1つを治療する方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、療法に使用するための、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を提供する。より具体的には、本発明はまた、脊椎固定の患者の治療に使用するための、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を提供する。それに加えて、本発明は、骨障害の治療に使用するための、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を提供する。さらに、本発明は、骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、及び/または骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療に使用するための、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を提供する。
【0019】
ある実施形態では、本発明はまた、脊椎固定の患者の治療のための薬剤の製造における、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物の使用を提供する。それに加えて、本発明はまた、骨障害の治療のための薬剤の製造における、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を提供する。さらに、、本発明はまた、骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、及び/または骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療のための薬剤の製造における、本発明の二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物を提供する。
【0020】
本明細書で言及されるとき、「二重特異性抗体化合物」という用語は、4つの抗原結合部位を含む設計されたポリペプチドを指す。4つの抗原結合部位のうちの2つはDkk−1に結合し、他の2つの抗原結合部位はRANKLに結合する。本発明の二重特異性抗体化合物は、単独でまたは同時にヒトDkk−1及びRANKLの両方と相互作用し、それらの活性を阻害することが可能である。Dkk−1及びRANKLの阻害特性を単一の化合物へと組み合わせた際、本発明の二重特異性抗体化合物は、患者における骨形成及び/または骨吸収抑制効果を示すと考えられる。故に、本発明の二重特異性抗体化合物、またはその薬学的組成物は、例えば、脊椎固定術に対する補助剤として及び/または1つ以上の骨障害の治療において、有用であり得る。
【0021】
また、本明細書で言及される二重特異性抗体化合物は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を含む。第1のポリペプチド鎖の各々は、ポリペプチドリンカー(L1)によってmAb重鎖(HC)のC末端に連結された一本鎖可変フラグメント(scFv)を含むように設計される。第2のポリペプチド鎖の各々は、モノクローナル抗体軽鎖(LC)を含み、第1のポリペプチド鎖の1つ、具体的には第1のポリペプチド鎖のHC内に鎖間ジスルフィド結合を形成するように設計される。各第1のポリペプチド鎖は、第1のポリペプチド鎖の各々のHC間に、他の第1のポリペプチド鎖との鎖間ジスルフィド結合を形成するように設計される。各第1のポリペプチド鎖は、具体的にはそれぞれの第1のポリペプチド鎖のscFv内で、鎖内ジスルフィド結合を形成するようにさらに設計される。
【0022】
本発明の二重特異性抗体化合物のポリペプチド鎖は、左から右へと読む場合のN末端からC末端までのそれらのアミノ酸配列によって描写され、このうち各アミノ酸は、1文字または3文字いずれかのアミノ酸略号によって表される。本明細書で別途定めのない限り、本発明のポリペプチドの調製に使用される全てのアミノ酸は、L−アミノ酸である。アミノ酸、またはポリペプチド鎖の「N末端」(またはアミノ末端)は、アミノ酸上の遊離アミン基、またはポリペプチド鎖の第1のアミノ酸残基上の遊離アミン基を指す。同様に、またはポリペプチド鎖の「C末端」(またはカルボキシ末端)は、アミノ酸上の遊離カルボキシ基、またはポリペプチド鎖の最後のアミノ酸残基上の遊離カルボキシ基を指す。
【0023】
本明細書で言及されるとき、第1のポリペプチド鎖の「一本鎖可変フラグメント」(scFv)は、ポリペプチドリンカー(L2)を介して連結された重鎖可変領域(HCVR2)及び軽鎖可変領域(LCVR2)を含むポリペプチド鎖を指す。それに加えて、本明細書において言及されるとき(及び以下の略図において表されるように)、各scFvのHCVR2は、a.)そのN末端で、ポリペプチドリンカー(L1)によって(第1のポリペプチド鎖の)1つのHCのC末端に連結され、かつb.)そのC末端で、第2のポリペプチドリンカー(L2)を介して同じscFvのLCVR2のN末端に連結される。リンカーL1及びL2は、典型的には、10〜25アミノ酸長であり、グリシン、セリンまたはトレオニンアミノ酸のうちの1つ以上が豊富にある。
【化1】
【0024】
本発明の二重特異性抗体化合物によれば、各第1のポリペプチド鎖のHCは、アイソタイプ(例えばIgGとして)を規定するγとして分類される。このアイソタイプは、さらにサブクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、及びIgG)に分割され得る。特定の実施形態では、本発明の二重特異性抗体化合物は、IgG4タイプのmAb重鎖を含む。各HCは、N末端重鎖可変領域、続いて、3つのドメイン(C1、C2、及びC3)からなる定常領域(CH)、及びヒンジ領域からなる。
【0025】
それに加えて、本発明の二重特異性抗体化合物によれば、各mAb軽鎖(LC)は、κまたはλとして分類され、当該技術分野で既知の特定の定常領域によって特徴付けられる。特定の実施形態では、本発明の二重特異性抗体化合物は、κ LCを含む。各LCは、N末端軽鎖可変領域(LCVR1)、続いて軽鎖定常領域からなる。
【0026】
それぞれ各HC及びLCのHCVR1及びLCVR1、及び各scFvのHCVR2及びLCVR2は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができ、これには、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が介在している。好ましくは、本発明の二重特異性抗体化合物のフレームワーク領域は、ヒト由来であるか、または実質的にヒト由来である。本発明による二重特異性抗体化合物の各HCVR1、HCVR2、LCVR1、及びLCVR2は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順にアミノ末端からカルボキシ末端に配置された、3つのCDR及び4つのFRから構成される。本明細書で、各HCVR1の3つのCDRは「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称され、各HCVR2の3つのCDRは「HCDR4、HCDR5、及びHCDR6」と称され、各LCVR1の3つのCDRは「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称され、各LCVR2の3つのCDRは、「LCDR4、LCDR5、及びLCDR6」と称される。CDRは、抗原と特異的な相互作用を形成する残基の大部分を含む。特定の抗原に結合する本発明の二重特異性抗体化合物の機能的能力は、CDRによって大きく影響される。
【0027】
本明細書において交換可能に使用されるとき、「抗原結合部位」及び「抗原結合領域」は、抗原と相互作用するアミノ酸残基を含有し、それぞれの抗原に対する二重特異性抗体化合物の特異性及び親和性を付与する、本発明の二重特異性抗体化合物の部分を指す。本発明の二重特異性抗体化合物によれば、抗原結合部位はHCVR1/LCVR1対(鎖間ジスルフィド結合によって結合されたLC及びHCのもの)及びscFv HCVR2/LCVR2対によって形成される。それに加えて、本発明の二重特異性抗体化合物によれば、各HCVR1/LCVR1対によって形成される抗原結合部位は同じであり(例えば、同じ抗原に対する親和性を含む)、各scFv HCVR2/LCVR2対によって形成される抗原結合部位は同じである(例えば、同じ抗原に対する親和性を含む)。しかしながら、本発明の二重特異性抗体化合物によれば、各HCVR1/LCVR1対によって形成される抗原結合部位は、各scFv HCVR2/LCVR2対によって形成された抗原結合部位とは異なる(例えば異なる抗原に対する親和性を含む)。本発明の二重特異性抗体化合物によれば、HCVR1/LCVR1対によって形成される抗原結合部位は、Dkk−1に対する親和性を付与し、一方で、HCVR2/LCVR2対によって形成される抗原結合部位は、RANKLに対する親和性を付与する。
【0028】
「Kabat番号付け」または「Kabatラベリング」という用語は、本明細書で交換可能に使用される。当該技術分野で認識されているこれらの用語は、抗体の重鎖及び軽鎖可変領域における他のアミノ酸残基よりもより可変性(すなわち超可変性)であるアミノ酸残基を番号付けするシステムを指す(Kabat,et al.,Ann.NY Acad.Sci.190:382−93(1971)、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(1991))。
【0029】
用語「North番号付け」または「Northラベリング」は、本明細書で交換可能に使用される。当該技術分野で認識されているこれらの用語は、抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の他のアミノ酸残基よりもより可変性(すなわち超可変性)であるアミノ酸残基を番号付けするシステムを指し、(North et al.,Antibody CDR Loop Conformations、Journal of Molecular Biology,406:228−256(2011)に記載されているように、少なくとも部分的に、多数の結晶構造を有する親和性伝播クラスタリングに基づく。
【0030】
二重特異性抗体設計
本発明の二重特異性抗体化合物を構築しようと試みた際に、重大な問題に遭遇した。遭遇した問題には、骨形成の増加と骨吸収の減少との両方に対する適合性及び/または最適な生物活性を有する単一薬剤を設計することが含まれる。例えば、mAb部分またはscFv部分のうちの一方としてのDkk−1抗体、及びmAb部分またはscFv部分のうちの他方としての既知のRANKL抗体(Denosumab等)を含む、二重特異性抗体化合物(米国特許第8,148,498号に記載される)は、適合性及び/または許容される生物活性を有する薬剤を提供しない。実際、研究によると、(骨吸収を減少させるための)Denosumabの薬力学的作用プロファイルは、6か月であり、半減期はおよそ35〜42日であり、一方で、(骨形成を増加させるための)米国特許第8,148,498号に記載されるDkk−1抗体の薬力学的作用プロファイルは、1ヵ月であり、半減期はおよそ16日にすぎないことが示されている。かかる本質的に異なる生物学的活性プロファイルは、とりわけ脊椎固定療法(本質的な骨治癒及び融合が術後最初の3か月で起こることが知られる)に対する補助剤としての治療的使用のための、投薬に対する問題を生じさせる。したがって、本発明の驚くべきかつ予想外の特性を有する二重特異性抗体化合物に到達するためには、薬理学的介入が必要とされる。
【0031】
本発明の二重特異性抗体化合物を設計することに関して上で詳述された重大な問題の結果として、脊椎固定術に対する補助剤として使用するのに許容される生物活性プロファイルを有する二重特異性抗体に到達するために、新規のRANKL抗体が開発及び設計された。したがって、Dkk−1 mAb部分及びRANKL scFv部分を含む二重特異性抗体化合物(本明細書でさらに詳述される)が設計された。本発明の設計された二重特異性抗体化合物は、脊椎固定術に対する補助剤として使用するための、骨吸収(減少)及び骨形成(増加)について治療的に許容されかつ適合性の生物活性プロファイルを含む。それに加えてかつ驚くべきことに、設計された修飾は、治療的に許容される安定性、溶解度、光安定性、熱安定性、及び粘度もまた有する、二重特異性抗体をもたらした。本発明の二重特異性抗体化合物をもたらした修飾のうち、当該技術分野で示唆または教示される慣例または共通一般知識であるものは何もない。
【0032】
二重特異性抗体発現
作動可能に連結されている遺伝子の発現を導くことができる発現ベクターは、当該技術分野で周知である。発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチドの分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチドであり得る。第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖の各々は、それらが1つのベクター中で作動可能に連結されている異なるプロモーターから独立して発現されてもよく、あるいは、第1及び第2のポリペプチド鎖は、2つのベクター(1つは第1のポリペプチド鎖を発現し、1つは第2のポリペプチド鎖を発現する)に作動可能に連結されている異なるプロモーターから独立して発現することができる。本発明の二重特異性抗体化合物の調製に使用するための例示の好適なベクターには、pEE 6.4(例えば第1のポリヌクレオチド配列を発現させるため)及びpEE 12.4(例えば第2のポリヌクレオチド配列を発現させるため)等の、Lonza Biologicsから入手可能なベクターが含まれる。
【0033】
配列番号1のアミノ酸配列を有する、本発明の二重特異性抗体化合物の例示的な第1のポリペプチド鎖(フレキシブルなグリシンセリンリンカーを介してHCのC末端で連結されたscFvを含む)をコードする特定のDNAポリヌクレオチド配列は、配列番号3で提供される(配列番号3で提供されるDNA ポリヌクレオチド配列はまた、シグナルペプチドもコードする)。配列番号2のアミノ酸配列を有する、本発明の二重特異性抗体化合物の例示的な第2のポリペプチド鎖(LCを含む)をコードする特定のDNAポリヌクレオチド配列は、配列番号4で提供される(配列番号4で提供されるDNA ポリヌクレオチド配列はまた、シグナルペプチドもコードする)。
【0034】
宿主細胞は、本発明の第1のポリペプチド鎖、第2のポリペプチド鎖、または第1及び第2のポリペプチド鎖の両方を発現する1つまたは複数の発現ベクターで安定にまたは一時的にトランスフェクト、形質転換、形質導入、または感染された細胞を含む。本発明の二重特異性抗体化合物を産生する宿主細胞株の作出及び単離は、当該技術分野で既知の標準技術を用いて達成することができる。哺乳動物細胞は、二重特異性抗体の発現に好ましい宿主細胞である。特定の哺乳動物細胞は、CHO、NS0、DG−44及びHEK293である。好ましくは、二重特異性抗体化合物は、宿主細胞が培養される培地中に分泌され、そこから二重特異性抗体化合物が、従来技術により回収または精製され得る。例えば、培地は、従来の方法を用いて、プロテインAまたはプロテインG親和性クロマトグラフィーカラム及びサイズ排除またはCaptoマルチモーダルクロマトグラフィーに適用し、そこから溶離することができる。さらに、可溶性凝集体及び多量体は、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む、一般的な技術によって有効に除去することができる。生成物は、例えば−70℃で直ちに凍結させてもよく、または凍結乾燥させてもよい。
【0035】
抗体の哺乳類発現がグリコシル化をもたらすことは、当該技術分野において周知である。典型的には、高度に保存されたN−グリコシル化部位で抗体のFc領域にグリコシル化が起こる。N−グリカンは、典型的にはアスパラギンに結合する。例として、表1に示される例示の二重特異性抗体の各HCは、配列番号1のアスパラギン残基296でグリコシル化されている。
【0036】
治療的使用
本明細書で使用されるとき、「治療」及び/または「治療すること」」は、全てのプロセスを指すことを意図し、これには、本明細書に記載の障害の進行の遅延、中断、阻止、制御、または停止があり得るが、必ずしも全ての障害症状の完全な排除を示すわけではない。治療は、Dkk−1及び/もしくはRANKLのレベルの低下、またはDkk−1及び/もしくはRANKLの生物活性の低下により利益を得るであろう患者における、疾患または病態の治療のための本発明の二重特異性抗体化合物、またはその薬学的組成物の投与を含み、(a)疾患のさらなる進行を阻害すること、すなわちその進行を阻止すること、及び(b)疾患を緩和すること、すなわち、疾患もしくは障害の退行を引き起こすこと、またはその症状もしくは合併症を緩和することを含む。本発明の二重特異性抗体は、骨治癒において、例えば、脊椎固定術に対する補助剤として、及び/または骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、もしくは骨形成不全症の治療において、有用であることが予想される。
【0037】
本明細書において交換可能に使用される「患者」、「対象」、及び「個体」という用語は、ヒトを指す。いくつかの実施形態では、患者は、脊椎固定手技の必要性があると診断された、脊椎固定手技を受けている、または脊椎固定手技を以前に受けたことがある、ヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、骨治癒、例えば、骨造成、骨リモデリング、骨折修復、変性による骨喪失の予防を必要とする危険性があるもしくはそれを必要とする、及び/または骨粗鬆症、骨減少症、変性腰椎脊椎すべり症、変性椎間板疾患、もしくは骨形成不全症等の骨障害を発症する危険性があるもしくはその治療を必要とすることを特徴とする、ヒトである。
【0038】
薬学的組成物
本発明の二重特異性抗体化合物は、患者への投与に好適な薬学的組成物に組み込むことができる。本発明の二重特異性抗体化合物は、静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内を含む非経口投与を介した投与が意図される。それに加えて、本発明の二重特異性抗体化合物は、患者に単独で、または薬学的に許容される担体及び/もしくは希釈剤と共に単回用量または複数回用量で、投与することができる。かかる薬学的組成物は、選択された投与様式に適切であるように設計されており、薬学的に許容される希釈剤、担体及び/または分散剤のような賦形剤、緩衝剤、界面活性剤、保存剤、可溶化剤、等張剤、安定化剤などが適宜使用される。該組成物は、開業医には一般的に知られているような製剤化技術の概要を提供する、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA 1995に開示されている従来の技術に従って設計することができる。薬学的組成物に好適な担体には、本発明の二重特異性抗体化合物と組み合わせた場合に、分子の活性を保持し、かつ患者の免疫系と非反応性である、任意の材料が含まれる。本発明の薬学的組成物は、二重特異性抗体化合物及び1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【0039】
本発明の二重特異性抗体化合物の有効量とは、所望の治療結果を達成するのに必要な量(投薬量及び時間及び投薬手段で)を指す。二重特異性抗体化合物またはその薬学的組成物の有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する二重特異性抗体化合物またはその部分の能力等の要因に従って変化し得る。有効量はまた、二重特異性抗体化合物の毒性または有害な効果が治療上有益な効果よりも大きいものである。
【実施例】
【0040】
二重特異性抗体の発現及び精製
本発明の例示的な二重特異性抗体は、本質的に以下のように発現及び精製される。配列番号3(例示的な配列番号1の第1のポリペプチド鎖及び翻訳後に切断されるシグナルペプチドをコードする)及び配列番号4(例示的な配列番号2の第2のポリペプチド鎖及び翻訳後に切断されるシグナルペプチドをコードする)のDNAを含むグルタミンシンセターゼ(GS)発現ベクターを用いて、チャイニーズハムスター細胞株(CHO、GSノックアウト)をエレクトロポレーションによりトランスフェクトする。発現ベクターは、SV Early(シミアンウイルス40E)プロモーター及びGS遺伝子をコードする。GSの発現は、CHO細胞によって必要とされるアミノ酸であるグルタミンの生化学的合成を可能にする。トランスフェクション後、細胞を50μM L−メチオニンスルホキシミン(MSX)でバルク選択にかける。MSXによるGSの阻害は、選択のストリンジェンシーを高めるために利用される。宿主細胞ゲノムの転写活性領域への発現ベクターcDNAの組み込みを有する細胞を、CHO野生型細胞に対して選択することができる。トランスフェクトされたプールを、安定した発現細胞のクローン伸長に近づけるようにするために、低密度でプレートする。マスターウェル(masterwell)を二重特異性抗体発現についてスクリーニングし、次いで無血清懸濁培養においてスケールアップして、産生に使用する。
【0041】
例示的な二重特異性抗体が分泌された清澄化された培地を、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)などの適合性緩衝液で平衡化されたプロテインAアフィニティーカラムに適用する。カラムを洗浄して非特異的結合成分を除去する。結合された二重特異性抗体は、例えばpH勾配によって溶出され、例えばトリス、pH8緩衝液で中和される。二重特異性抗体画分は、SDS−PAGEまたは分析的サイズ排除などによって検出され、その後プールされる。可溶性凝集体及び多量体は、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む、一般的な技術によって有効に除去することができる。二重特異性抗体は、一般的な技術を用いて濃縮及び/または滅菌濾過される。これらのクロマトグラフィー工程後の例示的な二重特異性抗体の純度は98%より大きい(モノマー)。二重特異性抗体は、−70℃で直ちに凍結するか、または4℃で数ヶ月貯蔵してもよい。
【0042】
本質的に上述の通りの手順に従って発現及び精製した、本発明の例示的な二重特異性抗体化合物を含む、種々の領域及びリンカーの関係が、表1に提示されている(アミノ酸の番号付けは直線的番号付けを適用し、アミノ酸の可変ドメインへの割り当ては、www.imgt.orgで入手可能なInternational Immunogenetics Information System(登録商標)に基づき、アミノ酸のCDRドメインへの割り当ては、周知のKabat及びNorth番号付け協定に基づき及び表1の最後に反映される通りである)。
【表1】
【0043】
表1に提示される例示的な二重特異性抗体化合物は、配列番号1のアミノ酸配列を有する2つの第1のポリペプチド鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する2つの第2のポリペプチド鎖を含む。例示的な二重特異性抗体化合物によれば、第1のポリペプチド鎖の各々は、配列番号1のシステイン残基133と配列番号2のシステイン残基214との間の第2のポリペプチド鎖の各々との鎖間ジスルフィド結合;他方の第1のポリペプチド鎖との少なくとも2つの鎖間ジスルフィド結合、すなわち、第1のポリペプチド鎖のシステイン残基225(配列番号1のもの)と他方の第1のポリペプチド鎖のシステイン残基225(配列番号1のもの)との間に形成される第1の鎖間ジスルフィド結合、第1のポリペプチド鎖のシステイン残基228(配列番号1のもの)と他方の第1のポリペプチド鎖のシステイン残基228(配列番号1のもの)との間に形成される第2の鎖間ジスルフィド結合;各第1のポリペプチド鎖のシステイン残基504(配列番号1のもの)とシステイン残基706(配列番号1のもの)との間の各第1のポリペプチド鎖のscFv中に形成された鎖内ジスルフィド結合を形成する。さらに、表1に提示される例示的な二重特異性抗体化合物は、両方の第1のポリペプチドの配列番号1のアスパラギン残基296でグリコシル化されている。
【0044】
本明細書で別途注記される場合を除いて、実施例全体を通して言及される例示的な二重特異性抗体化合物は、表1に提示される本発明の例示的な二重特異性抗体化合物を指す。
【0045】
二重特異性抗体化合物溶解度及び安定性分析
例示的な二重特異性抗体化合物は、10mMクエン酸緩衝液pH5.5または10mMヒスチジン緩衝液pH5.5のうちの一方で製剤化する。それぞれの緩衝液に添加する150mM NaCl及び0.02% Tween80の影響もまた評価する。二重特異性抗体化合物は、Amicon U.C.フィルター(Millipore、カタログ番号UFC903024)を使用して1mg/mL及び50mg/mLに濃縮する。
【0046】
例示的な二重特異性抗体化合物の安定性を、25℃で4週間のインキュベーションの後に分析する。パーセント高分子量(%HMW)は、TSKgel Super SW3000(Tosoh Bioscience製品番号18675)カラムを使用して、分析サイズ排除クロマトグラフィー(aSEC)により評価する。50mMリン酸ナトリウム+350mM NaCl、pH7.0を0.4mL/分で15分間移動する移動相として使用する。濃縮した二重特異性抗体化合物の5μL(5μg)の体積をカラムに注入し、検出を214nmで測定する。1μL(50μg)の体積をカラムに注入し、280nmで検出を測定する。ChemStationを使用してクロマトグラムを分析し、全AUCに対する、モノマーピーク前に溶出したピークのAUCの比を用いて%高分子量(HMW)を算出する。これらの結果を表2に要約する(NaCl及びTweenの添加は、結果に対していかなる特記すべき影響も示さなかった)。
【表2】
【0047】
例示的な二重特異性抗体化合物の溶解度を、25℃で1週間のインキュベーションの後に分析する。溶解度を、150mg/mLに濃縮された二重特異性抗体で評価し(Amicon U.C.フィルター、Millipore、カタログ番号UFC903024を使用)、150mM NaClを含むpH5.5の10mM クエン酸、または150mM NaClを含むpH5.5の10mM ヒスチジンのいずれかの中に製剤化する。それぞれの緩衝液に添加する0.02% Tween80の影響もまた評価する。例示的な二重特異性抗体は、少なくとも148mg/mLの溶解度を示し、治療的二重特異性抗体の許容値内であった(Tweenの添加は、結果に対していかなる特記すべき影響も示さなかった)。例示的な二重特異性抗体化合物はまた、インキュベーション期間後に相分離がなかった。
【0048】
例示的な二重特異性抗体化合物の粘度を室温で分析する。粘度を、100mg/mLに濃縮された二重特異性抗体化合物で評価し(Amicon U.C.フィルター、Millipore、カタログ番号UFC903024を使用)、150mM NaClを含むpH5.5の10mM クエン酸、または150mM NaClを含むpH5.5の10mM ヒスチジンのいずれかの中に製剤化する。例示的な二重特異性抗体は、クエン酸中に製剤化されたときには3.12cPの粘度を示し、ヒスチジン中に製剤化されたときには4.88cPの粘度を示し、治療的二重特異性抗体の許容値内であった。
【0049】
例示的な二重特異性抗体化合物の光安定性分析を、50mg/mLの濃縮された二重特異性抗体で評価し、10mM ヒスチジン、pH5.5中に製剤化する。240000ルクス時間の可視光または40ワット−hr/mのUV光に試料を曝露する。対照(「暗」)試料は光に曝露されない。試料を次いで、暗試料と比較した%HMWの変化についてaSECカラムで分析する。UV光に曝露された場合、%HMWの変化は何ら記録されず、可視光に曝露された場合には、1.62%のHMW増加が記録された。それに加えて、CDR酸化及び脱アミド化は、可視光曝露(2.8%)及びUV曝露(0.8%)によって有意には増加しない。光安定性測定値は全て、治療的二重特異性抗体の許容値内である。
【0050】
本発明の例示的な二重特異性抗体化合物の凍結解凍分析を、表3に従って行った3回の凍結/解凍サイクルの後に評価する。
【表3】
【0051】
例示的な二重特異性抗体化合物の凍結/解凍分析を、1mg/mLまたは5mg/mLの濃縮された二重特異性抗体化合物で評価し、a.)0.02% Tween−80を含む及び含まない10mM クエン酸、pH5.5、またはb.)0.02% Tween−80を含む及び含まない10mM ヒスチジン、pH5.5、のいずれかの中に製剤化する。3回の凍結/解凍サイクル(表3に表す単一サイクル)を行い、各試料の粒子成長をHIAC粒子計数器(Pacific Scientific、品番9703)を用いて評価する。結果を表4に提供する。
【表4】
【0052】
表4に提供される結果は、本発明の例示的二重特異性抗体化合物が、低濃度及び高濃度の両方の条件下で、複数回の凍結/解凍サイクル後に安定であることを実証する。
【0053】
本明細書に提供される結果は、本明細書に記載されるように製剤化された本発明の例示的な二重特異性抗体化合物が、高タンパク質濃度の溶解度を達成し(150mg/mLを超える)、0.5%未満のHMW分解を示し、治療的二重特異性抗体の許容値内の粘度及び光安定性を有することを実証する。
【0054】
Dkk−1及びRANKLに対する二重特異性抗体結合親和性
ヒトDkk−1及びヒトRANKLに対する例示的な二重特異性抗体の結合親和性及び結合化学量論を、HBS−EP+(10mM Hepes、pH7.4+150mM NaCl+3mM EDTA+0.05%(w/v)界面活性剤P20)泳動用緩衝液でプライミングしたBiacore 2000計測器での表面プラズモン共鳴アッセイ、及び25℃に設定した分析温度を用いて決定する。捕捉手法を用いるために、4つ全てのフローセル(Fc)上に固定化したプロテインA(標準的なNHS−EDCアミンカップリングを用いて生成)を含むCM5チップ(Biacore、品番BR−100530)を使用する。抗体試料は、泳動用緩衝液中に希釈することによって0.2〜10μg/mLに調製する。ヒトDkk−1 試料は、泳動用緩衝液中に希釈することによって100nM、50nM、25nM、12.5nM、6.25nM、3.125nM、1.5625nM、0.78125nM、0.390625nM、0.1953125nM、及び0(ブランク)nMの最終濃度に調製する。ヒトRANKLは、泳動用緩衝液中に希釈することによって100nM、50nM、25nM、12.5nM、6.25nM、3.125nM、1.5625nM、0.78125nM、0.390625nM、0.1953125nM、及び0(ブランク)nMの最終濃度に調製する。
【0055】
各分析サイクルは、(1)抗体試料を別個のフローセル(Fc2及びFc3)上に捕捉すること、(2)各ヒトDkk−1濃度を50μL/分で300秒間にわたって全てのFc上へ注入、続いて緩衝液フローに1200秒間にわたって戻して、解離相を監視すること、(3)各ヒトRANKL濃度を100μL/分で150秒間にわたって全てのFc上へ注入、続いて緩衝液フローに1800秒間にわたって戻して、解離相を監視すること、(4)10mM グリシン、pH1.5を5μL/分で120秒間にわたって全てのセル上へ注入することによりチップ表面を再生すること、及び(5)10μL(60秒)のHBS−EP+の注入によりチップ表面を平衡化すること、からなる。データを、標準的な二重参照を用いて処理し、Biacore 2000 Evaluationソフトウェア、バージョン2.0.3を用いて1:1結合モデルに適合させて、会合速度(kon、M−1−1単位)、解離速度(koff、s−1単位)、及びRmax(RU単位)を決定する。平衡解離定数(K)は、関係K=koff/konから算出し、モル単位である。結果を表5に提供する。
【表5】
【0056】
表5に提供される結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体が、25℃において高い親和性でヒトRANKL及びヒトDkk−1に結合することを実証する。
【0057】
インビトロでのルシフェラーゼ活性におけるDkk−1誘導型低減の中和
TCF/LEFルシフェラーゼレポーターで安定に感染させたマウス前造骨性MC3T3E1/Topflash細胞を使用して、表1に提示される例示的な二重特異性抗体の、Dkk−1活性を中和する能力を評価する。Wnt3aは、TCF/LEF調節型ルシフェラーゼ発光を誘導する。ヒトDkk−1は、Wnt3a誘導型TCF/LEFルシフェラーゼ発現を遮断する。例示的な二重特異性抗体によるDkk−1活性の中和を、ルシフェラーゼ発光の回復を定量することにより測定する。
【0058】
MC3T3E1細胞は、10% FBS(Gibco、品番10082−147)及び1倍ペニシリン/ストレプトマイシン(Hyclone、品番SV30010)を含有するMEMα培地(Gibco、品番A10490−01)中の1.25μg/mlピューロマイシンの選択的圧力の下で、慣例通りに培養する。ウェル当たり40,000個のMC3T3E1細胞(100μL中)を、96ウェルの細胞培養プレートのウェルに添加する(Costar、品番3903)。細胞を37℃で一晩インキュベートする(5% CO及び95%湿度の下で)。
【0059】
増殖培地中、Wnt3a(R&D、品番5036−WN)は、0.33ug/mLに希釈し、組換えhDkk−1は、1ug/mlに希釈する。Wnt3a及びhDkk−1(それぞれの濃度で)を補充した増殖培地を使用して、a.)例示的な二重特異性抗体、b.)Dkk−1中和抗体(IgG4骨格、及び例示的な二重特異性抗体のmAb部分と同じ重鎖及び軽鎖可変領域配列を有するDkk−1抗体)、及びc.)RANKL中和抗体(例示的な二重特異性抗体のscFv部分と同じCDR配列を有するIgG4 RANKL mAb)に対して、300nM〜1.23nMの用量範囲を調製する。増殖培地は、「培地のみ」及び「Wnt3aを含む培地」対照に使用される。
【0060】
一晩のインキュベーションの後、培地を除去し、細胞を、上述のそれぞれの抗体処理濃度または対照で処理する(二連で)。細胞を次いで、37℃で3時間及び30分間インキュベートし、続いて室温で30分間インキュベートする。インキュベーションの後、処理剤を細胞から除去し、50μLのGlo溶解緩衝液(Promega、品番E266A)を細胞に添加する。細胞を次いで、プレートシェーカーで5〜10分間、穏やかに撹拌しながら溶解させる。細胞溶解の後、50μLのプレミックスBright Gloルシフェラーゼ試薬(Promega、品番E620)を添加し、発光をWallac Victor 1420マルチラベルプレートリーダーで測定する。全ての処理群についてのEC50値及び信頼区間(CI)を、GraphPad Prism 6による4パラメータロジスティック回帰モデルを用いて算出する。
【0061】
結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体が、Wnt3a誘導型TCF/LEFルシフェラーゼ活性のヒトDkk−1による遮断を中和することを実証する。阻害は、陽性対照Dkk−1抗体で観察されるものに匹敵する(平均EC50が、例示的な二重特異性抗体について5.30nM(CI=4.12〜6.82nM)nM、これに対比して陽性対照Dkk−1抗体について6.61(CI=4.92〜8.86nM))。RANKL抗体及び培地対照は、試験したいずれの濃度でも、MC3T3E1細胞においてヒトDkk−1がWnt3a誘導型TCF/LEFルシフェラーゼを遮断するのを中和しない。この結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体がDkk−1を有効に中和することを実証する。
【0062】
インビトロでのRANKL誘導型のNF−kB主導型ルシフェラーゼ活性の中和
ヒトRANK及びNF−kB主導型ルシフェラーゼレポーターを安定に共発現するHEK293細胞を使用して、表1に提示される例示的な二重特異性抗体の、RANKL活性を中和する能力を評価する。上述のHEK293細胞モデルにおいて、RANKは、ヒトRANKLが結合すると、NF−kBシグナル伝達を誘導してルシフェラーゼ発光をもたらす。例示的な二重特異性抗体によるRANKへのRANKL結合の中和を、ルシフェラーゼ発光の低減によって測定する。
【0063】
HEK293細胞は、700μg/mL Geneticin(HyClone、品番SV30069.01)の選択的圧力の下で、慣例通りに培養する。25,000細胞/ウェルを、アッセイ培地(5% FBS(Gibco、品番10082−147)、20nM Hepes(HyClone、品番SH30237.01)、1倍GlutaMax(Gibco、品番35050−61)及び1倍ペニシリン/ストレプトマイシン(Hyclone、品番SV30010)を含有する、(50μL DMEM/F12(1:3)培地(Gibco、品番930152DK))中、96ウェルの組織培養プレートのウェルに添加する(Benton Dickinson、品番354620)。細胞を37℃で(5% CO及び95%湿度で)一晩インキュベートする。
【0064】
100ng/mLのhRANKLを含むアッセイ培地を使用して、a.)例示的な二重特異性抗体、及びb.)RANKL中和抗体(例示的な二重特異性抗体のscFv部分と同じCDR配列を有するIgG4 RANKL mAb)の各々に対して、100nM〜0.005nM(1:3段階希釈を用いて)の用量範囲を調製する。アッセイ培地は、「培地のみ」及び「100ng/ml RANKLを含む培地」対照に使用される。全ての処理群を室温で30分間インキュベートした後、細胞に添加する。
【0065】
細胞の一晩のインキュベーションの後、存在する増殖培地を除去する。細胞を、50μLの、上記の濃度のうちの1つのそれぞれの抗体処理剤のうちの1つ(3連で)、または増殖培地対照に再懸濁させる。細胞を37℃で18時間インキュベートする(5% CO2及び95%湿度の下で)。インキュベーションの後、増殖培地を細胞から除去し、細胞を、1L 1% Trition X−100溶解緩衝液(30mL Triton X−100(Fisher、品番BP151−500)、3mL MgCl(Sigma、品番M9272)、108.15mL 1M Trizma HCL(Sigma、品番T−3253)、41.85mL 1M Trizma Base(Sigma、品番T−1503)及び817mL H2O))中、50μLのBugLite(2.296g DTT(Sigma、品番D0632)、1.152g Coenzyme A(Sigma、品番C−3019)、0.248g ATP(Sigma、品番A7699)に再懸濁させる。細胞を次いで、プレートシェーカーで5〜10分間、穏やかに撹拌しながら溶解させる。細胞溶解の後、発光をWallac Victor 1420マルチラベルプレートリーダーで測定する。全ての処理群についてのIC50値を、GraphPad Prism 6による3パラメータロジスティック回帰モデルを用いて算出する。
【0066】
結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体が、ヒトRANKL誘導型のNF−kB主導型ルシフェラーゼ発光を中和したことを実証する。阻害は、陽性対照RANKL抗体で観察されるものに匹敵した(平均IC50が、例示的な二重特異性抗体について1.20nM、これに対比して陽性対照RANKL抗体について1.30nM)。培地対照は、試験したいずれの濃度でも、HEK293細胞モデルにおいてヒトRANKL誘導型のNF−kB主導型ルシフェラーゼ発光を中和しなかった。これらの結果は、発明の例示的な二重特異性抗体がRANKLを有効に中和することを実証する。
【0067】
皮質欠損モデルにおけるインビボ有効性分析
インビボでの骨及び椎骨治癒に対する全身効果を、げっ歯類皮質欠損モデルを用いて評価する。14週齢のオスの胸腺欠損ヌードラット(Harlan(Indianapolis、IN))を、食物(0.5%Ca及び0.4%Pを含むTD 89222、Teklad(Madison、WI))及び水を自由に与えながら、12時間の光/暗サイクルにおいて22℃で維持する。
【0068】
皮質欠損手術を、本質的にKomatsuら(Endocrinology、150:1570−1579、2009)に記載されるようにマウスに対して行う。簡潔に述べると、0日目、前皮質及び後皮質の両方を貫通する2mm直径の穴を、左大腿部及び右大腿部の骨幹を通して穿設する。術後1日目、マウスを7つの群に分割し、下記のうちの1つを単回腹腔内注射する:a.)1.4mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)、b.)4.2mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)、c.)14mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)、d.)42mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)、e.)3mg/kgのDkk−1アッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のmAb部分と同じ重鎖及び軽鎖可変領域配列を有するIgG4 Dkk−1 mAb)(N=9)、f.)3mg/kgのRANKLアッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のscFv部分と同じCDR配列を有するIgG4 RANKL mAb)(N=9)、及びg.)3mg/kg ヒトIgG4陰性対照抗体(N=9)。35日目、マウスを殺処理する。
【0069】
術後7、21及び35日時点で、GE Locus Ultra CT Scanner(GE Healthcare(London、Ontario、Canada))を使用した定量的コンピューター断層撮影(qCT)によって、全大腿骨の骨密度(BMD)をインビボで長手方向に監視する。結果を表6に提供する。同様に、術後7、21及び35日時点で、qCTによって腰椎椎骨5(LV5)のBMDを監視する。結果を表7に提供する(データは平均±標準誤差として提示、DunnettのT検定)。
【表6】
【0070】
表6に提示される結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体の(4.2mg/kg以上の)単回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、皮質欠損BMDを術後21日目という早期に増加させることを実証する。
【表7】
【0071】
表7に提示される結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体の単回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、LV5におけるBMDを術後21日目という早期に増加させることを実証する。
【0072】
殺処理後、大腿骨の生体力学的破壊時荷重(load−to−failure)分析、大腿骨頚部剛性、及び椎骨の破壊時荷重分析を行う。大腿骨の生体力学的破壊時荷重強度及び大腿骨頚部剛性を、大腿骨の近位半分を室温でチャックに垂直に取り付け、破壊するまで大腿骨骨頭に下向きの力をかけることによって分析する。椎骨(LV5)を、MTSモデル1/S材料試験デバイスを使用し、TestWorks 4ソフトウェア(MTS Corp.)で分析する圧縮試験において、破壊時荷重試験に供する。最終荷重を、椎骨によって支えられる最大力として測定する。結果を表8に提供する。
【表8】
【0073】
表8に提示される結果は、本発明の例示的な二重特異性抗体の単回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、大腿骨剛性及び大腿骨頚部強度ならびに椎骨強度を増加させることを実証する。
【0074】
インビボでのオッセオインテグレーション分析
オッセオインテグレーション及びインプラント固定、ならびに椎骨治癒に対する全身効果を、げっ歯類脛骨スクリューインプラントモデルを用いてインビボで評価する。23週齢のオスSprague−Dawleyラット(Charles River Labs.,Int’l Inc.)に、両方の後肢脛骨における内側・外側へのチタンスクリュー(2×4mm)の外科移植を施す。術後1日目(1日目)、ラットを5つの群に分割し、下記のうちの1つを皮下注射する:a.)3mg/kgのIgG4陰性対照抗体(N=9)、b.)3mg/kgのDkk−1アッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のmAb部分と同じ重鎖及び軽鎖可変領域配列を有するIgG4 Dkk−1 mAb)(N=9)、c.)3mg/kgのRANKLアッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のscFv部分と同じCDR配列を有するIgG4 RANKL mAb)(N=9)、d.)4.2mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)、e.)14mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)、ならびにf.)1日時点及び8日時点の両方で4.2mg/kgの例示的な二重特異性抗体(N=9)。21日目、ラットを殺処理する。
【0075】
殺処理後、両方の脛骨を各ラットから取り出し、清潔にし、50/50エタノール/生理食塩溶液中に固定する。生体力学的破壊時引張(pull−to−failure)力試験(10mm/分の速度で)を、工業用デジタル式力計測器(Mark−10、モデルM3−50、ESM301、Indiana)を使用して、エクスビボで各脛骨に対して行う。それに加えて、全身効果の評価のために、L5における骨塩含量(BMC)変化もまたμCTでラットにおいて評価する。インプラントの破壊時引張力評価の結果を表9に提供する(データは平均±標準誤差として提示、DunnettのT検定)。L5におけるBMC変化の結果は、表10に提供する(データは平均±標準誤差として提示、DunnettのT検定)。
【表9】
【0076】
表9に提示される結果は、表1に提示される例示的な二重特異性抗体の単回投与及び複数回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、インプラントの破壊時引張力を濃度(及び頻度)依存的様式で増加させることを実証する。このデータは、例示的な二重特異性抗体がオッセオインテグレーション及びインプラント固定を向上させるという知見を支持する。
【表10】
【0077】
表10に提示される結果は、本発明の二重特異性抗体の単回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、脛骨インプラント後のL5のBMCを改善する全身効果を実証することを実証する。
【0078】
腰椎後方融合モデルにおけるインビボ有効性分析
脊椎固定モデルにおけるインビボでの骨及び椎骨治癒に対する全身効果を、げっ歯類腰椎後方融合モデルを用いて評価する。450〜530gの質量を有する14週齢のオスのSprague−Dawleyラット(Charles River Labs.,Int’l Inc.)に左腸骨稜手術を施して、0.5×0.5cmの自家移植片を採取する。移植片を採取した同じラットにおいて、骨移植片を、皮質剥離した腰椎椎骨5及び6(L5及びL6)横突起に即座に移植する。第1の研究(研究1)において、総計48匹のラットに移植手術を施し、第2の研究(研究2)においては、総計60ラットに移植手術を施す。手術の当日(0日目)、デジタル放射線画像を撮影して、移植片の位置付けを確実にする。
【0079】
術後3日目、研究1の移植群ラットを4つの群に分割し、下記のうちの1つを単回皮下注射する:a.)5mg/kgのIgG4陰性対照抗体(N=12)、b.)5mg/kgのDkk−1アッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のmAb部分と同じ重鎖及び軽鎖可変領域配列を有するIgG4 Dkk−1 mAb)(N=12)、c.)5mg/kgのRANKLアッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のscFv部分と同じCDR配列を有するIgG4 RANKL mAb)(N=12)、及びd.)7.2mg/kgのDkk−1/RANKL二重特異性抗体(L1、L2、ならびにHCVR2及びLCVR2についてのフレームワークアミノ酸配列において表1の例示的な二重特異性抗体から若干変化させた)(N=12)。28日目、ラットを殺処理する。
【0080】
術後3日目、研究2の移植群ラットを5つの群に分割し、下記のうちの1つを単回皮下注射する:a.)1mg/kgのIgG4陰性対照抗体(N=12)、b.)1mg/kgのDkk−1アッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のmAb部分と同じ重鎖及び軽鎖可変領域配列を有するIgG4 Dkk−1 mAb)(N=12)、c.)1mg/kgのRANKLアッセイ対照抗体(例示的な二重特異性抗体のscFv部分と同じCDR配列を有するIgG4 RANKL mAb)(N=12)、d.)1.4mg/kgのDkk−1/RANKL二重特異性抗体(L1、L2、ならびにHCVR2及びLCVR2についてのフレームワークアミノ酸配列において表1の例示的な二重特異性抗体から若干変化させた)(N=12)、及びe.)7.2mg/kgのDkk−1/RANKL二重特異性抗体(L1、L2、ならびにHCVR2及びLCVR2についてのフレームワークアミノ酸配列において表1の例示的な二重特異性抗体から若干変化させた)(N=12)。28日目、ラットを殺処理する。
【0081】
殺処理後、全てのラットを脊椎融合率及び質について評価する。研究1の移植群ラットを、腰椎椎骨3(L3、非移植椎骨)におけるBMD変化についてμCTで評価して、全身の骨効果を評価する。脊椎融合率及び質を、ボクセル当たり36μmの解像度で、3DマイクロCT画像(μCT40)を使用して評価する。得られた3D画像を使用して、次の採点システムを用いて骨組織融合を評価する:0=融合なし、3=部分的融合、及び5=全体的融合。融合率は、各群における部分的融合スコア及び全体的融合スコアを合わせたパーセンテージである。脊椎融合率及び質(L5及びL6における)の結果を表11に提供する(データは平均スコア±標準誤差として提示、Fisherの正確確率検定)。L3におけるBMD変化の結果(研究1の移植群における)を表12に提供する(データは平均±標準誤差として提示、DunnettのT検定)。
【表11】
【0082】
表11に提示される結果は、本発明の二重特異性抗体の単回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、腰椎後方融合部位における融合率及び質を術後28日目という早期に増加させることを実証する。
【表12】
【0083】
表12に提示される結果は、本発明の二重特異性抗体の単回投与が、IgG4対照抗体処置ラットと比較して、腰椎後方融合手技後の隣接する椎骨のBMDを術後28日目という早期に改善する全身効果を実証することを実証する。

配列
【0084】
配列番号1−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的な第1のポリペプチド
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGFGTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPGYNNYYFDIWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYAFTNYYIEWVRQAPGQCLEWMGVINPGWGDTNYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRDTAHGYYALDPWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGTNVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYWDYPLTFGCGTKVEIK
【0085】
配列番号2−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的な第2のポリペプチド
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCHASDSISNSLHWYQQKPGQAPRLLIYYARQSIQGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSESWPLHFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0086】
配列番号3−例示的な第1のポリペプチド(配列番号1)及びシグナルペプチドをコードするDNA配列
atggagacggacactctcctcctgtgggtattgctcctttgggtccctggttctacaggggaggtacagctggtagaaagcggtgggggattggtacaaccaggtggatctctccggttgtcatgtgcagctagtgggtttaccttctccagttatacgatgtcttgggtgagacaagcgcccggtaaaggattggagtgggtcgcaaccatcagtggaggagggtttggaacatactaccctgatagcgttaaggggcggtttaccataagcagagataacgcgaagaactctctctaccttcaaatgaactctctgcgggctgaagatacagctgtgtattattgcgcccgccctgggtataacaattactacttcgatatttggggccaagggacaaccgtaaccgtgtctagcgcttcaactaagggtccaagcgtgttccctttggcaccctgcagcagaagcacgtccgagtctaccgctgctttgggctgtctcgtcaaggactacttccccgaaccagttactgtttcttggaactctggtgcactcacaagtggggtccatacgttccccgccgttttgcaatccagcgggttgtactctctttcatccgtggtcactgttcctagctccagcctcggcactaaaacttacacttgtaatgtagaccataagcccagcaacaccaaggtggataagagagtcgagtccaagtacggccctccttgtcctccatgtcctgcgccggaggccgccggaggaccttctgtgttcctttttccaccaaaacctaaagacacccttatgatatcccgaactcccgaggtaacgtgcgtggtagtcgatgtaagccaggaagatcccgaagtccagttcaattggtacgttgacggcgtcgaagtccacaatgctaagacaaaacccagggaagagcagttcaacagcacctatcgcgtagtgagcgtactgaccgtgcttcaccaagactggctcaacggtaaggaatataaatgtaaggtttccaataaaggcctgcccagctcaattgagaaaaccatatccaaagctaaggggcaacctcgagaaccacaggtttacacacttcctccatcacaggaggaaatgacgaaaaatcaggttagcctgacttgtctcgttaaaggattttatccatctgatattgccgtagaatgggagagtaatggacagcctgagaataactataagaccacaccacccgtcctcgactctgacggctcattcttcctgtattctcgcttgacggtggacaagagcagatggcaggaagggaacgtgttttcttgcagtgtgatgcacgaggcactgcataatcattacacacagaagtctttgtccctgtcactgggtggcggaggaggttcaggaggtgggggcagtggcggcggaggctcacaggtccagcttgtccagtctggggcagaggtgaagaagcccgggagtagtgtgaaggtcagctgtaaggcgtcagggtacgcttttactaattactacattgaatgggtgagacaggctccaggccagtgtcttgagtggatgggcgtgattaatccaggctggggtgacactaattacaatgagaagttcaaagggcgggtgactatcacggcagataagtctacttccactgcttatatggagctctcctccctgaggagcgaagacaccgctgtttattattgtgcccggcgagatacagcccatgggtattatgccctcgatccatggggccagggcacgacagttaccgtgagctccggaggaggagggagcgggggcgggggatctggaggaggaggaagtggaggtggagggtctgggggaggcggaagcgatatccagatgactcaaagccctagttccttgagcgcctctgtgggcgacagagtgacaataacctgtaaagcatcacaaaacgtgggcaccaacgtggcgtggtatcaacaaaaacctggcaaggcgcctaagttgctgatttatagtgcatcttacaggtattcaggggtgccctccagatttagtggcagtggcagcggaaccgatttcactctcacaataagctctcttcagccagaggacttcgcgacgtattattgccaacagtattgggactatccactgactttcggttgtggaacaaaggttgagatcaag
【0087】
配列番号4−例示的な第2のポリペプチド(配列番号2)及びシグナルペプチドをコードするDNA配列
atggagacagacacactcctgctatgggtactgctgctctgggttccaggatccactggtgaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgccacgccagcgacagtattagcaacagcctacactggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctattatgctagacagtccatccagggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcaacagagtgagagctggccgctccacttcggcggagggaccaaggtggagatcaaacgaactgtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgc
【0088】
配列番号5−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCVR1
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGFGTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPGYNNYYFDIWGQGTTVTVSS
【0089】
配列番号6−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCVR2
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYAFTNYYIEWVRQAPGQCLEWMGVINPGWGDTNYNEKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRDTAHGYYALDPWGQGTTVTVSS
【0090】
配列番号7−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCVR1
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCHASDSISNSLHWYQQKPGQAPRLLIYYARQSIQGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSESWPLHFGGGTKVEIK
【0091】
配列番号8−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCVR2
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVGTNVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYWDYPLTFGCGTKVEIK
【0092】
配列番号9−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCDR1
AASGFTFSSYTMS
【0093】
配列番号10−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCDR2
TISGGGFGTYYPDSVKG
【0094】
配列番号11−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCDR3
ARPGYNNYYFDI
【0095】
配列番号12−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCDR4
KASGYAFTNYYIE
【0096】
配列番号13−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCDR5
VINPGWGDTNYNEKFKG
【0097】
配列番号14−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なHCDR6
ARRDTAHGYYALDP
【0098】
配列番号15−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCDR1
HASDSISNSLH
【0099】
配列番号16−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCDR2
YYARQSIQ
【0100】
配列番号17−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCDR3
QQSESWPLH
【0101】
配列番号18−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCDR4
KASQNVGTNVA
【0102】
配列番号19−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCDR5
YSASYRYS
【0103】
配列番号20−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なLCDR6
QQYWDYPLT
【0104】
配列番号21−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なL1
GGGGSGGGGSGGGGS
【0105】
配列番号22−(表1の例示的な二重特異性抗体化合物の)例示的なL2
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS

本発明は、以下の態様を含む。
[1]
2つの第1のポリペプチド鎖と、2つの第2のポリペプチド鎖とを含む二重特異性抗体化合物であって、それぞれ
a.)前記第1のポリペプチド鎖は、一本鎖可変フラグメント(scFv)及びmAb IgG重鎖(HC)を含み、前記HCは重鎖CDR(HCDR)1〜3を含む重鎖可変領域(HCVR1)を有し、HCDR1のアミノ酸配列は配列番号9であり、HCDR2のアミノ酸配列は配列番号10であり、HCDR3のアミノ酸配列は配列番号11であり、前記scFvは重鎖可変領域(HCVR2)及び軽鎖可変領域(LCVR2)を有し、HCVR2はHCDR4〜6を含み、LCVR2はLCDR4〜6を含み、HCDR4のアミノ酸配列は配列番号12であり、HCDR5のアミノ酸配列は配列番号13であり、HCDR6のアミノ酸配列は配列番号14であり、LCDR4のアミノ酸配列は配列番号18であり、LCDR5のアミノ酸配列は配列番号19であり、LCDR6のアミノ酸配列は配列番号20であり、
b.)前記第2のポリペプチドは、軽鎖CDR(LCDR)1〜3を含むmAb軽鎖(LC)を含み、LCDR1のアミノ酸配列は配列番号15であり、LCDR2のアミノ酸配列は配列番号16であり、LCDR3のアミノ酸配列は配列番号17であり、
各scFvは、独立して、HCのN末端及びLCVR2のC末端に共有結合しているポリペプチドリンカー(L1)を介して前記HCに連結され、LCVR2は、LCVR2のC末端及びHCVR2のN末端に共有結合している第2のポリペプチドリンカー(L2)を介して同じscFvのHCVR2に連結される、二重特異性抗体化合物。
[2]
HCVR1のアミノ酸配列が配列番号5であり、LCVR1のアミノ酸配列が配列番号7であり、HCVR2のアミノ酸配列が配列番号6であり、LCVR2のアミノ酸配列が配列番号8である、[1]に記載の二重特異性抗体化合物。
[3]
L1のアミノ酸配列が配列番号21であり、L2のアミノ酸配列が配列番号22である、[1]及び[2]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
[4]
2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体化合物であって、前記第1のポリペプチドの各々のアミノ酸配列が配列番号1であり、前記第2のポリペプチドの各々のアミノ酸配列が配列番号2である、二重特異性抗体化合物。
[5]
配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子。
[6]
配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子。
[7]
配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含み、かつ配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含む、DNA分子。
[8]
[5]に記載のDNA分子及び[6]に記載のDNA分子を含む哺乳動物細胞であって、前記細胞は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖を発現することができる、哺乳動物細胞。
[9]
前記哺乳動物細胞がCHOである、[8]に記載の哺乳動物細胞。
[10]
[7]に記載のDNA分子を含む哺乳動物細胞であって、前記細胞は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖を発現することができる、哺乳動物細胞。
[11]
前記哺乳動物細胞がCHOである、[10]に記載の哺乳動物細胞。
[12]
アミノ酸配列が配列番号1であるポリペプチド及びアミノ酸配列が配列番号2であるポリペプチドを含む二重特異性抗体化合物を産生するためのプロセスであって、前記二重特異性抗体化合物が発現されるような条件下で[8]または[10]に記載の哺乳動物細胞を培養することと、前記発現された二重特異性抗体化合物を回収することとを含む、プロセス。
[13]
[12]に記載のプロセスによって産生される二重特異性抗体化合物。
[14]
骨障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物を投与することを含む、方法。
[15]
脊椎固定の患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物を投与することを含む、方法。
[16]
骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、または骨形成不全症のうちの少なくとも1つを治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物を投与することを含む、方法。
[17]
治療に使用するための、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
[18]
脊椎固定療法に対する補助剤として使用するための、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
[19]
骨治癒において、または骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、もしくは骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療において使用するための、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物。
[20]
[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物及び1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物。
[21]
脊椎固定の患者の治療のための薬剤の製造における、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物の使用。
[22]
骨障害の治療のための薬剤の製造における、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物の使用。
[23]
骨粗鬆症、骨減少症、腰椎変性すべり症、変性椎間板疾患、または骨形成不全症のうちの少なくとも1つの治療のための薬剤の製造における、[1]〜[4]及び[13]のいずれかに記載の二重特異性抗体化合物の使用。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]